JP5412711B2 - 高含水率無機系廃棄物の処理方法及び処理装置 - Google Patents

高含水率無機系廃棄物の処理方法及び処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、高含水率無機系廃棄物の処理方法及び処理装置に関し、更に詳しくは、高温加熱処理を必要とする有機化合物を含む高含水率無機系廃棄物をセメント焼成設備を用いて乾燥することにより、この乾燥した無機系廃棄物をセメント焼成設備の原料として有効利用することができ、しかも、乾燥のためにセメント焼成設備からの熱エネルギーを利用するにもかかわらず、セメント焼成設備の操業に悪影響を及ぼす虞がなく、さらにはセメント焼成設備の操業効率を向上させることが可能な高含水率無機系廃棄物の処理方法及び処理装置に関するものである。
従来より、ごみ焼却炉等の焼却設備から発生する焼却灰や焼却飛灰等をセメントの原料として再利用することが検討されている。
この焼却灰や焼却飛灰は、多量の塩素および有害物質の塩素系有機化合物を含むものであるから、セメント焼成設備においてはセメント原料として直接利用することができず、通常は水洗処理をおこなった後、スラリー化した状態でセメントキルンの窯尻などに直接投入することにより、スラリー中に残存する塩素系有機化合物を焼却処理している。
例えば、ダイオキシン類を含む高塩素含有焼却飛灰の場合、この焼却飛灰に水を添加し該焼却飛灰中に含まれる水溶性の塩素化合物を水に溶解して得られた懸濁液を濾過することによって、水に難溶のダイオキシン類が残留する脱塩処理物と塩素化合物含有水溶液とに分離し、この脱塩処理物をセメント製造設備のロータリーキルン、またはサスペンションプレヒータ下部、あるいは双方の800℃以上の部位に投入し、ダイオキシン類を分解するダイオキシン類含有焼却飛灰の処理方法が提案されている(特許文献1)。
ところで、上述した処理方法では、通常、スラリー化した無機系廃棄物は40〜60%の水分を含んでいるために、直接ロータリーキルンに導入して焼却した場合、水分の蒸発に伴い、ロータリーキルンの窯尻部における原料温度の低下、サスペンションプレヒータや仮焼炉にて加熱および脱炭酸された原料の有する顕熱の低下、あるいはセメント原料がクリンカ状に焼結する帯域(キルン焼成帯)の温度の低下等により、セメント焼成設備のセメントクリンカ焼成能力が極端に低下するという問題点があった。さらに、セメントクリンカ焼成時における単位クリンカ当たりの熱量や電力使用量が高くなるために、経済的な操業が難しくなる等の虞があった。
そこで、このような高含水率廃棄物がセメント焼成設備の操業に及ぼす影響を小さくするために、セメント焼成設備のクリンカクーラからの抽気ガスを利用して直接、高含水率廃棄物を乾燥するとともに、乾燥した廃棄物を有効利用することが行われている(特許文献2)。
図3は、従来の高含水率廃棄物の乾燥処理装置を付設したセメント製造設備を示す模式図であり、高含水率廃棄物をセメント焼成設備の排ガスを利用して乾燥する装置の例である。
図において、1はロータリーキルン、2はサスペンションプレヒータ、2a〜2dはサスペンションプレヒータ2内の各段のサイクロン、3は仮焼炉、4はクリンカクーラ、5は電気集塵機、6は吸引ファン、7は排気煙突、8a〜8cはクリンカクーラ4の冷却空気ファン、9はサスペンションプレヒータ2の排ガスを吸引する吸引ファン(IDF)、10は仮焼炉3の二次空気ダクト、11はクリンカクーラ4の排気ダクト、12はサスペンションプレヒータ2の排気ダクト、13はサスペンションプレヒータ2への原料供給ラインである。
また、14は乾燥処理装置であり、クリンカクーラ4から排出される排ガスの一部を抽気する抽気ダクト15と、この抽気した排ガスを用いて高含水率廃棄物を乾燥する乾燥機16と、この乾燥した廃棄物を含む排ガスから塵埃を集塵する集塵機17と、集塵した後の排ガスをクリンカクーラ4の冷却空気として再利用するための排気ダクト18及び排気導入ファン19とにより構成されている。
この乾燥処理装置14で得られた乾燥廃棄物は、セメント焼成設備の燃料として有効利用される。
ところで、乾燥後の排ガスには多量の臭気成分や有害な有機塩素化合物等が含まれているが、この排ガスをセメント焼成設備のクリンカクーラに高温クリンカ冷却用空気として導入し、冷却した後の排ガスをロータリーキルンや仮焼炉の燃料燃焼用の二次空気として利用することにより、臭気成分や有機塩素化合物等は完全に燃焼分解されることとなる。
したがって、乾燥後の排ガスに多量の臭気成分や有機塩素化合物等が含まれていたとしても、排ガス中の臭気成分や有機塩素化合物等を取り除く特別な加熱分解手段等は必要ない。
また、上記の高温ガスを用いた直接乾燥方法によらない高含水率廃棄物の乾燥装置として、過熱蒸気循環法を用いた高含水率廃棄物の乾燥装置をセメント焼成設備に付設したものが提案されている(特許文献3)。
この高含水率廃棄物の乾燥装置は、高含水率廃棄物からなる汚泥ケーキに、気流乾燥させた汚泥の循環乾燥粉を混合攪拌して水分を調整し、この混合粉を乾燥機内の解砕機で解砕した後、乾燥ダクト内で乾燥させ、その後、サイクロンで集塵して乾燥粉を得るものであり、得られた乾燥粉は、その一定量をセメント焼成設備のロータリキルンに吹き込んでセメントクリンカ焼成用燃料の一部として利用している。
この装置では、乾燥用の熱媒体を、汚泥ケーキの乾燥により発生する排ガス(水蒸気)とし、セメント焼成設備の高温部を上記の排ガスを間接加熱する排ガス加熱部とし、この排ガス加熱部に上記の排ガスを導入して加熱・脱臭し、この加熱・脱臭された排ガスの一部を上記の解砕機に循環させ、増加した排ガス分を系外にブリードするとともに、加熱・脱臭された排ガスの残部と前記乾燥機のサイクロンからの排ガスとを熱交換器で熱交換させ、サイクロンからの排ガスを予熱する方法がとられている。
また、高含水率廃棄物とは異なる廃棄物の処理方法として、ハロゲン含有廃棄物をセメント焼成設備内の高温ガスを利用して処理する廃棄物燃料化システムを用いたセメントの製造方法が提案されている(特許文献4)。
この処理方法では、セメント焼成設備のサスペンションプレヒータから抽気した高温ガスを利用して、間接加熱によりハロゲン含有廃棄物を熱分解させ、発生したハロゲン化合物を除去する一方、ハロゲン化合物が除去された可燃ガスおよび残留物をセメント焼成設備の燃料として有効利用している。
この廃棄物燃料化システムでは、熱源としてサスペンションプレヒータから抽気した高温ガスを用いている。
通常、セメント焼成設備内の高温ガスとしては、クリンカクーラから抽気される高温空気やロータリーキルンの窯尻部から抽気される高温ガスがあるが、この廃棄物燃料化システムのように、熱源としてサスペンションプレヒータから抽気した高温ガスを用いると、セメント焼成設備の操業に与える影響が比較的小さく、セメント焼成設備の熱源を有効に利用することができる。
特開2001−25731号公報 特開昭63−151650号公報 特開2002−273492号公報 特開2006−206386号公報
ところで、上述した特許文献2のクリンカクーラからの抽気ガスを利用して直接高含水率廃棄物を乾燥する方法では、乾燥後の排ガスに多量の水蒸気が含まれているために、クリンカクーラで処理すると、この排ガスに含まれる水蒸気がロータリーキルンや仮焼炉に導入されることとなり、その結果、単位セメントクリンカを焼成するために必要な高温ガス量(ガス原単位)が増加するという問題点があった。
このガス原単位の増加は、セメントクリンカの焼成量の減少、及び焼成用熱量(熱量原単位)の増加等、セメント焼成設備の操業に悪影響を及ぼす虞がある。
このセメントクリンカの焼成量の減少や熱量原単位の増加は、従来のロータリーキルンの窯尻部に直接投入する場合と比較して、操業への影響度が20〜40%に留まるものの、操業への悪影響はまだ大きなものであり、高含水率廃棄物の処理の増加に伴い必要なセメント生産量を得ることが出来ない等の虞があった。
また、特許文献3の乾燥方法では、乾燥に用いられる熱媒体を加熱する加熱部(熱交換)としてセメント焼成設備本体の高温部を利用しているために、加熱部として利用できる高温部がサスペンションプレヒータの下部の領域及びクリンカクーラにおける上流部の高温部領域等に限られてしまい、例えば、この高温部領域を加熱部として選択した場合、熱媒体がセメント焼成設備内部のガスや加熱原料の保有する顕熱を多量に奪うこととなる。したがって、セメント焼成設備のクリンカ焼成の熱量原単位を悪化させ、しかもクリンカ焼成能力の低下を来たす虞があるという問題点があった。
同様に、セメント焼成設備のセメントクリンカの焼成量の減少や熱量原単位の増加は、ロータリーキルンの窯尻部に直接投入する場合と比較して、クリンカの焼成量の減少が40〜50%に留まるものの、熱量原単位の増加が80%にもなる。すなわち、この方法では、乾燥用熱源の大部分がセメント焼成設備における有用な熱量を奪って得られるものであるから、他のセメント焼成設備の排ガス等を利用する方法と比較して、セメント焼成設備における消費熱量を大きく悪化させるばかりでなく、高含水率廃棄物の処理の増加に伴い必要なセメント生産量を得ることが出来ない虞があるという問題点があった。
また、特許文献4の廃棄物燃料化システムでは、ハロゲン含有廃棄物の熱分解及び分離を行うには、ハロゲン含有廃棄物を最大650℃もの高温にまで加熱する必要があるために、このハロゲン含有廃棄物を熱分解する間接加熱機に導入する高温ガスの温度も更に高温とする必要があるという問題点があった。
また、間接加熱であることから熱伝達量も十分ではなく、熱交換後の排ガスの温度も高温を保持したままサスペンションプレヒータに戻されることとなり、特に、高温状態の排ガスをサスペンションプレヒータの排気ダクトに合流した場合等では、サスペンションプレヒータの排ガス温度が上昇し、吸引ファン(IDF)のガス処理能力の低下、引いてはセメント焼成設備の生産能力低下を招く虞がある。
また、抽気した高温ガスは、その顕熱を再利用することなくサスペンションプレヒータから排出されるので、セメント焼成の熱量原単位も悪化することとなる。
このように、特許文献2〜4の処理方法やシステムでは、高含水率廃棄物をセメント焼成設備を用いて焼却処理した場合、セメント焼成設備の操業に悪影響を及ぼす虞がある。そこで、高含水率廃棄物を乾燥させて得られた乾燥廃棄物をセメント焼成設備の燃料または原料として有効利用することができ、しかもセメント焼成設備から取り出した熱源を利用して乾燥を行っても、セメント焼成設備の操業に全く影響を及ぼさない高含水率廃棄物の処理方法が望まれていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、高含水率無機系廃棄物をセメント焼成設備を用いて乾燥することにより、この乾燥した無機系廃棄物をセメント焼成設備の原料として有効利用することができ、しかも乾燥のためにセメント焼成設備からの熱エネルギーを利用するにもかかわらず、セメント焼成設備の操業に悪影響を及ぼす虞がなく、さらにはセメント焼成設備の操業効率を向上させることが可能な高含水率無機系廃棄物の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高含水率無機系廃棄物を、セメント焼成設備から分取した高温ガスと熱交換した熱媒体を用いて乾燥して乾燥無機系廃棄物とし、この乾燥後の熱媒体を再度高温ガスと熱交換して高含水率無機系廃棄物の乾燥に循環利用するとともに、この乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備に供給し、この乾燥無機系廃棄物に含まれる有害成分を加熱燃焼させることとすれば、この乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備の原料として有効利用することができ、しかもセメント焼成設備の操業やセメント品質に悪影響を及ぼす虞が無いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の高含水率無機系廃棄物の処理方法は、焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を乾燥し、得られた乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備を用いて焼却処理するための処理方法であって、前記セメント焼成設備から分取した高温ガスと前記高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換した前記過熱蒸気を用いて、前記高含水率無機系廃棄物を乾燥し乾燥無機系廃棄物とするとともに、この乾燥後の過熱蒸気を再度前記高温ガスと熱交換して前記高含水率無機系廃棄物の乾燥に循環利用する乾燥処理工程と、前記高温ガスと熱交換した過熱蒸気の一部を抽気し、この抽気した過熱蒸気を高温加熱して、該過熱蒸気に含まれる有機化合物を分解処理する加熱処理手段と、この分解処理を施した過熱蒸気を、前記セメント焼成設備から排出される排ガスを吸引する排ガス用吸引ファンの下流側にて前記セメント焼成設備から排出される排ガスに合流させる工程と、前記乾燥無機系廃棄物を、前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に供給して高温加熱処理する高温加熱処理工程と、を備えてなることを特徴とする。
この高含水率無機系廃棄物の処理方法では、焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を、セメント焼成設備から分取した高温ガスと該高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換した過熱蒸気を用いて乾燥し乾燥無機系廃棄物とするので、この乾燥により発生した排ガスは水蒸気のみとなり、したがって、この排ガスをセメント焼成設備で処理する場合であっても、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞が無い。しかも、乾燥無機系廃棄物を、セメント焼成設備の800℃以上の高温部に供給して高温加熱処理するので、この乾燥無機系廃棄物に含まれる有害な有機成分は燃焼・分解され、残った無機物はセメント原料として有効に利用される。
また、乾燥後の過熱蒸気を再度高温ガスと熱交換して高含水率無機系廃棄物の乾燥に循環利用するので、過熱蒸気は効率的かつ有効に再利用され、無駄がない。
さらに、この高含水率無機系廃棄物の処理方法では、塩素や塩素系有機化合物を多量に含む焼却灰や焼却飛灰を水洗した後の高含水率廃棄物を、乾燥した後セメント焼成装置の800℃以上の高温部に導入して処理を行うことによって、セメント焼成装置の操業には影響を与えず、この焼却灰や焼却飛灰に含まれる有害となる塩素系有機化合物を熱分解することができ、しかも残る無機成分をセメント焼成設備の原料として利用できる。
さらにまた、この高含水率無機系廃棄物の処理方法では、抽気した過熱蒸気を高温加熱してそれに含まれる有機化合物を分解処理し、この分解処理を施した過熱蒸気をセメント焼成設備に導入することにより、例えばサスペンションプレヒータ排ガス系統に導入した場合などは、導入によるセメント焼成設備の操業に与える影響を全く無くすることができ、セメント焼成設備の操業には前述の各段サイクロンガス出口部の抽気によるセメントクリンカ焼成能力の向上が顕著に現れる結果となる。
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理方法は、前記高温ガスは、前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータの各段のサイクロンガス出口部のいずれか一箇所以上から抽気して得られる高温ガスであことを特徴とする。
この高含水率無機系廃棄物の処理方法では、セメント焼成設備から分取した高温ガスを、セメント焼成設備のサスペンションプレヒータの各段サイクロンガス出口部のいずれか一箇所以上から抽気して得られた高温ガスとすることにより、セメント焼成設備全体の通ガス量を増加させることとなり、セメント焼成設備のセメントクリンカ焼成能力を向上させることが可能となる
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理方法は、前記高温ガスは、前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータから排出される排ガス、前記セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気される抽気ガス、のいずれか1種または2種であことを特徴とする。
この高含水率無機系廃棄物の処理方法では、セメント焼成設備から分取した高温ガスを、セメント焼成設備のサスペンションプレヒータから排出される排ガス、セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気される抽気ガス、のいずれか1種または2種とすることにより、高温ガスを利用することによるセメント焼成設備の操業に悪影響を及ぼす虞が無くなる
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理方法は、前記高温ガスを前記熱媒体と熱交換して冷却された後の排ガス中のダクトを集塵して前記吸引ファンに送ることを特徴とする。
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理装置は、焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を乾燥し、得られた乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備を用いて焼却処理する高含水率無機系廃棄物の処理装置であって、前記セメント焼成設備から分取した高温ガスと前記高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換を行う熱交換手段と、この熱交換した過熱蒸気を用いて前記高含水率無機系廃棄物を乾燥し乾燥無機系廃棄物とする乾燥処理手段と、この乾燥後の過熱蒸気を前記熱交換手段と前記乾燥処理手段との間で循環させる循環ラインと、前記高温ガスと熱交換した過熱蒸気の一部を抽気し、この抽気した過熱蒸気を高温加熱して、該過熱蒸気に含まれる有機化合物を分解処理する加熱処理手段と、この分解処理を施した過熱蒸気を、前記セメント焼成設備から排出される排ガスを吸引する排ガス用吸引ファンの下流側にて前記セメント焼成設備から排出される排ガスに合流させる抽気ラインと、前記乾燥無機系廃棄物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に供給する供給ラインとを備えてなることを特徴とする。
この高含水率無機系廃棄物の処理装置では、熱交換手段により、セメント焼成設備から分取した高温ガスと高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換を行い、乾燥処理手段により、この熱交換した過熱蒸気を用いて焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を乾燥し乾燥無機系廃棄物とし、供給ラインにより、この乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備に供給し、含まれる有機化合物を加熱し熱分解を行う。これにより、乾燥無機系廃棄物に含まれる有機化合物が完全に熱分解して無害化されるとともに、この有機化合物の熱分解がセメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞も無く、セメントクリンカの焼成能力が向上する。
しかも、セメント焼成装置から排出される排ガスの有する顕熱を有効に利用することにより得られた乾燥無機系廃棄物はセメント焼成設備の原料として有効に利用される。
また、循環ラインにより、乾燥後の過熱蒸気を再度高温ガスと熱交換して高含水率無機系廃棄物の乾燥に循環利用することにより、熱媒体を効率的かつ有効に再利用することが可能である。
さらに、この高含水率無機系廃棄物の処理装置では、乾燥処理手段にて発生した過熱蒸気の一部を抽気し、加熱処理手段により、この抽気した過熱蒸気に加熱処理を施す。これにより、有機成分が分解した高温の水蒸気をセメント焼成設備のサスペンションプレヒータ排ガス系統などに供給処理することが可能となり、処理に伴うセメント焼成設備の操業に与える影響は発生しない。
本発明の高含水率有機系廃棄物の処理装置は、前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータの各段のサイクロンガス出口部のいずれか一箇所以上から分取した抽気ガスを高温ガスとして前記熱交換手段に導入するラインを備えてなることを特徴とする。
この高含水率無機系廃棄物の処理装置では、高温ガスの熱交換手段に導入するラインにより、セメント焼成設備のサスペンションプレヒータ各段サイクロンガス出口部のいずれか1箇所以上から高温ガスを分取することにより、セメント焼成設備の通風能力の向上が計られるので、この高含水率無機系廃棄物の処理装置の稼動を要因とするセメントクリンカ焼成能力などへの悪化の虞がなくなり、効率よく高含水率無機系廃棄物を処理することができる。
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理装置は、前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータの排ガスを高温ガスとして前記熱交換手段に導入するライン、前記セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気した抽気ガスを高温ガスとして前記熱交換手段に導入するライン、のいずれか一方または双方を備えてなることを特徴とする。
この高含水率無機系廃棄物の処理装置では、サスペンションプレヒータから分取した排ガスを高温ガスとして熱交換手段に導入するライン、クリンカクーラから抽気した抽気ガスを高温ガスとして熱交換手段に導入するライン、のいずれか一方または双方を備えたことにより、サスペンションプレヒータから分取した排ガスまたはクリンカクーラから抽気した抽気ガスを、高温ガスとして利用することが可能となり、しかも熱交換後の高温ガスを再度セメント原料の乾燥などに使用することで効率的かつ有効に利用するとともに、セメント焼成設備の操業に対する影響を無くすることが可能となる。
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理方法によれば、焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を、セメント焼成設備から分取した高温ガスと該高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換した過熱蒸気を用いて乾燥し乾燥無機系廃棄物とするので、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞が無く、得られた乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備の原料として有効利用することができる。
また、乾燥後の過熱蒸気を再度高温ガスと熱交換して高含水率無機系廃棄物の乾燥に循環利用するので、熱媒体を効率的かつ有効に再利用することができる。
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理装置によれば、セメント焼成設備から分取した高温ガスと高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換を行う熱交換手段と、この熱交換した過熱蒸気を用いて焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を乾燥し乾燥無機系廃棄物とする乾燥処理手段と、この乾燥後の過熱蒸気を前記熱交換手段と前記乾燥処理手段との間で循環させる循環ラインと、前記高温ガスと熱交換した過熱蒸気の一部を抽気して前記セメント焼成設備から排出される排ガスを吸引する排ガス用吸引ファンの下流側にて前記セメント焼成設備から排出される排ガスに合流させる抽気ラインと、前記乾燥無機系廃棄物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に供給する供給ラインとを備えたので、セメント焼成設備から排出される排ガスの有する顕熱を有効に利用することができ、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞が無く、セメント焼成設備のセメントクリンカの焼成能力を向上させることができる。
また、乾燥後の過熱蒸気を再度高温ガスと熱交換して高含水率無機系廃棄物の乾燥に循環利用するので、熱媒体を効率的かつ有効に再利用することができる。
本発明の高含水率無機系廃棄物の処理方法及び処理装置の最良の形態について、図面に基づき説明する。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「第1の実施の形態」
図1は、本発明の第1の実施形態の高含水率飛灰の乾燥処理装置(高含水率無機系廃棄物の処理装置)を付設したセメント焼成設備を示す模式図であり、高含水率無機系廃棄物として焼却飛灰を水洗してそれに含まれる塩素成分を除去した高含水率飛灰を用い、この高含水率飛灰をセメント焼成設備からの排ガスまたは抽気した高温ガスを利用して乾燥して乾燥飛灰とし、この乾燥飛灰に残存する塩素系有機化合物をセメント焼成設備を用いて焼却処理を行い、残った無機物をセメント焼成設備の原料として有効利用する処理装置の例である。
上記の焼却飛灰には、通常、無機成分の他、塩素分が10〜20%程度含まれており、さらにダイオキシン類やその前躯体化合物などの有害物質が含まれている。したがって、この焼却飛灰をセメント焼成設備にて処理するに当たっては、予め、セメント焼成設備の操業に悪影響を及ぼす虞がある塩素分を水洗によって取り除くことが行われている。
しかしながら、水洗した飛灰には、脱水装置で脱水した後も40〜60%程度の水分が含まれており、さらにダイオキシン類やその前躯体化合物も残存しているので、この飛灰をセメント焼成設備にて処理するには、この飛灰をセメント焼成設備の高温部に導入してダイオキシン類等の有害物質を焼却処理し、無害化しなければならない。この場合、飛灰が高含水率であるために、それに含まれる水分の蒸発がセメント焼成設備の操業へ多大な影響を与える結果となる。
本実施形態の処理装置は、このような状況を鑑みてなされたものであり、高含水率飛灰をセメント焼成設備を用いて処理するにあたって、セメント焼成設備の操業に影響を与えない方法で処理する装置の一環である高含水率飛灰の乾燥系統にあたるものである。
図において、21は高含水率飛灰の乾燥処理装置であり、セメント焼成設備のサスペンションプレヒータ2から分取した排ガス(高温ガス)と蒸気(熱媒体)との間で熱交換を行う熱交換器(熱交換手段)22と、この熱交換した過熱蒸気(熱媒体)を用いて高含水率飛灰を乾燥し乾燥飛灰とする乾燥機(乾燥処理手段)23と、過熱蒸気に含まれる有機化合物を加熱分解する加熱器(加熱処理手段)24と、乾燥飛灰を貯留するホッパ25と、高温ガス抽気ダクト(ライン)26と、排気ダクト(ライン)27と、過熱蒸気ライン(循環ライン)28と、過熱蒸気ライン(抽気ライン)29と、高含水率飛灰を乾燥機23に供給する高含水率飛灰供給ライン30と、乾燥飛灰をロータリーキルン1の窯尻部に供給する供給ライン31とにより構成されている。
この高含水率飛灰の乾燥処理装置21により高含水率飛灰を乾燥・焼却処理するには、サスペンションプレヒータ2の2段目のサイクロン2bのガス出口部から分取した高温ガスと過熱蒸気ライン28を循環する蒸気(熱媒体)とを熱交換器22に導入し、この高温ガスにより蒸気を加熱して過熱蒸気(熱媒体)とする。
この過熱蒸気を過熱蒸気ライン28を経由して乾燥機23内に導入し、この乾燥機23内にて高含水率飛灰供給ライン30により導入された高含水率飛灰を乾燥し、乾燥飛灰とする。この乾燥飛灰は、一旦ホッパ25に貯留された後、供給ライン31にてロータリーキルン1の窯尻部にセメントの原料として供給され、この乾燥飛灰に残存する塩素系有機化合物等の有害物質が焼却処理される。
この高含水率飛灰の乾燥処理装置21では、サスペンションプレヒータ2の最上段のサイクロン2aから2段目のサイクロン2bの出口ガスを抽気した高温ガスを利用して、熱交換した蒸気による乾燥方法、すなわち過熱蒸気循環法による乾燥方法を採用することにより、セメント焼成設備内の高温ガスの有効利用、及びセメント焼成設備の効率化を図っている。
ここで、サイクロン2a〜2dにおける抽気位置の選定について説明する。
例えば、2段目のサイクロン2bの出口から排ガスを抽気する場合、このサイクロン2bの出口の排ガスの有効利用度は低く、むしろ抽気することによってサスペンションプレヒータ2の排ガス温度が低下し、抽気した排ガスによる熱量の損失を補償し、熱量原単位の増加も無くなる。
同時に、抽気した排ガスも、乾燥機23における熱交換により温度が低下し、サスペンションプレヒータ2からの排ガスと合流したガスを吸引する吸引ファン(IDF)9の通風能力を増大させる。
これにより、セメント焼成設備のクリンカ焼成能力を高めることとなる。このクリンカ焼成能力の向上により、熱量原単位が良化する場合もある。
クリンカ焼成能力の向上効果は、排ガスの抽気位置が下段のサイクロンになるほど高まるが、下段のサイクロンでは、抽気ガスによる熱量の損失量が増加することとなり、熱量原単位に与える影響も漸増し、セメント焼成設備のクリンカ焼成能力の上昇率は減少することとなる。したがって、抽気するサイクロンは、2段目のサイクロン2bが最も好ましく、3段目のサイクロン2cが次に好ましい。
なお、最上段のサイクロン2aの出口からの排ガスを利用しても上記の効果は得られる。この場合、このサイクロン2aから排ガスを抽気する抽気装置がサスペンションプレヒータ2の排ガスに対する通風抵抗を増さないようにする必要があり、その対策としては、サスペンションプレヒータ2の排気ダクト12の表面部に熱交換部を付設する等の方法がある。
2段目のサイクロン2bのガス出口部から抽気される高温ガスの温度は、通常550〜650℃の範囲である。この高温ガスは、セメント粉末原料の原料供給ライン13によって投入された粉末原料が混合されていない位置から抽気することにより得られる。抽気する高温ガスの量は、乾燥すべき高含水率飛灰の含有水分が40〜60重量%程度であるから、この高含水率飛灰に含まれる水分を蒸発させて過熱蒸気とするのに必要な熱量に十分見合うだけの量が必要となる。すなわち、高含水率飛灰1kg当たり通常3〜6Nmのガス量を抽気する必要がある。
また、抽気する排ガス中のダスト濃度が高い場合や、後続する熱交換器22へのアンザツの原因となる揮発成分が多量に含まれている場合には、高温ガス抽気ダクト26にサイクロン等の集塵機を付設することが好ましい。
また、排気ダクト27にサイクロン等の集塵機を付設し、この熱交換器22で冷却された後の排ガス中のダストを集塵機にて集塵することにより、後続する吸引ファン(IDF)9等に揮発成分が付着するのを防止してもよい。
サスペンションプレヒータ2から抽気された高温ガスは、熱交換器22にて、循環する乾燥熱媒体である乾燥機23から排出された130〜200℃の温度の過熱蒸気をさらに300〜400℃にまで加熱する。
高温ガスの温度は、この熱交換により300〜350℃にまで低下し、排気ダクト12にてサスペンションプレヒータ2からの排ガスと合流する。
なお、熱交換器22での熱交換量を高めるためには、熱交換器22の伝熱面積を大きくすればよいが、熱交換後の排ガスをセメント原料の乾燥に使用する場合、あるいは排熱発電装置のボイラー用熱源として使用する場合等においては、必ずしも伝熱面積を大きくして熱交換後のガス温度を大きく低下させる必要はない。これらの条件を考慮すると、熱交換器22の構造としては、多管式熱交換器、プレート式熱交換器等が好適である。
この熱交換器22における熱交換により温度が低下した高温ガスは、サスペンションプレヒータ2の排気ダクト12に導入されてサスペンションプレヒータ2からの排ガスに合流する。
ここで、例えば、熱交換器22における熱交換が十分でなく、熱交換後の排ガス温度がサスペンションプレヒータ2の排ガス温度より150℃以上高くなった場合には、合流後の排ガス温度の上昇の度合いが大きくなるとともに、吸引ファン(IDF)9の吸引ガス温度の上昇に伴い送風能力が低下することにより、セメント焼成設備のセメントクリンカ1における焼成能力が向上する余地が無くなり、しかも抽気した高温ガスの顕熱の損失が大きくなり、熱量原単位が悪化する等の虞がある。
この熱交換後の高温ガス温度の上限値は、熱交換器22の伝熱面積として所定の広さを確保することにより、熱交換後の高温ガス温度の上限をサスペンションプレヒータ2の排ガス温度より150℃高い温度とすることが好ましい。より好ましくは100℃高い温度を上限とする。この上限値以下の温度にまで冷却された高温ガスであれば、サスペンションプレヒータ排ガスと合流後のガス温度が低下する。
例えば、高温ガスを約20%抽気することによって温度が20〜30℃低下したサスペンションプレヒータ2の排ガスと熱交換後の高温ガスとを合流した場合は、合流後の温度が抽気しない場合と比較して低下することとなるので、吸引ファン(IDF)9の吸引力をより高めることが可能となる。
このことは、2段目サイクロン2bのガス出ロ部から抽気した高温ガスの温度(550〜650℃)が、熱交換によりサスペンションプレヒータ2の排ガス温度(約350℃)より最大100〜150℃高い温度(上限450〜500℃)以下にまで低下すれば、合流後のガス温度は抽気前と比較して低下することとなる。さらに、この高温ガスを抽気することによって、最上段サイクロン2aにおける通ガスによる圧力損失も低下することとなるので、吸引ファン(IDF)9の吸引力をより高め、セメントクリンカの焼成能力を向上させることが可能となる。
このような点を考慮すると、熱交換器の性能は高くはなくとも、容易に所定温度まで抽気した高温ガスを低下させることができるので、高含水率飛灰の乾燥処理装置を小型化かつ簡素化することができる。
一方、高含水率飛灰供給ライン30により乾燥機23に供給された高含水率の飛灰は、乾燥機23と過熱蒸気ライン28との間を循環する過熱蒸気により水の沸点あるいはその近傍にまで加熱されて含水率が低下し、乾燥飛灰となる。ここで、乾燥飛灰の乾燥度を高くするためには、高含水率飛灰の乾燥が滅率乾燥状態となるまで温度を高める必要があるが、通常では、加熱時の高含水率飛灰の温度は100℃程度に保たれまま、恒率乾燥状態の範囲で容易に含水率が5〜10%程度の乾燥飛灰となるので、乾燥装置の熱媒体として過剰に高い温度の過熱蒸気は必要でない。
したがって、本実施形態の特徴は、乾燥装置の熱媒体の温度を過剰に高いものとする必要がなく、熱交換器22での熱交換後の高温ガスの温度を低下させることが可能となる点にある。いいかえれば、高温ガスの熱交換後の温度をサスペンションプレヒータ2の排ガス温度よりも低下させることが容易であるので、サスペンションプレヒータ2の排ガスと、このガスの合流後の温度が低下し、吸引ファン(IDF)9の通ガス量を高めることが可能となる。
この乾燥機23としては、気流乾燥機や流動層乾燥機等を用いることもできるが、乾燥後の排ガスに含まれる粉塵が少なく、かつ乾燥度を比較的容易に制御することができる材料移送型熱風式の多段乾燥機が好ましい。
このようにして得られた乾燥飛灰は、一旦ホッパ25に貯留された後、供給ライン31にて空気輸送されてロータリーキルン1の窯尻部に原料として投入され、この乾燥飛灰に残存する塩素系有機化合物等の有害物質が焼却処理される。
一方、乾燥機23内で高含水率飛灰から蒸発した過熱蒸気は、循環する過熱蒸気に合流した後、その一部が過熱蒸気ライン29を経由して加熱器24に送られ、この過熱蒸気に残存する塩素系有機化合物等の有害物質が加熱されて分解処理され、その後、サスペンションプレヒータ2の排ガスライン12に再び合流し、セメント原料の乾燥等に利用される。
以上説明したように、本実施形態の高含水率飛灰の乾燥処理方法によれば、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞が無く、得られた乾燥飛灰をセメント焼成設備の原料として有効利用することができる。
また、乾燥後の過熱蒸気を再度排ガスと熱交換して高含水率飛灰の乾燥に循環利用するので、過熱蒸気を効率的かつ有効に再利用することができる。
本実施形態の高含水率飛灰の乾燥処理装置によれば、セメント焼成設備のサスペンションプレヒータ2から抽気される高温ガスの有する顕熱を有効に利用することができ、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞が無く、セメント焼成設備のセメントクリンカの焼成能力を向上させることができる。
また、乾燥後の過熱蒸気を再度高温の排ガスと熱交換して高含水率飛灰の乾燥に循環利用するので、過熱蒸気を効率的かつ有効に再利用することができる。
なお、一部の過熱蒸気を加熱器24に送る替わりに、この過熱蒸気をサスペンションプレヒータ2の最下段サイクロン2dのガス出口部から最下段サイクロン2dの上段のサイクロン2cまでの間、またはクリンカクーラ4の冷却用空気の導入口に直接に導入してセメント焼成設備内の800℃以上の高温部を経由して、塩素系有機化合物等の有害物質を熱分解することとしても、本実施形態のセメント焼成設備の操業への悪影響を及ぼさない状態に保つことが可能である。
また、一部の加熱蒸気を加熱器24に送る替わりに、この過熱蒸気を凝縮器などにより冷却することによって水分として回収することとしてもよく、回収された水分は、含まれる有機化合物などを分解する廃水処理を行い、再びセメント製造設備にて利用することとしてもよい。
「第2の実施の形態」
図2は、本発明の第2の実施形態の高含水率飛灰の乾燥処理装置を付設したセメント焼成設備を示す模式図であり、この高含水率飛灰の乾燥処理装置41が第1の実施形態の高含水率飛灰の乾燥処理装置21と異なる点は、高温ガス抽気ダクト26及び排気ダクト27を、高温ガス抽気ライン42及び高温ガス排気ライン43に替え、かつ、乾燥機23の乾燥に用いる高温ガスをサスペンションプレヒータ2の吸引ファン(IDF)9の下流側の排気ダクト12から分岐した高温の排ガスとした点である。
この高含水率飛灰の乾燥処理装置41では、乾燥用の熱源となる高温の排ガスは、サスペンションプレヒータ2の排気ダクト12から分岐されて高温ガス抽気ライン42により熱交換器22に送られる。この排ガスには、セメント焼成設備の高温部で揮発した塩素ガス、SOおよびその他の揮発成分がほとんど含まれておらず、また、ダストの含有量も比較的少ないので、熱交換器22に送られる前に予めこれらの成分を除去する必要が無い。
このサスペンションプレヒータ2からの排ガスは、350〜400℃程度の温度で熱交換器22に導入され、過熱蒸気と熱交換後200℃程度にまで冷却され、その後、加熱器24にて含まれる塩素系有機化合物等の有害物質が熱分解・除去された一部の過熱蒸気と同様にサスペンションプレヒータ2の排気ダクト12にてサスペンションプレヒータ2からの排ガスに再び合流される。
この高含水率飛灰の乾燥処理装置41によれば、乾燥機23の乾燥に用いる高温ガスをサスペンションプレヒータ2の吸引ファン(IDF)9の下流側の排気ダクト12から分岐した高温の排ガスとしたので、熱交換し温度の低下した後に同位置に導入することができる。また、高含水率飛灰の乾燥により発生した過熱蒸気は加熱処理を行った後、排気ダクト12に導入することとしたので、セメント焼成設備におけるガス通風には何ら影響を与えることがなく、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼさずに高含水率飛灰の処理を行うことができる。
本発明の第1の実施形態の高含水率飛灰の乾燥処理装置を付設したセメント焼成設備を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の高含水率飛灰の乾燥処理装置を付設したセメント焼成設備を示す模式図である。 従来の高含水率廃棄物の乾燥処理装置を付設したセメント製造設備を示す模式図である。
符号の説明
1 ロータリーキルン
2 サスペンションプレヒータ
2a〜2d サイクロン
3 仮焼炉
4 クリンカクーラ
5 電気集塵機
6 吸引ファン
7 排気煙突
8a〜8c 冷却空気ファン
9 吸引ファン(IDF)
10 二次空気ダクト
11 排気ダクト
12 排気ダクト
13 原料供給ライン
21 高含水率飛灰の乾燥処理装置
22 熱交換器
23 乾燥機
24 加熱器
25 ホッパ
26 高温ガス抽気ダクト
27 排気ダクト
28 過熱蒸気ライン
29 過熱蒸気ライン
30 高含水率飛灰供給ライン
31 供給ライン
41 高含水率飛灰の乾燥処理装置
42 高温ガス抽気ライン
43 高温ガス排気ライン

Claims (7)

  1. 焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を乾燥し、得られた乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備を用いて焼却処理するための処理方法であって、
    記セメント焼成設備から分取した高温ガスと前記高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換した前記過熱蒸気を用いて、前記高含水率無機系廃棄物を乾燥し乾燥無機系廃棄物とするとともに、この乾燥後の過熱蒸気を再度前記高温ガスと熱交換して前記高含水率無機系廃棄物の乾燥に循環利用する乾燥処理工程と、
    前記高温ガスと熱交換した過熱蒸気の一部を抽気し、この抽気した過熱蒸気を高温加熱して該過熱蒸気に含まれる有機化合物を分解処理した後、この分解処理を施した過熱蒸気を、前記セメント焼成設備から排出される排ガスを吸引する排ガス用吸引ファンの下流側にて前記セメント焼成設備から排出される排ガスに合流させる工程と、
    前記乾燥無機系廃棄物を、前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に供給して高温加熱処理する高温加熱処理工程と、
    を備えてなることを特徴とする高含水率無機系廃棄物の処理方法。
  2. 前記高温ガスは、前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータの各段のサイクロンガス出口部のいずれか一箇所以上から抽気して得られる高温ガスであことを特徴とする請求項1記載の高含水率無機系廃棄物の処理方法。
  3. 前記高温ガスは、前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータから排出される排ガス、前記セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気される抽気ガス、のいずれか1種または2種であことを特徴とする請求項1記載の高含水率無機系廃棄物の処理方法。
  4. 前記高温ガスを前記過熱蒸気と熱交換して冷却された後の排ガス中のダクトを集塵して前記吸引ファンに送ることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項記載の高含水率無機系廃棄物の処理方法。
  5. 焼却灰および/または焼却飛灰を水洗し脱塩処理を施してなる含水率が30%以上の高含水率無機系廃棄物を乾燥し、得られた乾燥無機系廃棄物をセメント焼成設備を用いて焼却処理する高含水率無機系廃棄物の処理装置であって、
    前記セメント焼成設備から分取した高温ガスと前記高含水率無機系廃棄物を乾燥することにより発生した過熱蒸気との間で熱交換を行う熱交換手段と、この熱交換した過熱蒸気を用いて前記高含水率無機系廃棄物を乾燥し乾燥無機系廃棄物とする乾燥処理手段と、この乾燥後の過熱蒸気を前記熱交換手段と前記乾燥処理手段との間で循環させる循環ラインと、前記高温ガスと熱交換した過熱蒸気の一部を抽気し、この抽気した過熱蒸気を高温加熱して、該過熱蒸気に含まれる有機化合物を分解処理する加熱処理手段と、この分解処理を施した過熱蒸気を、前記セメント焼成設備から排出される排ガスを吸引する排ガス用吸引ファンの下流側にて前記セメント焼成設備から排出される排ガスに合流させる抽気ラインと、前記乾燥無機系廃棄物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に供給する供給ラインとを備えてなることを特徴とする高含水率無機系廃棄物の処理装置。
  6. 前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータの各段のサイクロンガス出口部のいずれか一箇所以上から分取した抽気ガスを高温ガスとして前記熱交換手段に導入するラインを備えてなることを特徴とする請求項記載の高含水率無機系廃棄物の処理装置。
  7. 前記セメント焼成設備のサスペンションプレヒータの排ガスを高温ガスとして前記熱交換手段に導入するライン、前記セメント焼成設備のクリンカクーラから抽気した抽気ガスを高温ガスとして前記熱交換手段に導入するライン、のいずれか一方または双方を備えてなることを特徴とする請求項記載の高含水率無機系廃棄物の処理装置。
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