JP2005307164A - ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びポリウレタン樹脂の製造方法 Download PDF

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浩之 木曾
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Abstract

【課題】 ポリウレタン樹脂は、ポリオールと有機ポリイソシアネートを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の添加剤の存在下に反応させて製造されるが、脂肪族イソシアネートを用いたポリウレタン樹脂の製造方法において、塗膜の高速硬化と塗膜物性を改善することのでき、かつ有機スズ触媒を代替できる触媒が望まれていた。
【解決手段】 ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物を含有してなるポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及び必要に応じて添加剤の存在下、反応させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機イソシアネートを用いた耐候性、塗膜性能に優れたポリウレタン樹脂の製造に有用な触媒組成物に関する。また本発明は、ポリオールと有機ポリイソシアネート及び/又はイソシアネートプレポリマーとを、前記触媒及び必要に応じて溶剤、希釈剤、顔料、架橋剤等の存在下に反応させ、ポリウレタン樹脂を製造する方法に関する。
ポリウレタン樹脂は、ポリオールと有機ポリイソシアネートを触媒及び必要に応じて発泡剤、界面活性剤、架橋剤等の添加剤の存在下に反応させて製造される。ポリウレタン樹脂は、常温でも硬化反応が進行し、架橋構造を有する樹脂を形成可能であり、基材との密着性、可とう性、耐候性に優れるため、自動車、建築、家電、重防食、プラスチック塗料、接着剤等の用途に広く使用されている。脂肪族イソシアネートは、光や熱により塗膜が黄変しにくく耐候性の必要な各種上塗り用塗料として使用されるが、TDI、MDIに代表される芳香族イソシアネートに比べて、ポリオールとの反応速度が非常に遅いため、より高活性な触媒が必要とされている。
ポリウレタン製造用触媒としては、第3級アミン触媒や金属触媒が広く使用されているが、脂肪族イソシアネート用触媒としては、その活性の高さから、有機スズ触媒が用いられ、主にジブチル錫ジラウレート(DBTDL)又はスタナスオクトエートが多用されている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、最近では、新しい触媒として遷移金属錯体系触媒が検討され、なかでも、金属アセチルアセトナート系触媒に関する研究が盛んに行われている(例えば、非特許文献2、特許文献1〜特許文献5参照)。
英国特許第869988号公報 特表2001−524142号公報 特開平09−031151号公報 特開2003−82052号公報 特開2004−231878号公報 横山哲夫著「ポリウレタンの構造・物性と高機能化及び応用展開」技術情報協会出版、1998年発行、第325頁 R.A.Ligabue著、「J.Mol.Catal.A.Chem.」、2000年、第157巻、第73頁
しかしながら、現在使用されている前記有機スズ触媒には、多くの問題点が指摘されている。例えば、近年有機スズ触媒の毒性問題が指摘され、特にDBTDL中に不純物として含まれるトリブチルスズは環境ホルモンとして人体への有害性が問題となっている。既に、欧州を中心としてポリウレタン製造における有機スズ触媒の使用を規制する動きが出てきているため、有機スズ触媒の代替触媒が強く要望されている。
一方、また、鉄アセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートに代表される金属アセチルアセトナート錯体は、加水分解しやすく、触媒活性が低いため、有機スズ触媒を用いた時の硬化性を達成するのは難しい(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
そのため、金属アセチルアセトナート錯体にアセチルアセトン等のジケト化合物を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。同文献に記載の方法は、ポットライフ調整に効果的で、かつ錯体の耐加水分解性を高めるとされているが、所定の効果を得るためには大量のアセチルアセトンを添加する必要があり、この場合、アセチルアセトンの酸化による樹脂の着色がおこりやすく、また触媒中の揮発成分(アセチルアセトン)が増加するといった問題がある。
また、金属アセチルアセトナート錯体に第3級アミン触媒を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。同文献に記載の方法によれば、触媒活性が高まり、有機スズ触媒と同等の効果速度が得られるとされているが、これらの方法においては、有機溶媒に対する触媒組成物の溶解性が低く、スズ触媒と同等の効果速度を得ようとした場合には、多量の触媒を使用する必要があり、その際、溶媒として使用する揮発性有機化合物(VOC)が増加するという問題があり、これらの方法についても、さらなる改良が求められている。
なお、本発明においていう揮発性有機化合物(VOC)とは、常温で蒸発又は気化する有機化合物のことをいい、具体的には、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ホルムアルデヒド、トルエン、ベンゼン、キシレン等が挙げられる。
揮発性有機化合物は、親油性が高く、化学的に安定性も高いことから、塗料、接着剤等の溶剤又は洗浄剤として広く用いられているが、これら化合物は、健康への被害が懸念されており、蒸発又は気化したものを吸引することによって、頭痛、めまい、吐き気、疲労感、腎障害等有害性や発がん性等が指摘されている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、脂肪族イソシアネートを用いたポリウレタン樹脂の製造方法において、塗膜の高速硬化と塗膜物性を改善することができ、かつ有機スズ触媒を代替できる触媒組成物、及びそれを用いたポリウレタン樹脂の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、金属錯体触媒とβ−ジケト化合物とを併用することにより、脂肪族イソシアネートとアルコールとの反応を極めて有効に促進し得る、有機スズ触媒の代替が可能な触媒を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下の[1]〜[10]に示すとおりの、ポリウレタン樹脂製造用触媒組成物及びポリウレタン樹脂の製造方法である。
[1]金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物を含有してなるポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
[2]金属オキシ塩化物が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Y、Bi、Al、Sn及びPbからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属のオキシ塩化物であることを特徴とする上記[1]に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
[3]金属オキシ塩化物が、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ハフニウム、オキシ塩化バナジウム、オキシ塩化ニオブ、オキシ塩化クロム、オキシ塩化鉄、オキシ塩化銅、及びオキシ塩化ビスマスからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記[1]に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
[4]β−ジケト化合物が、下記一般式(1)
Figure 2005307164
[上記一般式(1)中、R、Rは各々独立して、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表す。]
で示される化合物、及び下記一般式(2)
Figure 2005307164
[上記一般式(2)中、R、Rは各々独立して、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表す。]
で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
[5]β−ジケト化合物が、下記一般式(3)
Figure 2005307164
[上記一般式(3)中、R、Rは各々独立して、R又はORを表し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。Rは水素、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。]
で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
[6]上記一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)において、R、Rが各々独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はフェニル基を表し、Rが水素原子又はメチル基を表すことを特徴とする上記[4]又は[5]に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
[7]上記一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で示されるβ−ジケト化合物が、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2−ジメチルヘキサン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸tert−ブチル、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸tert−ブチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸イソプロピル、及び4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸tert−ブチルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする上記[4]又は[5]に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
[8]ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記[1]乃至[7]のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物の存在下、反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
[9]ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記[1]乃至[7]のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物及び添加剤の存在下、反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
[10]有機ポリイソシアネートが脂肪族イソシアネートであることを特徴とする上記[8]又は[9]に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
本発明の触媒組成物は、ウレタン形成反応における触媒活性が高く、ポリウレタン製品の生産速度を向上することが可能であり、有機スズ触媒の代替が可能である。また、本発明の触媒組成物は、金属アセチルアセトナート錯体と第3級アミン触媒からなる上記した触媒組成物に比べ、揮発性有機化合物(VOC)の使用量を、10分の1〜20分の1に削減できるため、工業的に極めて有用である。
本発明の触媒組成物のうち、特に、金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物を含有する触媒組成物は、金属アセチルアセトナート化合物と比べて化学的に安定で安価な原料であり、極めて良好な触媒能を示すことから、工業的に極めて有用である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリウレタン樹脂製造用触媒組成物は、金属オキシ塩化物と上記一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で示されるβ−ジケト化合物を含む触媒組成物からなる。
本発明において、金属オキシ塩化物は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr,Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Y、Bi、Al、Sn及びPbからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属のオキシ塩化物であり、特に限定するものではないが、具体的には、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化チタニウム、オキシ塩化ハフニウム、オキシ塩化バナジウム、オキシ塩化ニオブ、オキシ塩化クロム、オキシ塩化モリブデン、オキシ塩化タングステン、オキシ塩化マンガン、オキシ塩化鉄、オキシ塩化ルテニウム、オキシ塩化コバルト、オキシ塩化ニッケル、オキシ塩化銅、オキシ塩化亜鉛、オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化アルミニウム、オキシ塩化錫、オキシ塩化鉛及びそれらの水和物等が例示される。これらのうち、触媒活性に優れ工業的に入手可能なことから、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ハフニウム、オキシ塩化バナジウム、オキシ塩化ニオブ、オキシ塩化クロム、オキシ塩化鉄、オキシ塩化銅、及びオキシ塩化ビスマス及びそれらの水和物が好ましい。
本発明において、上記一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で示されるβ−ジケト化合物としては、特に限定するものではないが、具体的には、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2−ジメチルヘキサン−3,5−ジオン、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、3−メチルペンタン−2、4−ジオン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸プロピル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸ブチル、プロピオニル酢酸tert−ブチル、ブチリル酢酸メチル、ブチリル酢酸エチル、ブチリル酢酸プロピル、ブチリル酢酸イソプロピル、ブチリル酢酸ブチル、ブチリル酢酸tert−ブチル、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸プロピル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸ブチル、イソブチリル酢酸tert−ブチル、3−オキソヘプタン酸メチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸プロピル、3−オキソヘプタン酸イソプロピル、3−オキソヘプタン酸ブチル、3−オキソヘプタン酸tert−ブチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸メチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸エチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸プロピル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸イソプロピル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸ブチル、5−メチル−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸プロピル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸イソプロピル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸ブチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸tert−ブチル、ベンゾイル酢酸メチル、ジベンゾインメタン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸メチルエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジtert−ブチル、マロン酸メチルtert−ブチル等が例示される。
これらの中でも、触媒活性に優れ工業的に入手可能なことから、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2−ジメチルヘキサン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸tert−ブチル、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸tert−ブチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸イソプロピル、又は4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸tert−ブチルが好ましい。
本発明において、金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物との混合比率は、特に限定するものではないが、通常、β−ジケト化合物/金属オキシ塩化物のモル比が0.1〜2000の範囲になるように混合比率を調節する。モル比がこの範囲を超えると両触媒の相乗効果が得られない場合があり、塗膜物性及び触媒活性の点で満足できる性能を発揮しない場合がある。
本発明の触媒組成物をポリウレタン樹脂の製造に用いる場合、その使用量は、使用されるポリオ−ルを100重量部としたとき、通常0.001〜50重量部の範囲であるが、好ましくは0.01〜10重量部の範囲である。
本発明において、触媒組成物として用いられる金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物は、予め混合して調製したものを反応時に添加しても良いし、反応の際に同時に添加しても良い。また、混合する際に溶媒に溶解して使用することもできる。本発明においては、本発明の触媒組成物において、高い触媒活性を発現させるために、金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物を予め溶媒に溶解させて均一系にした方が好ましい。溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、メタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン、ミネラルターペン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルギリコールアセテート、酢酸セルソルブ等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類の有機溶媒等が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、上記した本発明のポリウレタン製造用触媒組成物の存在下、反応させることをその特徴とする。
本発明において、触媒として、金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物を含有する本発明の触媒組成物に加えて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の有機金属触媒や第3級アミン触媒を併用しても良い。
その他の有機金属触媒としては、特に限定するものではないが、具体的には、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート等の有機スズ触媒や、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等が例示される。これらのうち、好ましい化合物としては、有機スズ触媒であり、更に好ましくはスタナスジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートである。本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、本発明の触媒組成物を使用することにより、有機スズ触媒の使用量を大幅に低減することができる。
また、その他の第3級アミン触媒としては、特に限定するものではないが、具体的には、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3−キヌクリジノール、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、キヌクリジン、2−メチルキヌクリジン等が例示される。
本発明において、その他の有機金属触媒や第3級アミン触媒を使用する場合は、その使用量は、ポリオールを100重量部としたとき、通常0.0001〜5重量部の範囲であり、更に好ましくは0.001〜3重量部の範囲である。
本発明において、使用されるポリオールとしては、例えば、従来公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、カプロラクトン変性ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、エポキシ変性ポリオール、アルキド変性ポリオール、ひまし油、フッ素含有ポリオール等が使用できる。これらのポリオールは単独で使用することもできるし、適宜混合して併用することもできる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングルコール、テトラメチレングルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール類、エチレンジアミン等の脂肪族アミン化合物類、トルエンジアミン、ジフェニルメタン−4,4−ジアミン等の芳香族アミン化合物類、エタノールアミン及びジエタノールアミン等のようなアルカノールアミン類等のような少なくとも2個以上の活性水素基を有する化合物を出発原料としてこれにエチレンオキシドやプロピレンオキシドに代表されるアルキレンオキサイドの付加反応により、例えば、Gunter Oertel,“Polyurethane Handbook”(1985年版)Hanser Publishers(ドイツ),p.42〜53に記載の方法により製造することができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと無水マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物や、岩田敬治著,“ポリウレタン樹脂ハンドブック”(1987年初版)日刊工業新聞社,p.117に記載されているようなナイロン製造時の廃物、トリメチロールプロパン、ペンタエリストールの廃物、フタル酸系ポリエステルの廃物、廃品を処理し誘導したポリエステルポリオール等が挙げられる。
アクリル系ポリオールとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸基含有不飽和モノマー及び/又はこれらモノマーにε−カプロラクタム等のラクトン類を付加したラクトン変性不飽和モノマーと、スチレン、アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル等の不飽和モノマーを重合反応させて得られるポリオールが挙げられる。
ポリオールの平均分子量は200〜10,000の範囲のものが好ましい。平均分子量が200未満では架橋点間距離が短く、塗膜としたときの柔軟性が十分ではなく、耐割れ性が不充分となるおそれがあり、10,000を超えると架橋密度が低くなり、塗膜としたときの強靭性や硬度が不充分となり本発明の効果を発揮しないおそれがある。
本発明において、使用される有機ポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイシシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類及びこれらの混合体等が挙げられる。これらのうち優れた塗膜物性、耐候性を与える目的で、脂肪族イソシアネート類が好ましい。脂肪族イソシアネート類としては、例えば、従来公知の直鎖脂肪族系、環式脂肪族系、脂環式系等のイソシアネートが挙げられ、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、L−リシンジイソシアネート(LDI)、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート等のイソシアネート又はこれらイソシアネートの二量体変性体、三量体変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、更にこれら有機ポリイソシアネート化合物のブロックイソシアネート体や前述の活性水素含有化合物との反応物であるNCO基末端のプレポリマーを単独又は混合して用いる。ブロックイソシアネートとしては、例えばエタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、フェノール、p−ニトロフェノール等のフェノール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン含有化合物で活性なイソシアネート基をブロックしたものが挙げられる。
本発明において、イソシアネートインデックスは特に限定するものではないが、通常は50〜250の範囲であり、更に好ましくは70〜150の範囲である。70以下では架橋密度が低くなり樹脂強度が低下するおそれがあり、150以上では未反応イソシアネート基が残存するため塗膜乾燥性が悪化するおそれがある。
本発明において、必要で応じて、添加剤を使用することができる。このような添加剤としては、架橋剤又は鎖延長剤、顔料、着色剤、難燃剤、老化防止剤、抗酸化防止剤、充填剤、増粘剤、減粘剤、可塑剤、タレ防止剤、沈殿防止剤、消泡剤、UV吸収剤、溶媒、チキソトロープ剤、吸着剤、その他公知の添加剤等が挙げられる。このような添加剤の種類及び添加量は、公知の形式と手順を逸脱しないならば、通常使用される範囲で十分使用することができる。
本発明において、架橋剤又は鎖延長剤としては、低分子量の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等)、低分子量のアミンポリオール(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、キシリレンジアミン、メチレンビスオルソクロルアニリン等)等が例示される。
本発明においては、イソシアネートやポリオール等の原料を溶解、希釈するため、溶剤を使用することができる。このような溶剤としては、トルエン、キシレン、ミネラルターペン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルグリコールアセテート、酢酸セルソルブ等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類の有機溶媒が挙げられる。
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
<触媒組成物の調製>
金属オキシ塩化物としてオキシ塩化ジルコニウム八水和物1.00g(3.10mmol)とβ−ジケト化合物としてアセチルアセトン6.21g(6.20mmol)をジメチルホルムアミド21.1gに溶解させ、ジルコニウム1.0wt%触媒組成物溶液を調製した。
<イソシアネートとアルコールの反応速度定数の測定方法>
200mlの三角フラスコに、トルエン50ml、n−ブタノール(BuOH)1.54g(20.8mmol)及びジルコニウム1.0wt%触媒組成物27.4mg(Zr3.0μmol相当)を秤取り、30℃にて30分攪拌した。この溶液に、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)1.75g(10.4mmol)をトルエン50mlに溶解させ30℃に保温した溶液を加え、反応を開始した。反応開始後、10〜30分毎に反応液を約2ml採取し、これに約1mmolのジ−n−ブチルアミン(DBA)を含有したジメチルホルムアミド溶液15mlを加え、未反応のイソシアナートと反応させた。残存するをDBA0.1N塩酸標準液で逆滴定し、未反応イソシアナート量を定量した。
反応速度定数k(l/mol・h)は、イソシアナートとアルコールの反応が各々の濃度に1次に依存すると仮定して求めた。また、触媒あたりの速度定数Kc(l/eq・mol・h)は反応速度定数kを触媒濃度で除することで求めた。結果を表1に示す。
Figure 2005307164
[実施例2〜実施例11]
触媒として金属オキシ塩化物及びβ−ジケト化合物を表1に示した配合比にて使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。結果を表1にあわせて示す。
[比較例1〜比較例11]
触媒として金属オキシ塩化物又はβ−ジケト化合物を表1に示した配合比にて使用した以外は実施例1と同じ手法を用いた。結果を表1にあわせて示す。
表1から明らかなように、実施例1〜実施例11では、金属オキシ塩化物又はβ−ジケト化合物を組み合わせることにより、それらの単独系(比較例1〜比較例10)より著しい触媒活性の向上が見られ、ウレタン形成反応を相乗的に促進し、スズ触媒であるDBTDLを凌ぐ触媒活性を発現する。一方、比較例11は従来触媒のDBTDLを使用した例であるが、反応速度定数は高いもののDBTDLは不純物としてトリブチルスズを含有しており環境衛生上、安全に使用できるものではない。
[実施例12]
ポリオール20.5g、溶剤(トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル及び1−メトキシ−2−プロパノールアセテートが重量比で1/1/1/1になるように予め調製したもの)19.5g、実施例1で調製したジルコニウム1.0wt%触媒組成物0.55g(Zr0.06mmol相当)を100mlのポリエチレンカップに取り、20℃に温度調整を行った。これに、別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネートをイソシアネートインデックス(イソシアネート基/OH基(モル比)×100)が100となる量だけ加え、攪拌棒にて約1分間攪拌した。混合攪拌した反応液を40℃に温度調整したオーブンに入れ、振動式粘度計(ビスコメイトVM−1A−MH、山一電機社製)を用いて粘度プロファイルを測定した。粘度が1000mPa・Sになった時間をポットライフとした。また、同様に調製した反応液を厚さが1cmになるように成型し20℃で3日間硬化させた後、樹脂の硬度(ショアーA)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2005307164
[実施例13〜実施例22]
触媒として金属オキシ塩化物及びβ−ジケト化合物を表2に示した配合比にて使用した以外は実施例12と同じ手法を用いた。結果を表2にあわせて示す。
[比較例12〜比較例22]
触媒として金属オキシ塩化物又はβ−ジケト化合物を表2に示した配合比にて使用した以外は実施例12と同じ手法を用いた。結果を表2にあわせて示す。
表2から明らかなように、実施例12〜実施例22では、金属オキシ塩化物又はβ−ジケト化合物を組み合わせることにより、それらの単独系(比較例12〜比較例21)やスズ触媒であるDBTDLよりポットライフの短縮が見られ、硬化性に優れた触媒系であることが分かる。また、本発明の触媒により成型したポリウレタン樹脂の硬度は、DBTDLと同等のレベルであることから、実用的に使用することが可能である。
[実施例23]
<触媒組成物の調製>
金属化合物としてオキシ塩化ジルコニウム八水和物1.00g(3.1mmol)とβ−ジケト化合物としてアセチルアセトン3.11g(31.0mmol)の混合物に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶質が溶解し、均一溶液になるまで攪拌しながら加えた。その時のNMPの使用量は1.79gであった。溶媒を含む触媒組成物のジルコニウム(Zr)濃度は4.8wt%であり、この金属濃度を溶解性指標として定義した。
<評価法A:イソシアネートとアルコールの反応速度定数の測定方法>
200mlの三角フラスコに、トルエン50ml、n−ブタノール(BuOH)1.54g(20.8mmol)及び<触媒組成物の調製>で調製した触媒組成物を金属成分として3μmol相当(5.7mg)を秤取り、30℃にて30分攪拌した。この溶液に、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)1.75g(10.4mmol)をトルエン50mlに溶解させ30℃に保温した溶液を加え、反応を開始した。反応開始後、10〜30分毎に反応液を約2ml採取し、これに約1mmolのジ−n−ブチルアミン(DBA)を含有したジメチルホルムアミド溶液15mlを加え、未反応のイソシアナートと反応させた。残存するDBA0.1N塩酸標準液で逆滴定し、未反応イソシアナート量を定量した。
反応速度定数k(l/mol・h)は、イソシアナートとアルコールの反応が各々の濃度に1次に依存すると仮定して求めた。また、触媒あたりの速度定数Kc(l/eq・mol・h)は反応速度定数kを触媒濃度で除することで求めた。結果を表3に示す。
<評価法B:ポリウレタン樹脂の製造>
ポリオール20.5g、溶剤(トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル及び1−メトキシ−2−プロパノールアセテートが重量比で1/1/1/1になるように予め調製したもの)19.5gを100mlのポリエチレンカップに測り取り、これに、<触媒組成物の調製>で調製した触媒組成物を金属成分として60μmol相当(114mg)を加えて20℃に温度調整した。これに、別容器で20℃に温度調整したポリイソシアネートをイソシアネートインデックス(イソシアネート基/OH基(モル比)×100)が100となる量だけ加え、攪拌棒にて約1分間攪拌した。混合攪拌した反応液を40℃に温度調整したオーブンに入れ、振動式粘度計(ビスコメイトVM−1A−MH、山一電機社製)を用いて粘度プロファイルを測定した。粘度が1000mPa・Sになった時間を反応性指標とした。また、同様に調製した反応液を厚さが1cmになるように成型し20℃で24時間硬化させた後、樹脂の硬度(ショアーA)を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2005307164
[実施例24〜実施例31]
触媒として金属オキシ塩化物、β−ジケト化合物及び溶媒を表3に示した配合比にて使用した以外は実施例23と同じ手法を用いた。結果を表3にあわせて示す。
表3から、実施例22〜実施例28で調製した触媒は、各種有機溶媒への溶解性が良好であり、また十分な触媒活性と硬化性を有していることがわかる。
[比較例23]
触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネートを単独で用いる以外は実施例23と同じ手法を用いた。結果を表3にあわせて示す。
この触媒は、加水分解性が高いため、大気暴露中で行った評価法Bでは、十分な硬化性を示さなかった。
[比較例24〜比較例31]
触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート/アセチルアセトン混合触媒を用い、種々の溶媒に溶解させた以外は実施例23と同じ手法を用いた。結果を表3にあわせて示す。
これらの触媒は、評価法A及び評価法Bにおいて高い活性と硬化性を示すが、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートの溶解度が低いため、十分に金属濃度が高められない。このため、同じ活性及び硬化性を得るためには、実施例と比較して多量の触媒組成物を添加する必要があり、溶剤である揮発性有機化合物(VOC)も増加するという問題がある。

Claims (10)

  1. 金属オキシ塩化物とβ−ジケト化合物を含有してなるポリウレタン樹脂製造用触媒組成物。
  2. 金属オキシ塩化物が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Cu、Zn、Sc、Y、Bi、Al、Sn及びPbからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属のオキシ塩化物であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
  3. 金属オキシ塩化物が、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ハフニウム、オキシ塩化バナジウム、オキシ塩化ニオブ、オキシ塩化クロム、オキシ塩化鉄、オキシ塩化銅、及びオキシ塩化ビスマスからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
  4. β−ジケト化合物が、下記一般式(1)
    Figure 2005307164
    [上記一般式(1)中、R、Rは各々独立して、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表す。]
    で示される化合物、及び下記一般式(2)
    Figure 2005307164
    [上記一般式(2)中、R、Rは各々独立して、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、又はアリール基を表す。]
    で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
  5. β−ジケト化合物が、下記一般式(3)
    Figure 2005307164
    [上記一般式(3)中、R、Rは各々独立して、R又はORを表し、Rは炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。Rは水素、炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。]
    で示される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
  6. 一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)において、R、Rが各々独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はフェニル基を表し、Rが水素原子又はメチル基を表すことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
  7. 一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で示されるβ−ジケト化合物が、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2−ジメチルヘキサン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸tert−ブチル、イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸tert−ブチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸イソプロピル、及び4,4−ジメチル−3−オキソペンタン酸tert−ブチルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のポリウレタン製造用触媒組成物。
  8. ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物の存在下、反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
  9. ポリオールと有機ポリイソシアネートとを、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のポリウレタン製造用触媒組成物及び添加剤の存在下、反応させることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
  10. 有機ポリイソシアネートが脂肪族イソシアネートであることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
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