以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
図1は遊技装置1の外観を示す斜視図である。遊技装置1は床面に設置可能な箱形本体の上半部に設けた遊技部2と、下半部に設けた操作部3とから構成される。遊技部2は利用者と対面する正面側にガラス製又は樹脂製の透明カバー4が設けられている。透明カバー4の内側には外部から視認可能な遊技空間5と搬送路6が形成されている。遊技空間5の底部は多数のボール状ガム等の球状小物品7を滞留させる物品滞留手段8として構成される。物品滞留手段8の搬送路6に臨む位置には、滞留した小物品7を搬送路6に向けて供給する供給部9が設けられる。
搬送路6は鉛直軸線に沿って上下方向に延設されている。該搬送路6には小物品7を搬送する手動駆動式の搬送手段10が設けられている。図2は搬送手段10が最下位置まで下降した状態を示しており、図3は搬送手段10が最上位置まで上昇した状態を示している。搬送手段10は、図2の最下位置を始点位置P1とし、図3の最上位置を終点位置P2としてこれら始点位置P1と終点位置P2との間を往復移動するように構成される。そして搬送手段10が始点位置P1に位置するときには、物品滞留手段8と搬送路6との間の供給部9は開放され、物品滞留手段8から複数の小物品が搬送手段10に流れ込むことで、搬送手段10に対する小物品7の供給が行われる。そして搬送手段10を上方に移動させ、図3に示す終点位置P2まで移動すると、搬送手段10はその内側に収容した小物品7を遊技空間5に向けて供給する。このとき、物品滞留手段8と搬送路6との間の供給部9は、搬送手段10と一体的に上下移動する閉鎖板32によって閉鎖され、物品滞留手段8から搬送路6への小物品7の流出は防止される。
遊技空間5の上部には、搬送手段10によって終点位置P2まで搬送されてきた小物品7を搬送手段10から受け取り、遊技路12に対して小物品7を供給する受取手段11が設けられる。遊技路12は、上段に設けた第1遊技路13と、下段に設けた第2遊技路14とに区分けされている。上段の第1遊技路13は、先端を下降傾斜させた複数の樋状走行路15を有し、第2遊技路14に対する小物品7の投入位置を分散させるように構成されている。受取手段10から第1遊技路13に導かれる小物品7は自重によって走行路15を転がった後、第2遊技路14の上端開口から第2遊技路14内に導かれる。
第2遊技路14は正面壁、背面壁及び左右側壁が透明板によって構成され、上端及び下端に小物品7が通過する開口16,17が形成されている。また第2遊技路14の内部には、複数のピン18が規則的に又は不規則に配置されている。隣接するピン18,18間の距離は小物品7の直径よりも大きくすることが必要である。したがって、上端開口16から第2遊技路14の内部に導かれる小物品7は、自重により下方に移動していくと共に、移動中はピン18への衝突を繰り返し、その都度、進路を変化させていく。そして最終的に下端開口17から物品滞留手段8に向けて落下する。第2遊技路14の周壁は透明板であるので、このような小物品7の移動は遊技装置1の外部から視認可能である。
第2遊技路14の下端開口17と物品滞留手段8との間には、利用者が操作可能な小物品捕捉用のアーム19が設けられている。第2遊技路14の下端開口17から落下する小物品7がアーム19上に落下すると、その小物品7はアーム19によって捕捉されて回収される。これに対し、アーム19に捕捉されなかった小物品7は、再び物品滞留手段8に戻される。
操作部3は、コインを投入するコイン投入部20と、搬送手段10の往復移動を操作するための回動ハンドル23と、獲得した景品を取り出す物品取出部24と、アーム19を操作して遊技を行うための遊技手段25とを備えている。コイン投入部20はコインを1枚毎に投入可能な投入口21と、所定枚数のコイン投入毎に1回転の回転操作が可能となる回転ノブ22とを備えている。遊技手段25は物品滞留手段8の前方側に隣接して設けられたハウジング26を備えると共に、そのハウジング26の上面で左右方向に延びて形成されたスリット27に装着された操作体28を備えている。操作体28はスリット27に沿って左右方向に摺動自在に構成されている。利用者が該操作体28を掴んだ状態で左右方向に移動操作することにより、アーム19が第2遊技路14の下端開口17と物品滞留手段8との間を左右方向に移動し、下端開口17の任意の位置から落下する小物品を捕捉できるようになっている。
図4はコイン投入前の遊技装置1の初期状態を示す図である。この状態では、後述するロック手段59が機能しており、搬送手段10は始点位置P1と終点位置P2の中間位置P3に位置し、該中間位置P3よりも下方に搬送手段10が下降することが規制される。図4に示す状態において投入口21にコインを投入して、回転ノブ22を1回転すると、ロック手段59によるロック状態が解除され、搬送手段10が自重により搬送路6を下降して始点位置P1に復帰する(図2参照)。そして搬送手段10に複数の小物品7が収容されたことを確認した後、回動ハンドル23を所定方向に回動操作すると、搬送手段10は小物品7を収容したままで搬送路6に沿って上昇移動していき、終点位置P2に達すると、小物品7を受取手段11に供給する(図3参照)。受取手段11に供給される複数の小物品7の大部分は遊技路12に導かれ、第1遊技路13及び第2遊技路14を自重によって移動していく。利用者は遊技路12内の小物品7の移動を見ながら、操作体28を操作することにより、アーム19で小物品7を捕捉する遊技を楽しむことができるようになっている。物品取出部24は、このような遊技結果に応じて利用者に景品を提供する物品提供手段29として設けられている。本実施形態では、アーム19によって捕捉された小物品7を物品取出部24に供給し、これを景品として利用者に提供する場合を例示するが、必ずしもこのような態様には限られず、アーム19によって捕捉された小物品7の数に応じて小物品7とは異なる物品を景品として利用者に提供するようにしてもよい。
図5及び図6は搬送手段10の詳細構成を示す図である。搬送手段10は、小物品7を収容して搬送する搬送部30と、該搬送部30の背面側に設けられたスライド板31と、搬送部30の下部から下方に向けて延設した閉鎖板32とを備えている。搬送部30は、小物品7を収容する収容空間が仕切壁33によって2つに区成されており、少なくとも1個の小物品7を収容して搬送可能な第1搬送部34と、前記第1搬送部34よりも大容量で複数の小物品7を収容して搬送可能な第2搬送部35とを有している。これら第1及び第2搬送部34,35はいずれも遊技空間5に臨む面が開放された構成である。そして搬送手段10が始点位置P1にあるときには物品滞留手段8からそれぞれの搬送部34,35に小物品7が受給され、終点位置P2にあるときには第1搬送部34及び第2搬送部35に収容された小物品7が受取手段11に提供される。また第1搬送部34及び第2搬送部35には小物品7が残留しないように、各搬送部34,35の底部は遊技空間5に向かって下降傾斜している。
スライド板31は、図6に示す如く、その背面側に転動ボール36を備えたスライダ37が設けられている。一方、搬送路6には上下方向にガイドレール38が延設されている。該ガイドレール38に対してスライド板31のスライダ37を摺動自在に装着することにより、搬送手段10はガイドレール38に沿って上下方向に往復移動するようになっている。また該搬送手段10の往復移動を駆動するため、スライド板31の上部前面側に搬送手段10を吊下支持する、ロープ、紐、ワイヤ等の柔軟な線材39の一端が取り付けられている。
閉鎖板32は搬送路6において遊技空間5に接近した位置に設けられている。搬送手段10が上下方向に移動すると、これと一体的に閉鎖板32も上下移動する。この閉鎖板32の上下方向長さLは、搬送手段10が終点位置P2にあるとき、該閉鎖板32が少なくとも物品滞留手段8と搬送路6との間の供給部9を閉鎖できる程度の長さである。したがって、搬送手段10が始点位置P1と終点位置P2の間を移動する際には、閉鎖板32が供給部9を閉鎖し、物品滞留手段8から搬送路6への小物品7の移動が規制される。搬送手段10が始点位置P1にあるときには閉鎖板32は供給部9を開放し、物品滞留手段8から搬送部30への小物品7の受給が行われる。
図7は搬送手段10が始点位置P1にあるときの状態を示す図である。上述の如く、搬送手段10は始点位置P1にあるとき、物品滞留手段8と搬送路6の間の供給部9は開放され、物品滞留手段8から搬送部30への小物品7の受給が行われる。このとき第1搬送部34には少なくとも1個の小物品7が供給され、第2搬送部35には第1搬送部34よりも多くの小物品7が供給される。供給部9の上方において遊技空間5と搬送路6の間には、透明の仕切板40が設けられている。そして仕切板40の下端部41は、物品滞留手段8に向かって若干傾斜させている。仕切板40の下端部41を図例の如く傾斜させた構成によれば、搬送手段10を始点位置P1から上昇させるときに、搬送部30に収容する小物品7と、物品滞留手段8に残留する小物品7との縁切りをスムーズに行うことができ、供給部9に小物品7が詰まることを防止できる。
図8は搬送手段10を始点位置P1から若干上昇させた状態を示す図である。搬送手段10を始点位置P1から上昇させると、図示の如く仕切板40が搬送部30の開放された側面を覆うので搬送部30から小物品7が落下することはない。そのため搬送手段10は搬送部30において小物品7を収容した状態で上昇する。そして搬送手段10の上昇に伴い、閉鎖板32が物品滞留手段8の供給部9を閉鎖する。そのため搬送手段10が始点位置P1から離れたときには、閉鎖板32が物品滞留手段8から搬送路6に向かう小物品7の移動を禁止する。
図9は搬送手段10が終点位置P2にあるときの状態を示す図である。受取手段11は、搬送手段10の第1搬送部34から小物品7を受け取る第1受取部42と、第2搬送部35から小物品7を受け取る第2受取部43とが区成された構成である。第1受取部42は、第1搬送部34から受け取った小物品7を連通路46に導き、第1遊技路13の背面壁44に設けた凹部45を介して背面壁44の裏面側に導入する。そして遊技路12を経由することなく、遊技路12の背面側に設けた別のバイパス路を経由させて小物品7を物品取出部24に移動させるように構成している。
図10は遊技路12の背面側を示し、バイパス路48の構成を示す図である。第1搬送部34から第1受取部42に供給された小物品7は連通路46を介して遊技路12の背面側のバイパス路48に導かれる。背面壁44の凹部45から遊技路12の背面側に落下する小物品7は傾斜した第1バイパス路48aに導かれる。そして小物品7は第1バイパス路48aの傾斜面を転がり、上下方向に延設した第2バイパス路48bに導かれる。そして第2バイパス路48bに沿って下方に移動した後、小物品7は第3バイパス路48cを経て物品取出部24の装置内側に設けられたトレー状の物品収容部24aに導かれる。尚、第3バイパス路48cは物品滞留手段8の下方に設けられる。このようにバイパス路48を通る小物品7は、物品提供手段29を構成する物品収容部24aに導かれ、物品取出部24から必ず取り出すことができるようになる。そのため、搬送手段10の第1搬送部34に収容されて搬送される小物品7は、利用者が必ず入手することができる小物品となる。それ故に、搬送手段10が始点位置P1において物品滞留手段8から小物品7を供給されたとき、第1搬送部34に供給された小物品7はその時点で利用者への提供が確定した購入物品となる。
図9に戻り、第2受取部43は第2搬送部35から受け取った小物品7を連通路47に導く。連通路47は第1遊技路13の最上段の走行路15に連通しており、第2搬送部35において搬送されてきた小物品7を遊技物品として遊技路12に供給する。搬送手段10によって搬送される小物品7の大部分は、第2搬送部35で搬送され、第2受取部43及び連通路47を介して遊技路12に導かれる。そのため、搬送手段10が始点位置P1において物品滞留手段8から小物品7を供給されたとき、第2搬送部35に供給された小物品7はその時点で遊技に利用されることが確定した遊技物品となる。そして遊技路12に導かれた小物品7はそれぞれ異なる経路を辿りながら移動していく。そして小物品7はそれぞれ異なるタイミングで第2遊技路14の下端開口17から落下するので、アーム19をタイミング良く左右方向に移動させれば、多くの小物品7を捕捉できる。
バイパス路48は上述の如く遊技路12の背面側に設けられており、バイパス路48を移動する購入物品は遊技装置1の外部から視認できないようになっている。そのため、利用者は遊技路12に導かれた遊技物品の移動だけを注視することができ、遊技に集中できるようになっている。
ところで、利用者が遊技路12における小物品7の移動を目視しながら、操作体28の操作を行ったとしても、アーム19で小物品7を全く捕捉できない場合がある。その場合、利用者が遊技によって捕捉した小物品7の数は0個である。しかし、仮に利用者が遊技において小物品7を捕捉することができなかったとしても、上記バイパス路48を経由して物品収容部24aに導かれる小物品7は必ず利用者に提供される。そのため利用者は少なくとも1個の小物品は景品として入手できるようになっている。
図11は遊技装置1の内部に設けた手動式の駆動手段50を示す図である。駆動手段50は、上述の回転ハンドル23と、該回転ハンドル23の回転操作に伴って回転する回転軸51と、該回転軸51に装着され供回りする巻上リール52と、滑車53,54と、鉛直方向に設けたガイド部材55に沿って上下にスライド自在な遊動滑車56と、滑車57,58とを備えている。搬送手段10の上部に連結されて搬送手段10を吊下支持する線材39は、滑車58,57を介して遊技装置1の内部を下方に導かれ、遊動滑車56を介して更に上方に折り返された後、滑車54,53を介して巻上リール52に巻回されている。したがって、回転ハンドル23を図中R1方向に回転することにより、巻上リール52は線材39を巻き取っていき、搬送手段10は始点位置P1から終点位置P2に向かって移動していく。そして搬送手段10が終点位置P2に達するとそれ以上の巻取操作は規制され、回転ハンドル23のR1方向への回転操作は禁止される。搬送手段10が終点位置P2にあるとき、利用者が回転ハンドル23から手を離すと、搬送手段10は自重によって搬送路6を下降していく。このとき巻上リール52は線材39の張力を受けて、巻取方向とは逆方向に回転し、線材39を滑車53に導出させていく。またこのとき回転ハンドル23は巻上リール53の逆転と共に、R1方向とは反対の方向に回転する。遊動滑車56は搬送手段10の往動時或いは復動時の移動速度を低下させるための制動手段として設けられている。遊動滑車56は、巻回された線材39の加速度が大きくなるとガイド部材55に沿って上昇移動し、小さくなると自重によってガイド部材55の下部に移動する。このような遊動滑車56の上下動V1により、搬送手段10の急激な移動や、回転ハンドル23の急激な回転が抑制されている。また、復動中の搬送手段10が急停止したとき、回転軸51の慣性により線材39が弛むが、遊動滑車56が自重で下降することにより線材39のテンションを維持する。
搬送路6の下部には、搬送手段10が始点位置P1から終点位置P2まで往動した後、搬送手段10が始点位置P1まで戻らないようにするためのロック手段59が設けられている。該ロック手段59は閉鎖板32の下端に係止することにより、搬送手段10が始点位置P1と終点位置P2の中間位置P3(図4参照)よりも下方に下降することを規制する。
ロック手段59に対向する位置には、ロック手段59による閉鎖板32の係止状態を解除する解除手段60が配置されている。解除手段60は、コイン投入部20の回転ノブ22に連結されたリンク機構65と、ロック手段59に対向する位置で水平に設置されたガイドステージ66と、該ガイドステージ66に沿って水平なH1方向にスライド自在なスライダ67と、該スライダ67の先端に固着されたロッド68から成る。回転ノブ22がR2方向に1回転することにより、解除手段60はリンク機構65を介してロッド68をロック手段59に向けて進退させ、ロック手段59による閉鎖板32の係止状態を解除する。
図12乃至図14はコイン投入部20の背面側から見たロック手段59及び解除手段60を示しており、解除手段60による解除動作を示す図である。ロック手段59は、係止部材61と、コイルバネ等の付勢手段62と、係止部材61の周縁を支持する支持部材63から成る。付勢手段62は係止部材61を閉鎖板32の移動経路に向かって付勢している。図12はロック手段59による閉鎖板32の係止状態を示しており、付勢手段62によって付勢された係止部材61が閉鎖板32の移動経路内に進入して閉鎖板32の下端32aを係止している。一方、コイン投入部20の背面側には、回転ノブ22と同軸の爪車64aと、該爪車64aの周縁の凹部と噛み合う爪部材64bと、該爪部材64bの先端を爪車64aに向けて付勢する板バネ等の付勢手段64cとから成るラチェット機構64が設けられている。ラチェット機構64は回転ノブ22がR2方向の一方向のみに回転することを許容し、その逆方向への回転を規制する。リンク機構65は、回転ノブ22と供回りする第1リンク部材65aと、一端が第1リンク部材65aの先端に枢着されると共に他端がスライダ67から突出する係合部67aに枢着された第2リンク部材65bを備えて構成される。そして回転ノブ22のR2方向への回転に伴い、リンク機構65はスライダ67をロック手段59に向けて進行させていく。これに伴いスライダ67に取り付けたロッド68は先端68aを係止部材61に接近させていく。そして回転ノブ22が更にR2方向へ回転すると、ロッド68の先端68aは係止部材61の先端に当接して、付勢手段62の付勢力に抗して係止部材61を押し込み、閉鎖板32の移動経路内から退行させる。
図13は解除手段60がロック手段59による閉鎖板32の係止状態を解除した直後の状態を示している。係止部材61が閉鎖板32の移動経路内から退行すると、閉鎖板32は下端32aが係止部材61に係止された状態から解放され、搬送手段10を含む自重によって下方に移動する。このとき、ロッド68は係止部材61を押し込んだ状態にあり、閉鎖板32の移動経路内にはロッド68の先端が位置するため、閉鎖板32の下端32aは一時的にロッド68に支持される。そして回転ノブ22を更にR2方向へ回転させると、リンク機構65がスライダ67を引き戻す。これに伴いロッド68は閉鎖板32の移動経路から退行する。ロッド68が閉鎖板32の移動経路から退くことにより、閉鎖板32は更に下降し、図14に示す如く、閉鎖板32の下端32aが遊技装置1の底部1bまで下降した状態となる。このとき搬送手段10は始点位置P1に復帰する。このような解除手段60による解除動作は、回転ノブ22をR2方向に1回転させることにより行われる。
図14の状態で、上述の回転ハンドル23を回転操作すれば、搬送手段10は始点位置P1から終点位置P2に向かって上昇し、それに伴って閉鎖板32も上昇する。そして閉鎖板32の下端32aがロック手段59の位置を超えて上昇すると、係止部材61が再び閉鎖板32の移動経路内に進入する。その後、閉鎖板32が下降するときには、閉鎖板32の下方に進出した係止部材61によって下端32aが再び係止され、ロック状態となる。
図15はコイン投入部20の概念的側面図であり、コイン投入毎に回転ノブ22を1回転だけ操作可能とする構成の一例を示す。遊技装置1の正面壁1aと爪車64aの間には、回転ノブ22と同軸で、かつ爪車64aと一体的に回転する回転盤70が設けられる。該回転盤70の周縁部には、周方向に沿って凹部71と突部72が隣接して設けられる。また回転盤70の周縁部には盤面に向けて付勢された付勢桿73が設けられる。図例において実線で示す付勢桿73は凹部71に嵌入した状態S1を示している。付勢桿73には図示を省略する機械的な連動機構によってコイン投入に連動して一時的に付勢力に抗する駆動力が作用するように構成されている。この駆動力は凹部71に嵌入した付勢桿73を凹部71から引き上げ、突部72を乗り越えた位置に移動させる。したがって、コイン投入前において付勢桿73は凹部71に嵌入した状態S1にあり、凹部71の壁部と付勢桿73との接触によって回転ノブ22がR2方向に回転することを規制する。またコイン投入後において付勢桿73は突部72を乗り越えた状態S2となり、回転ノブ22がR2方向に回転する場合に付勢桿73と干渉する障壁等は存在しない状態となる。そのため、コイン投入後の状態S2においては回転ノブ22をR2方向に1回転だけ操作することができる。そして回転ノブ22が1回転すると、付勢桿73は付勢力によって再び凹部71に嵌入した状態S1となる。このようにコイン投入毎に回転ノブ22を1回転だけ操作可能としているので、上述の解除手段60はコイン投入毎に1回だけ手動で操作可能とされ、その操作毎にロック手段59の係止を解除する。そして遊技装置1は、コイン投入毎に1回の遊技が行えるように構成される。
図16乃至図20は遊技手段25の内部構造を示す図である。遊技手段25は操作体28を左右方向に摺動させることにより、アーム19を左右方向に往復移動させる往復移動機構80を備えている。この往復移動機構80は、ハウジング26と、操作体28と、ハウジング26の内側に設けられた摺動体81と、摺動体81に従動する従動体83とから構成されている。
ハウジング26は、平板壁26aと、該平板壁26aの左右両端に位置する端部壁26b,26cと、遊技装置1の正面側に位置する正面壁26dと、ハウジング内部と物品滞留手段8とを区成する区成壁26eを備えている。ハウジング26の上部に位置する平板壁26aには、上述のように端部壁26b,26cの間で左右方向に延びるスリット27が設けられている。ハウジング26の正面壁26dの内側には左右方向に延びるガイドレール84が設けられる。そしてこのガイドレール84に、左右方向に摺動自在な平板状の摺動体81が設けられている。摺動体81の上部は平板壁26aのスリット27に挿通されており、ハウジング内部から外側に突出する。そして摺動体81はスリット27に沿って左右方向に摺動自在な構成である。操作体28はスリット27を介してハウジング26の外側に突出した摺動体81の上部に取り付けられている。
ハウジング26の内側において摺動体81には従動板82が取り付けられており、該従動板82は摺動体81と一体的に左右方向に移動する。従動板82には遊技の際に小物品7を捕捉するアーム19の基端部が固着されており、アーム19も摺動体81と一体的に左右方向に移動する。そのため、従動板82及びアーム19はハウジング26の内側で摺動体81に取り付けられ、摺動体81に従動する従動体83を構成する。
ハウジング26の区成壁26eには、部壁26b,26cの間で左右方向に延びるスリット75が設けられている。このスリット75にはアーム19が挿通されており、摺動体81に従動するアーム19が該スリット75に沿って左右方向に移動する。そしてスリット75の一端部にはアーム19が捕捉した小物品7をハウジング26の内側に導くための開口76が形成されている。遊技中にアーム19が小物品7を捕捉した場合、操作体28を介してアーム19を開口76の位置に移動させることにより、捕捉した小物品7をハウジング内部に落下させることができる。そしてハウジング内部に落下した小物品7は物品収容部24a(図10参照)に導かれる。
上記の往復移動機構80は、スリット27を介してゴミ等の異物がハウジング26の内部に侵入する可能性がある。そこで本実施形態の遊技装置1は、スリット27からの異物侵入を防ぐため、ハウジング26の内側からスリット27を全長にわたり被覆する可撓性のテープ状被覆材85を備えている。このテープ状被覆材85は摺動体81に固定されており、摺動体81の移動に同行して該テープ状被覆材85の被覆面85aを平板壁26aの内側面に沿って摺動するように構成されている。図17に示す如く、平板壁26aの内側にはテープ状被覆材85の被覆面85aをスリット27に近接させた状態で支持する支持板77が設けられている。テープ状被覆材85は該支持板77によって支持された状態でスリット27に沿って摺動する。尚、支持板77はスリット27の全長にわたって設けておくことが好ましい。
図18乃至図19はそれぞれ遊技手段25を正面側からみた断面図である。そして図18は摺動体81をスリット27のほぼ中央に位置させた状態を、図19は摺動体81をスリット27の端部27bに位置させた状態を、図20は摺動体81をスリット27の端部27aに位置させた状態を示している。テープ状被覆材85は、摺動体81から一方向に延びる第1延長部86を有すると共に、摺動体81から他方向に延びる第2延長部88を有している。第1延長部86は、図19に示す如く摺動体81をスリット27の端部27bに位置させた状態で、スリット27の全長を超えて延びる長さを有している。この状態で、第1延長部86の延長端は、ハウジング26の端部壁26bの内側に当接すると共に、ほぼU形に折返された第1ガイド部87を構成する。そして摺動体81をスリット27の端部27aに向けて移動させると、図18に示す状態を経て図20に示す状態となる。このとき摺動体81の移動に伴って、第1延長部86は端部壁26bとの当接状態を維持しながら、第1ガイド部87に沿ってU形に折返されていく。そしてその折返し長さを次第に大きくしていく。
また第2延長部88は、図20に示す如く摺動体81をスリット27の端部27aに位置させた状態で、スリット27の全長を超えて延びる長さを有している。この状態で、第2延長部88の延長端は、ハウジング26の端部壁26cの内側に当接すると共に、ほぼU形に折返された第2ガイド部89を構成する。そして摺動体81をスリット27の端部27bに向けて移動させると、図18に示す状態を経て図19に示す状態となる。このとき摺動体81の移動に伴って、第2延長部88は端部壁26cとの当接状態を維持しながら、第2ガイド部88に沿ってU形に折返されていく。そしてその折返し長さを次第に大きくしていく。
したがって、摺動体81をスリット27の両端部27a,27bの間で移動させた場合であっても、テープ状被覆材85は第1ガイド部87及び第2ガイド部89によってハウジング内部でスムーズに折り返されるように案内される。そしてテープ状被覆材85は平板壁26aの内側から常にスリット27の全域を被覆するので、スリット27からのハウジング内への異物の侵入を防止する。そのため往復移動機構80にゴミ等が詰まってスムーズな摺動操作が行えなくなることを防止できる。特に小物品7がボール状ガム等の食品である場合に、捕捉した小物品7にゴミ等が付着することを防止できるので、食品衛生上好ましい。
また図18乃至図20に示す如く、平板壁26aの内側には、スリット27の端部27aの近傍位置に第1ブラシ91が設けられており、スリット27の端部27bの近傍位置に第2ブラシ92が設けられている。第1ブラシ91は、テープ状被覆材85の第1延長部86がほぼU形に折返される第1ガイド部87の近傍で、該第1延長部86の被覆面85aに当接している。また第2ブラシ92は、テープ状被覆材85の第2延長部88がほぼU形に折返される第2ガイド部89の近傍で、該第2延長部88の被覆面85aに当接している。かかる構成によれば、摺動体81をスリット27に沿って摺動させると、これに伴って第1延長部86及び第2延長部88の被覆面85はそれぞれ第1ブラシ91及び第2ブラシ92に当接した状態で移動する。そのため摺動体81が摺動する都度、テープ状被覆材85の被覆面85aがブラシ91,92によって清掃される。即ち、スリット27を介してテープ状被覆材85の被覆面85aに付着したゴミ等の異物は、それらブラシ91,92によって掻き取られる。それ故、往復移動機構80にゴミ等が付着することはなく、常にスムーズな往復移動が行える。またU形に折返された第1ガイド部87又は第2ガイド部89は常にクリーンな状態に保たれるので、ハウジング26の内部に導かれる捕捉した小物品7が第1ガイド部87又は第2ガイド部89に接触する場合であっても、小物品7にゴミ等の異物が付着することを防止できる。
次に図21は遊技路12を取り外した状態を遊技装置1の正面から見た図である。また図22は遊技路12の背面側の構成を示す断面図である。遊技装置1にコイン投入をして遊技が行われると、物品滞留手段8に滞留する小物品7の数は減少する。そのため遊技装置1は、遊技路12の背面側に多数の小物品7をストックするストッカ95を設けている。このストッカ95は、遊技が行われることによって物品滞留手段8に滞留する小物品7が減少すると、逐次、物品滞留手段8に対して小物品7を補充するように構成される。またストッカ95は、その内部にストックする小物品7を遊技装置1の外部から視認可能とされ、利用者に対して小物品の獲得意欲を掻き立てるように構成されている。より具体的に説明すると、ストッカ95は、遊技空間5の背面壁96と、該背面壁96と遊技路12の間に設けた2枚の透明板97,98から成る。透明板97は遊技路12の背面側で遊技路12に近接する位置に設けられ、透明板98は透明板97と背面壁96の中央に設けられる。そのためストッカ95は透明板97と98で区成された第1ストック空間95aと、透明板98と背面壁96で区成された第2ストック空間95bとを備えている。第1ストック空間95aは遊技装置1の正面側に位置し、第2ストック空間95bは遊技装置1の背面側に位置している。透明板97,98の下端は、物品滞留手段8の底部8aよりも所定高さだけ上方位置に設けられており、物品滞留手段8に山積した状態で滞留する小物品7の山積高さを規定している。即ち、ストッカ95の下端部は物品滞留手段8に連通しており、その下端部から物品滞留手段8に小物品7を供給する。
ストッカ95の正面側に設けられた第1ストック空間95aには、下向きに傾斜する複数の傾斜板99a,99b,99cが第1ストック空間95aを横断するように設けられている。これら傾斜板99a,99b,99cは、第1ストック空間95aの上部から下部にかけて上下に間隔をあけて配置されており、ストッカ95の相対向する左右の壁部から交互に突出する。したがって、第1ストッカ空間95aには上部から下部に向かって小物品7のジグザグ路が形成される。このジグザグ路は、第1ストッカ空間95aに山積される小物品の荷重を分散させ、物品滞留手段8に滞留する小物品7に過度の荷重がかかることを防止する。仮にジグザグ路が無い場合を想定すると、ストッカ95に山積する多数の小物品の全荷重が物品滞留手段8の小物品にかかり、物品滞留手段8において小物品が移動しなくなるという問題が生じる。複数の傾斜板99a,99b,99cによるジグザグ路はそのような問題を解消し、物品滞留手段8における小物品のスムーズ移動を確保するのである。尚、図例では第2ストック空間95bに傾斜板を設けていないが、第1ストック空間95aと同様にそれらを設けてもよい。
また中央の透明板98には複数の連通窓100が異なる高さ位置に設けられている。これら連通窓100は、第1ストック空間95aから第2ストック空間95bへの小物品7の移動、或いは第2ストック空間95bから第1ストック空間95aへの小物品7の移動を許容する。
したがって、ストッカ95の上端の投入口101より多数の小物品7を投入すると、ストッカ95の下端部を介して物品滞留手段8に小物品7が供給される。そして物品滞留手段8に十分な小物品7が供給されると、その後は第1ストック空間95a及び第2ストック空間95bの各々に多数の小物品7が山積していく。このとき、連通窓100は一方のストック空間における山積量が多く、他方が少ない場合に小物品を移動させる。そのため1ストック空間95aと第2ストック空間95bは大きな偏りのない状態で小物品をストックする。そしてストッカ95の上端付近まで小物品7を山積しておけば、頻繁に小物品を補充する必要がなくなる。また遊技装置1の外部からは多くの小物品がストックされていることを視認できるので、利用者の獲得意欲を掻き立てる。そして、コインが投入され、遊技が行われることにより、物品滞留手段8の小物品が減少していくと、上記構成のストッカ95から物品滞留手段8に小物品が供給されるので、物品滞留手段8には常に十分な量の小物品を滞留させておくことができる。