JP2002506076A - 修飾された第viii因子 - Google Patents

修飾された第viii因子

Info

Publication number
JP2002506076A
JP2002506076A JP2000535651A JP2000535651A JP2002506076A JP 2002506076 A JP2002506076 A JP 2002506076A JP 2000535651 A JP2000535651 A JP 2000535651A JP 2000535651 A JP2000535651 A JP 2000535651A JP 2002506076 A JP2002506076 A JP 2002506076A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
factor viii
human
porcine
seq
hybrid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000535651A
Other languages
English (en)
Inventor
エス. ローラー,ジョン
Original Assignee
エモリー ユニバーシテイ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エモリー ユニバーシテイ filed Critical エモリー ユニバーシテイ
Publication of JP2002506076A publication Critical patent/JP2002506076A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/745Blood coagulation or fibrinolysis factors
    • C07K14/755Factors VIII, e.g. factor VIII C (AHF), factor VIII Ag (VWF)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/04Antihaemorrhagics; Procoagulants; Haemostatic agents; Antifibrinolytic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/62DNA sequences coding for fusion proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 ヒト第VIII因子の特定のアミノ酸遺伝子座は、第VIII因子により処理された後、阻害抗体を発生した血友病患者のそのような阻害抗体と相互作用する。アミノ酸配列が1又は複数の特定の遺伝子座での置換により変更されている修飾された第VIII因子が開示される。その修飾された第VIII因子は、A2又はC2ドメインエピトープに対する阻害抗体により阻害されない。修飾された第VIII因子は、阻害抗体の作用を回避し、又は妨げるために、血友病に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景: 本発明は、一般的には、ヒト及び動物第VIII因子アミノ酸配列、又はヒト第VI
II因子及び非第VIII因子アミノ酸配列を有するハイブリッド第VIII因子、及び、
その調製方法及び使用に関する。
【0002】 血液凝固は、血小板が外傷部位での損傷された血管の切断壁に付着する場合に
始まる。結果的に、酵素的に調製された反応のカスケードにおいては、可溶性フ
ィブリノーゲン分子が酵素トロンビンにより、血栓において一緒に血小板を保持
するフィブリンの不溶性鎖に転換される。前記連続的段階における個々の段階で
、タンパク質前駆体は、そのシリーズにおける次のタンパク質前駆体を分解する
プロテアーゼに転換される。補因子がそれらの段階のほとんどで必要とされる。
【0003】 第VIII因子は、von Willebrand因子に強く且つ非共有的に結合される不活性前
駆体として血液において循環する。第VIII因子は、その因子をvon Willebrand因
子から解離し、そしてその前凝固機能をカスケードにおいて活性化する、トロン
ビン又は因子Xaによりタンパク質加水分解的に活性化される。その活性形におい
ては、タンパク質第VIII因子は、第X因子への第IXa因子の触媒効率を数倍、高め
る補因子である。
【0004】 第VIII因子により治療されていない、第VIII因子又は第VIII因子に対する抗体
を欠いている人々は、関節の炎症反応から早期死亡までの広範囲の重大な症状を
引き起こす制御できない内部出血を伴う。アメリカ合衆国において約10,000人い
る重度の血友病患者は、十分な頻度及び濃度で投与される場合、血液の正常な凝
固能力を回復するであろうヒト第VIII因子の注入により治療され得る。実際、第
VIII因子の従来の定義は、血友病Aを有する個人に由来する血漿における凝固欠 陥を是正する、正常な血液血漿に存在する物質である。
【0005】 第VIII因子の活性を阻害する抗体(“インヒビター”又は“阻害抗体”)の開
発は、血友病患者の管理における重大な複雑化の要因である。自己抗体は、第VI
II因子の治療的注入に応答して血友病Aの患者の約20%に発生する。インヒビタ ーを発生する血友病Aのこれまで未治療の患者においては、インヒビターは通常 、処理の1年以内に発生する。さらに、第VIII因子を不活性化する自己抗体は時
折、これまで正常な第VIII因子レベルを有する個人においても発生する。
【0006】 インヒビター力価が十分に低い場合、患者は第VIII因子の用量を高めることに
よって管理され得る。しかしながら、しばしば、インヒビター力価は、第VIII因
子により制御され得ないほど高い。他の手段は、第VIII因子複合体調製物(たと
えば、KONYNE(商標), Proplex(商標))又は組換えヒト第VIIIa因子を用いて
、正常な止血の間、第VIII因子のための必要性を回避することである。
【0007】 さらに、ブタ第VIII因子は通常、ヒト第VIII因子よりもインヒビターとの実質
的に低い反応性を有するので、部分的に精製されたブタ第VIII因子調製物(HYAT
E:C(商標))が使用される。ヒト第VIII因子に対する阻害抗体を発生している 多くの患者は、ブタ第VIII因子により都合良く処理され、そしてそのような処理
を長期間、耐えている。しかしながら、ブタ第VIII因子の投与は、インヒビター
が1又は複数回の注入の後、ブタ第VIII因子に対して発生することができるので
、完全な解決法ではない。
【0008】 種々の程度の純度のヒト血漿由来の第VIII因子のいくつかの調製物が、血友病
Aの治療のために市販されている。それらは、ウィルスのために熱−及び界面活 性剤−処理されるが、しかし有意なレベルの抗原性タンパク質を含む多くのドナ
ーのプールされた血液に由来する部分的に精製された第VIII因子;低レベルの抗
原性不純物及びウィルス汚染を有するモノクローナル抗体−精製された第VIII因
子;及び組換えヒト第VIII因子(この臨床実験は進行中である)を包含する。不
運なことには、ヒト第VIII因子は、生理学的濃度及びpHで不安定であり、非常に
低い濃度(0.2μg/mlの血漿)で血液に存在し、そして低い特異的な凝固活性を 有する。
【0009】 血友病患者は、出血及び得られる変形性血友病関節症を防ぐために第VIII因子
の毎日の交換を必要とする。しかしながら、供給は不適切であり、そして治療使
用における問題が、単離および精製の困難性、免疫原生、及びAIDS及び肝炎感染
の危険性の除去の必要性のために存在する。組換えヒト第VIII因子又は部分的に
精製されたブタ第VIII因子の使用は、それらのすべての問題を解決しないであろ
う。
【0010】 通常使用される市販の血漿由来の第VIII因子に関連する問題は、良好な第VIII
因子生成物の開発に有意な興味を刺激して来た。より凝固活性の単位が分子あた
り供給され得るようなより効果的な第VIII因子;選択されたpH及び生理学的濃度
で安定する第VIII因子;阻害抗体の生成をほとんど引き起こさない第VIII因子;
及びヒト第VIII因子に対する抗体をすでに獲得している患者において免疫検出を
回避する第VIII因子に関する必要がある。
【0011】 従って、第VIII因子を欠いているか又は第VIII因子に対するインヒビターを有
する患者において血友病を是正する第VIII因子を提供することが本発明の目的で
ある。 血友病の治療方法を提供することもまた、本発明の目的である。 選択されたpH及び生理学的濃度で安定な第VIII因子を提供することが本発明の
もう1つの目的である。 ヒト第VIII因子よりも強い凝固活性を有する第VIII因子を提供することが本発
明の目的である。 抗体がほとんど生成されない第VIII因子を提供することが本発明のさらなる目
的である。
【0012】 発明の要約: 本発明は、ヒト及びブタ、又は他の非ヒト哺乳類(“動物”として本明細書に
おいて言及される)に由来する第VIII因子アミノ酸配列を有するハイブリッド第
VIII因子;または第2の観点において、ヒトもしくは動物、又は両者に由来する
第VIII因子アミノ酸配列を有する調製物のハイブリッド第VIII因子を含む、凝固
活性を有する、単離され、精製されたハイブリッド第VIII因子分子及びそのフラ
グメントを提供し、そして好ましくは、第VIII因子の抗原性及び/又は免疫原性 領域において置換された、第VIII因子に対して既知の配列同一性を有さないアミ
ノ酸配列(“非第VIII因子アミノ酸配列”)が記載される。
【0013】 当業者は、次の多くのハイブリッド第VIII因子構造体が調製され得ることを十
分に理解するであろうが、但しそれだけには限定されない:ヒト第VIII因子より
も高い凝固活性を有するヒト/動物第VIII因子(“卓越した凝固活性”);非免 疫原性ヒト/同等動物第VIII因子;卓越した凝固活性を有する非抗原性ヒト/同等
物又はヒト/動物第VIII因子;非免疫原性ヒト/動物又はヒト/同等物第VIII因子 ;卓越した凝固活性を有する非抗原性ヒト/動物又はヒト/動物/同等物第VIII因 子;非免疫原性、非抗原性ヒト/同等物又はヒト/同等物/動物第VIII因子;及び 卓越した凝固活性を有する非免疫性、非抗原ヒト/動物/同等物第VIII因子。
【0014】 ハイブリッド第VIII因子分子は、ヒト及び動物第VIII因子サブユニット又はド
メインの単離及び組換えにより;又はヒト及び動物第VIII因子遺伝子の遺伝子構
築により生成される。
【0015】 好ましい態様においては、組換えDNA分子は、動物第VIII因子の要素を、ヒト 第VIII因子のその対応する要素に代わって置換するために使用され、ハイブリッ
ドヒト/動物第VIII因子分子がもたらされる。第2の好ましい態様においては、 組換えDNA方法は、ヒト又は動物第VIII因子における、又はハイブリッドヒト/動
物第VIII因子における1又は複数のアミノ酸を、第VIII因子に対して既知の配列
同一性を有さないアミノ酸、好ましくは第VIII因子に対して天然に存在する阻害
抗体との免疫反応をほとんど有さず(“非抗原性アミノ酸配列”)、そして/又 はヒト第VIII因子よりも第VIII因子に対する抗体の生成をほとんど誘発しない(
“非免疫原性アミノ酸配列”)アミノ酸の配列により置換するために使用される
。免疫原性又は抗原性配列を置換するために使用され得るアミノ酸配列の例は、
アラニン残基の配列である。
【0016】 もう1つの態様においては、第VIII因子のサブユニットはヒト又は動物の血漿 から単離され、そして精製され、そしてハイブリッドヒト/動物第VIII因子は、 動物H鎖サブユニットとヒトL鎖サブユニットとの混合、又は、ヒトH鎖サブユニ ットとの混合により生成され、それにより、ヒトL鎖/動物H鎖、及びヒトH鎖/動 物L鎖ハイブリッド分子が生成される。それらのハイブリッド分子は、イオン交 換クロマトグラフィーにより単離される。
【0017】 他方では、第VIII因子の1又は複数のドメイン又は部分的ドメインが、ヒト又
は動物血漿から単離され、そして精製され、そしてハイブリッドヒト/動物第VII
I因子が1つの種からのドメイン又は部分ドメインと第2の種のドメイン又は部 分ドメインとの混合により生成される。ハイブリッド分子は、イオン交換クロマ
トグラフィーにより単離され得る。
【0018】 高度に精製されたハイブリッド第VIII因子を調製するための方法は、次の段階
を有する: (a)血漿由来のヒト第VIII因子のサブユニット及び血漿由来の動物第VIII因 子のサブユニットの単離、ヒト及び動物サブユニットの混合による凝固活性の続
く再構成、イオン交換クロマトグラフィーによるハイブリッドヒト/動物第VIII 因子の続く単離; (b)血漿由来のヒト第VIII因子のドメイン又は部分ドメイン及び血漿由来の
動物第VIII因子のドメイン又は部分ドメインの単離、ヒト及びの混合による凝固
活性の続く再構成、イオン交換クロマトグラフィーによるハイブリッドヒト/動 物第VIII因子の続く単離;
【0019】 (c)組換えDNA技法による動物第VIII因子のドメイン又は部分ドメインの構 成、及び凝固活性を有するハイブリッドヒト/動物第VIII因子を生成するために 動物及びヒト第VIII因子のドメインの組換え交換; (d)1つの種の第VIII因子の特定のアミノ酸残基の他の種の第VIII因子のそ
の対応するユニークアミノ酸残基による置換によるハイブリッドヒト/動物第VII
I因子の創造;又は (e)第VIII因子の特定のアミノ酸残基が特定部位の突然変異誘発により第VI
II因子に対する既知の同一性を有さないアミノ酸残基により置換されている、ヒ
ト又は動物アミノ酸配列又は両者を有するハイブリッド同等物第VIII因子の創造
【0020】 本明細書に示されるブタ第VIII因子をコードする完全なDNA配列の決定は、最 初に、適切な宿主細胞においてブタ第VIII因子をコードするDNAを発現すること によって、十分な長さのブタ第VIII因子の合成を可能にして来た。従って、生成
された組換えブタ第VIII因子は、本発明の観点である。
【0021】 ブタ第VIII因子の個々のドメイン及びそのいずれかの特定されたフラグメント
をコードするDNAは、本明細書に記載されるハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子を
製造するために、単独で、又はヒト第VIII因子をコードするDNAと組合して、同 様にして発現され得る。さらに、欠失されたBドメインのすべて又は一部を有す るブタ第VIII因子(Bドメインを欠くブタ第VIII因子)は、B−ドメインの1又は
複数のコドンの欠失を有するブタ第VIII因子をコードするDNAの発現により製造 され、本発明の一部として利用できる。
【0022】 ハイブリッド、又はハイブリッド同等物第VIII因子のいくつかの態様は、ヒト
第VIII因子の比活性よりも高い比活性を、及びブタ第VIII因子の比活性に等しい
か又はそれよりも高い比活性を有する。ハイブリッド、又はハイブリッド同等物
第VIII因子のいくつかの態様は、ヒト又はブタ第VIII因子に比較して、第VIII因
子に等しいか又は低い、阻害抗体との免疫反応性、及び/又はヒト又は動物にお ける低い免疫原性を有する。 また、ハイブリッド、又はハイブリッド同等物第VIII因子を含んで成り、及び
その第VIII因子を投与することを含んで成る、第VIII因子欠陥を有する患者を処
理するための医薬組成物及び方法が提供される。
【0023】 発明の特定の記載: 特にことわらない限り、本明細書において使用される場合、“第VIII因子”と
は、いずれかの動物からのいずれかの機能的第VIII因子タンパク質分子、すなわ
ちいずれかのハイブリッド第VIII因子又は修飾された第VIII因子を示し、“ハイ
ブリッド第VIII因子”又は“ハイブリッドタンパク質”とは、ヒト、ブタ、及び
/又はヒト、非ブタ哺乳類種からの第VIII因子アミノ酸配列を含んで成る、いず れかの機能的第VIII因子タンパク質分子又はそのフラグメントを示す。
【0024】 そのような組み合わせは、次のハイブリッド第VIII因子又はそのフラグメント
のいずれか又はすべてを包含するが、但しそれらだけには限定されない:(1)
ヒト/ブタ;(2)ヒト/非ヒト、非ブタ哺乳類、たとえばヒト/マウス;(3) ブタ/非ヒト、非ブタ哺乳類、たとえばマウス/イヌ。それらの組み合わせはまた
、第VIII因子に対する既知の配列同一性を有さないアミノ酸配列が置換されるハ
イブリッド、ヒト、ブタ又は非ヒト、非ブタ哺乳類起源の第VIII因子アミノ酸配
列を含んで成る、さらに下記に定義されるようなハイブリッド第VIII因子同等物
分子又はそのフラグメントを包含する。そのようなハイブリッド組み合わせはま
た、複数の種、たとえばヒト/ブタ/マウスに由来するか、又は第VIII因子に対し
て既知の配列同一性を有さないアミノ酸配列が置換される複数の種に由来するハ
イブリッド第VIII因子アミノ酸配列を包含する。
【0025】 特にことわらない限り、“ハイブリッド第VIII因子”とは、1つの典型的な態
様において下記に記載されるように、研究目的のためのプローブとして、又は診
断試薬として使用され得るハイブリッド第VIII因子のフラグメントを包含する。 本明細書において使用される場合、“哺乳類第VIII因子”とは、特にことわら
ない限り、いずれかの非ヒト哺乳類に由来するアミノ酸配列を有する第VIII因子
を包含する。“動物”とは、本明細書において使用される場合、ブタ及び他の非
ヒト哺乳類を意味する。
【0026】 “融合タンパク質”又は“融合第VIII因子又はそのフラグメント”は、本明細
書において使用される場合、1つのタンパク質についてのコード配列が、たとえ
ばその一部を、融合タンパク質をコードするハイブリッド遺伝子を生成するため
に、他の遺伝子からの第2のタンパク質についてのコード配列に融合することに
よって広範に変更されるハイブリッド遺伝子の生成物である。本明細書において
使用される場合、融合タンパク質は、本出願に記載されるハイブリッド第VIII因
子タンパク質のサブセットである。
【0027】 本明細書において使用される場合、“対応する”核酸又はアミノ酸、又はいず
れかの配列は、核酸又はアミノ酸数は同一ではないが、他の種の第VIII因子にお
ける部位と同じ構造及び/又は機能を有する、第VIII因子又はハイブリッド第VII
I因子分子又はそのフラグメントにおける部位で存在するものである。
【0028】 もう1つの第VIII因子配列に“対応する”配列は、緊縮条件下で、企画される
配列番号のそのような配列に実質的に対応し、そしてその配列にハイブリダイズ
する。もう1つの第VIII因子に“対応する”配列又は、第VIII因子の発現をもた らす配列又は請求された前凝固ハイブリッド第VIII因子、又はそのフラグメント
を包含し、そして企画される配列番号に対してハイブリダイズするが、しかし遺
伝子コードの冗長に対してハイブリダイズしない。
【0029】 “ユニーク”アミノ酸残基又は配列とは、本明細書において使用される場合、
もう1つの種の第VIII因子分子における相同の残基又は配列とは異なる、1つの
種の第VIII因子分子におけるアミノ酸配列又は残基を言及する。
【0030】 “比活性”とは、本明細書において使用される場合、ヒト第VIII因子を欠く血
漿の凝固欠陥を是正するであろう活性を言及する。比活性は、ヒト第VIII因子を
欠く血漿の凝固時間が正常なヒト血漿の凝固時間と比較される標準的アッセイに
おける合計の第VIII因子タンパク質1mg当たりの凝固活性の単位で測定される。
1単位の第VIII因子活性は、正常なヒト血漿1mlに存在する活性である。アッセ
イにおいては、凝固形成のための時間が短く成るほど、アッセイされる第VIII因
子の活性は高くなる。
【0031】 ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子は、ヒト第VIII因子アッセイにおいて凝固 活性を有する。この活性、及び他のハイブリッド、又はハイブリッド同等物第VI
II因子分子又はそのフラグメントの活性は、血漿由来の又は組換えヒト第VIII因
子の活性よりも低いか、等しいか、又は高く存在することができる。
【0032】 ヒト第VIII因子cDNAヌクレオチド及び予測されるアミノ酸配列は、それぞれ配
列番号1及び2に示される。第VIII因子は、“ドメイン”配列NH2−A1−A2−B−
A3−C1−C2−COOHを定義する内部配列相同性を有する、約300kDaの一本鎖タンパ
ク質として合成される。第VIII因子分子においては、“ドメイン”は、本明細書
において使用される場合、内部アミノ酸配列本体、及びトロンビンによるタンパ
ク質加水分解の部位により定義される、アミノ酸の連続配列である。
【0033】 特にことわらない限り、第VIII因子ドメインは、配列がヒトアミノ酸配列(配
列番号2)と一列配列される場合、次のアミノ酸残基を含む:A1, 残基Ala1−A
rg372;A2, 残基Ser373−Arg740;B, 残基Ser741−Arg1648;A3, 残基Ser1690
−Ile2032;C1, 残基Arg2033−Asn2172;C2, 残基Ser2173−Tyr2332。A3−C1−C
2−配列は、残基Ser1690−Tyr2332を含む。残る配列、すなわち残基Glu1649−Ar
g1689は通常、第VIII因子L鎖活性化ペプチドとして言及される。
【0034】 第VIII因子は、それをvon Willebrand 因子から解離し、前凝固機能を有する 第VIIIa因子を形成する、トロンビン又は第Xa因子によりタンパク質分解に活性 化される。第VIIIa因子の生物学的機能は、第X因子活性化への第IXa因子の触媒 効率を数倍、高めることである。トロンビンにより活性化された第VIIIa因子は 、血小板又は単球の表面上で第IXa因子及び第X因子と複合体を形成する160kDaの
A1/A2/A3−C1−C2ヘテロトリマーである。“部分ドメイン”とは、本明細書にお
いて使用される場合、ドメインの部分を形成するアミノ酸の連続配列である。
【0035】 ヒト又は動物第VIII因子の“サブユニット”は、本明細書において使用される
場合、タンパク質のH鎖及びL鎖である。第VIII因子のH鎖は、3種のドメイン、 すなわちA1, A2及びBを含む。第VIII因子のL鎖はまた、3種のドメイン、すなわ
ちA3, C1及びC2を含む。
【0036】 ハイブリッド第VIII因子又はそのフラグメントは、次の置換により製造され得
る: (1)単離された血漿由来の動物サブユニット又はヒトサブユニット(H又はL
鎖)による対応するヒトサブユニット又は動物サブユニットの置換; (2)1℃メイン又は動物ドメイン(A1, A2, A3, B, C1, 及びC2)による対応
する動物ドメイン又はヒトドメインの置換; (3)ヒトドメイン又は動物ドメインによる一部の動物ドメイン又はヒトドメ
インの一部の置換;
【0037】 (4)1又は複数のユニークヒト又は動物アミノ酸を包含する少なくとも1つ の特定の配列によるその対応する動物又はヒトアミノ酸の置換;又は (5)第VIII因子と既知の配列同一性を有さないアミノ酸配列による、ヒト、
動物、又はハイブリッド第VIII因子又はそのフラグメントにおける1又は複数の
特定のアミノ酸残基を包含する少なくとも1つの配列の置換。“B−ドメインを 欠く”ハイブリッド第VIII因子、ハイブリッド同等物第VIII因子、又はそのいず
れかのフラグメントは、本明細書において使用される場合、Bドメインを欠いて いる、本明細書に記載されるハイブリッド第VIII因子構造体のいずれか1つを言
及する。
【0038】 用語“エピトープ”、“抗原性部位”、及び“抗原性決定因子”とは、本明細
書において使用される場合、類似的に使用され、そして抗体により特異的に認識
される、ヒト、動物、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子又はその
フラグメントの一部として定義される。それはいずれかの数のアミノ酸残基から
成り、そしてそれは、タンパク質の一次、二次又は三次構成に依存し得る。
【0039】 この開示によれば、少なくとも1つのエピトープを包含する、ハイブリッド第
VIII因子、ハイブリッド第VIII因子同等物、又はいずれかのフラグメントは、下
記診断アッセイにおいて、試薬として使用され得る。いくつかの態様においては
、ハイブリッド、又はハイブリッド同等物第VIII因子、又はそのフラグメントは
、すべての天然に存在する阻害第VIII因子抗体と交差反応せず、又はヒト又はブ
タ第VIII因子によりも低く交差反応する。
【0040】 用語“免疫原性部位”とは、本明細書において使用される場合、通常のプロト
コール、たとえばイムノアッセイ、たとえばELISA、又はBethesdaアッセイによ り測定される場合、ヒト又は動物において、第VIII因子、ハイブリッド、ハイブ
リッド同等物、又はフラグメントに対する抗体の生成を特異的に誘発する、ヒト
又は動物第VIII因子、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子、又はそ
のフラグメントの領域として定義される。
【0041】 それはいずれかの数のアミノ酸残基から成り、そしてそれはタンパク質の一次
、二次、三次構造に依存することができる。いくつかの場合、ハイブリッド又は
ハイブリッド同等物第VIII因子、又はそのフラグメントは、動物又はヒトにおい
て、非免疫原生であるか、又はヒト又はブタ第VIII因子よりも低い免疫原性であ
る。
【0042】 本明細書において使用される場合、“ハイブリッド第VIII因子同等物分子又は
そのフラグメント”又は“ハイブリッド同等物第VIII因子又はそのフラグメント
”は、ヒト、動物、又はハイブリッド第VIII因子又はそのフラグメントにおける
1又は複数の特定のアミノ酸残基を包含する少なくとも1つの配列により置換さ れたヒト又は動物第VIII因子配列に対して既知の同一性を有さない1又は複数の
アミノ酸残基を包含する少なくとも1つの配列を含んで成る、活性第VIII因子又
はハイブリッド第VIII因子又はそのフラグメントである。
【0043】 ヒト又は動物第VIII因子配列に対して既知の同一性を有さない1又は複数のア
ミノ酸残基の配列はまた、“非第VIII因子アミノ酸配列”として、本明細書にお
いて言及される。好ましい態様においては、第VIII因子配列に対して既知の配列
同一性を有さないアミノ酸は、アラニン残基である。もう1つの好ましい態様に
おいては、第VIII因子配列に対する既知の配列同一性を有さないアミノ酸が置換
されている特定の第VIII因子配列は、得られるハイブリッド第VIII因子同等物分
子又はそのフラグメントが第VIII因子阻害抗体とほとんど免疫反応しないか、又
はまったく免疫反応しないように、天然に存在する第VIII因子阻害抗体と免疫反
応する抗原性部位を包含する。
【0044】 さらにもう1つの好ましい態様においては、第VIII因子配列に対して既知の配
列同一性を有さないアミノ酸が置換されている特定のハイブリッド第VIII因子配
列は、得られるハイブリッド第VIII因子同等物分子又はそのフラグメントが低い
免疫原性であるように、動物又はヒトにおいて第VIII因子阻害抗体の形成を誘発
する免疫原性部位を包含する。
【0045】 “第VIII因子欠乏”とは、本明細書において使用される場合、欠陥第VIII因子
の生成により、第VIII因子の不適切な生成又は第VIII因子の非生成により、ある
いはインヒビターによる第VIII因子の部分的又は完全な阻害により引き起こされ
る凝固活性の欠乏を包含する。血友病Aは、X−結合遺伝子の欠陥、及びそれがコ
ードする第VIII因子タンパク質の不在又は欠乏に起因する第VIII因子欠乏の型で
ある。
【0046】 本明細書において使用される場合、“診断アッセイ”とは、ある態様において
、医学的治療の選択を助けるために、試験サンプルに存在する特定の抗体の量を
検出し、そして/又は定義化するために抗原−抗体相互作用を用いるアッセイを 包含する。当業者に知られている多くのそのようなアッセイが存在する。
【0047】 本明細書において使用される場合、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VI
II因子DNA又はそのフラグメント、及びそれらから発現されるタンパク質は、完 全に又は部分的に、他の既知のアッセイにおいてその対応する試薬により交換さ
れ得、それにより改良されたアッセイが第VIII因子に対する抗体を検出し、そし
て/又は定量化するために使用され得る。それは、ヒト又は動物第VIII因子、又 はハイブリッドヒト/動物第VIII因子に対する抗体の検出についての既知アッセ イの改良を可能にする、それらの試薬、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第
VIII因子DNA、又はそのフラグメント又はそれから発現されるタンパク質の使用 である。
【0048】 そのようなアッセイは、ELISA免疫拡散アッセイ及びイムノブロットを包含す るが、但しそれらだけには限定されない。それらのアッセイのいずれかを実施す
るための適切なアッセイは、当業者に知られている。本明細書において使用され
る場合、タンパク質の少なくとも1つのエピトープを包含する、ハイブリッド又
はハイブリッド同等物第VIII因子、又はそのフラグメントは、診断用試薬として
使用され得る。ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子、又はそのフラ
グメントが使用され得る他のアッセイの例は、Bethesdaアッセイ及び抗凝集アッ
セイを包含する。
【0049】 方法の一般的記載: アメリカ特許第07/864,004号は、凝固活性を有するハイブリッドヒト/ブタ第V
III因子の発現を記載しており、ここでヒト又はブタの第VIII因子分子の要素が 他の種の第VIII因子の対応する要素により置換されている。アメリカ特許第08/2
12,133号及びPCT/US94/13200号は、前凝固ハイブリッドヒト/動物及びハイブリ ッド同等物第VIII因子分子を記載し、ここで1つの種の第VIII因子分子の要素が
他の種の第VIII因子分子の対応する要素により置換されている。
【0050】 本発明は、ハイブリッドヒト/動物、動物/ヒト、及び同等物第VIII因子分子、
及びそれらのフラグメント、及びそのようなハイブリッドをコードする核酸配列
を提供し、それらのいくつかは、高度に精製されたヒト第VIII因子に比較される
場合、標準の凝固アッセイにおいてより高い凝固活性を有し;そして/又はヒト 又はブタ第VIII因子よりも、ヒト又はブタ第VIII因子に対する阻害抗体に対して
低い免疫反応であり;そして/又はヒト又はブタ第VIII因子よりも、ヒト又は動 物において低い免疫原性である。それらのハイブリッド第VIII因子分子は、次の
通りにして構成され得る。
【0051】 少なくとも5種のタイプの活性ハイブリッドヒト/ブタ又はハイブリッド同等 物第VIII因子分子、又はそれらのフラグメント、それらのハイブリッド第VIII因
子をコードする核酸配列、及びそれらを調製するための方法が本明細書に開示さ
れており;それらは次の置換により得られる: (1)ヒト又はブタサブユニット(すなわち、H鎖又はL鎖)によるその対応す
るブタ又はヒトサブユニットの置換; (2)1又は複数のヒト又はブタドメイン(すなわち、A1, A2, A3, B, C1及 びC2)によるその対応するブタ又はヒトドメインの置換;
【0052】 (3)1又は複数のヒト又はブタドメインの連続部分によるその対応する1又 は複数のブタ又はヒトドメインの置換; (4)ヒト又はブタ第VIII因子における1又は複数のユニークアミノ酸残基を
包含する少なくとも1つの特定の配列によるその対応するブタ又はヒト配列の置
換;及び (5)第VIII因子に対して既知の配列同一性を有さない1又は複数のアミノ酸
残基(“非第VIII因子アミノ酸配列”)を包含する少なくとも1つの配列による
、ヒト、ブタ、又はハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子における1又は複数のア ミノ酸の少なくとも1つの特定の配列の置換。
【0053】 少なくとも5種のタイプの活性ハイブリッドヒト/非ヒト、非ブタ哺乳類又は ハイブリッド同等物第VIII因子分子又はそのフラグメント、及びそれらをコード
する核酸配列はまた、同じ方法により調製され得;それらは次の置換により得ら
れる: (1)ヒト又は非ヒト、非ブタ哺乳類サブユニット(すなわち、H鎖又はL鎖)
によるその対応する非ヒト、非ブタ哺乳類又はヒトサブユニットの置換; (2)1又は複数のヒト又は非ヒト、非ブタ哺乳類ドメイン(すなわち、A1,
A2, A3, B, C1及びC2)によるその対応する非ヒト、非ブタ哺乳類又はヒトドメ インの置換;
【0054】 (3)1又は複数のヒト又は非ヒト、非ブタ哺乳類ドメインの連続部分による
1又は複数の非ヒト、非ブタ哺乳類又はヒトドメインのその対応する部分の置換
; (4)ヒト又は非ヒト、非ブタ哺乳類第VIII因子における1又は複数のユニー
クアミノ酸残基を包含する少なくとも1つの特定配列によるその対応する非ヒト
、非ブタ哺乳類又はヒト配列の置換;及び (5)第VIII因子に対する既知の配列同一性を有さない1又は複数のアミノ酸
残基(“非第VIII因子アミノ酸配列)を包含する少なくとも1つの配列による、
ヒト、非ヒト、非ブタの哺乳類、又はハイブリッドヒト/非ヒト、非ブタ哺乳類 第VIII因子における1又は複数のアミノ酸の少なくとも1つの特定配列の置換。
【0055】 さらに、当業者は、同じ方法が、複数の非ヒト哺乳類、たとえばブタ/マウス からの第VIII因子アミノ酸配列を含んで成り、そしてさらに非第VIII因子アミノ
酸配列を含んで成る、前の2つの段落におけるタイプ(1)〜(5)に対応する
、少なくとも5種のタイプの活性ハイブリッド第VIII因子分子又はそのフラグメ
ントを調製するために使用され得ることを容易に理解するであろう。
【0056】 グループ(1)〜(3)として上記に列挙される、ハイブリッドヒト/動物、 動物/動物、及び同等物第VIII因子タンパク質又はそのフラグメントは、血漿由 来の第VIII因子のサブユニット、ドメイン又はドメインの連続部分の単離、続く
再構成及び精製により製造される。上記クループ(3)〜(5)として記載され
るハイブリッドヒト/動物、動物/動物、及び同等物第VIII因子タンパク質又はそ
れらのフラグメントは、組換えDNA方法により製造される。ハイブリッド分子は 、下記に詳細に記載されるように、種々の領域の起源に依存して、動物配列より
も高いか又は低い%のヒト配列を含むことができる。
【0057】 現在の情報は、Bドメインが阻害エピトープを有さず、そして第VIII因子機能 に対する既知の効果を有さないことを示しているので、いくつかの態様において
、Bドメインは、本明細書に記載されるいずれかの方法により調製される、活性 ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子分子又はそのフラグメントにお
いて欠失されている(“B(−)第VIII因子”)。
【0058】 ブタH鎖及びヒトL鎖を含んで成り、そして列挙される第1タイプのハイブリッ
ドに対応するハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子は、ヒト第VIII因子に比較して 、標準的凝集アッセイにおいてより高い凝固比活性を有することが例4に示され
ている。凝固活性を有するハイブリッドヒト/動物又は同等物第VIII因子は、そ の活性がヒト第VIII因子の活性よりも高いか、それに等しいか、又はそれよりも
低いかどうかにかかわらず、インヒビターにより患者を処理することにおいて有
用である。なぜならば、それらのインヒビターは、ヒト又はブタ第VIII因子のい
ずれかとよりも、ハイブリッドヒト/動物又は同等物第VIII因子と低く反応する ことができるからである。
【0059】 単離されたヒト及び動物第VIII因子サブユニットからの再構成によるハイブリ ッド第VIII因子分子の調製 : 本発明は、サブユニット置換を有するハイブリッドヒト/動物第VIII因子分子 、それらのハイブリッドをコードする核酸配列、それらを調製し、そして単離す
るための方法、及びそれらの前凝固活性を特徴づけるための方法を提供する。
【0060】 Pay, P.J. など. (1990) J. Biol. Chem. 265: 6197; 及びLokkar, J. S. な
ど. (1988) J. Biol. Chem. 263: 10451により報告される方法から改良された1 つの方法は、ヒト及び動物第VIII因子のサブユニット(H及びL鎖)の単離、ヒト
H鎖及び動物L鎖の続く組換え、又はヒトL鎖及び動物H鎖の続く組み変えを包含す
る。
【0061】 ヒト及び動物の個々のサブユニットの単離は、L鎖/H鎖ダイマーの解離を含む 。これは、たとえばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)によるカルシウムのキレー
ト化、続くmonoS(商標)HPLC (Pharmacia-LKB, Piscataway, NJ)により達成さ れる。ハイブリッドヒト/動物第VIII因子は、カルシウムの存在下で、単離され たサブユニットから再構成される。ハイブリッドヒトL鎖/動物H鎖、又は動物L鎖
/ヒトH鎖第VIII因子は、たとえばLollar, J. S.など. (1988) Blood 71: 137-14
3により記載されるブタ第VIII因子の単離についての方法に従って、monoS(商標
)HPLCにより未反応H鎖から単離される。
【0062】 下記例に詳細に記載される。活性ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子を調製す るために1つの態様において使用されるそれらの方法は、ヒト第VIII因子の前凝
固活性よりも6倍高い活性を有するハイブリッドヒトL鎖/ブタH鎖分子をもたら す。 他のハイブリッドヒト/非ヒト、非ブタ哺乳類第VIII因子分子は、同方法によ り調製され、単離され、そして活性について特徴づけられる。当業者は、1つの 種のL又はH鎖が他の種のH又はL鎖と組み合わされるそれらの方法がまた、ハイブ
リッド動物/動物、たとえばブタ/マウス第VIII因子を調製し、単離し、そして活
性について特徴づけられるために使用され得ることを、容易に理解するであろう
【0063】 単離されたヒト及び動物第VIII因子ドメインからの再構成によるハイブリッド 第VIII因子分子の調製 : 本発明は、ドメイン置換を有するハイブリッドヒト/動物第VIII因子分子又は そのフラグメント、それらをコードする核酸配列、それらを調製し、そして単離
するための方法、及びそれらの前凝固(procoagulant)活性を特徴づけるための
方法を提供する。1つの方法は、Lollar, P.など. (Nov. 25, 1992) J. Biol. C
hem. 267 (33) : 23652-23657によるハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子について
記載のようにして、ヒト第VIII因子の1又は複数のドメイン及び動物第VIII因子 の1又は複数のドメインの単離、凝固活性を有するハイブリッドヒト/動物第VII
I因子を形成するためのヒト及び動物ドメインの続く組換えを包含する。
【0064】 ヒトA2ドメインとブタA2ドメインとの置換を有するハイブリッドヒト/ブタ第V
III因子が特に提供され、この態様は、ドメイン置換されたハイブリッドヒト/非
ヒト、非ブタ哺乳類第VIII因子が構成され得る方法を例示する。血漿由来の非ヒ
ト、非ブタ哺乳類及びヒトA1/A3−C1−C2ダイマーは、第VIIIa因子からのA2ドメ
インの解離によって単離される。
【0065】 これはたとえば、NaOHの存在下で達成され、この後、混合物が希釈され、そし
てダイマーがmonoS(商標)HPLC (Pharmacia-LKB, Piscataway, NJ) を用いて溶
解される。A2ドメインは、monoS(商標)HPLCにおいてマイナーな成分として第V
IIIa因子から単離さえる。ハイブリッドヒト/動物第VIII因子分子は、1つの種の
A2ドメイン及び他の種のA1/A3−C1−C2ダイマーの等体積を混合することによっ て再構成される。
【0066】 1又は複数のドメイン置換を有するハイブリッドヒト/動物第VIII因子又はそ のフラグメントは、Lallar, J. S. など. (1988) Blood 71: 137-143により記載
されるように、ブタ第VIII因子の単離方法を用いて、monoS(商標)HPLCにより 未反応ダイマー及びA2の混合物から単離される。
【0067】 通常の方法はまた、1つの種の第VIII因子のA1, A3, C1, C2及びBドメインを 調製し、そして単離するためにも使用され得、それらのドメインのいずれか1つ
又は複数のドメインは他の種の第VIII因子におけるその対応するドメインにより
置換され得る。当業者は、それらの方法がまた、ドメイン置換されたハイブリッ
ド動物/動物第VIII因子、たとえばブタ/マウスを調製し、単離し、そして活性を
特徴づけるために使用され得ることを容易に認識するであろう。 下記例に詳細に記載されるそれらの方法は、前凝固活性を有するハイブリッド
第VIII因子をもたらす。
【0068】 ヒト、動物及びハイブリッド第VIII因子サブユニット、ドメイン又はドメイン の一部をコードする配列の組換え技術によるハイブリッド第VIII因子分子の調製サブユニット、ドメイン、ドメインの連続部分の置換: 本発明は、サブユニット、ドメイン及びアミノ酸置換を有する、活性な組換え
ハイブリッドヒト/動物及びハイブリッド同等物第VIII因子分子及びそのフラグ メント、それらのハイブリッドをコードする核酸配列、それらを調製し、そして
単離するための方法、及びそれらの凝固、免疫反応性及び免疫原性性質を特徴づ
けるための方法を提供する。
【0069】 ヒト第VIII因子遺伝子は、Toule, J. J. など. (1984) Nature 312: 342-347
(Genetics Institute) ; Gitschier, J. など. (1984) Nature 312: 326-330 (G
enentech); Wood, W. I. など. (1984) Nature 312: 330-337 (Genentech); Veh
ar, G. A. など. (1984) Nature 312: 337-342 (Genentech); WO87/04187号;WO
88/08035号;WO88/03558号;アメリカ特許第4,757,006号により報告されるよう に、単離され、そして哺乳類細胞において発現され、そしてアミノ酸配列はcDNA
から推定される。
【0070】 アメリカ特許第4,965,199号(Caponなど)は、哺乳類宿主細胞において第VIII
因子を生成するための組換えDNA方法、及びヒト第VIII因子の精製を開示する。C
HO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞及びBHKC(子供のハムスターの腎細胞)
上でのヒト第VIII因子発現が報告されている。ヒト第VIII因子はBドメインの一 部又はすべてを欠失するよう修飾されており(アメリカ特許第4,868,112号)、 そしてヒト第V因子Bドメインによるヒト第VIII因子Bドメインの置換が試みられ ている(アメリカ特許第5,004,803号)。ヒト第VIII因子をコードするcDNA配列 及び予測されるアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1及び2に示される。
【0071】 ブタ第VIII因子は、血漿から単離され、そして精製されて来た(Fass, D. N.
など. (1982) Blood 59: 594)。セルロプラスミン及び凝固第V因子に対しての 相同性を有し、そして非常に不適切に位置するN−末端L鎖配列の部分に対応する
ブタ第VIII因子の部分アミノ酸配列が、Churchなど. (1984) Pro. Natl. Acad.
Sci. USA 81: 6934により記載されている。
【0072】 Toole, J. J. など. (1984) Nature 312: 342-347は、ブタ第VIII因子の4種 のアミノ酸フラグメントのN−末端の部分配列決定を記載しているが、しかし第V
III因子分子におけるそれらの位置に関するフラグメントを特徴づけていない。 ブタ第VIII因子のBドメインのアミノ酸配列、及びA2ドメインの一部のアミノ酸 配列が、Toole, J. J. など. (1986) Proc. Natl. Acad. Sa. USA 83: 5939-594
2により報告されている。
【0073】 ブタ第VIII因子の完全なA2ドメインをコードするcDNA配列、及び予測されるア
ミノ酸配列、並びにすべてのドメイン、すべてのサブユニット及び特定のアミノ
酸配列の置換を有するハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子が、1994年11月15日に アメリカ特許第5,364,771号として発行された、John S. Lollarand Marschall S
. Rungにより1992年4月7日に出願された、“Hybrid Human/Porcine factor VIII
”の表題のアメリカ特許出願07/864,004号、及びWO93/20093号に開示されている
【0074】 配列番号1に示されるような、成熟ヒト第VIII因子における残基373-740に対 して配列同一性を有するブタ第VIII因子のA2ドメインをコードするcDNA, 及び予
測されるアミノ酸配列がそれぞれ、配列番号3及び4に示される。より最近にお
いては、ブタ第VIII因子のA1およびA2ドメインのヌクレオチド及び対応するアミ
ノ酸配列、及び対応するヒトドメインにより置換されたブタA1及び/又はA2ドメ インを有するキメラ第VIII因子が、WO94/11503号に報告されている。
【0075】 ブタ及びヒト第VIII因子は、2種のサブユニットタンパク質として血漿から単
離される。H鎖及びL鎖として知られているサブユニットは、カルシウムイオン又
は他の2価の金属イオンを必要とする非共有結合により一緒に維持される。第VI
II因子のL鎖はまた、3種のドメイン、すなわちA3, C1,及びC2を含む。Bドメイ ンは既知の生物学的機能を有さず、そして分子から、タンパク質分解により、又
は第VIII因子のいずれか測定できるパラメーターにおける有意な変更を伴わない
での組換えDNA技法により除去され得る。ヒト組換え第VIII因子は、それは、哺 乳類細胞において発現されるまで、グリコシル化されないが、血漿由来の第VIII
因子に類似する構造及び機能を有する。
【0076】 ヒト及びブタ活性化された第VIII因子(“第VIIIa因子”)は、A1とA2ドメイ ンとの間のH鎖の分解により3種のサブユニットを有する。この構造体は、A1/A2
/A3−C1−C2と命名される。ヒト第VIIIa因子は、たぶんヒト第VIIIa因子のA2サ ブユニットの弱い会合のために、ブタ第VIIIa因子を安定化する条件下で安定で きない。ヒト及びブタ第VIIIa因子のA2サブユニットの解離は、第VIIIa因子分子
における活性の損失に関連している。
【0077】 ブタ第VIII因子分子の一部の既知配列をプローブとして使用する場合、今日ま
で配列決定されたことがないブタ第VIII因子分子のドメインが、十分な長さのハ
イブリッドが構成され得るよう、Weis, J. H., "Construction of recombinant
DNA libraries", in Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel
など., eds. (1991); and Sambrook, J., など., Molecular Cloning, A Labora
tory Manualに記載されるような標準の確立されたクローニング技法により配列 決定され得る。
【0078】 置換されたA2ドメインを有する活性組換えハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子 、それをコードする核酸配列、及び調製し、単離し、そしてその活性を特徴づけ
る方法が、典型的且つ好ましい態様として特別に提供される。このハイブリッド
構造体が調製される方法はまた、サブユニット、ドメインの連続部分、又はA2以
外のドメインの置換を有する、活性組換えハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子又 はそのフラグメントを調製するためにも使用され得る。
【0079】 当業者は、それらの方法がまた、他の組換えハイブリッドヒト/非ヒト、非ブ タ哺乳類又は動物/動物のハイブリッド第VIII因子又はそれらのフラグメント( サブユニット、ドメイン又はドメインの連続部分が置換されている)がいかにし
て調製され得るかを明らかにすることを認識するであろう。
【0080】 組換えハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子は、適切な第VIII因子配列をコード するヒトcDNA (Bioge, Inc.) 又はブタcDNA (本明細書に記載される) から出発 して調製される。好ましい態様においては、前記cDNAによりコードされる第VIII
因子は、Woodなど. (1984) Nature 312: 330-337の番号付けシステムによれば、
全Bドメインを欠いているドメインA1−A2−A3−C1−C2を包含し、そして一本鎖 ヒト第VIII因子のアミノ酸残基1−740及び1649−2332に対応する(配列番号2 を参照のこと)。
【0081】 ブタ又はヒト第VIII因子cDNAの個々のサブユニット、ドメイン又はドメインの
連続部分が、確立された突然変異誘導体技法を用いて、対応するヒト又はブタサ
ブユニット、ドメイン又はドメインの一部によりクローン化され、そして置換さ
れ得、且つクローン化され、そして置換されて来た。
【0082】 たとえば、Lubin, I. M. など. (1994) J. Biol. Chem. 269 (12): 8639-8641
は、便利な制限部位を用いて、ヒトドメインによりブタA2ドメインを置換するた
めの技法を記載する。他の種の第VIII因子cDNAにより1つの種の第VIII因子cDNA
のいずれかの任意の領域を置換するための他の方法は、Horton, R. M. など. (1
993) Meth. Enzymol 217: 270-279により記載されるように、オーバーラップ延 長(“SOE”)によるスプライシングを包含する。
【0083】 サブユニット、ドメイン又はドメインの一部をコードするハイブリッド第VIII
因子cDNA、又は完全なハイブリッドcDNA分子が、Selden, R. F., "Introduction
of DNA into mammalian Cells", in Current Protocols in Molecular Biology
, F. M. Ausubelなど., eds. (1991) により記載されるように、確立された技法
により、培養された細胞における活性ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子タンパ ク質分子の最終的な発現のために発現ベクター中にクローン化される。
【0084】 好ましい態様においては、ブタ配列がドメイン又は一部のドメイン、たとえば
A2ドメイン又は一部のドメインをコードする、第VIII因子をコードするハイブリ
ッドヒト/ブタcDNAが、ハイブリッド第VIII因子構造体を形成するために、哺乳 類発現ベクター、たとえばReNeoにおいて挿入される。ハイブリッド第VIII因子 の予備特徴化は、ReNeo哺乳類発現ベクター中へのハイブリッドcDNAの挿入、及 びCOS−7細胞におけるハイブリッドタンパク質の過渡的な発現により達成され る。
【0085】 活性ハイブリッドタンパク質が発現されるかどうかの決定が行われ得る。発現
ベクター構造体は、当業界において通常である方法、たとえばリポソーム−仲介
のトランスフェクション(Lipofectin(商標), Life Technologies, Inc.)を 用いて、培養物における細胞、たとえばハムスター腎細胞を安定してトランスフ
ェクトするために、さらに使用される。
【0086】 組換えハイブリッド第VIII因子タンパク質の発現は、たとえば配列決定、ノザ
ン及びウェスタンブロット、又はポリメラーゼ鎖反応(PCR)により確かめられ 得る。タンパク質を安定して発現するトランスフェクトされた細胞が維持されて
いる培養培地におけるハイブリッド第VIII因子タンパク質が、沈殿され、ペレッ
ト化され、洗浄され、そして適切な緩衝液に再懸濁され、そして組換えハイブリ
ッド第VIII因子タンパク質が標準の技法、たとえばイムノアフィニティークロマ
トグラフィーにより、たとえばモノクローナル抗−A2−Sepharose(商標)を用 いて精製される。
【0087】 さらなる態様においては、サブユニット、ドメイン又はアミノ酸配列置換を含
んで成るハイブリッド第VIII因子が、たとえば安定性、分泌、検出、単離、又は
同様のものを増強するタンパク質又はペプチドをコードする配列が第VIII因子コ
ードの配列に隣接して挿入されている組換え分子からの融合タンパク質として発
現される。融合タンパク質の調製において、たとえばプロモーター、オペレータ
ー及びレギュレーターを包含する相同又は非相同種発現制御配列の使用のための
確立されたプロトコートは、知られており、そして通常、当業界において使用さ
れる。Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel, F. M., など., eds
.), Wiley Interscience, N. Y. を参照のこと。
【0088】 精製されたハイブリッド第VIII因子又はそのフラグメントは、標準的アッセイ
、たとえば血漿フリーの第VIII因子アッセイ、1段階凝固アッセイ、及び標準と して精製された組換えヒト第VIII因子を用いての酵素−結合されたイムノソルベ
ントアッセイにより、免疫反応性及び凝固活性についてアッセイされ得る。
【0089】 プラスミド及び真核ウィルスベクターを包含するほかのベクターが、当業者の
参照及び判断に依存して、真核細胞において組換え遺伝子構造体を発現するため
に使用され得る(たとえば、Sambrook など., Chapter 16を参照のこと)。他の
ベクター及び発現システム、たとえば細菌、酵母及び昆虫細胞システムが使用さ
れ得るが、しかしグリコシル化の差異、又はその欠乏のために好ましくない。
【0090】 組換えハイブリッド第VIII因子タンパク質は、培養及び組換え哺乳類タンパク
質発現のために通常使用される種々の細胞において発現され得る。特に、多くの
囓歯動物細胞系は、大きなタンパク質の発現のために特に有用な宿主であること
が見出されている。American Type Collection, Rockville, MDから入手できる 好ましい細胞系は、子供ハムスター腎細胞、及び通常の方法及び培地を用いて培
養されるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を包含する。
【0091】 サブユニット、ドメイン又はアミノ酸配列置換を有するハイブリッドヒト/ブ タ第VIII因子を調製するために使用される同じ方法が、他の組換えハイブリッド
第VIII因子タンパク質及びそのフラグメント、及びハイブリッド、たとえばヒト
/非ヒト、非ブタ哺乳類又は動物/動物ハイブリッドをコードする核酸配列を調製
するために使用され得る。既知のヒトDNA配列からのプライマーにより出発して 、ネズミ、及びブタ第VIII因子cDNAの一部がクローン化されて来た。
【0092】 ハイブリッドヒト/動物又は動物/動物第VIII因子分子の調製に使用するための
他の種の第VIII因子配列は、出発点として既知のヒト及びブタDNA配列を用いて 得られる。使用され得る他の技法は、動物組織DNAによるPCR増幅方法、及び第VI
II因子配列をクローン化するために動物からのcDNAライブラリーの使用を包含す
る。
【0093】 代表的な態様として、ハイブリッドヒト/マウス第VIII因子タンパク質は、次 の通りにして製造され得る。ヒト第VIII因子遺伝子のマウス相同体に対応するDN
Aクローンが単離され、そして配列決定され、そしてマウス第VIII因子タンパク 質のアミノ酸配列が、マウス及びヒト第VIII因子分子、及びブタ第VIII因子分子
の一部の予測されるアミノ酸配列の比較をまた包含する、Elder, G., など. (19
93) Genomics 16(2): 374-379に記載のようにして、予測された。マウス第VIII 因子cDNA配列、及び予測されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号5及び8に示
される。
【0094】 好ましい態様においては、Sarker, G. など. (1989) Science 244: 331-334に
記載される転写配列決定(RAWTS)方法によるRNA増幅が使用され得る。手短には
、次の段階が使用される: (1)オリゴ(dT)又はmRNA−特異的オリゴヌクレオチドプライマーによるcD
NA合成; (2)1又は両オリゴヌクレオチドが増幅されるべき領域に対して相補的であ
る配列に結合されるファージプロモーターを含むポリメラーゼ鎖反応(PCR);
【0095】 (3)ファージプロモーターによる転写;及び (4)収容された(内部)オリゴヌクレオチドにより感作される転写体の逆転
写酵素−仲介のジデオキシ配列決定。配列情報を示す他に、この方法は、適切な
PCRプライマー中への翻訳開始シグナルの組み込みによりインビトロ翻訳生成物 を生成することができ;そして他の種からの新規のmRNA配列情報を得るために使
用され得る。
【0096】 アミノ酸の置換: 本発明は、他の種の対応するアミノ酸配列又はそのフラグメントにより置換さ
れた1つの種の1又は複数のユニークアミノ酸を包含する少なくとも1つの配列
を含んで成る活性組換えハイブリッドヒト/動物及び動物/動物第VIII因子分子又
はそのフラグメント;それらのハイブリッドをコードする核酸配列;それらを調
製し、そして単離するための方法;及びそれらの凝固免疫原性及び免疫反応性性
質を特徴づけるための方法を提供する。
【0097】 A2ドメインは、第VIII因子分子の前凝固活性のために必要である。研究は、ブ
タ第VIII因子がヒト第VIII因子よりも6倍高い前凝固活性を有し(Lollar, P.な
ど. (1991) J. Biol. Chem. 266: 12481-12486)、そしてヒト及びブタ第VIII因
子間の凝固活性の差異がヒト及びA2ドメインにおける1又は複数の残基間のアミ
ノ酸配列の差異に基づかれていることが明らかである(Lollar, P. など. (1992
) J. Biol. Chem. 267: 23652-23657)ことを示す。さらに、ヒト第VIII因子分 子におけるA2及びC2ドメイン、及びたぶん、第3のL鎖領域が、すべてではない が、ほとんどの阻害抗体が、Hoyer (1994) Semin. Hewatol. 31: 1-512に従って
反応するエピトープを有すると思われる。
【0098】 組換えハイブリッドヒト/動物、動物/動物、もしくは同等物第VIII因子分子、
又はそれらのフラグメントは、1つの種の第VIII因子のA2, C2及び/又は他のド メインからの1又は複数のユニークアミノ酸を含有する少なくとも1つの特定の
配列による他の種の対応する配列の置換により製造され、ここで、アミノ酸配列
が、下記に詳細に示されるように、2種の種の分子間で異なる。
【0099】 本明細書に記載される典型的な好ましい態様においては、本発明は、エピトー
プを含む対応するヒトアミノ酸配列により置換されたブタアミノ酸配列を含んで
成る活性組換えハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子を提供し、ここで前記ハイブ リッド第VIII因子は第VIII因子に対する阻害抗体を低め、又はその抗体との免疫
反応性を有さない。
【0100】 さらなる態様においては、第3の種におけるその反応する配列により置換され
た、1つよりも多くの種からのアミノ酸配列を含んで成る活性組換えハイブリッ
ド第VIII因子分子がまた製造され得る。さらに下記に記載されるように、第VIII
因子に対する既知の配列同一性を有さない1又は複数のアミノ酸を包含する少な
くとも1つの配列を包含するヒト、動物又はハイブリッド第VIII因子を含んで成
る組換えハイブリッド同等物分子がまた製造され得る。
【0101】 記載のような特定のアミノ酸置換を有するいずれかのハイブリッド第VIII因子
構造体が、増強された凝固活性及び/又は低められた抗体免疫反応性を有するハ イブリッド第VIII因子分子の同定のために、凝固活性、及び第VIII因子に対する
阻害抗体との反応性について、標準の方法によりアッセイされ得る。ヒト又はブ
タ第VIII因子に比較して、低められた凝固活性を有するが、しかしまた、低めら
れた抗体反応性も有するハイブリッド分子がまた同定され得る。
【0102】 当業者は、ヒト又はブタ第VIII因子に比較して、低いか、等しいか又は高い凝
固活性を有するハイブリッド第VIII因子分子又はそのフラグメントが、第VIII因
子欠乏を有する患者の処理のために有用であることを認識するであろう。特定の
アミノ酸の置換を有する活性組換えハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子を調製す るための本明細書に記載される方法は、活性組換えハイブリッドヒト/非ヒト、 非ブタ哺乳類第VIII因子タンパク質、ハイブリッド動物−1/動物−2第VIII因 子、及びハイブリッド同等物第VIII因子又はそれらのフラグメントを調製するた
めに使用され得る。
【0103】 変更された凝固活性を有するハイブリッド第VIII因子分子: 本発明は、本明細書に記載されるような確立された特定部位の突然変異誘発を
用いて、他の種の第VIII因子のその対応するアミノ酸配列により置換された、1
つの種の第VIII因子における前凝固(procoagulant)活性を有する1又は複数の ユニークアミノ酸を含む少なくとも1つの特定の配列を含んで成る、前凝固組換 えハイブリッドヒト/動物、動物/動物又は同等物第VIII因子分子又はそのフラグ
メントを提供する。
【0104】 置換に使用される特定の配列が選択され、そしてハイブリッド構造体が、次の ようにして、調製され、そして凝固活性についてアッセイされる。A2ドメインに
アミノ酸置換を含んで成るハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子が、好ましく且つ 代表的な態様として、特別に提供される。当業者は、変更された凝固活性、好ま
しくは、ヒト第VIII因子に比較して、高められた凝固活性を有する、他のハイブ
リッドヒト/動物、動物/動物、及び同等物第VIII因子分子又はそれらのフラグメ
ントを調製するために、それらの方法を使用することができることが理解される
【0105】 ブタ第VIII因子におけるより高い凝固活性のための根本原理は、Lollar, P. など. (1990) J. Biol. Chem. 265: 1688-1692; Lollar, P. など. (1992) J. B
iol. Chem. 267: 23652-23657; Fag, P. J. など. (1992) J. Biol. Chem. 267:
13246-13250によれば、活性損失を導く、ブタ第VIIIa因子よりもヒト第VIIIa因
子のA2サブユニットのより早い自発的解離であることが明らかである。
【0106】 ヒト及びブタ第VIII因子A2ドメインのアミノ酸の一列配列の比較(残基番号付
けは、ヒト第VIII因子の十分な長さのアミノ酸配列に関して、位置373で開始す る、配列番号2)が図1Cに示される。変更された凝固活性を有するハイブリッ ドヒト/ブタ第VIII因子分子の調製のために、ヒトA2ドメイン内のヒト及びブタA
2アミノ酸配列(それぞれ、配列番号2及び6)の比較に基づいて表される、突 然変異誘発のための初期標的候補体が表Iに示される。
【0107】
【表1】
【0108】 表1及び図1A−1Bの太文字は、A2ドメインのわずか17%を構成するが、しか
しヒト及びブタA2ドメイン間での配列差異の70%を包含するヒト及びブタA2ドメ
インアミノ酸配列(それぞれ、配列番号2及び6)における7個の配列を示す。
【0109】 ヒト第VIII因子のA2ドメイン(Ser373−Arg740)におけるアミノ酸Ser373−Gl
u604が相同ブタ配列により置換されている組換えハイブリッドヒト/ブタ構造体 が記載されている。この構造体はA2インヒビターと反応せず、そしてヒトB(− )第VIII因子と同じ凝固活性を有する。ヒト第VIII因子に比較して、高められた
凝固活性を有するヒト第VIII因子における完全なブタA2ドメイン置換を含んで成
る血漿由来のハイブリッド分子が記載されている。それらの構造体の比較は、残
基Asp 605とArg750との間の領域がヒト及びブタ第VIII因子間の活性の差異を担 当することを示す。
【0110】 この領域は、確立された特定部位の突然変異誘発技法、たとえばA2のNH2−末 端領域にブタ置換を含むハイブリッド第VIII因子分子を製造するために広範囲に
使用されて来た“オーバーラップ延長によるスプライシング”(SOE)方法を用 いることによって、Asp605とArg740との間の領域にブタ置換を有する組換えハイ
ブリッドヒト/ブタ第VIII因子分子を組織的に創造することによって、より特異 的に定義され得る。それらの分子は、上記のように、COS−7細胞及び子供にハ ムスター腎細胞において発現され得る。それらは、当業界において知られている
方法、たとえばヘパリン−Sepharose(商標)及び免疫親和性クロマトグラフィ ーを用いて、均質に精製され得る。
【0111】 タンパク質濃度は、A280での紫外線の吸収により推定され、そして構造体の比
活性は、A280により凝固活性(単一段階凝固アッセイにより単位/mlで測定され る)を割り算することによって決定され得る。ヒト第VIII因子は約3000−4000 U
/A290 の比活性を有し、そしてブタ第VIII因子は約20,000 U/ A280の比活性を有
する。好ましい態様においては、前凝固組換えハイブリッドヒト/ブタ第VIII因 子は、20,000 U/A280 の比活性を有し、そしてA2ドメインに最少量のブタ置換を
含む。
【0112】 本明細書に記載されるように、特定部位突然変異誘発技法が、ヒト第VIII因子
に比較して、増強され、それに等しいか、又は低められ得る(好ましくは、増強
される)凝固活性を有するハイブリッドタンパク質を同定するために使用される
。ハイブリッドヒト/ブタ態様においては、特定のヒト配列が、Ho, S. N. など.
, 77 Gene: 51-59 (1994) 及び例7及び8により記載されるように、好ましくは
、オーバーラップ延長によるスプライシング(SOE)方法を用いて、ブタ配列に より置換される。
【0113】 特定オリゴヌクレオチドの突然変異誘発はまた、ヒトA2ドメインの一部に関す
るアミノ酸配列をループするために行われるように、使用され得る(例7を参照
のこと)。ハイブリッドの機能的分析は凝固活性を示すので、配列はさらに分解
され、そして標準の点突然変異分析技法により前凝固配列についてマッピングさ
れ得る。
【0114】 本発明は、ハイブリッド第VIII因子cDNA及びタンパク質が、確立され、そして
通常のことである方法、たとえばDNA配列決定、凝固活性アッセイ、ELISA及び精
製されたハイブリッド第VIII因子の280nmでのUV吸収度による質量、凝固比活性 (U/mg)、精製されたハイブリッド第VIII因子のSDS−PAGE、及び同様のものに より特徴づけられ得ることを企画する。臨床学的有効性のための他の既知の試験
方法は、アミノ酸、炭水化物、スルフェート又は金属イオン分析を必要とされる
【0115】 ヒト第VIII因子に比較して、卓越した凝固活性を有する組換えハイブリッド第
VIII因子は、血漿由来の第VIII因子よりも製造する安価であり、そして第VIII因
子欠乏の効果的処理のために必要とされる第VIII因子の量を低めることができる
【0116】 低められた免疫反応性を有するハイブリッド第VIII因子分子: 第VIII因子の凝固活性を阻害する抗体(“インヒビター”又は“阻害抗体”)
と免疫反応性であるエピトープは、第VIII因子における既知の構造−機能の関係
に基づいて特徴づけられて来た。たぶん、インヒビターは、第VIII因子のドメイ
ン構造に関連する高分子相互作用、又はvon Willebrand因子、トロンビン、第Xa
因子、又は第X因子とのその会合のいずれかを破壊することによって作用するこ とができる。
【0117】 しかしながら、ヒト第VIII因子に対する阻害抗体の90%以上が、Fulcherなど.
(1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 7728-7732; 及びScandellaなど. (19
88) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 6152-6156により記載されるように、第VI
II因子の40kDaのA2ドメイン又は20kDaのC2ドメインに位置するエピトープに結合
することによって作用し、それらのドメインに関連する特定の機能を破壊する。
【0118】 A2及びC2エピトープの他に、Scandellaなど. (1993) Blood 82: 1767-1775に よれば、第VIII因子のL鎖のA3又はC1ドメインに第3のエピトープが存在し得る 。この推定上の第3のエピトープの有意性は未知であるが、しかし第VIII因子に
おけるエピトープ反応性のマイナーな機能を説明するよう思われる。 抗−A2抗体は、Lollaなど. (1994) J. Clin. Invest. 93: 2497-2504により示
されるように、第X因子活性化を阻止する。Wareなど. (1992) Blood Coagul. Fi
brinolysis 3: 703-716により記載される欠失突然変異によるこれまでのマッピ ング研究は、40kDaのA2ドメインののNH2−末端の20kDa領域内にA2エピトープが 位置することを示した。競争イムノラジオメトリックアッセイは、A2インヒビタ
ーが、Scandella など. (1992) Throm. Haemostas 67: 665-671及び例8に記載 されるように、通常のエピトープ又は狭くクラスター化されたエピトープのいず
れかを認識することを示した。
【0119】 本発明は、活性組換えハイブリッド及びハイブリッド同等物第VIII因子分子、
又はそれらのフラグメント、それらのハイブリッドをコードする核酸配列、及び
それらの調製及び単離方法、及びそれらを特徴づけるための方法を提供する。そ
れらのハイブリッドは、他の種の第VIII因子の対応するアミノ酸配列により置換
された、1つの種の第VIII因子の1又は複数のユニークアミノ酸を含む少なくと
も1つの特定のアミノ酸配列をさらに含んで成る、ヒト/動物、動物/動物、又は
同等物ハイブリッド第VIII因子分子を含んで成り;
【0120】 又はヒト、動物、又はハイブリッド第VIII因子における特定のアミノ酸配列に
より置換された、第VIII因子に対して既知の配列同一性を有さない1又は複数の
アミノ酸を包含する少なくとも1つの配列を含んで成る。得られるハイブリッド 第VIII因子は、ヒト又はブタ第VIII因子に比較して、第VIII因子阻害抗体に対す
る免疫反応性を低め、又はその反応を有さない。
【0121】 第VIII因子分子におけるアミノ酸の置換についての前記セクションに記載され
るアプローチを用いて、突然変異分析は、他の種の第VIII因子における1又は複 数のアミノ酸を包含する少なくとも1つの配列、又はA2, C2,又は阻害抗体が指 図されるいずれか他のドメインにおける1又は複数の決定的領域を含む、ハイブ
リッド同等物第VIII因子分子のアミノ酸配列により置換された、1つの種、好ま
しくはブタの対応する第VIII因子アミノ酸配列を選択するために使用される。
【0122】 前記方法は、下記により詳細に記載される。得られる前凝固組換えハイブリッ
ド構造体は、標準のアッセイを用いて、ヒト第VIII因子に比較する場合、阻害抗
体に対する免疫反応性を低め、又はその反応性を有さない。ますます小さなアミ
ノ酸配列の組織的な置換を通して、続く、免疫反応性についてのハイブリッド構
造体のアッセイにより、第VIII因子分子のいずれかのドメインにおけるエピトー
プがマッピングされ、免疫反応性をほとんど有さないか又はまったく有さないア
ミノ酸配列により置換され、そしてハイブリッド第VIII因子が調製される。
【0123】 当業者は、阻害抗体が指図されているA2, C2, 及び/又は他のドメインにおけ るエピトープを含んで成る1又は複数のアミノ酸を含む少なくとも1つの配列を
同定し、そして置換するために、及びヒト又はブタ第VIII因子に比較して、低め
られた免疫反応性を有するか又はまったくその反応性を有さない前凝固組換えハ
イブリッドヒト/動物、動物/動物又は同等物第VIII因子又はそれらのフラグメン
トを構成するために、エピトープマッピング、ハイブリッド第VIII因子分子の構
成及び構造体の突然変異分析を組合すこのアプローチを使用することができるこ
とが理解される。
【0124】 このアプローチは、ヒトA2ドメインにおけるブタアミノ酸置換を有し、そして
典型的な態様として、抗−第VIII因子抗体に対する抗原性を有さない組換え前凝
固ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子を調製するために、例8に記載のようにし て使用される。
【0125】 通常、ブタ第VIII因子は、ヒト第VIII因子に対する阻害抗体と制限された反応
性を有するか又はその抗体とまったく反応しない。A2ドメインにおけるアミノ酸
置換に基づいて、阻害抗体との低められた反応性を有するか又はその抗体との反
応性を有さない組換えハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子分子は、ハイブリッド 第VIII因子が他の種の第VIII因子及びA2以外のドメインにおける置換を用いてい
かにして調製され得るかの例として、調製される。
【0126】 ブタA2ドメインは、標準のクローニング技法、たとえば上記及び例6, 7及び
8に記載される技法によりクローン化され、そして次に、通常の方法、たとえば
cDNAを切断するために制限部位を用いて、又はオーバーラップ延長(SOE)によ るスプライシングを用いて、A2ドメイン内で切断され、そしてスプライシングさ
れる。得られるブタアミノ酸配列は、哺乳類発現ベクター、好ましくはReNeo中 に挿入され、培養された細胞、好ましくは子供ハムスター腎細胞中に安定してト
ランスフェクトされ、そして上記のようにして発現されるハイブリッド第VIII因
子構造体を形成するためにヒトA2ドメイン中に置換される。
【0127】 ハイブリッド第VIII因子は、通常のBethesdaアッセイにより又は血漿フリーの
色原体基質アッセイにより、抗−A2抗体との免疫反応性についてアッセイされる
。Betheda単位(BU)は、インヒビター力価を測定するための標準の方法である 。Bethesda力価がハイブリッドにおいて測定できない(0.7BU/mgIgG以下)場合 、ヒトA2エピトープが置換された対応するブタ配列の領域から排除された。エピ
トープは段階的に狭くされ、そして従って、特定のA1エピトープが、できるだけ
小さなブタ配列を有するハイブリッドヒト/ブタ分子を生成するために決定され 得る。
【0128】 本明細書において記載される場合、阻害免疫反応性のために決定的であるアミ
ノ酸Arg484-Ile505に対応する25−残基配列が、ヒトA2ドメインにおいて同定さ れ、そして置換されている。この配列内では、ヒト及びブタ第VIII因子間でわず
か9個の差異が存在する。この領域はさらに分析され、そして置換され得る。
【0129】 A2ドメインにおける置換を伴って又は伴わないで、C1, C2, 又は他のドメイン
におけるアミノ酸配列の置換に基づいて、阻害抗体と低められた反応性を有する
か又はそれとの反応性を有さないハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子分子がまた 、調製され得る。たとえば、C2エピトープは、特定部位の突然変異誘発と組み合
わされる相同体走査アプローチを用いてマッピングされ得る。
【0130】 より特定には、次の方法は、たとえばRT−PCRを用いることによるか、又はヒ トC2又は他のドメインDNAによりヒト肝臓cDNAライブラリーをプローブすること による、ブタC2又は他のドメインのクローニングを包含する、A2ドメインにおけ
るアミノ酸置換について本明細書に記載される方法と同じか又は類似することが
できる:C2又は他のドメインにおけるエピトープをマッピングし、そして同時に
、置換するための制限部位技法及び/又は連続的SOE;B(−)第VIII因子におけ るヒトC2又は他のドメインによる置換;発現ベクター、たとえばpBluescript中 への挿入;培養された細胞における発現;及び免疫反応性についての通常のアッ
セイ。
【0131】 アッセイに関しては、C2−特異的インヒビター、すなわちMR(Scandellaなど.
(1992) Thomb. Haemostasis 67: 665-671及びLubinなど. (1994))、及び/又は
親和性クロマトグラフィーにより調製された他のC2特異的抗体とのC2ハイブリッ
ド第VIII因子の反応性が研究され得る。
【0132】 C2ドメインは、アミノ酸残基2173-2332(配列番号2)から成る。この154個の
アミノ酸領域内で、インヒビター活性は、Shima, M. など. (1993) Thromb. Hae
mostas 69: 240-246によれば、残基2248及び2312間の65個のアミノ酸領域に向け
られると思われる。ヒト/及びブタ第VIII因子のC2配列がこの領域において約85 %同一である場合、第VIII因子の機能的活性領域における他の場所において同様
に、置換されたC2配列と共にハイブリッドを構成するために初期標的物として使
用され得る、ヒト及びブタ第VIII因子C2アミノ酸配列間で約10個の差異が存在す
るであろう。
【0133】 臨床学的に有意な第VIII因子エピトープはA2及びC2ドメインに制限されると思
われる。しかしながら、第VIII因子の他の領域(A1, A3, B又はC1ドメイン)に 対する抗体が同定される場合、エピトープが、非抗原性ハイブリッドヒト/ブタ 第VIII因子分子について本明細書に記載されるアプローチを用いることによって
、マッピングされ、そして排除され得る。
【0134】 より特定には、いずれか他の動物又はヒト第VIII因子ドメインにおける推定上
の第2L鎖エピトープ及び/又はいずれか他のエピトープのマッピングがまた達成
され得る。最初に、A3又はC1ドメインにおける第3インヒビターエピトープの存
在の決定は、次の通りにして行われ得る。モデルとしてヒト(“H”)及びブタ (“P”)第VIII因子アミノ酸配列を用いる場合、A1P-A2P-A3P-C1H-C2P及びA1P-
A2P-A3H-C1P-C2P B−ドメイン欠乏ハイブリッドが構成されるであろう。ブタ第
VIII因子に対して低いか又は検出できない力価を有する約20人の血漿(Dr. Doro
thea Scandella, American Red Cross からの)からのインヒビターIgGが、ハイ
ブリッドに対して試験されるであろう。
【0135】 第3のエピトープがA3ドメインに存在する場合、阻害IgGはA1P-A2P-A3H-C1P-C
2Pと反応するが、しかしA1P-A2P-A3P-C1H-C2Pとは反応しないことが予測される 。逆に言えば、第3のエピトープがC1ドメインに存在する場合、阻害IgGはA1P-A
2P-A3P-C1H-C2Pと反応するが、しかしA1P-A2P-A3H-C1P-C2Pとは反応しないこと が予測される。第3のエピトープが同定される場合、それは、A2及びC2エピトー
プについて本明細書に記載される方法により特徴づけられであろう。
【0136】 たとえば、C1又はA3ドメインエピトープに対して特徴的な抗体は、A1P-A2P-A3 H -C1P-C2P及びA1P-A2P-A3P-C1H-C2Pハイブリッドを用いて親和性クロマトグラフ
ィーにより、及び組換え第VIII因子C2−Sepharose(商標)上への通過によるC2 特異的抗体の排除により、全患者のIgGから単離され得る。推定上の第3のエピ トープは、好ましい態様においては、ヒト第VIII因子A3又はC1ドメインの部分が
ブタ配列により組織的に置換されているSOE構造体により同定されるであろう。
【0137】 低められた免疫原性を有するハイブリッド第VIII因子分子: 分子は、そらがヒト又は動物において抗体の生成を誘発できる場合、免疫原性
である。本発明は、他の種の第VIII因子の免疫原活性を有する対応するアミノ酸
配列により置換された、1つの種の第VIII因子の1又は複数のユニークアミノ酸 を包含する少なくとも1つの特異的アミノ酸配列;又はヒト、動物又はハイブリ
ッド第VIII因子のアミノ酸配列により置換された、第VIII因子と既知の同一性を
有さない1又は複数のアミノ酸を含む少なくとも1つのアミノ酸配列を含んで成
る、前凝固組換えハイブリッドヒト/動物又は動物/動物第VIII因子分子、ハイブ
リッド第VIII因子同等物分子、又はヒト又は動物において野生型ヒト又はブタ第
VIII因子よりも低い免疫原性であるいずれかのフラグメントを提供する。
【0138】 このハイブリッドは、動物又はヒトにおいてインヒビター生成の発生率を低め
るために、及び第VIII因子欠乏を処理するために使用され得、そして血友病を有
する、これまで未処理の患者の処理において好ましい。好ましい態様においては
、ハイブリッド第VIII因子は、ヒト又は動物において低められた免疫原性を有す
るか又はその免疫原性を有さない前凝固組換えハイブリッド同等物分子又はその
フラグメントをもたらす、免疫原活性を有するヒトアミノ酸配列により置換され
た1又は複数のアラニン残基をさらに含んで成る、ヒト第VIII因子アミノ酸配列
を含んで成る。
【0139】 ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子を用いて、第VIII因子分子において非抗原 性アミノ酸配列の置換と組み合わされたエピトープマッピング及び突然変異分析
の本明細書に記載される方法は、低い抗原性を有するハイブリッド分子を生成す
る。このモデル及び関連する方法を用いれば、本明細書に記載されるハイブリッ
ド構造体のいずれかが、ハイブリッド第VIII因子を認識する免疫系の能力を最少
にするために、できるだけ、いずれかの機能的エピトープを除去し、それにより
、その免疫原性を低める特定部位の突然変異誘発技法により変更され得る。
【0140】 抗原性をさらに低め、そして低い免疫原性のハイブリッド第VIII因子を構成す
るために使用され得る1つの方法は、Cunningham, B. C. など. (1989) Science
244: 1081-1085に記載されるように、ヒト、動物又はハイブリッド同等物第VII
I因子における選択された特定のアミノ酸配列のアラニン走査突然変異誘発であ る。アラニン走査突然変異誘発においては、エピトープに推定上含まれるアミノ
酸側鎖が、特定部位の突然変異誘発を用いることによって、アラニン残基により
置換される。
【0141】 野生型タンパク質に対するアラニン変異体の抗体結合を比較することによって
、結合相互作用に対する個々の側鎖の相対的寄与が決定され得る。アラニン置換
は特に有用であると思われる。なぜならば、抗体結合への側鎖の寄与がβ鎖の向
こう側で排除されるが、しかしグリシン置換とは異なって、主鎖のコンホメーシ
ョンが通常変更されないからである。アラニン置換は、タンパク質−タンパク質
相互作用を支配する主要の立体的、疎水性又は静電効果を付与しない。
【0142】 タンパク質抗原−抗体相互作用においては、抗体と接触して約15〜20個の抗原
側鎖が通常存在する。側鎖相互作用は、主鎖相互作用に対立するものそして、タ
ンパク質−タンパク質相互作用を支配する。最近の研究は、わずか数種(約3〜
5)のそれらの側鎖相互作用が結合エネルギーのほとんどに寄与していることを
示唆している。Clackson, T. など. (1995) Science 267: 383-386を参照のこと
【0143】 いくつかのネズミモノクローナル抗体のための成長ホルモンエピトープの集中
的な分析は、結合エネルギーへの側鎖寄与について次の序列を示した:Arg>Pro
>Glu−Asp−Phe−Ile;Trp, Ala, Gly及びCysは試験されなかった(Jin, L. な
ど. (1992) J. Mol. Biol. 226: 851-865)。本明細書に記載されるA2エピトー プに関する結果はこれと一致する。なぜならば、485‐508 A2セグメントにおけ
る25個の残基のうちに個々の残基がそれらの側鎖を含むからである(表1)。
【0144】 一定のアミノ酸残基が抗体により特に十分に認識される発現は、既知のエピト
ープからのそれらの残基排除がそれらのエピトープを認識する免疫系の能力を低
め、すなわち分子を低い免疫原性にすることができることを示す。A2エピトープ
の場合、免疫原性残基は、第VIII因子凝固活性の損失を伴わないで、置換され得
る。たとえば、HP9においては、Arg484はSerにより置換され、Pro485はAlaによ り置換され、Arg489はGlyにより置換され、Pro492はLeuにより置換され、そして
Phe501はMetにより置換される。
【0145】 さらに例8に記載される、ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子構造体における 免疫反応性を試験するために使用される患者の血漿からの結果は、異なった患者
からの抗体がA2ドメインにおける同じか又は非常に類似する構造領域を認識し、
そして結合A2インヒビターに関係するA2ドメインにおける残基がほとんど変動性
を示さないように見えることを示唆する。
【0146】 従って、ヒト第VIII因子残基484−508に含まれるA2エピトープは、それが第VI
II因子の他の構造領域よりも良好なヒト免疫系により認識されることにおいて、
免疫優性エピトープである。もう1つの種からの非抗原性第VIII因子配列による
、又は非第VIII因子アミノ酸配列による、十分な前凝固活性を保持しながらのこ
の構造体の置換は、免疫系によるハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因
子の認識を変更することが予測される。
【0147】 小さな中性側鎖(たとえば、アラニン)により、エピトープを支配する傾向で
ある巨大で且つ/又は荷電された残基を置換する特定部位の突然変異誘発は、低 い免疫原性領域を生成することが予測される。個々の有意なインヒビターエピト
ープで少数のそれらの置換を含む分子は、抗原−抗体相互作用の典型である鍵と
鍵穴機構により免疫系を適合することが困難であろうことが予測される。その低
い抗原性のために、そのようなハイブリッド分子は、インヒビターにより第VIII
因子を欠く患者を処理することにおいて有用であり、そしてその低い免疫原性の
ために、それは血友病Aを有する、これまで未処理の患者の処理において有用で ある。
【0148】 一般的な結果は、1又は数個のキー残基の突然変異が、所定のタンパク質−タ
ンパク質相互作用のための結合定数を数倍、低めるのに十分である結果である。
従って、すべての第VIII因子エピトープは、インヒビター発生のために決定的で
ある限定数のアミノ酸を含むと思われる。第VIII因子における個々のエピトープ
に関しては、免疫原活性を有する1又は複数の特定のアミノ酸を含む少なくとも
1つの配列によるアラニン置換が、野生型第VIII因子よりも低い免疫原性である
活性分子を生成することができる。好ましい態様においては、ハイブリッド第VI
II因子は、B−ドメイン欠乏である。
【0149】 免疫原活性を有する第VIII因子におけるアミノ酸配列により、免疫原活性をほ
とんど有さないか又はまったく有さないアミノ酸配列の置換を有する活性組換え
ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子を調製するための方法は、次の
通りに、典型的な態様としてA2ドメインにおけるアミノ酸置換を有するハイブリ
ッドヒト/ブタ第VIII因子を用いることである。ヒト第VIII因子領域484−508に2
5個の残基が存在する。特定部位の突然変異誘発は、それらの残基のいずれかが 、合計475個の変異体に関して、他の19個のアミノ酸のいずれかにより置換され ている単一変異体を製造するために使用され得る。さらに、1つよりも多くの突
然変異を有するハイブリッド分子が構成され得る。
【0150】 ハイブリッド構造体は、Friguer, B. など. (1985) J. Immunol. Methods 77:
305-319 (1985) により記載されるように、インヒビター抗体のための結合定義
を測定することによって、抗原性についてアッセイされ得る。好ましい態様にお
いては、その結合定数は、少なくとも3倍低められ、これはBethesda力価を、臨
床学的に無意味であるレベルに低めるであろう。たとえば、A2抗体による阻害の
IC50(結合定数の粗測定)は、例8に記載されるハイブリッドヒト/ブタ第VIII 因子構造体HP2, HP4, HP5, HP7及びHP9において低められ、そしてこれは測定で きないレベルへのBethesda力価の低下と関連している。
【0151】 たとえば、ヒト第VIII因子の二重又は三重アラニン変異体(たとえば、ヒト第
VIII因子Arg484→Ala, Arg489→Ala, Phe501→Ala三重変異体)は、治療使用の ための十分に低い抗原性を有する分子を精製するであろうことが予測される。類
似する突然変異が、C2エピトープ及び推定上の第3エピトープにおいて行われ得
る。好ましい態様は、2又は3個の第VIII因子エピトープ中への2又は3個のア
ラニン置換を包含する。3種の領域中への他の置換がまた行われ得る。
【0152】 好ましい態様においては、ヒト又はブタ第VIII因子よりも、ヒト及び動物にお
いて低い抗原性及び/又は免疫原性であるハイブリッド同等物第VIII因子分子が 同定されるであろう。そのようなハイブリッド同等物構造体は、それらの低めら
れた抗原性及び/又は免疫原性について動物において試験され得る。たとえば、 対照及び第VIII因子を欠いているウサギ、ブタ、イヌ、マウス、霊長類及び他の
哺乳類が動物モデルとして使用され得る。
【0153】 1つの実験プロトコールにおいては、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第
VIII因子が、6ヶ月〜1年間、動物に、好ましくは静脈注入により、5〜50単位
/kg体重、好ましくは10〜50単位/kg及び最も好ましくは40単位/kgの範囲の用量 で全身投与され得る。抗体は、通常の方法、たとえばイムノアッセイ及びBethes
daアッセイにより、試験期間の間にわたって、注入の後、一定間隔で採取された
血漿サンプルにおいて測定され得る。凝固活性はまた、通常の方法、たとえば一
段階凝固アッセイによりサンプルにおいても測定され得る。
【0154】 ハイブリッド同等物第VIII因子分子は、少なくとも2つのタイプの臨床学的試
験において、それらの低められた抗原性及び/又は免疫原性について、ヒトにお いて試験され得る。ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子が阻害抗体
と免疫反応性であるかどうかを決定することが企画された1つのタイプの試験に
おいては、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子が、好ましくは静脈
注入により、治療用ヒト又はブタ第VIII因子の凝固活性を阻害する、第VIII因子
に対する抗体を有する、第VIII因子欠乏の約25人の患者に投与される。
【0155】 ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子の投与量は、5〜50単位/kg 体重、好ましくは10〜50単位/kg、及び最も好ましくは40単位/kgの範囲である。
個々の投与の約1時間後、血液サンプルからの第VIII因子の回復性が一段階凝固
アッセイにおいて測定される。再びサンプルが、注入の約5時間後に採取され、
そして回復性が測定された。
【0156】 サンプルからの第VIII因子の合計の回復性及び消出速度は、抗体力価及び阻害
活性を示す。抗体力価が高い場合、第VIII因子の回復性は通常測定され得ない。
この回復性の結果が、血漿由来のヒト第VIII因子、組換えヒト第VIII因子、ブタ
第VIII因子、及び他の通常使用される治療形の第VIII因子又は第VIII因子置換体
により処理された患者における回復性結果と比較される。
【0157】 ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子が免疫原であるかどうか、す
なわち患者が阻害抗体を生成しせめるかどうかを決定するために企画された第2
タイプの臨床試験においては、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子
が、前記文節に記載のようにして、第VIII因子に対する抗体を生成しなかった、
約100人のこれまで処理されていない血友病患者に投与される。処理は、6ヶ月 〜1年間にわたって、おおよそ2週間おきに行われる。
【0158】 この期間の間、1〜3ヶ月で、血液サンプルが採取され、そしてBethesdaアッ
セイ又は他の抗体アッセイが、阻害抗体の存在を決定するために行われる。回復
性アッセイがまた、個々の注入の後、上記のようにして行われ得る。結果が、血
漿由来のヒト第VIII因子、組換えヒト第VIII因子、ブタ第VIII因子、又は他の通
常使用される治療形の第VIII因子又は第VIII因子置換体を受けた血友病患者に比
較される。
【0159】 ヒト及び非ブタ、非ヒト哺乳類第VIII因子アミノ酸配列を用いてのハイブリッ ド第VIII因子分子の調製 : 特定アミノ酸の置換を有するハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子を調製するた めに使用される方法が、A2, C2及び/又は他のドメインにおける1又は複数のア ミノ酸の置換に基づいて、ヒト又はブタ第VIII因子に比較して、変更されている
が、又は同じ凝固活性及び/又は等しいか又は低められた免疫反応性及び/又は免
疫原性を有する、組換えハイブリッドヒト/非ヒト、非ブタ哺乳類又は動物/動物
第VIII因子タンパク質を調製するために使用され得る。
【0160】 アミノ酸配列同一性の類似する比較が、前凝集活性、抗−A2及び抗−C2免疫反
応性及び/又は免疫原性、又は他のドメイン残基における免疫反応性及び/又は免
疫原性が存在するアミノ酸配列を決定するために、ヒトおよび非ヒト、非ブタ哺
乳類第VIII因子タンパク質間で行われ得る。次に、類似する方法が、ハイブリッ
ドヒト/非ヒト、非ブタ哺乳類第VIII因子分子を調製するために使用され得る。 上記のようにして、個々のハイブリッドの機能的分析は、阻害抗体に対する低め
られた反応性、及び/又は低められた免疫原性、及び/又は高められた凝固活性を
有するそれらの分析を示し、そしてその配列はさらに、点突然変異分析により詳
細に分析され得る。
【0161】 たとえば、ハイブリッドヒト/マウス第VIII因子分子は、上記のようにして調 製され得る。ヒト(配列番号2)及びマウス(配列番号6)のA2ドメインのアミ
ノ酸配列の一列配列が、図1Cに示される。Elderなどにより報告されるように、
マウスcDNA(配列番号5)によりコードされる第VIII因子タンパク質は、2319個
のアミノ酸を有し、そしてヒト配列(配列番号2)に対して74%の配列同一性を
有し(Bドメインが比較から排除される場合、87%の同一性)、そして前記タン パク質はヒト第VIII因子よりも32個のアミノ酸が短い。
【0162】 マウスA及びCドメインにおけるアミノ酸配列(配列番号6)は高く保存され、
ヒト配列(配列番号2)に対して84〜93%の配列同一性を有し、そしてB及び2 種の短い酸性ドメインは42〜70%の配列同一性を有する。特に、A1, A2及びA3マ
ウスアミノ酸配列(配列番号6)は、その対応するヒトアミノ酸(配列番号2)
に対して、85, 85及び90%の同一性を有する。
【0163】 C1及びC2マウスアミノ酸配列は、その対応するヒトアミノ酸配列に対して93及
び84%の同一性を有する。予測されるマウス第VIII因子アミノ酸配列(配列番号
6)においては、A1, A2及びA3ドメインは、番号付け目的のためのアミノ酸配列
同一性を用いれば、それぞれ、ヒト第VIII因子アミノ酸1−372, 373−740及び16
90−2032に対して相同である。
【0164】 トロンビン/第Xa因子、及びすべてではないが、しかし1つの活性化されたタ ンパク質C切断部位が、マウス第VIII因子に保存される。von Willebrand 因子結
合のためのチロシン残基もまあ保存される。 Elderなどによれば、マウス第VIII因子のヌクレオチド配列(配列番号5)は 、7519個の塩基を含み、そしてヒトヌクレオチド配列(配列番号1)と全体的に
67%の同一性を有する。ネズミコード配列の6957個の塩基対は、ヒト第VIII因子
におけるコード配列の7053個の塩基対と82%の配列同一性を有する。Bドメイン が比較に包含されない場合、88%のヌクレオチド配列同一性が存在する。
【0165】 Elderなどは、ヒト及びマウス第VIII因子分子が74%同一であり、そして変更 される場合、血友病を導くヒト残基の95%がマウスにおいて同一であることを報
告している。それらのデータは、ブタ第VIII因子における抗体に対する凝固活性
及び/又は免疫反応性を有するアミノ酸を同定するために使用される同じ技法の 、類似するアミノ酸配列を同定し、そしてハイブリッド分子を調製するためにマ
ウスは他の動物への適用を支持する。
【0166】 ヒト及び非ヒト、非ブタ哺乳類第VIII因子アミノ酸配列及び非第VIII因子アミ ノ酸配列を用いての、低められた交差反応性を有するハイブリッド第VIII因子分 子の調製 : ブタ第VIII因子は、ヒト第VIII因子に対する阻害抗体を有する第VIII因子を欠
いている患者を処理するために臨床学的に使用される。ヒト血漿がブタ第VIII因
子と反応する交差反応性は、ハイブリッドブタ/非ヒト、非ブタ哺乳類又はハイ ブリッド同等物第VIII因子の調製により低められ得る。
【0167】 好ましい態様においては、ヒトA2, C2又は他のドメイン−特異的インヒビター
が非ヒト、非ブタ哺乳類(“他の哺乳類”)第VIII因子と反応するかどうかの決
定は、通常のBethesdaアッセイ及び標準としての特定の哺乳類血漿を用いて行わ
れる。インヒビターの力価は通常、血漿において測定され、その結果、精製され
たほかの哺乳類第VIII因子は必要とされない。インヒビターが他の哺乳類第VIII
因子、たとえばネズミ第VIII因子と反応しない場合、既知の配列、次に対応する
他の哺乳類配列が、ヒト/ブタハイブリッドを用いて同定されるように、ブタエ ピトープ領域中に置換され得る。
【0168】 動物配列が知られると、特定部位の突然変異誘発技法、たとえばKunkel, T. A
. など. (1991) Meth. Enzymol. 204: 125-139により記載されるオリゴヌクレオ
チド仲介の突然変異誘発が、ハイブリッドブタ/動物第VIII因子分子を調製する ために使用さえ得る。他の動物血漿がネズミ又はブタ第VIII因子よりもA2, C2又
は他の第VIII因子インヒビターと低い反応性である場合、ブタエピトープに対応
する動物配列は、通常の方法、たとえばRT−PCRにより決定され得、そしてハイ ブリッドヒト/動物又はブタ/動物第VIII因子が特定部位の突然変異誘発により構
成され得る。
【0169】 また、ブタ第VIII因子に比較して、ヒト血漿との低められた交差反応性を有す
るハイブリッドヒト/動物又はブタ/非ブタ哺乳類第VIII因子は、1又は複数の他
の動物からの対応する配列置換を有して調製され得る。さらなる態様においては
、交差反応性が、アラニン走査突然変異誘発技法を用いて、第VIII因子アミノ酸
配列に対して既知の同一性を有さないアミノ酸配列、好ましいアラニンのブタエ
ピトープ配列による置換により低められ得る。
【0170】 臨床学的に有意なエピトープの同定の後、インヒビター血漿の広い調査に対し
てインビトロで試験される場合、ブタ第VIII因子に比較して、低いか又は等しい
交差反応性を有する組換えハイブリッド第VIII因子分子が発現されるであろう。
好ましくは、それらの分子は、組み合わされたA2/C2ハイブリッドであり、ここ でそれらのドメインにおける免疫反応アミノ酸配列が他の哺乳類配列により置換
されている。それらの領域におけるさらなる突然変異誘発は、交差反応性を低め
るために行われ得る。
【0171】 低められた交差反応性は、所望ではないが、汚染性ブタタンパク質のために副
作用を生成する、存在するブタ第VIII因子濃縮物に対して利点を有することがで
き、そしてブタ第VIII因子配列の免疫原性のために都合良くない効果を生成する
ことができる生成物を生成する必要がない。ハイブリッドヒト/他の哺乳類又は ブタ/他の哺乳類第VIII因子分子は、外来性ブタタンパク質を含まないであろう 。さらに、ブタA2ドメインにおいて達成される広範なエピトープマッピングは、
治療用ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子配列の95%以上がヒトであろうことを 示唆する。
【0172】 ハイブリッド第VIII因子同等物の調製: 上記第VIII因子分子における、及び例におけるアミノ酸置換方法はまた、ヒト
、動物、ハイブリッド第VIII因子に抗原性及び/又は免疫原性部位を含む少なく とも1つの特異的アミノ酸配列により置換された、第VIII因子(“非第VIII因子
配列”)に対して既知のアミノ酸配列同一性を有さない1又は複数のアミノ酸を
含む少なくとも1つのアミノ酸配列を含んで成る。
【0173】 前凝固組換えハイブリッド第VIII因子同等物分子又はそのフラグメントを調製
するためにも使用され得る。得られる活性ハイブリッド第VIII因子同等物分子は
、置換されていないヒト、動物又はハイブリッド第VIII因子よりもヒト動物にお
いて、第VIII因子阻害抗体と等しいか又はそれよりも低い反応性、及び低い免疫
原生を有する。
【0174】 ハイブリッド同等物第VIII因子分子を調製するために、ヒト又は動物第VIII因
子又はハイブリッドヒト/動物第VIII因子において凝固及び/又は抗原及び/又は 免疫原活性に対して決定的であるアミノ酸のそれらの配列により置換され得る適
切なアミノ酸残基は、凝固、抗原又は免疫原活性を有する動物又はヒト第VIII因
子アミノ酸配列に対して既知の配列同一性を有さないいずれかのアミノ酸を包含
する。好ましい態様においては、置換され得るアミノ酸は、アラニン走査突然変
異誘発技法を用いる場合、アラニンを包含する。
【0175】 本明細書に記載されるハイブリッド第VIII因子同等物分子はまた、動物第VIII
因子配列に対して既知の同一性を有さないアミノ酸残基が凝固、抗原、又は免疫
原活性に対して決定的ではないアミノ酸残基により置換されていないそれらの分
子も包含する。 上記のように、ハイブリッド第VIII因子同等物の1つの態様においては、前記
分子は、阻害血漿との低められた交差反応性を有する。交差反応性第VIII因子に
おける1又は複数のエピトープが、上記のようにして同定され、そして次に、た
とえばアラニン走査突然変異誘導方法を用いて、非第VIII因子アミノ酸配列、好
ましくはアラニン残基により置換される。
【0176】 好ましい態様においては、エピトープを包含する1又は複数のアミノ酸を含む
少なくとも1つの配列により、好ましくは、ヒト第VIII因子に免疫原性部位を包
含する1又は複数のアミノ酸を含む少なくとも1つの配列により置換された、第
VIII因子に対して既知の配列同一性を有さない1又は複数のアミノ酸、好ましく
はアラニン残基を含む少なくとも1つの配列を含んで成る前凝固組換えハイブリ
ッド第VIII因子同等物分子が調製される。
【0177】 得られるハイブリッド同等物第VIII因子分子又はそのフラグメントは、ヒト又
は動物において第VIII因子に対する阻害抗体と低められた免疫反応性を有するか
又はその反応性を有さず、又は免疫原性を有さない。非抗原性ブタユニークアミ
ノ酸配列による置換のためのヒト第VIII因子のA1ドメインにおける特定の抗原性
アミノ酸配列を同定するための方法は、例7及び8に記載されており、そしてヒ
ト及び動物第VIII因子のA2及び他のドメインにおける抗原性配列を同定し、そし
て非第VIII因子アミノ酸配列を置換するために特定部位の突然変異誘導方法、た
とえばアラニン走査突然変異誘発法を使用することが典型である。
【0178】 ヒトA2エピトープは例8に記載されるように、25個又は少数のアミノ酸に制限
されて来たので、アラニン走査突然変異誘導が、A2アミノ酸配列置換に基づいて
、前凝固、非免疫反応性及び/又は非免疫原性ハイブリッド第VIII因子構造体で あることを決定するために、ヒトアミノ酸配列を有する限定された数のハイブリ
ッド第VIII因子構造体に対しておこなわれ得る。
【0179】 A2ドメインにおいては、ハイブリッド創造体において低められた抗原性及び免
疫原性の両者を達成するためのアラニン置換のための最も可能性ある候補体は、
Arg484, Pro485, Tyr487, Ser488, Arg489, Pro492, Val495, Phe501及びIle508
である。mAb43のためのそれらの変異体の個々及び一連のA2特異的患者のIgGを含
んで成るハイブリッド構造体の結合親和性は、ELISAにより決定されるであろう 。活性的であり、そして2倍以上低められるA2インヒビターに対する結合親和性
を有するいずれかの変異体が、A2置換された第VIII因子分子のための候補体であ
る。
【0180】 1つよりも多くの突然変異を有する構造体が、エピトープが変更されるほど、 免疫原性がより低くなる仮定に基づいて選択されるであろう。ヒト及びブタ第VI
II因子に共有するエピトープのためのキー残基が存在するので、Arg484−Ile508
間の領域に他の候補体残基が存在することが可能である。たとえば、電荷された
残基は時折り、タンパク質−タンパク質相互作用に包含され、そして実際、Arg4
90によるアラニン置換体がヒト第VIII因子のインヒビターに対する反応性のわず
か0.2%を有する前凝固された第VIII因子を生成する(表VI)。同様に、Lys493 によるアラニン置換は、可能な候補体である。
【0181】 この方法は、ハイブリッド同等物第VIII因子構造体を調製するためにA3又はC1
ドメインに存在すると思われる、C2エピトープ及び推定上の第3エピトープ、並
びに第VIII因子に同定されるいずれか他のエピトープにおいて実施されるであろ
う。
【0182】 診断アッセイ: ハイブリッドヒト/動物、動物/動物、又は同等物第VIII因子cDNA、及び/又は それらから、完全に又は部分的に発現されるタンパク質が、第VIII因子を欠いて
いるヒト患者の血清及び体液のサンプルを包含する基質におけるヒト又は動物第
VIII因子又はハイブリッドヒト/動物第VIII因子、又は同等物第VIII因子に対す る阻害抗体の検出のための診断試薬としてアッセイにおいて使用され得る。
【0183】 それらの抗体アッセイは、アッセイ、たとえばELISAアッセイ、イムノブロッ ト、放射性イムノアッセイ、免疫拡散アッセイ及び第VIII因子生物学的活性のア
ッセイ(たとえば、凝固アッセイによる)を包含する。それらの試薬を調製する
ための技法及びその使用方法は、当業者に知られている。たとえば、患者血清サ
ンプルにおける阻害抗体の検出のためのイムノアッセイは、試験サンプルと、少
なくとも1つの抗原性部位を含む、十分な量のハイブリッドヒト/動物第VIII因 子との反応を包含し、ここで前記量は、サンプルにおける阻害抗体と検出できる
複合体を形成するのに十分な量である。
【0184】 核酸及びアミノ酸プローブは、ハイブリッドヒト/ブタ、ヒト/非ヒト、非ブタ
哺乳類、動物/動物、又は同等物第VIII因子cDNA又はそのタンパク質分子又はフ ラグメントの配列に基づいて調製され得る。いくつかの態様においては、それら
は、市販されている色素又は酵素、蛍光、化学ルミネセンス又は放射性ラベルを
用いてラベルされ得る。たとえば、アミノ酸プローブは、ヒト、動物又はハイブ
リッドヒト/動物第VIII因子に対するインヒビターの存在が予測される血清又は 他の体液をスクリーンするために使用され得る。
【0185】 インヒビターのレベルは、患者において定量化され得、そして健康な対照に比
較され、そしてたとえば、第VIII因子を欠いている患者がハイブリッドヒト/動 物又はハイブリッド同等物第VIII因子により処理され得るかどうかを決定するた
めに使用され得る。cDNAプローブは、たとえばDNAライブラリーのスクリーニン グにおける研究目的のために使用され得る。
【0186】 医薬組成物: ハイブリッドヒト/動物、ブタ/非ヒト、非ブタ哺乳類、動物−1/動物−2、 又は同等物第VIII因子を、単独で、又は適切の医薬安定化化合物、供給ビークル
、及び/又はキャリヤービークルと共に含む医薬組成物は、Remington's Pharmac
eutical Sciences by E. W. Martin に記載されるような既知の方法に従って調 製される。
【0187】 1つの態様においては、静脈内注入のための好ましいキャリヤー又は供給ビー
クルは、生理食塩水又はリン酸緩衝溶液である。 もう1つの好ましい態様においては、適切な安定化化合物、供給ビークル、及
びキャリヤービークルは、他のヒト又は動物タンパク質、たとえばアルブミンを
包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0188】 リン脂質ビークル又はリポソーム懸濁液はまた、医薬的に許容できるキャリヤ
ー又は供給ビークルとしても好ましい。それらは、当業者に知られている方法に
従って調製され得、そしてたとえば、第VIII因子は負に荷電されたリン脂質膜に
結合するので、表面の負の電荷を一緒に付与するホスファチジルセリン/ホスフ ァチジルコリン、又はリン脂質又は界面活性剤の他の組成物を含むことができる
【0189】 リポソームは、続いて蒸発され、容器の表面上に乾燥された脂質の薄フィルム
を残す無機溶媒に、適切な脂質(たとえば、ステアロイルホスファチジルエタノ
ールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジル
コリン及びコレステロール)を溶解することによって調製され得る。次に、ハイ
ブリッド第VIII因子の水溶液が容器中に導入される。次に、容器が手動的に渦巻
きされ、容器の側面から脂質材料が離され、そして脂質凝集物が分散され、それ
により、リポソーム懸濁液が形成される。
【0190】 ハイブリッド因子又はハイブリッド同等物第VIII因子が他の適切な安定化化合
物、供給ビークル、及び/又はキャリヤービークル、たとえばビタミンK依存性凝
固因子、組織因子、及びvon Willebrand因子(vWf)又は第VIII因子結合部位を 含むvWfのフラグメント、及び多糖類、たとえばスクロースと共に組み合わされ 得る。
【0191】 ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子はまた、ヒト第VIII因子が、
供給手段、たとえばレトロウィルスベクターを用いて供給され得るのと同じ手段
で遺伝子療法により供給さえ得る。この方法は、第VIII因子を欠く患者中に直接
的に移植されるか、又は第VIII因子分子に対して透過性であるが、しかし細胞に
対しては不透過性であり、次に移植される移植可能装置に配置されるヒト細胞中
への第VIII因子cDNAの組み合わせから成る。好ましい方法は、レトロウィルス−
介在性遺伝子トランスファーであろう。
【0192】 この方法においては、外来性遺伝子(たとえば、第VIII因子cDNA)が、修飾さ
れたレトロウィルスのゲノム中にクローン化される。前記遺伝子が宿主細胞のゲ
ノム中に、それが細胞により発現されるであろうウィルス装置により挿入される
。レトロウィルスベクターは、それがウィルスを生成せず、すなわち宿主のウィ
ルス感染を防ぐであろうよう修飾される。このタイプの治療のための一般的原理
は、当業者に知られており、そして文献において再考されて来た(たとえば、Ko
hn, D. B. など. (1989) Transfusion 29: 812-820)。
【0193】 ハイブリッド第VIII因子は、ハイブリッド分子の半減期及び保存寿命を高める
ためにvWfに結合されて貯蔵され得る。さらに、第VIII因子の凍結乾燥は、vWfの
存在下で活性分子の収率を改良することができる。商業的供給者により使用され
るヒト及び動物第VIII因子の貯蔵のための現在の方法が、ハイブリッド第VIII因
子の貯蔵のために使用され得る。それらの方法は、(1)部分的に精製された状
態での第VIII因子の凍結乾燥(さらなる精製を伴わないで注入される第VIII因子
“濃縮物”として);(2)Zimmerman方法による第VIII因子の免疫親和性−精 製、及び第VIII因子を安定化するアルブミンの存在下での凍結乾燥;(3)アル
ブミンの存在下での組換え第VIII因子の凍結乾燥を包含する。
【0194】 さらに、ハイブリッド第VIII因子は、0.6MのNaCl, 20mMのMES, 及びSmMのCaCl 2 溶液(pH6.0)において4℃で無期限に安定し、そしてまた、それらの緩衝液に
おいて凍結貯蔵され、そして活性の最少の損失を伴って、融解され得る。
【0195】 処理方法: ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子は、阻害抗体による及びそれ
によらない血友病患者において、及び阻害抗体の発生による、獲得された第VIII
因子欠乏の患者において、第VIII因子欠乏による抑制できない出血(たとえば、
関節間、頭蓋内又は胃腸出血)を処理するために使用される。活性材料は好まし
くは、静脈内投与される。
【0196】 さらに、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子は、前記ハイブリッ
ドを生成するために遺伝子的に構築された細胞の移植により、又は上記のように
、そのような細胞を含む装置の移植により投与され得る。 好ましい態様においては、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子を
単独で、又は安定剤、供給ビークル及び/又はキャリヤーと組合して含む医薬組 成物は、ヒト又は動物第VIII因子の注入のために使用される同じ方法に従って、
患者に静脈内注入される。
【0197】 そのような処理の必要な患者に投与されるべきハイブリッド又はハイブリッド
同等物第VIII因子組成物の処理用量は、第VIII因子不足の重症度に非常に依存す
るであろう。一般的に、用量レベルは、重症度を維持する頻度、期間及び単位、
及び個々の患者の出血の症状の発現の期間により調節される。さらに、ハイブリ
ッド第VIII因子は、医薬的に許容できるキャリヤー、供給ビークル又は安定剤に
、標準の凝固アッセイにより測定される場合、出血を止めるのに治療的に有効な
量のハイブリッドを患者に供給するために十分な量で含まれる。
【0198】 第VIII因子は、血友病Aを有する個人に由来する血漿における凝固欠陥を是正 する、正常な血漿に存在する物質として分類的には定義される。第VIII因子の精
製された及び部分精製された形のインビトロ凝固活性が、ヒト患者への注入のた
めの第VIII因子の用量を計算するために使用され、そして患者の血漿から回収さ
れた活性の信頼できるインジケーター及びインビボ出血欠陥の是正のインジケー
ターである。
【0199】 Lusher, J. M. など. 328 New Engl. J. Med. 328: 453-459; Pittman, D. D.
など. (1992) Blood 79: 389-397; 及びBrinkhous など. (1985) Proc. Natl.
Acad. Sci. 82: 8752-8755によれば、新規第VIII因子分子のインビトロ標準アッ
セイと、イヌ注入モデル又はヒト患者におけるそれらの挙動性との間に矛盾は報
告されていない。
【0200】 通常、ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子の投与を通して患者に
おいて達成される所望する血漿第VIII因子レベルは、正常値の30〜100%の範囲 である。ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子の投与の好ましい態様
においては、組成物は、約5〜50単位/kg体重、より好ましくは10〜50単位/kg体
重、及び最も好ましくは20〜40単位/kg体重の範囲の好ましい投与量で静脈内投 与され;その頻度は約8〜24時間の範囲であり(強く影響される血友病の場合)
;そして処理の持続期間(日)は、1〜10日の範囲であり、又は出血エピソード
が解決されるまでである。
【0201】 たとえば、Roberts, H. R., and M. R. Jones, "Hemophilia and Rolated Con
ditions-Congenital Deficiencies of Prothrombin (Factor II, Factor V 及び
Factors VII to XII)", Ch. 153, 1453-1474, 1460, Hematolog, Williams, W.
J., など., ed. (1990) を参照のこと。インヒビターを有する患者は、より多く
のハイブリッド同等物第VIII因子を必要とし、又はヒト第VIII因子よりも高い比
活性及び低められた抗体反応性又は免疫原性のために、少ないハイブリッド又は
ハイブリッド同等物第VIII因子を必要とする。
【0202】 ヒト又はブタ第VIII因子による処理に関しては、注入されるハイブリッド又は
ハイブリッド同等物第VIII因子の量は、一段階第VIII因子凝固アッセイにより定
義され、そして選択された場合においては、インビボ回復性が、注入の後、患者
の血漿における第VIII因子を測定することによって決定される。いずれか特定の
患者に関しては、特定の投与量レジメが個人の必要性及び投与する個人又は組成
物の投与を管理する個人の専門的判断に従って、時間にわたって調節され、そし
て本明細書に示される濃度範囲は単なる例示であり、そして本発明の範囲を限定
するものではないことが理解されるべきである。
【0203】 処理は、必要により、組成物の一回の静脈内投与、又は延長された時間にわた
っての定期的な又は連続した投与の形を取ることができる。他方では、ハイブリ
ッド又はハイブリッド同等物第VIII因子は、種々の期間、一又は数回の用量でリ
ポソームと共に皮下又は経口投与され得る。
【0204】 ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子はまた、ヒト第VIII因子に対
する抗体を発生せしめている血友病患者における第VIII因子不足による制御でき
ない出血を処理するために使用され得る。この場合、ヒト又は動物第VIII因子の
みの凝固活性によりも卓越する凝固活性は必要とされない。ヒト第VIII因子の凝
固活性よりも劣っている凝固活性(すなわち、3,000単位/mg以下)が、その活性
が患者の血漿における抗体により中和されない場合、有用であろう。 ハイブリッド又はハイブリッド同等物第VIII因子分子及びそれの単離、特徴化
、製造及び使用方法が、さらに次の非制限的な例に理解されるであろう。
【0205】
【実施例】例1ブタ第VIII因子及びハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子のアッセイ ブタ第VIII因子は、分子の比活性に基づけば、ヒト第VIII因子よりも高い凝固
活性を有する。それらの結果は、例4の表IIIに示される。この結論は、ヒト/ブ
タ第VIII因子の明確な比較を可能にする適切な標準曲線の使用に基づいている。
凝固アッセイは、血友病Aを有する患者に由来する血漿の凝固時間を短くする第V
III因子の能力に基づかれている。次の2種のタイプのアッセイを使用した:一 段階及び二段階アッセイ。
【0206】 一段階アッセイにおいは、0.1mlの血友病A血漿(George king Biomedical, In
c.)を、0.1mlの活性化された部分トロンボプラスチン試薬(APTT)(Organon T
eknika)、及び0.01mlのサンプル又は標準(希釈され、クエン酸化された正常な
ヒト血漿から成る)と共に、水浴において、37℃で5分間インキュベートした。
インキュベーションに続いて、0.1mMのCaCl2を添加し、そしてフィブリンクロッ
トの進行のための時間を眼での観察により決定した。
【0207】 第VIII因子の単位は、1mlのクエン酸化された正常なヒト血漿に存在する量と
して定義される。標準としてのヒト血漿と、ブタ及びヒト第VIII因子活性とを直
接的に比較した。血漿標準又は精製されたタンパク質の希釈を、0.15MのNaCl、0
.02MのHEPES溶液(pH7.4)により行った。標準曲線を、血漿の3又は4個の希釈
度に基づいて(再高の希釈度は1/50である)、及び直線のプロットをもたらす、
log10血漿濃度に対してプロットされたlog10凝固時間に基づいて構成した。未知
のサンプルにおける第VIII因子の単位を、その標準曲線から、内挿法により決定
した。
【0208】 一段階アッセイは、血友病A血漿に形成される活性化因子による第VIII因子の 内因性活性化に依存し、そして二段階アッセイは、予備活性化された第VIII因子
の前凝固活性を測定する。二段階アッセイにおいては、トロンビンと反応された
第VIII因子を含むサンプルを、活性化された部分トロンボプラスチン及び37℃で
5分間プレインキュベートされたヒト血友病A血漿の混合物に添加した。次に、 得られる凝固時間を、上記の同じ標準曲線に基づいて、単位/mlに転換した。二 段階アッセイにおける相対的活性は、第VIII因子が予備活性化されているので、
一段階アッセイにおけるよりも高い。
【0209】例2ヒト及びブタ第VIII因子間の機能的差異の特徴化 ブタ及びヒト血漿由来の第VIII因子及びヒト組換え第VIII因子の単離は、Fulc
her, C. A. など. (1982) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79: 1648-1652; Toule
など. (1984) Nature 312: 342-347 (Genetics Institute); Gitschier など. (
1984) Nature 312: 326-330 (Genentech); Wood など. (1984) Nature 312: 330
-337 (Genentech); Vehar など. Nature 312: 337-342 (Genentech); Fass など
. (1982) Blood 59: 594; Toole など. (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83
: 5939-5942 における文献に記載されている。これは、いくつかの手段で達成さ
れ得る。すべてのそれらの調製物はサブユニット組成においては類似するが、但
しヒト及びブタ第VIII因子間での安定性の機能的差異が存在する。
【0210】 ヒト組換え及びブタ第VIII因子の比較のために、高度に精製されたヒト組換え
第VIII因子(Cutter Laboratories, Berkeley, CA)及びブタ第VIII因子(Fass など. (1982) Blood 59: 594に記載のようにして免疫精製された)の調製物を、
NonoQ(商標)(Pharmacia-LKB, Piscataway, NJ) アニオン交換カラム(Pharmac
ia, Inc.)上での高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)にゆだねた。MonoQ(商 標)HPLC段階の目的は、比較目的のために通常の緩衝液中へのヒト及びブタ第VI
II因子の交換のマイナーな不純物の排除であった。1000〜2000単位の第VIII因子
を含むバイアルを水5mlにより再構成した。
【0211】 次に、Hepes (pH7.4で2M) を添加し、0.02Mの最終濃度にした。第VIII因子を 、pH7.4での0.15MのNaCl、0.02MのHepes, 5mMのCaCl2溶液(緩衝液A+0.15MのNa
Cl)により平衡化されたMonoQ(商標)HR5/5カラムに適用し;10mlの緩衝液A+0
.15MのNaClにより洗浄し;そして緩衝液中、0.15M〜0.90MのNaClの線状グラジエ
ント20mlにより、1ml/分の流速で溶出した。
【0212】 ヒト血漿由来の第VIII因子(MonoQ(商標)HPLC により精製された)及びブタ
第VIII因子の比較のために、免疫親和性−精製された血漿由来のブタ第VIII因子
を0.04MのHepes, 5mMのCaCl2、0.01%のTween−80溶液(pH7.4)により1:4に希 釈し、そしてヒト第VIII因子についての前記文節に記載されるのと同じ条件下で
、MonoQ(商標)HPLC にゆだねた。ヒト及びブタ第VIII因子の単離のためのそれ
らの方法は当業者のためには標準である。
【0213】 カラム画分を、一段階凝固アッセイにより第VIII因子活性についてアッセイし
た。単位活性/材料のA280で表されるアッセイの平均結果が、表IIに表され、そ してブタ第VIII因子は、一段階アッセイが使用される場合、ヒト第VIII因子より
も少なくとも6倍高い活性を有することを示す。
【0214】
【表2】
【0215】例3ヒト及びブタ第VIII因子の安定性の比較 第VIII因子についての一段階アッセイの結果は、サンプルにおける第VIII因子
の第VIIIa因子への活性化、及び形成される第VIIIa活性の可能な損失に影響を及
ぼす。ヒト及びブタ第VIII因子の直接的な比較が行われた。MonoQ(商標)HPLC
(Pharmacia, Inc., Piscataway, N. J.) からのサンプルを、同じ濃度及び緩衝 液組成に希釈し、そしてトロンビンと反応せしめた。種々の時間で、サンプルを
二段階凝固アッセイのために採取した。典型的にはピーク活性(2分での)は、
ヒト第VIIIa因子よりもブタ第VIIIa因子において10倍高く、そしてブタ及びヒト
第VIIIa因子の活性は、結果的に、低下し、そしてヒト第VIIIa因子活性はより急
速に低下した。
【0216】 一般的に、安定したヒト第VIIIa因子を単離するための試みは、安定したブタ 第VIIIa因子を生成する条件が使用される場合でさえ好結果を生まない。これを 示すために、MonoQ(商標)HPLC−精製されたヒト第VIII因子をトロンビンによ り活性化し、そしてLollarなど. (1989) Biochemistry 28: 666により記載され るように、安定したブタ第VIIIa因子を生成する条件下で、MonoS(商標)カチオ
ン−交換(Pharmacia, Inc.)HPLCにゆだねた。
【0217】 0.2MのNaCl、0.01MのHepes, 2.5mMのCaCl2の溶液(pH7.4)中、43μg/ml(0.2
μM)のヒト第VIII因子(10mlの合計体積)を、トロンビン(0.036μM)と10分 間、反応せしめ、この時点で、FPR−CH2Cl D−フェニル−プロリル−アルギニル
−クロロメチルケトンを添加し、トロビンの不可逆的不活性化のために0.2μMの
濃度にした。次に、この混合物を、40mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホ ン酸(MES)、5mMのCaCl2溶液(pH6.0)により1:1に希釈し、そして5mMのMES
、5mMのCaCl2溶液(pH6.0)(緩衝液B)+0.1MのNaClにより平衡化されたMonoS(
商標)Hr5/5 HPLC カラム(Pharmacia, Inc.)上に2ml/分で負荷した。第VIIIa 因子を、緩衝液B中、0.1M〜0.9MのNaClグラジエント20mlにより1ml/分で、カラ ム洗浄を伴わないで溶出した。
【0218】 二段階アッセイにおいて凝固活性を有する画分は、それらの条件下で単一ピー
クとして溶離した。そのピーク画分の比活性は、約7,500U/A280であった。MonoS
(商標)第VIIIa因子ピークのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲ ル電気泳動(SDS−PAGE)、続くタンパク質の染色は、第VIII因子のヘテロダイ マー(A3−C1−C2/A1)誘導体に対応する2つのバンドを示した。A2フラグメン トは、その低い濃度のために、それらの条件下で銀染色により同定されないが、
それは125I−ラべリングにより微量構成成分として同定された。
【0219】 ヒト第VIII因子の結果と比較すれば、同じ条件下でMonoS(商標)HPLCにより 単離されたブタ第VIIIa因子は、1.6×106U/A280の比活性を有した。SDS−PAGEに
よるブタ第VIIIa因子の分析は、A1, A2及びA3−C1−C2サブユニットに対応する 3種のフラグメントを示し、これはブタ第VIIIa因子が3種のサブユニットを有 することを示す。
【0220】 ヒトトロンビン−活性化された第VIII因子調製物(pH6.0)のMonoS(商標)HP
LCの結果は、ヒト第VIIIa因子が安定したブタ第VIIIa因子を生成する条件下で不
安定性であることを示す。しかしながら、微量のA2フラグメントがピーク画分に
同定されたけれども、凝固活性が少量のヘテロトリマー第VIIIa因子に起因する か又は低い比活性を有するヘテロダイマー第VIIIa因子に起因するかどうかの決 定は、この方法のみからは不可能であった。
【0221】 ヒト第VIII因子を、それがそのA2サブユニットを失う前に単離するための手段
は、この問題を解決するために所望される。そのために、単離は、MonoS(商標 )緩衝液のpHを、5に低めることを包含する方法において達成された。MonoQ( 商標)−精製されたヒト第VIII因子(0.5mg)を、水により希釈し、0.25MのNaCl
、0.01MのHepes, 2.5mMのCaCl2, 0.005%のTween−80溶液(pH7.4;合計体積7.0m
l)中、0.2mg/ml (1μm)の最終濃度の第VIII因子を付与した。トロンビンを添加
し、0.072μMの最終濃度にし、そして3分間、反応せしめた。次に、トロンビン
を、FPR−CH2Cl (0.2μM) により不活性化した。
【0222】 次に、その混合物を、40mMの酢酸ナトリウム、5mMのCaCl2、0.01%Tween−80
の溶液(pH5.0)により1:1に希釈し、そして0.01Mの酢酸ナトリウム、5mMのCa
Cl2、0.01%のTween−80の溶液(pH5.0)+0.1MのNaClにより平衡化されたMonoS
(商標)HR5/5HPLCカラム上に2ml/分で負荷した。第VIIIa因子を、1ml/分で、同
じ緩衝液中、0.1M〜1.0MのNaClのグラジエント20mlにより、カラム洗浄を伴わな
いで溶出した。これは、SDS−PAGE及び銀染色により示されるように、検出でき る量のA2フラグメントを含むピークにおける凝固活性の回復をもたらした。ピー
ク画分の比活性は、pH6.0で回復された比活性よりも10倍高かった(75,000U/A28 0 対7,500U/A280)。
【0223】 しかしながら、4℃で無期限に安定する、PH6.0で単離されたブタ第VIIIa因子
比較して、ヒト第VIIIa因子活性は、MonoS(商標)からの溶出の後、数時間にわ
たって一定して低下した。さらに、pH5.0で精製され、そしてすぐにアッセイさ れた第VIIIa因子の比活性はブタ第VIIIa因子の比活性のわずか5%であり、これ
は、実質的に解離がアッセイの前に生じたことを示す。
【0224】 それらの結果は、ヒト及びブタ第VIIIa因子が3種のサブユニット(A1, A2及 びA3−C1−C2)から構成されることを示す。A2サブユニットの解離が、一定の 条件、たとえば生理学的イオン強度、pH及び濃度下で、ヒト及びブタ第VIIIa因 子の両活性の損失を担当している。一定条件下でのブタ第VIIIa因子の相対的安 定性は、A2サブユニットのより強い解離のためである。
【0225】例4サブユニットによる再構成によるハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子の調 ブタ第VIII因子L鎖及び第VIII因子H鎖を次の通りにして単離した。PH7.4でのE
DTAの0.5Mの溶液を、MonoQ(商標)−精製された第VIII因子に添加し、0.05Mの 最終濃度にし、そして室温で18〜24時間、静置した。等体積の10mMのヒスチジン
−Cl、10mMのEDTA、0.2%(v/v)のTween−80(緩衝液B)(pH6.0)を、添加し 、そしてその溶液を、緩衝液A+0.25MのNaClにより前もって平衡化されたMonoS (商標)HR5/5カラムに1ml/分で適用した。第VIII因子H鎖は、SDS−PAGEにより 判断される場合、樹脂を結合しなかった。第VIII因子H鎖を、緩衝液A中、0.1〜0
.7Mの線状NaClグラジエント20mlにより、1ml/分で溶出し、そしてSDS−PAGEによ
れば、均質であった。
【0226】 第VIII因子H鎖を、次の手段で、MonoS(商標)HPLC(Pharmacia, Inc., Pisca
tway, N. J.)により単離した。第VIII因子H鎖は、第VIII因子L鎖の精製の間、M
onoS(商標)に吸着しない。第VIII因子H鎖を含んだ沈降した材料を、0.5MのHep
es緩衝液(pH7.4)の添加によりpH7.2に調節し、そして0.1MのNaCl, 0.02MのHep
es, 0.01%no Tween−80の溶液(pH7.4)により平衡化されたMonoQ(商標)HR5/5
HPLCカラム(Pharmacia, Inc.)に適用した。カラムを10mlのこの緩衝液により
洗浄し、そして第VIII因子H鎖をこの緩衝液中、0.1〜1.0MのNaClグラジエント20
mlにより溶出した。ヒトL鎖及びH鎖を同じ態様で単離した。
【0227】 ヒト及びブタL鎖及びH鎖を、次の段階に従って再構成した。10μlのヒト又は ブタ第VIII因子L鎖(100μg/ml)を、1MのNaCl, 0.02MのHepes, 5mM のCaCl2,
0.01%のTween−80の溶液(pH7.4)において、(1)同じ緩衝液中、25μlの異種
H鎖(60μg/ml);(2)0.2MのHepes, 0.01%のTween−80の油液(pH7.4)10μl
;(3)0.6MのCaCl2溶液5μlと共に、室温で14時間、混合した。その混合物を
、0.02MのMES, 0.01%のTween−80, 5mMのCaCl2の溶液(pH6)により1/4に希釈し
、そして0.1MのNaCl, 0.02MのMES, 0.01%のTween−80, 5mMのCaCl2の溶液(pH6.
0)により平衡化されたMonoS(商標)Hr5/5に通用した。
【0228】 20mlのグラジエントを、同じ緩衝液中、0.1〜1.0MのNaClにおいて1ml/分で行 い、そして0.5mlの画分を集めた。吸光度を画分の280nmで読み取り、そして画分
を、一段階凝固アッセイにより、第VIII因子活性のための吸光度によりアッセイ
した。H鎖は、遊離L鎖(H鎖と会合されなかった)がまた、MonoS(商標)を結合
するので、過剰に存在し、;過剰のH鎖は、遊離L鎖が調製物の一部ではないこと
を確証する。
【0229】 再構成実験、続くMonoS(商標)HPLC精製を次のすべての4種の鎖組み合わせ により行った:ヒトL鎖/ヒトH鎖、ヒトL鎖/ブタH鎖、ブタL鎖/ブタH鎖、ブタL鎖
/ヒトH鎖。表IIIは、ヒトL鎖/ブタL鎖第VIII因子が生来のブタ第VIII因子に相当
する活性を有する(表II)ことを示し、このことは、ブタH鎖における構造要素 が、ヒト第VIII因子に比較して、ブタ第VIII因子の高められた凝固活性を担当で
きることを示唆する。
【0230】
【表3】
【0231】例5ドメインによる再構成による活性ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子の調 ブタA1/A3−C1−C2ダイマー、ブタA2ドメイン、ヒトA1/A3−C1−C2ダイマー及
びヒトA2ドメインを、Lollarなど. (1992) J. Biol. Chem. 267(33): 23652-236
57に記載される方法に従って、ブタ又はヒト血液からそれぞれ単離した。たとえ
ばブタA1/A3−C1−C2ダイマーを単離するためには、pH6.0でのブタ第VIIIa因子 (140μg)を、5NのNaOHの添加により30分間すすぎ、pH8.0にし、A2ドメインの
解離及び95%の不活性化を行った(凝固アッセイによれば)。
【0232】 前記混合物を、緩衝液B(20mMのHEPS, 5mMのCaCl2、0.01%のTween−80、pH7.
4)により1:8に希釈し、そして緩衝液Bにより平均化されたmonoSカラムに適用 した。A1/A3−C1−C2ダイマーは、0.1〜1.0MのNaClグラジエントを用いることに
よって、約0.4MのNaClで単一の鋭いピークとして溶出した。ブタA2ドメインを単
離するためには、ブタ第VIIIa因子から出発して、Lollarなど. (1989) Biochem
28: 666-674の方法に従って製造した。遊離ブタA2ドメインを、MonoS(商標)ク
ロマトグラムにおいて、0.3MのNaClで、マイナーな成分(50μg)として単離し た。
【0233】 ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子分子を、次の通りにして、ダイマー及びド メインから再構成した。精製された成分の濃度及び緩衝液条件は次の通りであっ
た:ブタA2、緩衝液A(5mMのMES, 5mMのCaCl2, 0.01%のTween−80, pH6.0) +
0.3MのNaCl中、0.63μM;ブタA1/A3−C1−C2, 緩衝液B+0.4MのNaCl中(pH7.4)
中、0.27μM;ヒトA2, 0.3MのNaCl, 10mMのヒスチジン−HCl, 5mMのCaCl2, 0.01
%のTween−20, pH6.0中、1μM;ヒトA1/A3−C1−C2, 0.5MのNaCl, 10mMのヒス チジン−Cl, 2.5mMのCaCl2, 0.1%のTween−20, pH6.0中、0.18μM。
【0234】 再構成実験を、等体積のA2ドメイン及びA1/A3−C1−C2ダイマーを混合するこ とによって行った。ブタA1/A3−C1−C2ダイマーとの混合実験においては、pHを
、0.5MのMES(pH6.0)を添加し、70mMにすることによって、6.0に低めた。 次のすべての4種の可能なハイブリッド第VIIIa因子分子:[pA2/(hA1/A3-C1-C
2)], [hA2/(pA1/A3-C1-C2)], [pA2/(pA1/pA3-C1-C3)] 及び[hA2/(hA1/A3-C1-C2)
] の凝固活性を、種々の時間で、二段階凝固アッセイにより得た。
【0235】 A2ドメイン及びA1/A3−C1−C2ダイマーの混合に続いての活性の生成は、1時 間までにほぼ完全であり、そして37℃で少なくとも24時間、安定していた。表IV
は、1時間でアッセイされる場合の再構成されたハイブリッド第VIIIa因子分子の
活性を示す。第VIIIa因子分子の比活性が得られる二段階アッセイは、一段階ア ッセイとは異なり、そしてそれらの値は、一段階アッセイにより得られる第VIII
因子分子の活性値に比較され得ない。
【0236】
【表4】
【0237】 表IVは、最高の活性がブタA2ドメイン/ヒトA1/A3−C1−C2ダイマーにより、続
いてブタA2ドメイン/ブタA1/A3−C1−C2ダイマーにより示されたことを示す。 従って、ブタ第VIIIa因子のA2ドメインがヒト第VIIIa因子のA1/A3−C1−C2ダ イマーと共に混合される場合、凝固活性が得られた。さらに、ヒト第VIIIa因子 のA2ドメインがブタ第VIIIa因子のA1/A3−C1−C2ダイマーと共に混合される場合
、凝固活性が得られた。単独では、A2, A1及びA3−C1−C2領域は、凝固活性を有
さない。
【0238】例6ブタ第VIII因子のA2ドメインの単離及び配列決定 ブタ第VIII因子のBドメイン及び一部のA2ドメインをコードするヌクレオチド 配列のみが、これまで配列決定されている(Tooleなど. (1986) Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 83: 5939-5942)。完全なブタ第VIII因子A2ドメインのためのcDNA
及び予測されるアミノ酸配列(それぞれ、配列番号3及び4)が、本明細書に開
示される。
【0239】 ブタ第VIII因子A2ドメインを、ブタ脾臓の全RNAの逆転写及びPCR増幅によりク
ローン化し;既知ヒト第VIII因子cDNA配列に基づく変性プライマー及びブタ第VI
II因子配列の一部に基づく正確なブタプライマーを使用した。1kbのPCR生成物を
単離し、そしてBluescript(商標)(Stratagene) ファゲミドベクター中への挿 入により増幅した。 ブタA2ドメインを、ジデオキシ配列決定により完全に配列決定した。cDNA及び
予測されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号3及び4に記載される。
【0240】例7組換えハイブリッドヒト/動物第VIII因子の調製 ヒト第VIII因子のヌクレオチド及び予測されるアミノ酸配列(それぞれ、配列
番号1及び2)は、文献に記載されている[Toole など. (1984) Nature 312: 34
2-347 (Genetics Institute); Gitschier など. Nature 312: 326-330 (Genente
ch); Wood, など. (1984) Nature 312: 330-337 (Genetech); Vehar など. Natu
re 312: 337-342 (Genentech)]。
【0241】 組換えハイブリッドヒト/動物第VIII因子を製造する場合、ヒト第VIII因子cDN
A(Biogen Corp.)の領域が除去され、そして配列同一性を有する動物cDNA配列 が挿入されることが必要とされる。結果的に、ハイブリッドcDNAが適切な発現シ
ステムに発現される。例として、ブタA2ドメインのいくらか又はすべてがその対
応するヒトA2配列に代わって置換されているハイブリッド第VIII因子cDNAがクロ
ーン化された。
【0242】 最初に、ヒト第VIII因子のA2ドメインに対応する完全なcDNA配列及び次に、A2
ドメインの最小部分がオリゴヌクレオチド−介在性突然変異誘発、すなわち当業
者に知られている方法により環状化された(たとえば、Sambrook, J., E. F. Fr
itsch, and T. Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Chapter
15, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, 1989 を参照のこと)。 段階は次の通りであった。
【0243】 材料: メトキシカルボニル−D−シクロヘキシルグリシル−グリシル−アルギニン−p
−ニトロアニリド(Spectrozyme(商標)Xa)及び抗−第VIII因子モノクローナ ル抗体ESH4及びESH8を、American Diagnostica (Greenwich, CT)から購入した。
単層状ホスファチジルコリン/ホスファチジルセリン(75/25, w/w)ビークルを 、Barenholtz, Y., など., 16 Biochemistry 2806-2810 (1977) の方法に従って
調製した。
【0244】 組換えデスルファトヒルジン(desulfatohirudin)を、Dr. R. B. Wallis, Ci
ba−Geigy Pharmaceuticals (Cerritos, CA)から得た。ブタ第IXa, X, Xa因子、
及びトロンビンは、Lollarなど. (1984) Blood 63: 1303-1306 及びDuffy, E. J
. など. (1992) J. Biol. Chem. 207: 7621-7827 の方法に従って、単離された 。アルブミン−フリーの純粋な組換えヒト第VIII因子は、Baxter-Biotech (Deer
field, IL) から得られた。
【0245】 ブタ第VIII因子A2ドメインのクローニング: ブタA2ドメインをコードするcDNAを、Chomczynekiなど. (1987) Anal. Bioche
m. 162: 156-159により記載されるようにして単離された、逆転写されたブタ脾 臓mRNAのPCRに従って得た。CDNAを、プライマーとしてランダムヘキサマーを使 用する一本鎖cDNA合成キットを用いて調製した(Pharmacia, Piscataway, N. J.
)。
【0246】 PCRを、既知の限定されたブタA2アミノ酸配列に基づいての5'−末端変性プラ イマー5'−AARCAYCCNAARACNTGGG−3'(配列番号11)、及びブタA2ドメインの3' 側の既知のブタDNA配列に基づいての3'−末端の正確なプライマー5'−GCTCGCACT
AGGGGGTCTTGAATTC−3'(配列番号12)を用いて行った。それらのオリゴヌクレオ
チドは、ヒト配列(配列番号1)におけるヌクレオチド1186−1203及び2289−23
12に対応する。増幅を、Taq DNAポリメラーゼ(Promega Corp., Madison, WI) を用いて、35サイル(94℃で1分、50℃で2分、72℃で2分)実施した。
【0247】 1.1キロ塩基の増幅されたフラグメントを、Murchuk, D. など. (1991) Nucl.
Acids Res. 19: 1154に記載されるようにして、T−ベクター方法を用いて、EcoR
V部位でpBluescript II KS- (Stratagene) 中にクローン化した。E.コリXL1−B
lue−コンピテント細胞を形質転換し、そしてプラスミドDNAを単離した。配列決
定を、Sequenase(商標)バージョン2.0(U.S. Biochemical Corp., a Division
of Amersham LifeScience, Inc., Arlington Hts, IL)を用いて、両方向に行 った。
【0248】 この配列は、同じブタ(CircumVent(商標), New England Biolabs, Beverly
, MA) からの脾臓RNAの独立した逆転写からのPCR生成物の直接的な配列決定に より得られた同一の配列により確認された。自己抗体RCのためのエピトープを含
む領域を、ヒト第VIII因子(配列番号2)において373−536として同定した。
【0249】 ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子cDNAの構成及び発現: アミノ酸残基741-1648 (配列番号2) をコードする配列を欠いているB−ドメ インレスヒト第VIII因子(Biogen, Inc. Cambridge, MA からのHB−)を、ハイ ブリッドヒト/ブタ第VIII因子の構成のための出発材料として使用した。操作を 促進するために、第VIII因子のためのcDNAを、ReNeoからXhoI/HpaIフラグメント
として単離し、そしてXhoI/EcoRVにより消化されたpBlueScript II KS中にクロ ーン化した。
【0250】 オリゴヌクレオチド、5'−CCTTCCTTTATCCAAATACGTAGATCAAGAGGAAATTGAC−3'(
配列番号7)を、Kunkel, T. A. など. (1991) Meth. Enzymol 204: 125-139に より記載されるように、ウラシル含有ファージDNAを用いて特定部位の突然部位 の突然変異誘発反応に使用し、同時にヒトA2配列(配列番号1におけるヌクレオ
チド1169-2304)を環状化し、取り出し、そしてSnaBI制限部位を導入した。A2−
ドメインレスヒト第VIII因子含有プラスミドを、SnaBIにより消化し、続いて、C
laIリンカーを付加した。次に、ブタA2ドメインをそれぞれ、リン酸化された5' プライマー5'−GTAGCGTTGCCAAGAAGCACCCTAAGACG−3'(配列番号8)及び3'プラ イマー5'−GAAGAGTAGTACGAGTTATTTCTCTGGGTTCAATGAC−3'(配列番号9)を用い てPCRにより増幅した。
【0251】 ClaIリンカーを、PCR生成物に付加し、続いてヒト第VIII因子含有ベクター中 に連結した。A1/A2及びA2/A3連結部を、それぞれ、5'−及び3'−末端連結部を正
しくするために、配列番号8に示されるオリゴヌクレオチド及びヌクレオチド1 −22(配列番号9における5'−GAA...TTC)を用いての特定部位の突然変異誘発 により、正確なトロンビン分解及びフランキング配列を再生するために正しくし
た。
【0252】 HP1として命名したその得られる構造体においては、ヒトA2ドメインはブタA2
ドメインにより正確に置換された。予備生成物は、ブタA2ドメインのPCR増幅の 結果として、A1−A2連結部で所望しないチミンを含んだ。この単一の塩基を、突
然変異誘発オリゴヌクレオチド5'−CCTTTATCCAAATACGTAGCGTTTGCCAAGAAG−3'( 配列番号10)の使用により環状化した。得られるハイブリッドヌクレオイド配列
は、ヒトA1, ブタA2及びヒトA3, C1及びC2ドメインを有する活性第VIII因子をコ
ードしていた。
【0253】 推定上のA2エピトープを包含する、ブタNH2−末端A2ドメインの63%を含む領 域を、pBluescript プラスミド含有ヒト第VIII因子とヒト/ブタA2第VIII因子cDN
Aとの間でSpeI/BamHIフラグメントを交換することによって、B−ドメインレスcD
NAの相同ヒト配列により置換した。この配列は、A2ドメイン及びスプライス部位
の配列決定により確かめられた。最終的に、完全なA2配列を含むSpeI/ApaIフラ グメントを、HP2構造体を生成するHB-におけるその対応する配列の代わりに置換
した。
【0254】 COS−7細胞におけるHB-及びHP2の予備発現を、Seldon, R. F., Current Prot
ocols in Molecular Biology (Ausubel, F. M., など., eds), pp. 9.21-9.26,
Wiley Interscience, N. Y. により記載されるようにして、DEAE−デキストラン
−介在性DNAトランスフェクションの後に試験した。活性第VIII因子の発現が確 かめられ、そして予備抗体阻害研究が行われた後、HB-及びHP2のDNAを、リポソ ーム−介在性トランスフェクション(Lipofectin(商標) Life Technologies,
Inc., Gaithersburg, MD)を用いて、子供ハムスター腎細胞中に安定してトラン
スフェクトした。
【0255】 プラスミド含有クローンを、ダルベッコ変性イーグル培地−F12、400μg/mlの
G418を含む10%ウシ胎児血清(DMEM−F12/10%ウシ胎児血清)においてG418耐性
に対して選択し、続いて、100μg/mlのG418を含むDMEM−F12/10%ウシ胎児血清 において維持した。HB-及びHP2第VIII因子活性の最大発現を示すコロニーを、環
クローニングにより選択し、そしてさらなる特徴化のために拡張した。
【0256】 HB-及びHP2第VIII因子発現を、標準として精製された組換えヒト第VIII因子を
用いて、血清フリー第VIII因子アッセイ、一段階凝固アッセイ及び酵素結合のイ
ムノソルベントアッセイにより比較した。2600及び2580単位/mgの特定の凝固活 性を、それぞれHB-及びHP2について得た。HB-及びHP2は、それぞれ、1.2及び1.4
単位/ml/48時間/107個の細胞を生成した。これは、野生型構造体の活性(2,600 ±200単位/mg)と同一であった。HB-及びHP2の比活性は、血清フリーの第VIII因
子アッセイにおいては、区別できなかった。
【0257】 A1, A2, A3, C1及び/又はC2ドメイン置換を有する組換えハイブリッドヒト/動
物及び同等物第VIII因子の生物学的活性をまず、COS−細胞哺乳類過渡的発現シ ステムの使用により評価することができる。ハイブリッドヒト/動物及び同等物c
DNAを、COS細胞中にトランスフェクトし、そして上清液を上記のようにして一段
階及び二段階凝固アッセイの使用により第VIII因子活性について分析することが
できる。
【0258】 さらに、第VIII因子活性を、より敏感であり、そして多数のサンプルの分析を
可能にするクロモゲン基質の使用により測定することができる。類似するアッセ
イは、第VIII因子活性のアッセイにおける標準である[Woodなど. (1984) Nature
312: 330-337; Tooleなど. (1984) Nature 312: 342-347]。COS細胞における組
換え第VIII因子の発現はまた、標準の方法である[Tooleなど. (1984) Nature 31
2: 342-347; Pittman など. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. OSA 85: 2429-243
3]。
【0259】 本明細書に記載される組換え分子のための出発材料として使用されるヒト第VI
II因子cDNAを、COS細胞において発現し、生物活性を有する生成物を生成した。 上記のように、この材料は、ハイブリッドヒト/動物第VIII因子分子を比較する ために標準として使用され得る。このアッセイにおける活性を、ハイブリッド分
子の適切な比較のために、比活性に転換する。このためには、細胞により生成さ
れる第VIII因子の質量の測定が必要とされ、そして標準としての精製されたヒト
及び/又は動物第VIII因子によるイムノアッセイにより行われ得る。第VIII因子 分子に関するイムノアッセイは、当業者のために日常のことである[たとえば、L
ollarなど. (1988) Blood 71: 137-143を参照にこと]。
【0260】例8ハイブリッドヒト/動物及び同等物第VIII因子における阻害活性の測定 エピト−プとして(すなわち、第VIII因子と反応する阻害抗体のための認識部
位として)、たぶん包含されるヒト及び動物第VIII因子の配列を、たとえば下記
に示されるように、特定部位の突然変異誘発技法、たとえばオーバーラップ延長
方法(SOE)によるスプライシング技法と組み合わされる、第VIII因子に対する 抗体によるアッセイの使用を通して、通常の方法を用いて決定することができる
【0261】 対応する抗原性ヒト配列に比較して抗原性でない動物第VIII因子の配列を同定
し、そして置換を、標準の組換えDNA方法に従って、動物配列を挿入し、そして ヒト配列を欠失するために行うことができる。第VIII因子に対して既知の配列同
一性を有さないアミノ酸、たとえばアラニン残基の配列をまた、標準の組換えDN
A方法、又はアラニン走査突然変異誘発により置換することできる。ブタ第VIII 因子は、ヒト第VIII因子よりも、いくつかの阻害抗体と低く反応し;このことは
、インヒビターによる患者のための現在の治療の基本原理を提供する。
【0262】 組換えハイブリッドが製造された後、それらは通常のアッセイ、たとえばBeth
esdaインヒビターアッセイにより、反応性についてインビトロ試験され得る。生
来のヒト第VIII因子及び生来の動物第VIII因子よりも低い反応性であるそれらの
構造体が、置換療法のための候補体である。
【0263】 ヒト第VIII因子と反応性のほとんど(すべてではない)の阻害抗体が指図され
るエピトープは、2332個のアミノ酸ヒト第VIII因子分子における次の2つの領域
に存在すると思われる:A2ドメイン(アミノ酸残基373-740)及びC2ドメイン( アミノ酸残基2173−2332;両配列は配列番号2に示される)。A2エピトープは、
ヒトA2ドメインの一部が、置換されたヒトアミノ酸配列に対して配列同一性を有
するブタ配列により置換されている組換えハイブリッドヒト−ブタ第VIII因子分
子を製造することによって排除された。
【0264】 これは、標準の分子生物学的技法によりブタA2ドメインをクローニングし、そ
して次に、制限部位を用いて切断し、そしてA2ドメイン内でスプライシングする
ことによって、例7に記載のようにして達成された。HP2として命名された、得 られる構造体においては、ブタ第VIII因子の残基373−604(配列番号4)が、ヒ
トA2ドメイン中に置換されている。HP2を、次の方法を用いて、抗−ヒト第VIII 因子抗体との免疫反応性についてアッセイした。
【0265】 第VIII因子酵素−結合のイムノソルベントアッセイ: マイクロタイタープレートのウェルを、0.15mlの6μg/mlのESH4、すなわちヒ
ト第VIII因子L鎖抗体により被覆し、そして一晩インキュベートした。プレート を水により3度洗浄した後、ウェルを、0.15MのNaCl、10mMのリン酸ナトリウム 、0.05%のTween−20、0.05%の脱脂粉乳、0.05%のアジ化ナトリウム溶液(pH4
7.4)により1時間でブロックした。感度を高めるために、第VIII因子を含むサ ンプルを、30nMのトロンビンにより15分間、活性化した。
【0266】 次に組換えデスルファトヒルジンを100nMで添加し、トロンビンを阻害した。 プレートを再び、洗浄し、そして0.1mlのサンプル又は純粋な組換えヒト第VIII 因子(10〜600ng/ml)(標準として使用される)を添加した。2時間のインキュ
ベーションの後、プレートを洗浄し、そして0.1mlのビオチニル化されたESH8、
すなわちもう1つの第VIII因子L鎖抗体を、個々のウェルに添加した。ESH8を、
Pierceスルホスクシンイミジル−6−(ビオチンアミド)ヘキサノエートビオチ
ニル化キットを用いてビオチニル化した。
【0267】 1時間のインキュベーションの後、プレートを洗浄し、そして0.1mlのストレ プタアビジンアルカリホスファターゼを個々のウェルに添加した。プレートを、
Bio−Radアルカリホスファターゼ基質試薬キットを用いて展開し、そして個々の
ウェルについての405nmでの得られる吸光度を、Vmaxマイクロタイタープレート リーダー(Molecular Devices, Inc., Sunnyville, CA)を用いることによって 決定した。未知の第VIII因子濃度を、第VIII因子標準曲線の直線部位から決定し
た。
【0268】 第VIII因子アッセイ: HB−及びHP2第VIII因子を、上記のように行われる一段階凝固アッセイ[Buwie,
E.J. W., and C. A. Owen, Disorders of Hemostasisi (Ratnoff and Forbes,
eds.) pp. 44-72, Grunn & Stratton, Inc., Orlando, FL (1984)]により、又は
次のような血清フリーアッセイにより測定した。HB-又はHP2第VIII因子を、10nM
の第IXa因子、425nMの第X因子、及び50μMの単層ホスファチジルセリン/ホスフ ァチジルコリン(25/75, w/w)小胞の存在下で、0.15MのNaCl, 20nMのHEPES, 5m
MのCaCl2, 0.01%のTween−80溶液(pH7.4)中、40nMのトロンビンにより活性し
た。
【0269】 5分後、反応を、0.05MのEDTA及び100nMの組換えデスルファトヒルジンにより
停止し、そして得られる第Xa因子を、Hill−Eubanksなど. (1990) J. Biol. Che
m. 265: 17854-17858の方法に従って、クロモゲン基質アッセイにより測定した 。それらの条件下で、形成される第Xa因子の量は、標準として、精製された組換
えヒト第VIII因子(Baxter Biotech, Deerfield, IL)を用いることによって判 断される場合、開始第VIII因子濃度に直接的に比例していた。
【0270】 凝固アッセイの前、HB-又はHP2第VIII因子を、ヘパリン−Sepharose(商標) クロマトグラフィーにより、48時間のならし培地から10〜15単位/mlに濃縮した 。HB-及びHP2第VIII因子を、血友病A血漿(George King Biomedical)に添加し 、1単位/mlの最終濃度にした。RC又はMR血漿、又はmAb413 IgG(4μM)のスト
ック溶液中のインヒビター力価を、Kasper, C. K. など. (1975) Thromb. Diath
. Haemorrh 34: 869-872により記載されるようにして、Bethesdaアッセイにより
測定した。インヒビターIgGを、Leyte, A. など. (1991) J. Biol. Chem. 266:
740-746により記載されるようにして調製した。 HP2は抗−A2抗体と反応しない。従って、残基373−603は、抗−A2抗体のため のエピトープを含むべきである。
【0271】 ハイブリッドヒト−ブタ第VIII因子の調製及びオーバーラップ延長によるスプ ライシング(SOE)によるアッセイ : ヒトA2領域にブタアミノ酸置換を有する、いくつかのより前凝固性組換えハイ
ブリッドヒト/ブタ第VIII因子B−ドメイン分子を、A2エピトープをさらに制限す
るために調製した。制限部位技法の他に、Hoなど. (1989) Gene 77: 51-59によ り記載されるような“オーバーラップ延長によるスプライシング”方法(SOE) を用いて、ブタ第VIII因子cDNAのいずれかの任意領域を置換した。
【0272】 SOEにおいては、スプライス部位は、PCRにより所望するcDNAを生成するために
増幅され得るオリゴヌクレオチドをオーバーラップすることによって増幅され得
る。HP4〜HP13として命名された10種のcDNA構造体を製造した。それらをReNeo発
現ベクター中に挿入し、子供ハムスター腎細胞中にトランスフェクトし、そして
例7に記載されるように高いレベル[0.5〜1μg(約3〜6単位)/107個の細胞/24
時間]に発現した。第VIII因子凝固活性を、A2ドメインに対して特異的なネズミ モノクローナル阻害抗体モデル、すなわちmAb413の存在及び不在下で決定した。
インヒビターの不在下で、すべての構造体は、B(−)ヒト第VIII因子から区別 できない凝固比活性を有した。
【0273】 ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子構造体を、Bethesdaアッセイ[Kasper など.
(1975) Thromb. Diath. Haemorrh. 34: 869-872]を用いて、抗−A2インヒビタ ーmAb413との反応性についてアッセイした。Bethesda単位(BU)は、インヒビタ
ー力価を測定するための標準の方法である。結果は表Vに示され、そして組換え ヒト第VIII因子に比較される。
【0274】
【表5】
【0275】 ブタ置換の境界は、挿入のNH2−末端及びC−末端でヒト及びブタ第VIII因子間
で異なる最初のアミノ酸により定義される。表Vに示されるように、Bethesda力 価が測定できない(<0.7 BU/mg IgG)場合、A2エピトープは置換されたブタ配 列の領域に存在する。そのエピトープは、HP9とmAb413との非反応性により例示 されるように、わずか25個の残基から成る残基484−509(配列番号2)に連続的
に制限されている。構造体HP14〜HP11間で、HP9は、インヒビターと反応しなか った最も“ヒト化”構造体であった。これは、A2エピトープにおける決定的な領
域が配列Arg484−Ile508内に位置することを示す。
【0276】 この決定的な領域におけるアミノ酸配列のヒト及びブタ第VIII因子間での比較
に基づけば、対応するブタアミノ酸がそれぞれ、ヒトアミノ酸489-598及び484-4
88に代わって置換されるHP12及びHP13が製造された。いずれもmAb413と反応しな
い。これは、Arg488−Ser489結合の個々の側上の残基がA2インヒビターとの反応
のために重要であることを示す。HP12においては、わずか5個の残基が非ヒトで あり、そしてHP13においては、わずか4個の残基が非ヒトである。484-508, 484-
488及び489-508ブタ置換されたハイブリッドは、4人の患者の血漿からのA2イン
ヒビターによる低められた阻害性を示し、このことは、インヒビター集団応答に
よれば、A2エピトープの構造にほとんど変動が存在しないことを示唆する。
【0277】 最もヒト化された構造体、HP9, HP12及びHP13と、インヒビター血漿から調製 された2種の抗−A2 IgG5 調製物との反応性を決定した。mAb413のように、それ
らの抗体はHP9, HP12及びHP13と反応しなかったが、しかし対照構造体HP(-)及び
HP8とは反応した。 484-508間の領域をさらに、同じ方法を用いて、決定的なA2エピトープの最終的
同定のために分析することができる。
【0278】 例7及び8に記載される方法を用いて、ヒトA2又は他のドメインにおけるアミ
ノ酸置換を有する他のハイブリッドヒト/非ブタ哺乳類第VIII因子、いずれかの ドメインにおけるアミノ酸置換を有するハイブリッドヒト/動物又は動物/動物第
VIII因子、又はハイブリッド第VIII因子同等物分子、又は抗−第VIII因子抗体と
の低められた又は不在の免疫反応を有するそれらのハイブリッド第VIII因子のそ
れらのいずれかのフラグメントを調製することができる。
【0279】例9部位特定突然変異誘発によるヒト第VIII因子A2インヒビター反応性の排除 例8は、ヒト第VIII因子A2ドメイン中への残基484及び508により制限されたブ
タ配列の置換が、一連のA2−特異的第VIII因子インヒビターとの著しく低められ
た反応性を有する分子を生成することを示した[Healeyなど. (1995) J. Bilo. C
hem. 270: 14505-14506を参照にこと]。この領域においては、ヒト及びブタ第VI
II因子間に9種のアミノ酸差異が存在する。
【0280】 ヒトB−ドメインレス第VIII因子におけるそれらの9種の残基、すなわちR484,
P485, Y487, P488, R489, P492, V495, F501及びI508(単一文字アミノ酸コー ドを用いての)は、部位特定突然変異誘発によりそれぞれアラニンに変更された
。さらに、Mlu1及びSac2制限部位が、クローニングを促進するために、A2エピ トープに関しての部位5'及び3'での第VIII因子cDNAに、それらの部位に対応する
アミノ酸を変更しないで配置された。すべての9種の残基は、生物学的活性の第
VIII因子を生成した。それらを、Healeyなどにより記載されるようにして、ヘパ
リン−Sepharoseクロマトグラフィーにより部分的に精製し、そして濃縮した。
【0281】 変異体を、例7におけるように、ネズミモノクローナルインヒビターMab413と のそれらの反応性により特徴づけた。このインヒビターは、今日まで研究されて
来たすべてのヒトインヒビターと同じか又は非常に接近した、A2ドメインにおけ
る一群のエピトープを認識する。インヒビター反応をBethesdaアッセイを用いて
測定した。手短には、インヒビターのBethesda力価は、標準の一段階第VIII因子
凝固アッセイにおいて、第VIII因子を50%阻害するインヒビターに希釈度である
【0282】 たとえば、抗体の溶液が1/420に希釈され、そしてそれが組換え第VIII因子試 験サンプルを50%阻害する場合、Bethesda力価は420Uである。純粋なモノクロー
ナル様MAb413の場合、抗体の質量は知られており、従って、その結果はmg Mab41
3当たりのBethesda単位(BU)で表される。50%阻害点を見出すために、Mab413 の広範囲の希釈溶液を製造し、そして50%阻害を曲線適合方法により見出した。
結果は次の通りである。
【0283】
【表6】
【0284】 それらの結果は、位置484, 487, 489及び492でアラニン置換を行うことによっ
て、モデルA2インヒビターに対する第VIII因子の抗原性を10倍以上低めることが
可能であることを示唆する。R489−Aの反応性は、ほぼ4倍、強さが低められる 。それらのアラニン置換のいずれかが、第VIII因子の抗原性及び免疫原生を低め
るために治療的に有用である。
【0285】 前記結果は、アラニン−走査突然変異誘発の効能を確立し、そしてさらに、生
物学的活性が、そのアミノ酸配列が阻害抗体に関するエピトープ内で変更された
としても、保存することを示す。ヒト及びブタ配列が異なる9種の部位のうち5
種の部位はまた、ヒト及びネズミ配列が異なる部位でもある。従ってそれらの位
置でのアラニン置換を有する第VIII因子は、いずれかの現在知られている哺乳類
第VIII因子と既知の配列同一性を有さない配列を有するハイブリッド第VIII因子
同等物分子の例である。
【0286】 たとえば、2つのアラニン置換を組合すことによるさらなる修飾はまた、広範 囲の患者に非常に低められた抗原性を提供することができる。なぜならば、患者
から患者に異なるポリクローナル変異体抗体が第VIII因子A2エピトープの変異体
と反応することができるからである。さらに、免疫原性(抗体を誘発する能力)
は1よりも多くのアミノ酸置換の組み込みによりさらに低められる。そのような
置換は、アラニン、ブタ−特異的アミノ酸、又は低い免疫原能力を有することが
知られている他のアミノ酸を包含することができる。位置490, 495及び501での 置換はたぶん、免疫原性を低めることにおいて有用である。さらに、それらの置
換はたぶん、一定の患者の抗体に対する反応性を低める。
【0287】 アラニンの他に、他の効果的な抗原性低下性アミノ酸置換は、抗原−抗体結合
エネルギーへの主要な寄与体であり、又は大きな又は荷電された側鎖を有するも
のとして、これまで示されて来た置換を回避することに出来るだけ注意を払って
、行われ得る。エピトープ内での置換がその抗原反応性を低めるアミノ酸は、本
明細書において、“免疫反応性を低める”アミノ酸として命名される。
【0288】 アラニンの他に、他の免疫反応性を低めるアミノ酸は、メチオニン、ロイシン
、セリン及びグリシンを包含するが、但しそれらだけには限定されない。所定の
アミノ酸により達成できる免疫反応性の低下または、置換が有するいずれかの効
果、タンパク質コンホメーション、エピトープ接近能力及び同様のものに依存す
るであろうことが理解されるであろう。
【0289】例10. クレノウフラグメント、リン酸化されたClaIリンカー, NotIリンカー、T4リガ
ーゼ及びTag DNA ポリメラーゼは、Promega(Madison, Wisconsin)から入手さ れた。ポリヌクレオチドキナーゼは、Life Technologies, Inc., Gaithersburg,
Maryland から購入された。γ32P−ATP(Redivue, >5000Ci/mモル)は、Amers
hamから購入された。pBluescript II KS-及びE.コリEpicurean Xl1−Blue細胞は
、Stratagene (La Jolla, Cakifornia) から購入された。
【0290】 合成オリゴヌクレオチドは、Life Technologies, Inc. 又はCruachem, Inc. から購入された。5'−リン酸化されたプライマーが、PCR生成物がクローニング 目的のために生成される場合に使用された。ブタ第VIII因子cDNA又はゲノムDNA のポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴ ヌクレオチドのヌクレオチド(nt)番号付けは、対照としてヒト第VIII因子cDNA
を使用する(Woodなど. (1984) 前記)。
【0291】 ブタ脾臓の全RNAを、酸性グアニジュウムチオシアネート−フェノール−クロ ロホルム抽出により単離した。[Chomczynskiなど. (1987) Anal. Biochem. 162:
156-159]。ブタcDNAを、特にことわらない限りMoloneyネズミ白血病ウィルス逆
転写酵素(RT)及び反応を感作するためのランダムヘキサマーを用いて、全脾臓
RNAから調製した(First−Strand cDNA Synthesis Kit, Pharmacia Biotech)。
【0292】 RT反応は、45mMのトリス−HCl、pH8.3, 68mMのKC1, 15mMのDTT, 9mMのMgCl2,
0.08mg/mlのウシ血清アルブミン及び1.8mMのデオキシヌクレオチドミリン酸(dN
tP)を含んだ。ブタゲノムDNAを、標準の方法を用いて、脾臓から単離した(Str
auss, W. M. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel
など., editors, John Wiley & Sons, pp. 2.2.1-2.2.3)。アガロースゲルか らのDNA単離は、Geneclean II (Bio 101) 又はQuiex II Gel Extraction kit (Q
iagen) を用いて行われた。
【0293】 PCR反応は、Hybaid OmniGeneサーモサイクラーを用いて行われた。Taq DNAポ
リメラーゼを用いてのPCR反応に関しては、反応は、0.6mMのMgCl2, 0.2mMのdNTP
、0.5μMオリゴヌクレオチドプライマー、50U/mlのポリメラーゼ、及び0.1体積 の第1鎖cDNA反応混合物を含んだ。
【0294】 特にことわらない限り、PCR生成物は、ゲル精製され、クレノウフラグメント によりブラント末端化され、エタノールにより沈殿せしめられ、そして脱リン酸
化されたpBluescript II KS-のEcoRV部位に連結され、又はT4リガーゼを用いて 、燐酸化されたClaIリンカーにより連結され、ClaIにより消化され、Sephacryl
S400クロマトグラフィーにより精製され、そしてClaI切断された、脱リン酸化さ
れたpBluescript II KS−に連結された。連結は、特にことわらない限り、T4 DN
Aリガーゼ(Rapid DNA連結キット、Boehringer Mannheim)を用いて行われた。 挿入物−含有pBluescript II KS-プラスミドを用いて、E.コリEpicurean XL1−
Blue細胞を形質転換した。
【0295】 プラスミドDNAの配列決定を、Applied Biosystems 373a 自動DNA配列決定装置
及びPRISM色素ターミネーターキットを用いて、又は手動的には、Sequenase v.
2.0配列決定装置(Amersham Corporation)を用いて行った。オリゴヌクレオチ ドの32P−末端ラベリングを包含する、PCR生成物の直接的な配列決定は、サイク
ル配列決定プロトコール(dsDNA Cycle Sequencing System, Life Technologies
)を用いて行われた。
【0296】 5'UTR配列、シグナルペプチド及びA1ドメインコドンを含むブタ第VIII因子cDN Aクローンの単離 : 5'側のブタ第VIII因子cDNA〜A2ドメインを、cDNA末端の5'急速増幅(5'−RACE
)プロトコール(Marathon cDNA Amplification, Clontech, Version PR55453)
を用いて、雌ブタ脾臓全RNAのネスティドRT−PCRにより増幅した。これは、鍵−
合体オリゴ(dT)プライマーを用いての第1鎖cDNA合成[Borson, N. D. など.
(1992) PCR Mechods Appl. 2: 144-148], E.コリDNAポリメラーゼIを用いての第
2鎖cDNA合成、及び次の5'延長された二本鎖アダプター(配列番号13)による連
結を包含した:
【0297】 5'−CTA ATA CGA CTC ACT ATA GGG CTC GAG CGG CCG CCC GGG CAG GT−3' 3'−H2N−CCCGTCCA−PO4−5' ここで、短い方の鎖は非特異的PCRプライミングを減じるためにアミノ基により3
'末端でブロックされ、そして3'末端で8個のヌクレオチドに対して相補的であ った(Siebert, P. D., など. (1995) Nucleic. Acids. Res. 23: 1087-1088) 。第1回目のPCRを、プライマーとして、次のアダプター−特異的オリゴヌクレ オチド(配列番号14):5'−CCA TCC TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGC−3'(AP1と
命名された)、及びアンチセンスプライマーとして、次のブタ第VIII因子A2ドメ
イン特異的オリゴヌクレオチド(配列番号15):5'−CCA TTG ACA TGA AGA CCG
TTT CTC−3'(nt2081-2104)を用いて行った。
【0298】 第2回目のPCRを、センスプライマーとして、次のネスティドアダプター特異 的オリゴヌクレオチド(配列番号16):5'−ACT CAC TAT AGG GCT CGA GCG GC−
3'(AP2と命名された)、及びアンチセンスプライマーとして、次のネスティド ブタA2ドメイン特異的オリゴヌクレオチド(配列番号17):5'−GGG TGC AAA GC
G CTG ACA TCA GTG−3'(nt1497-1520)を用いて行った。PCRを、抗体−介在性 ホットスタートプロトコール[Kellogg, D. E. など. (1994) Biotechniques 16:
1134-1137]を用いる市販のキット(Advantage cDNA PCR コアキット)を用いて
行った。
【0299】 PCR条件は、94℃で60秒間の変性、続いて、30サイクル(第1PCR)又は25サイ
クル(第2PCR)の94℃で30秒間の変性、60℃で30秒間のアニーリング、および 管温度調節を用いての68℃で4分間の延長を包含した。この方法は、5'UTR中に 約150bpを延長するフラグメントの増幅と矛盾しない卓越した1.6kbの生成物を生
成した。PCR生成物を、ClaIリンカーを用いて、pBluescript中にクローン化した
。4種のクローンの挿入体を両方に配列決定した。
【0300】 それらのクローンの配列は、5'UTR、シグナルペプチド、A1ドメイン及びA2ド メインの一部の137bpに対応する領域を含んだ。コンセンサスは、4種の部位の 少なくとも3種の部位で達成された。しかしながら、クローンは、たぶん、クロ
ーン化できる生成物を生成するために必要とされる複数回のPCRのために、平均 4個の見掛けのPCR−生成された突然変異を含んだ。
【0301】 従って、本発明者は、配列を確かめるためにもう1つのPCR生成物の合成のため
に、及び発現ベクター中にクローン化するために、RENEOPIGSPと命名されたセン
ス鎖リン酸化されたPCRプライマー(配列癌号18):5'−CCT CTC GAG CCA CCA T
GT CGA GCC ACC ATG CAG CTA GAG CTC TCC ACC TG−3' を企画するために、シグ
ナルペプチド領域から得られた配列を使用した。太字の配列は、開始コドンを表
す。
【0302】 この5'側の配列は、第VIII因子の発現のために使用される哺乳類発現ベクター
ReNeo中への挿入部位のその5'側と同一の配列を表す(Lubinなど. (1994) 前記 )。この部位は、Xho1切断部位(下線)を含む。RENEOPIGSP及びnt1497-1520オ
リゴヌクレオチドは、鋳型として脾臓cDNAを用いて、Taq DNAポリメラーゼ−介 在性PCR反応を感作するために使用された。
【0303】 いくつかのほかの製造業者からのDNAポリメラーゼは、検出できる生成物を生 成することには失敗している。PCR条件は、94℃で4分間の変性、続く35サイク ルの94℃で1分間の変性、55℃で2分間のアニーリング、及び72℃で2分間の延 長、続く72℃で5分間の最終延長段階を包含した。PCR生成物を、ClaIリンカー を用いて、pBluescript中にクローン化した。それらのクローンのうち2種のク ローンの挿入体を両方向に配列決定し、そしてコンセンサス配列と適合した。
【0304】 A3, C1及びC2ドメインコドンの5'半分を含むブタ第VIII因子cDNAクローンの単 : 最初に、B−A3ドメインフラグメント(nt4519-5571)及びC1-C2ドメインフラ グメント(nt6405-6990)に対応する2種のブタ脾臓RT−PCR生成物をクローン化
した。得られるC2ドメインの3'末端は、第VIII因子における末端エキソンである
、エキソン26領域中に延長した。B−A3生成物を、次のブタ−特異的Bドメインプ
ライマー(配列番号19):5'−CGC GCG GCC GCG CAT CTG GCA AAG CTG AGT T−3
'を用いて製造し、ここで下線領域は、ヒト第VIII因子におけるnt 4519-4530と 整列するブタ第VIII因子における領域に対応する。
【0305】 オリゴヌクレオチドの5'領域は、本来、クローニング目的のために意図された
NotI部位を包含する。B−A3生成物の生成に使用される次のアンチセンスプライ マー(配列番号20):5'−GAA ATA AGC CCA GGC TTT GCA GTC RAA−3'は、nt554
5-5571でのヒト第VIII因子cDNA配列の逆補体に基づかれた。PCR反応は、50mMのK
Cl, 10mMのトリス−Cl, pH9.0, 0.1%のTriton X-100, 1.5mMのMgCl2, 2.5mMのdN
TP, 20μMのプライマー、25単位/mlのTaq DNAポリメラーゼ及び1/20体積のRT反 応混合物を含んだ。
【0306】 PCR条件は、94℃で3分間の変性、続く30サイクルの94℃で1分間の変性、50 ℃で2分間のアニーリング、及び72℃で2分間の延長であった。PCR生成物をT4
DNAキナーゼを用いてリン酸化し、そしてNotIリンカーを付加した。NotIにより 切断した後、PCRフラグメントを、BlueScript II KS-のNotI部位中にクローン化
し、そしてXL1−Blue細胞を形質転換した。
【0307】 C1−C2生成物を、それぞれ、次のセンス及びアンチセンスプライマー:(配列
番号21)5'−AGG AAA TTC CAC TGG AAC CTT N−3'(nt 6405-6426)及び(配列 番号22)5'−CTG GGG GTG AAT TCG AAG GTA GCG N−3'(nt 6966-6990の逆相補 体)を合成するために、既知のヒトcDNA配列を用いて製造した。PCR条件はB−A2
生成物を生じさせるのに使用したものと同じであった。生じたフラグメントを、
Prime PCR Cloning System (5 Prime-3 Prime, Inc, Boulder、コロラド)を用 いて、pNOTクローニングベクターに連結し、そしてJM109細胞中で増加させた。
【0308】 B−AB及びC1−C2プラスミドを部分的に配列決定して、ブタ−特異的センス及 びアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号:23)5'−GAG TTG ATC GGG AAG
ACC TGT TG−3'(nt 4551-4573)及び(配列番号:24)5'−ACA GCC CAT CAA CT
C CAT GCG AAG−3'(nt 6541-6564)を作った。 それらのオリゴヌクレオチドを、Clontech Advantage cDNA PCRキットを用い て、2013bpのRT−PCR生成物を生成するために、プライマーとして使用した。ヒ トnt4551-6564に対応するこの生成物は、L鎖活性化ペプチド(nt5002-5124)に 対応する領域、A3ドメイン(nt5125-6114)及びC1ドメイン(nt6115-6573)のほ
とんどを含む。
【0309】 C1−C2クローンの配列は、nt6565〜C1ドメインの3'末端までのヒト及びブタcD
NAが同一であったことを確立した。PCR生成物を、pBluescript II KS−のEcoRV 部位中にクローン化した。4種のクローンを、両方向に完全に配列決定した。コ
ンセンサスが、4種の部位中の少なくとも3種の部位において達した。
【0310】 C2ドメインコドンの3'半分を含むブタ第VIII因子cDNAクローンの単離: ヒト第VIII因子のC2ドメイン(ヌクレオチド6574-7053)は、エキソン24−26 内に含まれる[Gitschier J. など. (1984) Nature 312: 326-330]。ヒトエキソ ン26は、1958bp、すなわちその対応するヌクレオチド6901-8858を含む。それは 、3'翻訳配列の1478bpを含む。
【0311】 C2ドメインの3'UTRに対応するエキソン26 cDNAを、3' RACE [Sciebert など.
(1995) 前記]、逆PCR [Ochman, H. など. (1990) Biotechnology (N. Y.). 8: 7
59-760]、制限部位PCR [Sarkar, G. など. (1993) PCR Meth. Appl. 2: 318-322
]、“予測できない感作された”PCR [Dominguez, O. など. (1994) Nucleic. Ac
ids Res. 22: 3247-3248]、及びブタ肝臓cDNAライブラリーのスクリーニングに よりクローン化する試みは、失敗した。3' RACEを、ブタ第VIII因子cDNAの5'末 端をクローン化するために都合良く使用される同じアダプター連結された二本鎖
cDNAライブラリーを用いて、試みた。従って、この方法の失敗は、エキソン26に
対応するcDNAの不在に依存しなかった。
【0312】 標的化された遺伝子ウォーキングPCR方法[Parker, J. D. など. (1991) Nacle
ic Acids Res. 19: 3055-3060]を用いて、C2ドメインの3'半分をクローン化した
。ブタ−特異的センスプライマー(配列番号25)5'−TCAGGGCAATCAGGACTCC−3' (nt6904-6924)を、初期C2ドメイン配列に基づいて合成し、そして実験に利用 できるオリゴヌクレオチドから選択された非特異的“ウォーキング”プライマー
によるPCR反応に使用した。
【0313】 次に、PCR生成物を、32P−末端ラベルされたブタ−特異的内部プライマー(配
列番号26)5'−CCGTGGTGAACGCTCTGGACC−3'(nt6932-6952)を用いて、プライマ
ー延長分析[Parker など. (1991) BioTechniques 10: 94-101]により標的化した
。興味あることには、試験された40個の非特異的プライマーのうち、わずか2つ
のプライマーが、プライマー延長分析に基づいて、陽性生成物を生成し、そして
それらの2つのプライマーは、C2ドメインの3'末端での正確な及び変性ヒト配列 に対応した:(配列番号27)5'−GTAGAGGTCCTGTGCCTCGCAGCC−3'(nt7030-7053 )及び(配列番号28)5'−GTAGAGSTSCTGKGCCTCRCAKCCYAG−3'(nt7027-7053)。
【0314】 それらのプライマーは最初に、従来のRT−PCRにより生成物を生成するよう企 画されたが、しかし臭化エチジウム色素結合により可視化され得る十分な生成物
を生成するのには失敗した。しかしながら、PCR生成物は、より感受性のプライ マー延長方法により同定され得た。この生成物をゲル精製し、そして直接的に配
列決定した。これは、3'側のブタ第VIII因子の配列をnt7026まで延長した。
【0315】 追加の配列を、前記5'−RACEプロトコールに使用されるアダプター連結された
二本鎖cDNAライブラリーを用いて生成されたネスティド生成物のプライマー延長
分析により得た。第1回目の反応は、正確なブタプライマー(配列番号29)5'−
CTTCGCATGGAGTTGATGGGCTGT−3'(nt6541-6564)及びAP1プライマーを使用した 。第2回目の反応は、(配列番号30)5'−AATCAGGACTCCTCCACCCCCG−3'(nt6913
-6934)及びAP2プライマーを使用した。直接的なPCR配列決定は、3'配列をC2ド メイン(nt7053)の末端まで延長した。C2ドメイン配列は、C2ドメインの3'末端
近くのnt7045でを除いてユニークであった。反復されたPCR反応の分析は、この 部位で、A, G又はA/Gの二重読み取りのいずれかを生成した。
【0316】 配列決定を、次の2つの追加のプライマーを用いて、3'UTR中に延長した:( 配列番号31)5'−GGA TCC ACC CCA CGA GCT GG−3'(nt6977-6996)及び(配列 番号32)5'−CGC CCT GAG GCT CGA GGT TCT AGG−3'(nt7008-7031)。3'UTR配 列の約15bpを得たが、但しその配列はいくつかの部位で不明であった。次に、い
くつかのアンチセンスプライマーを、3'未翻訳配列の最良の評価に基づいて合成
した。それらのプライマーは、それらの3'末端でTGA停止コドンの逆補体を含ん だ。
【0317】 PCR生成物を、アガロースゲル電気泳動、及び次の特異的センスプライマー( 配列番号33)5'−AAT CAG GAC TCC TCC ACC CCC G−3'(nt6913-6934)及び3'UT
Rアンチセンスプライヤー(配列番号34)5'−CCTTGCAGGAATTCGATTCA−3'を用い ての臭化エチジウム染色により可視化されたブタ脾臓ゲノムDNA及びブタ脾臓cDN
Aの両者から得た。クローニング目的のための十分な量の材料を得るために、第 2回目のPCRを、ネスティドセンスプライマー(配列番号35)5'−CCGTGGTGAACGC
TCTGGACC−3'(nt6932-6952)及び同じアンチセンスプライマーを用いて行った 。
【0318】 141bpのPCR生成物を、EcoRV切断されたpBluescript II KS-中にクローン化し た。ゲノムDNAに由来する3種のクローン及びcDNAに由来する3種のクローンの 配列を、両方向に得た。その配列はnt7045 でを除いて明白であり、ここでゲノ ムDNAは常にAであり、そしてcDNAは常にGであった。
【0319】 ヒト、ブタ及びマウス第VIII因子の複数のDNA配列の整列(図1A−1H): シグナルペプチドA1, A2, A3, C1,及びC2領域の整列を、CLUSTALNプログラム[
Thompson, J. D. など. (1994) Nucleic Acid Res. 22: 4673-4680] を用いて行
った。ギャップオープン及びギャップ延長ペナルティーは、それぞれ10及び0.05
であった。ヒト、マウス及びBドメインの整列はこれまで記載さえている[Elder
など. (1993) 前記]。ヒトA2配列は、配列番号2におけるアミノ酸373-740に対 応する。ブタA2アミノ酸配列は、配列番号4に与えられ、そしてマウスA2ドメイ
ンアミノ酸配列は、配列番号6、アミノ酸392-759に与えられる。
【0320】例11活性な組換えB−ドメイン不含ブタ第VIII因子(PB-)の発現 材料: クエン酸塩添加された血友病A及び正常なプールされたヒト血漿は、George Ki
ng Biomedical, Inc.から購入した。ウシ胎児血清、ゲネチシン、ペニシリン、 ストレプトマイシン、DMEM/F12培地及びAIM−V培地は、Life Technologies, Inc
.から購入された。Taq DNAポリメラーゼはPromegaから購入された。Vent DNAポ リメラーゼはNew England Biolabsから購入された。
【0321】 pfu DNAポリメラーゼ及びフェゲミドpBlueScript II KS-はStratageneから購 入された。合成オリゴヌクレオヂドはLife Technologies又はCruachem, Inc.か ら購入された。制限酵素は、New England Biolabs 又はPromegaから購入された 。5'−リン酸化されたプライマーは、PCR生成物がクローニングの目的のために 生成される場合に使用された。ブタ第VIII因子cDNA又はゲノムDNAのポリメラー ゼ鎖反応(PCR)増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチド のヌクレオチド(nt)番号付けは、対照として、ヒト第VIII因子cDNAを使用する
[Woodなど. (1984) Nature 312: 330-337]。HB-/ReNeoとして命名された第VIII 因子発現ベクターを、Biogen, Inc.から得た。
【0322】 HB-/ReNeoは、アンピシリン及びゲネチシン耐性遺伝子、及びトロンビンによ り生成されるSer741−Arg1648分解フラグメントとして定義される、完全なBドメ
インを欠いているヒト第VIII因子cDNAを含む。ReNeoにおける第VIII因子挿入体 の3'末端で存在する、第VIII因子C2ドメインcDNAの突然変異誘発を単純化するた
めに、NotI部位を、スプライシング×オーバーラップ延長(SOE)突然変異誘発 によりHB-/ReNeoの、3'側から停止コドンに向かって2つの塩基側に導入した[Ho
rton, R. M. など. (1993) Methods Enzymol. 217: 270-279]。この構造体をHB- ReNeo/NotIと命名する。
【0323】 全RNAを、酸性グアニジウムチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出[
Chomczynski, P. など.(1987) Anal. Biochem. 162: 156-159]により単離した。
cDNAを、製造業者により提出される説明書に従って(First−Strand cDNA Synth
esis Kit, Pharmacia Biotech)、Moloneyネズミ白血病ウィルス逆転写酵素(RT
)及びランダムへキサマーを用いて、mRNAから合成した。プラスミドDNAを、Qia
gen Plasmid Maxi Kit (Qiagen, Inc.) を用いて精製した。
【0324】 PCR反応を、Taq, vent, 又はpfu DNAポリメラーゼを用いて、Hybaid QmniGene
サーモサイクラーにより行った。PCR生成物を、ゲル精製し、エタノールにより 沈殿せしめ、そしてT4 DNAリガーゼを用いてプラスミドDNA中に連結した(Rapid
DNA連結キット、Boehringer Mannheim)。挿入体含有プラスミドを用いて、E. コリEpicurean XL1−Blue細胞を形質転換した。PCRにより精製されるすべての 新規第VIII因子DNA配列を、Applied Biosystems 373a 自動DNA配列配列決定装置
及びPRISM色素ターミネーターキットを用いて、ジオキソ配列決定により確かめ た。
【0325】 ブタC2ドメインを含むハイブリッド第VIII因子発現ベクター、HP20の構成: C1ドメインの3'末端及びC2ドメインのすべてに対応するブタ第VIII因子cDNAを
、既知ブタ第VIII因子cDNA配列に基づくプライマーを用いて、脾臓全RNAからのR
T−PCRにより、pBluescript中にクローン化した[Healy, J. F. など. (1996) Bl
ood 88: 4209-4214]。この構造体及びHB-/ReNeoを、SOE突然変異誘発によりpBlu
eScriptにおいてヒトC1−ブタC2融合生成物を構成するために鋳型として使用し た。このプラスミドにおけるC1−C2フラグメントを、ApaI及びNotIにより除去し
、そしてApaI/NotI−切断されたHB-/ReNeo/NotI中に連絡し、HP20/ReNeo/NotIを
生成した。
【0326】 ブタL鎖を含むB−ドメイン欠失ハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子(HP18)の 構成: ヒト第VIII因子L鎖は、アミノ酸残基Asp1649-Tyr2332から成る。ブタ第VIII因
子cDNAにおけるその対応する残基を、H13-のこの領域により置換し、HP18として
命名されたハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子分子を生成した。これは、ブタA2 領域に対応するPCR生成物、A3ドメイン、C1ドメイン、及びC2ドメインの一部を 、HP20におけるその対応する領域により置換することによって行われた。構成を
促進するために、類似するAvrII部位を、SOE突然変異誘発により、HP20のA2及び
A3ドメインの連結部でnt2273中に挿入した。
【0327】 ブタシグナルペプチド、A1ドメイン及びA2ドメインを含むB−ドメイン欠失ハ イブリッドヒト/ブタ第VIII因子(HP22)の構成: ヒト第VIII因子シグナルペプチド、A1ドメイン及びA2ドメインは、アミノ酸残
基Met(-19)−Arg740から成る。ブタ第VIII因子cDNAにおけるその対応する残基を
、HP22と命名される分子を生成するために、HB-のこの領域により置換した。
【0328】 さらに、類似するAvr II部位を、SOE突然変異誘発により、HP22のA2及びA3ド メインの連結部でnt2273中に導入した。HP22を、HP1として命名される、ブタA2 ドメインを含むB−ドメインレスハイブリッドヒト/ブタ第VIII因子[Lubin など.
(1994) 前記]と、pBlueScriptにおけるブタシグナルペプチド−A1−部分A2フラ
グメント[Healyなど. (1996) 前記]との融合により構成した。
【0329】 ブタBドメイン不含第VIII因子(PB−)の構成: HP18/BS(+AvrII)のSpeI/NotIフラグメントを、AvrII/NotIにより消化し、 そしてAvrII/NotI−消化されたHP22/BS(+AvrII)中に連結し、全Bドメインを 欠いているブタ第VIII因子から成る構造体PB-/BS(+AvrII)を生成した。HP22/
ReNeo/NotI(+AvrII)中にPB-/BS(+AvrII)のXba/NotIフラグメントを連結す
ることによって、PB-を、ReNeo中にクローン化した。
【0330】 組換え第VIII因子分子の発現: PB-/ReNeo/NotI(+AvrII)及びHP22/ReNeo/NotI(+AvrII)を、前記のよう にして[Lubin, I. M. など. (1994) J. Biol. Chem. 269: 8639-8641]、SOS細胞
中に一時的にトランスフェクトし、そして発現した。HB-/ReNeo/NotI及びDNA( 類似)を対照としてトランスフェクトした。
【0331】 PB-、HP22及びHB-の第VIII因子活性を、次の通りにして、クロモゲンアッセイ
により測定した。COS細胞培養物上清液における第VIII因子サンプルを、10nMの 第IXa因子、425nMの第X因子、及び50μMの単層ホスファチジルセリン−ホスファ
チジルコリン(25/75 w/w)小胞の存在下で、0.15MのNaCl, 20mMのHEPES, 5mMの
CaCl2, 0.01%のTween−80(pH7.4)中、40nMのトロンビンにより活性化した。
【0332】 5分後、反応を、0.05MのEDTA及び100nMの組換えデスルファトヒルジンの添加
により停止し、そして得られる第Xa因子を、クロモゲン基質アッセイにより測定
した。クロモゲン基質アッセイにおいては、0.4nMのSpectrozyme Xaを添加し、 そしてパラ−ニトロアニリドの開放速度を、405nmでその溶液の吸光度を測定す ることによって、測定した。
【0333】 独立してトランスフェクトされた二重反復細胞培養物上清液の結果(405nmで の吸光度/分)は次の通りである: HB-:13.9 PB-:139 HP22:100 擬似:<0.2 それらの結果は、ブタB−ドメイン不含第VIII因子、並びにブタA1及びA2サブ ユニットから成るブタB−ドメイン不含第VIII因子が活性であることを示し、そ してそれらがヒトB−ドメイン不含第VIII因子よりも卓越した活性を有すること を示唆する。
【0334】 PB-を部分精製し、そしてヘパリン−Sepharoseクロマトグラフィーにより増幅
培地から濃縮した。ヘパリン−Sepharose(10ml)を、0.075MのNaCl, 10mMのHEP
ES, 2.5mMのCaCl2, 0.005%のTween−80, 0.02%のアジ化ナトリウム(pH7.40) により平均化した。発現細胞からの培地を、ヘパリン−Sepharoseに適用し、次 にこれを、アジ化ナトリウムを有さない平衡化緩衝液30mlにより洗浄した。PB- を、0.65MのNaCl, 20mMのHEPES, 5mMのCaCl2, 0.01%のTween−80(pH7.40)によ
り溶出し、そして−80℃で貯蔵した。第VIII因子凝固活性の収率は、典型的には
、50〜75%であった。
【0335】 ブタB−ドメイン不含第VIII因子(PB-)の安定した発現: トランスフェクトさえた細胞系を、10%ウシ胎児血清、50U/mlのペニシリン、
50μg/mlのストレプトマイシンを含むダルベッコ変性イーグル培地−F12に維持 した。ウシ胎児血清を、使用の1時間前、50℃で不活性化した。HB-/ReNeo及びP
B-ReNeo/NotI(+AvrII)を安定して、BHK細胞中にトランスフェクトし、そして
前に記載された一般的なプロトコール[Lubin など. (1994) Biol. Chem. 269: 8
639-8641]を用いて、ゲネチシン耐性に対して選択し、但し、発現細胞は、600μ
g/mlのゲネチシンを含む増殖培地において維持された。
【0336】 集密性まで増殖された、Corning T−75フラスコからの細胞を、3本のNuncフ ラスコに移し、600μg/mlのゲネチシンを含む培地において、集密性まで増殖し た。培地を除去し、そしてゲネチシンを含まない、血清フリーのAIM−V培地(Li
fe Technologies, Inc.)により置換した。第VIII因子発現を、一段階第VIII因 子凝固活性によりモニターし(前記を参照のこと)、そして100〜150mlの培地を
、4〜5日間、1日1度、集めた。HB-及びPB-についての培地における最大の発 現レベルは、それぞれ、1〜2単位/ml及び10〜12単位/mlの第VIII因子凝固活性
であった。
【0337】 PB-の精製: PB-を、60%飽和硫酸アンモニウムを用いて、培養物上清液から沈殿せしめ、 そして血漿由来のブタ第VIII因子の精製について前に記載されるようにして、W3
−3免疫親和性クロマトグラフィー及びnonoQ高圧液体クロマトグラフィーによ り精製した[Lollarなど. (1993) Factor VIII/Fuctor VIIIa. Methods Enzymol.
222: 128-143]。PB-の凝固比活性を、一段階凝固アッセイにより測定し[Lollar
など. (1993) 前記]、そしてそれは、血漿由来のブタ第VIII因子に類似した。
【0338】 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析される場合、PB-調製物は、
見掛けの分子質量160kDa, 82kDa及び76kDaの3種のバンドを含んだ。82kDa及び7
6kDaのバンドは、A1−A2及びap−A3−C1−C2ドメイン(ここで、apは活性ペプチ
ドを意味する)を含むヘテロダイマーとしてこれまで記載されている[Tooleなど
. (1984) Nature 312: 342-347]。160kDaのバンドを、ポリビニリデンフルオリ ド膜に移し、そしてNH2−末端配列決定にゆだね、これは、一本鎖第VIII因子のN
H2−末端配列であるArg−Ile−Xx−Xx−Tyrを生成した[Tooleなど.(1984) 前記]
【0339】 従って、PB-は、2種の形、すなわち一本鎖A1−A2−ap−A3−C1−C2タンパク 質及びA1−A2/ap−A3−C1−C2ヘテロダイマーから成るよう、A2及びA3ドメイン の間を切断することによって、部分的にプロセッシングされる。組換えHB-の類 似するプロセッシングは報告されている[Lindなど. (1995) Eur. J. Biochem. 2
32: 19-27]。
【0340】 ブタ第VIII因子の特性決定: 本発明者は、137bpの5'UTR,シグナルペプチドコード領域(57bp)、及びA1 (1
119bp), A3 (990bp), C1 (456bp) 及びC2 (483bp) ドメインに対応するブタ第VI
II因子のcDNA配列を決定した。Bドメイン及びL鎖活性化ペプチド領域[Tooleなど
. (1986) 前記]及びA2ドメイン[Lubinなど. (1994) 前記]のこれまで公開された
配列に加えて、本明細書に報告される配列は、翻訳された生成物に対応するブタ
第VIII因子cDNAの決定を完結する。
【0341】 5'UTR領域、シグナルペプチド、及びA1ドメインcDNAを含むフラグメントを、5
'−RACE RT−PCRプロトコールを用いてクローン化した。ヒトC2配列に基づくプ ライマーは、A3, C1, 及びC2ドメインの5'半分のクローニングを導くRT−PCR生 成物の生成において好都合であった。C2の3'半分に対応するcDNA及び3'UTR cDNA
は、クローン化するのには困難である。C2ドメインの残りは、究極的には、標的
化された遺伝子ウォーキングPCR方法[Parkerなど. (1991) 前記]によりクローン
化された。
【0342】 本明細書に報告される配列、すなわち配列番号36は、上記のようにA又はGであ
る、C2ドメインの3'末端のnt7045でを除いて、明白であった。その対応するコド
ンは、GAC(Asp)又はAAC(Asn)である。ヒト及びマウスコドンは、それぞれ、
GAC及びCAG(Gln)である。これが多形現象又は再生可能PCR人工物を表すかは、
未知である。GAC及びAACコドンの両者に対応するブタC2ドメイン置換を含む組換
えハイブリッドヒト/ブタB−ドメインレス第VIII因子cDNAは、前凝固活性の検出
できる差異を伴わないで安定して発現された。これは、2つのC2ドメイン変異体
間に機能的差異が存在しないことを示唆する。
【0343】 公開されたヒト[Woodなど. (1984) 前記]及びネズミ[Elserなど. (1993) 前記
]配列と、十分な長さのブタ第VIII因子配列番号37の予測されるアミノ酸配列と の整列が、後翻訳修飾、タンパク質分解切断及び他の高分子による認識のための
部位と共に、図1A−1Hに示される。整列された配列の同一性の程度が表VIIに 示されている。前記に示されるように、それらの種のBドメインは、A又はCドメ インよりも規準からはずれている。これは、その大きなサイズにもかかわらず、
Bドメインが既知の機能を有さない観察と一致する[Elderなど. (1993) 前記;To
oleなど. (1986) 前記]。
【0344】 本発明の結果は、Bドメイン又はブタ第VIII因子が活性のために必要ではない ことを確証する。本明細書に提供される配列データに基づけば、欠失されたB− ドメインのすべて又は一部を有するブタ第VIII因子が、ブタBドメインのすべて 又は一部のコドンを、それらから欠失している、ブタ第VIII因子コードのDNAを 発現することによって合成され得る。A1ドメインAPC/第IXa分解ペプチド(残基3
37−372)及びL鎖活性化ペプチドに対応する配列の一層の逸脱性がまた存在する
(表VII)。
【0345】 337-372ペプチドを生成するために336でのトロンビン分解部位は、この残基が
アルギニンの代わりにグルタミンであるので、マウスにおいては明らかに失われ
ている[Elderなど. (1993) 前記]。トロンビン分解ペプチド(又はマウス第VIII
因子においては、たぶん退化した337-372活性化ペプチド)の比較的急速な逸脱 性が、フィブリノペプチドに関してこれまでに示されている[Creighton, T. E.
(1993) Proteins, Structures and Molecular Properties, W. H. Freeman, New
York, pp. 105-138]。
【0346】 分解されたそれらのペプチドの生物学的機能の欠乏が、急速な逸脱性に関する
可能性ある理由として引用されている。ヒト第VIII因子因子におけるArg562は、
第VIII因子及び第VIII因子の不活性化の間、活性化されたタンパク質Cのための より重要な分解部位であることが提案さえている[Fag, P. J. など. (1991) J.
Biol. Chem. 226: 20139-20145]。
【0347】 可能性あるN−結合されたグリコシル化部位がまた、図1A−1Hにおいて、太 字で示されている。次の8種の保存されたN−結合されたグリコシル化部位が存 在する:A1ドメインに1つ、A2ドメインに1つ、Bドメインに4個、A3ドメイン に1つ、及びC1ドメインに1つ。19A及びCドメインシステインが保存し、そして
Bドメインシステインの逸脱性が存在する。第VIII因子における8個のジスルフ ィド結合のうち6個の結合が第V因子及びセルクプラスミンにおける相同部位で 見出され、そして両Cドメインジスルフィド結合が第V因子に見出される[McMulle
n, B. A. など. (1995) Protein Sci. 4: 740-746]。
【0348】 ヒト第VIII因子は、位置346, 718, 719, 723, 1664及び1680で、硫酸化された
チロシンを含む[Pittman, D. D. など. (1992) Biochemistry 31: 3315-3325; M
ichnick, D. A. など. (1994) J. Biol. Chem. 269: 20095-20102]。それらの残
基は、マウス第VIII因子及びブタ第VIII因子に保存されるが(図1)、但し、CL
USTALWプログラムは、ヒト第VIII因子におけるTyr346に対応するマウスチロシン
を整列することには失敗した。
【0349】 マウス及びブタ血漿は、それらの種のA及びCドメインにおける残基の保存のレ
ベルと一致する、ヒト血友病A血漿における凝固欠陥を是正することができる。 ブタ第VIII因子の前凝固活性は、ヒト第VIII因子のその活性よりも卓越している
[Lollar, P. など. (1992) J. Biol. Chem. 267: 23652-23657]。本明細書に記 載されるような発現され、そして精製された組換えブタ第VIII因子(Bドメイン 欠失された)はまた、ヒト第VIII因子よりも高い凝固比活性を示し、これは血漿
由来のブタ第VIII因子に比較できる。
【0350】 これは、活性A1/A2/A3−C1−C2第VIIIa因子ヘテトトリマーからのA2サブユニ ットの低められた自発的解離速度のためであり得る。前凝固活性におけるこの差
異が種適合性の例としての機能の前進性変化に影響を及ぼす[Peruts, M. F. (19
96) Adv. Protin Chem. 36: 213-244]かどうかは未知である。翻訳された生成物
に対応するブタ第VIII因子cDNAが完全であるので、相同走査突然変異誘発[Cunni
ngham, B. C., など. (1989) Science 243: 1330-1336]は、ヒト及びブタ第VIII
因子間の、後者の卓越した活性を担当する構造的差異を同定するための手段を提
供することができる。
【0351】 ブタ第VIII因子は典型的には、第VIII因子を輸血された血友病患者において発
生し、そして一般集団において自己抗体として発生する阻害抗体とほとんど反応
しない。これは、阻害抗体を有する患者の管理にブタ第VIII因子濃縮物を用いる
ための基本原理である[Hay and Lozier (1995) 前記]。ほとんどのインヒビター
は、A2ドメイン又はC2ドメインに位置するエピトープに対して向けられる[Fulch
er, C. A. など. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 7728-7732; Scandel
la, D. など. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 6152-6156; Scandella,
D. など. (1989) Blood 74: 1618-1626]。
【0352】 さらに、A3又はC1ドメインのいずれかに存在する未知のエピトープが同定され
た[Scandella など. (1989) 前記;Scandella, D. など. (1993) Blood 82: 176
7-1775; Nakai, H. など. (1994) Blood 84: 224a]。A2エピトープを、相同走査
突然変異誘導 [Healey など. (1995) 前記]により残基485-508に対してマッピン
グした。この25個の残基セグメントにおいては、比較的低い割合の同一の配列が
存在する(16/25又は64%)。
【0353】 この領域に対する抗体が阻害性である事実に基づいて、機能的に重要であると
思われる前記領域が明らかに、相補的に、より急速な遺伝子的浮動にゆだねられ
たことは興味あることである。ブタA2ドメイン及びA3ドメインの整列は、A2エピ
トープが、A3ドメインにおけるその対応する領域と検出できる相同性を共有しな
いことを示唆する。
【0354】 ヒト第VIII因子のC2インヒビターエピトープは、欠失マッピングにより残基22
48−2312内に位置することが提案されている[Scandella, D. など. (1995) Bloo
d 86: 1811-1819]。ヒト及びブタ第VIII因子は、この65個の残基セグメントにお
いて83%同一である。しかしながら、C2エピトープを特徴づけるためのこの領域
の相同走査突然変異誘発は、意外には、C2エピトープの主要決定基がヒトアミノ
酸2181-2243(配列番号2及び図1H)に対応する領域に位置することを示した。
【0355】 ヒト−ブタハイブリッド第VIII因子タンパク質が製造され、ここでヒト第VIII
因子のC2ドメインの種々の部分が、本明細書に記載される手段を用いて、ブタ第
VIII因子のその対応する部分により置換されている(例8)。種々のC2−ハイブ
リッド第VIII因子の合成は、配列番号37に与えられるブタC2領域をコードするヌ
クレオチド配列を用いて、ハイブリッドコードDNAを構成することによって達成 された。個々のハイブリッドDNAは、ハイブリッド第VIII因子が増殖培地から部 分的に精製されるよう、トランスフェクトされた細胞において発現された。いず
れかのインヒビターの不在下で、活性を、一段階凝固アッセイにより測定した。
【0356】 一連の5種のヒトインヒビターを用いて、個々のハイブリッド第VIII因子を試
験した。抗第VIII因子抗体を含むインヒビター血漿は、阻害を中和する組換えヒ
トC2ドメインの能力に基づいて、ヒトC2ドメインに対して向けられることがこれ
までに示されている。すべての試験血漿においては、インヒビター力価は、C2ド
メイン又はL鎖により79%以上中和されるが、しかし組換えヒトA2ドメインによっ
ては、10%以下であった。さらに、C2−ハイブリッド第VIII因子が、C2ドメイン を結合するネズミモノクローナル抗体に対して試験され、そしてヒトC2インヒビ
ター抗体のように、それは、リン脂質及びvon Willebrand因子への第VIII因子の
結合を阻害した。
【0357】 C2−ハイブリッド第VIII因子に対する抗体インヒビター力価を比較することに
よって、ヒトC2インヒビターエピトープの主要決定基は、残基2181−2243(配列
番号2;また図1Hを参照のこと)の領域であることが示された。領域COOH−末 端〜残基2253に対して向けられた抗−C2抗体は、5人のうち4人の患者の血清に
おいて同定されなかった。
【0358】 ヒトアミノ酸残基番号2181−2199及び2207−2243に対応するブタ配列を有する
ハイブリッドの比較においては、両領域が抗体結合に寄与していると思われた。
ヒト残基2181−2243に対応するブタアミノ酸は、配列番号37において、1982から
2044まで番号付けされる。ブタアミノ酸1982−2044をコードするブタDNAの配列 は、配列番号35におけるヌクレオチド番号5944−6132である。
【0359】 図1Hを参照すると、領域2181−2243において、ヒト及びブタ配列間に16個の アミノ酸差異が存在することが見出され得る。それらの差異は、残基2181, 2182
, 2188, 2195-2197, 2199, 2207, 2216, 2222, 2224-2227, 2234, 2238及び2243
で見出される。1又は複数のそれらの番号付けされた残基でのアミノ酸置換が、
ヒト抗−C2インヒビター抗体に対して非反応性の修飾されたヒト第VIII因子を製
造するために実施され得る。
【0360】 アラニン走査突然変異誘発は、上記のように、天然に存在する残基によるアラ
ニン置換を生成するための従来の方法を提供する。アラニン以外のアミノ酸もま
た、本明細書に記載のようにして、置換され得る。個々のアミノ酸、特に、ヒト
/ブタ又はヒト/マウス間で同一ではなく、又は抗体結合にたぶん最も寄与するそ
れらのアミノ酸によるアラニン置換は、阻害抗体に対する低められた反応性を有
する修飾された第VIII因子を生成することができる。
【0361】 さらに、残基2181−2243の定義された領域において低い免疫原性能力を有する
アミノ酸を挿入する方法は、低められた免疫原性を有する修飾された第VIII因子
を生成する。低められた免疫原性第VIII因子は、天然−配列第VIII因子よりはむ
しろ、血友病A患者の処理のための第VIII因子サプリメントとして有用である。 低められた免疫原性第VIII因子により処理された患者は、阻害抗体をほとんど生
成せず、そして従って、それらの寿命にわたって、処理の低められた有効性をた
ぶんほとんど有さない。
【0362】 一緒に取られる図1A−1Hは、ヒト、ブタ及びマウス第VIII因子アミノ酸配列
の整列された配列比較を提供する。図1Aは、シグナルペプチド領域(ヒト、配 列番号40;ブタ、配列番号37、アミノ酸1−19;ネズミ、配列番号6、アミノ酸
1−19)を比較する。図1A−1Hにおけるアミノ酸は、番号1として成熟タンパ
ク質の第1アラニンで番号付けされ、そしてシグナルペプチドのアミノ酸は負の
番号を付与された。配列番号2におけるヒト第VIII因子配列は、アミノ酸番号1
として、成熟タンパク質の第1アラニンから開始する。
【0363】 マウス第VIII因子(配列番号6)及びブタ第VIII因子(配列番号37)のアミノ
酸配列においては、成熟配列の最初のアミノ酸(アラニン)は、アミノ酸配列番
号20である。 図1A−1Hは、最大のアミノ酸同一性の領域が並置されるように、ヒト、マウ
ス及びブタ第VIII因子のそれらの対応する配列の整列を示す。図1A−1Hにおけ
るアミノ酸番号は、ヒト第VIII因子のみに適用される。
【0364】 図1Bは、ヒト(配列番号2、アミノ酸1−372)、ブタ(配列番号37、アミノ
酸20−391)、及びネズミ(配列番号6、アミノ酸20−391)のA1ドメインのため
のアミノ酸配列を提供する。 図1Cは、ヒト(配列番号2、 アミノ酸373-740)、ブタ(配列番号37、アミノ 酸392−759)及びマウス(配列番号6、アミノ酸392−759)からの第VIII因子A2
ドメインのためのアミノ酸配列を提供する。 図1Dは、ヒト(配列番号2、アミノ酸741−1648)、ブタ(配列番号37、アミ
ノ酸760−1449)及びマウス(配列番号6、アミノ酸760−1640)のBドメインの アミノ酸配列を提供する。
【0365】 図1Eは、ヒト、ブタ及びマウスの第VIII因子L鎖活性化ペプチドのアミノ酸配
列(それぞれ、配列番号2、アミノ酸1649−1689;配列番号37、アミノ酸1450−
1490;及び配列番号6、アミノ酸1641−1678)を比較する。 図1Fは、ヒト、ブタ及びマウス第VIII因子A3ドメインのための配列比較を提 供する(それぞれ、配列番号2、アミノ酸1690−2019;配列番号37、アミノ酸14
91−1820;及び配列番号6、アミノ酸1679−2006)。
【0366】 図1Gは、ヒト、ブタ及びマウスの第VIII因子C1ドメインのアミノ酸配列を提 供する(それぞれ、配列番号2、アミノ酸2020−2172;配列番号37、アミノ酸18
21−1973;及び配列番号6、アミノ酸2007−2159)。図1Hは、ヒト、ブタ及び マウスの第VIII因子C2ドメインのC2ドメインについての配列データを提供する (それぞれ、配列番号2、アミノ酸2173−2332;配列番号37、アミノ酸1974−21
33;及び配列番号6、アミノ酸2160−2319)。
【0367】 菱形は、チロシン硫酸化部位を表し、可能性あるグリコシル化部位は太字型で
存在し、第IXa因子、リン脂質及びタンパク質Cのための結合部位は二重下線が引
かれ、そして結合抗−A2及び抗−C2阻害抗体に関与する領域はイタリック形で書
かれている。星印は、保存されるアミノ酸配列を強調する。また、配列番号36(
ブタ第VIII因子cDNA)及び配列番号37(ブタ第VIII因子の推定されるアミノ酸配
列)も参照のこと。ヒト番号付けシステムは、対照として使用される[Woodなど.
(1984) 前記]。
【0368】 A1, A2及びBドメインは、位置372及び740でのトロンビン分解部位、及び位置1
648での未知のプロテアーゼ分解部位により、それぞれ残基1−372, 373−740及 び741−1648として定義される[Eaton, D. L. など. (1986) Biochemistry 25: 8
343-8347]。A3, C1及びC2ドメインは、それぞれ残基1690−2019, 2020−2172及 び2173−2332として定義される[Veharなど. (1984) 前記]。
【0369】 トロンビン(第VIII因子)、第IXa因子、第Xa因子及びAPCのための分解部位[F
ay など. (1991) 前記;Eaton, D. など. (1986) Biochemistry 25: 505-512; L
amphear, B. J. など. (1992) Blood 80: 3120-3128]は、反応性アルギニン上に
酵素名称を配置することによって示される。酸性ペプチドは、位置1689でトロン
ビン又は第Xa因子により第VIII因子L鎖から切断される。
【0370】 第IXa因子[Fay, P. J. など. (1994) J. Biol. Chem. 269; 20522-20527; Len
ting, P. J. など. (1994) J. Biol. Chem. 269: 7150-7155]、リン酸質[Foster
, P. A. など. (1990) Blood 75; 1999-2004] 及びタンパク質C[Walker, F. J.
など. (1990) J. Biol. Chem. 265: 1484-1489]のための提案された結合部位は 二重下線が引かれている。結合抗−A2に関与する領域[Labinなど. (1994) 前記 ;Healeyなど. (1995) 前記];及び抗−C2阻害抗体について前に提案された領域
はイタリック形で示される。
【0371】 本明細書に記載のようにして同定されたC2インヒビターエピトープ(ヒトアミ
ノ酸2181−2243)は、図1Hにおいて一本線により示される。チロシン硫酸化部 位[Pittmanなど. (1992) 前記;Michnickなど. (1994) 前記]は◆により示され る。可能性あるN−結合されたグリコシル化のための認識配列(NXS/T、ここでX はプロリンではない)は、太字で示される。 Bドメインを欠いている第VIII因子タンパク質をコードするヌクレオチド配列 は、配列番号38に与えられ、そしてその対応する推定されるアミノ酸配列は配列
番号39に与えられる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、図1B〜図1Hと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第VIII因子アミノ
酸配列の整列された配列比較を提供する。
【図1B】 図1Bは、図1A及び図1C〜図1Hと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第VIII因
子アミノ酸配列の整列された配列比較を提供する。
【図1C】 図1Cは、図1A〜図1B及び図1D〜図1Hと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第
VIII因子アミノ酸配列の整列された配列比較を提供する。
【図1D】 図1Dは、図1A〜図1C及び図1E〜図1Hと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第
VIII因子アミノ酸配列の整列された配列比較を提供する。
【図1E】 図1Eは、図1A〜図1D及び図1F〜図1Hと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第
VIII因子アミノ酸配列の整列された配列比較を提供する。
【図1F】 図1Fは、図1A〜図1E及び図1G〜図1Hと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第
VIII因子アミノ酸配列の整列された配列比較を提供する。
【図1G】 図1Gは、図1A〜図1F及び図1Hと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第VIII因
子アミノ酸配列の整列された配列比較を提供する。
【図1H】 図1Hは、図1A〜図1Gと一緒になって、ヒト、ブタ及びマウス第VIII因子アミノ
酸配列の整列された配列比較を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 BA44 CA04 DA02 EA02 EA04 FA02 GA11 HA01 4B064 AG02 CA10 CA19 CC24 DA01 4C084 AA06 AA07 AA13 CA53 DC15 NA14 ZA531 4H045 AA10 BA10 CA40 CA42 DA66 EA24 FA74

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号37に示されるブタ第VIII因子のアミノ酸配列をコー
    ドするヌクレオチド配列を含んで成る、単離されそして精製されたDNA。
  2. 【請求項2】 配列番号36に示されるヌクレオチドを含んで成る請求項1記
    載のDNA。
  3. 【請求項3】 アミノ酸20−391からの配列番号37に示されるようなブタ第V
    III因子のA1ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んで成る、単離されそ して精製されたDNA。
  4. 【請求項4】 位置58−1173からの配列番号36に示されるヌクレオチド配列
    を含んで成る請求項3記載のDNA。
  5. 【請求項5】 アミノ酸1491−1820からの配列番号37に示されるようなブタ
    第VIII因子のA3ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んで成る、単離され
    そして精製されたDNA。
  6. 【請求項6】 位置4471−5460からの配列番号36に示されるヌクレオチド配
    列を含んで成る請求項5記載のDNA。
  7. 【請求項7】 アミノ酸1821−1973からの配列番号37に示されるようなブタ
    第VIII因子のC1ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んで成る、単離され
    そして精製されたDNA。
  8. 【請求項8】 位置5461−5919からの配列番号36に示されるヌクレオチド配
    列を含んで成る請求項7記載のDNA。
  9. 【請求項9】 アミノ酸1974−2133からの配列番号37に示されるようなブタ
    第VIII因子のC2ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んで成る、単離され
    そして精製されたDNA。
  10. 【請求項10】 位置5920−6399からの配列番号36に示されるヌクレオチド
    配列を含んで成る請求項9記載のDNA。
  11. 【請求項11】 前記ヌクレオチド配列が配列番号39に示されるアミノ酸配
    列コードする請求項1記載のDNA。
  12. 【請求項12】 配列番号38に示されるヌクレオチド配列を含んで成る請求
    項11記載のDNA。
  13. 【請求項13】 ヒト第VIII因子のアミノ酸番号2181−2243をコードするヌ
    クレオチド配列が配列番号37のアミノ酸1982−2044をコードするヌクレオチドに
    より置換されている、ブタ第VIII因子コードのDNAの置換を含んで成るヒト/ブタ
    ハイブリッド第VIII因子コードDNA。
  14. 【請求項14】 前記ブタ第VIII因子コードDNAが配列番号36のヌクレオチ ド5944−6132である請求項13記載のDNA。
  15. 【請求項15】 配列番号37のアミノ酸20−2133をコードするコドンを含ん
    で成るブタ第VIII因子をコードするDNA。
  16. 【請求項16】 配列番号36のヌクレオチド58−6399の配列を有する請求項
    15記載のDNA。
  17. 【請求項17】 配列番号39のアミノ酸20−1443をコードするコドンを含ん
    で成る、B−ドメインを欠くブタ第VIII因子をコードするDNA。
  18. 【請求項18】 配列番号38のヌクレオチド60−4331の配列を有する請求項
    17記載のDNA。
  19. 【請求項19】 請求項17記載のDNAの単離され、そして精製されたタンパ ク質発現生成物。
  20. 【請求項20】 請求項18記載のDNAの単離され、そして精製されたタンパ ク質発現生成物。
  21. 【請求項21】 配列番号2の位置2181−2243の1又は複数の位置でアミノ
    酸置換を含んで成る、前凝固活性を有する修飾されたヒト第VIII因子であって、
    前記置換が天然に存在するアミノ酸の代わりの免疫反応性を低めるアミノ酸の挿
    入である修飾された第VIII因子。
  22. 【請求項22】 前記置換が、配列番号2の位置2181, 2182, 2195, 2196,
    2197, 2199, 2207, 2216, 2222, 2224, 2225, 2226, 2227, 2228, 2234, 2238又
    は2243の1又は複数の位置で行われる請求項21記載の修飾された第VIII因子。
  23. 【請求項23】 前記置換が、位置2181, 2195, 2196, 2207, 2226, 2227,
    2228及び2234の1又は複数の位置で行われる請求項21記載の修飾された第VIII因
    子。
  24. 【請求項24】 阻害抗体への反応性が低められ、そして前凝固活性が保持
    されるよう第VIII因子を修飾するための方法であって、配列番号2のアミノ酸番
    号2181-2243内の少なくとも1つの位置で、天然に存在するアミノ酸の代わりに 免疫反応性を低めるアミノ酸を置換することを含んで成る方法。
  25. 【請求項25】 配列番号2のアミノ酸番号2181-2243内のアミノ酸が、修 飾された第VIII因子をコードするDNAを発現することによって置換され、前記DNA
    が前記アミノ酸番号2181-2243内のアミノ酸置換をコードするよう修飾された少 なくとも1つのコドンを有する請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記免疫反応性を低めるアミノ酸が、アラニン、メチオニ
    ン、ロイシン、セリン又はグリシンである請求項24記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記免疫反応性を低めるアミノ酸がアラニンである請求項
    26記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記免疫反応性を低めるアミノ酸置換が配列番号2の位置
    2181, 2182, 2195, 2196, 2197, 2199, 2207, 2216, 2222, 2224, 2225, 2226,
    2227, 2228, 2234, 2238又は2243の1又は複数の位置で行われる請求項24記載の
    方法。
  29. 【請求項29】 ブタ第VIII因子の製造方法であって、少なくともアミノ酸
    20-2133を包含する、配列番号37に示されるアミノ酸配列をコードするDNAを、培
    養培地における適切な哺乳類細胞において発現し、そして前記細胞又は前記培養
    培地から第VIII因子タンパク質を精製することを含んで成る方法。
  30. 【請求項30】 前記DNAが、少なくともヌクレオチド58-6399を包含する、
    配列番号36に実質的に示されるようなヌクレオチド配列を有する請求項29記載の
    方法。
  31. 【請求項31】 前記DNAが配列番号37に示されるアミノ酸配列をコードす る請求項29記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記DNAが配列番号36に示されるヌクレオチド配列を有す る請求項31記載の方法。
  33. 【請求項33】 B−ドメインを欠くブタ第VIII因子の製造方法であって、 少なくともアミノ酸20-1443を含み、配列番号39に示されるアミノ酸配列をコー ドするDNAを、培養培地における適切な哺乳類細胞において発現し、そして前記 細胞又は前記培養培地から第VIII因子タンパク質を精製することを含んで成る方
    法。
  34. 【請求項34】 前記DNAが、少なくともヌクレオチド60-4331を含む、配列
    番号38に実質的に示されるようなヌクレオチド配列を有する請求項33記載の方法
  35. 【請求項35】 前記DNAが配列番号39に示されるアミノ酸配列をコードす る請求項33記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記DNAが、ヌクレオチド番号3-4331の配列番号38に示さ れるヌクレオチド配列を有する請求項33記載の方法。
JP2000535651A 1998-03-10 1999-03-10 修飾された第viii因子 Pending JP2002506076A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/037,601 1998-03-10
US09/037,601 US6180371B1 (en) 1996-06-26 1998-03-10 Modified factor VIII
PCT/US1999/005193 WO1999046274A1 (en) 1998-03-10 1999-03-10 Modified factor viii

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002506076A true JP2002506076A (ja) 2002-02-26

Family

ID=21895222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000535651A Pending JP2002506076A (ja) 1998-03-10 1999-03-10 修飾された第viii因子

Country Status (14)

Country Link
US (1) US6180371B1 (ja)
EP (1) EP1062224A4 (ja)
JP (1) JP2002506076A (ja)
KR (1) KR100490612B1 (ja)
CN (1) CN1224627C (ja)
AU (1) AU747644B2 (ja)
CA (1) CA2322508A1 (ja)
CZ (1) CZ300959B6 (ja)
HU (1) HUP0101317A3 (ja)
IL (1) IL138281A (ja)
NO (1) NO20004497L (ja)
NZ (1) NZ506771A (ja)
PL (1) PL342887A1 (ja)
WO (1) WO1999046274A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545459A (ja) * 2010-11-05 2013-12-26 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド 増加した比活性を有する抗血友病第viii因子の新規変異体

Families Citing this family (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6376463B1 (en) * 1992-04-07 2002-04-23 Emory University Modified factor VIII
US7560107B2 (en) 1996-06-26 2009-07-14 Emory University Modified factor VIII
US6458563B1 (en) 1996-06-26 2002-10-01 Emory University Modified factor VIII
EP1319016A4 (en) * 2000-09-19 2006-05-10 Univ Emory MODIFIED FACTOR VIII
CA2434097A1 (en) * 2001-01-12 2002-08-08 The American National Red Cross Methods and compositions for reducing heparan sulfate proteoglycan-mediated clearance of factor viii
CA2450732A1 (en) 2001-06-14 2002-12-27 John H. Griffin Stabilized proteins with engineered disulfide bonds
JP2005501547A (ja) * 2001-09-04 2005-01-20 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング 修飾された第ix因子
WO2003031598A2 (en) 2001-10-05 2003-04-17 Emory University Nucleic acid and amino acid sequences encoding high-level expressor factor viii polypeptides and methods of use
FR2830865B1 (fr) * 2001-10-17 2004-10-22 Centre Nat Rech Scient Leurres peptidiques pour la preparation de medicaments destines a la prevention ou au traitement des pathologies auto-immunes, ou des troubles lies a l'apparition d'anticorps diriges contre des proteines exogenes
CN1630666A (zh) * 2001-11-30 2005-06-22 埃默里大学 因子ⅷc2结构域变体
BR0308860A (pt) * 2002-04-18 2005-01-04 Merck Patent Gmbh Fator viii modificado
US7485291B2 (en) * 2003-06-03 2009-02-03 Cell Genesys, Inc. Compositions and methods for generating multiple polypeptides from a single vector using a virus derived peptide cleavage site, and uses thereof
EP1636360A4 (en) * 2003-06-03 2006-11-08 Cell Genesys Inc COMPOSITIONS AND METHODS FOR ENHANCED EXPRESSION OF RECOMBINANT POLYPEPTIDES FROM A SINGLE VECTOR USING A PEPTIDE CLEAVAGE SITE
US20050123997A1 (en) * 2003-10-30 2005-06-09 Lollar John S. Modified fVIII having reduced immunogenicity through mutagenesis of A2 and C2 epitopes
US7211559B2 (en) * 2003-10-31 2007-05-01 University Of Maryland, Baltimore Factor VIII compositions and methods
JP2007536230A (ja) 2004-05-03 2007-12-13 エモリー ユニバーシティ ブタBドメイン欠損fVIIIの投与方法
WO2005123928A1 (en) * 2004-06-08 2005-12-29 Battelle Memorial Institute Production of human coagulation factor viii from plant cells and whole plants
US20100256062A1 (en) 2004-12-06 2010-10-07 Howard Tommy E Allelic Variants of Human Factor VIII
FR2913020B1 (fr) * 2007-02-23 2012-11-23 Biomethodes Nouveaux facteurs viii pour le traitement des hemophiles de type a
WO2011088391A2 (en) * 2010-01-14 2011-07-21 Haplomics, Inc. Predicting and reducing alloimmunogenicity of protein therapeutics
KR101395736B1 (ko) * 2012-07-10 2014-05-16 아주대학교산학협력단 인간 혈액응고인자 ⅷ 도메인 특이적 항체 및 이의 제조방법
EP2928303A4 (en) 2012-12-07 2016-07-13 Haplomics Inc FACTOR VIII MUTATION REPAIR AND TOLERANCE INDUCTION
WO2019197524A1 (en) 2018-04-12 2019-10-17 Biotest Ag De-immunized factor viii molecule and pharmaceutical compositions comprising the same
CA3150442A1 (en) 2019-09-02 2021-03-11 Biotest Ag Factor viii protein with increased half-life
CN112575034B (zh) * 2019-09-29 2023-04-25 济南赛尔生物科技股份有限公司 一种治疗a型血友病的产品及应用
CN114196677A (zh) * 2021-12-30 2022-03-18 广西医科大学第一附属医院 一种高活性的凝血因子Ⅷ或Ⅷa多肽变体Gly710Ala

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4757006A (en) 1983-10-28 1988-07-12 Genetics Institute, Inc. Human factor VIII:C gene and recombinant methods for production
EP0182448A3 (en) * 1984-08-24 1987-10-28 Genetics Institute, Inc. Production of factor viii and related products
AU5772886A (en) * 1985-04-12 1986-11-05 Genetics Institute Inc. Novel procoagulant proteins
JPH0387173A (ja) 1987-09-10 1991-04-11 Teijin Ltd ヒト活性化天然型ファクター8cの製造方法及びそれに用いる形質転換体
DK162233C (da) 1989-11-09 1992-03-16 Novo Nordisk As Fremgangsmaade til isolering af faktor viii fra blodplasma og pharmaceutisk praeparat indeholdende den saaledes isolerede fator viii
US5663060A (en) 1992-04-07 1997-09-02 Emory University Hybrid human/animal factor VIII
US5859204A (en) * 1992-04-07 1999-01-12 Emory University Modified factor VIII
US5364771A (en) 1992-04-07 1994-11-15 Emory University Hybrid human/porcine factor VIII
US5563045A (en) 1992-11-13 1996-10-08 Genetics Institute, Inc. Chimeric procoagulant proteins
AU6455896A (en) 1995-07-11 1997-02-10 Chiron Corporation Novel factor viii:c polypeptide analogs with altered metal-binding properties
AU6291896A (en) 1995-07-11 1997-02-10 Chiron Corporation Novel factor viii:c polypeptide analogs comprising factor v domains or subdomains

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545459A (ja) * 2010-11-05 2013-12-26 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド 増加した比活性を有する抗血友病第viii因子の新規変異体

Also Published As

Publication number Publication date
HUP0101317A3 (en) 2003-01-28
EP1062224A1 (en) 2000-12-27
CN1297452A (zh) 2001-05-30
CZ20003282A3 (cs) 2001-01-17
CA2322508A1 (en) 1999-09-16
NZ506771A (en) 2002-11-26
WO1999046274A1 (en) 1999-09-16
PL342887A1 (en) 2001-07-16
KR20010082521A (ko) 2001-08-30
AU2995699A (en) 1999-09-27
NO20004497D0 (no) 2000-09-08
KR100490612B1 (ko) 2005-05-19
CZ300959B6 (cs) 2009-09-23
US6180371B1 (en) 2001-01-30
NO20004497L (no) 2000-11-07
EP1062224A4 (en) 2004-03-03
IL138281A (en) 2007-06-17
HUP0101317A2 (hu) 2001-08-28
IL138281A0 (en) 2001-10-31
CN1224627C (zh) 2005-10-26
AU747644B2 (en) 2002-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7012132B2 (en) Modified factor VIII
US5859204A (en) Modified factor VIII
JP3964622B2 (ja) 修飾されたviii因子
US5744446A (en) Hybrid human/animal factor VIII
US5663060A (en) Hybrid human/animal factor VIII
JP2002506076A (ja) 修飾された第viii因子
US7560107B2 (en) Modified factor VIII
AU2001238416A1 (en) Modified factor VIII
US5888974A (en) Hybrid human/animal factor VIII
MXPA00008829A (en) Modified factor viii

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040309