JP2004323287A - 揮発性物質を含有する物質の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、セメントクリンカー焼成装置において、揮発性物質を送入する別設備が必要でなく、また、セメントクリンカーの特性や焼成工程に支障を来さない、揮発性物質含有した物質の処理方法の提供を課題とする。
【解決手段】本発明は、揮発性物質を含有する物質と揮発性物質の吸着材とセメント原料とを混合した後、セメント原料ミルで粉砕し、セメント製造装置のサスペンションプレヒーター最上段へ送入することを特徴とする揮発性物質を含有する物質の処理方法を開発し、上記課題を解決した。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、揮発性物質を含有する物質をセメント製造工場にて処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、セメント製造工場では、サスペンションプレヒーター付きロータリーキルンが用いられている。この方式によるセメント製造では、石灰石、粘土、珪石、鉄源等のセメント原料を混合した後、セメント原料ミルで粉砕し、サスペンションプレヒーターの最上段から送入されている。送入されたセメント原料は、サスペンションプレヒーターで予熱され、石灰石が脱炭酸された後、ロータリーキルンで焼成されてセメントクリンカーとなる。
近年、廃棄物をセメント原料として使用する機運が高まり、揮発性物質を含有する物質の処理をセメント原料焼成装置で行なうことを依頼される機会が増えている。しかし、一般的なセメント工場において、揮発性物質を含有する物質をセメント原料に添加すると、上述のようにサスペンションプレヒーターの最上段から送入されるので、400〜500℃の焼成ガスにより揮発性物質が揮発し、セメント製造工場から排出されるおそれがあった。
【0003】原料として供給された揮発性物質がセメント製造工場から排出される問題を解決する方法は、既に提案されている。例えば、特許文献1によれば、ダイオキシン類やその前駆体及びダイオキシン類を生じる可能性のある廃棄物を原料として使用するにあたり、廃棄物を予熱することなく、直接ダイオキシンの分解する温度域に添加することにより揮発性物質を分解して、ダイオキシンの揮発逃散の問題を解決している。
ただし、この方法では、一般的なセメント製造工場の原料送入ルートとは別に、廃棄物をセメント製造プラントに送入するので、別途送入設備が必要になり、セメントの成分がバラつくのに加え、投入廃棄物は予熱されることなく焼成されるので熱効率が低下するなどの問題を抱えたものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−263431号公報(2ページ)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上に示した従来の揮発性物質の処理方法における問題点を解決すべくなされたものである。すなわち、揮発性物質を送入する別設備が必要でなく、また、セメントクリンカーの特性や焼成工程に支障を来さない、揮発性物質を含有した物質の処理方法の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、揮発性物質を含有する物質と揮発性物質の吸着材とセメント原料とを混合した後、セメント原料ミルで粉砕し、セメント製造装置のサスペンションプレヒーター最上段へ送入する方法を開発し、上記課題を解決した。
すなわち本発明は、揮発性物質を含有する物質と揮発性物質の吸着材とセメント原料とを混合した後、セメント原料ミルで粉砕し、セメント製造装置のサスペンションプレヒーター最上段へ送入することを特徴とする揮発性物質を含有する物質の処理方法に関する。
また、本発明は、揮発性物質を含有する物質と揮発性物質の吸着材および分解促進剤とセメント原料とを混合した後、セメント原料ミルで粉砕し、セメント製造装置のサスペンションプレヒーター最上段へ送入することを特徴とする揮発性物質を含有する物質の処理方法にも関する。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において処理の対象となる揮発性物質は、室温で気体のものから、セメント製造装置のサスペンションプレヒーターの最上段内温度である500℃で気化するものまでを含んだものであり、その例として、ダイオキシン、ジベンゾフラン、ヘキサクロロベンゼン、PCB等の残留性有機汚染物質、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン等の揮発性有機化合物、アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチルメルカプタン等の臭気物質を挙げることができる。
【0008】一般に、縦型のセメント原料ミルでは、サスペンションプレヒーターから排出された300℃程度のガスを導入し、原料の乾燥も同時に行なわれる。このため、揮発性物質を含有する物質をセメント原料ミルに送入すると、揮発性物質の一部が揮発する。本発明では、揮発性物質の吸着材を同時に添加することにより、セメント原料ミルにおける揮発性物質の揮発を抑制している。この方法により、セメント原料ミルにおける300℃程度のガス中での揮発性物質の揮発が抑制される。尚、吸着材の添加量は、送入する揮発性物質量に応じて変えることになるが、予め、300℃における使用吸着材に対する各揮発性物質の当量を求めて置き、吸着等量以上の吸着材を添加するのが好ましく、吸着当量の2〜3倍量の吸着材の添加が最も好ましい。
【0009】一方、セメント原料ミルで一部揮発した揮発性物質は、排ガスおよびセメント原料の一部と共に集塵機に運ばれる。集塵機における排ガス温度は100℃程度であるので、揮発性物質はセメント原料中に存在する吸着材に吸着され集塵機で捕集される。このため、揮発性物質の、セメント製造プラントからの排出が抑制されることになる。
【0010】セメント原料ミルから排出されたセメント原料は、サスペンションプレヒーターの最上段から送入されるが、一部は前記の様に排ガスと共に集塵機に運ばれ捕集された後に、サスペンションプレヒーターの最上段から送入される。
サスペンションプレヒーターに送入された揮発性物質は吸着材により強く捕捉されているので、揮発することなくサスペンションプレヒーターの高温部まで到達し、そこで分解し無害化される。
【0011】なお、揮発性物質が分解される温度領域に到達する前に揮発する場合は、分解促進剤を原料調合時に添加することが望ましい。
分解促進剤は、揮発性物質の分解温度を低下させ、さらに分解速度を増大するので、サスペンションプレヒーター内での揮発性物質の分解を促進する。
また、サスペンションプレヒーター内で揮発性物質が分解されずに排ガスと共に排出された場合、セメント原料ミルあるいは集塵機において吸着材により捕捉され、再びサスペンションプレヒーターに戻る循環を繰り返し、揮発性物質の分解が進むことになる。
【0012】吸着材の代表的なものとしては、活性炭、石炭、ボタ、コークス、木炭、石炭灰中の未燃炭素、焼却灰中の未燃炭素、活性白土、ゼオライト、活性アルミナ、水酸化アルミニウム、粘土、仮焼粘土が挙げられる。
また、分解促進剤の代表的なものとしては、生石灰、消石灰、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、活性アルミナ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、酸性白土、鉄粉がある。
【0013】
【実施例】以下では、具体的例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
実施例1
揮発性物質を含有する物質としてダイオキシンを2000pg−TEQ/g含む汚染土の処理を検討した。
セメント原料の調合は、ダイオキシン含有汚染土が5質量部および吸着材として働く未燃炭素を10質量%含む石炭灰が10質量部となるように、夫々を一般的なセメント原料である石灰石、粘土、珪石と混合することにより行った。
調合原料はサスペンションプレヒーター付きロータリーキルンの原料ミルに送入され、更にサスペンションプレヒーターで予熱され、ロータリーキルンで焼成されてクリンカーが生成した。得られたクリンカーに石膏を添加した後、粉砕処理されセメントが得られた。
この製造工程は、一般的なセメント原料を用いて行なわれるセメント製造工程と全く同一であり、原料を変えたことによるセメントの品質や製造工程への影響は認められなかった。また、排ガス中のダイオキシン濃度は、0.003ng−TEQ/Nmであり、極めて低い水準にあった。
【0014】実施例2
セメント原料の調合において、ダイオキシン含有汚染土が10質量部、吸着材として働く未燃炭素を10質量%含む石炭灰が10質量部および分解促進剤となるゼオライト系廃FCC触媒が3質量部となるように、夫々を一般的なセメント原料である石灰石、粘土、珪石と混合したこと以外は、実施例1と同様の操作でセメントを製造した。この場合にも、原料を変えたことによるセメントの品質や製造工程への影響は認められなかった。また、排ガス中のダイオキシン濃度は、0.004ng−TEQ/Nmであり、極めて低い水準にあった。
【0015】実施例3
ダイオキシン含有汚染土が10質量部、吸着材として働く未燃炭素を10質量%含む石炭灰が10質量部および分解促進剤となる水酸化ナトリウムを含有するアルカリ廃液を1質量部となるように、夫々を一般的なセメント原料である石灰石、粘土、珪石を混合して、セメント原料を調合した。
調合原料は、サスペンションプレヒーター付きロータリーキルンの原料ミルに送入され、さらにサスペンションプレヒーターで予熱され、ロータリーキルンで焼成されてクリンカーが生成した。なお、水酸化ナトリウムとダイオキシンの反応により生成した塩化ナトリウムは、キルン出口付近にアルカリバイパスを設置し、抽気して系外に取り出した。得られたクリンカーに石膏を添加した後粉砕処理されセメントが得られた。この製造工程は、一般的なセメント原料を用いて行なわれるセメント製造工程と全く同一であり、原料を変えたことによるセメントの品質や製造工程への影響は認められなかった。また、排ガス中のダイオキシン濃度は、0.004ng−TEQ/Nmであり、極めて低い水準にあった。
【0016】
【発明の効果】本発明は、揮発性物質を含有する物質に揮発性物質の吸着材を添加する簡単な方法により、サスペンションプレヒーター付きロータリーキルンを用いる一般的なセメント製造プロセスにおける揮発性物質を含有する物質の、不揮発性物質同様の安全な処理を可能とした。

Claims (2)

  1. 揮発性物質を含有する物質と、揮発性物質の吸着材と、セメント原料とを混合した後、セメント原料ミルで粉砕し、セメント製造装置のサスペンションプレヒーター最上段へ送入することを特徴とする、揮発性物質を含有する物質の処理方法。
  2. 揮発性物質を含有する物質と、揮発性物質の吸着材および分解促進剤と、セメント原料とを混合した後、セメント原料ミルで粉砕し、セメント製造装置のサスペンションプレヒーター最上段へ送入することを特徴とする、揮発性物質を含有する物質の処理方法。
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