JP4249072B2 - 汚染土壌の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
そこで、汚染土壌の処理方法の一つとして、汚染土壌をセメント製造設備に供給して燃焼処理するとともに、燃焼処理の際に生じた残留物をセメントクリンカ原料として用いる処理方法が提案され、実用に供されている。
ここで、汚染土壌を直接セメント製造設備に供給した場合、この汚染土壌に含まれる油や有機溶剤等の有機物の一部が揮散し、この揮散した有機物の一部が外部に排出されてしまう虞がある。また、セメント焼成の排ガスは、揮散した有機物を含むと、排ガス中のダストの電気抵抗値を不安定にし、電気集塵機の集塵効率を低下させ、一部のダクトが外部に放出される虞があった。
(1)乾式法
揮発性有機化合物(VOC)等の汚染物質を含む汚染土壌を加熱装置に供給し、汚染土壌中の揮発性有機化合物を揮発・分解させて除去し、残った固形物である土壌をセメントクリンカ原料の一部として利用する方法である(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、加熱装置としてロータリーキルン、ロータリードライヤー等が用いられ、加熱装置の熱源として、通常、セメント焼成設備から排出される排ガスが用いられる。また、加熱装置の排ガスは揮散した有機物を含んでいるので、この排ガスをセメント焼成設備の800℃以上の高温部に導入することにより、含まれる有機物を分解・除去している。
汚染土壌を湿式粉砕してスラリー状の汚染土壌とし、このスラリー状の汚染土壌をセメント焼成設備の高温位置に直接投入し、含まれる油等の有機物等を焼却・除去する方法である(例えば、特許文献2、3参照)。
図2は、従来の加熱処理した汚染土壌、または湿式粉砕を行いスラリー状にした汚染土壌を処理するセメント製造設備の一例を示す模式図であり、このセメント製造設備では、汚染土壌を燃焼・分解した後の土壌をセメントクリンカ原料の粘土成分として用いている。
また、21はクーラ排気ライン、22はセメント原料供給ライン、23は廃棄物供給ライン、24はセメント原料粉供給ライン、25はセメントクリンカ搬送ライン、26はスラリー状の汚染土壌供給ラインである。
このスラリー状の汚染土壌は、上記のロータリーキルン7の窯尻部7aの他、仮焼炉9、サスペンションプレヒータ10の高温部等に投入することもできる。
すなわち、汚染土壌に含まれる揮発性有機化合物(VOC)としては、例えば、塩素系有機化合物では、分子量が小さく沸点が100℃以下の高揮発性のものから、比較的分子量が大きく沸点が400℃程度の低揮発性のものまであり、潤滑油等も、同様に沸点が高い。
これらの有機物を含む汚染土壌から有機物を揮散させるには、汚染土壌の加熱処理時の温度を有機物の沸点以上の温度まで加熱する必要があり、通常は、400℃以上まで加熱する必要があり、そこで、加熱装置に導入されるガスの温度も800℃程度以上が必要となるが、セメント焼成設備にて排出される排ガスは、いずれも温度が低く、上記の加熱処理に適用できる排ガスはない。
また、上記の加熱装置から排出されるガスには、揮散した揮発性有機物や油成分が含まれており、そのまま外部に放出することができないため、このガスをセメント焼成設備の800℃以上の高温部に導入し、含まれる揮発性有機物や油成分を燃焼分解する必要があった。
この様なセメント焼成設備からの高温ガスの抽気や加熱装置からの排ガスのセメント焼成設備への導入は、必ずしもセメント焼成設備の排ガスの有効利用を図ることができないばかりか、セメント焼成設備におけるセメントクリンカの焼成効率を低下させることとなり、セメントクリンカの焼成量を低下させることとなっていた。
このように、従来の乾式法、湿式法のいずれの処理方法においても、汚染土壌の処理にセメント焼成設備を用いた場合、セメント焼成設備の操業に与える影響が大きく、その処理量も制限せざるを得ないという大きな問題点があった。
この汚染土壌の処理方法では、セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気される高温ガスを用いて汚染土壌を乾燥することにより、クリンカクーラから排出される高温ガスを有効利用することが可能になり、汚染土壌の乾燥の効率が向上する。
また、乾燥及び粉砕された汚染土壌を捕集するとともに、この汚染土壌と共に導入された排ガスを分離する分離捕集手段を設けたことにより、乾燥及び粉砕された汚染土壌をセメント焼成設備のロータリーキルン、仮焼炉のいずれか一方または双方に効率的に供給する。
これにより、汚染土壌に含まれる有機物を効果的に除去することが可能になり、セメントクリンカの焼成能力の低下、セメント品質の低下等を防ぐことが可能になる。
また、仮焼炉に供給する場合は、仮焼炉本体に限らず、仮焼炉二次空気ダクトや最下段の原料シュート等の任意の箇所に、空気搬送等にて容易に供給することが可能である。
また、乾燥・粉砕に使用した排ガスに一部の汚染物質が含まれていても、セメント焼成設備内で完全に分解することが可能になり、揮散した汚染物質がセメント焼成設備から外部へ排出される虞がなくなる。
また、汚染土壌を乾燥した粉末状態でセメント焼成設備に供給するので、汚染土壌に含まれる有機物を完全に燃焼除去することができる。また、ロータリーキルンや仮焼炉の内部にて水分が蒸発する虞がないので、セメントクリンカの焼成能力の低下、セメント品質の低下等の虞もない。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態のセメント製造設備を示す模式図であり、有機物を含む汚染土壌等の廃棄物をセメント原料の一部として用いるセメント製造設備の例である。この図1においては、図2と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
乾燥粉砕機33としては、上記の様な有機物に汚染されかつ50重量%程度以下の水分を含む汚染土壌を乾燥粉砕することができるものであればよく、例えば、竪型ミルが好適に用いられる。この竪型ミルは、乾燥と粉砕を同時に行うことができ、しかも、被粉砕物の温度を、通常70〜80℃程度に保持することができるので、例えば、50〜70℃程度の低温で揮散する汚染物質は容易に散逸するものの、80℃以上の高温で揮散する汚染物質は容易に散逸せず、粉砕された汚染土壌に止まる。また、エネルギーの利用効率も高いものであるので、少ないガス量で乾燥粉砕が可能となる。
ここで用いられる汚染土壌としては、重油、軽油、潤滑油等の鉱物油、植物油等の油汚染土壌、ダイオキシン、有機溶剤等に用いられた揮発性塩素化合物等の有機物に汚染され、かつ含水量が50重量%以下、好ましくは40重量%以下の汚染土壌が用いられる。
ここでは、汚染土壌の乾燥・粉砕を効率的に行うように、汚染土壌の供給量と排ガスの供給量を最適化する。
これにより、汚染土壌は微粉化され、含水率は1%以下にまで低下し、乾燥したものとなる。
捕集された汚染土壌は乾燥された粉体であるから、空気搬送等の輸送手段(方法)を容易に採用することができ、セメント焼成設備の800℃以上の高温部の任意の位置に輸送・供給することが可能になる。ここでは、汚染土壌供給ライン35により仮焼炉9に供給され、燃焼・分解される。
一方、分離された排ガスは、排ガス供給ライン37によりクリンカクーラ8に戻され、クリンカの冷却用空気として再利用される。
一方、有機物が完全に分解されることにより汚染物質が完全に除去された土壌は、仮焼炉9から最下段のサイクロン10dを経由してロータリーキルン7内に導入され、セメントクリンカの原料である粘土の一部として用いられる。
また、汚染物質が完全に除去された土壌は、仮焼炉9から最下段のサイクロン10dを経由してロータリーキルン7内に導入されるので、ロータリーキルン7内で水分が蒸発することもなく、セメント焼成設備におけるクリンカ焼成能力の低下やセメント品質の低下など操業に与える影響も無い。
また、クリンカクーラ8から排出される高温ガスを用い該排ガスを有効利用するとともに、乾燥粉砕後の排ガスをクリンカクーラ8に戻すことで、クリンカの冷却空気として循環利用し、再び加温された排ガス(空気)をセメント焼成設備の燃焼用二次空気として利用することもできる。
したがって、汚染物質が排ガス中に含まれていても、ロータリーキルン7内での燃焼過程で完全に燃焼・分解することができ、セメント焼成工程に影響を及ぼすこと無く、汚染土壌を完全に処理することができる。
また、乾燥・粉砕された汚染土壌を仮焼炉9の底部近傍に供給するので、セメントクリンカの焼成能力の低下、セメント品質の低下等を防ぐことができる。
2 サイクロン
3 セメント原料貯蔵庫
7 ロータリーキルン
8 クリンカクーラ
9 仮焼炉
10 サスペンションプレヒータ
10a〜10d サイクロン
11 2次ダクト
12 電気集塵機
13 排気煙突
14 バーナー
21 クーラ排気ライン
22 セメント原料供給ライン
24 セメント原料粉供給ライン
25 セメントクリンカ搬送ライン
31 汚染土壌の処理装置
32 汚染土壌の供給ライン
33 乾燥粉砕機
34 分離捕集装置
35 汚染土壌供給ライン
36 排ガス導入ライン
37 排ガス供給ライン
Claims (4)
- 有機物を含む汚染土壌をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する方法であって、
前記セメント焼成設備から排出され抽気された排ガスを用いて前記汚染土壌を70℃以上80℃以下の温度で乾燥しながら粉砕し、次いで、この乾燥及び粉砕された汚染土壌を前記セメント焼成設備のロータリーキルン、仮焼炉のいずれか一方または双方における800℃以上の高温部に供給し、この汚染土壌に含まれる有機物を燃焼・分解するとともに、残った土壌をセメントクリンカ原料として用い、前記乾燥に用いた後の排ガスを前記セメント焼成設備に導入することを特徴とする汚染土壌の処理方法。 - 前記排ガスは、前記セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気された高温ガスであり、この高温ガスを前記乾燥に用いた後に前記クリンカクーラに導入することを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の処理方法。
- 有機物を含む汚染土壌をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する装置であって、
前記セメント焼成設備から排出され抽気された排ガスを用いて前記汚染土壌を70℃以上80℃以下の温度で乾燥させながら粉砕する乾燥粉砕手段と、
この乾燥粉砕された汚染土壌を捕集するとともに、この汚染土壌と共に導入された排ガスを分離する分離捕集手段と、
前記乾燥粉砕された汚染土壌を、この汚染土壌に含まれる有機物を燃焼・分解するとともに残った土壌をセメントクリンカ原料として用いるために、前記セメント焼成設備のロータリーキルン、仮焼炉のいずれか一方または双方における800℃以上の高温部に供給する汚染土壌供給手段と、
前記分離捕集手段にて分離された排ガスを前記セメント焼成設備に導入する排ガス供給手段と、を備えてなることを特徴とする汚染土壌の処理装置。 - 前記セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気された排ガスを前記乾燥粉砕手段に導入する排ガス導入ラインを備え、
前記排ガス供給手段は、前記分離捕集手段にて分離された排ガスを前記クリンカクーラに導入する排ガス供給ラインであることを特徴とする請求項3記載の汚染土壌の処理装置。
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