JP4075909B2 - セメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法 - Google Patents

セメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法 Download PDF

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この発明はセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法、詳しくはセメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物を熱処理し、その排出量を低減可能な技術に関する。
ダイオキシン(PCDDs)は、ポリ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ダイオキシン(Poly chloro dibenzo−p−dioxin)の略称で、有機塩素化合物の一種である。このダイオキシンに類似したものに、ポリ・クロロ・ジベンゾフラン(PCDFs:Poly chloro dibenzo−furan)が知られている。
特に、PCDDsの四塩化物(T4CDDs)であるテトラ・クロロ・ジベンゾ・パラ・ダイオキシン(Tetra chloro dibenzo−p−dioxin)に属して、2,3,7,8の位置に塩素を持った2,3,7,8−T4CDDは猛毒である。
2,3,7,8−テトラクロロ体は、トリクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸製造時の副産物として得られ、そしてジベンゾ−P−ジオキシンの塩素化により得られる。融点は306〜307℃である。
また、人体に有害とされる別の有機塩素化合物として、例えばPCB(ポリ塩化ビフェニル)が知られている。PCBは、化学的安定性、絶縁性、不燃性、粘着性に優れており、発電所、鉄道、ビルなどの電気設備に搭載されるトランス、コンデンサの絶縁油として利用されてきた。しかしながら、ダイオキシンと同等の毒性を有するコプラナーPCBを含んでいる。そのため、1974年に法律でPCBの製造、流通および新規の使用が禁止されるに至った。
PCBの処理方法としては、例えば、PCBを高温で熱処理する焼却処理方法、PCBを脱塩素化処理する脱塩素化分解法、超臨界水を使用してPCBを二酸化炭素と水とに分解する超臨界水酸化分解法などが開発されている。このうちの焼却処理方法では、PCBの熱処理ガスを冷却する際、ダイオキシン類が合成されてしまうことが懸念されている。
そこで、これらを解消する従来技術として、例えば特許文献1および特許文献2が知られている。
特許文献1は、セメント製造設備の排ガスを集塵機に供給し、有機塩素化合物を含む集塵ダストを捕集し、この捕集された集塵ダストの少なくとも一部を、セメント製造設備の通常運転時に800℃以上となるセメント製造設備内の高温部に投入する方法である。ダイオキシン類は800℃前後で熱分解されるため、この方法により、ダイオキシン類を効率的に分解して無害化することができる。
特許文献2は、セメント工場の外から運び込まれたPCB含有物を、ロータリーキルン内に投入し、これをセメント原料を焼成するときの熱(1000℃以上)により加熱してPCBを熱分解し、この熱分解時に発生した排ガスをロータリーキルン外に導出した後、20℃/秒以上の冷却速度で急冷する方法である。排ガスを20℃/秒以上で冷却することにより、ダイオキシン類の合成量が増加する温度領域を短時間で通過する。その結果、ダイオキシン類の発生を防ぎながら、PCBを分解することができる。
特開2004−244308号公報 特開2002−147722号公報
このように、特許文献1によれば、集塵ダストの少なくとも一部を、通常運転時に800℃以上となるセメント製造設備内の高温部に投入し、集塵ダストに吸着されたダイオキシン類を熱分解していた。
しかしながら、集塵機から排出され、煙道から大気開放される脱塵ガス中にも、気化した有機塩素化合物が若干量含まれている。この対策として、特許文献1では、脱塵ガス中のダイオキシン濃度を低下させる方法が記載されている。これは、セメント製造設備のうち、通常運転時の温度が30〜400℃の地点(低温部)から排ガスを引き出し、これを集塵機に供給するという方法である。すなわち、低温部から導出された排ガスは、セメント製造設備の高温部からの排ガスに比べて、有機塩素化合物が濃縮(低温濃縮)されている。その結果、このように高濃度化した有機塩素化合物を含む集塵ダストを集塵処理により除去すれば、脱塵ガス中のダイオキシン類の濃度は低下する。
一方、特許文献2は、セメント製造設備の系外(外部)から搬入されたPCB含有物を、ロータリーキルン内で1000℃以上に加熱して熱分解させるものである。しかしながら、セメント製造設備内で発生したPCBに対しては、何ら対策が施されていなかった。
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、ダイオキシン類およびPCBなどが発生する原因はセメント原料に含まれる有機塩素化合物(塩素分)であることに着目した。すなわち、有機塩素化合物を含むセメント原料を原料ミル(300℃程度)に投入する前に予加熱器により予加熱する。しかも、セメント原料には、有機塩素化合物を含む集塵ダストも含まれる。これにより、例えばダイオキシン類の前駆体などを、セメント製造設備内で加熱処理される前のセメント原料などから分離したり分解することができる。予加熱後の集塵ダストを含むセメント原料は、原料ミルに投入されて通常の運転通りに粉砕を行なう一方、予加熱時に発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスは、セメント製造設備内の通常運転時に800℃以上となる高温部に供給することで、熱処理ガス中の有機塩素化合物が熱分解される。その結果、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来法に比べて低減させることができることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を低減させることができるセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、有機塩素化合物を含むセメント原料および有機塩素化合物を含みかつセメント製造設備内で集塵機により捕集された集塵ダストを、予加熱器内で100〜600℃で予加熱することにより、前記有機塩素化合物をセメント原料および集塵ダストから分離するか、前記有機塩素化合物を分解する予加熱工程と、予加熱されたセメント原料を原料ミルに投入して粉砕する原料粉砕工程と、前記予加熱時に予加熱器内で発生した前記有機塩素化合物を含む熱処理ガスを、前記セメント製造設備の通常運転時に800℃以上となる前記セメント製造設備内の高温部に投入し、前記熱処理ガス中の有機塩素化合物を熱分解するガス熱分解工程とを備えたセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法であって、前記セメント製造設備内の高温部は、プレヒータの下段部、仮焼炉、ロータリーキルンの窯尻部、ロータリーキルンの窯前部、クリンカクーラの高温部のうち、少なくとも1つであるセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法である。
請求項1に記載の発明によれば、有機塩素化合物を含むセメント原料および有機塩素化合物を含みかつセメント製造設備内で集塵機により捕集された集塵ダストは、まず予加熱器内で予加熱され、セメント原料および集塵ダストから有機塩素化合物が分離されるか分解される(予加熱工程)。次に、予加熱後のセメント原料および集塵ダストは、原料ミルに投入されて加熱されながら粉砕される。一方、予加熱器内で発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスは、セメント製造設備内の800℃以上の高温部に投入される(ガス熱分解工程)。ここで、熱処理ガス中の有機塩素化合物が熱分解される。
このように、原料ミルへの投入前のセメント原料および集塵ダストを、予加熱器に導入して予加熱するように構成している。これにより、セメント製造設備内(例えば原料ミル、ロータリーキルン)でセメント原料および集塵ダストが熱処理され、これを原因としてセメント原料および集塵ダスト中の有機塩素化合物(塩素分)からダイオキシン類が合成される前に、セメント原料および集塵ダスト中から例えばダイオキシン類の前駆体などを分離したり、分解して除去することができる。しかも、分離された有機塩素化合物については、予加熱時に発生した熱処理ガスとともに、セメント製造設備の前記高温部に投入されて熱分解される。その結果、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来法に比べて大幅に低減させることができる。
従来法(特許文献1)では、集塵ダストを通常運転時に800℃以上となるセメント製造設備内の高温部に投入していた。そのため、得られたセメントに異物(集塵ダスト)が混入してセメントの品質が低下し、しかも焼成工程では、集塵ダストの投入量に応じたセメント原料に対する複雑な温度コントロールを行う必要性があった。これに比べて、この発明では、原料工程の前で集塵ダストをセメント原料に混合するので、このようなセメント製造工程でのセメントの品質低下および焼成時のセメント原料の温度コントロールといった悪影響を少なくすることができる。
予加熱器に供給されるセメント原料(石灰石、粘土、珪石、鉄原料など)は、ダイオキシン類(その前駆体を含む)、PCBなどを原因とする有機塩素化合物(塩素分)を含有している。ただし、セメント原料の一部に、有機塩素化合物を含まないものが混在されてもよい。また、予加熱器には、セメント原料の他にも、セメント製造設備内で集塵機により捕集された集塵ダスト(セメント製造中の原料工程で捕集されたダスト、焼成工程で捕集されたダストなど)、セメント製造の途中で得られた中間製品(セメントクリンカなど)、仕上げ工程の副産物(セメントダストなど)および廃棄物(油汚染汚泥など)を投入してもよい。
セメント製造設備としては、例えばロータリーキルンを焼成装置としたものを採用することができる。また、プレヒータ、仮焼炉、ロータリーキルンなどを有するものでもよい。この場合、800℃以上の高温部としては、例えばプレヒータの下段部(850℃)、仮焼炉(850℃)、ロータリーキルンの窯尻部(1000℃)、窯前部(最高温度1450℃)、およびクリンカクーラの上流部(800℃以上)などが挙げられる。これらのうちの1つに、有機塩素化合物を含む全ての熱処理ガスを投入してもよい。または、これらの複数または全てに対して、熱処理ガスを所定の配分で投入してもよい。
熱処理ガスが供給される高温部が800℃未満では、例えばダイオキシン類などの有機塩素化合物を完全に熱分解することはできない。高温部の好ましい温度は、850℃以上である。この範囲であれば、例えばダイオキシン類などの有機塩素化合物を完全に熱分解することができる。
セメントの焼成温度、例えばロータリーキルン内の温度は、通常、有機塩素化合物の熱分解温度の700℃を上回る1100〜1450℃である。よって、有機塩素化合物は、ロータリーキルンが1〜3rpmで回転しながら、セメントクリンカが焼成される際に、熱分解されて無害化される。
このときのロータリーキルンの焼成時間(原料滞留時間=有機塩素化合物の熱分解時間)は、30分〜1時間である。有機塩素化合物は例えば900℃のとき、2秒間加熱すれば熱分解される。
予加熱器は、既存のセメント製造設備の系外に付設される装置で、その構造は限定されない。例えば、加熱スクリュー式の加熱器、パドル式の加熱器、ロータリー式の加熱器などを採用することができる。なお、予加熱しながらセメント原料を粉砕可能な構造を有するものでもよい。
セメント原料の予加熱温度は100〜600℃である。100℃未満では、セメント原料および集塵ダストからの有機塩素化合物の分離が不十分となる。また、600℃を超えると、加熱エネルギが余分に必要となる。
予加熱器の熱源は限定されない。例えば、セメント原料からセメントクリンカを焼成する際に発生した排ガス(例えばプレヒータの上部から原料ミルなどに供給される排ガス(300℃程度))、クリンカクーラの排ガス(300℃以上)、クリンカクーラから煙道に排出された排ガス(200〜300℃程度)などを採用することができる。また、単独で使用する他に、上記熱源からの熱では熱量不足の際に併用される専用の熱発生装置(ホットガスジェネレータなど)を採用してもよい。
熱源からの熱媒体(熱発生装置からの熱媒体を含む)は、予加熱器の内部に供給してもよいし、例えば予加熱器の外周壁に設けられたジャケットなどを利用し、予加熱器の外から供給してもよい。セメント設備内で発生した排ガスのうち、酸素濃度が高い排ガスは、予加熱器内に導入した方が好ましい。一方、例えばプレヒータから原料ドライヤおよび原料ミルなどに排ガスダクトを通して供給される排ガスなど、酸素濃度が低いガスの場合には、予加熱器の前記ジャケットに供給し、予加熱器の外部からセメント原料を加熱するようにした方が好ましい。なお、ジャケット内での熱交換後の排ガスは、排ガスダクトに戻してセメント製造の原料工程で、排ガス中に含まれる有機塩素化合物を熱処理することができる。
予加熱器には、セメント原料だけでなく、セメント製造設備内で集塵機(例えば電気集塵機)により捕集された集塵ダストが投入される。セメント製造設備内の排ガス(例えば原料ミルからの排ガス)は、最終的に集塵機に導入され、ここでガス中のダストが集塵される。仮に集塵ダストに若干量の有機塩素化合物が含まれても、集塵ダストは予加熱器によって予加熱(熱処理)され、有機塩素化合物を分離してから原料ミルに再投入されることになる。系内の有機塩素化合物が減少するので、煙突からの有機塩素化合物の排出量を、さらに低減させることができる。
集塵機としては、例えばセメント製造の原料工程で発生した排ガスを捕集する集塵機を採用することができる。集塵ダスト中には、有機塩素化合物を含む場合がある。
予加熱温度が100℃未満では、セメント原料および集塵ダストからの有機塩素化合物の分離が不十分となる。また、600℃を超えると、加熱エネルギが余分に必要となる。
好ましい予加熱温度は、200〜500℃である。この範囲であれば、物質(例えばPCB)の性状により、セメント原料および集塵ダストからの有機塩素化合物の十分な分離が可能で、エネルギ的にもロスが小さい。
請求項2に記載の発明は、前記予加熱器の熱源はセメント原料からセメントクリンカを焼成する際に発生した排ガス、クリンカクーラの排ガス、クリンカクーラから煙道に排出された排ガスのいずれか1つ以上から供給されることを特徴とする、請求項1に記載のセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法である。
なお、前記予加熱工程で熱処理された集塵ダストを含むセメント原料には、その後、該セメント原料に対して、通常のセメント製造工程での処理が行われる。
ここでいう通常のセメント製造工程での処理とは、例えばセメント製造設備がプレヒータおよびロータリーキルンを有する場合には、原料ミルにより粉砕されたセメント原料を貯蔵サイロにいったん貯蔵し、次に貯蔵サイロ内のセメント原料をプレヒータにより石灰石が脱炭酸されるまで加熱(予熱)し、加熱されたセメント原料をロータリーキルン内で加熱してセメントクリンカを焼成し、その後、セメントクリンカをクリンカクーラに投入して冷却するなどのセメント製造に伴う一連の処理をいう。
前記セメント製造設備内の高温部は、プレヒータの下段部、仮焼炉、ロータリーキルンの窯尻部、ロータリーキルンの窯前部、クリンカクーラの高温部のうちの少なくとも1つである。
予加熱工程で発生した熱処理ガスを、プレヒータの下段部、仮焼炉に供給した場合には、熱処理ガスを仮焼用の空気として使用し、セメント原料の仮焼熱により、有機塩素化合物を熱分解することができる。
また、熱処理ガスをセメント原料の焼成用の空気として、ロータリーキルンの窯尻部、ロータリーキルンの窯前部、クリンカクーラの高温部に供給した場合には、クリンカ焼成時の焼成熱などにより、有機塩素化合物を熱分解することができる。
ロータリーキルンの窯前部に熱処理ガスを供給したときには、燃焼バーナに対して、燃料とともに熱処理ガスを供給してもよいし、燃料とは別にロータリーキルンに熱処理ガスを供給してもよい。ロータリーキルンにおける熱処理ガスの供給位置は限定されない。
クリンカクーラの高温部としては、例えばロータリーキルンからセメントクリンカが投入されるクリンカクーラの上流部などが挙げられる。
この発明によれば、原料ミルに投入される前のセメント原料を予加熱器内で予加熱する。これにより、原料ミルによるセメント原料の粉砕中の熱処理によってセメント原料および集塵ダスト中の有機塩素化合物からダイオキシン類およびPCBなどが発生する前に、セメント原料および集塵ダスト中から有機塩素化合物を分離したり分解することができる。しかも、分離された有機塩素化合物は、セメント製造設備の通常運転時に800℃以上となる高温部に投入することで熱分解される。その結果、セメント製造設備から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、より以上に低減させることができる。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
図1において、10はこの発明の実施例1に係るセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法が適用されたセメント製造設備である。このセメント焼成設備10は、セメント原料を粉砕する原料工程部と、粉砕されたセメント原料を焼成する焼成工程部と、焼成により得られたセメントクリンカに石膏を混ぜて粉砕する仕上げ工程部とにより構成されている。
原料工程部は、セメント原料としての石灰石、粘土、珪石および鉄原料を個別に貯蔵する原料貯蔵庫11と、有機塩素化合物を含むセメント原料を予加熱する予加熱器100と、予加熱器100に付設された熱発生装置101と、有機塩素化合物を含まないセメント原料を加熱乾燥する原料ドライヤ12と、セメント原料を粉砕する原料ミル13と、原料ドライヤ12および原料ミル13から排出された有機塩素化合物を含むダストを捕集する第1の集塵機B1と、原料ミル13により粉砕されたセメント原料をいったん貯蔵する貯蔵サイロ14とを備えている。
予加熱器100は加熱スクリュー式の加熱器で、原料供給管102を通して原料貯蔵庫11から供給された有機塩素化合物を含むセメント原料、および、同じく有機塩素化合物を含む集塵ダストを、スクリュー100aにより移送しながら予加熱する。
原料供給管102の途中には、弁103が設けられている。この弁103より原料供給管102の下流部には、ダスト配送管104を介して、集塵機(電気集塵機)B1により捕集された集塵ダストが導入される。しかも、プレヒータ16により加熱された原料(以下、加熱原料)に含まれる有機塩素化合物を低減させるため、加熱原料配送管105を介して、プレヒータ16の下段部付近から導出された加熱原料の一部が導入される。
予加熱器100の外周壁には、予加熱器100の外側から間接的にセメント原料を予加熱するジャケット106が設けられている。ジャケット106の内部空間には、セメント製造設備10内の所定箇所で発生した排ガスが供給される。予加熱温度は250℃、予加熱時間は20分間程度である。
予加熱器100の熱源としては、プレヒータ16の上部から排ガスダクト21を通して原料ドライヤ12および原料ミル13に供給される排ガス(300℃程度)と、クリンカクーラ19の排ガス(300℃以上)と、クリンカクーラ19から煙道136に排出された排ガス(200〜300℃程度)とが採用されている。
このうち、プレヒータ16からの排ガスの一部は、弁107を有し、かつ排ガスダクト21の上流部に元部が連結された第1の熱媒管108を通して予加熱器100の内部に供給される。また、クリンカクーラ19からの排ガスの一部は、弁109を有し、かつ第1の熱媒管108のうち、弁107の設置部分より下流部に連結された第2の熱媒管110を通して予加熱器100に供給される。そして、クリンカクーラ19から煙道136に排出された排ガスの一部は、弁111を有し、かつ第2の熱媒管110のうち、弁109の設置部分より下流部に連結された第3の熱媒管112を通して予加熱器100に供給される。
前記第1の熱媒管108のうち、第2の熱媒管110との連結部分と、弁107の設置部分との間には、弁113を有し、プレヒータ16からの排ガスをジャケット106に供給する分岐管114が連結されている。プレヒータ16から原料ミル13などに供給される排ガスは、酸素濃度が低く、燃焼を伴う加熱用のガスとして適さない場合がある。その際には、ジャケット106にプレヒータ16からの排ガスを供給する。このように、ジャケット106にその排ガスを供給し、予加熱器100の外壁側からセメント原料などを加熱した方が好適な場合もある。ジャケット106からの排ガスは、ファン115の圧送力により、ジャケット排管116を通して、排ガスダクト21のうち、第1の熱媒管108の連結部分より若干下流部分に戻される。その結果、プレヒータ16からの排ガスに含まれる若干の有機塩素化合物は、セメント製造の原料工程(原料ドライヤ12および原料ミル13)で熱処理されることになる。なお、ジャケット106内で熱交換が終了した排ガスは、ジャケット排管116、排ガスダクト21を通してセメント製造の原料工程に戻される。そして、排ガス中に含まれる有機塩素化合物が熱処理される。
予加熱器100により予加熱された集塵ダストを含むセメント原料は、弁117付きの原料排管118を通して原料ミル13に投入される。また、原料排管118のうち、弁117の設置部分より若干上流部分には、弁119を有し、かつセメント製造設備10の夜間運転時に、予加熱された集塵ダストを貯蔵サイロ14に導入するダスト専用排管120が連結されている。セメント製造設備10の夜間運転では、原料供給管102の弁103および原料排管118の弁117をそれぞれ閉じ、集塵ダストだけを予加熱器100に供給し、集塵ダスト中の有機塩素化合物を集塵ダストから分離したり分解する。こうして有機塩素化合物が除去された集塵ダストは、原料排管118からダスト専用配管120を通して、原料ミル13と貯蔵サイロ14とを連結する粉砕原料輸送設備121に導入され、その後、貯蔵サイロ14に投入される。
熱発生装置101とは、前述した3つの熱源からの熱ではセメント原料を予加熱するには熱量不足である場合に利用される、予加熱器100の熱量不足を補う加熱装置である。具体的には、ホットガスジェネレータ方式の加熱装置が採用されている。
熱発生装置101の内部で発生した加熱空気(400℃)は、補助熱配送管122を通して、第1の熱媒管108の下流部に導入され、その後、予加熱器100内に供給される。また、補助熱配送管122の途中には、弁123を有し、かつ熱発生装置101からの加熱空気をジャケット106に供給する補助熱分岐管124が連結されている。ジャケット106を利用して予加熱器100内のセメント原料などを予加熱するときで、かつ熱量不足の場合には、弁123を開いて、補助熱分岐管124を通して熱発生装置101からの加熱空気をジャケット106に供給する。
集塵ダストを含むセメント原料の予加熱時に、予加熱器100内で発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガス(排ガス)は、下流部が三股(3つの枝管)になったファン125付きのガス配送管23を通して、通常運転時、セメント製造設備10の内部で800℃以上の高温部となるプレヒータ16の下段部と、ロータリーキルン18の窯尻部と、その窯前部とにそれぞれ供給される。なお、セメント製造設備10が仮焼炉を有する場合には、この熱処理ガスを仮焼炉に供給してもよい。また、クリンカクーラ19の高温部となる上流部分に熱処理ガスを供給してもよい。
ガス配送管23の三股部分のうち、第1の枝管23aには第1の弁126が設けられ、また第2の枝管23bには第2の弁127が設けられ、さらに第3の枝管23cには第3の弁128が設けられている。第1〜第3の弁126〜128を開閉操作することで、予加熱器100からの熱処理ガスを、プレヒータ16の下段部、ロータリーキルン18の窯尻部およびロータリーキルン18の窯前部のうち、少なくとも1つに供給することができる。
焼成工程部は、貯蔵サイロ14からの集塵ダストを含むセメント原料を、下降するほど徐々に高温(850℃)に加熱する5段式のサイクロン15を備えたプレヒータ16と、窯尻部にプレヒータ16の最下段部が連結され、集塵ダストを含むセメント原料を燃焼バーナ17からの炎の熱により焼成してセメントクリンカを得る乾式のロータリーキルン18と、ロータリーキルン18の窯前から排出されたセメントクリンカを冷却するクリンカクーラ19と、得られたセメントクリンカをいったん貯蔵するクリンカサイロ20と、クリンカサイロ20から排出された有機塩素化合物を含むダスト(粉体)を捕集する図示しない第2の集塵機とを備えている。
プレヒータ16の最下段(5つ目)のサイクロン15には、前記第3の枝管23cの下流端が連結されている。
ロータリーキルン18には、100t/hでセメントクリンカを生産するものが採用されている。ロータリーキルン18内では、重油や微粉石炭を燃料とする燃焼バーナ17からの炎の熱で、集塵ダストを含むセメント原料が焼成される。
仕上げ工程部は、クリンカサイロ20から導出されたセメントクリンカに所定量の石膏を加えて粉砕し、セメントとする図示しない仕上げミルと、得られたセメントをいったん貯蔵する同じく図示しないセメントサイロとを備えている。
図1において、129は、原料ドライヤ12および原料ミル13からの排ガスを大気開放する煙道である。130は、煙道129の下流端に連結された煙突である。131は、原料貯蔵庫11の有機塩素化合物を含まない原料を原料ドライヤに供給する原料供給設備である。132は、原料ドライヤから排出された乾燥原料を原料ミル13に供給する乾燥原料排出設備である。F1は、排ガスダクト21の上流部に設けられたファンである。F2は、煙道129の原料ミル13側の端部に設けられたファンである。F3は、煙道129のうち、集塵機B1と煙突130との間に設けられたファンである。
次に、実施例1のセメント製造設備10の内部(系内)で行われる排ガス中の有機塩素化合物低減方法を説明する。セメント製造設備10内に配置された多数の弁のうち、予め3つの弁113,弁119、弁123のみを閉弁状態とし、他の弁は開弁状態とする。
図1に示すように、原料貯蔵庫11内の有機塩素化合物を含む各セメント原料は、原料供給管102を通して予加熱器100の内部に供給される。このとき、原料供給管102には、ダスト配送管104を介して、集塵機B1からの集塵ダストが導入されるとともに、加熱原料配送管105を介して、プレヒータ16の最下段部付近から抜き出された加熱原料の一部が導入される。加熱原料は800℃程度の高温であるので、被予加熱物であるとともに、これを予加熱器100の熱源として利用することができる。また、原料貯蔵庫11内の有機塩素化合物を含まない原料は、原料ドライヤ12に投入されて乾燥される。その後、乾燥原料は原料ミル13に投入される。
予加熱器100の内部に供給された前記集塵ダストなどを含む各セメント原料(以下、セメント原料と略す)は、スクリュー100aに投入され、これにより予加熱器100の下流側に向かって移送される。その際、400℃程度まで徐々に予加熱される。予加熱時間は10分間である。セメント原料には、多量の塩素(有機塩素化合物を含有)と、多量の臭気成分とが含まれている。
ところで、ダイオキシン類の前駆体(例えばベンゼン、フェノール、クロロベンゼン、クロロフェノールなど)が集塵ダストを含むセメント原料から分離される温度は200℃以上、ダイオキシン類の前駆体が熱分解される温度は800℃以上である。また、臭気成分(例えばアセトアルデヒドなど)が集塵ダストを含むセメント原料から分離される温度は50℃、そのため、原料ミル13により粉砕される前の集塵ダストを含むセメント原料を予加熱器100の内部で250℃に予加熱することで、ダイオキシン類の前駆体および臭気成分などがセメント原料から分離される。
予加熱器100の熱源としては、プレヒータ16の上部からの排ガス(300℃程度)と、クリンカクーラ19からの排ガス(300℃以上)と、クリンカクーラ19から煙道136に排出された排ガス(200〜300℃程度)とがそれぞれ併用されている。また、必要に応じて弁113を開き、プレヒータ16の上部からの排ガスの一部が、ジャケット106に導入される。その結果、予加熱器100の内側からだけでなく、予加熱器100の外側からも集塵ダストを含むセメント原料が加熱される。また、これでもこのセメント原料の予加熱用の熱量が不足しているときには、補助熱配送管122および第1の熱媒管108を経て、熱発生装置101からの加熱空気を予加熱器100に供給したり、弁123を開き、熱発生装置101からの加熱空気の一部をジャケット106に供給する。これにより、その熱量の不足を補うことができる。
予加熱器100により有機塩素化合物が除去された集塵ダストを含むセメント原料は、原料排管118から原料ミル13に投入される。ここでは、原料ドライヤ12から供給された有機塩素化合物を含まない乾燥原料とともに、100℃程度に加熱されながら、多数の金属ボールにより、セメント原料が平均粒度15μmに粉砕される。原料ドライヤ12および原料ミル13には、プレヒータ16の上部から高温の排ガスが、排ガスダクト21を通してそれぞれ供給されている。そのため、原料ドライヤ12の内部温度は約300℃、原料ミル13の内部温度は約75℃となっている。
従来法では、有機塩素化合物を含むセメント原料を予加熱することなく原料ドライヤおよび原料ミルに投入していた。これにより、原料ドライヤおよび原料ミルからの排ガス中のダストには、多量の有機塩素化合物がそれぞれ含まれていた。その後、このダストは、集塵機により捕集されて集塵ダストとして回収され、貯蔵サイロに送られ、セメント原料の一部となっていた。貯蔵サイロ内の粉砕されたセメント原料は、その後、プレヒータに供給される。しかしながら、一部のセメント原料は、プレヒータの上部から再び排ガスダクトを通して原料ドライヤおよび原料ミルに戻される。これにより、有機塩素化合物が原料工程部内で循環し、徐々に高濃度化していく。
しかも、集塵機を通過した脱塵ガスにも若干ではあるがダイオキシン類、PCBおよび臭気が含まれている。これらの有機性汚泥を含む脱塵ガスが、煙道を通して煙突から大気開放されるおそれもあった。
これに対して、実施例1のセメント製造設備10にあっては、予め予加熱器100によりダイオキシンの前駆体、臭気成分などがセメント原料から除去される。その結果、セメント製造設備10から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物、臭気の排出量を低減させることができる。
しかも、予加熱時に発生した有機塩素化合物を含む熱処理ガスは、ガス配送管23を通して、セメント製造設備10の内部の通常運転時に800℃以上となるプレヒータ16の下段部と、ロータリーキルン18の窯尻部と、その窯前部とにそれぞれ供給される。例えば、集塵ダストをロータリーキルン18の窯尻部に投入する場合には、ロータリーキルン18の内部で、ダイオキシンの熱分解温度を上回る1100〜1450℃でのバーナ加熱が行われている。しかも、例えば1〜3rpmの回転速度でキルンシェルが周方向へ低速回転している。そのため、投入された有機塩素化合物(ダイオキシン類の前駆体など)を含む熱処理ガスは、ロータリーキルン18の内部で30分以上加熱される。これにより、セメントクリンカが焼成されると同時に、熱処理ガスに含まれる有機塩素化合物の全てが、熱分解されて無害化される。
一方、ガス配送管23を通して、熱処理ガスがロータリーキルン18の窯前部に投入された場合には、熱処理ガスが燃焼バーナ17における燃焼用の空気として使用される。これにより、熱処理ガス中の有機塩素化合物が完全に熱分解される。
さらに、ガス配送管23を通して、プレヒータ16の最下段のサイクロン15に投入された有機塩素化合物を含む熱処理ガスは、セメント原料を石灰石が脱炭酸されるまで加熱する空気として使用する。このときのセメント原料の加熱により、有機塩素化合物を完全に熱分解することができる。その後、原料ミル13内で粉砕されたセメント原料は、粉砕原料輸送設備121を通って貯蔵サイロ14に投入され、ここでいったん貯蔵される。
また、セメント製造設備10の夜間運転時には、集塵機B1により捕集された集塵ダストだけが予加熱器100に投入される。すなわち、原料供給管102の弁103とをそれぞれ閉める一方、ダスト専用配管120の弁119を開く。これにより、集塵機B1からの集塵ダストだけが予加熱器100に供給され、ここで、集塵ダストから有機塩素化合物が分離されたり、熱分解される。有機塩素化合物が除去されて予加熱器100から排出された集塵ダストは、原料排管118、ダスト専用配管120、粉砕原料輸送設備121を順次経て貯蔵サイロ14に貯蔵される。
貯蔵サイロ14に貯蔵されたセメント原料は、次に焼成工程部に供給され、ここでプレヒータ16の最上段のサイクロン15から、順次、下段側のサイクロン15に流下しながら最終的に800℃程度まで加熱される。その後、セメント原料はロータリーキルン18の窯尻部へ投入され、燃焼バーナ17でのバーナ加熱によりセメントクリンカが焼成される。得られたセメントクリンカは、クリンカクーラ19により冷却される。
次に、クリンカサイロ20から導出されたセメントクリンカは、所定量の石膏が加えられ、図示しない仕上げミルに供給される。ここで、セメントクリンカが多数の金属ボールを使用して粉砕され、セメントとなる。得られたセメントは、同じく図示しないセメントサイロによりいったん貯蔵して出荷を待つ。
また、予加熱器100による加熱温度は、例えば100℃以上でもよい。この場合には、セメント原料および集塵ダストに含まれる有機塩素化合物(臭気成分を含む)が気化して分離される。これは、図2のグラフに示すように、有機塩素化合物が50℃程度の加熱でも、セメント原料および集塵ダストから気化して分離するためである。図2のグラフ中、原料Aは製油所跡地の土壌、原料Bはガソリンスタンド跡地の土壌、原料Cは化学プラントから発生する汚泥1、原料Dは炭ガラ含有土壌、原料Eは廃白土、原料Fは化学プラントから発生する汚泥2である。
ただし、有機塩素化合物がPCBの場合、これを粉体中から十分に気化させるには、加熱温度を500〜800℃とした方が好ましい。例えば、集塵ダストの非加熱時のPCB残留率を100%としたときにおいて、熱処理温度とPCB残留率との関係は、熱処理温度が300℃の場合で25%、500℃の場合で5%、800℃の場合で5%であった。有機塩素化合物が気化した集塵ダストは、その後、輸送機の下流部に連結された図示しない集塵機により捕集し、セメント原料として再利用することができる。
このように、原料ミル13に投入される前の有機塩素化合物を含むセメント原料および集塵ダストを、予加熱器100により予加熱するので、原料ミル13によるセメント原料の粉砕中の熱処理によってセメント原料13および集塵ダスト中の有機塩素化合物からダイオキシン類およびPCBなどが発生する前に、集塵ダストを含むセメント原料から有機塩素化合物を分離したり分解することができる。しかも、分離された有機塩素化合物は、セメント製造設備10の通常運転時に800℃以上となる高温部に投入して熱分解される。その結果、セメント製造設備10から排出されるダイオキシン類およびPCBなどの有機塩素化合物の排出量を、従来法に比べて低減させることができる。
すなわち、特許文献1のような従来法では、集塵ダストを通常運転時に800℃以上となるセメント製造設備内の高温部に投入していた。そのため、得られたセメントに異物(集塵ダスト)が混入してセメントの品質が低下し、しかも焼成工程では、集塵ダストの投入量に応じたセメント原料に対する複雑な温度コントロールを行う必要性があった。これに比べて、実施例1では、原料工程の前で集塵ダストをセメント原料に混合するので、このようなセメント製造工程でのセメントの品質低下および焼成時のセメント原料の温度コントロールといった悪影響を少なくすることができる。
ここで、実施例1のセメント製造設備10を使用し、集塵機B1により捕集された集塵ダスト中のPCB濃度および脱塵ガス(集塵機B1を通過したガス成分)中のPCB濃度の経時変化を調査した結果を、表1を用いて報告する。
Figure 0004075909
表1から明らかなように、セメント製造設備10の運転日数が増加する程、集塵ダスト中のPCB濃度および脱塵ガス中のPCB濃度は低下することがわかった。
従来法では、燃焼などで発生する微量のPCBが、集塵機B1内で集塵ダストに付着した状態で捕集され、その集塵ダストをセメント原料として再利用することから、セメント製造設備10の系内でPCBの循環が発生していた。そのため、この系内におけるPCB濃度が上昇し、これが集塵機B1から排出され、煙道を通って煙突から大気開放される脱塵ガス中のPCB濃度の上昇を招いていた。
このPCBの系内循環を、集塵ダストを含むセメント原料を予加熱器100により予加熱してPCBを気化させることで断つことができた。しかも、予加熱時に発生したPCBを含む熱処理ガスは、燃焼バーナ17の燃焼用空気に用いることで熱分解するようにした。その結果、セメント製造設備10から大気開放される排ガスのPCB濃度を低減させることができた。
また、実施例1のセメント製造設備10を使用し、大気開放される排ガス中の有機塩素化合物の減少率(加熱原料使用原単位;50kg/t.cliのとき)を調査した結果を報告する。
すなわち、排ガスに含まれる有機塩素化合物のうち、実施例1のセメント製造設備10と同型の従来のセメント製造設備を使用した場合に比べて、THC(全有機ガス)が72%、ダイオキシン類が85%、PCBsが96%、ベンゼンが76%とそれぞれ減少した。
この発明の実施例1に係るセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法が適用されたセメント焼成設備の概略構成図である。 セメント製造設備内の温度と集塵ダスト中の有機物減少率を示すグラフである。
符号の説明
10 セメント製造設備、
13 原料ミル、
16 プレヒータ、
18 ロータリーキルン、
100 予加熱器、
B1 集塵機。

Claims (2)

  1. 有機塩素化合物を含むセメント原料および有機塩素化合物を含みかつセメント製造設備内で集塵機により捕集された集塵ダストを、予加熱器内で100〜600℃で予加熱することにより、前記有機塩素化合物をセメント原料および集塵ダストから分離するか、前記有機塩素化合物を分解する予加熱工程と、
    予加熱されたセメント原料を原料ミルに投入して粉砕する原料粉砕工程と、
    前記予加熱時に予加熱器内で発生した前記有機塩素化合物を含む熱処理ガスを、前記セメント製造設備の通常運転時に800℃以上となる前記セメント製造設備内の高温部に投入し、前記熱処理ガス中の有機塩素化合物を熱分解するガス熱分解工程とを備えたセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法であって、
    前記セメント製造設備内の高温部は、プレヒータの下段部、仮焼炉、ロータリーキルンの窯尻部、ロータリーキルンの窯前部、クリンカクーラの高温部のうち、少なくとも1つであることを特徴とするセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法。
  2. 前記予加熱器の熱源はセメント原料からセメントクリンカを焼成する際に発生した排ガス、クリンカクーラの排ガス、クリンカクーラから煙道に排出された排ガスのいずれか1つ以上から供給されることを特徴とする、請求項1に記載のセメント製造設備からの排ガス中の有機塩素化合物低減方法。
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