JP4252961B2 - ジイモニウム塩化合物、それを用いる近赤外線吸収フィルター及び光情報記録媒体 - Google Patents

ジイモニウム塩化合物、それを用いる近赤外線吸収フィルター及び光情報記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性に優れた、近赤外線吸収能を有するジイモニウム塩化合物、近赤外線吸収フィルター及び近赤外線吸収組成物、並びに、光情報記録媒体に関し、特に、該近赤外線吸収フィルターからなる、プラズマディスプレーパネル用の近赤外線吸収フィルターに関する。
従来、近赤外線吸収剤であるジイモニウム塩化合物は、近赤外線吸収フィルター、断熱フィルム及びサングラス等に広く利用されている。しかしながら、従来のジイモニウム塩化合物においては、末端基が直鎖のアルキル基を有する化合物が多く、これらの化合物を用いる近赤外線吸収フィルターは、一般に、熱及び光に対して物質が変化しやすい等の原因から、近赤外線吸収能が低下するという問題があった。特に熱に対しては、分解に伴いフィルター自身の可視透過率が低下し、その色目も緑みを帯びてくるという重大な問題があった。近赤外線吸収フィルターは、プラズマディスプレーパネルにも用いられる。プラズマディスプレーパネルは、プラズマ発光を利用して画像を表示するパネルであるが、そのプラズマの発光には赤外線領域(800〜1100nm)の光も含まれるため、パネルの周辺に存在し得る様々な赤外線を利用した機器、例えばリモコン、自動ドア、進入感知機等の誤作動をなくすために、近赤外線吸収フィルターを用いて赤外領域の光をカットする必要がある。しかし、従来の近赤外線吸収剤では、上記のような理由から、満足できるフィルターを提供できないという問題があった。
また、有機色素を含有する光記録媒体、特に、1回のみ記録可能なCD−RやDVD−R等の光ディスク及び光カード等に利用する色素として、シアニン系色素等の有機色素が種々提案されているが、一般に、それらの色素が光に対して変化しやすい等の原因から、記録再生特性及び保存安定性が低下するという問題があった。この様な問題の解決を目的とする手段として、すでに、特公平6−26028や特開平1−99885等に記載の如く、直鎖上の末端基を有するジイモニウム塩等を添加することが知られている。しかしながら、これらの化合物を用いて作製した記録媒体について耐熱試験及び耐湿熱試験を行った場合、一般にジイモニウム塩等が先に劣化してしまい、その後の耐光試験においてシアニン系色素の劣化が極端に悪くなるという問題があった。
本発明はこの様な状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来の直鎖状アルキル基を有するジイモニウム塩に比較して、安定性、特に耐熱性が向上した近赤外線吸収化合物(ジイモニウム塩)、そのような近赤外線吸収化合物を用いて作製した、プラズマディスプレーパネル用の近赤外線吸収フィルターに好適な耐熱性が向上した近赤外線吸収フィルター、及び光記録媒体を提供することにある。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意努力した結果、下記式(1)の構造を有する近赤外線吸収化合物が優れた安定性、特に優れた耐熱性を有することを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、
(1) 下記式(1):
Figure 0004252961
〔式(1)中、R〜Rはそれぞれ同じであっても異なっていても良く、その少なくとも1つが分岐鎖状アルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良く、Xは電荷を中和させるのに必要なアニオンを表す〕
で示される少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする近赤外線吸収フィルター;
(2) 環A及びBの1,4−位以外が無置換であるか、又は置換基として1〜4個のハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、シアノ基及び/又はヒドロキシル基を有する、上記(1)に記載の近赤外線吸収フィルター;
(3) R〜Rにおける分岐鎖状アルキル基が、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、又は2−エチルブチル基である、上記(1)又は(2)に記載の近赤外線吸収フィルター;
(4) プラズマディスプレーパネル用である、上記(1)から(3)のいずれかに記載の近赤外線吸収フィルター;
(5) 樹脂中に式(1)で表される化合物を添加してなることを特徴とする近赤外線吸収組成物;
(6) 下記式(1):
Figure 0004252961
〔式(1)中、R〜Rはそれぞれ同じであっても異なっていても良く、その少なくとも1つが下記式(2):
Figure 0004252961
(式(2)中、nは1以上の整数を表し、Rは分岐鎖状アルキル基を表す)で表される分岐鎖状アルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良く、Xは電荷を中和させるのに必要なアニオンを表す〕
で表されるジイモニウム塩化合物;及び
(7) 上記(6)に記載の少なくとも一種のジイモニウム塩化合物を記録層に含有することを特徴とする光情報記録媒体;
に関する。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、一般式(1)で示される構造の少なくとも一種の化合物を使用してなるものである。一般式(1)において、環A及びBには、1,4−位以外に1〜4個の置換基を有していても、いなくても良い。結合しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、シアノ基、及び低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のC〜Cのアルコキシ基が挙げられ、低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等のC〜Cのアルキル基が挙げられる。好ましくは、A及びBが何れも置換基を有していないか、又は、ハロゲン原子(特に塩素原子、臭素原子)、メチル基若しくはシアノ基で置換されているものが好ましい。尚、Bに置換基を有する場合は、4つのB環が全て同じであるもの、更に、置換基の位置は、フェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対してm−位であるものが合成上好ましい。更に、環A及びBには、1,4−位以外に置換基を有していないものが合成上好ましい。
一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ同じであっても異なっていても良く、その少なくとも1つは分岐鎖状アルキル基であり、残りは、置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状アルキル基を表す。
このような分岐鎖状アルキル基の具体例としては、1−メチルエチル基(i−プロピル基)、1,1−ジメチルエチル基(t−ブチル基)、1−メチルプロピル基(sec−ブチル)、1,1−ジメチルプロピル基、2−メチルプロピル基(iso−ブチル基)、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基(iso−アミル基)、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、及び2−エチルブチル基等の、炭素数1〜20のアルキル基、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
〜Rにおける、分岐鎖状アルキル基以外の残りの置換基は、好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状アルキル基から選択される。これらの直鎖状アルキル基としては、具体的には、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基等が挙げられ、これらの基に結合し得る置換基としては、シアノ基;ヒドロキシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜8のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;及び、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
上記したR〜Rの分岐状アルキル置換基のうち、好ましいものとしては、例えば、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、及び2−エチルブチル基等が挙げられる。
Xは電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが2価である場合には1分子、アニオンが1価の場合には2分子が必要になる。これらのアニオンは、例えば、有機酸アニオン又は無機アニオン等から選択される。具体的には、有機酸アニオンとしては、例えば、酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン;メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン;及び、テトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン等が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等のアルキルスルホン酸イオン及びアルキルアリールスルホン酸イオンが挙げられる。
無機アニオンとしては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン;チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン、及びホウ酸イオン等が挙げられ、好ましいものとしては、過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、及びヘキサフルオロアンチモン酸イオン等が挙げられる。
これらのアニオンのうち好ましいものとしては、例えば、過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、及びトルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。
式(2)において、nは1〜17の整数であり、好ましくは1〜7である。Rは分岐鎖状アルキル基であり、式(2)全体としての炭素数は4〜20である。
次に、本発明の一般式(1)で示される近赤外線吸収化合物の具体例を表1〜3に示す。表1〜3中、i−はiso−、s−はsec−、t−はtert−のように分岐の状態を表し、TsOはトルエンスルホン酸イオンを表す。また、A及びBに関し、1,4−位以外が無置換の場合は「4H」と表記する。また、R〜Rに関し、R〜Rが全てiso−ブチル基である場合、即ち、(R,R)、(R,R)、(R,R)及び(R,R)の4組の置換基の組み合わせが全てiso−ブチル基である場合には「4(i−C,i−C)」と略記し、同様に、全てiso−アミル基(−CCH(CH)である場合には「4(i−C11,i−C11)」と略記する。また、R〜Rのうち、例えば、1つがn−ブチル基で残りがiso−ブチル基である場合、即ち、4組の置換基の組み合わせの一つにn−ブチルが含まれ、残りの3組が全てiso−ブチル基である場合には「3(i−C,i−C)(i−C,n−C)」と略記する。
尚、化合物No.23及び24は、4つのB環が全て同じであり、置換基の位置はフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対してm−位である。
Figure 0004252961
Figure 0004252961
Figure 0004252961
本発明の近赤外線吸収フィルターに使用される一般式(1)で表される化合物は、例えば特公昭43−25335号公報に記載された次の様な方法で得ることができる。即ち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる下記式(3):
Figure 0004252961
(式(3)中、環A及びBは前記で定義された通りである)
で表されるアミノ体を、有機溶媒中、好ましくはDMF、DMI又はNMP等の水溶性極性溶媒中、30〜160℃、好ましくは50〜140℃で、所望のR〜Rに対応するハロゲン化化合物(例えば、Rがi−CのときはBrCHCH(CH)と反応させて、全ての置換基(R〜R)が同一である化合物(以下、全置換体と記す)を得ることができる。また、全置換体以外の化合物を合成する場合、例えばNo.25の化合物を合成する場合には、先に所定のモル数(上記式(3)のアミン体1モル当たり7モル)の試薬(BrCHCH(CH)と反応させてR〜Rのうち7つにiso−ブチル基を導入した後、残りの置換基(n−ブチル基)を導入するのに必要なモル数(上記式(3)のアミン体1モル当たり1モル)の対応する試薬(BrC)と反応させる。例示したNo.25の化合物の製造方法と同様の方法により、全置換体以外の任意の化合物を得ることができる。
その後、上記で合成した化合物を、有機溶媒中、好ましくはDMF、DMI又はNMP等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で、式(1)のXに対応する酸化剤(例えば銀塩)を添加して酸化反応を行う。酸化剤の当量を2当量にすれば本発明の一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物が得られ、1当量にすれば、一価のアミニウム塩化合物(以下アミニウム体と記す)が得られる。
また、上記で合成した化合物を硝酸銀、過塩素酸銀、塩化第二銅等の酸化剤で酸化した後、その反応液に、所望のアニオンの酸もしくは塩を添加して塩交換を行う方法によっても、一般式(1)で表される化合物を合成することが出来る。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、上記の近赤外線吸収化合物を含有する層を基材上に設けたものでも良く、また基材自体が近赤外線吸収化合物を含有する樹脂組成物(又その硬化物)からなる層であっても良い。基材としては、一般に近赤外線吸収フィルターに使用し得るものであれば特に制限されないが、通常、樹脂製の基材が使用される。近赤外線吸収化合物含有層の厚みは一般に0.1μm〜10mm程度であるが、近赤外線カット率等の目的に応じて適宜決定される。また、近赤外線吸収化合物の含有量も、目的とする近赤外線カット率に応じて適宜決定される。
基材となる樹脂としては、樹脂板又は樹脂フィルムに成形した場合、できるだけ透明性の高いものが好ましく、具体例として、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物、及びそれらのビニル化合物の付加重合体;ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体、等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体;ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;ポリペプチド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリエーテル;エポキシ樹脂;ポリビニルアルコール;及びポリビニルブチラール等が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収フィルターを作製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば次の方法が利用できる。例えば、(1)樹脂に上記の近赤外線吸収化合物を混練し、加熱成形して樹脂板又はフィルムを作製する方法;(2)上記化合物と樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下にキャスト重合し、樹脂板又はフィルムを作製する方法;(3)上記化合物を含有する塗料を作製し、透明樹脂板、透明フィルム、又は透明ガラス板にコーティングする方法;及び、(4)上記化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製する方法等である。
(1)の作製方法としては、用いる樹脂によって加工温度、フィルム化(樹脂板化)条件等が多少異なるが、通常、本発明の化合物を基材樹脂の粉体又はペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形して樹脂板を作製するか、又は、押し出し機によりフィルム化(樹脂板化)する方法等が挙げられる。上記の近赤外線吸収化合物の添加量は、作製する樹脂板又はフィルムの厚み、吸収強度、可視光透過率等によって異なるが、一般的に、バインダー樹脂の重量に対して、0.01〜30重量%、好ましくは0.03〜15重量%の量で使用される。
上記の化合物と樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下にキャスト重合して作製する(2)の方法においては、それらの混合物を型内に注入し、反応させて硬化させるか、又は、金型に流し込んで型内で硬い製品となるまで固化させて成形する。多くの樹脂がこの方法で成形可能であり、その様な樹脂の具体例として、アクリル樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリスチレン樹脂、及びシリコン樹脂等が挙げられる。その中でも、硬度、耐熱性、耐薬品性に優れたアクリルシートが得られるメタクリル酸メチルの塊状重合によるキャスティング法が好ましい。
重合触媒としては公知のラジカル熱重合開始剤が利用でき、例えば、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物、及びアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。その使用量は、混合物の総量に対して、一般的に0.01〜5重量%である。熱重合における加熱温度は、一般的に40〜200℃であり、重合時間は、一般的に30分〜8時間程度である。また熱重合以外に、光重合開始剤や増感剤を添加して光重合する方法も利用できる。
(3)の方法としては、本発明で使用する化合物をバインダー樹脂及び有機溶媒に溶解させて塗料化する方法、及び、本発明の化合物を微粒子化して水に分散し、水系塗料とする方法等がある。前者の方法では、例えば、脂肪族エステル樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル変性樹脂等、又はそれらの共重合樹脂をバインダーとして用いることができる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系の溶媒、又はそれらの混合物の溶媒を用いることができる。本発明の近赤外線吸収化合物の濃度は、作製するコーティングの厚み、吸収強度、可視光透過率によって異なるが、バインダー樹脂に対して、一般的に0.1〜30重量%である。
このように作製した塗料を用いて、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、又は透明ガラス等の上、にスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、又はスプレー等でコーティングして、近赤外線吸収フィルターを得ることができる。
(4)の方法において、接着剤としては、一般的なシリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用又は合わせガラス用のポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の合わせガラス用の公知の透明接着剤が使用できる。本発明の化合物を0.1〜30重量%添加した接着剤を用いて透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、又は、ガラス同士を接着して、フィルターを作製する。
尚、それぞれの方法で混練、混合の際、紫外線吸収剤、可塑剤等の、樹脂成形に用いる通常の添加剤を加えても良い。
このように、(1)から(4)のそれぞれの方法において、樹脂中に式(1)で表される本発明化合物を添加した近赤外線吸収組成物も、本発明に含まれる。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、好ましくは、一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物を用いるが、対応する構造のアミニウム体を用いてもよい。アミニウム体を用いる場合、アミニウム体単独でもよいし、一般式(1)のジイモニウム化合物と併用してもよい。更に、他の近赤外線吸収化合物と混ぜて作製しても良い。併用し得る他の近赤外線吸収化合物としては、例えば、フタロシアニン系、シアニン系色素、及びジチオールニッケル錯体等が挙げられる。また、無機金属の近赤外線吸収化合物も併用し得、そのような無機金属としては、例えば、金属銅、硫化銅又は酸化銅等の銅化合物、酸化亜鉛を主成分とする金属混合物、タングステン化合物、ITO、及びATO等が挙げられる。
また、フィルターの色調を変えるために、可視領域に吸収を持つ色素を、本発明の効果を阻害しない範囲で加えることも好ましい。また、調色用色素のみを含有するフィルターを作製し、後で本発明の近赤外線吸収フィルターを張り合わせることもできる。
この様な近赤外線吸収フィルターは、ディスプレーの前面板に用いられる場合には、可視光の透過率は高いほど良く、少なくとも40%以上、好ましくは50%以上の透過率が必要である。近赤外線のカット領域は、好ましくは800〜900nm、より好ましくは800〜1000nmであり、その領域の近赤外線の平均透過率が50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下になることが望ましい。したがって、一般に可視光の透過率が低い傾向にあるアミニウム体は用いず、一般式(1)のジイモニウム化合物を用いることが好ましい。
本発明の光記録媒体は、基板上に記録層を有するものであり、該記録層は一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体を少なくとも1種含有することを特徴とする。一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体をそれぞれ単独で使用してもよいが、必要に応じて一般式(1)の化合物及び/又はアミニウム体から選ばれる化合物をそれぞれ1種以上混合して使用してもよい。
本発明の光記録媒体の記録層には、一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体が単独で含有されていてもよく、またバインダー等の各種添加剤と混合して含有されていてもよい。この場合、一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体により情報が記録される。
更に、一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体を、有機色素により情報が記録される光記録媒体の記録層に含有させることによって、該光記録媒体の耐光性を向上させることができる。このような光記録媒体も本発明の光記録媒体の一種である。
一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体を耐光性向上の為に使用する光記録媒体において、これらの化合物と併用しうる有機色素としては、一般的に知られている色素、例えば、シアニン系色素、スクワリリウム系色素、インドアニリン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ系色素、メロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、及びピリリウム系色素等が挙げられる。
これらの有機色素1モルに対して、一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体は、一般的に0.01〜10モル、好ましくは0.03〜3モル使用される。
本発明の光記録媒体は、基板上に一般式(1)のジイモニウム化合物及び/又はアミニウム体と所望により色素を含有する記録層を設けたもので、必要に応じ、反射層、保護層が設けられる。基板としては既知のものを任意に使用することが出来る。例えば、ガラス板、金属板又はプラスチック板もしくはフィルム等が挙げられ、これらを製造するためのプラスチックとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。基板の形状については、ディスク状、カード状、シート状、ロールフィルム状等、種々のものが挙げられる。
ガラス又はプラスチック基板上には記録時のトラッキングを容易にするために案内溝を形成させてもよい。また、ガラス又はプラスチック基板にはプラスチックバインダー又は無機酸化物、無機硫化物等の下引き層を設けてもよく、下引層は基板より熱伝導率の低いものが好ましい。
本発明の光記録媒体における記録層は、例えば、一般式(1)のジイモニウ化合物及び/又はアミニウム体、及びより好ましくは、一般式(1)のジイモニウ化合物及び/又はアミニウム体と他の有機色素を、公知の有機溶剤、例えば、テトラフルオロプロパノール(TFP)、オクタフルオロペンタノール(OFP)、ダイアセトンアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジクロロエタン、イソホロン、又はシクロヘキサノン等に溶解し、必要に応じて、適当なバインダーを加え、その溶液をスピンコーター、バーコーター、又はロールコーター等により基板上に塗布することにより得ることが出来る。本発明の光記録媒体における記録層は、その他の方法、例えば、真空蒸着法や、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、又は、基板を溶液中に漬けるディッピング法によっても得ることができる。ここにおいて、バインダーとしては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、又はエポキシ系樹脂等が使用されうる。
記録層の膜厚は、記録感度や反射率を考慮すると、好ましくは0.01μm〜5μm、より好ましくは0.02μm〜3μmである。
本発明の光記録媒体には、必要により記録層の下に下引層を、また記録層の上に保護層を設けることが出来、更に、記録層と保護層の間に反射層を設けることが出来る。反射層を設ける場合、反射層は、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、好ましくは金、銀又はアルミニウムで構成されるが、これらの金属は単独で使用してもよく、又は2種以上の合金として使用してもよい。反射層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で成膜される。このような反射層の厚さは、0.02〜2μmである。反射層の上に設けられることのある保護層は、一般に、紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗装した後、紫外線を照射し、塗膜を硬化させて形成されるものである。その他、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、又はウレタン樹脂等も保護膜の形成材料に用いられる。このような保護膜の厚さは、通常、0.01〜100μmである。
本発明の光記録媒体における情報の記録又は画像の形成は、レーザー、例えば、半導体レーザー、ヘリウム−ネオンレーザー、He−Cdレーザー、YAGレーザー、又はArレーザー等の集光したスポット状の高エネルギービームを、基板を通して又は基板と反対側から記録層に照射することにより行われ、情報又は画像の読み出しは、低出力のレーザービームを照射することにより、ピット部とピットが形成されていない部分の反射光量又は透過光量の差を検出することにより行われる。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、ディスプレーの前面板の様な用途に限らず、赤外線をカットする必要があるフィルターやフィルム、例えば、断熱フィルム、光学製品、サングラス等にも使用することが出来る。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、可視光領域では非常に高い透過率を示しながら、近赤外線領域は広範な波長の近赤外線を吸収する優れた近赤外線吸収フィルターである。従来の直鎖状の末端基を有するジイモニウム塩からなる近赤外線吸収フィルターに比べ、溶解度も高く、加工性も優れている。特に、本発明の近赤外線吸収化合物は耐熱性においては非常に優れており、耐熱試験中における分解などの反応を起こしにくいため、可視部の着色がほとんど起こらない近赤外線吸収フィルターを得ることができる。更に、この様な特徴を有していることから、近赤外線吸収フィルターや例えば断熱フィルム及びサングラスのような近赤外線吸収フィルムに好適に用いることができ、特に、プラズマディスプレー用の近赤外線吸収フィルターに好適である。
本発明の光記録媒体は、繰り返し再生における耐久性、耐湿熱性及び耐光安定性を著しく向上させた光記録媒体を提供することができる。
(実施例)
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中、「部」は特に特定しない限り「重量部」を表す。
(合成例1)
(1) N,N,N’,N’−テトラキス[ジ{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}アミノフェニル]−p−フェニレンジアミンの合成
DMF30部中に、N,N,N’,N’−テトラキス(アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン3.8部、iso−ブチルブロミド21部、及び炭酸カリウム15部を加え、80℃で1時間、90℃で7時間、及び130℃で1時間反応させた。冷却後、濾過し、この反応液(濾液)にイソプロパノール30部を加え、5℃以下で1時間撹拌した。生成した結晶をメタノールで洗浄した後、乾燥し、薄茶色の結晶2.5部を得た。
融点 159〜167℃(DSC)
(2) No.1化合物の合成
DMF10部中に上記(1)で合成した化合物1部を加え、60℃に加熱溶解した後、DMF10部中に溶解した六フッ化アンチモン酸銀0.78部を加え、30分反応させた。冷却後、析出した銀を濾別した。この反応液(濾液)に水10部をゆっくりと滴下し、滴下後15分撹拌した。生成した黒色結晶を濾過し、50部の水で洗浄し、得られたケーキを乾燥し、No.1の化合物0.5部を得た。
λmax 1104nm(ジクロロメタン)
吸光係数 100,000
分解温度 259℃(TG−DTA)
(合成例2)
前記合成例1の(2)の反応で六フッ化アンチモン酸銀の代わりに六フッ化リン酸銀0.58部に代えた以外は合成例1と同様に合成し、No.2の化合物0.5部を得た。
λmax 1104nm(ジクロロメタン)
吸光係数 93,200
分解温度 205℃(TG−DTA)
(合成例3)
前記合成例1の(1)の反応で、iso−ブチルブロミドの代わりにiso−アミルブロミドに代えた以外は合成例1と同様に合成し、N,N,N’,N’−テトラキス[ジ{p−ジ(iso−アミル)アミノフェニル}アミノフェニル]−p−フェニレンジアミンを得た。
融点 104〜107℃(DSC)
また、この化合物を前記合成例1の(2)の反応と同様に六フッ化アンチモン酸銀で反応させ、No.5の化合物を得た。
λmax 1106nm(ジクロロメタン)
吸光係数 109,000
分解温度 278℃(TG−DTA)
(合成例4)
前記合成例3の反応で六フッ化アンチモン酸銀の代わりに六フッ化リン酸銀に代えた以外は合成例3と同様に合成し、No.6の化合物を得た。
λmax 1102nm(ジクロロメタン)
吸光係数 107,000
分解温度 220℃(TG−DTA)
その他の化合物例についても、上記合成例1と同様に対応するフェニレンジアミン誘導体を合成し、それを対応する銀塩はじめ前記した種々の酸化剤で酸化した後、対応するアニオンと反応させることにより、合成できる。
(近赤外線吸収フィルター及び耐熱安定性試験)
テトラフルオロプロパノール10部に前記実施例で得られたNo.1、No.2、No.5及びNo.6の各化合物0.1部を溶解し、その溶液約1mgを、ポリカーボネート基盤に回転速度2000rpmでスピンコートし、本発明の近赤外線吸収フィルターを得た。得られた近赤外線吸収フィルターについて、80℃の熱風乾燥機を用いて、1日、4日、7日、11日、及び14日の各期間で耐熱安定性試験を行った。試験後、各近赤外線吸収フィルターに関し、色素残存率を分光光度計にて測定した。耐熱試験の結果を表4に示す。
尚、上記化合物の代わりにテトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの六フッ化アンチモン酸塩(比較試料)を用いた以外は同様にして色素膜を作製し、評価した。
Figure 0004252961
(近赤外線吸収フィルター)
前記実施例1で得られたNo.1の化合物を、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)に対して0.03%の量で添加し、温度200℃で射出成形し、厚さ1mmと3mmのフィルターを得た。得られたフィルターの800〜1000nmでの平均光線透過率を、分光光度計にて測定したところ、厚さ1mmのフィルターでは20%、3mmのフィルターでは3%であった。
(光記録媒体及び耐熱安定性試験)
前記合成例1で得られたNo.1の化合物0.02部とシアニン色素(OM−57、富士写真フィルム社製)0.10部をテトラフルオロプロパノール10部に溶解し、0.2μmのフィルターを通過させて塗布液を得た。この溶液5mlをグルーブ付5インチポリカーボネート樹脂基板上にピペットにて滴下し、スピンコーターにて塗布、乾燥し、有機薄膜記録層を形成した。塗布膜の最大吸収波長は719nmであった。得られた塗布膜に金をスッパッタリング法で製膜して反射層を形成し、光記録媒体を作製した。得られた光記録媒体をCD−R用記録再生機で評価したところ、記録及び再生が可能であった。
テトラフルオロプロパノール15部にシアニン色素(OM−57)0.3部を溶解し、その溶液に、それぞれ前記各実施例で得られた、No.1の化合物(試料1)、No.2の化合物(試料2)、No.5の化合物(試料3)、No.1の化合物のアミニウム体(試料4)、及びNo.2の化合物のアミニウム体(試料5)を0.04部の量で添加し、塗液を作製した。得られた塗液をポリカーボネート基板にスピンコートし、色素膜を作製した。得られた色素膜について、先ず、60℃・95%RHの条件下で4日間耐湿熱試験を行った。その試験が終了した後、前記色素膜をスガ試験機製紫外線ロングライフカーボンアーク耐光試験機(ブラックパネル温度63℃)に入れ、基板側から光を照射し、10時間、20時間、及び40時間の照射時間で耐光安定性試験を行った。その後、シアニン色素の残存率を分光光度計にて測定した。結果を表7に示す。
尚、比較の為に、No.1、No.2、及びNo.5の化合物の代わりにテトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの六フッ化アンチモン酸塩(比較試料1)を用い、No.1及びNo.2の化合物のアミニウム体の代わりにテトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}フェニレンアミニウムの六フッ化アンチモン酸塩(比較試料2)を用いた以外は同様にして色素膜を作製し、評価した。結果を表5に示す。また、耐湿試験を経ずに耐光試験を行った結果を表6に示す。
Figure 0004252961
Figure 0004252961
(発明の効果)
本発明のジイモニウム塩化合物は、従来の直鎖状の末端基を有するジイモニウム塩に比べ、溶解度が高く加工性も優れており、また、非常に耐湿熱性に優れている。これを用いた近赤外線吸収フィルターは耐熱性に極めて優れた近赤外線吸収フィルターであり、耐熱試験を行っても、該試験中に分解などの反応を起こしにくく、可視部の着色がほとんど認められない。この様な特徴を有していることから、本発明のジイモニウム塩化合物は、近赤外線吸収フィルターや、例えば断熱フィルム及びサングラスのような近赤外吸収フィルムに好適に用いることができ、特に、プラズマディスプレー用の近赤外線吸収フィルターに好適である。また、上記化合物を、例えば光記録媒体の記録層に当たる有機色素薄膜に含有させた場合、繰り返し再生における耐久性、耐湿熱性及び耐光安定性を著しく向上させた光記録媒体を提供することができる。

Claims (2)

  1. 下記式(1):
    Figure 0004252961
    〔式(1)中、R〜R、分岐鎖状アルキル基であってそれぞれ同じであっても異なっていても良く、その少なくとも1つが下記式(2):
    Figure 0004252961
    (式(2)中、nは1〜7の整数を表し、Rは分岐鎖状アルキル基を表す)で表される分岐鎖状アルキル基であり、環A及びBの1,4−位以外は無置換であり、Xは電荷を中和させるのに必要なアニオンを表す〕
    で表されるジイモニウム塩化合物。
  2. 〜R における分岐鎖状アルキル基が、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基又は2−エチルブチル基である、請求項1に記載のジイモニウム塩化合物。
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