以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明のシートベルトシステムの実施の形態の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、この例のシートベルトシステム1は、基本的には、シートベルトの巻取りを行うとともに、車体に所定の減速度が作用されたときシートベルトの引出しを阻止するシートベルトリトラクタ2と、シートベルトリトラクタ2のシートベルト巻取りを制御することによりシートベルトのベルト張力を制御するベルト張力制御装置3と、所定のベルト張力となるようにこのベルト張力制御装置3を制御する制御部である中央処理装置(以下、CPUともいう)4とから構成され、更に、CPU4には、衝突予知検出手段5と、ロールオーバ検出手段6と、ドライバ(本発明のベルト装着者に相当)の状態検出手段7と、デモンストレーション手段8と、ベルト張力による乗員(本発明のベルト装着者に相当)への通知手段9と、制御条件設定手段10とが接続されている。
シートベルトリトラクタ2は従来周知の一般的なリトラクタであり、リールを付勢するぜんまいばね等のスプリング手段の付勢力でシートベルトの巻取りを行うとともに、車体に所定の減速度が作用されたとき減速度感知手段が作動することでシートベルトの引出しを阻止するものである。
ベルト張力制御装置3は、前述の各公報に開示されているようにモータの駆動トルクでシートベルトリトラクタ2のリールを直接回転させてシートベルトの巻取りおよび引出しを行うことにより、ベルト張力の制御を行うものである。なお、このベルト張力制御装置3は、モータでリトラクタ2のリールを直接回転させるだけではなく、リールを付勢するぜんまいばね等のスプリング手段の付勢力をモータで制御することにより、ベルト張力を制御するものでもよい。要は、モータ等の駆動手段の駆動トルクでベルト張力を直接にまたは間接に制御するものであればどのようなものでもよい。
CPU4は、衝突予知検出手段5、ロールオーバ検出手段6、ドライバの状態検出手段7、デモンストレーション手段8、およびベルト張力による乗員への通知手段9からの出力信号に基づいてベルト張力を演算するとともに、演算結果に応じたベルト張力となるようにベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。
図2に示すように、衝突予知検出手段5は車両速度検出センサ11と障害物検知および距離検出センサ12とを備え、車両速度検出センサ11からの車両速度の検出信号と、障害物検知および距離検出センサ12からの障害物の検知信号およびその障害物と自車との相対距離の検出信号とがそれぞれCPU4に入力されるようになっている。
車両速度検出センサ11は、車両の前進時の車両速度、車両の側方への移動時の車両速度および後進時の車両速度を検出するものであり、それらの車両速度毎にそれぞれ速度検出センサが設けられている。これらの速度検出センサとして、速度を検出できるものであれば従来からあるどのような速度計でもよく、例えばその車両に装着されているスピードメータを兼用することもできる。
また、障害物検知および距離検出センサ12は、車両の前方、側方および後方における他車等の障害物を検知するとともに、その障害物と自車との相対距離を検出するものである。この障害物検知および距離検出センサ12としては、前述の公報に開示されているような、超音波やレーダ等を用いることができる。
そして、CPU4は、これらの車両速度情報および障害物との相対距離情報に基づいて、自車が障害物に衝突の可能性の有無およびこの可能性の高低を判断し、自車が障害物に衝突の可能性がないと判断したときはシートベルトのベルト張力が小さな張力となるベルト張力制御信号を、また、自車が障害物に衝突の可能性があるがこの衝突をドライバーによって回避できると判断したときはシートベルトのベルト張力が衝突の可能性のないときの張力よりは大きな張力となるベルト張力制御信号を、更に、自車が障害物に衝突の可能性があり、しかもこの衝突をドライバーによっては回避できないと判断したときはシートベルトのベルト張力が衝突の回避ができるときの張力よりはるかに大きな張力となるベルト張力制御信号を、それぞれベルト張力制御装置3に出力するようになっている。ベルト張力制御装置3は、このCPU4からの出力信号に応じてシートベルトリトラクタ2を作動し、ベルト張力を所定の張力となるように制御するようになっている。
なお、障害物との衝突の可能性の有無およびこの可能性の高低の各判断は、一例として、車両速度の基準値および相対距離の基準値を予め設定しておき、車両速度および相対距離がともにそれぞれの基準値以上となったことを検出して行う方法がある。もちろん、これに限定されるものではなく、他の判断方法でもよい。
図3に示すように、ロールオーバ(転回)検出手段6は車体減速度検出センサ13と車体傾斜角度検出センサ14とを備え、車体減速度検出センサ13からの車体減速度の検出信号と、車体傾斜角度検出センサ14からの車体傾斜角度の検出信号とがそれぞれCPU4に入力されるようになっている。
車体減速度検出センサ13は、車両の前後方向の車体減速度および車両の左右方向の車体減速度を検出するものであり、それらの車体減速度毎にそれぞれ減速度検出センサが設けられている。これらの減速度検出センサとして、減速度を検出できるものであれば従来からあるどのような減速度計でもよい。また、前述の速度検出センサ11からの速度信号をCPU4で演算して減速度を求めるようにすることもできる。
また、車体傾斜角度検出センサ14は車両の前後左右方向の少なくとも一方向の傾斜を検出するものである。この車体傾斜角度検出センサ14としては、例えば前述の公開公報に開示されているロールオーバ検知センサを用いることができる。この公開公報のロールオーバ検知センサは、通常に正立しかつ車体がどの方向でも所定角以上傾斜すると傾斜するスタンディングウェイトの中心軸方向の貫通孔に光を通し、スタンディングウェイトが傾斜し、この貫通孔を通る光が受光されなくなったとき、車体の傾斜を検出するものである。もちろん、車体傾斜角度検出センサ14は車体の傾斜を検出するものであれば、従来のどのような傾斜計を用いることもできる。
そして、CPU4は、これらの車体減速度情報および車体の傾斜角情報に基づいて、車体がロールオーバしているかどうかを判断し、車体がロールオーバしていると判断された場合は、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。その場合、車体減速度および車体傾斜角がそれぞれ大きくなるほど、ベルト張力が大きくなるようにベルト張力制御信号が設定される。ベルト張力制御装置3は、前述と同様に、このCPU4からの出力信号に応じてシートベルトリトラクタ2を作動して、車体のロールオーバ時にはベルト張力が所定の張力となるように制御するようになっている。
図4に示すように、ドライバー状態検出手段7は心拍数検出センサ15と、血圧検出センサ16と、体温検出センサ17と、生体電位検出センサ18と、車両運転動作検出センサ19と、車体加減速度検出センサ13′とを備え、心拍数検出センサ15からのドライバーの心拍数の検出信号と、血圧検出センサ16からのドライバーの血圧の検出信号と、体温検出センサ17からのドライバーの体温の検出信号と、生体電位検出センサ18からのドライバーの生体電位の検出信号と、車両運転動作検出センサ19からのドライバーの車両運転動作の検出信号と、車体加減速度検出センサ13′からの車体加減速度の検出信号とがそれぞれCPU4に入力されるようになっている。
心拍数検出センサ15はドライバーの心拍数を検出するものである。この心拍数検出センサ15として、例えば心臓音を聴取するマイクロホーンを用いることができるが、ドライバーの心拍数を電気信号として検出することができるものであれば従来からあるどのような心拍数計でもよい。また、腕の脈拍を検出してもよい。更に、CPU4のメモリには、ドライバーの通常時の心拍数より所定値大きな基準心拍数を予め格納しておく。この心拍数のメモリ動作は、ドライバーが計器板に設けられたメモリ操作キーで行うようにすることもできるし、また、車両購入時に車両販売者が予め行うようにすることもできる。更に、メモリ操作キーでメモリに格納されている基準心拍数を簡単に変更することができるようになっている。
そして、ドライバーが障害物との衝突の可能性あるいはロールオーバ等の車体状況等の緊急状態を察知したとき、ドライバーの心拍数が増大するが、CPU4は、心拍数検出センサ15からの心拍数情報に基づいて、ドライバーの心拍数が基準心拍数以上になったと判断した場合は、ドライバーが緊急状態を察知したとして、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2を作動してベルト張力を所定の張力となるように制御する、これにより、ドライバーが緊急状態を察知したときは、ベルト張力が大きくなってドライバーの保護性が向上する。
なお、基準心拍数に代えて、CPU4のメモリに予めドライバーの通常時の心拍数を前述と同様にして格納しておき、ドライバーの現在の心拍数がこの通常時の心拍数より大きくなったとき、現在の心拍数と通常時の心拍数との差が大きくなるのに応じてベルト張力を大きくするようにすることもできる。
血圧検出センサ16はドライバーの血圧を検出するものである。この血圧検出センサ16としては、ドライバーの血圧を電気信号として検出することができるものであれば従来からあるどのような血圧計でもよい。また、CPU4のメモリには、予め、ドライバーの通常時の血圧値より所定値大きな基準血圧値を格納しておく。これらの血圧のメモリ動作は、前述と同様にドライバーが計器板に設けられたメモリ操作キーで行うようにすることもできるし、また、車両購入時に車両販売者が予め行うようにすることもできる。更に、メモリ操作キーでメモリに格納されている基準血圧値を簡単に変更することができるようになっている。
そして、ドライバーが障害物との衝突の可能性あるいはロールオーバ等の車体状況等の緊急状態を察知したとき、ドライバーの血圧が上昇するが、CPU4は血圧検出センサ16からの血圧情報に基づいて、ドライバーの血圧値が基準血圧値以上になったと判断した場合は、ドライバーが緊急状態を察知したとして、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2を作動してベルト張力を所定の張力となるように制御する。これにより、ドライバーが緊急状態を察知したときは、ベルト張力が大きくなってドライバーの保護性が向上する。
なお、基準血圧値に代えて、CPU4のメモリに予めドライバーの通常時の血圧値を前述と同様にして格納しておき、ドライバーの現在の血圧値がこの通常時の血圧値より大きくなったとき、現在の血圧値と通常時の血圧値との差が大きくなるのに応じてベルト張力を大きくするようにすることもできる。
体温検出センサ17はドライバーの体温を検出するものである。この体温検出センサ17としては、ドライバーの体温を電気信号として検出することができるものであれば従来からあるどのような体温計でもよい。また、CPU4のメモリには、予めドライバーの通常時の体温より所定値大きな基準体温を格納してしておく。この体温のメモリ動作は、前述の心拍数や血圧の場合と同様にして行うことができる。
そして、ドライバーが前述のような緊急状態を察知したとき、ドライバーの体温が上昇するが、CPU4は、体温検出センサ17からの体温情報に基づいて、ドライバーの体温が基準体温以上になったと判断した場合は、ドライバーが緊急状態を察知したとして、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、前述と同様にベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2を作動してベルト張力を所定の張力となるように制御する。これによっても、ドライバーが緊急状態を察知したときは、ベルト張力が大きくなってドライバーの保護性が向上する。低温検出センサ17としては、例えば赤外線感知センサ等を用いることができる。
なお、基準体温に代えて、CPU4のメモリに予めドライバーの平熱での体温を前述と同様にして格納しておき、ドライバーの現在の体温がこの平熱での体温より大きくなったとき、現在の体温と平熱での体温との差が大きくなるのに応じてベルト張力を大きくするようにすることもできる。
生体電位検出センサ18はドライバーの生体電位、具体的には電圧変化を検出するものである。この生体電位検出センサ18としては、ドライバーの電圧変化を検出することができるものであれば従来からあるどのような電圧計でもよい。また、CPU4のメモリには、予めドライバーの通常時の生体電位より所定値大きな基準生体電位値を格納しておく。この生体電位のメモリ動作は、前述の各場合と同様にして行うことができる。
そして、ドライバーが前述のような緊急状態を察知したとき、ドライバーの生体電位が上昇するが、CPU4は、生体電位検出センサ18からの生体電位情報に基づいて、ドライバーの生体電位が基準生体電位以上になったと判断した場合は、ドライバーが緊急状態を察知したとして、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。これによっても、シートベルトリトラクタ2が作動されてベルト張力が大きくなるように制御され、ドライバーが緊急状態を察知したときは、ベルト張力が大きくなってドライバーの保護性が向上する。
なお、基準生体電位に代えて、CPU4のメモリに予めドライバーの通常時の生体電位を前述と同様にしてメモリしておき、ドライバーの現在の生体電位がこの通常時の生体電位より大きくなったとき、現在の生体電位と通常時の生体電位との差が大きくなるのに応じてベルト張力を大きくするようにすることもできる。
車両運転動作検出センサ19はドライバーの車両運転動作を検出するものである。ドライバーの車両運転動作を表すものとしては、アクセルペダル解放速度、ブレーキペダル踏込速度、ブレーキペダル踏力、およびステアリング操作速度があり、これらを検出する車両運転動作検出センサ19としては、それぞれ、アクセルペダル解放速度検出センサ、ブレーキペダル踏込速度検出センサ、ブレーキペダル踏力検出センサ、およびステアリング操作速度検出センサがある。これらのセンサはいずれも従来周知のセンサを用いることができる。
また、CPU4のメモリには、基準アクセルペダル解放速度、基準ブレーキペダル踏込速度、基準ブレーキペダル踏力、基準ステアリング操作速度、基準車体加速度、および基準車体減速度が前述と同様にして格納されている。
そして、CPU4は、これらの車体加減速度情報およびそれぞれのドライバーの車両運転動作情報に基づいて、ドライバーが前述の車両運転動作を行ったかどうかを判断し、所定の車体加減速度状態でドライバーが車両運転動作を行ったと判断された場合は、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。具体的には、アクセルペダル解放速度が基準アクセルペダル解放速度以上であると判断された場合は急ブレーキの可能性が高いとして、ブレーキペダル踏込速度が基準ブレーキペダル踏込速度以上で、車体加速度が基準車体加速度以上であると判断された場合は急ブレーキであるとして、ブレーキペダル踏力が基準ブレーキペダル踏力以上で、車体減速度が基準車体減速度以上であると判断された場合は急ブレーキであるとして、あるいはステアリング操作速度が基準ステアリング操作速度以上であると判断された場合は急ハンドルであるとして、それぞれベルト張力が所定の大きな張力となるようにベルト張力制御信号が設定される。ベルト張力制御装置3は、前述と同様に、このCPU4からの出力信号に応じてシートベルトリトラクタ2を作動して、所定の車体加減速度状態でドライバーが車両運転動作を行ったと判断された場合には、ベルト張力が所定の張力となるように制御する。
なお、ドライバーの車両運転動作情報は、これらの各情報を単独で用いることもできるし、これらの各情報のいくつかを適宜組み合わせて用いることもできる。
このドライバーの状態検出手段からのドライバーの状態の情報によるベルト張力制御では、ドライバーがもともと意識しているので、仮に誤作動があってもドライバーにとって煩わしくなることはない。
図5に示すように、デモンストレーション手段8はベルト張力制御モード疑似信号出力手段20から構成され、ベルト張力制御モード疑似信号出力手段20からのベルト張力制御モード疑似信号がCPU4に入力されるようになっている。
このベルト張力制御モード疑似信号出力手段20はドライバー等の乗員によって操作されることにより、乗員の所望するベルト張力制御モードの疑似信号を出力するようになっている。ベルト張力制御モードは、前述の公開公報に開示されているコンフォートモード、警告モードおよびプリリワインドモードがある。これらのモードの詳細はこの公開公報を見れば理解できるが、簡単に説明すると、コンフォートモードはシートベルト装着状態での通常走行時にベルト張力が乗員に圧迫感を受けさせない程度の張力に設定されるモードであり、また、警告モードは障害物が接近しつつあるがこの障害物を回避可能であると判断された場合にベルト張力がコンフォートモードでのベルト張力よりかなり大きな張力に設定されるモードであり、プリリワインドモードは障害物が接近しつつありしかもこの障害物を回避不能であると判断された場合にベルト張力が警告モードでのベルト張力よりははるかに大きな張力に設定されるモードである。
ベルト張力制御モード疑似信号出力手段20としては、計器板等の車体に設けられた操作キーを用いることができる。また、リモコン操作盤を用いることもできるし、ナビゲーションシステムの画面上の操作用ソフトキーを用いることもできる。
そして、CPU4は、乗員によって操作されたベルト張力制御モード疑似信号出力手段20からのベルト張力制御モード情報に基づいて、ベルト張力を乗員の選択したモードにおける張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。ベルト張力制御装置3は、前述と同様に、このCPU4からの出力信号に応じてシートベルトリトラクタ2を作動して、模擬的にベルト張力が乗員の選択したモードにおける張力となるように制御する。これにより、乗員は各モードにおけるベルト張力がどの程度のものであるかを体験できるようになる。
図6に示すように、ベルト張力による乗員への通知手段9はコーナ検出センサ21と、路面凹凸検出センサ22と、雨滴検出センサ23と、タコメータ24と、スピードメータ25と、ヘッドライト点灯検出センサ26と、ブースト計27と、各種インジケータ点灯検出センサ28と、アンチロックブレーキ制御システム(以下、ABSともいう)作動検出センサ29と、トラクションコントロールシステム(以下、TRCともいう)作動検出センサ30と、ナビゲーションシステムによる目的地到着の検出センサ31と、サスペンションコントロールシステムからのスポーティモード設定の検出センサ32と、ミッションシステムからのドライビングレンジにおけるスポーティモード設定の検出センサ33とを備えている。そして、コーナ検出センサ21からの車両のコーナリングによる車体の傾斜の検出信号と、路面凹凸検出センサ22からの路面凹凸の検出信号と、雨滴検出センサ23からの雨滴の検出信号と、タコメータ24からのエンジン回転数の検出信号と、スピードメータ25からの車両速度の検出信号と、ヘッドライト点灯検出センサ26からのヘッドライト点灯の検出信号と、ブースト計27からの車体の急加速の検出信号と、各種インジケータ点灯検出センサ28からの各種インジケータ点灯の検出信号と、ABS作動検出センサ29からのABS作動の検出信号と、TRC作動検出センサ30からのTRC作動の検出信号と、目的地到着の検出センサ31からの目的地到着信号と、サスペンションコントロールシステムからのスポーティモード設定の検出センサ32からのスポーティモード設定の検出信号と、ミッションシステムからのドライビングレンジにおけるスポーティモード設定の検出センサ33からのスポーティモード設定の検出信号とが、それぞれCPU4に入力されるようになっている。
コーナ検出センサ21は、車両のコーナリング走行を検出するものである。例えば、車両がコーナリング走行する際に車体が傾斜することから、この車体の傾斜を検出することで車両のコーナリングを検出することができる。このコーナ検出センサ21として、例えば前述のロールオーバ検出手段6に接続された車体傾斜角度検出センサ14を用いることができるが、車体の傾斜角度を検出することができるものであれば従来からあるどのような傾斜角計でもよい。
そして、車両がコーナリング走行している際に車体が傾斜するが、CPU4は、コーナ検出センサ21からの車体傾斜情報に基づいて車両がコーナリング走行を行っていると判断した場合は、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両がコーナリング走行を行っているときはベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員はこの大きくなったベルト張力を体感して、車両のコーナリング走行を知ることができる。
なお、車体の傾斜を検出することに代えて、車両の左右方向の速度を検出してベルト張力を制御することで、車両のコーナリングを知ることもできる。
路面凹凸検出センサ22は路面凹凸を検出するものである。この路面凹凸検出センサ22としては、例えば、車体の上下方向の振動を検出する振動計を用いることができる。また、CPU4のメモリには、予め基準路面振幅値を格納しておく。この基準路面振幅値のメモリ動作は、前述と同様にドライバーが計器板に設けられたメモリ操作キーで行うようにすることもできるし、また、車両購入時に車両販売者が予め行うようにすることもできる。
そして、車両が凹凸の激しい路面を走行しているときは、車体が上下に振動するが、CPU4は、路面凹凸検出センサ22の振動計で検出された振幅が基準路面振幅値以上になったとき、車両が凹凸の激しい路面を走行していると判断し、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両が凹凸の激しい路面を走行しているときはベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員は確実に保護されるとともに、この大きくなったベルト張力を体感して、車両の凹凸の激しい路面走行を知ることができる。
なお、車体の振動を検出することに代えて、加減速度計を用いて車体の上下方向の加減速度を検出してベルト張力を制御することで、車両の凹凸の激しい路面走行時の乗員を保護できるとともに、この凹凸路面走行を知ることもできる。
雨滴検出センサ23は、雨が降ってきて例えばフロントガラス等の車体に付着する雨滴を検出するものである。この雨滴検出センサ23として、雨が降ってきたときワイパを自動的に作動させるワイパシステムにおいて用いられている雨滴検出センサ等の雨滴を検出することができるものであれば従来からあるどのような雨滴検出センサでもよい。
そして、雨が降ってくると車体に雨滴が付着するが、CPU4は、雨滴検出センサ23からの雨滴情報に基づいて雨が降ってきたと判断した場合は、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両に雨滴が付着するとベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員は確実に保護されるとともに、この大きくなったベルト張力を体感して、雨が降ってきたことを知ることができる。
また、CPU4のメモリには、予め基準エンジン回転数を格納しておく。この基準エンジン回転数のメモリ動作は、前述と同様にしてドライバーが行うこともできるし、また、車両購入時に車両販売者が予め行うこともできる。
そして、CPU4は、タコメータ24で検出されたエンジン回転数が基準エンジン回転数以上になったとき、このタコメータ24からのエンジン回転数情報に基づいてエンジンが高速回転していると判断し、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、エンジン回転が高速回転しているときはベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員は確実に保護されるとともに、この大きくなったベルト張力を体感して、エンジンが高速で回転していること知ることができる。
更に、CPU4のメモリには、予め基準車両速度を格納しておく。この基準車両速度のメモリ動作も、前述と同様にしてドライバーが行うこともできるし、また、車両購入時に車両販売者が予め行うこともできる。
そして、CPU4は、スピードメータ25で検出された車両速度が基準車両速度以上になったとき、このスピードメータ25からの車両速度情報に基づいて車両が高速走行していると判断し、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両の高速走行しているときはベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員は確実に保護されるとともに、この大きくなったベルト張力を体感して、車両が高速走行していることを知ることができる。
ヘッドライト点灯検出センサ26は、ヘッドライトが点灯していることを検出するものである。このヘッドライト点灯検出センサ26としては、ヘッドライト点灯時にこのヘッドライトに印加する電圧を検出する電圧計を用いることができるし、また、ヘッドライト点灯時にこのヘッドライトに流れる電流を検出する電流計を用いることができる。
そして、CPU4は、電圧計によるヘッドライトへの印加電圧の検出時、また、電流計によるヘッドライトに流れる電流の検出時、ヘッドライト点灯検出センサ26からのヘッドライト点灯情報に基づいて車両の外が暗くなってヘッドライトが点灯したと判断したときは、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両のヘッドライト点灯時にはベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるとともに、この大きくなったベルト張力を体感して、ヘッドライトが点灯していることを知ることができ、例えばヘッドライトの消灯忘れを防止できる。
なお、CPU4は、直接、ヘッドライトのオン・オフスイッチのオン信号でベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力することもできる。この場合には、ヘッドライト点灯検出センサ26はヘッドライトのオン・オフスイッチで構成される。このようにすれば電圧計や電流計が不要となるので、特別な部品を必要とすることなく、ヘッドライト点灯走行時での乗員保護のシステムが安価にかつ簡単になる。
更に、CPU4のメモリには、予め基準加速度を格納しておく。この基準加速度のメモリ動作も、前述と同様にしてドライバーが行うこともできるし、また、車両購入時に車両販売者が予め行うこともできる。
そして、CPU4は、ブースト計27で検出された車体加速度が基準加速度以上になったとき、このブースト計27からの加速度情報に基づいて車両が急加速したと判断し、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両の急加速時にはベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるとともに、この大きくなったベルト張力を体感して、車両が急加速したことを知ることができる。
各種インジケータ点灯検出センサ28は、従来から一般に車両の計器板等に設けられている、例えば燃料残量インジケータ、水温インジケータ、半ドアインジケータ、あるいはオイルインジケータ等の各種インジケータが点灯していることを検出するものである。これらの各種インジケータ点灯検出センサ28としては、各種インジケータ点灯時にこれらの各種インジケータに印加する電圧を検出する電圧計を用いることができるし、また、各種インジケータ点灯時にこれらの各種インジケータに流れる電流を検出する電流計を用いることができる。
そして、CPU4は、電圧計による各種インジケータへの印加電圧の検出時、また、電流計による各種インジケータに流れる電流の検出時、各種インジケータ点灯検出センサ28からのインジケータ点灯情報に基づいてインジケータが点灯したと判断したときは、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両のインジケータ点灯時にはベルト張力が大きくなるので、ドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるとともに、インジケータが点灯したことを知ることができ、各種インジケータのうち、点灯したインジケータが通知する項目について注意を喚起することができるようになる。
なお、CPU4は、直接、インジケータの点灯信号でベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力することもできる。この場合には、各種インジケータ点灯検出センサ28は各種インジケータが通知する項目について検出するセンサ(例えば、燃料残量検出計等)で構成される。このようにすれば電圧計や電流計が不要となるので、特別な部品を必要とすることなく、ベルト張力による各種インジケータ点灯の通知システムが安価にかつ簡単になる。
ABS作動検出センサ29は、ABSが搭載された車両において、車両制動時に制動車輪がロックしABSが作動してロックが解消するようにアンチロック制御(以下、ABS制御ともいう)が行われたとき、このABS作動を検出するものである。このABS作動検出センサ29としては、ブレーキ圧を調整するABSモジュレータ(電磁弁からなる)の作動を検出するもの、例えば、ABS作動時にこのABSモジュレータに印加する電圧を検出する電圧計を用いることができるし、また、ABS作動時にこのABSモジュレータに流れる電流を検出する電流計を用いることができる。更には、ABSモジュレータの弁体の移動を検出するセンサを用いることもできる。
そして、CPU4は、電圧計によるABSモジュレータへの印加電圧の検出時、電流計によるABSモジュレータに流れる電流の検出時、あるいはABSモジュレータの弁体の移動検出時に、ABS作動検出センサ29からのABS作動情報に基づいてABSが作動していると判断したときは、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両のABS作動時にはベルト張力が大きくなるので、ABS制御中にドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるようになるとともに、ABSが作動していることを知ることができる。
なお、CPU4は、直接、ABSのCPUからABSモジュレータへ出力されるオン信号でベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力することもできる。この場合には、ABS作動検出センサ29はABSのCPUで構成される。このようにすれば電圧計や電流計が不要となるので、特別な部品を必要とすることなく、ABS作動時での乗員保護システムが安価にかつ簡単になる。
TRC作動検出センサ30は、TRCが搭載された車両において、車両の発進時や急加速時に駆動輪が空転しTRCが作動して空転を解消するようにトラクションコントロール(以下、TRC制御ともいう)が行われたとき、このTRC作動を検出するものである。従来のTRC制御は、駆動輪のブレーキ制御、エンジンの出力制御、変速機の制御あるいはそれらのいくつかの組合せた制御で行われている。
そこで、TRC作動検出センサ30としては、TRC制御が駆動輪のブレーキ制御で行われるシステムの場合は、前述のABSと同様に、ブレーキ圧を調整するTRCモジュレータ(電磁弁からなる)の作動を検出するもの、例えば、TRC作動時にこのTRCモジュレータに印加する電圧を検出する電圧計を用いることができるし、また、TRC作動時にこのTRCモジュレータに流れる電流を検出する電流計を用いることができる。更には、TRCモジュレータの弁体の移動を検出するセンサを用いることもできる。
そして、CPU4は、電圧計によるTRCモジュレータへの印加電圧の検出時、電流計によるTRCモジュレータに流れる電流の検出時、あるいはTRCモジュレータの弁体の移動検出時に、TRC作動検出センサ30からのTRC作動情報に基づいてTRCが作動していると判断したときは、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両のTRC作動時にはベルト張力が大きくなるので、TRC制御中にドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるようになるとともに、TRCが作動していることを知ることができる。
なお、CPU4は、直接、TRCのCPUからTRCモジュレータへ出力されるオン信号でベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力することもできる。この場合には、TRC作動検出センサ30はTRCのCPUで構成される。このようにすれば電圧計や電流計が不要となるので、特別な部品を必要とすることなく、TRC作動時での乗員保護のシステムが安価にかつ簡単になる。
また、TRC作動検出センサ30として、TRC制御がエンジンの出力制御で行われるシステムの場合は、アクセルペダル踏込検出センサ、前述のタコメータ24、燃料噴射制御装置への制御信号を検出する前述と同様の電圧計や電流計等の検出センサを用いることができる。もちろん、TRCのCPUから燃料噴射制御装置への制御信号それ自体を用いることもでき、この場合にはTRCのCPUがTRC作動検出センサ30として用いられる。
そして、CPU4は、アクセルペダル踏込が検出されかつタコメータ24が検出するエンジン出力回転数がアクセルペダル踏込に応じた回転数まで上昇しないことを検出したとき、電圧計により燃料噴射制御装置への印加電圧がTRC制御として制御されていることが検出されたとき、電流計により燃料噴射制御装置に流れる電流がTRC制御として制御されていることが検出されたとき、あるいはTRCのCPUから燃料噴射制御装置へTRC制御信号が出力されたことが検出されたときに、このTRC作動検出センサ30からのTRC作動情報に基づいてTRCが作動していると判断すると、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両のTRC作動時にはベルト張力が大きくなるので、TRC制御中にドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるようになるとともに、TRCが作動していることを知ることができる。
更に、TRC制御が変速機の変速制御で行われるシステムの場合は、TRCのCPUから変速制御システムへの制御信号それ自体を用いることができ、この場合、TRC作動検出センサ30として、TRCのCPUを用いることができる。
そして、CPU4は、TRCのCPUからTRC制御信号が出力されたことが検出されたときに、このTRC作動検出センサ30からのTRC作動情報に基づいてTRCが作動していると判断すると、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両のTRC作動時にはベルト張力が大きくなるので、TRC制御中にドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるようになるとともに、TRCが作動していることを知ることができる。
ナビゲーションシステムによる目的地到着の検出センサ31は、ナビゲーションシステムが搭載された車両において、ナビゲーションシステムを作動させて車両を運転しているとき、乗員によってナビゲーションシステムに設定された目的地への車両到着をナビゲーションシステムが表示したことを検出するものである。この目的地到着の検出にあたっては、ナビゲーションシステムのCPUからの表示信号を用いることができ、この場合、目的地到着の検出センサ31として、ナビゲーションシステムのCPUを用いることができる。
そして、CPU4は、ナビゲーションシステムのCPUから表示信号が出力されたことが検出されたときに、この目的地到着の検出センサ31からの目的地到着情報に基づいて車両が目的地に到着したと判断すると、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、車両の目的地到着時にはベルト張力が大きくなるので、乗員は自車が目的地に到着したことを知ることができる。
サスペンションコントロールシステムにおけるスポーティモード設定の検出センサ32は、サスペンションコントロールシステムが搭載された車両において、このシステムがスポーティモードに設定されたことを検出するものである。このスポーティモード設定の検出にあたっては、サスペンションコントロールシステムのCPUからのスポーティモード設定信号を用いることができ、この場合、スポーティモード設定の検出センサ32として、サスペンションコントロールシステムのCPUを用いることができる。
そして、CPU4は、サスペンションコントロールシステムのCPUからスポーティモード設定信号が出力されたことが検出されたときに、このスポーティモード設定の検出センサ32からのスポーティモード設定情報に基づいてサスペンションコントロールシステムがスポーティモードに設定されたと判断すると、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、サスペンションのスポーティモード設定時にはベルト張力が大きくなるので、サスペンションのスポーティモード設定中にはドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるようになるとともに、サスペンションがスポーティモードに設定されていることを知ることができる。
ミッションコントロールシステムにおけるドライビングレンジ(以下、Dレンジともいう)のスポーティモード設定の検出センサ32は、ミッションコントロールシステムが搭載された車両において、このシステムにおけるDレンジがスポーティモードに設定されたことを検出するものである。このスポーティモード設定の検出にあたっては、ミッションコントロールシステムのCPUからのスポーティモード設定信号を用いることができ、この場合、スポーティモード設定の検出センサ33として、ミッションコントロールシステムのCPUを用いることができる。
そして、CPU4は、ミッションコントロールシステムのCPUからスポーティモード設定信号が出力されたことが検出されたときに、このスポーティモード設定の検出センサ33からのスポーティモード設定情報に基づいてミッションコントロールシステムがDレンジにおけるスポーティモードに設定されたと判断すると、ベルト張力を所定の大きな張力に設定するベルト張力制御信号をベルト張力制御装置3に出力するようになっている。すると、ベルト張力制御装置3はシートベルトリトラクタ2をベルト張力が大きくなるように作動制御する。これにより、ミッションのDレンジにおけるスポーティモード設定時にはベルト張力が大きくなるので、ミッションのスポーティモード設定中にはドライバー等の乗員は確実に拘束されて保護されるようになるとともに、ミッションがスポーティモードに設定されていることを知ることができる。
図7に示すように、制御条件設定手段10はベルト張力制御モードの各値設定信号出力手段34と、ベルト張力制御モードの成立条件設定信号出力手段35と。ベルト張力制御モードの設定音発生信号出力手段36とを備え、ベルト張力制御モードの各値設定信号出力手段34からの各値設定信号と、ベルト張力制御モードの成立条件設定信号出力手段35からの成立条件設定信号と、ベルト張力制御モードの設定音発生信号出力手段36からの設定音発生信号とがそれぞれCPU4に入力されるようになっている。
ベルト張力制御モードの各値設定信号出力手段34は、ドライバー等の乗員によって操作され、ベルト張力制御における各モードにおける各値を設定する各値設定信号を制御条件設定手段10に出力し、設定した各値をCPU4のメモリに格納するものである。これを具体的に説明すると、ベルト張力制御システムにおいて、前述のように例えばコンフォートモード、警告モードおよびプリリワインドモード等の各モードが設定されている場合、例えば、システムをこれらのモードに設定するためのその乗員の所望する動作時間および動作速度、各モードにおける乗員が所望するベルト張力、およびシステムを各モードにおける乗員が所望する制御パターンの各値が、乗員が自ら各値設定信号出力手段34を操作することにより設定できるようになっている。各値設定信号出力手段34としては、インストルメントパネル等の車体に例えばディスプレイ画面を設け、この画面上のソフトキーで構成することができる。その場合、動作時間、動作速度およびベルト張力はテンキーで具体的に数字で設定することもできるし、動作時間として「短」,「中」,「長」の3つの時間を、また、動作速度として「速」,「中」,「遅」の3つの速度を、更に、ベルト張力として「強」,「中」,「弱」の3つの張力を、それぞれCPU4のメモリに予め格納しておき、乗員がディスプレイ画面上のソフトキーでそれらのうち望むものを選択設定するようにすることもできる。
これにより、乗員はベルト張力制御の各モードにおける、動作時間、動作速度、ベルト張力、および制御パターン等の各値を所望のものに簡単に設定することができるようになる。
ベルト張力制御モードの成立条件設定信号出力手段35は、ドライバー等の乗員によって操作され、ベルト張力制御における各モードにおける成立条件を設定するモード成立条件設定信号をCPU4に出力するものであり、設定されたモード成立条件がCPU4のメモリに格納されるようになっている。すなわち、前述の公開公報に開示されている乗員拘束保護システムのように、ベルト張力制御システムにおいて、例えばコンフォートモード、警告モードおよびプリリワインドモード等の各モードが設定されている場合、システムがこれらの各モードの1つに設定されてそのモードが実行されるには、各モード毎に成立条件が設定される必要がある。そこで、前述の各値設定の場合と同様に、乗員が、ディスプレイ画面上のソフトキーで、例えば自車の車両速度、障害物との相対距離、障害物との相対速度等のそのモードが設定されるための成立条件を所望の条件に設定することができるようになっている。
ベルト張力制御モードのモード音設定信号出力手段36は、ドライバー等の乗員によって操作され、ベルト張力制御における各モードの1つが実行されるときにそのモードに対応して発生するモード音を設定するモード音設定信号をCPU4に出力し、設定されたモード音をCPU4のメモリに格納するものである。すなわち、ベルト張力制御システムにおいて、前述のように例えばコンフォートモード、警告モードおよびプリリワインドモード等の各モードが設定されている場合で、各モードを実行するときにそのモードに対応してモード音が発生されるようになっている場合、乗員が、そのモード音を好みに応じた音に設定できるようになっている。具体的には、乗員が、CPU4のメモリに擬音あるいは録音した所望の音を予め格納するとともに、車体上の操作キーまたはディスプレイ画面上のソフトキーで、各モードとメモリされた各音とを対応させるための設定が行われるようになっている。また、メモリされた音は乗員の各キー操作によって簡単に変更できる、すなわち既にメモリされている音を消して新たに別の好みの音をメモリすることができるようになっている。これにより、システムがベルト張力制御のあるモードに設定されかつ実行されると、そのモードに対応した音が発生されるので、乗員は実行されているモードを確実に知ることができるようになる。しかも、発生するモード音が自分の好みの音であるので、乗員は気分よくこの音を聞くことができる。
なお、この制御条件設定手段10としては、リモコン操作盤を用いることもできるし、ナビゲーションシステムの画面上の操作用ソフトキーを用いることもできる。
1…シートベルトシステム、2…シートベルトリトラクタ、3…ベルト張力制御装置、4…中央処理装置(CPU)、5…衝突予知検出手段、6…ロールオーバ検出手段、7…ドライバーの状態検出手段、8…デモンストレーション手段、9…ベルト張力による乗員への通知手段、10…制御条件設定手段、11…車両速度検出センサ、12…障害物検知および距離検出センサ、13…車体減速度検出センサ、13′…車体加減速度検出センサ、14…車体傾斜角度検出センサ、15…心拍数検出センサ、16…血圧検出センサ、17…体温検出センサ、18…生体電位検出センサ、19…車両運転動作検出センサ、20…ベルト張力制御モード疑似信号出力手段、21…コーナ検出センサ、22…路面凹凸検出センサ、23…雨滴検出センサ、24…タコメータ、25…スピードメータ、26…ヘッドライト点灯検出センサ、27…ブースト計、28…各種インジケータ点灯検出センサ、29…ABS作動検出センサ、30…TRC作動検出センサ、31…ナビゲーションシステムによる目的地到着の検出センサ、32…サスペンションコントロールシステムにおけるスポーティモード設定の検出センサ、33…ミッションコントロールシステムにおけるドライビングレンジのスポーティモード設定の検出センサ、34…ベルト張力制御モードの各値設定信号出力手段、35…ベルト張力制御モードの成立条件設定信号出力手段、36…ベルト張力制御モードのモード音設定信号出力手段