JP4250661B2 - 不活性化耐性第viii因子 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は1996年4月24日に出願の米国出願番号第60/016,117号および1996年5月15日に出願の米国出願番号第60/017,785号の一部継続出願であり、本明細書に引用して明確に包含させる。
スポンサー
本発明の研究は、米国政府により、国立衛生研究所により認められた認可HL53777およびHL52173のもとに支持されている。政府は本発明に一定の権限を有し得る。
発明の分野
本発明は一般に凝血促進性−活性タンパク質およびより具体的に、野生型第VIII因子で典型的に得られるよりも高いレベルで分泌できる第VIII因子タンパク質、APC耐性第VIII因子タンパク質および不活性耐性第VIII因子タンパク質をコードするヌクレオチドに関する。
ヒト第VIII因子:C(FVIII)はX染色体関連遺伝疾患血友病Aで欠損する凝血因子であり、発症男性の病的出血および死亡の主要な原因である。伝統的に、血友病は全血の輸血により処置していた。より最近は、処置がヒト血漿由来のFVIII濃縮物の製剤により行われている。しかしながら、血漿由来生産物は肝炎およびAIDSのようなウイルス伝播疾病の危険性の可能性に血友病患者をさらす。この危険性を減少させる高価な精製スキームは処置の費用を上げる。費用の増加および血漿由来FVIIIの限定的能力により、患者は予防的よりむしろ要求を基本にして一時的に処置される、組換え的に製造したFVIIIは精製および安全性の観点から、ならびに増加した能力により血漿由来FVIIIよりも実質的に有利であり、従って、組換え的製造FVIIIの開発に研究努力が向けられている。特にその活性化後のFVIIIの不安定な性質のために、治療効果を得るために、血漿由来であれ、組換え由来であれ、大量に繰り返してタンパク質を投与しなければならない。しかしながら、患者がさらされるFVIIIタンパク質の量は、その活性を阻害する抗体の発生と相関している。この既知の免疫原性を考慮して、治療剤として使用するFVIIIの新規組換え形の開発の一つのゴールは、このような免疫応答を減少するか排除する生産物の開発である。
FVIIIは、カルシウムイオン存在下で陰性に荷電したリン脂質表面で起こる反応である、第IXa因子により第X因子の活性を加速させるコファクターとして血液凝固の固有経路で機能する。FVIIIはドメイン構造A1−A2−B−A3−C1−C2を有する2351アミノ酸一本鎖ポリペプチドとして合成される。Wehar, G. A. et al., Nature 312:337−342 (1984)およびToole, J. J. et al., Nature 312:342−347 (1984)。FVIIIのドメイン構造は、相同凝血因子である第V因子(FV)と同一である。Kane, W. H. et al., PNAS (USA) 83:6800−6804 (1986)およびJenny, R. J. et al., PNAS (USA) 84:4846−4850 (1987)。FVIII
A−ドメインは330アミノ酸であり、互いに、ならびにFVのA−ドメインおよび血漿銅結合タンパク質セルロプラスミンと40%アミノ酸相同性を有する。Takahashi, N., et al., PNAS (USA) 81:390−394 (1984)。各C−ドメインは150アミノ酸であり、FVのC−ドメインと、並びに糖結合体(glycoconjugate)および陰性荷電リン脂質と40%相同性である。Stubbs, J. D. et al., PNAS (USA) 87:8417−8421 (1990)。FVIII B−ドメインは単一エクソンによりコードされ、FV B−ドメインを含む既知のタンパク質とほとんど相同性を示さない。Gitschier, J. et al., Nature 312:326−330 (1984)およびCripe, L. D. et al., Biochemistry 31:3777−3785 (1992)。
FVIIIは、A1−およびA3−ドメインの間の非共有2価金属イオン結合を介して関連している重鎖(ドメインA1−A2−B)および軽鎖(ドメインA3−C1−C2)のヘテロダイマーとして血漿に分泌される。血漿で、FVIIIはフォン ウィルブラント因子に結合することにより安定化する。より具体的に、FVIII軽鎖は、非共有結合性相互作用によりフォン
ウィルブラント因子のアミノ末端の一級結合部位に結合している。トロンビンによるタンパク質分解活性化により、FVIIIは活性化されて2重鎖フラグメント(A1、50kDaフラグメント、およびA2、43kDaフラグメント)および軽鎖(A3−C1−C2、73kDa鎖)のヘテロトリマーとなる。FVIII(FVIIIa)は、このようにトロンビン−開裂A3−C1−C2軽鎖への2価金属イオン結合を介して結合したA1−サブユニットおよびイオン結合を介してA1ドメインと結合している遊離A2サブユニットから構成される(図1A参照)。Eaton, D. et al., Biochemistry 25:505 (1986);Lollar, P. et al., J. Biol. Chem. 266:12481 (1991);およびFay, P. J. et al., J. Biol. Chem. 266:8957 (1991)。このFVIIIaヘテロトリマーは不安定であり、生理学的条件下でA2サブユニットの分解を介して急速に不活性化される。
先のトランスフェクション実験で、FVIIIはFVより10倍少ない分泌効率であることが証明されている。FVIIIの分泌非効率は、ERの管腔(Dorner, A., J. et al., EMBO J. 4:1563−1571 (1992))中の78kDaのグルコース調節タンパク質(GRP78)(Munro, S. et al., Cell 46:291−300 (1986))としてもまた既知の免疫グロブリン結合タンパク質(BiP)として同定されているタンパク質シャペロニンとの結合に関連する。BiPは、ペプチド依存的ATPase活性を示すヒートショックタンパク質ファミリーのメンバーである。Flynn, G. C. et al., Science 245:385−390 (1989)。BiP発現は、ER中の折りたたまれていないタンパク質または非集合タンパク質サブユニットの存在により誘発される。Lee, A. S., Curr. Opin. Cell Biol. 4:267−273 (1992)およびKozutsumi, Y. et al., Nature 332:462−464 (1988)。高レベルFVIII発現がBiP転写を誘発することが示されている。Dorner, A. J. et al., J. Biol. Chem. 264:20602−20607 (1989)。加えて、BiPからのFVIII放出およびER外への輸送は高レベルのATPを必要とする。Dorner, A. J. et al., PNAS (USA) 87:7429−7432 (1990)。対照的に、FVはBiPと関連しておらず、分泌に高レベルのATPを必要としないことが発見されている。Pittman, D. D. et al., J. Biol. Chem. 269:17329−17337 (1994)。FVIII−B−ドメインの欠失は少ない程度でBiPに結合するタンパク質を製造し、より効率的に分泌される。Dorner, A. J. et al., J. Cell Biol. 105:2665−2674 (1987)。FVIII B−ドメインがBiP相互作用を担うかどうかを評価するために、B−ドメイン配列を変えたFVとFVIIIキメラcDNA分子を構築した。Pittman, D. D. et al., Blood 84:4214−4225 (1994)。FVのB−ドメインに固定されたFVIIIハイブリッドが発現され、機能性分子として分泌されたが、野生型FVIIIと同様に、ハイブリッドの分泌効率は乏しかった。Pittman, D. D. et al., Blood 84:4214−4525 (1994)。これは、FVとFVIIIの間の分泌効率の差が、これらの同族凝血因子の間の最も互いに異なる領域であるFVIII B−ドメイン中の特異的配列に帰するものではないことを示す。
FVIII A−ドメイン中の特異的アミノ酸配列が分泌を阻害するかどうかを決定するために、FVIIIまたはFVのA1−およびA2−ドメインを含むキメラタンパク質を実験した。FVのA1−およびA2−ドメインを含むキメラタンパク質は、野生型FVと同じ効率で分泌された。FVIIIのA1−およびA2−ドメインを有する相補的キメラは野生型FVIIIと同様の低い効率で分泌された。これらの結果は、A1−およびA2−ドメイン中の配列がFVIIIの低い分泌効率を担うことを示す。A1−ドメイン欠失FVIII分子が構築され、分泌は野生型FVIII A2−ドメイン欠失FVIIIより約10倍増加した。FVIIIA1−ドメイン単独の発現は分泌タンパク質を製造せず、FVIII A2−ドメイン単独またはFV A1−ドメインまたはA2−ドメインは、分泌タンパク質合成を指向する。A1−ドメインのカルボキシル末端110アミノ酸がFV A1−ドメインの相同性配列と置き換わったハイブリット(226−336ハイブリッドFVIII)の分泌はまた野生型FVIIIより10倍増加したが、分泌タンパク質は機能的ではなく、即ち凝血促進性活性を示さず、重鎖および軽鎖が結合しなかった。Marguette, K. A. et al., J. Biol. Chem. 270:10297−10303 (1995)。従って、野生型FVIIIと比較して増加した分泌を有する機能的FVIIIタンパク質を提供することが、望まれている。増加した分泌かつ増加した特異的活性を有する機能的FVIIIタンパク質の提供もまた望まれている。
FVaおよびFVIIIaは、リン脂質およびCaCl存在下で活性化プロテインC(APC)により不活性化され、APC−耐性が遺伝的血栓症傾向の大きな原因の一つと考えられている。Dahlbauck, B. et al., PNAS(USA) 90:1004(1993)。APC−耐性の分子基本は、APC開裂および不活性化への耐性に帰する。Dahlbauck, B. et al., PNAS (USA) 91:1396(1994)。FVIIIのAPC不活性化における先の実験は、45kDaフラグメント(Fulcher, C. A. et al., Blood 63:486 (1984))の発生が重鎖アミノ末端に由来し、Arg336での開裂の結果であると提案された。Eaton, D. et al., Biochemistry 25:505 (1986)。FVIIIの軽鎖はAPCにより開裂されないが、重鎖由来の中間体および末端消化フラグメントを示す多重ポリペプチドが見られる。Walker, F. J. et al., Arch. Bioch. Biophys. 252:322(1987)。これらのフラグメントはArg336、A1とA2ドメインの連結部位、Arg562、A2ドメインの交差部位およびA2−B連結部位、同様にArg740に位置する開裂部位に由来する。Fay, P. J. et al., J. Biol. Chem. 266:20139(1991)。336残基でのFVIIIのAPC開裂はA1−ドメインのアミノ末端からの45kDaフラグメントを発生し、残基562および740での開裂はA2−ドメインのカルボキシ末端の25kDaフラグメントを発生する(図1A参照)。
先の実験は、FVIIIのB−ドメインがFVIIIコファクター活性に重要ではないことを証明する。種々の程度のB−ドメイン欠失(BDD)を有する遺伝子操作したFVIII分子は、一次翻訳生産物の細胞内タンパク質分解が観察されない、分泌一本鎖FVIII切片を製造する。これらのBDD FVIII変異体は、それらが哺乳類細胞でより効率的に製造されるため、有利である。これらのBDD FVIII分子の機能的特徴付けは、FVIIIコファクター活性が、Arg327、Arg740およびArg1689の後のトロンビン開裂が起こる場合保持されていることを証明する。従って、このようにして遺伝学的に設計されたFVIIIの機能的構築物も、トロンビン活性化に続いてFVIIIaヘテロトリマーをかなり発生させる。先のBDD FVIII構築物の機能的利点は、従って、FVIIIa由来のA2サブユニットの非共有結合の急速分解により限定される。
従って、改善された組換えFVIIIタンパク質の提供が望まれる。活性化に耐性のFVIIIaタンパク質もまた望まれる。更に、APC−耐性であるFVIIIaタンパク質を提供することもまた望まれる。野生型FVIIIと比較して増加した分泌を有するFVIIIの提供も望まれる。更に、増加した分泌およびAPC−耐性を有するFVIIIタンパク質の提供も望まれる。増加した分泌および不活性化耐性を有するFVIIIタンパク質の提供もまた望まれる。改善された組換えFVIIIで血友病患者を処置する方法の提供も望まれる。更に、処置に必要なFVIIIタンパク質の量を減少した、置換治療により血友病患者を処置する方法の提供も望まれる。
発明の概要
本発明は、凝血促進活性FVIIIタンパク質をコードする新規精製および単離核酸配列を提供する。一つの態様において、本発明の核酸配列は、A1−ドメイン、特にアミノ酸残基309のフェニルアラニンが変異した既知のヒトFVIII配列に対応するアミノ酸配列をコードする。好ましい態様において、Phe309は欠失しているか、他のアミノ酸残基、好ましくはセリンに置換されている。得られるFVIIIタンパク質は野生型FVIIIで典型的に得られるより高いレベルで分泌され、凝血促進活性を保持する。
他の態様において、本発明の核酸配列はAPC開裂部位が変異した既知のヒトFVIII配列に対応するアミノ酸配列をコードする。好ましい態様において、アミノ酸残基336および562は好ましくはそれぞれアルギニンからイソロイシンに、およびアルギニンからリジンに変異する。得られるFVIIIタンパク質はAPC耐性であり、従って便宜上、本明細書では一般に“APC耐性FVIII”と呼ぶ。
更に別の態様において、本発明の核酸は、B−ドメインが欠失し、フォン ウィルブラント因子結合部位が欠失し、トロンビン開裂部位が変異し、アミノ酸配列スペーサーがA2−およびA3−ドメインの間に挿入された、既知のヒトFVIIIに対応するアミノ酸配列をコードする。好ましい態様において、トロンビン開裂部位Arg740が、好ましくはアラニンでの置換により変異している。他の好ましい態様において、アミノ酸配列スペーサーがB−ドメインのアミノ部分、好ましくはB−ドメインのアミノ部分の54残基である。更に別の好ましい態様において、一つまたは両方のAPC開裂部位が、下記のように変異している。トロンビンでの活性化により、このタンパク質はA2−ドメインが軽鎖と共有結合しているヘテロダイマーであることが驚くべきことに発見された(図1B参照)。このヘテロダイマー配置は野生型ヘテロトリマー配置よりも安定であり、精製野生型FVIIIと比較して約5倍増加した特異的活性を有する。従って、好ましい態様において、本発明のFVIIIは一本鎖ポリペプチドとして分泌され、トロンビンによる活性化により不活性化耐性FVIIIヘテロダイマーとなる。便宜上、この本発明の新規FVIIIを本明細書で一般に“不活性化耐性FVIII”と呼ぶ。
更なる態様において、本発明の不活性化耐性FVIIIは、フォン ウィルブラント因子(vWF)と結合するように誘導し得る。抗軽鎖抗体であるESH8存在下で、vWF結合部位を欠失する本発明の不活性化耐性FVIIIは、vWFに増加した結合親和性を有することが判明した。vWFへの結合を誘発するこのような抗体または他の架橋剤は、本発明の不活性化耐性FVIIIを更に安定化するのに使用し得る。
更なる態様において、本発明の核酸配列は、残基309のフェニルアラニンでの変異を有するAPC耐性FVIIIアミノ酸配列をコードする。好ましくは、Phe309は欠失しているか、他のアミノ酸、例えばセリンで置換されている。本発明の核酸配列は、Phe309で変異を有する不活性化耐性FVIIIアミノ酸配列もまたコードし得る。再び、Phe309は好ましくは欠失しているか、他のアミノ酸、例えばセリンで置換されている。従って、本発明の核酸配列は不活性化耐性および/または増加した分泌を示すFVIIIタンパク質をコードする。
当業者は、本発明のタンパク質の不活性化耐性および獲得した増加した比活性のために、FVIII置換療法中、少ない量のタンパク質を血友病患者に投与し得ることを認識する。従って、本発明のタンパク質の利用により、患者のタンパク質の全暴露量は減少し、それにより阻害剤形成の可能性も低下する。本発明の新規FVIIIはまた遺伝子治療適用にも有用であることは更に認められる。
本発明の更なる目的、利点および特性は、添付の図面を考慮に入れて、以下の記載および添付の請求の範囲から明らかになる。
好ましい態様の詳細な説明
凝血促進活性FVIIIをコードする新規精製および単離核酸配列を提供する。A1−ドメイン変異を含む、既知のヒトFVIIIに対応するアミノ酸配列をコードする核酸配列が提供される。より具体的に、核酸配列は、アミノ酸残基309のフェニルアラニンが変異した既知のヒトFVIII配列に対応するアミノ酸配列をコードするように提供される。好ましい態様において、Phe309は欠失しているか、他のアミノ酸残基、好ましくはセリンで置換されている。得られるFVIIIタンパク質は野生型FVIIIで得られるよりも高いレベルで分泌され、凝血促進活性を保持する。
変異APC開裂部位を含む既知のヒトFVIII配列に対応するアミノ酸配列をコードする核酸配列もまた提供される。好ましい態様において、APC開裂部位Arg336およびArg562が、好ましくはそれぞれイソロイシンおよびリジンに変異している(R336IおよびR562K)。得られるFVIIIタンパク質はAPC耐性である。
核酸配列はまた、B−ドメインが欠失し、フォン ウィルブラント因子結合部位(即ち、軽鎖のアミノ末端の酸性領域)が欠失し、トロンビン開裂部位が変異し、アミノ酸配列スペーサーがA2−およびA3−ドメインの間に挿入された、既知のヒトFVIII配列に対応するアミノ酸配列をコードするように提供される。この態様において、更にAPC開裂部位変異、例えば、下記の一つまたは両方のAPC開裂部位変異を含み得る。好ましい態様において、トロンビン開裂部位Arg740が、好ましくはアラニン(R740A)またはリジン(R740K)での置換により変異している。本アミノ酸配列スペーサーは、トロンビンにより活性化され、A2−ドメインが軽鎖と共有結合しているヘテロダイマーとなるために十分な長さである。好ましい態様において、スペーサーは約54残基長である。他の好ましい態様において、残基794がスレオニンまたはロイシンである、野生型FVIII B−ドメインのアミノ部分の54残基、即ち残基741から794残基からなる。一本鎖ポリペプチド(新規FVIII、本明細書ではIR8とも呼ぶ)はトロンビンでの活性化により、精製野生型FVIIIと比較して約5倍増加した特異的活性を有するヘテロダイマー(新規FVIIIa、本明細書ではIR8aとも呼ぶ)となる。
更なる態様において、本発明の不活性化耐性FVIIIは、vWFへの結合を誘発する抗体または他の架橋剤と組み合わせて使用し得る。例えば、本発明のvWF結合部位欠失不活性化耐性FVIIIは、C2−ドメイン中のアミノ酸2248から2285のエピトープを認識する商品として入手可能なマウスモノクローナル抗体(American Diagnostics, Inc. Greenwich, CT)ESH8の存在により、不活性化耐性FVIIIがvWFに結合する。実施例4に詳述するように、本発明の不活性化耐性FVIIIは野生型FVIIIと比較してvWFに対して少なくとも10倍減少した親和性を有するが、ESH8存在下で、vWFに2倍しか減少していない親和性を有する。ESH8は、vWFに対するトロンビン開裂FVIII(FVIIIa)の親和性を増加させることにより野生型FVIIIの阻害剤として機能できるこが最近報告されている。Saenko E. L. et al., Blood 86, Avstruct No. 749 (1995)。vWFからのFVIII放出を減少することにより、A2解離および更にタンパク質分解開裂が、同様にvWFから十分放出され、そのコファクター機能を発揮できる前にFVIIIaを不活性化する。C2−ドメイン中のアミノ酸2218から2307のエピトープを認識するヒト阻害剤抗体がまた報告され、それは同様な機構で野生型FVIII活性化を阻害し、vWF結合の誘導に同様に使用し得る。Shima, M. et al., Blood, 86, Abstruct No. 74881995)およびShima, M. et al., British J. Hematol. 91:714−721(1995)。
更に別の態様において、本発明の核酸配列は、Phe309に更に付加的変異を有する、本明細書に記載のAPC耐性FVIIIをコードする。Phe309は好ましくは欠失しているか、他のアミノ酸、例えばセリンで置換されている。本発明の核酸配列はまたPhe309に付加的変異も有する、本明細書に記載の不活性化耐性FVIIIもコードし得る。またPhe309は好ましくは欠失しているか、他のアミノ酸、例えばセリンで置換されている。従って、本発明の核酸配列は不活性化耐性および/または増加した分泌を示すFVIIIタンパク質をコードする。
本発明の増加した特異的活性のために、治療的に有効なFVIII活性レベルを維持しながら、少ない量のタンパク質を血友病患者に投与し得ることは認識される。費用削減に加えて、FVIII置換治療において本発明のタンパク質を使用することにより、患者のタンパク質の全暴露量が減少し、それにより阻害剤形成の可能性を低減する。更に、本発明のタンパク質は遺伝子治療関連処置にも有用であることも認められる。
ヒトFVIIIのDNA配列は、発現法のように、既知である(例えば、Toole et al., Nature 312:312−317(1984);Wood et al., Nature 312:330−337, Vehar et al., Nature 312:337−342, 米国特許第4,757,006、WO87/04187、WO88/08035およびWO88/03558参照)。本発明のFVIIIタンパク質をコードする新規精製および単離核酸配列、即ち、実質的にヒトFVIIIと同様のまたは当分野で既知のおよび本明細書に記載のように修飾したその変異体ポリペプチド配列をコードする核酸配列は、既知の方法で製造し得る。例えば、Phe309およびAPCならびにトロンビン開裂部位での変異は、従って、cDNAの部位特異的変異誘発により作り得る。当業者は、“変異”が置換、挿入および欠失を含むがこれらに限定されない変化を意味することを認識する。FVIII核酸配列の残りは、米国特許第5,004,803、WO86/06101およびWO87/07144に記載のような、付加的修飾を包含することにより野生型FVIIIから変え得ることも更に認識される。FVIIIアナログがFVIII活性化可能性、不活性化可能性およびインビボ効果の特異的構造必須のよりよい理解のために開発され、また本発明の範囲内であることも理解される。最適化される性質は、とりわけ、単純な製造、容易な投与、安定性、改善されたクリアランス/分散特性、減少した免疫原性および延長した半減期である。更に、本発明に従った変異FVIII核酸配列もまた対立変異、即ち、個体と個体の性質変化による配列の変化、またはFVIII−タイプ凝血促進活性をまだ保持している他のコドン置換または欠失を含む。
ゲノムDNA、cDNAおよびヌクレオチドから部分的または全化学構合成により製造したDNAならびに変異を有するDNAのような別の核酸形もまた本発明の考慮の範囲内である。
本発明により提供される核酸配列と、プロモーター、オペレーター、レギュレーターなどの同種または異種発現コントロール配列との結合は、インビボおよびインビトロ転写を可能にして、mRNAを形成し、続いて新規FVIIIタンパク質および関連ポリおよびオリゴペプチドを大量に提供するために翻訳に付される。本発明は、従って、本発明の核酸配列の発現生産物ならびにこれらの発現生産物の活性化形を含む。現在好ましい本発明の発現システムにおいて、FVIIIコード配列は、哺乳類細胞内の転写および翻訳を可能にする調節プロモーター配列と操作可能に結合しており、例えば、凝血活性を有するFVIIIを提供する。
本明細書での使用において、“凝血促進活性”および“活性”FVIIIは、置き換え可能に使用され、凝血アッセイで凝血促進活性を明らかにされた1個またはそれ以上のポリペプチドまたはタンパク質を意味する。FVIIIなる用語は、本明細書でFVIIIaを含むように使用し得、当業者はこの用語がどちらの意味(前トロンビン活性化FVIIIまたはトロンビン活性化FVIII(FVIIIa))を意図して使用されているか認識する。本明細書での使用において、“ポリペプチド”なる用語は完全な長さのタンパク質分子だけでなく、それ自体または他のフラグメントと共に凝血アッセイでFVIII凝結促進活性を産生するフラグメントも含む。本発明の新規タンパク質生産物の合成ポリペプチドもまた本発明の範囲内であり、標準合成法に従って製造できることも認識される。本明細書で使用のアミノ酸番号付けシステムにおいて、アミノ酸残基1は天然、成熟FVIIIタンパク質の最初の残基であることもまた認識される。“ドメイン”なる用語は、当業者に既知のFVIIIの近い領域を意味することも更に認識される。
本明細書での使用において、“配列に実質的に対応する配列”なる句は、ストリンジェントな条件下である配列とハイブリダイズする配列およびハイブリダイズするが、過剰な遺伝子コードであり、特異的活性の発現生産物をもたらす配列を含む。ストリンジェントな条件は一般に65℃で、0.2×SSCである。“実質的に複製の(duplicative)”なる句は、ある配列と同一でなくてよいが、まだ標準凝血アッセイでFVIII活性を有する発現生産物、タンパク質および/または合成ポリペプチドをもたらす配列を含むことを意味する。
恐らく適当なウイルスおよび環状DNAプラスミドベクターが関与した標準形質転換、トランスフェクション法による本発明の配列の原核および真核宿主細胞への取り込みは、また本発明の考えの範囲内である。本発明の核酸配列を含み、発現できる真核および原核細胞発現ベクターは、当業者に既知の方法で合成し得る。細菌レプリコン、選択遺伝子、エンハンサー、プロモーターなどのようなベクターの成分は天然源から得られ得、または既知の方法で合成し得る(例えば、Kaufman et al., J. Mol. Biol. 159:601−621 (1982)およびKaufman, PNAS 82:689−693 (1995)参照)。本発明のタンパク質を製造するのに有用な発現ベクターはまた当分野で既知のように誘導可能プロモーターを含むか、または誘導可能発現システムを含み得る。
形質転換細胞系を含む樹立細胞系は宿主として適当である。正常2倍体細胞、一次組織のインビトロ培養由来の細胞株、および一次外植片(造血系細胞のような相対的に未分化細胞を含む)もまた適している。候補細胞は選択遺伝子が優勢に作用する限り、選択遺伝子が遺伝子型欠失している必要はない。
哺乳類宿主細胞の使用は、本発明の発現生産物に最適生物学的活性を付与するためになし得る、翻訳後修飾、例えば、タンパク質分解処理、糖付加、チロシン、セリンまたはスレオニンリン酸化を備える。樹立哺乳類細胞系、例えばCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞が従って好ましい。あるいは、ベクターがウシ乳頭腫ウイルスゲノムの全てまたは一部を含み(Lusky et al., Cell 36:391−401 (1984))、C127マウス細胞のような細胞系中に安定なエピソーム成分として包含され得る。他の有用な哺乳類細胞系はHeLa、COS−1サル細胞、ボーズ細胞のようなメラノーマ細胞、マウスL−929細胞、Swiss、Balb−cまたはNIHマウス由来の3T3系、BHKまたはHaKハムスター細胞系などを含む。
どのタイプの発現ベクターを使用しても、本発明のFVIII核酸とフォン ウィルブラント因子(vWF)または例えば、WO87/06101、WO88/08035および米国特許第5,250,421に記載のようなそのアナログを共発現するのに好適であり得る。アプロチニン、例えば約0.01から約5%、好ましくは約0.5から約1.0%(vol/vol)(Aprot.、15−3トリプシン阻害単位(TIU)/ml, Sigma)または他のプロテアーゼ阻害剤の対応する量の活性単位のようなプロテアーゼ阻害剤を含む培地中でタンパク質を発現させることもまた好適であり得る。
安定な形質転換体は、標準免疫学的または活性アッセイにより凝血促進生産物の発現に関してスクリーニングする。凝血促進タンパク質をコードするDNAの存在は、サザンブロットのような標準法で検出し得る。COS−1サル細胞のような適当な宿主細胞への発現ベクターの挿入後数日の凝血促進遺伝子の一過性発現を培養培地中のタンパク質の活性または免疫学的アッセイによる選択なしで測定する。慣用法によるDNAの発現後、このように生産されたタンパク質の、全ての既知の方法による回収、精製および/または物理学的、生化学的および/または臨床的パラメーターに関する特徴付けをし得る。
更なる態様において、本発明の核酸配列は、例えば、FVIIIの欠失による血友病の処置のために、遺伝子治療適用に使用し得る。本発明のFVIIIタンパク質の特異的活性の増加のために、治療に有効なFVIII活性は、野生型FVIIIを含むFVIIIの他の形と比較して、低タンパク質発現レベルで達成し得る。本発明の方法は、従って、本発明のヌクレオチド配列を標的細胞に挿入する段階を含む。移入を実施するために、移入するヌクレオチド配列を標的細胞を形質導入できる媒体と結合させ得る。当業者は、このような媒体が、アデノウイルス、レトロウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクター、ならびにリポソームおよびDNA−タンパク質複合体を含むが、これらに限定されない、遺伝子治療送達システムを含むことを認識する。
本発明は更に以下の説明的実施例および方法を参考にして理解されよう。これらは純粋に説明のためであり、本発明の真の範囲を限定するものではない。実施例1は本発明のA1−ドメイン変異FVIIIの製造および分析を記載する。実施例2は本発明のAPC耐性FVIIIの製造および分析を記載する。実施例3は本発明の不活性化耐性FVIIIの製造および分析を記載する。実施例4は、本発明の不活性化耐性FVIIIの誘導可能vWF−結合を記載する。実施例5は本発明のFVIIIタンパク質およびヌクレオチド配列を使用した医薬組成物および方法を記載する。
実施例1
A1−ドメイン変異第VIII因子の製造および分析
FVIIIの226−336領域(残基1は天然、成熟FVIIIタンパク質の最初のアミノ酸残基)への7量体ペプチドのBiP結合能を予測するために、統計学的アルゴリズム(Blond−Elguindi, S. et al., Cell 75:717−728 81993))を適用した。残基Leu303からPhe309は+14のBiP結合スコアを有することが(+10を超えるスコアはBiP結合の非常に高い可能性を有する)判明した。Fay, P. J. et al., J. Biol. Chem. 266:8957−8962 (1991)。この領域は11アミノ酸中7個がLeuまたはPheである、疎水性集団を含む。
最初に可能性のあるBiP結合ポケット中の全ての7個のLeuおよびPhe残基をAlaに変異した。オリゴヌクレオチド重複伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発による部位特異的変異を使用した。FVIIIの残基226−336がFV由来の同種残基(残基198−313)で置きかえられたFVIII/FVキメラを製造した。Marquette, K. A. et al., J. Biol. Chem. 270:10297−10303 (1995)。変異を含む部分的に相補的なプライマーを、FVIII/FVキメラcDNAの226および336のMIul部位を指向する二つのプライマーと共に使用し、指示した変異を含む二つの重複生産物を増幅した。これらの二つのフラグメントを単離し、二つのMIul部位含有プライマーを使用したPCRにより互いに融合させた。得られるMIulフラグメントを、次いで、発現ベクターpMT2中のMIul消化FVIII/FV226−336キメラ中にサブクローン化した。全ての変異体はPCR増幅領域のDNA配列決定により確認した。これらの変異をコードする発現ベクターをCOS−1細胞にトランスフェクトし、条件培地をコーテスト活性アッセイによるFVIII活性の分析に60時間目に取った。可能性のあるBiP結合ポケット中の全7つのLeuおよびPhe残基に変異したとき、分子は分泌されなかった。続いて、Phe残基を個々にFVの対応するアミノ酸に変異させた。F309S変異(単独または他の変異との組み合わせで)の分泌はいつくかのトランスフェクション実験で再現可能に2倍増加した。図2に示すように、他の隣接残基(F293S、F306W)での変異は分泌を改善しなかった。F309S変異の増加した分泌はFVIII抗原の2倍の増加と相関し、野生型FVIIIと同様の特異的活性を示す。20分の[35S]−メチオニンでの代謝標識で過剰な非標識メチオニンを含む培地での4時間の追跡は、野生型FVIIIと比較したF309の分泌および増加した分泌と相関したQ,F306/309K,S変異体の増加を示す。
安定トランスフェクトCHO細胞を、F309S変異体を発現するように操作した。ジヒドロ葉酸レダクターゼ発現で選択した35個の本来のトランスフェクトCHO細胞の中で、かなりの量のFVIII(約1U/ml/10細胞/日)のレベルを発現する5個のクローンが得られた。これらのクローンのうち二つは、1000個の本来のトランスフェクト細胞クローンのスクリーニングで得られた本来の10A1細胞系と同レベルのFVIIIを発現した。Kaufman, R. J. et al., J. Biool. Chem. 263:6352−6362 (1988)。従って、低濃度のメトトレキサート中で、変異体は、より容易に得られる高レベルのFVIII発現を可能にする。
メトトレキサート中での更なる選択を、FVIII/細胞の最大生産性が改善させるか否かを測定するために行う。実験は、安定にトランスフェクトされたCHO細胞中でF309W/S機能的FVIII変異体の分泌に関するBiP相互作用およびATP依存性を測定することにより行う。
実施例2
APC耐性第VIII因子の製造および分析
実験方法
材料。FVIII欠失血漿および正常貯蔵ヒト血清をGeorge King Biomedical, Inc., (Ocerland Park, KS)から得た。CL4B−セファロースに結合するFVIII(F8)の重鎖に対するモノクローナル抗体を使用し、既知の方法で製造した。活性化部分的トロンボプラスチン(Automated APTT試薬)をGeneral Diagnostics Organon Teknika Corporation (Durham, NC)から購入した。大豆トリプシン阻害剤であるフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)およびアプロチニンをBoehringer, Mannheim GmbH (Mannheim, Germany)から購入した。ヒトα−トロンビンをSigma Chemical Co. (St. Louis, MO)から得た。ヒトAPCをEnzyme Research Laboratories, Inc., (South Bend, IN)から購入した。ダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)、イーグル培地のα−修飾(α−MEM)および無メチオニンDMEMをGibco BRL(Gaithersburg, MD)から得た。ウシ胎児血清をPAA Laboratories Inc., (Newport Beach, CA)から得た。
プラスミド構築。部位特異的オリゴヌクレオチド介在変異誘発を、ギャップ−へテロ二本鎖法により行い、先に記載のように発現ベクターpED6にクローン化したFVIII cDNA中にArg336Ile(R336I)および/またはArg562Lys(R562)変異を挿入した。Pittman, D. D. et al., Method in Enzymology Vol. 222 (San Diego, CA;Academic Press, Inc), p.236(1993)およびToole, J. J. et al., PNAS (USA) 83:5939 (1986)。変異を広範囲制限エンドヌクレアーゼ消化およびDNA配列分析により確認した。得られる分子をR336IまたはR562Kおよび、本明細書でAPC耐性FVIIIと呼ぶ二重変異体をR336I/R562Kと命名した。加えて、R336I/K338I二重変異体もまた構築した。
合成および分泌の分析。プラスミドDNAをCOS−1細胞に、ジエチルアミノエチル(DAEA)−デキストラン法で、記載のようにトランスフェクトした。Pittman, d. D. et al., Method in Enzymology Vol. 222 (San Diego, CA;Academic Press, Inc.) p. 236 (1993)。条件培地を、FVIIIアッセイのために、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)存在下でトランスフェクションした後60時間に回収した。続いて、細胞を前記のように[35S]−メチオニンで代謝的に標識した。Pittman, D. D. et al., Method in Enzymology Vol. 222 (San Diego, CA;Academic Press, Inc.)p. 236 (1993)。標識条件培地を回収し、CL−4Bセファロースと結合するF8抗体で免疫沈降した。条件培地由来の免疫沈降タンパク質をトリトンX−100含有PBSで洗浄し、50mM トリス−HCl、pH7.5、150mM NaCl、2.5mM CaClおよび5%グリセロール(緩衝液A)で洗浄し、トロンビン8.5U/mlありまたはなしで37℃、1時間処理した。サンプルをドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で還元条件下分析し、En3hance(Dupont;Boston, MA)で処置することにより、蛍光間接撮影法後にオートラジオグラフィーにより可視化した。
FVIIIのAPC開裂の分析。放射標識および免疫沈降FVIIIを緩衝液Aに再懸濁し、ウシAPC 30μg/mlでイノシチン 100μg/mlおよび10mM CaCl存在下で37℃で1.5時間処理した。得られるポリペプチドをSDS−PAGEで分析し、上記のようにオートラジオグラフィーで可視化した。
CHO細胞系の製造およびFVIIIの精製。大量のFVIIIを得るために、安定にトランスフェクトしたCHO細胞系を野生型およびAPC耐性FVIIIをコードするDNAを含むように操作した。発現プラスミドをCla1で消化し、CHO細胞にリポフェクション法を使用してトランスフェクトした。Pittman, D. D. et al., Method in Enzymology Vol. 222 (San Diego, CA; Academic Press, Inc.), p. 236 (1993)。条件培地をCL−4Bセファロースに結合したF8抗体のカラムに適用した。結合FVIIIが60%エチレングリコール含有緩衝液で溶出し、10%ポリエチレングリコール(MW 15K−20K)含有緩衝液に対して透析することにより濃縮した。Fay, P. J. et al., J. Biol. Chem. (投稿中) (1996)。濃縮サンプルを5mM CaCl含有修飾緩衝液A(緩衝液B)に対して透析した。精製製剤のFVIII凝血活性は約20U/mlであった。精製タンパク質の構造をSDS−PAGEおよび銀染色により行った(Bio−Rad Laboratories;Hercules, CA)。
FVIIIアッセイ。FVIII活性を、基質としてFVIII欠失血漿を使用して一段階凝血アッセイで測定した。FVIII活性の一単位は、正常ヒト貯蔵血清1ml中の量である。トロンビン活性化に関して、条件培地を緩衝液Aで希釈し、室温で1U/mlのトロンビンとインキュベートした。長い時間のインキュベーションの後、アリコートを希釈し、FVIII活性をアッセイした。
FVIIIのAPC活性化。緩衝液Bで3U/mlに希釈した精製FVIIIサンプルを100μg/mlイノシチンおよびヒトAPC 100ng/mlと混合するか、コントロールとして緩衝液単独であった。37℃で長時間の後、アリコートを希釈し、残ったFVIIIを測定した。
ACP耐性アッセイにおけるAPC耐性FVIIIの効果。精製FVIII 20U/mlをFVIII欠失血漿で1U/mlに希釈した。これらのサンプルを説明書に従って商品APCアッセイキット(Coatest APC Resistance;Chromogenix, Molndal, Sweden)で試験した。
結果
R336I、R562KおよびR336I/R562K変異FVIII分子は野生型FVIIIと同様にFVIII活性を有して効率的に分泌される。FVIIIの活性および分泌を、COS−1サル細胞の一過性DNAトランスフェクションにより測定した。条件培地中のFVIII凝血活性は、全変異体が野生型FVIIIと同様の、約300mU/mlのFVIIIを有することを証明する(表1参照)。条件培地サンプルのトロンビン活性化は、トロンビン活性化と凝血促進活性衰退の速度に差異のないことを示した。図3に示されるように、サンプルはトロンビン添加10秒後にすぐに活性化(3−5倍)され、すぐに不活性化された。図3において、記号は野生型FVIII(×)、R3361I(●)、R562K(◇)およびR336I/R562K(▲)を示す。FVIII分泌を測定するために、トランスフェクション細胞を[35S]−メチオニンで2時間標識し、次いで4時間、過剰な非標識メチオニン含有培地で追跡した。分泌タンパク質を標識条件培地の免疫沈降により分析した。図4Aに示すように、野生型FVIIIおよび全変異体は300kDa一本鎖および200kDa重鎖および80kDa軽鎖として同様のレベルを分泌した。図4Bに示すように、全分子のトロンビン開裂は、予期した通り、73kDaで移動する軽鎖および50kDa A1−ドメインおよび43kDa A2−ドメインに対応する重鎖由来フラグメントを発生させた(図4B)。加えて、野生型FVIIIおよびR562Kに関して(図4B、レーン7および9)、残基336で開裂があり、45kDa種を発生する。比較して、R336IおよびR336I/R562K(図4B、レーン8および10)変異体は45kDa種を発生させず、残基336でのイソロイシン変異が発現トロンビンによる開裂に抵抗性であることを示す。図4Aおよび4Bで、分子サイズマーカーを左に示し、“Mock”はDNAを受けていない細胞を示し、sc、hcおよびlcはそれぞれ一本鎖、重鎖および軽鎖を示す。
Figure 0004250661
変異部位でのAPC開裂に対して、R562Kは完全に耐性であり、R336Iはほとんど耐性である。FVIIIaのAPC開裂は、[35S]−メチオニン標識免疫沈降物FVIIIをAPCで処理することにより評価した。5−15%勾配ゲルのSDS−PAGEで分析した野生型FVIIIのAPC開裂生産物は、A1−ドメインを示す50kDaおよび45kDaおよびA2−ドメインを示す43kDaの重鎖フラグメントを検出し、これはDNAを受けていない細胞の条件培地では示されなかった。図5A、レーン2に示されるように、25kDaの低分子量生産物が検出され、A2−ドメインのカルボキシ末端を示した。図5A、レーン3に示されるように、野生型と比較して50kDaの増加および45kDa開裂生産物の減少により示されるように、R336I FVIIIは残基336で開裂に部分的に耐性であった。R336Iは25kDa種の量の変化をせず、残基562での有効な開裂を示す。図5A、レーン4に示されるように、野生型と比較して43kDaフラグメントの増加および25kDaフラグメントの消失により示されるように、R562K変異FVIIIは残基562で開裂に耐性であった。しかしながら、R562K変異は、強い45kDaフラグメントにより示されるように、336で有効に開裂された。R336I/R562K二重変異体のAPC処理は、野生型FVIIIと比較して、50kDaおよび43kDa種を増加させ、45kDaを減少させ、25kDaを欠失させる(図5A、レーン5参照)。R336I変異体のAPC開裂由来の45kDaフラグメントの移動は、8%ポリアクリルアミドゲルのSDS−PAGEにより分析して、わずかに減少した(図5B参照、レーン7と8の比較)。この変異体が残基338の隣接リジンで開裂され得るかを決定するために、R336IおよびK338I二重変体を部位特異的変異誘発により製造した。R336I/K338I変異体は45kDaフラグメントをAPC消化で製造しなかった(図5B、レーン9参照)。図5Aおよび5Bにおいて、分子サイズマーカーを左に示し、“Mock”はDNAを受けていない細胞を示す。
FVIIIのArg336およびArg562両方での変異誘発はAPC不活性化に対する耐性に必要である。フォン ウィルブラント因子(vWF)はFVIIIのAPC不活性化を阻害する。Koedam, J. A. et al., J. Clin. Invest. 82:1236 (1988)およびFay, P. J. et al., J. Biol. Chem. 266:2172 (1991)。従って、APC不活性化を試験するために、野生型およびAPC開裂部位変異FVIII分子を発現する安定にトランスフェクトされたCHO細胞を操作した。条件培地をFVIII精製のために回収した。図6に示されるように、還元条件下でのSDS−PAGEおよび銀染色による精製タンパク質の分析は、全ての分子が最小変性の重鎖(hc)および軽鎖(lc)の同様のポリペプチドおよびvWF欠失を有することを証明した。これらの精製タンパク質は、次いで、APCによる機能的不活性化を分析する。図7Aに示されるように、全サンプルの活性は、R336I/R562K(▲)二重変異体以外、APC非存在下で、37℃で10分のインキュベーション後に80%減少し、その後60分安定であった。APC存在下で、野生型FVIII(×)は38%の残存活性を10分で、8%を60分で有した。APC存在下で、R336I(●)およびR562K(◇)他2つ変異体の不活性化は同じであり、両方とも野生型FVIIより遅かった。R336IおよびR562K変異体は、それぞれ、60分後に最初の活性の41%および30%を残存していた。比較して、R336I/R562K(▲)二重変異体は不活性化に耐性であり、60分後、76%の活性を保持していた。結果は、従って、R336I/562K二重変異体が最も耐性であり、両方の単一変異体はAPC不活性化に部分的にのみ耐性であることを証明した。
APC耐性FVIIIを検出するためのAPC耐性アッセイキットの能力。現在、商品として入手可能なAPC耐性アッセイキット(Coatest APC Resintance;Chromogenix, Molndal, Sweden)を、FV R506Q変異に関連する血栓症疾病の患者の血清をスクリーンするのに使用した。このキットがAPC耐性FVIIIを検出する能力を、精製野生型または精製変異FVIIIのいずれかでFVIII欠失血漿を再構築することにより試験した。APC耐性比を、APC非存在下での凝固時間で割ったAPCの存在下での凝血時間の測定により計算した(表2)。R336I/R562K二重変異体のみが2より低いAPC耐性比を示し、この価はAPC耐性表現型を示す。Svensson, P. J. et al., N. Engl. J. Med. 336:517 (1994)。
Figure 0004250661
考察
全ての変異体は野生型FVIIIと同じFVIII活性で、効率的にCOS−1から分泌された。APC開裂の分析は、タンパク質の[35S]−メチオニン標識および免疫沈降に続く条件培地中のFVIIIの分析で行った。R336I変異体は残基336で、開裂に部分的に耐性であったが、Arg562での開裂には感受性であった。一方、R562K変異体は残基562での開裂には完全に耐性であったが、Arg336での開裂には感受性であった。これらの結果は、Arg336およびArg562の単一変異は変異部位での開裂に影響し、FVIIIのこれら二つの部位におけるAPC開裂に必要な命令ではないことを示す。二重変異体R336I/R562Kは残基336での開裂に部分的に耐性であり、残基562で完全に耐性であった。R336Iの開裂は、二重変異体R336I/K338Iがこの部位での開裂に完全に耐性であるため、隣接残基であるLys338で同様に起こる。これらの結果は、FVIIIのAPC開裂を不完全にできる、即ち、開裂に厳格な間隔要求がないことを示す。
FVIIIのAPC開裂の動態分析は、Arg562がArg336よりも優先的に開裂され、この最初の開裂がコファクター活性の損失と密接に関連していることを示した。Fay, P. J. et al., J. Biol. Chem. 266:20139 (1991)。残基562での開裂耐性の結果としてのR562K単一変異体の遅い不活性化は、仮説と矛盾せず、得られる不活性化はArg336の開裂によるものであった。しかしながら、R336I単一変異体は、Arg562での開裂により部分的に不活性化されただけであった。両方の単一開裂部位変異体が本明細書に記載の条件下で同様の程度で不活性化されることから示される。Arg336およびArg562の開裂が同時に起こることを仮定して、FVIIIの不活性化におけるArg336またはArg562のいずれかでの開裂の効果は同様であるように見える。野生型FVIIIの急速不活性化は、FVIIIの不活性化のためのArg336とArg562の開裂の相乗効果によるものであり得る。
現在、FVIIIのAPC開裂部位の変異を有する患者に関する報告はない。これらの変異がAPC耐性表現型を有するか否かを評価するために、APC耐性FVIII分子を商品として入手可能なAPC耐性アッセイキット(Coatest APC Resistance;Chromogenix, Molndal, Sweden)で試験した。R336I/R562K二重変異体のみが低いAPC−耐性率を示した。このアッセイキットは、従って、FVIIIの単一APC開裂部位変異体のいずれも検出できない。FVIIIとは対照的に、FV APC開裂部位変異体の両方、即ちArg360GlnおよびArg560Glnがこの圧制で減少したAPC−耐性比率を示した。この結果は、従って、商品として入手可能なAPC耐性キットが、両方のAPC開裂が阻害されていない限りFVIII APC耐性変異体を検出できないことを示す。
実施例3
不活性化耐性第VIII因子の製造および分析
実験法
材料。抗重鎖第VIII因子モノクローナル抗体(F−8)、CL−4Bセファロースに結合したF−8および精製組換え第VIII因子タンパク質をGenetics Institute Inc. (Cambridge, MA)から得た。抗ヒトvWFホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)−結合ウサギ抗体をDako Corp. (Carpinteria)から得た。抗軽鎖第VIII因子モノクローナル抗体、ESH−4およびESH−8をAmerican Diagnositca, Inc. (Greenwich, CT)から得た。第VIII因子欠失および正常貯蔵ヒト血清をGeorge King Biomedical, Inc (Overland Park, KA)から得た。活性化部分トロンボプラスチン(Automated APTT試薬)およびCaClをGeneral Diagnostics Organon Teknika Corporation (Durham, NC)から得た。ヒトトロンビン、大豆トリプシン阻害剤、フェニルメチルスルホニルフロリドおよびアプロチニンはBoerhinger, Mannheim GmbH (Mannheim, Germany)から得た。O−フェニレンジアミンジヒドロクロライド(OPD)はSigma Chemical Co. (St. Louis, MO)から得た。[35S]−メチオニン(>1000Ci/mol)をAmersham Corp. (Arlington Heights, IL)から得た。EnHanceをDupont (Boston, MA)から得た。ウシ胎児血清をPAA Laboratories Inc. (Newport Beach, CA)から得た。ダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)、無メチオニンDMEM、OptiMEM、ビオチンN−ヒドロキシサクシンイミドエステルおよびストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合体をGibco BRL (Gaithersburg, MD)から得た。
プラスミド変異誘発。変異誘発を、FVIII cDNAを含む哺乳類発現ベクターpMT(37)(pMTVIII)で行った。変異プラスミドをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用したオリゴヌクレオチド部位特異的変異誘発を介して製造した。オリゴヌクレオチド特異的変異誘発の詳細に関しては、Smith, M., Annu. Rev. Genet. 19:423 (1985)参照。
構築物1 − 90/73 R740K。ベクターpMT90/73をDNA鋳型として使用した。90/73構築物はNesheim, M. et al., J. Biol. Chem. 266:17815−17820 (1991)およびPittmanm, D. et al., Blood 70, Abstruct No. 392 (1987)に記載されている。一般に、90/73構築物は、B−ドメインおよびvWF結合部位(軽鎖の酸性部位)が欠失した(del 741−1689)野生型FVIII cDNA配列である。オリゴヌクレオチド−特異的変異誘発を使用して、PCRフラグメント、KpnI/R740K/Apalを製造し、KpnI/Apal消化pMT90/73にライゲートした。
構築物2 − 70/b/73 R740K。ベクターpMTVIIIをDNA鋳型として使用した。オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を使用して、PCRフラグメントKpnI/b/1689 MIul(bは、残基794および795/1698のMIul部位予測アミノ酸スレオニンおよびアルギニンに続く野生型配列のアミノ酸残基741から793をコードするDNA配列を意味する)を製造し、それをKpnI/Apal消化pMTVIII/1689/MIulにライゲートした。続くアミノ酸配列(およびそれをコードするヌクレオチド配列)が、残基794がスレオニンまたはロイシンであり得、好ましくはスレオニンである好ましいアミノ酸スペーサーである。
Figure 0004250661
構築物3 − 90/b/73 R740A。ベクター90/b/73をDNA鋳型として使用した(bは上記の意味および残基794のスレオニンをコードする)。オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を使用し、PCRフラグメントKpnl/R740A/b/Apalを製造し、それをKpnI/Apal消化pMT90/73にライゲートした。
構築物4 − 90/b/73 R740A/R1689A (DM1)。ベクター90/b/73をDNA鋳型として使用した(bは上記の意味および残基794のロイシンをコードする)。オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を使用し、PCRフラグメントKpnl/R740A/b/R1689A/Apalを製造し、それをKpnI/Apal消化pMT90/73にライゲートした。
構築物5 − 90/b/73 R336I/R740A。ベクターPMTVIII/R336IをSpeIおよびKpnIで消化した。フラグメントをSpeI/KpnI消化90/b/74R740A(bは上記の意味および残基794のスレオニンをコードする)にライゲートした。
構築物6 − 90/b/73 R336I/R562K/R740A(IR8)。ベクターPMTVIII/R562KをBgIIIおよびKpnIで消化した。BgIII/R562L/KpnIフラグメントをBgIII/KpnI消化90/b/74R336I/R740A(bは上記の意味および残基794のスレオニンをコードする)にライゲートした。
野生型FVIII cDNA配列を含むプラスミドをFVIII WTで消化した。全てのプラスミドを塩化セシウムを通して遠心し、制限エンドヌクレアーゼ消化およびDNA配列分析により特徴付けした。
DNAトランスフェクションおよび分析。プラスミドDNAをCOS−1細胞にDEAE−デキストラン法でトランスフェクトした。条件培地を64時間後トランスフェクションで、10%ウシ胎児血清の存在下で回収した。FVIII活性を、MLA Electra750の一段階APTT凝血アッセイで測定した。タンパク質合成および分析を、[35S]−メチオニン(無メチオニン培地中に300mCi/ml)で30分トランスフェクションした後、64時間目に細胞を代謝的に標識し、続いて100倍過剰の非標識メチオニンおよび0.02%アプロチニンを含む培地で4時間追跡して、分析した。WTおよび変異FVIIIタンパク質を等量の比率の細胞抽出物および条件培地から、CL−4Bセファロースに結合したF−8で免疫沈降させた。免疫沈降物を洗浄し、Laemmliサンプル緩衝液に再懸濁させた。サンプルを還元SDS−低ビス−8%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動することにより分析した。ゲルをEnHanceで処理し、タンパク質をオートラジオグラフィーで可視化した。
タンパク質精製。部分的に精製したIR8タンパク質を、一過性にトランスフェクトしたCOS−1細胞由来の200mlの条件培地から、免疫親和性クロマトグラフィーにより得た。部分的に精製したFVIII WTタンパク質を、安定にトランスフェクトしたCHO細胞由来の200mlの条件培地から、免疫親和性クロマトグラフィーにより得た。エチレングリコール含有緩衝液に溶出するタンパク質を、ポリエチレングリコール(MW〜15−20,000)含有緩衝液に対して透析および濃縮し、−70℃で貯蔵した。
FVIII活性アッセイ。FVIII活性を一段階APTT凝血アッセイで、ヒトFVIII−欠失血漿の再構築により測定した。トロンビン活性化に関しては、タンパク質サンプルを50mM トリス−HCl、pH7.5、150mM NaCl、2.5mM CaClおよび5%グリセロールに希釈し、室温で1U/mlトロンビンと共にインキュベートした。長期間のインキュベーションの後、アリコートを希釈し、FVIII活性に関してアッセイした。FVIII活性の一単位は正常非と貯蔵血清の1mlで測定される量である。
FVIII抗原測定。FVIII抗原を、抗軽鎖抗体ESH−4およびESH−8を使用してサンドイッチELISA法で定量した。精製組換えFVIIIタンパク質を標準として使用した。
結果
FVIII不活性化耐性の発生。上記の構築物は全て、B−ドメイン(残基795から1647)およびvWF結合部位(残基1648から1688、また軽鎖のアミノ末端の酸性領域とも呼ぶ)が欠失している90/73を基本にしている。Nesheim, M. et al., J. Biol. Chem. 266:17815−17820 (1991)およびPittman, D. et al., Blood 70, Abstruct No. 392 (1987)。図8は野生型FVIIIおよび上記構築物ならびにAPCおよびトロンビン開裂部位での変異体を示す。本明細書および図8での記載において、“b”は、A2−ドメインが軽鎖と共有結合したままである、タンパク質が、ヘテロダイマーとなるために、トロンビンにより活性化されるために十分な長さを可能にするものである。好ましい態様において、アミノ酸配列スペーサーは好ましくは野生型B−ドメインのアミノ部分、即ちアミノ酸残基741から793であり、MIul部位(クローニング目的の)に続き、残基794予測されるアミノ酸スレオニンまたはロイシン、好ましくはスレオニン、および795/1689にアルギニンを有する。
図8は本発明の構築物の活性化のモデルを示す。野生型FVIIIおよび変異体90/73の両方はトロンビン活性化でヘテロトリマーとなる。アミノ酸配列スペーサーが、トロンビン開裂部位に変異を有する(del1795−1688/Arg336Iso/Arg562Lys/Arg740Ala)90/73のA2−とA3−ドメインの間に挿入された場合、トロンビンでの活性化により、開裂はArg372の後にのみ起こり、FVIIIaヘテロダイマーを発生する。子の新規FVIIIタンパク質はIR8と命名し、トロンビン活性化の後、安定な活性を維持する。
IR8の合成および分泌。FVIII WTおよび種々の不活性化耐性変異体を、COS−1サル細胞へのcDNA発現ベクターの一過性DNAトランスフェクションにより比較した。トランスフェクション後60時間で合成速度を[35S]−メチオニンパルス標識細胞からの細胞抽出物の免疫沈降により分析した。細胞内FVIII WTは、一本鎖形で検出され、約250kDaで移動した(図10、レーン1)。変異体90/80は、先に特徴付けされたBDD FVIII変異体(del741−1648)であり、これは〜170kDaで移動し、合成の増加した効率と一致したパルス標識細胞抽出物からの増加した強度を証明する(図10、レーン3)。90/73は、酸性領域の残基の付加的欠失のためにわずかに遠くに移動する(図10、レーン5)。IR8を含む全ての90/b/73基本構築物は90/80および90/73構築物と同じバンド強度を示し、多重ミスセンス変異が効率的なタンパク質構成により妨害されないことを示した。細胞抽出物内の付加的バンドは、抗FVIII特異的抗体で免疫沈降した擬似細胞抽出物では観察されず、両方のFVIII特異的タンパク質および共免疫沈降細胞内タンパク質を示す。4時間の追跡時間に続いて、FVIII WTの大多数は細胞抽出物からなくなり(図10、レーン2)、その280kDa一本鎖、200kDa重鎖および80kDa軽鎖形で追跡条件培地から回収できる(図10、レーン3)。全てのBDDおよび不活性化耐性変異体が、4時間の追跡後に細胞抽出物内に残るかなりの量のその一次翻訳生産物を示すが(図10、レーン4、6、8、10、12)、それらは全て一本鎖種として追跡条件培地から回収される(図11、レーン5、7、9、11、13)。従って、FVIII構築物の種々の置換は、分泌に明白な影響を与えなかった。
トロンビン開裂後のIR8の構造安定性。追跡条件培地から免疫沈降させた標識FVIIIタンパク質をトロンビン(1U/ml)と、30分、SDS−PAGE分析前にインキュベートした。FVIII WTは50kDa A1サブユニット、43kDa A2サブユニットおよび73kDa トロンビン開裂軽鎖、A3−C1−C2から成るヘテロトリマーのフラグメントに開裂された(図11、レーン4)。70/73 WTまたはFVIII WTと同様のサブユニットのヘテロトリマーに開裂され(図11、レーン6)、先の観察および図1Aの記載と一致した。90/73 Arg740Lysは50kDa A1サブユニットおよびA2−A3−C1−C2融合軽鎖と一致するトロンビン開裂サブユニットのヘテロダイマーを発生させた(図11、レーン8)。90/b/73 Arg740Lysは、二つのヘテロマー種、50kDa A1/120Kda A2−b−A3−C1−C2ヘテロダイマーと一致するトロンビン開裂フラグメントならびに43kDa A2サブユニットおよびb−A3−C1−C2融合軽鎖と一致する〜85kDaを立証した(図11、レーン10)。A2サブユニットのトロンビンでのインキュベーション後の出現は、Lys740がbスペーサー存在下でトロンビン開裂で完全に排除されないことを示した。Ala740の付加的ラジカルミスセンス変異では、安定なヘテロダイマー種が立証された(図11、レーン12)。トロンビン開裂後のこの安定なヘテロダイマー構造は、ミスセンス変異Arg336IsoおよびArg562Lysの追加によりIR8で維持された(図11、レーン14)。
トロンビン活性化に続くIR8の機能的安定性。トロンビン開裂によるIR8ヘテロダイマーの構造の完全さの証明として、この修飾の活性化および不活性化による機能的結果を、インビトロ機能的アッセイで試験した。免疫親和性精製FVIII WTおよびIR8をトロンビンとインキュベートし、一段階APTT凝血アッセイによりFVIII活性をアッセイした。機能的活性化および不活性化の一つの例を図12に示し、典型的に多重反復実験である。これらの条件下で、FVIII WTはトロンビンとのインキュベーションの最初の10秒以内に最大活性化し、次の5分で急速に不活性化された。IR8はトロンビンとのインキュベーションで30秒でピーク活性に到達せず、FVIII WTと比較したトロンビン活性化の適度な感受性の減少を示した。加えて、トロンビン活性化IR8のピーク活性は低く(トロンビン活性化FVIII WT活性のピークの74.7±6.7%、n=3)、コファクターとしてのある減少した効果を示す。しかしながら、IR8はトロンビンとのインキュベーションの最初の10分にわたりピーク活性を明白に保持し(IR8のピーク活性の66.9±5.3%、n=3)、FVIII WTはほとんど完全に不活性な時間であった。トロンビンとの長時間のインキュベーションでピークIR8のピーク活性は徐々に損失するが、IR8はトロンビンと4時間インキュベーション後にまだ〜38%のピーク活性を保持した。
IR8はインビトロで増加したFVIII特異的活性を示す。免疫親和性精製FVIII WTおよびIR8を、最初の時間が10秒である、一段階APTT凝血アッセイを使用してFVIII活性をアッセイした。抗原決定は、FVIII軽鎖ベースELISAを使用して行った。図13は、特異的活性として発現される活性化および不活性化の減少速度を示す。IR8の特異的活性の価は、その分子量に対しての補正を基本にして計算した。IR8はFVIII WTと比較して、5倍増加した特異的活性を有することが観察された(102±43対18.6±7.4U/mgタンパク質)。
実施例4
不活性化耐性第VIII因子の誘導可能vWF結合
実験法
イムロン2マイクロタイターウェル(Dynatech Laboratoreis, Inc.Chantilly, VA)を、2μg/mlの濃度のFVIII抗体で、一晩4℃で、0.05M炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム、pH9.6の緩衝液中でコートした。ウェルをTBST(50mMトリスHCl/pH7.6、150mM NaCl、0.05%トゥイン20)で洗浄し、次いでTBST中の3%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした。タンパク質サンプルをTBST、3%BSA、1%第VIII因子欠失ヒト血清±ESH8(ESH:FVIIIタンパク質のモル比=2:1)で希釈した。サンプルを2時間、37℃で1.7mlマイクロチューブ中でインキュベートした。次いで、サンプルを更に2時間ブロックおよび洗浄マイクロタイターウェルでインキュベートした。次いで、ウェルを10mM CaCl含有TBSTで洗浄した。抗vWF−HRP抗体をTBST、3%BSA、10mM CaClで希釈し、ウェル中で2時間、37℃でインキュベートした。10mM CaCl含有TBSTでの更なる洗浄後、OPD基質をウェルに添加し、3分インキュベートした。発色反応を2M HSOで停止させ、光学濃度(O.D.)をEL 340自動マイクロプレートリーダー(Biotek Instruments Inc., Winooski, VT)を使用して、790mnで読み取った。
結果
図14はFVIII−vWF結合ELISAの結果を示す。抗−A2−ドメインとラップを使用した。FVIII−欠失血漿(1:100希釈)との4時間のインキュベーション後、結合をペルオキシダーゼ結合抗−vWFabで検出した。図14に示されるように、野生型FVIIIと比較して、IR8のvWFに対する10倍低い結合親和性がESH8非存在下で、およびESH8の存在下で2倍低い結合親和性が観察された。
図15はトロンビン(IIa)および/またはESH8とのFVIII−vWF結合ELISAの結果を示す。同じELISA法を使用したが、FVIII欠失血漿存在下で2倍モル過剰のESH8およびIIa(1U/ml)との4時間インキュベーションを使用した。図15に示されるように、IR8はトロンビン活性化後にvWFを保持し、ヘテロダイマーがトロンビン開裂後もそのままであり、ESH8がvWFにある親和性を保持するように、軽鎖配置を安定化することを示す。
上記の結合アッセイがFVIIIのA−ドメインのみを認識する“トラップ”抗体を使用したため、タンパク質の残りと結合するA−ドメインを認識するFVIII−vWF複合体のみを検出する。従って、過剰のトロンビン存在下でのタンパク質の4時間のインキュベーションに続き、FVIII野生型は十分に活性化されていないが、A2解離および/または更なるタンパク質分解開裂を介して完全に不活性化もされており、このアッセイにより認識される錯体中のvWFともはや結合しない。本発明の不活性化耐性FVIIIは、従って、トロンビンによる完全な活性化後でさえ、融合可能な結合を保持する。
本発明の不活性化耐性FVIIIの誘導可能vWF結合形は、活性を保持することもまた示された。このアッセイにおいて、抗−vWF抗体をELISAの“トラップ”として使用した。同じインキュベーションを、トロンビンおよびESH8存在下および非存在下で行った。プレート上でのFVIII−vWF錯体の固定化に続き、FVIII活性を色素原性FVIIIアッセイキット(Coamatic, Pharmacia Heper, Franlin, OH)を使用して、ELISAウェル中で測定した。図16に示されるように、トロンビンでの活性化に続いて、FVIII野生型ではFVIII−vWF複合体の明白な活性は観察されなかった。しかしながら、不活性化耐性FVIIIはまだ同じ条件下で検出可能な活性を有した。これは、トロンビン活性化に続いて、不活性化耐性FVIIIは、vWFへのESH8−誘導可能結合を有し、FVIII活性を保持するA2−b−A3−C1−C2の修飾軽鎖に関連して、A1ヘテロダイマーに開裂することを示す。
このEDH8−誘導IR8−vWF複合体の機能的衝撃は、またAPTTを介したFVIII活性のアッセイにより評価した(表3)。ESH8非存在下で、免疫親和性精製FVIII WTおよびIR8はFVIII−欠失血清と37℃で4時間のインキュベーションで、最小の活性の損失を示した。ESH8存在下で、FVIII WT活性は約70%阻害されたが、IR8はその最初の活性の100%を保持した。これらの結果は、ESH8存在下でのWT FVIIIの不活性化はA2サブユニット解離によるものであり、IR8は、A2サブユニット解離に感受性でないため、ESH8により不活性化に耐性であることを示す。
Figure 0004250661
実施例5
医薬組成物および使用
医薬組成物
本発明のFVIIIタンパク質は、当業者に既知の方法に従って、非経口に許容し得る媒体および賦形剤と製薬学的に許容される組成物に調剤できる。本発明の医薬組成物は、非経口投与に適しており、簡便には、好ましくは受容者の血液と等張の溶液を製造するために、滅菌溶液の添加により再構成し得る、タンパク質の滅菌凍結乾燥製剤を含む。製剤は例えば、単位または多投与量容器、密封アンプルまたはバイアル中に存在し得る。
このような医薬組成物は、当分野で既知の製薬学的に許容される担体、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定化剤および/または他の物質も含み得る。“製薬学的に許容される”なる用語は、活性成分の生物学的活性の効果を妨害しない、非毒性物質を意味する。担体または他の物質の特性は、投与の経路に依存する。
本発明の医薬組成物中のFVIIIタンパク質の量は、処置する病気の性質および重症度、および患者が受けている先の治療の性質に依存する。最終的に、担当医師が個々の患者を処置するタンパク質の量を決定する。静脈内投与処置の期間も同様に、処置する疾病の重症度および個々の患者の特異的な反応の可能性に依存して変化する。
加えて、本発明のFVIIIタンパク質をコードする核酸配列は、当分野で既知の方法に従った遺伝子治療送達システムと組み合わせ得る。このような送達システムは、アデノウイルス、レトロウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクターならびにリポソームおよびDNAタンパク質複合体を含むがこれらに限定されない。本発明の配列は、例えば、十分な調節ヨウ素の使用を介して転写を可能にする方法でこのような送達システムをその中に含むかそれと操作可能に連結している。このような遺伝子治療送達システムの製造のための種々の概念および方法が当業者に既知であることは認識される。
使用法
本発明のタンパク質を含む医薬組成物は、FVIII欠失によりもたらされる血友病に罹患している患者の処置に使用し得る。
本発明の処置を実施する方法において、治療的有効量のFVIIIタンパク質を、FVIII欠失による血友病に罹患している哺乳類に投与する。“治療的有効量”なる用語は、方法または組成物中の各活性成分の合計用量が、有意な患者への利益を示す、即ち出血の停止に十分な量を意味する。
本発明のタンパク質の投与は、種々の慣用経路で行うことができる。患者への静脈投与が好ましい。静脈注射により投与した場合、本発明のタンパク質は無発熱原の、非経口投与に許容される水溶液の形である。静脈注射のための好ましい医薬組成物は、タンパク質に加えて、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロース注射、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射、乳酸化リンゲル注射、または当分野で既知の他の媒体のような等張媒体を含まなければならない。本発明の医薬組成物は、また安定化剤、防腐剤、緩衝液、抗酸化剤または当業者に既知の他の添加剤も含み得る。
皮膚または皮下注射のために、本発明のタンパク質は無発熱原の、非経口投与に許容される水溶液の形である。pH、等張性、安定性などの観点から、このような非経口に許容されるタンパク質溶液の製造は、当業者の範囲内である。
本発明のタンパク質を含む医薬組成物に関して、遺伝子治療送達システムまたは本発明のヌクレオチドを含む媒体もまたFVIII欠失による血友病に罹患した患者の処置にも使用し得る。このような遺伝子治療送達媒体の治療的有効量を、FVIII欠失による血友病に罹患した哺乳類に投与する。本発明の媒体の投与は、単独または、組み合わせて、例えば、標的組織または部位への直接送達、経鼻、静脈内、筋肉内、皮下、眼内または経口投与よる、製薬分野で確立された方法による。遺伝子治療送達媒体の投与に適した製剤は当分野で既知であり、水性および非水性等張滅菌注射溶液ならびに水性および非水性滅菌懸濁液を含むことも認識される。
前の記載および記述は、単に本発明の態様の説明である。当業者は、このような記載から、および添付の図面および請求の範囲から、以下の請求の範囲に定義の本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変化、修飾、変法をなすことができることを認識する。
本明細書に引用の全ての特許および他の刊行物は、引用により明白に包含させる。
図1Aは、野生型FVIIIおよびFVドメイン構造の図である。 図1Bは、本発明の不活性化耐性FVIIIの図である。 図2は、野生型FVIIIと比較した本発明のA1−変異FVIIIタンパク質の分泌活性を示す表である。 図3は本発明のAPC耐性FVIIIおよび野生型FVIIIのトロンビン活性化を示すグラフである。 図4Aおよび図4Bは、本発明のAPC耐性FVIIIの発現およびトロンビン開裂を示すゲルの写真である。 図5Aおよび図5Bは、本発明のAPC耐性FVIIIのAPC開裂を示すゲルの写真である。 図6は、精製野生型および本発明のAPC耐性FVIIIを示すゲルの写真である。 図7Aおよび7Bは、野生型および本発明のAPC耐性FVIIIのAPC−介在機能的不活性化を示すグラフである。 図8は、本発明の一本鎖不活性化耐性FVIIIのドメイン構造の図である。 図9は、本発明の不活性化耐性ヘテロダイマーFVIIIタンパク質のドメイン構造の図である。 図10は、本発明の不活性化耐性FVIIIの相対的合成および分泌レベルを示すゲルの写真である。 図11は、本発明の不活性化耐性FVIIIの開裂パターンを示すゲルの写真である。 図12は、野生型FVIIIと比較した本発明の不活性化耐性FVIIIの機能的活性化および不活性化を示すグラフである。 図13は、野生型FVIIIと比較した免疫親和性精製した本発明の不活性化耐性FVIIIの活性化および減少した不活性化速度を示すグラフである。 図14は、本発明の不活性化耐性FVIIIの抗体誘導可能vWF結合を証明するELISAアッセイの結果を説明するグラフである。 図15は、トロンビン活性化に続く本発明の不活性化耐性FVIIIの抗体誘導可能vWF結合を証明するELISAアッセイの結果を説明するグラフである;そして 図16は、トロンビン活性化に続く本発明の不活性化耐性FVIIIの抗体誘導可能vWF結合を証明するELISAアッセイの結果および保持FVIII活性を説明するグラフである。

Claims (14)

  1. 修飾されているヒトFVIIIポリペプチドを含む凝血促進活性FVIIIタンパク質であって、該修飾がBドメインの欠失、フォン ウィルブラント因子結合部位の欠失、740位のArgのAlaへの変異(ここで、変異が、740位の後のトロンビン仲介開裂を不活性化する)およびA2−とA3−ドメインの間のアミノ酸配列スペーサーの付加(ここで、該アミノ酸配列スペーサーは、トロンビンにより活性化され、A2−ドメインが軽鎖と共有結合しているヘテロダイマーとなるために十分な長さである)を含む、凝血促進活性FVIIIタンパク質。
  2. 修飾が更に336位のArg残基のIleへの置換および562位のArg残基のLysへの置換を含む、請求項1記載のタンパク質。
  3. 修飾が更にPhe309のSerへの置換を含む、請求項1記載のタンパク質。
  4. アミノ酸配列スペーサーが54残基の長さである、請求項1記載のタンパク質。
  5. アミノ酸配列スペーサーが、794位の残基がスレオニンおよびロイシンからなる群から選択されたものである、野生型FVIIIの残基741から794を含む、請求項記載のタンパク質。
  6. 794位の残基がスレオニンである、請求項記載のタンパク質。
  7. 請求項1記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
  8. 請求項記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  9. 請求項記載の核酸分子で形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞。
  10. 非経口に許容される媒体または賦形剤との混合物である有効量の請求項1記載のタンパク質を含む、医薬組成物。
  11. a)請求項記載の核酸分子で形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞を培養して生育させる;そして
    b)上記宿主細胞から、核酸分子の発現のポリペプチド生産物を単離する:
    段階を含む、凝血促進活性タンパク質の製造法。
  12. タンパク質およびフォン ウィルブラント因子を含む血漿に、フォン ウィルブラント因子へのタンパク質の結合親和性を増加させる抗体または架橋剤を挿入する段階を含む、血漿中のフォン ウィルブラント因子への請求項1記載のタンパク質の結合を増加させる方法。
  13. 抗体がタンパク質のアミノ酸2248から2285のエピトープを認識する、請求項12記載の方法。
  14. 抗体がESH8である、請求項13記載の方法。
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