JP4252101B1 - ニンニクスプラウトの水耕栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】土壌栽培により得られたニンニクスプラウトと比較して柔らかく、味、香りがまろやかであり、且つ栄養価に高い、緑色野菜として、或いは黄白色野菜としてのニンニクスプラウトの水耕栽培方法を提供すること。
【解決手段】ニンニク球根を、網目状を有する栽培カゴ上に載置して、その状態で栽培槽に収容し、栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部が水中に位置するよう水又は養液水を栽培槽内で水位調整並びに循環給水させ、栽培カゴ上でニンニク球根よりニンニク若芽を生育させることを特徴とするニンニクスプラウトの水耕栽培方法である。
【選択図】図3

Description

本発明はニンニク(大蒜)の若芽(ニンニクスプラウト)の水耕栽培方法に関わり、詳細には、土壌栽培で得られたスプラウトに比較して柔らかく、味、香りがまろやかであり、且つ栄養価に高い、緑色野菜或いは黄白色野菜としてのニンニクスプラウトの水耕栽培方法に関する。
古くからニンニク(Garlic, Allium sativum L.)は、独特の臭いと香味を有していることから、食物の味付けになどに広く使用されてきている。また、ニンニクには殺菌作用が強く、かぜなどのウイルスを殺す薬効作用があるともいわれており、最近ではニンニクのエキスを含有する健康食品等も登場している。
一般的に「ニンニク」と称して香味、食物の味付けなどに使用しているニンニクとは、ニンニク球根を構成している一つ一つの鱗茎であり、この鱗茎は、小さなリン片(側球)が集合して形成された球状の地下茎である。この側球は、葉が変形・肥大したものであり、外側から一枚の保護葉、貯蔵葉、発芽葉、および数枚の普通葉で構成され、最内部に生長点が存在する。
上記したように、ニンニクには独特の香味を有しており、健康増強に有益な食物であること、また近年の食文化の多様化に伴い、ニンニクの香味による味付けが広く行き渡り、今後益々ニンニクの需要が増大するものと思われる。
しかしながら、ニンニク自体には強烈な臭いがあることから、これを生のまま食することはほとんど無く、一部の嗜好家などにより、天ぷら油などにより唐揚げ、或いは直火による加熱処理等にして、食されているにすぎない。
一方、ニンニクの若い生葉或いは茎は、ニンニクの鱗茎に比較して臭いが少なく、また香味などの刺激も低減していることから、油炒めや煮物などに適する青物野菜として利用されているが、葉或いは茎が硬いといった問題があった。
したがって、ニンニクから得られる若芽或いはモヤシ等が検討されており、特許文献1にはニンニクの珠芽を培養するニンニクのもやしについての製造方法が提供されている。このニンニクのモヤシは、ニンニク特有の香味を備え、栄養価が高く、手軽に生のままでも食することができるとされているが、その製造方法としてはニンニク珠芽を水洗し、吸水せしめ、暗黒条件下/或いは照射条件下に培養する方法であり、ニンニクの球根を構成する珠芽一つ一つを水洗、吸水処理しなければならない手間がある。
一方、特許文献2にはニンニク茎葉野菜の栽培方法が提案されている。この栽培方法は、ニンニクの球根を暗黒条件下に特定の温度/湿度をコントロールして栽培する方法であり、その手段としては、土壌栽培或いは水耕栽培とされているが、実際の実施例においてはニンニク球根に土壌を覆土し、さらに暗室内で栽培するという土壌栽培方法しか開示されていない。
ところで最近に至り、各種十文字植物或いは緑黄野菜のスプラウト(発芽若芽)の栄養価が着目され、いくつかの野菜スプラウトが登場してきている。例えば、古くからは大豆、小豆等のスプラウト(モヤシ)を始めとし、最近では、かいわれ大根、そば、ブロッコリー、キャベツ等のスプラウトが登場し、生食野菜として広く愛用されるに至っている。
上記した特許文献2で提供されるニンニク茎葉野菜も、一つのニンニクスプラウトということができるが、その栽培方法は土壌栽培であり、その栽培に人手がかかること、また得られるスプラウト自体未だ硬いといった問題がある。
したがって、製造工程が簡単であって、さらに柔らかなニンニクスプラウトの製造方法の開発が望まれているのが現状である。
特公平4−16127号公報 特許第2711975号掲載公報
したがって本発明は、土壌栽培により得られたニンニクスプラウトと比較して柔らかく、味、香りがまろやかであり、且つ栄養価に高い、緑色野菜として、或いは黄白色野菜としてのニンニクスプラウトの水耕栽培方法を提供することを課題とする。
本発明者等はかかる課題を解決するべく鋭意検討した結果、ニンニクの球根(地下茎)を水耕栽培するのに際して、球根の底部のみを水或いは養液水に浸し、球根からの発芽並びに根の育成を生じさせ、さらに球根からの根の育成を阻害することのないよう自然の状態で自由に育成できるようにすること、また、球根からの発芽が開始された時点から球根に対する給水を間歇的に行うことにより、極めて簡単にニンニクスプラウトを製造できることを新規に見出した。
そして、かかる水耕栽培方法を通常の日照条件下で行えば、緑色野菜としてのニンニクスプラウトが製造でき、さらにニンニクの球根を筒状体により覆った簡便な暗室条件下で栽培すれば、黄白色野菜としてのニンニクスプラウトが製造できることを新規に見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって本発明は、その基本的態様として、ニンニク球根を、網目状を有する栽培カゴ上に載置して、その状態で栽培槽に収容し、栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部が水中に位置するよう水又は養液水を栽培槽内で水位調整並びに循環給水させ、栽培カゴ上でニンニク球根よりニンニク若芽を生育させることを特徴とするニンニクスプラウトの水耕栽培方法である。
より好ましくは、ニンニク球根の栽培カゴ上への載置にあたって、栽培カゴ上にリング状の保護具を置き、該リング状保護具内部にニンニク球根を載置することを特徴とする上記のニンニクスプラウトの水耕栽培方法である。
このリング状保護具は、少なくともニンニク球根の下から概略半分〜4分の3程度の高さを包囲するリング状物であればよい。
具体的には、本発明は、ニンニク球根の底部が水中に位置する栽培槽内での水又は養液水の循環給水を、ニンニク球根からの出芽、若芽及び根の生育にあわせ、間歇的に行うことを特徴とする上記のニンニクスプラウトの水耕栽培方法である。
さらに具体的には、本発明は、栽培槽内での水又は養液水の水位調整並びに循環給水を、栽培カゴに載置したニンニク球根の底部を浸す水位となる水位センサー及び給水制御装置により行うニンニクスプラウトの水耕栽培方法である。
また本発明は別の態様として、網目状を有する栽培カゴ上に複数の筒を設けることにより、栽培カゴ上に載置したニンニク球根からニンニク若芽の栽培が暗室内での栽培条件となることを特徴とする上記したニンニクスプラウトの水耕栽培方法である。
さらにまた本発明は、別の態様として、上記した水耕栽培方法により得られた緑色野菜、或いは黄白色野菜としてのニンニクスプラウト自体である。
また本発明は、さらに別の態様として、上記したニンニクスプラウトの水耕栽培方法により得られた、ニンニク球根から分かれたニンニク若芽及び根を有するニンニク鱗茎(ニンニク球)すなわち、ニンニクのモヤシ自体である。
本発明は、さらに別の態様として、上記したニンニクスプラウトの水耕栽培方法に使用する網目状を有する栽培カゴであり、また水位センサー及び給水制御装置を設けた栽培槽でもある。
本発明により提供されるニンニクスプラウトは、土壌栽培により得たスプラウトと比較して柔らかく、味、香りがまろやかであり、且つ栄養価に高いものである。
また、土壌栽培と異なり水耕栽培であることから、得られたニンニクスプラウトは極めて清潔感に優れており、簡単な水洗いにより、緑黄野菜或いは黄白色野菜としてそのまま市場に提供することができ、その製造方法が簡便である利点を有している。
また、網目状を有する栽培カゴ上にニンニク球根を載置しただけでの水耕栽培であることから、若芽の発育状態を簡単に観察することができ、その発育状況に合わせてスプラウトの収穫ができる利点を有している。
さらに、網目状の栽培カゴ上に載置したニンニクの球根は、若芽の発育に併せて根が生育していくが、その根の生育は網目状の栽培カゴにより自由に自然のまま生育する。したがって、その根を含めた状態でのニンニク鱗茎(ニンニク球)、すなわちニンニクもやしを簡便に製造することができ、また水耕栽培であることから、その発育した根も清潔なものであり、根を含めて食することができる利点を有している。
また、本発明の水耕栽培方法は、栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部を単に水に浸すという簡便な方法であり、またその水位の調整を水位センサー等により簡便に行えることから、スプラウトの製造方法として従来の土壌栽培に比較して、極めて簡単であるという利点を有している。
また、本発明にあっては、ニンニク球根の栽培カゴ上への載置にあたって、栽培カゴ上にリング状の保護具を置き、その中にニンニク球根を載置することにより、ニンニク球根を構成する鱗茎の分離が認められた段階で小さな鱗茎が大きな鱗茎により押し上げられたり、はみ出したりするのを防止することも可能であり、かかるリング状物を使用することにより、より見え映えのよいニンニクスプラウトを製造することもできる利点を有している。
本発明は、上記したようにその基本は、ニンニク球根を、網目状を有する栽培カゴ上に載置して、その状態で栽培槽に収容し、栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部が水中に位置するよう水又は養液水を栽培槽内で水位調整並びに循環給水させ、栽培カゴ上でニンニク球根よりニンニク若芽(ニンニクの新芽)を生育させることを特徴とするニンニクスプラウトの水耕栽培方法である。
本発明において使用するニンニク球根とは、いわゆるニンニク地下茎であり、一般的に複数の鱗茎の固まりである地下茎をいう。このニンニク球根は、ニンニク栽培後に収穫される地下茎であって、市場で容易に入手することができる。
以下に、本発明方法によるニンニク球根からのニンニクスプラウトの水耕栽培方法を、実施例に基づく図面を参照にしながら、詳細に説明していく。
図1は、本発明の方法においてニンニクの球根を載置する栽培カゴの斜視図である。
図中1は、栽培カゴを示す。栽培カゴ1は、その大きさは一概に限定し得ないが、好ましくは略40〜60cm程度、さらに好ましくは45〜50cm程度四方の矩形を有し、その底に無数の網目10を有する0.5〜2cm程度の深さを有するカゴである。
当該栽培カゴ1は、その内部がいくつかの区画15により区画されており、その区画自体の大きさは、載置するニンニク球根を一つの区画内に載置することができる大きさであればよい。
なお、栽培カゴの材質は特に限定されないが、一般的な硬質プラスチックである樹脂で成型されている。
本発明はかかるニンニク球根の水耕栽培に使用する栽培カゴでもある。
本発明方法においては、上記した栽培カゴ1を栽培槽内にセットする。その概略断面状態を図2として示した。
図中50は栽培槽であり、栽培槽50自体は栽培カゴ1をセットし、栽培カゴ上に載置してニンニク球根からの根の発育を阻害しない程度の深さがあればよく、また栽培カゴがセット可能な底部に突起部51を設けており、この突起部51上を介して栽培カゴ1がセットされる。
また、栽培槽50には、外部からの水或いは養液水の導入、循環を確保する導入管52及び導出管53が設けられており、さらに栽培槽内における水位調整を可能とする水位センサー55が取り付けられている。
この水位センサー55は、栽培槽50内にセットした栽培カゴ1上に載置したニンニク球根20(図示せず)の底部が水に浸るように水位を調整するセンサーであり、外部の制御装置(図示せず)により、栽培槽50内での水又は養液水の水位を、栽培カゴに載置したニンニク球根の底部までを浸す水位となるようコントロールされる。
本発明は、このようなニンニクスプラウトの水耕栽培方法に使用する水位センサー及び給水制御装置を設けた栽培槽でもある。
なお、本発明方法にあっては、栽培槽50内にセットした栽培カゴ1上にニンニク球根20を載置することも可能であるが、逆に、栽培カゴ1上にニンニク球根20を載置して、載置した状態の栽培カゴ1を栽培槽50内にセットすることも可能であり、そのいずれの方法であってもよいことはいうまでもない。
本発明方法においては、栽培槽50内にセットした栽培カゴ1上に載置したニンニク球根20の底部が水又は養液水に浸るように栽培槽50内に水又は養液水を供給・循環させる。
本発明にあっては、このように、栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部を水又は養液水に浸した状態とすることで、ニンニク球根よりニンニクの若芽(新芽)が発芽し、それに伴ってニンニク球根の底部から根が生育してくる。
この状態になった段階で、ニンニク球根の底部への水或いは養液水の供給は連続して行う必要が無く、かえって間歇的に行う方がニンニクの若芽の生育に効果的であることが判明した。
したがって、栽培槽50に設けた水位センサー55は、単に栽培槽50内での水位の調整のみならず、外部の制御装置により、水或いは養液水の供給、循環をもコントロールする機能を発揮する。
この水の間歇供給は、本発明方法において極めて重要な要因となっている。
すなわち、本発明者らの検討によれば、水耕栽培としてニンニク球根を全部水に浸した状態で栽培すると、いったんニンニク若芽は発芽するものの、ニンニク球根のふやけることとなり、若芽のそれ以上の生育が困難なものであった。
これに対して本発明方法のように、ニンニクの球根の底部のみを水に浸して栽培した場合には、若芽の発芽と共に根の発育も良好なものであり、それに伴いニンニク球根を構成する鱗茎の分離が認められた。
この段階でニンニク球根の底部への水或いは養液水の供給を一旦中止し、その後は間歇的水或いは養液水を供給・循環してやれば、個々分離した鱗茎からのニンニク若芽の発育が急速に進行することが判明した。
また、鱗茎より発育した根は、栽培カゴ1に設けた網目を通して自由に生育し、生育した根から水分の吸収を行い、また、かかる給水が間歇的に行われることから、ニンニクの若芽(スプラウト)が栽培されることとなる。
この栽培カゴ1上にニンニク球根を載置した状態を模式的に図3に示した。
なお、栽培カゴ1にニンニク球根を載置するにあたっては、ニンニク球根の下から概略半分〜4分の3程度の高さを包囲するリング状物(図示せず)を設け、その中にニンニク球根を載置することにより、ニンニク球根を構成する鱗茎の分離が認められた段階で小さな鱗茎が大きな鱗茎により押し上げられたり、はみ出したりするのを防止することも可能であり、かかるリング状物を使用することにより、より見え映えのよいニンニクスプラウトを製造することもできる。
図中において、ニンニクの球根20は、栽培カゴ1上に載置され、載置された栽培カゴ1には網目状の孔10が多数設けられていることから、ニンニクの球根20から発芽し、生育した根は、この孔10と通して自由に生育し、水分を吸収し、葉の生育を促進させることとなる。
また、栽培カゴ1上でニンニク球根20が発芽し、若芽の発芽と共に根23の発育が行われ、それに伴いニンニク球根を構成する鱗茎22の分離が認められた状態を模式的に図4に示した。
図中、22はニンニクの球根から分離した鱗茎を示し、球根を構成する複数の鱗茎22からニンニクの若芽25が良好に生育していることが理解される。
以上記載の方法による、具体的なニンニクスプラウトの製造例を以下に記載する。
製造例1:
ニンニク栽培農家より購入した乾燥したニンニクの球根を栽培カゴに載置して、栽培槽にセットして、栽培栄養溶液(水)でニンニク球根の底部を浸す状態となるよう給水して5時間放置し、次いで2時間排水を行うことで、ニンニク球根の底部への栽培栄養液の供給を中止した。この操作を繰り返えすことにより、3日目程度から一部のニンニク球根からの若芽の発芽が認められた。
続いて、栽培溶液でニンニク球根の底部を浸す状態となるよう給水して6時間放置し、次いで2時間排水を行うことで、ニンニク球根の底部への栽培栄養液の供給を中止した。この操作を繰り返えすことにより、栽培カゴ上に載置した全てのニンニク球根から若芽の発芽が認められた。
この状態で水の供給・排水をそれぞれ3時間単位で繰り返した。この操作を繰り返すことにより急速に若芽の生育が開始され、それに伴ってニンニク球根が球根を構成する鱗茎ごとに分離されてきた。
発芽開始後略14日後にスプラウトの長さ25cm程度まで生育した。この段階で、スプラウトを収穫し、緑色野菜としてのニンニクスプラウトを得た。
上記したニンニクスプラウトの製造例は、通常の日照条件下におけるニンニクスプラウトの製造である。
ところでニンニクのスプラウトとして、暗室条件下で栽培したスプラウトは黄白色のスプラウトとして、味、香味が極めて良好であり、中華料理において貴重な食材として使用されている。
この黄白色のニンニクスプラウトは例えば特許文献2で開示される土壌栽培で栽培されており、その栽培方法は煩雑なものである。
本発明方法においてはこれに比較して、極めて簡単に黄白色のニンニクスプラウトを製造することが可能となる。
以下にその方法を説明する。
本発明が目的とする黄白色のニンニクスプラウトの製造方法は、上記した緑色ニンニクスプラウトの製造方法と基本的には同一である。
すなわち、栽培カゴ1、栽培槽50等は、上記で説明した栽培カゴ1、栽培槽50がそのまま使用される。
黄白色のニンニクスプラウトを製造する場合には、例えば、図3に示したように、栽培カゴ1上に載置したニンニク球根の一つ一つを例えば、図5に示した筒状体60でカバーし、ニンニク球根を暗室条件下で水耕栽培する状態とすればよい。
図5においては、これまでの実施例で説明してきたように、栽培カゴ1上に縦横5個ずつのニンニク球根を載置することが可能であったため、筒状体もそれぞれ縦横5列ずつ、合計25本の筒状体構成されている。
なお、61は、筒状体60を相互に固定するための板であり、当該板61に筒状体を嵌入させる開口部が設けられ、この開口部に筒状体60を嵌入させることにより個々個別の筒状体60がそれぞれ強固に一体化されることとなる。
このような、筒状体60は、例えば、栽培カゴ1の区画15上をカバーする径があればよく、またその長さも、目的とするニンニクスプラウトの長さをカバーするものであればよい。
なお、筒状体は、ニンニク球根をカバーした状態での他端62を、開放状態としておくのがよい。この開放状態により、黄白色のニンニクスプラウトの生育状態を監視することが可能であり、また、他端の解放孔を遮蔽シートによりカバーしてもよく、より効果的に暗室状態とすることが可能となる。
この筒状体を使用した黄白色ニンニクスプラウトの具体的製造例を以下に説明する。
製造例2:
ニンニク栽培農家より購入した乾燥したニンニクの球根を栽培カゴに載置して、栽培槽にセットして、さらにそこに筒状体をカバーして、栽培溶液でニンニク球根の底部を浸す状態となるよう給水して6時間放置し、次いで2時間排水を行うことで、ニンニク球根の底部への栽培栄養液の供給を中止した。この操作を繰り返えすことにより、5日目程度から一部のニンニク球根からの若芽の発芽が認められた。
続いて、栽培栄養液でニンニク球根の底部を浸す状態となるよう給水して6時間放置し、次いで2時間排水を行うことで、ニンニク球根の底部への栽培栄養液の供給を中止した。この操作を繰り返えすことにより、栽培カゴ上に載置した全てのニンニク球根から若芽の発芽が認められた。
この状態で水の供給・排水をそれぞれ4時間単位で繰り返した。この操作を繰り返すことにより急速に若芽の生育が開始され、それに伴ってニンニク球根が球根を構成する鱗茎ごとに分離されてきた。
発芽開始後略16日後にスプラウトの長さ25cm程度まで生育した。この段階で、スプラウトを収穫し、黄白色野菜としてのニンニクスプラウトを得た。
以上説明したように、本発明のニンニクスプラウトの水耕栽培方法により、従来の土壌栽培とは異なり、柔らかく、味も香味もまろやかなニンニクスプラウトを製造することができる。
また、水耕栽培であることから、土壌栽培と異なり極めて清潔的であり、また生育して根も土が付着することが無いことから、そのまま食することも可能となる。
さらに、若芽の生育状態が短いものを、ニンニクもやしとして収穫することも可能である。
このようなものとしては、例えば具体的には、上記した水耕栽培から得られた、
(1)緑色野菜としての長さ20〜25cm程度のニンニクスプラウト、
(2)黄白色野菜としての長さ20〜25cm程度のニンニクスプラウト、
(3)ニンニク球根から分かれたニンニク若芽及び根を有するニンニク鱗茎(ニンニクもやし)、
等である。
本発明により、土壌栽培により得たスプラウトと比較して柔らかく、味、香りがまろやかであり、且つ栄養価に高いニンニクスプラウトが提供される。
本発明方法により製造されるニンニクスプラウトは、緑黄野菜として或いは、黄白色野菜としてのニンニクスプラウト、さらにはニンニクもやしとしてのニンニクスプラウトを、それぞれ消費者の嗜好に合わせ、製造することが可能となる。
また、本発明方法は、土壌栽培と異なり水耕栽培であることから、得られたニンニクスプラウトは極めて清潔感に優れており、簡単な水洗いにより、緑黄野菜或いは黄白色野菜としてそのまま市場に提供することができ、その製造方法が簡便である利点を有しており、その産業上の利用性は多大なものである。
本発明の製造方法で使用する栽培カゴの斜視図である 本発明の製造方法で使用する栽培槽の概略断面図である。 本発明の製造方法における栽培カゴ上にニンニクの球根を載置した状態を示した概略図である。 本発明の製造方法により栽培カゴ上でニンニク球根の鱗茎から発芽した状態を模式的に示す一部概略図である。 本発明の製造方法で使用する暗室状態とする筒状体の斜視図である。
符号の説明
1 栽培カゴ
10 網目
15 区画
20 ニンニク球根
22 ニンニクの鱗茎
23 ニンニクの若芽
50 栽培槽
51 突起部
52 導入管
53 導出管
55 水位センサー
60 筒状体

Claims (5)

  1. ニンニク球根を、網目状を有する栽培カゴ上に載置して、その状態で栽培槽に収容し、栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部が水中に位置するように水又は養液水を栽培槽内で水位調整並びに循環給水させ、栽培カゴ上でニンニク球根よりニンニク若芽を生育させることを特徴とするニンニクスプラウトの水耕栽培方法。
  2. ニンニク球根の栽培カゴ上への載置にあたって、栽培カゴ上にリング状の保護具を置き、該リング状保護具内部にニンニク球根を載置することを特徴とする請求項1に記載のニンニクスプラウトの水耕栽培方法。
  3. ニンニク球根の底部が水中に位置する栽培槽での水又は養液水の循環給水を、ニンニク球根からの出芽、若芽及び根の生育にあわせ、間歇的に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のニンニクスプラウトの水耕栽培方法。
  4. 栽培槽内での水又は養液水の水位調整並びに循環給水を、栽培カゴに載置したニンニク球根の底部までを浸す水位となる水位センサー及び給水制御装置により行う請求項1、2又は3に記載のニンニクスプラウトの水耕栽培方法。
  5. 網目状を有する栽培カゴ上に複数の筒を設けることにより、栽培カゴ上に載置したニンニク球根からニンニク若芽の栽培が暗室内での栽培条件となることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のニンニクスプラウトの水耕栽培方法。
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