JP4250687B2 - ポリウレタン樹脂製造用触媒及びポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂製造用触媒及びポリウレタン樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。本発明の触媒組成物は、脂肪族イソシアネートを用いた場合、耐候性、塗膜性能に優れたポリウレタン樹脂を製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の存在下に反応させて製造されている。常温でも硬化反応が進行し、架橋構造を有する樹脂を形成可能であり、基材との密着性、可とう性、耐候性に優れるため、自動車、建築、家電、重防食、プラスチック塗料、接着剤等の用途に広く使用されている。脂肪族イソシアナートは光や熱により塗膜が黄変しにくいため耐候性の必要な各種上塗り用塗料として使用されるが、TDI、MDIに代表される芳香族イソシアナートに比べて、ポリオールとの反応速度が非常に遅いため、より高活性な触媒が必要とされている。
【0003】
ポリウレタン製造用触媒としては、金属触媒や三級アミン触媒が広く使用されているが、脂肪族イソシアナート用触媒としては、その活性の高さから、有機スズ触媒が用いられ、主にジブチル錫ジラウレート(DBTDL)あるいはスタナスオクトエートが多用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、最近では、新しい触媒として遷移金属錯体系触媒が検討され、なかでも、金属アセチルアセトナート系触媒に関する研究が盛んに行われている(例えば、非特許文献2、特許文献1参照)。
【0005】
【非特許文献1】
横山哲夫著「ポリウレタンの構造・物性と高機能化及び応用展開」技術情報協会出版、1998年発行、第325頁
【非特許文献2】
R.A.Ligabue著、「J.Mol.Catal.A.Chem.」、2000年、第157巻、第73頁
【特許文献1】
特開2003−82052号公報(第5頁、表−1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在使用されている前記有機スズ触媒には、多くの問題点が指摘されている。
例えば、近年有機スズ触媒の毒性問題が指摘され、特にDBTDL中に不純物として含まれるトリブチルスズは環境ホルモンとして人体への有害性が問題となっている。既に、欧州を中心としてポリウレタン製造における有機スズ触媒の使用を規制する動きが出てきているため、有機スズ触媒の代替触媒が強く要望されている。
【0007】
また、鉄アセチルアセトナートあるいは銅アセチルアセトナートに代表される金属アセチルアセトナート系触媒は、触媒活性が低く、有機スズ触媒を用いた時の硬化速度を達成するのは難しい。
【0008】
また、金属アセチルアセトナート系触媒とトリエチレンジアミンを併用することで、金属アセチルアセトナート単独使用に比べて触媒活性が著しく向上するものの、金属アセチルアセトナートは価格が高いため、安価で毒性の少ない触媒が求められている。
【0009】
以上述べたように、脂肪族イソシアナートを用いたポリウレタン樹脂の製造法において、塗膜の高速硬化と塗膜物性を改善することのでき、かつ有機スズ触媒を代替できる安価で毒性の少ない触媒が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記の事情に鑑み、脂肪族イソシアナートの硬化速度を改善するポリウレタン反応触媒について鋭意検討した結果、特定の構造をもつ四級アンモニウム塩化合物を使用することにより、脂肪族イソシアナートとアルコールとの反応を極めて有効に促進し、有機スズ触媒の代替が可能な触媒を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、
1)下記一般式(1)
【0012】
【化3】
Figure 0004250687
(上記式中、R1〜R3は各々独立した炭素数1〜12の炭化水素基からなり、R4は炭素数1〜18の直鎖飽和炭化水素基からなる。又は、R1〜R3は炭素数1〜12の炭化水素基を含みなおかつR1〜R3のうちのいずれか2個が炭素、酸素又は窒素原子を介したヘテロ環を形成しており、R4は炭素数1〜18の直鎖飽和炭化水素基からなる。)で表される四級アンモニウム塩化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒、
2)上記一般式(1)において、R1〜R3が各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基から選ばれる少なくとも1種を表し、R4がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、又はヘキサデシル基を表すことを特徴とする上記1)に記載の触媒、
3)下記一般式(2)
【0013】
【化4】
Figure 0004250687
(上記式中、R1〜R3は各々独立した炭素数1〜12の炭化水素基からなり、R4は炭素数1〜18の直鎖飽和炭化水素基からなる。又は、R1〜R3は炭素数1〜12の炭化水素基を含みなおかつR1〜R3のうちのいずれか2個が炭素、酸素又は窒素原子を介したヘテロ環を形成しており、R4は炭素数1〜18の直鎖飽和炭化水素基からなる。)で表される四級アンモニウム塩化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒、
4)上記一般式(2)において、R1〜R3が各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基から選ばれる少なくとも1種を表し、R4がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、又はヘキサデシル基を表すことを特徴とする上記3)に記載の触媒、
5)ポリオールと有機ポリイソシアナートを触媒及び必要に応じて他の添加剤の存在下に反応させてポリウレタン樹脂を製造する方法において、触媒として上記1)乃至4)のいずれかに記載の触媒を使用するポリウレタン樹脂の製造方法、6)ポリオールと有機ポリイソシアナートを触媒、発泡剤及び必要に応じて他の添加剤の存在下に反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、触媒として上記1)乃至4)のいずれかに記載の触媒を使用するポリウレタンフォームの製造方法。
7)有機ポリイソシアナートが脂肪族イソシアナートである上記5)又は6)に記載の製造方法、
8)触媒の使用量が、ポリオール100重量部に対して0.001〜40重量部である上記5)乃至7)のいずれかに記載の製造方法、
である。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒は、上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される四級アンモニウム塩化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒である。
【0016】
本発明において、上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される四級アンモニウム塩化合物の置換基R1〜R3は、各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基から選ばれる少なくとも1種を表し、R4がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、ヘキサデシル基で示されることが好ましい。
【0017】
上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される四級アンモニウム塩化合物としては、前記した四級アンモニウム塩化合物に該当するものであれば特に限定するものではないが、上記一般式(1)で示される化合物例として、具体的には、テトラメチルアンモニウム炭酸水素塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸水素塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、プロピルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ペンチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ノニルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ウンデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、トリデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩等が挙げられる
【0018】
また、上記一般式(2)で示される化合物例として、具体的には、テトラメチルアンモニウム炭酸塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、プロピルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ペンチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ノニルトリメチルアンモニウム炭酸塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ウンデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、トリデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸塩、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム炭酸塩等が挙げられる
【0019】
これら四級アンモニウム塩化合物のうち、触媒活性が高く工業的に有利に使用できることから、テトラメチルアンモニウム炭酸水素塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸水素塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸水素塩、1−メチル−1−アザニア−4−アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム炭酸水素塩、1,1−ジメチル−4−メチルピペリジニウム炭酸水素塩、テトラメチルアンモニウム炭酸塩、メチルトリエチルアンモニウム炭酸塩、エチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ブチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ヘキシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸塩、デシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム炭酸塩が好ましい
【0020】
本発明の触媒として用いられる上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される四級アンモニウム塩化合物は、文献既知の方法にて容易に製造できる。例えば、トリアルキルアミンと炭酸ジアルキルとの反応による方法(特開昭63−24080号公報参照)、トリアルキルアミンと炭酸ジアルキルとの反応生成物を純水に溶解して再度蒸留により精製する方法(特開昭64−72155号公報参照)等が挙げられる。
【0021】
本発明において、上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される四級アンモニウム化合物からなるポリポリウレタン樹脂製造用の触媒の使用量は、使用されるポリオ−ルを100重量部に対し、通常0.001〜40重量部、好ましくは0.01〜20重量部の範囲である。0.001重量部より少ないと反応速度が極端に遅くなり、塗膜物性の点で満足できる性能を発揮しない場合がある。一方、40重量部を超えると、触媒を増やした効果が得られない場合がある。
【0022】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、触媒として、上記一般式(1)及び/又は上記一般式(2)で示される示される四級アンモニウム化合物からなる本発明の触媒に加えて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の有機金属化合物、三級アミン化合物、四級アンモニウム塩化合物等を触媒として併用しても良い。
【0023】
その他の有機金属化合物としては、ポリウレタン製造用触媒として従来公知の有機金属でよく、特に限定するものではないが、具体的には、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒や、オクチル酸ニッケル、オクチル酸コバルト、オクチル酸ビスマス、オクチル酸カリウム、オクタン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ビスマス、ナフテン酸鉛、酢酸カリウム等が挙げられる。これらのうち好ましい化合物としては有機スズ触媒であり、更に好ましくはスタナスジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートである。本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、本発明の触媒を使用することにより、有機スズ触媒の使用量を大幅に低減することができる。
【0024】
また、その他の第三級アミン化合物としては、ポリウレタン製造用触媒として従来公知の第三級アミン化合物でよく、特に限定するものではないが、具体的には、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N′−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N′−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3−キヌクリジノール、N,N,N′,N′−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、N−メチル−N′−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N−メチル−N′−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン等が挙げられる。
【0025】
また、その他の四級アンモニウム塩化合物としては、ポリウレタン製造用触媒として従来公知の四級アンモニウム塩化合物でよく、特に限定するものではないが、具体的には、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のトリアルキルヒドロキシプロピルアンモニウム有機酸塩類等が挙げられる。
【0026】
本発明において、その他の有機金属化合物、三級アミン触媒化合物、四級アンモニウム塩化合物を使用する場合は、その使用量は、ポリオールを100重量部としたとき、通常0.0001〜20重量部であり、更に好ましくは0.001〜10重量部である。
【0027】
本発明の触媒は、前述したように単独で又は他の触媒と混合して使用することができるが、混合調整にあたっては、必要ならば、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール又は水等の溶媒を使用できる。溶媒の量は、特に限定するものではないが、好ましくは触媒の全量に対して10重量倍以下である。10重量倍を超えると、樹脂の物性に影響を及ぼし、経済上の理由からも好ましくない。このように調整された触媒は、ポリオール及び/又はイソシアナートに添加して使用しても良いし、種々の触媒を別々にポリオール及び/又はイソシアナートに添加しても良く、特に限定されるものではない。
【0028】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、使用されるポリオールとしては、特に限定するものではないが、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、カプロラクトン変性ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、エポキシ変性ポリオール、アルキド変性ポリオール、ひまし油、フッ素含有ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用する事もできるし、適宜混合して併用する事もできる。
【0029】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングルコール、テトラメチレングルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール類、エチレンジアミン等の脂肪族アミン化合物類、トルエンジアミン、ジフェニルメタン−4,4−ジアミン等の芳香族アミン化合物類、エタノールアミン及びジエタノールアミン等のようなアルカノールアミン類等のような少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料としてこれにエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドの付加反応により、例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers(ドイツ),p.42〜53に記載の方法により製造することができる。
【0030】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと無水マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物や、岩田敬治著,“ポリウレタン樹脂ハンドブック”(1987年初版)日刊工業新聞社,p.117に記載されているようなナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0031】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、ポリオールの平均分子量は200〜10,000の範囲のものが好ましい。平均分子量が200未満では架橋点間距離が短く、塗膜としたときの柔軟性が十分ではなく、耐割れ性が不充分となるおそれがあり、10,000を超えると架橋密度が低くなり、塗膜としたときの強靭性や硬度が不充分となり本発明の効果を発揮しないおそれがある。
【0032】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、使用される有機ポリイソシアナートは、特に限定するものではないが、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート類及びこれらの混合体等が挙げられる。これらのうち好ましくは、優れた塗膜物性、耐候性を与える目的で、脂肪族イソシアナートであり、脂肪族イソシアナートとしては、例えば、従来公知の直鎖脂肪族系、環式脂肪族系、脂環式系等のイソシアナートが挙げられ、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、水添化ジフェニルメタンジイロシアネート(H−MDI)、水添化キシリレンジイソシアナート(H−XDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアナート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、L−リシンジイソシアナート(LDI)、1,6,11−ウンデカントリイソシアナート等のイソシアナート又はこれらイソシアナートの二量体変性体、三量体変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、更にこれら有機ポリイソシアナート化合物のブロックイソシアナート体や前述の活性水素含有化合物との反応物であるNCO基末端のプレポリマーが挙げられる。これらイソシアナートを単独又は混合して用いる。ブロックイソシアナートとしては、例えばエタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン含有化合物で活性なイソシアナート基をブロックしたものが挙げられる。
【0033】
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、イソシアナートインデックス(イソシアネート基/イソシアネート基と反応し得る活性水素基×100)は特に限定するものではないが、通常は50〜800の範囲であり、更に好ましくは70〜400の範囲である。70以下では架橋密度が低くなり樹脂強度が低下するおそれがあり、400以上では未反応イソシアナート基が残存するため塗膜乾燥性が悪化するおそれがある。
【0034】
本発明の方法において、必要で応じて、発泡剤を使用することができる。発泡剤としては、特に限定するものではないが、例えば、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)等のHCFC類、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)等のHFC類、HFE−254pc等のハイドロフルオロエーテル類、低沸点炭化水素、水から選ばれる1種以上であり混合物を使用することができる。低沸点炭化水素としては、通常、沸点が通常−30〜70℃の炭化水素が使用され、その具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
本発明の方法において、発泡剤の使用量は、所望の密度やフォーム物性に応じて決定されるが、具体的には、得られるフォーム密度が、通常5〜200kg/m3、好ましくは10〜100kg/m3となるように選択される。
【0036】
本発明の方法において、必要で応じて、添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、架橋剤又は鎖延長剤、顔料、着色剤、難燃剤、老化防止剤、抗酸化防止剤、充填剤、増粘剤、減粘剤、可塑剤、タレ防止剤、沈殿防止剤、消泡剤、UV吸収剤、溶媒、チキソトロープ剤、吸着剤、その他公知の添加剤等挙げられる。このような添加剤の種類及び添加量は、公知の形式と手順を逸脱しないならば、通常使用される範囲で十分使用することができる。
【0037】
本発明の方法において、架橋剤又は鎖延長剤としては、低分子量の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等)、低分子量のアミンポリオール(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等)等が例示される。
【0038】
本発明の方法においては、イソシアナートやポリオール等の原料を溶解、希釈するため、溶剤を使用することができる。このような溶剤としては、トルエン、キシレン、ミネラルターペン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルグリコールアセテート、酢酸セルソルブ等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類の有機溶媒が挙げられる。
【0039】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
【実施例】
実施例1
攪拌式オートクレーブにトリエチルアミン(1モル)、炭酸ジメチル(1モル)および溶媒としてメタノール(2モル)を仕込み、反応温度120℃で12時間反応させた。溶媒のメタノールを留去した後、反応生成物を精製水に溶解して、目的生成物であるメチルトリエチルアンモニウム炭酸水素塩の水溶液を得た。以下、これを触媒Aとした。
【0041】
次に窒素置換した200ml三角フラスコに、四級アンモニウム塩化合物としてとして触媒A0.012g(0.06mmol)及びジエチレングリコール(DEG)1.10g(10.4mmol)を秤取り、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を50ml加えて、DEG−DMF溶液を調製した。また、窒素置換した100ml三角フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)1.42g(10.4mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を50ml加えて、HDI−DMF溶液を調製した。DEG−DMF溶液及びHDI−DMF溶液をそれぞれ30℃にて30分間攪拌した後、HDI−DMF溶液をDEG−DMF溶液に加えて、攪拌しながら反応を開始した。反応開始後、20〜30分毎に反応液を約10ml採取し、未反応のイソシアナートを過剰のジ−n−ブチルアミン(DBA)溶液と反応させ、残存したDBAを0.5N塩酸水溶標準液で逆滴定して未反応イソシアナート量を定量した。
【0042】
反応速度定数(l2/eq・mol・h)は、イソシアナートとアルコールの反応が各々の濃度に1次であると仮定して求めた。結果を表1に示す。
【0045】
実施例3
実施例1におけるトリエチルアミン(1モル)に代えて、N,N−ジメチルドデシルアミン(1モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩の水溶液を得た。以下、これを触媒Cとした。
【0046】
触媒として実施例1の触媒Aに代えて、表1に示した触媒Cを使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。
【0047】
実施例4
実施例1におけるトリエチルアミン(1モル)に代えて、N,N−ジメチルオクチルアミン(1モル)を用いた以外は実施例1と同様にして、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸水素塩の水溶液を得た。以下、これを触媒Dとした。
【0048】
触媒として実施例1の触媒Aに代えて、表1に示した触媒Dを使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。
【0049】
実施例5
攪拌式オートクレーブにトリエチルアミン(1モル)、炭酸ジメチル(1モル)および溶媒としてメタノール(2モル)を仕込み、反応温度120℃で12時間反応させた。溶媒のメタノールを留去した後、精製水を加え、80℃で12時間加熱し、目的生成物であるメチルトリエチルアンモニウム炭酸塩の水溶液を得た。以下、これを触媒Eとした。
【0050】
触媒として実施例1の触媒Aに代えて、表1に示した触媒Eを使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。
【0053】
実施例7
実施例5におけるトリエチルアミン(1モル)に代えて、N,N−ジメチルドデシルアミン(1モル)を用いた以外は実施例5と同様にして、ドデシルトリメチルアンモニウム炭酸塩の水溶液を得た。以下、これを触媒Gとした。
【0054】
触媒として実施例1の触媒Aに代えて、表1に示した触媒Gを使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。
【0055】
実施例8
実施例5におけるトリエチルアミン(1モル)に代えて、N,N−ジメチルオクチルアミン(1モル)を用いた以外は実施例5と同様にして、オクチルトリメチルアンモニウム炭酸塩の水溶液を得た。以下、これを触媒Hとした。
【0056】
触媒として実施例1の触媒Aに代えて、表1に示した触媒Hを使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。
【0057】
実施例9、実施例11〜12
触媒として表1に示した四級アンモニウム塩化合物(触媒A、C〜D)及びDBTDLを使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。
【0058】
【表1】
Figure 0004250687
【0059】
【表2】
Figure 0004250687
本発明の特定の四級アンモニウム塩化合物を触媒として使用した実施例1〜8では、汎用的な三級アミン化合物や四級アンモニウム塩化合物を触媒として使用した比較例に比べて、反応速度定数が著しく高く、ウレタン形成反応が有効に促進された。実施例9〜12は、本発明の四級アンモニウム塩化合物触媒とスズ触媒のDBTDLを併用した例であるが、この場合においても著しい触媒活性の向上がみられ、DBTDLの使用量を大幅に低減することができた。
【0060】
一方、比較例1〜8は、汎用的な三級アミン化合物または四級アンモニウム塩化合物を使用した例であるが、反応速度定数が小さく、ウレタン形成反応の促進に効果がなかった。
【0061】
比較例9は従来公知の触媒DBTDLを使用した例であるが、反応速度定数は高いもののDBTDLが不純物としてトリブチルスズを含有しており、環境衛生上、安全に使用できるものではない。
【0062】
【本発明の効果】
本発明の触媒は、安価で毒性の少なく、ウレタン形成反応における触媒活性が高いためポリウレタン製品の生産速度を向上することが可能であり、有機スズ触媒の代替あるいは大幅な削減が可能である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004250687
    (上記式中、R〜Rは各々独立した炭素数1〜12の炭化水素基からなり、Rは炭素数1〜18の直鎖飽和炭化水素基からなる)で表される四級アンモニウム塩化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒。
  2. 上記一般式(1)において、R〜Rが各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基から選ばれる少なくとも1種を表し、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、又はヘキサデシル基を表すことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
  3. 下記一般式(2)
    Figure 0004250687
    (上記式中、R〜Rは各々独立した炭素数1〜12の炭化水素基からなり、Rは炭素数1〜18の直鎖飽和炭化水素基からなる)で表される四級アンモニウム塩化合物からなるポリウレタン樹脂製造用の触媒。
  4. 上記一般式(2)において、R〜Rが各々独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及びドデシル基から選ばれる少なくとも1種を表し、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘプタデシル基、又はヘキサデシル基を表すことを特徴とする請求項3に記載の触媒。
  5. ポリオールと有機ポリイソシアナートを触媒及び必要に応じて他の添加剤の存在下に反応させてポリウレタン樹脂を製造する方法において、触媒として請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の触媒を使用するポリウレタン樹脂の製造方法。
  6. ポリオールと有機ポリイソシアナートを触媒、発泡剤及び必要に応じて他の添加剤の存在下に反応させてポリウレタンフォームを製造する方法において、触媒として請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の触媒を使用するポリウレタンフォームの製造方法。
  7. 有機ポリイソシアナートが脂肪族イソシアナートである請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 触媒の使用量が、ポリオール100重量部に対して0.001〜40重量部である請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の製造方法。
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