JP4248801B2 - 湿し水供給方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷機における湿し水の供給量を調整する湿し水供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷機においては、湿し水およびインキの供給量が印刷結果に大きな影響を与える。このため、印刷機においては、湿し水およびインキの供給量を適正に調整する必要がある。
【0003】
湿し水やインキの量を自動的検出して湿し水およびインキの供給量を制御する方法としては、例えば、インキ練りローラ上のインキの膜厚と水の膜厚とを赤外線センサ等を利用して測定する装置が提案されている。しかしながら、このような装置を利用した場合には、印刷時の環境の変化に追従することが困難であり、また、装置自体のコストも極めて高価なものとなる。
【0004】
このため、特許第2831107号においては、印刷物のベタ部分及び網点部分の濃度を検出し、インキ供給量及び湿し水供給量変化に対するベタ部分及び網点部分の濃度変化特性に基づいて、予め入力された目標ベタ部分及び網点部分の濃度と、検出手段により得られた印刷物のベタ部分及び網点部分の濃度とを比較演算し、この比較演算の結果に基づいてインキ供給量及び湿し水供給量を同時に制御する色調制御装置が提案されている。
【0005】
湿し水の供給量とインキの供給量との間には密接な関係があり、特許第2831107号に記載されたように湿し水の供給量とインキの供給量とを同時に変更した場合には、両者が互いに影響して必要な濃度値に収束しない場合が多い。
【0006】
そこで本出願人は、2001年特許願第316296号の出願明細書に記載されるような新規な湿し水およびインキ供給方法を提案している。上記明細書の第2実施例に記載された発明では、2種類のパッチの濃度を測定し、ユール・ニールセンの方程式に基づいて係数Nを求めるようにしている。そして、当該係数Nもしくはこの係数Nに基づいて計算された水濃度係数Dwnが所定の値になるように湿し水を調整するようにしており、湿し水の自動調整方法として効果があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法は効果があるものの、使用する万線パッチの線数の大小によって湿し水量に対する濃度変化特性が変わるという傾向があった。例えば線数が粗い場合は湿し水量の変化に対して反応が重く濃度変化量が少ない比較的安定的な傾向になり、また線数が細かい場合は湿し水量の変化に対し機敏に反応しすぎる傾向にあった。従って、前者の場合は安定しているが俊敏な制御には向かず、また後者の場合は、俊敏な制御を行えるが過剰制御になって安定性にかけるという問題があった。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、上記万線パッチの線数の相違による傾向をふまえて、湿し水量の変化に対して機敏かつ安定的に濃度変化が現れるように改良した湿し水の供給方法を提供することを目的とするものであって、前記細万線パッチおよび粗万線パッチに基づく演算結果を適宜の割合で加算または減算するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、印刷物上の互いに近接した位置に印刷され、湿し水の供給を変更した場合に印刷後の印刷物の濃度変化に互いに差がある3種類の検出パッチを使用し、湿し水の供給量を制御する湿し水供給方法であって、前記3種類の検出パッチを、網点面積率がほぼ100%である第1の検出パッチと、網点面積率が(k×100)%であり、互いに異なる線数を有する第2および第3検出パッチとした場合に、印刷物から前記第1のパッチの濃度Dsと、前記第2のパッチの濃度Dfと、前記第3のパッチの濃度Drと、を測定する濃度測定工程と、ユール・ニールセンの式を用いた下記式(A)(B)を使用して、前記測定結果に基づいて係数Nf、Nrを求める第1計算工程と、前記係数NfおよびNrを各々所定の割合により加算または減算して係数Nを求める第2計算工程と、前記第2計算工程により得られた係数Nに基づいて湿し水の調整を行う湿し水調整工程と、を備える。
【0010】
Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds/Nf))} ・・(A)
Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds/Nr))} ・・(B)
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の湿し水供給方法であって、前記湿し水調整工程は、さらに前記係数Nに基づいて下記式(C)により水濃度係数Dwを演算する第3計算工程を備え、この第3計算工程により求めた水濃度係数Dwにより湿し水量の調整を行うようにしたことを特徴とする。
【0012】
Dw=1/(1−10(−Ds/N)) ・・(C)
【0013】
請求項3に記載の発明は、印刷物上の互いに近接した位置に印刷され、湿し水の供給を変更した場合に印刷後の印刷物の濃度変化に互いに差がある3種類の検出パッチを使用し、湿し水の供給量を制御する湿し水供給方法であって、前記3種類の検出パッチを、網点面積率がほぼ100%である第1の検出パッチと、網点面積率が(k×100)%であり、互いに異なる線数を有する第2および第3検出パッチとした場合に、印刷物から前記第1のパッチの濃度Dsと、前記第2のパッチの濃度Dfと、前記第3のパッチの濃度Drと、を測定する濃度測定工程と、ユール・ニールセンの式を用いた下記式(A)(B)を使用して、前記測定結果に基づいて係数Nf、Nrを求める第1計算工程と、各々の係数Nf、Nrに対応して、湿し水に対する濃度変化量を定量的に示す水濃度係数Dwf、Dwrを求める第4計算工程と、前記水濃度係数DwfおよびDwrを各々所定の割合により加算または減算して水濃度係数Dwを求める第5計算工程と、前記第5計算工程により得られた水濃度係数Dwに基づいて湿し水の調整を行う湿し水調整工程と、を備える。
【0014】
Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds/Nf))} ・・(A)
Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds/Nr))} ・・(B)
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の湿し水供給方法であって、前記第4計算工程では、下記式(D)(E)に基づいて前記水濃度係数Dwf、Dwrを求めることを特徴とする。
【0016】
Dwf=1/(1−10(−Ds/Nf)) ・・(D)
Dwr=1/(1−10(−Ds/Nr)) ・・(E)
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の湿し水供給方法であって、式(A)(B)に代えて代替式(F)(G)を用いるようにしたことを特徴とする。
【0018】
Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds))} ・・(F)
Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds))} ・・(G)
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明を適用する印刷装置の概要図である。
【0020】
この印刷装置は、第1、第2の版胴11、12に保持された画像が記録されていない印刷版に画像を記録して製版した後、この印刷版に供給されたインキを第1、第2のブランケット胴13、14を介して圧胴15に保持された印刷用紙に転写することにより印刷を行うものである。
【0021】
この印刷装置は、図1において実線で示す第1の印刷位置と二点鎖線で示す画像記録位置との間を移動可能な第1の版胴11と、図1において実線で示す第2の印刷位置と上記画像記録位置との間を移動可能な第2の版胴12とを有する。
【0022】
第1の印刷位置に移動した第1の版胴11の周囲には、印刷版に例えばブラック(K)のインキを供給するためのインキ供給装置20aと、印刷版に例えばマゼンタ(M)のインキを供給するためのインキ供給装置20bと、印刷版に湿し水を供給するための湿し水供給装置21a、21bとが配置されている。また、第2の印刷位置に移動した第2の版胴12の周囲には、印刷版に例えばシアン(C)のインキを供給するためのインキ供給装置20cと、印刷版に例えばイエロー(Y)のインキを供給するためのインキ供給装置20dと、印刷版に湿し水を供給するための湿し水供給装置21c、21dとが配置されている。さらに、画像記録位置に移動した第1の版胴11または第2の版胴12の周囲には、給版部23と、排版部24と、画像記録装置25と、現像処理装置26とが配置されている。
【0023】
また、この印刷装置は、第1の版胴11と当接可能に設けられた第1のブランケット胴13と、第2の版胴12と当接可能に設けられた第2のブランケット胴14と、第1、第2のブランケット胴13、14に対して互いに異なる位置で当接可能に設けられた圧胴15と、給紙部27から供給された印刷用紙を圧胴15に渡すための給紙胴16と、圧胴15から受け取った印刷済の印刷用紙を排紙部28に排出するためのチェーン19を巻回した排紙胴17と、印刷用紙に印刷された検出パッチの濃度を測定するための撮像部40と、ブランケット洗浄装置29とを有する。
【0024】
上記第1、第2の版胴11、12は、それぞれ図示しない版胴移動機構と連結されており、この版胴移動機構の駆動により、上述した第1または第2の印刷位置と画像記録位置との間を往復移動する。また、図示しないモータの駆動により、第1の版胴11は、第1の印刷位置において第1のブランケット胴13と同期して回転し、第2の版胴12は、第2の印刷位置において第2のブランケット胴14と同期して回転するよう構成されている。さらに、画像記録位置近傍には、図示しない版胴回転機構が配設されており、第1、第2の版胴11、12は、いずれも、画像記録位置に移動した状態において、この版胴回転機構の駆動により回転するよう構成されている。
【0025】
画像記録位置に移動した第1の版胴11または第2の版胴12の周囲には、給版部23と排版部24とが配置されている。
【0026】
給版部23には、画像が記録されていない長尺ロール状の印刷版を光密な状態で収納する供給カセット63と、この供給カセット63から引き出した印刷版の先端部を第1の版胴11または第2の版胴12の表面に案内するためのガイド部材64およびガイドローラ65と、長尺の印刷版を切断してシート状の印刷版とするためのカッター66とが配設されている。また、第1、第2の版胴11、12には、給版部23より供給された印刷版の先端部と後端部とをくわえるための図示しない一対のくわえ爪が配設されている。
【0027】
排版部24は、印刷完了後に第1の版胴11または第2の版胴12上に保持された印刷版を剥がすための爪機構73と、爪機構73の作用により剥がされた印刷版を排出カセット68に搬送するためのコンベア機構69と、排出カセット68を有する。
【0028】
給版部23における供給カセット63から引き出された印刷版の先端部は、ガイドローラ65およびガイド部材64により案内され、第1の版胴11または第2の版胴12の一方のくわえ爪にくわえられる。そして、第1の版胴11または第2の版胴12が版胴回転機構30の駆動により回転し、印刷版が第1の版胴11または第2の版胴12の外周部に巻き付けられる。そして、カッター66で切断された印刷版の後端部は、他方のくわえ爪によりくわえられる。この状態において、第1の版胴11または第2の版胴12を低速で回転させながら、画像記録装置25により第1の版胴11または第2の版胴12の外周部に保持された印刷版の表面に変調されたレーザビームを照射し、画像を記録する。
【0029】
なお、第1の版胴11の外周部に装着された印刷版Pには、画像記録装置25により、図2(a)に示すように、ブラックのインキで印刷を行うための画像領域67aと、マゼンタのインキで印刷を行うための画像領域67bとが記録される。また、第2の版胴12の外周部に装着された印刷版Pには、画像記録装置25により、図2(b)に示すように、シアンのインキで印刷を行うための画像領域67cと、イエローのインキで印刷を行うための画像領域67dとが記録される。画像領域67aと画像領域67bとは、第1の版胴11の外周部に装着された状態において、均等に振り分けられた状態(すなわち互いに180度離隔した状態)となる位置に記録される。同様に、画像領域67cと画像領域67dとは、第2の版胴12の外周部に装着された状態において、均等に振り分けられた状態(すなわち互いに180度離隔した状態)となる位置に記録される。
【0030】
再度図1を参照して、上述したように、第1の印刷位置に移動した第1の版胴11の周囲には、インキ供給装置20aとインキ供給装置20bとが、また、第2の印刷位置に移動した第2の版胴12の周囲には、インキ供給装置20cとインキ供給装置20dとが配置されている。これらのインキ供給装置20a、20b、20cおよび20d(これらを総称する場合には「インキ供給装置20」という)は、各々、複数のインキローラ71とインキ供給部72とを有する。
【0031】
インキ供給装置20a、20bのインキローラ71は、図示しないカム等の作用で揺動動作を行う。そして、この揺動動作により、第1の版胴11の外周部に保持した印刷版Pに形成された2個の画像領域67a、67bのうちの任意の画像領域に、インキ供給装置20aまたは20bのインキローラ71が接触することにより、必要な画像領域にのみインキを供給しうる構成となっている。また、同様に、インキ供給装置20c、20dのインキローラ71も、図示しないカム等の作用で揺動動作を行う。そして、この揺動動作により、第2の版胴12の外周部に保持した印刷版Pに形成された2個の画像領域67c、67dのうちの任意の画像領域に、インキ供給装置20cまたは20dのインキローラ71が接触することにより、必要な画像領域にのみインキを供給しうる構成となっている。
【0032】
図3は上述したインキ供給部72の側面概要図であり、図4はその平面図である。なお、図4においては、インキ3の図示を省略している。
【0033】
このインキ供給部72は、その軸線方向が印刷物の幅方向(印刷機による印刷方向と直交する方向)に向けて配置されたインキ元ローラ1と、印刷物の幅方向に対して分割されたL個の領域に対応してL個列設され、各々がインキ元ローラ1の外周面に対する開度を調整可能に構成されたインキキー2(1)、2(2)・・・2(L)(この明細書において、これらを総称する場合には「インキキー2」という)とを備え、これらのインキ元ローラ1とインキキー2とで構成されるインキつぼ内にインキ3を貯留可能な構成となっている。
【0034】
各インキキー2の裏面側には、各インキキー2のインキ元ローラ1に対する開度を変更するために、インキキー2をインキ元ローラ1の表面に向けて各々押圧するための、L個の偏芯カム4が配設されている。これらの偏芯カム4は、各々、軸5を介して、偏芯カム4を回転駆動するためのL個のパルスモータ6と連結されている。
【0035】
パルスモータ6に対し、インキキー駆動パルスを印加した場合には、パルスモータ6の駆動により軸5を中心に偏芯カム4が回転し、各インキキー2への押圧力が変更されることにより、各インキキー2のインキ元ローラ1に対する開度が変更され、印刷版へのインキの供給量が変更される。
【0036】
再度図1を参照して、湿し水供給装置21a、21b、21cおよび21d(これらを総称する場合には「湿し水供給装置21」という)は、上記インキ供給装置20により印刷版Pにインキを供給する前に、印刷版Pに湿し水を供給するものである。これらの湿し水装置21のうち、湿し水供給装置21aは印刷版Pにおける画像領域67aに、湿し水供給装置21bは印刷版Pにおける画像領域67bに、湿し水供給装置21cは印刷版Pにおける画像領域67cに、また、湿し水供給装置21dは印刷版Pにおける画像領域67dに、各々湿し水を供給する。
図5は、上述した湿し水供給装置21bの側面概要図である。
【0037】
この湿し水供給装置21bは、湿し水を貯留する水舟31と、図示しないモータの駆動により回転する水元ローラ32とからなる湿し水供給部と、水元ローラ32により供給された湿し水を第1の版胴11の外周部に装着された印刷版の表面に転移させるための二本の水ローラ33、34とを備える。この湿し水供給装置においては、水元ローラ32の回転数を変更することにより、印刷版の表面に供給する湿し水の供給量を調整することができる。
【0038】
なお、他の3個の湿し水供給装置21a、21c、21dも、この湿し水供給装置21bと同様の構成を有する。
【0039】
再度図1を参照して、画像記録位置に移動した第1の版胴11または第2の版胴12の下方には、現像処理装置26が配設されている。この現像処理装置26は、現像部、定着部および絞り部を有し、図1において二点鎖線で示す待機位置と実線で示す現像処理位置との間を昇降可能に構成されている。
【0040】
この現像処理装置26によって画像記録装置25により画像が記録された印刷版Pを現像処理する場合においては、第1の版胴11または第2の版胴とともに回転する印刷版Pに対して、現像部、定着部および絞り部を順次接触させる。
【0041】
第1、第2の版胴11、12と当接可能に設けられた第1、第2のブランケット胴13、14は、第1、第2の版胴11、12と同一の直径を有し、その外周部にはインキ転写用のブランケットが装着されている。そして、この第1、第2のブランケット胴13、14は、第1、第2の版胴11、12および圧胴15に対し、図示しない胴入れ機構により接離自在な構成となっている。
【0042】
第1、第2のブランケット胴13、14の間に配設されたブランケット洗浄装置29は、巻き出しロールから複数の圧接ローラを介して巻き取りロールに至る経路に貼張された長尺の洗浄布に洗浄液を供給し、この洗浄布を第1、第2のブランケット胴13、14に対して当接させた上、摺動させることにより、第1、第2のブランケット胴13、14の表面を洗浄するものである。
【0043】
第1、第2のブランケット胴13、14と当接可能に設けられた圧胴15は、第1、第2の版胴11、12および第1、第2のブランケット胴13、14の直径の1/2の直径を有する。また、圧胴15は、印刷用紙の先端を保持して搬送するための図示しないグリッパを有する。
【0044】
また、圧胴15に隣接して配設された給紙胴16は、圧胴15と同一の直径を有する。この給紙胴16は、往復移動する吸着盤74により給紙部27から1枚ずつ供給された印刷用紙の先端部を図示しないグリッパにより保持して搬送する。グリッパにより保持された印刷用紙の先端部は、給紙胴16から圧胴15への印刷用紙の受け渡し時に、圧胴15のグリッパにより保持される。
【0045】
また、圧胴15に隣接して配設された排紙胴17は、圧胴15と同一の直径を有する。この排紙胴17は、その両端部に一対のチェーン19を巻回した構造を有し、この一対のチェーン19を連結する図示しない連結部材上に、各々後述するグリッパ41が配設されている。圧胴15のグリッパにより保持された印刷用紙の先端部は、圧胴15から排紙胴17への印刷用紙の受け渡し時に、排紙胴17のいずれかのグリッパ41により保持される。そして、この印刷用紙は、チェーン19の移動に伴って、撮像部40によりそこに印刷された検出パッチの濃度を測定された後、排紙部28上に搬送されて排出される。
【0046】
前記給紙胴16は、図示しないベルトを介して駆動モータと連結されている。そして、給紙胴16、圧胴15、排紙胴17、第1、第2のブランケット胴13、14は、各々その端部に付設された歯車により連結されている。さらに、第1のブランケット胴13と第1の印刷位置に移動した第1の版胴11、および、第2のブランケット胴14と第2の印刷位置に移動した第2の版胴12とは、その端部に付設された歯車により各々連結されている。従って、図示しない駆動モータの駆動により、これらの給紙胴16、圧胴15、排紙胴17、第1、第2のブランケット胴13、14、第1、第2の版胴11、12は、互いに同期して回転する。
【0047】
図6は、上述した印刷用紙に印刷された検出パッチの濃度を測定するための撮像部40を上述したチェーン19とともに示す側面概要図である。
【0048】
一対のチェーン19は、図1に示す排紙胴17の両端部と一対の大径のスプロケット18との間に無端状に掛け渡されている。そして、上述したように、一対のチェーン19を連結する図示しない連結部材上には、各々、印刷用紙Sの先端部を咥えて搬送するためのグリッパ41が配設されている。
【0049】
なお、一対のチェーン19の長さは、排紙胴17の周長の整数倍の長さとなっており、チェーン19上におけるグリッパ41の配置間隔は、排紙胴7の周長と等しくなるように設定されている。そして、各グリッパ41は、図示しないカム機構によって排紙胴7に設けられたグリッパと同期して開閉するように構成されており、排紙胴7から印刷用紙Sを受け取り、チェーン19の回転に伴って印刷用紙Sを搬送した後、排紙部28上に排出する。
【0050】
この印刷用紙Sの搬送時には、印刷用紙Sの先端部のみをグリッパ41により咥えて搬送するため、印刷用紙Sの後端は固定されていない状態で搬送されることになる。このため、この搬送時には、印刷用紙Sのばたつきが発生し、後述する撮像部40による検出パッチの濃度測定動作に支障を来すことになる。このため、この印刷装置においては、排紙部28の前方側において印刷用紙Sの搬送状態を安定させる吸着ローラ43を備えている。
【0051】
この吸着ローラ43は、その表面に微細な吸着孔を多数備えた中空状のローラから構成されており、その中空部は図示しない真空ポンプと接続されている。この吸着ローラ43は、その軸線が一対のチェーン19間に掛け渡されたグリッパ41に対し平行となり、チェーン19の下方通過位置と略同じ高さにその頂部が位置するように配置されている。
【0052】
なお、吸着ローラ43は、グリッパ41の通過速度に合わせて回転駆動する、もしくは、回転自在に構成されている。従って、印刷用紙Sは、吸着ローラ43上を通過する際には吸着ローラ43の表面に吸着された状態となって搬送されることになり、この吸着ローラ43上の部分では印刷用紙Sはばたつかない。なお吸着ローラ43に代えて、前記印刷用紙Sを平面的に吸着するような吸着板部材を使用してもよい。
【0053】
上記撮像部40は、搬送される印刷用紙を照明する照明部44と、この照明部44により照明された印刷用紙S上の検出パッチを撮像してその濃度を測定するための撮像部45とからなる。照明部44は、吸着ローラ43に沿って配置され、吸着ローラ43上の印刷用紙Sを照明する複数の線状光源からなり、チェーン19の上下走行領域間に設けられている。
【0054】
撮像部45は、遮光および防塵のための筐体46と、この筐体内部に配置されたミラー49、レンズ48、CCDラインセンサ47とを備える。この撮像部45は、吸着ローラ43上の印刷用紙Sの画像を照明部44のスリットを通して撮像するものであり、ミラー49で折り返された画像の入射光は、レンズ48を通ってCCDラインセンサ47で受光される。
【0055】
図7は、この印刷装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。この印刷装置は、装置の制御に必要な動作プログラムが格納されたROM141と、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM142と、論理演算を実行するCPU143とからなる制御部140を備える。この制御部は140は、インタフェース144を介して、インキ供給装置20、湿し水供給装置21、画像記録装置25、現像処理装置26、ブランケット洗浄装置29、撮像部40、第1、第2のブランケット胴13、14の胴入れ機構等における駆動部等の駆動信号を発生させる駆動回路145と接続されている。印刷装置はこの制御部140により制御され、後述する製版動作および印刷動作を実行する。
【0056】
次に、この印刷装置による製版および印刷動作について説明する。図8は、この印刷装置による製版および印刷動作の概要を示すフローチャートである。なお、この印刷および製版動作は、印刷用紙にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインキで多色印刷を行う場合のものである。
【0057】
まず、第1、第2の版胴11、12上において印刷版Pに画像を記録し、現像処理を行う製版工程を実行する(ステップS1)。この製版工程は、サブルーチンとしての図9のフローチャートに示す工程に従って実行される。
【0058】
すなわち、最初に第1の版胴11を、図1において二点鎖線で示す画像記録位置に移動させる(ステップS11)。
【0059】
次に、第1の版胴11の外周に印刷版Pを供給する(ステップS12)。この印刷版Pの供給は、供給カセット63から引き出した印刷版Pの先頭部とカッター66で切断された印刷版Pの後端部とを図示しない一対のくわえ爪でくわえることにより実行される。
【0060】
続いて、第1の版胴11の外周に保持された印刷版Pに画像を記録する(ステップS13)。この画像の記録は、第1の版胴11を低速で回転させるとともに、画像記録装置25から第1の版胴11の外周に保持された印刷版Pに変調されたレーザビームを照射することにより実行される。
【0061】
次に、画像が記録された印刷版Pを現像処理する(ステップS14)。この現像処理は、現像処理装置26を図1において二点鎖線で示す待機位置から実線で示す現像処理位置まで上昇させた後、第1の版胴11とともに回転する印刷版Pに対して、現像部、定着部および絞り部を順次接触させることにより実行される。
【0062】
上記現像処理が終了すれば、第1の版胴11を図1において実線で示す第1の印刷位置まで移動させる(ステップS15)。
【0063】
続いて、上記ステップS11〜15と同様の動作により、第2の版胴12の外周に保持される印刷版Pに対する製版工程を実行する(ステップS16〜20)。 そして、第1、第2の版胴11、12の外周に保持される印刷版Pへの製版が終了すれば、製版工程を終了する。
【0064】
再度図8を参照して、製版工程が完了すれば、第1、第2の版胴11、12上の印刷版Pを用いて印刷用紙に印刷を行う印刷工程を実行する(ステップS2)。この印刷工程は、次のようにして実行される。
【0065】
すなわち、先ず、各湿し水供給装置21および各インキ供給装置20を第1、第2の版胴11、12上に保持された印刷版Pのうちの対応する画像領域とのみ当接させる。これにより、各画像領域67a、67b、67c、67dには対応する各湿し水供給装置21および各インキ供給装置20から湿し水とインキとが供給される。そして、印刷版Pに供給されたインキは、第1、第2のブランケット胴13、14の対応する領域に転写される。
【0066】
そして、印刷用紙を給紙胴16に供給する。この印刷用紙は、給紙胴16から圧胴15に渡される。この状態で、圧胴15が回転を続けると、圧胴15は、第1、第2の版胴11、12および第1、第2のブランケット胴13、14の1/2の直径を有することから、圧胴15の外周部に保持された印刷用紙には、その1回転目においてブラックとシアンのインキが、また、その2回転目においてマゼンタとイエローのインキが転写される。
【0067】
このようにして、4色の印刷が終了した印刷用紙の先端部は、圧胴15から排紙胴17に渡される。そして、4色の印刷が終了した印刷用紙は、一対のチェーン19の駆動により、排紙部28に向けて搬送され、撮像部40において検出パッチの濃度を測定された後、排紙部28上に排出される。
【0068】
印刷工程が終了すれば、印刷に使用した印刷版Pを排出する(ステップS3)。この印刷版Pの排出を行うためには、最初に第1の版胴11を、図1において二点鎖線で示す画像記録位置に移動させる。そして、第1の版胴11を反時計回りに回転させるとともに、第1の版胴11上に保持された印刷版Pの端部を爪機構73により剥がした後、この印刷版Pをコンベア機構69により案内して、排出カセット68内に排出する。そして、第1の版胴11を第1の印刷位置に復帰させた後、第2の版胴12を第2の印刷位置から画像記録位置に移動させ、上記同様の動作を実行することにより、第2の版胴12上に保持された印刷版Pを排出カセット68内に排出する。
【0069】
印刷版Pの排出工程が完了すれば、ブランケット胴洗浄装置29により第1、第2のブランケット胴13、14を洗浄する(ステップS4)。
【0070】
第1、第2のブランケット胴13、14の洗浄が終了すれば、さらに別の印刷物の印刷作業を行うか否かを確認する(ステップS5)。他の印刷作業を行う場合には、ステップ1〜4の動作を繰り返す。
【0071】
印刷作業が終了した場合には、インキの洗浄を行う(ステップS6)。このインキの洗浄は、各インキ供給装置20に配設された図示しないインキ洗浄装置により、各インキ供給装置20におけるインキローラ71やインキ供給部72に付着するインキを除去および洗浄することにより実行される。
【0072】
インキの洗浄工程が終了すれば、全ての工程を完了する。
【0073】
以上のような構成を有する印刷装置において、印刷版Pに供給すべきインキと湿し水の供給量を制御するためには、管理スケール等とも呼称される検出パッチが利用される。
【0074】
図10は、印刷が完了した後の印刷用紙100上に印刷された第1の検出パッチ101、第2の検出パッチ102、ならびに第3の検出パッチ103を示す説明図である。
【0075】
これら第1〜第3の検出パッチ101〜103は、印刷用紙100の一方の端部とこの印刷用紙100における画像領域の端部との間の領域に印刷されている。第1〜第3の検出パッチ101〜103は、上述した各インキキー2と同様、印刷物の幅方向(印刷方向と直交する方向)に対して分割されたL個の領域に対応して、YMCK4色分の第1〜第3の検出パッチが互いにL字状に組み合わされた状態で配置されている。
【0076】
これらの第1〜第3の検出パッチ101〜103としては、湿し水とインキとの供給量を変更した場合に印刷後の濃度変化に差があるものが採用される。この実施の形態では、第1の検出パッチ101としては網点面積率がほぼ100%である例えばベタパッチが使用され、他の第2および第3の検出パッチ102、103としては網点面積率が例えば50%の万線パッチが使用される。そして、第2の検出パッチ102としては例えば線幅50μm(240LPI相当)の細万線が使用され、第3の検出パッチ103としては例えば線幅100μm(120LPI相当)の粗万線が使用される。
【0077】
なお、実機には第2および第3の検出パッチとして横万線パッチを用いているが、その他の万線または網点パッチなどを使用してもよい。例えば図11は、第1〜第3の検出パッチ101〜103として使用可能な各種の検出パッチを模式的に示す説明図である。
【0078】
ここで、図11における(a)はピッチ50μmの横万線、(b)はピッチ50μmの横万線とピッチ50μmの縦番線の組み合わせ、(c)はピッチ100μmの横万線、(d)はピッチ100μmの横万線とピッチ100μmの縦番線の組み合わせ、(e)は網点面積率が50%の網点、(f)は網点面積率が100%のベタパッチである。
【0079】
第1の検出パッチ101としては、図11(f)に示すベタパッチを使用することが好ましい。但し、網点面積率が100%に近い網点のパッチを使用してもよい。第2の検出パッチとしては、図11(a)〜(b)に示す細万線のパッチを使用することができる。また、網点が比較的小さなパッチを使用するようにしてもよい。同様に第3の検出パッチとしては、図11(c)〜(d)に示す粗万線のパッチを使用することができる。また、網点の比較的大きなパッチを使用するようにしてもよい。なお、以下の説明では、第2の検出パッチ102を便宜上細万線パッチとし、第3の検出パッチを粗万線パッチとしているが、両者を入れ替えて設定してもよい。
【0080】
次に、上述した第1〜第3の検出パッチ101〜103を使用して印刷版Pに供給すべき湿し水の供給量を制御する制御動作について説明する。
【0081】
この実施の形態では、まず前記第1〜第3の検出パッチ101〜103が付与された印刷物が測定され、各検出パッチの濃度が得られる。
【0082】
一般に印刷物の濃度については、印刷におけるドットゲイン効果を含めた網点印刷の反射濃度を予測する式として、下記のユール・ニールセン(Yule−Nielsen)の式(1)が公知である。
【0083】
Dm=−N・Log{1−k(1−10(−Ds/N))} ・・(1)
ここで、Dsは網点面積率が100%である第1のパッチを印刷した印刷物の反射濃度であり、Dmは網点面積率が(k×100)%である第2のパッチを印刷した印刷物の反射濃度、また、Nは係数である。
【0084】
前記係数Nは、例えば平成11年度(社)日本印刷学会による第102回春期研究発表会での講演「印刷用紙の点拡がり関数測定と光学的ドットゲインの解析」(三菱製紙株式会社・千葉大学)等に開示があるとおり、一般的には、紙の種類や線数により異なることが知られている。さらに本出願人による研究によれば、前記紙の種類や測定に使用する検出パッチの線数を固定すれば、前記係数Nは湿し水量を推定する係数になりうることが判明した。
【0085】
この実施の形態では、前記第1の検出パッチの濃度をDs、第2の検出パッチの濃度をDf、第3の検出パッチの濃度をDrとすると、それぞれの濃度の組み合わせ(DsおよびDf)と、(DsおよびDr)とをそれぞれ個別に前記式(1)に代入し、以下の2式を得ることができる。
【0086】
Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds/Nf))} ・・(2)
Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds/Nr))} ・・(3)
ただし、係数Nについては、上記検出パッチの組み合わせ毎にNf,Nrとして区別している。
【0087】
ここで、上記ユール・ニールセンの式では係数Nf、Nrについて解析的に解くことはできないことから、測定した反射濃度Ds、Dmに基づいて一般的な計算手法であるニュートン(Newton)法を用いて係数Nf、Nrについての収束計算を行なう。
【0088】
もしくは、計算を簡単にするために上記(2)(3)式に代えて以下の代替式(4)(5)を用いて前記係数Nf、Nrを求めるようにしてもよい。
【0089】
Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds))} ・・(4)
Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds))} ・・(5)
上記いずれかの手法を用いることにより前記濃度Ds、Df、Drに基づいて係数Nf、Nrを演算することができる。この係数Nf、Nrが所定の値になるように湿し水を調整することで、適正な湿し水量を維持することができる。
【0090】
上記に示すように係数N(同様にNf,Nr)に基づいて湿し水を調整するようにしてもよいが、本実施の形態では、以下のようにして得られた水濃度係数Dwを使用する。なお、ここでいう水濃度係数Dwとは、湿し水の変化に従って変動する印刷濃度の変化量に対応する値を定量的な係数値として示したものであり、この水濃度係数Dwを所定の値に維持するように湿し水を調整すれば、適正な湿し水量が得られるものである。
【0091】
まず前記ユール・ニールセンの式(1)を以下のように係数kに基づいて変形する。
k=(1−10(−Dm/N))/(1−10(−Ds/N))・・(6)
【0092】
ここで使用する第2、第3の検出パッチの網点面積率を50%とすると、k=0.5で固定される。そして、面積率が一定の場合、上述した濃度Ds、Dmが激しく変動することはないため、上記の式の分子部分および分母部分の値は一定範囲内で変化する。特に、本出願人による演算結果においては、上記の式の分母部分がより有効に湿し水量に対応して推移することが判明している。従って、ここでは、上記の式の分母部分を利用して水濃度係数Dwを以下の式(7)のように定義している。
【0093】
Dw=1/(1−10(−Ds/N)) ・・(7)
もちろん、上記定義は一例であり、他の適宜により水濃度係数Dwを設定するようにしてもよい。
【0094】
上記(7)式における係数Nに対しては、上述したように第1および第2の検出パッチ(細万線パッチ)から得た係数Nfと、第1および第3の検出パッチ(粗万線パッチ)から得た係数Nrと、の12つからなるため、各々の係数Nf、Nrに対して水濃度係数Dwf、Dwrを演算する。
【0095】
Dwf=1/(1−10(−Ds/Nf)) ・・(8)
Dwr=1/(1−10(−Ds/Nr)) ・・(9)
【0096】
上記から求めた水濃度係数Dwf、Dwrは湿し水の変化に従って変動するが、使用しているパッチの線数の相違から、細万線パッチに基づく水濃度係数Dwfは変動量が激しく湿し水量の変化に対し機敏に応答する。また粗万線パッチに基づく水濃度係数Dwrは変動量が少なく比較的安定的な傾向を示す。
【0097】
なお前記水濃度係数Dwf、Dwrは各インキキー領域毎に得られるが、一般に湿し水供給装置は各インキキー毎に湿し水を調整することができない。従って、以下の実施例では、略中央部のインキキー領域の水濃度係数と左右両端部のインキキー領域の水濃度係数とをに基づいて全体に係る水濃度係数を演算するようにしている。すなわち略中央部の水濃度係数を各々Dwf1、Dwr1、左端部の水濃度係数を各々Dwf2、Dwr2、右端部の水濃度係数を各々Dwf3、Dwr3とすると、これらを融合した水濃度係数Dwf0、Dwr0を以下のように定義する。
【0098】
Dwf0=a・{Dwf1−(Dwf2+Dwf3)/2}
+b・Dwf1+cf ・・(10)
Dwr0=a・{Dwr1−(Dwr2+Dwr3)/2}
+b・Dwr1+cr ・・(11)
なお、上式におけるa、b、cf、crは予め試験的に最適化された係数である。
【0099】
さらに本発明では、細線パッチと粗線パッチとに基づいて得られた2つの水濃度係数Dwf0、Dwr0を、以下に示すように所定の割合j(1>j>0)で融合して最終的に使用する水濃度係数Dwvを演算するようにしている。
【0100】
Dwv=j・Dwf0+(1−j)・Dwr0 ・・(12)
これにより細線パッチと粗線パッチとの両方の湿し水変化に対する特性を合わせ持たせて、比較的湿し水の変化に対し機敏でかつ安定した傾向を得ることができた。なお、本出願人による実験では、前記割合jはj=0.1〜0.2前後が好ましい。
【0101】
上記で得た最終的な水濃度係数Dwvを所定の閾値と比較して何れの範囲に入るかを判定し、それによって湿し水量の大小を判断することができる。例えば、水濃度係数Dwvを以下の水量判定レベル1〜5の範囲に割り当てる。ただしA〜Dは試験的な印刷結果から求めた閾値である。
【0102】
レベル1.湿し水過剰 ・・ Dwv>=A
レベル2.湿し水適正(多め) ・・ A>Dwv>=B
レベル3.湿し水適正 ・・ B>Dwv>=C
レベル4.湿し水適正(少なめ) ・・ C>Dwv>=D
レベル5.湿し水不足 ・・ D>Dwv
【0103】
上記のように水量判定レベルを表示することにより、オペレータにとって理解しやすい形式で現在の湿し水量の状態を表示することができる。
【0104】
一方、制御部140は演算した水濃度係数Dwvに基づいて湿し水量の自動調整を行う。すなわち前記水濃度係数Dwvを予め設定された基準となる水濃度係数の規定値Dwv0と比較して、その差分だけ湿し水供給装置による湿し水供給量を可変する。1つの例として、前記水濃度係数の差分に基づいて水元ローラ32の回転量を増減する方法がある。補正後の水元ローラの回転数をR2、補正前の水元ローラの回転数をR1、湿し水供給装置のループゲイン(係数)をKw、前記規定値をDwv0としたとき、以下の式により補正すべき水元ローラの回転数R2を求めることができる。
【0105】
R2=R1−Kw・(Dwv―Dwv0) ・・(13)
なお、上記では水元ローラ32の回転数により湿し水量を調整するようにしているが、その他の条件、例えば水ローラ33、34などのニップ圧などを変更するようにしてもよい。
【0106】
最後に、上述したように細万線パッチと粗万線パッチとにより得られた水濃度係数を各々所定の割合で加算した場合の実験例を示す。図12は、上記水濃度係数Dwv、Dwf0、Dwr0の変移例を示すグラフである。当該グラフは横軸に印刷枚数、縦軸に水濃度係数を示し、細い線は細線パッチにより求めた水濃度係数Dwf0、太い線は粗線パッチにより求めた水濃度係数Dwr0を表し、一点鎖線は両水濃度係数Dwf0、Dwr0をj=0.2の割合で加算した水濃度係数Dwvを表す。
【0107】
この例では印刷枚数の約200枚毎に湿し水量を±6%程度上下動させて、各水濃度係数Dwf0、Dwr0、Dwvが変化するようにしている。(図中の三角印で+6%、−6%、と記載された時点が、湿し水をそれぞれ設定値から6%増加した時点、6%減少した時点、を表す。)
【0108】
従って図に示すように、湿し水量を変化させた後、それに追随するように各水濃度係数も変化しているが、細線パッチによる水濃度係数Dwf0がもっとも機敏に変化し、粗線パッチによる水濃度係数Dwr0の変化は比較的安定している。上記細線パッチによる水濃度係数Dwf0自体をそのまま制御に用いれば、変化が大きいため湿し水の供給動作が過剰になり不安定になる。また粗線パッチによる水濃度係数Dwr0自体をそのまま制御に用いれば、変化量が緩やかであまり俊敏な対応ができない。本発明では、上記2つのパッチによる水濃度係数をj=0.2の割合で加算することで適正な水濃度係数Dwvを得ており、比較的機敏でかつ安定した特性を得ることができる。なお割合jについては、印刷環境やインキの特性などに応じて適宜設定を変更すればよい。
【0109】
[その他の実施の形態]
上記の実施の形態で示した演算例は一例であり、種々の変形例が考えられる。以下、主要な変形例について説明する。
【0110】
(1)上記実施の形態では、水濃度係数Dwf0とDwr0とを所定の割合で加算しているが、両者の差分を求めるように所定の割合で減算してもよい。例えば演算式としては以下のようになる。
Dwv=i・Dwf0+j・Dwr0+k0 ・・(14)
ただし、係数i,jは0以下の負の値も取りうるように、例えば1〜―1の範囲を取る。また係数k0は適宜定めたオフセット値である。
【0111】
例えば、図13は、前記図12で示す実測値を使用して、細万線パッチに基づく水濃度係数Dwf0から粗万線パッチに基づく水濃度係数Dwr0を減算した値に一定のオフセット値k0=5を加算して求めた水濃度係数Dwvの変遷状態を示すグラフである。このように演算しても両パッチの特性を加味した水濃度係数Dwvが得られるので、有効な制御を行うことができる。
【0112】
(2)上記実施の形態では、水濃度係数Dwf0、Dwr0を複数のインキキーに対応する水濃度係数Dwf1〜Dwf3、Dwr1〜Dwr3を用いて(10)、(11)式により演算するようにしているが、いずれか1つのインキキーの水濃度係数を代表的に用いるようにしてもよい。もしくは水濃度係数Dwf0,Dwr0は、複数キー領域の水濃度係数を一般的な等価加算やその他の重み付け加算などにより求めるようにしてもよい。
【0113】
(3)上記実施の形態では、水濃度係数Dwを用いて湿し水量の制御を行うようにしているが、前記係数Nf,Nrを直接的に用いて湿し水量の制御を行うようにしてもよい。この場合は上記実施の形態と同様に、係数Nf、Nrを所定の割合により融合して係数Nを求め、この係数Nを所定の値に維持するように湿し水量を調整すればよい。具体的には以下の式により係数Nが求められる。
【0114】
N=i・Nf+j・Nr ・・(15)
ただしi,jは1〜−1の範囲で予め定めた係数である。
【0115】
しかしながら、前記係数N(Nf、Nrを含む)は、ドットゲイン効果によって湿し水量に対する変化がきわめて大きいことから、上述した係数N(Nf、Nr)を直接制御するのではなく、前記水濃度係数Dwを制御するほうが好ましい。
【0116】
(4)上記実施の形態(3)に示すように係数Nf、Nrを所定の割合で加算して係数Nを求めた後、この係数Nに対して水濃度係数Dwvを求めるようにしてもよい。
【0117】
【発明の効果】
本発明の湿し水供給方法では、湿し水の変化に対して機敏に濃度変化する細万線パッチと、湿し水の変化に対して比較的安定した変化を示す粗万線パッチと、を用い、両者により測定した係数Nまたは水濃度係数Dwを所定の割合により融合して用いるようにしているため、湿し水の変化に対して比較的適切な制御が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用する印刷装置の側面概要図である。
【図2】印刷版P上における画像領域67の配置を示す説明図である。
【図3】インキ供給部72の側面概要図である。
【図4】インキ供給部72の平面図である。
【図5】湿し水供給装置21bの側面概要図である。
【図6】撮像部40をチェーン19とともに示す側面概要図である。
【図7】印刷装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図8】印刷装置による製版および印刷動作の概要を示すフローチャートである。
【図9】製版工程を示すフローチャートである。
【図10】第1の検出パッチ101および第2の検出パッチ102を示す説明図である。
【図11】各種の検出パッチを模式的に示す説明図である。
【図12】湿し水量の変化に対する水濃度係数の変遷状態例を示すグラフであり、細万線パッチで得た水濃度係数と粗万線パッチで得た水濃度係数とを加算した水濃度係数の変遷状態を示すグラフである。
【図13】湿し水量の変化に対する水濃度係数の変遷状態例を示すグラフであり、細万線パッチで得た水濃度係数から粗万線パッチで得た水濃度係数を減算した水濃度係数の変遷状態を示すグラフである。
【符号の説明】
2 インキキー
21 湿し水供給装置
32 水元ローラ
33、34 水ローラ
40 撮像部
100 印刷用紙
101 第1の検出パッチ
102 第2の検出パッチ
103 第3の検出パッチ
140 制御部
Ds 第1の検出パッチの濃度
Df 第2の検出パッチの濃度
Dr 第3の検出パッチの濃度
N ユール・ニールセンの式における係数
Nf 第1および第2の検出パッチから得た係数N
Nr 第1および第3の検出パッチから得た係数N
Dw 係数Nに基づいて演算される水濃度係数
Dwf 係数Nfに基づく水濃度係数Dw
Dwr 係数Nrに基づく水濃度係Dw
Dwf0 各キー領域の水濃度係数Dwfを重み付けして加算した水濃度係数
Dwr0 各キー領域の水濃度係数Dwrを重み付けして加算した水濃度係数
j 水濃度係数Dwf0、Dwr0を加算する割合
i 係数Nf,Nrを加算する割合
S 印刷用紙

Claims (5)

  1. 印刷物上の互いに近接した位置に印刷され、湿し水の供給を変更した場合に印刷後の印刷物の濃度変化に互いに差がある3種類の検出パッチを使用し、湿し水の供給量を制御する湿し水供給方法であって、
    前記3種類の検出パッチを、網点面積率がほぼ100%である第1の検出パッチと、網点面積率が(k×100)%であり、互いに異なる線数を有する第2および第3検出パッチとした場合に、
    印刷物から前記第1のパッチの濃度Dsと、前記第2のパッチの濃度Dfと、前記第3のパッチの濃度Drと、を測定する濃度測定工程と、
    ユール・ニールセンの式を用いた下記式(A)(B)を使用して、前記測定結果に基づいて係数Nf、Nrを求める第1計算工程と、
    前記係数NfおよびNrを各々所定の割合により加算または減算して係数Nを求める第2計算工程と、
    前記第2計算工程により得られた係数Nに基づいて湿し水の調整を行う湿し水調整工程と、を備えた湿し水供給方法。
    Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds/Nf))} ・・(A)
    Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds/Nr))} ・・(B)
  2. 前記湿し水調整工程は、さらに前記係数Nに基づいて下記式(C)により水濃度係数Dwを演算する第3計算工程を備え、この第3計算工程により求めた水濃度係数Dwにより湿し水量の調整を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の湿し水供給方法。
    Dw=1/(1−10(−Ds/N)) ・・(C)
  3. 印刷物上の互いに近接した位置に印刷され、湿し水の供給を変更した場合に印刷後の印刷物の濃度変化に互いに差がある3種類の検出パッチを使用し、湿し水の供給量を制御する湿し水供給方法であって、
    前記3種類の検出パッチを、網点面積率がほぼ100%である第1の検出パッチと、網点面積率が(k×100)%であり、互いに異なる線数を有する第2および第3検出パッチとした場合に、
    印刷物から前記第1のパッチの濃度Dsと、前記第2のパッチの濃度Dfと、前記第3のパッチの濃度Drと、を測定する濃度測定工程と、
    ユール・ニールセンの式を用いた下記式(A)(B)を使用して、前記測定結果に基づいて係数Nf、Nrを求める第1計算工程と、
    各々の係数Nf、Nrに対応して、湿し水に対する濃度変化量を定量的に示す水濃度係数Dwf、Dwrを求める第4計算工程と、
    前記水濃度係数DwfおよびDwrを各々所定の割合により加算または減算して水濃度係数Dwを求める第5計算工程と、
    前記第5計算工程により得られた水濃度係数Dwに基づいて湿し水の調整を行う湿し水調整工程と、を備えた湿し水供給方法。
    Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds/Nf))} ・・(A)
    Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds/Nr))} ・・(B)
  4. 前記第4計算工程では、下記式(D)(E)に基づいて前記水濃度係数Dwf、Dwrを求めることを特徴とする請求項3に記載の湿し水供給方法。
    Dwf=1/(1−10(−Ds/Nf)) ・・(D)
    Dwr=1/(1−10(−Ds/Nr)) ・・(E)
  5. 式(A)(B)に代えて代替式(F)(G)を用いるようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の湿し水供給方法。
    Df=−Nf・Log{1−k(1−10(−Ds))} ・・(F)
    Dr=−Nr・Log{1−k(1−10(−Ds))} ・・(G)
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