JP4246290B2 - プロピレン系共重合体及びその組成物並びにそれらからなるフィルム及び積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系共重合体及びその組成物並びにそれらからなるフィルム及び積層体等に関し、さらに詳しくは、低温耐衝撃性に優れるため、冷蔵を必要とするものの包装や冬季に使用する場合に好適で、かつ透明性、アンチブロッキング性、剛性にも優れたフィルムを得ることができるプロピレン系共重合体及びその組成物並びにそれらからなるフィルム、積層体、繊維、シート及び成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結晶性プロピレン系重合体のフィルムは、その優れた剛性、透明性及び防湿性等を生かして広く包装用フィルムとして使用されている。しかし、ポリプロピレン、特にホモポリプロピレンのフィルムは低温における耐衝撃性が低く、冷蔵を必要とする果菜類等の包装や冬季の使用には適さないという問題点があった。
このような問題点を改良する手段としては、従来よりエチレンやプロピレン以外のα−オレフィンとプロピレンとを共重合させることが広く行われている。しかし、充分な低温耐衝撃性を有するフィルム等を得るためには、多量のエチレンやプロピレン以外のα−オレフィンをプロピレンと共重合させる必要があり、その結果として剛性や透明性が低下するなど、ポリプロピレンのフィルムが本来有する好ましい特性が損なわれてしまっている。
また、ホモポリプロピレンにエチレン−プロピレンゴムを配合したり、ブロック共重合体を使用することも行われている。これらの方法によればプロピレン系共重合体の低温耐衝撃性を改良することは可能であるが、透明性の悪化やブツ、ゲルの発生などの問題が生じ、商品として満足し得るフィルム、シートを得ることができなかった。このようにフィルム等の外観が悪化してしまう原因として、従来のプロピレン系共重合体においては共重合体ゴム成分の組成分布が広く、例えばポリエチレンのような成分が存在していたこと、またその分子量分布が広く、べたつきの原因となる低分子量成分が存在していたことが挙げられる。また、従来のポリプロピレン系共重合体においては、べたつき成分の生成量抑制、耐衝撃性の向上などを目的として、ゴム成分の平均分子量を高くすることが行われていたが、これも外観悪化の原因となっていた。さらに、プロピレン系共重合体におけるゴム成分と高結晶性成分との相溶性にも問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリプロピレンのフィルムやシートが本来有する、優れた剛性、透明性及び防湿性等の好ましい特性を損なうことなく、極めて良好な低温耐衝撃性を発揮するフィルムやシートを得ることができるプロピレン系共重合体及びプロピレン系共重合体組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題につき鋭意検討した結果、コモノマーの含有量、昇温分別クロマトグラフにおける最高温度側のピークのピークトップ温度をTp(℃)としたとき、(Tp−5)℃以上で溶出する成分の量、及びゲルパーミエーションクロマトグラフによって測定される分子量1万以下の成分の量が特定の範囲にあるプロピレン系共重合体は、組成分布が狭く、また共重合体中のゴム成分の分子量分布が狭いので、ゴム成分の平均分子量に起因するべたつきや耐衝撃性に対する影響が小さく、ゴム成分平均分子量を、フィルム等における好ましい外観を得るために必要な分子量に高めることができ、このプロピレン系共重合体を製膜したフィルム、積層体、繊維、シート及び成形体は、ポリプロピレンのフィルムやシートが本来有する好ましい特性を損なうことなく、優れた低温耐衝撃性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、メタロセン系触媒の存在下、プロピレンの単独重合、次いで、プロピレンと、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも一つを含む炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合により得られ、該α−オレフィン単位の含有量が0.6〜1.1モル%であり、昇温分別クロマトグラフにおける最高温度側のピークのピークトップ温度をTp(℃)としたとき、(Tp−5)℃以上で溶出する成分の量が全体の35.8〜63.1重量%であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフによって測定される分子量1万以下の成分の量が全体の0.1〜0.2重量%であることを特徴とするプロピレン系共重合体、この共重合体に酸化防止剤、中和剤、アンチブロッキング剤及びスリップ剤のうちの少なくとも一つを添加してなるプロピレン系共重合体組成物、これらの共重合体又は共重合体組成物を製膜してなるフィルム、これらの共重合体又は共重合体組成物を少なくともその一層成分とする積層体、及びこれらの共重合体又は共重合体組成物を含む繊維、シート若しくは成形体を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のプロピレン系共重合体において、プロピレンと共重合させるコモノマーとしては炭素数5以上のα−オレフィンが好ましい。炭素数5以上のα−オレフィンとしては、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。本発明においては、これらの一種又は二種以上を用いることができるが、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0007】
本発明のプロピレン系共重合体は、コモノマー単位の含有量が0.1〜49モル%であるが、好ましくは0.2〜40モル%であり、より好ましくは0.3〜30モル%である。このコモノマー単位の含有量が0.1モル%未満であるとプロピレン系共重合体における低温耐衝撃性の改良効果が不充分であり、49モル%を超えるとプロピレン系共重合体の結晶性が低下するため、剛性に劣るものとなる。
また、本発明のプロピレン系共重合体は、昇温分別クロマトグラフ(以下TREFということがある)における最高温度側のピークのピークトップ温度をTp(℃)としたとき、(Tp−5)℃以上で溶出する成分の量(共重合体全体に対する重量分率をいい、以下Wpということがある)が全体の25〜95重量%であるが、好ましくは30〜90重量%であり、より好ましくは35〜85重量%である。この成分量が25重量%未満であるとプロピレン系共重合体における剛性が不充分なものとなり、95重量%を超えるとプロピレン系共重合体における低温耐衝撃性の改良効果が不充分なものとなる。
さらに、本発明のプロピレン系共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定される分子量1万以下の成分の量(共重合体全体に対する重量分率をいい、以下WLということがある)が全体の2重量%以下であるが、好ましくは1重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以下である。この成分量が2重量%を超えるとこのプロピレン系共重合体からなるフィルム、シート、成形体などがべたついたものとなる。
【0008】
本発明のプロピレン系共重合体は、パラキシレン不溶成分の、13C−NMRで測定したトライアッド単位のアイソタクチック分率である立体規則性の指標(P)が85モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上であり、特に好ましくは95モル%以上である。立体規則性の指標(P)が85モル%未満では、共重合体の結晶性が低下し、剛性が劣るものとなる場合があり、また、このプロピレン系共重合体からなるフィルム、シート、成形体などがべたついたものとなる場合がある。ここで、パラキシレン不溶成分とは、沸騰パラキシレンに溶解した後、室温まで放冷することにより析出した不溶成分をいう。なお、プロピレン系ランダム共重合体の立体規則性の指標(P)を求める方法については、後述する実施例において説明する。
また、本発明のプロピレン系共重合体は、そのパラキシレン可溶成分の、デカリン中、温度135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.7〜2.7デシリットル/gであり、特に好ましくは0.9〜2.4デシリットル/gである。この極限粘度〔η〕が0.5デシリットル/g未満では低温耐衝撃性の改良効果が不充分になり易く、3デシリットル/gを超えるとフィッシュアイやゲルの発生が多くなる場合がある。ここで、パラキシレン可溶成分とは、沸騰パラキシレンに溶解した後、室温まで放冷し、不溶成分を濾別することにより得られる可溶成分をいう。
さらに、本発明のプロピレン系共重合体は、デカリン中、温度135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gの範囲にあることが好ましく、極限粘度〔η〕がこの範囲を外れると、製膜等の際に成形不良現象が発生し易くなる。特に、この極限粘度〔η〕は0.7〜2.5デシリットル/gが好ましい。
【0009】
本発明のプロピレン系共重合体は、メタセロセン系触媒の存在下、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとを共重合させることにより製造することができる。メタロセン系触媒としては各種のものを使用できるが、好ましくはメタロセン系遷移金属化合物に有機アルミニウム化合物又はイオン化剤(例えばホウ素化合物)等を組み合わせたものである。ここで、メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、周期律表第4族から選ばれる遷移金属であるチタン、ジルコニウム、ハフニウムに、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基若しくは置換フルオレニル基が1〜2個結合しているか又はこれらのうちの2個が共有結合で架橋したものが結合しているもの、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アセチルアセトナート基、カルボニル基、窒素,酸素,イオウ,リン,ケイ素を含む配位子を有するものなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては各種アルミノキサン化合物が用いられ、特にメチルアルミノキサンが好適である。この他にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムジクロリド等が用いられる。
また、イオン化剤としてホウ素化合物が好適である。ホウ素化合物としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレートのようなトリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレートのようなN,N−ジアルキルアニリニウム塩、トリスペンタフルオロフェニルホウ素のようなフェニルホウ素化合物が挙げられる。
これらのメタロセン触媒及び/又は有機アルミニウム化合物は担体に担持させて使用してもよく、担体としてはポリスチレン等の有機化合物、シリカ、アルミナ等の無機化合物が挙げられる。
また、予め少量のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、さらには炭素数5以上のα−オレフィン等で予備重合を行ってもよい。
【0010】
プロピレンとα−オレフィンとの共重合は、プロピレンとα−オレフィンとを混合し、接触させることにより行われる。反応中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することもでき、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることもできる。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割して添加することもできる。さらに、分子量調節剤として水素ガスを用いてもよい。
共重合の方法としては、特に制限されるものではなく、塊状重合、溶液重合、気相重合、懸濁重合等のいずれの方法でもよいし、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
重合条件は特に制限されることはなく、公知の方法と同様の条件とすることができる。例えば、重合温度は通常、−50〜250℃の範囲であり、好ましくは0〜150℃である。重合圧力は常圧から300kg/cm2-Gの範囲であり、重合時間は1分〜10時間程度である。
【0011】
また、本発明のプロピレン系共重合体は、特定のプロピレン系重合体高結晶性成分と特定のプロピレン系共重合体ゴム成分とをブレンドすることにより製造することができる。
プロピレン系高結晶性成分としては、プロピレン単独重合体、コモノマーの含有量が低いプロピレン系共重合体、プロピレン単独重合体とコモノマーの含有量が低いプロピレン系共重合体を組み合わせたものが好ましく、具体的には以下の規定を満たすものが好ましい。
コモノマー単位の含有量が12モル%以下であることが好ましく、本発明のプロピレン系共重合体をフィルムやシートに成形したときの透明性の観点から、より好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.2%以上であり、かつフィルムやシートの剛性の観点から、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下である。従って、フィルムやシートの透明性と剛性との双方を満足させるためには、コモノマー単位の含有量は0.2〜3モル%とすることが特に好ましい。コモノマーとしては、炭素数5以上のα−オレフィン単位が最も好ましく、このようなα−オレフィンとしては前述と同様のものが挙げられる。
立体規則性の指標(P)が85モル%以上であることが好ましく、フィルムやシートの剛性の観点から、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。なお、プロピレン単独重合体の場合のP(モル%)は13C−NMRスペクトルから下記式により算出した。また、13C−NMRスペクトルの測定条件は後述の方法と全く同じである。
P=I▲1▼/(I▲1▼+I▲2▼+I▲3▼)×100
但し、I▲1▼は21.2〜22.7ppmのシグナル強度、I▲2▼は20.6〜21.2ppmのシグナル強度、I▲3▼は19.8〜20.6ppmのシグナル強度である。
デカリン中135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gであることが好ましく、より好ましくは0.7〜2.5デシリットル/gである。
【0012】
プロピレン系共重合体ゴム成分としてはプロピレンとα−オレフィンコモノマーとの共重合体が好ましい。さらに低分子量成分はべたつきの原因となるため、分子量分布の狭いものが好ましい。また、ランダム共重合性の良いものが好ましい。
なお、立体規則性は必ずしも高いものである必要はなく、ランダム共重合性が良く、分子量分布の狭いものであれば、立体規則性は低くてもよい。具体的には以下の規定を満たすものが好ましい。
コモノマー単位の含有量が4モル%以上であることが好ましく、より好ましくは8モル%以上、さらに好ましくは12%以上である。また、コモノマーとしては炭素数5以上のα−オレフィン単位が最も好ましい。
デカリン中135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gであることが好ましく、フィルムやシートの透明性の観点から、より好ましくは2.7デシリットル/g以下であり、さらに好ましくは2.4デシリットル/g以下であり、かつフィルムやシートのべたつきの観点から、より好ましくは0.7デシリットル/g以上であり、さらに好ましくは0.9デシリットル/g以上である。従って、フィルムやシートの透明性とべたつきとの双方を満足させるためには、極限粘度〔η〕は0.9〜2.4デシリットル/gとすることが特に好ましい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下であることが好ましく、フィルムやシートの透明性の観点から、より好ましくは3.5以下であり、さらに好ましくは3以下である。
GPCによって測定される分子量1万以下の成分の量がプロピレン系重合体ゴム成分全体の2重量%以下であることが好ましく、フィルムやシートのべたつきの観点から、より好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以下である。
【0013】
上記特定のプロピレン系重合体高結晶性成分と特定のプロピレン系共重合体ゴム成分との配合比率は、フィルムやシートの低温耐衝撃性と剛性とのバランスの観点から、好ましくはプロピレン系重合体高結晶性成分が25〜95重量%、プロピレン系共重合体ゴム成分が75〜5重量%であり、より好ましくはプロピレン系重合体高結晶性成分が30〜90重量%、プロピレン系共重合体ゴム成分が70〜10重量%であり、さらに好ましくはプロピレン系重合体高結晶性成分が35〜85重量%、プロピレン系共重合体ゴム成分が65〜15重量%である。
【0014】
本発明のプロピレン系共重合体組成物は、上記プロピレン系共重合体に、酸化防止剤、中和剤、アンチブロッキング剤及びスリップ剤のうちの少なくとも一つを添加してなる組成物である。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などが挙げられ、この中で、特にペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(商品名;イルガノックス1010,チバスペシャルティケミカルズ社製)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名;イルガフォス168,チバスペシャルティケミカルズ社製)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名;イルガノックス1076,チバスペシャルティケミカルズ社製)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名;イルガノックス1330,チバスペシャルティケミカルズ社製)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト(商品名;イルガノックス3114,チバスペシャルティケミカルズ社製)、テトラキス(2,4−ジーt−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスファイト(商品名;P−EPQ)が好ましい。酸化防止剤の使用量は、プロピレン系共重合体に対して1〜10000ppmとすることが好ましい。
中和剤としては、脂肪酸金属塩、ハイドロタルサイト類などが挙げられ、この中で、特にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(商品名;DHT−4A、組成式Mg4.5 Al2(OH)13CO3 ・3.5H2 O))が好ましい。中和剤の使用量は、プロピレン系共重合体に対して1〜10000ppmとすることが好ましい。
アンチブロッキング剤としては、合成シリカ、アルミノシリケート、ケイ藻土などが挙げられる。この中で、特に合成シリカが好ましく、具体的には富士シリシア化学社製のサイリシア、水澤化学工業社製のミズカシルなどが挙げられる。アンチブロッキング剤の使用量は、プロピレン系共重合体に対して1〜100000ppmとすることが好ましい。
スリップ剤としては、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミドなどが挙げられ、この中で、特にエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルエルカアミド、オレイルパルミトアミドが好ましい。スリップ剤の使用量は、プロピレン系共重合体に対して1〜10000ppmとすることが好ましい。
本発明のプロピレン系共重合体組成物には、上記添加剤の他に造核剤、帯電防止剤などを必要に応じて配合することができる。
【0015】
本発明のプロピレン系共重合体又はプロピレン系共重合体組成物は、溶融押出成形法によりフィルムに製膜できる。例えば、Tダイキャスト製膜法において、引取速度が50m/分又はこれ以上の高速製膜条件においても、厚みが10〜500μmのフィルムの製膜に好適である。また、上記共重合体及び共重合体組成物は、前述した好ましい特性を有することから、共押出製膜法による積層フィルムの製造に際して、その少なくとも一層として好適に使用でき、また、繊維、シート、成形体として好適に使用できる。
製膜法としては、大型製膜機により高速製膜が実施できるTダイキャスト製膜法が、剛性、ヒートシール性及び透明性が良好なフィルムを得る点から好ましいが、これに限られるものではなく、溶融押出成形法によりフィルムを製造する方法であれば、どのような製膜法であってもよい。
【0016】
本発明のプロピレン系共重合体からなるフィルム又はプロピレン系共重合体組成物からなるフィルムは、例えば、プロピレン系共重合体又はプロピレン系共重合体と組成物と、所望に応じて用いられる各種添加剤とをヘンシェルミキサー等でドライブレンドしたものをキャスト成形により製膜して得ることができる。また予め、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて、プロピレン系共重合体はプロピレン系ランダム共重合体組成物と、所望に応じて用いられる各種添加剤とを溶融混練することにより調製し、ペレット化したものをキャスト成形により製膜して得ることもできる。
【0017】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、プロピレン系共重合体及びそれからなるフィルムの評価方法について説明する。
(ア)樹脂特性の評価方法
(1) 共重合体中のコモノマー単位(α−オレフィン単位)の含有量(α( モル%) )
日本電子社製のJNM−EX400型NMR装置を用い、以下の条件で13C−NMRスペクトルを測定し、以下の方法により算出した。
試料濃度 :220mg/NMR溶媒 3 ml
NMR溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン/ベンゼン-d6 (90/10 vol%)
測定温度 :130℃
パルス幅 :45°
パルス繰り返し時間:10秒
積算回数 :4000回
【0018】
(a)1−オクテン単位
プロピレンと1−オクテンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第1表に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
共重合体中の1−オクテン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにおいて、主鎖メチレン炭素に注目し、下記の(1)式により求めた。
なお、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナルはPPP連鎖Tαβ炭素のシグナルと重なって分離が困難なため、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度は、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度で代用した。
【0021】
【数1】
【0022】
また、下記の(2)式により共重合体の立体規則性指標(P’( モル%) )を求めることができる。
【0023】
【数2】
【0024】
ここで、I▲1▼、I▲2▼・・・等はシグナル▲1▼、▲2▼・・・等の強度を示す。
(b)1−ドデセン単位
プロピレンと1−ドデセンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第2表に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
共重合体中の1−ドデセン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにおいて、主鎖メチレン炭素に注目し、下記の(3)式により求めた。
なお、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナルはPPP連鎖Tαβ炭素のシグナルと、またPPP連鎖Sαβ炭素のシグナルは1−ドデセン単位の側鎖メチレン炭素のシグナルと重なって分離が困難なため、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度及びPPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度は、PPP連鎖Sαα炭素のシグナル強度で代用した。
【0027】
【数3】
【0028】
また、下記の(4)式により共重合体の立体規則性指標(P’( モル%) )を求めることができる。
【0029】
【数4】
【0030】
ここで、I▲1▼、I▲2▼・・・等はシグナル▲1▼、▲2▼・・・等の強度を示す。
(c)エチレン単位
プロピレンとエチレンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第3表に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
共重合体中のエチレン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにより下記の(5)式により求めた。
α=E/S×100 (5)
ここで、S及びEはそれぞれ、
S=IEPE +IPPE +IEEE +IPPP +IPEE +IPEP
E=IEEE +2/3(IPEE +IEPE )+1/3(IPPE +IPEP )
であり、また
IEPE =I(12)
IPPE =I(15)+I(11)+(I(14)−I(11))/2 +I(10)
IEEE =I(18)/2+I(17)/4
IPPP =I(19)+(I(6) +I(7))/2+I(3) +I(13)+I(11)+(I(14)−I(11))/2
IPEE =I(20)
IPEP =(I(8) +I(9) −2×I(11))/4 +I(21)
である。
【0033】
また、下記(6)式により共重合体の立体規則性指標(P’( モル%) )として、PPP連鎖のアイソタクチックトライアド分率を求めることができる。
【0034】
P’=Im/I×100 (6)
ここで、Im及びIはそれぞれ、
Im=I(22)
I =I(22)+I(23)+I(24)−{(I(8) +I(9))/2+I(10)+3/2 ×I(11)+I(12)+I(13)+I(15)}
である。
ここで、I(1) 、I(2) ・・・等はシグナル▲1▼、▲2▼・・・等の強度を示す。
【0035】
(d)1−ブテン単位
プロピレンと1−ブテンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第4表に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
共重合体中の1−ブテン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにおいて、主鎖メチレン炭素に注目し、下記の(7)式により求めた。
なお、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度は、▲9▼のシグナル強度(PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度)で代用した。
【0038】
【数5】
【0039】
また、下記の(8)式により共重合体の立体規則性指標(P’( モル%) )として、頭−尾結合部のアイソタクチックトライアド分率を求めることができる。
【0040】
【数6】
【0041】
ここで、I▲1▼、I▲2▼・・・等はシグナル▲1▼、▲2▼・・・等の強度を示す。
(2) 昇温分別クロマトグラフ(TREF)
以下のようにして、TREFにおける最高温度側のピークのピークトップ温度をTp(℃)としたとき、(Tp−5)℃以上で溶出する成分の量(共重合体全体に対する重量分率Wp)を求めた。
(a)操作法
試料溶液を温度135℃に調節したTREFカラムに導入し、次いで降温速度5℃/時間にて徐々に0℃まで降温し、試料を充填剤に吸着させる。その後、昇温速度40℃/時間にてカラムを135℃まで昇温し、溶出曲線を得る。
(b)装置構成
(c)測定条件
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
試料濃度 :7.5g/リットル
注入量 :500マイクロリットル
ポンプ流量 :2.0ミリリットル/分
検出波数 :3.41μm
カラム充填剤 :クロモソルブP(30〜60メッシュ)
カラム温度分布:±0.2℃以内
【0042】
(3) ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)
以下のようにして、分子量1万以下の成分の量(共重合体全体に対する重量分率WL)を求めた。
(a)装置構成、測定条件
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
カラム温度 :145℃
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
流量 :1.0ミリリットル/分
検出器 :RI(Waters 150C)
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
【0043】
(4) パラキシレン不溶成分の立体規則性指標(P)
パラキシレン700ミリリットルに試料5g、酸化防止剤としてBHTを1g入れ、パラキシレンが沸騰するまで加熱しながら攪拌して試料を完全に溶解させる。続いてパラキシレンを攪拌しながら室温(25℃)になるまで(8時間以上)放冷し、析出した成分を濾紙により濾別し、パラキシレン不溶成分とした。
このパラキシレン不溶成分について、上述した立体規則性指標(P’)を求めた方法と同様の方法でパラキシレン不溶成分の立体規則性指標(P)を求めた。
(5) パラキシレン可溶成分の、135℃デカリン中における極限粘度〔η〕
上記パラキシレン不溶成分を濾別した際に得られた濾液を大過剰のメタノールに投入してパラキシレンに溶解している成分を析出させ、濾紙により濾別し、パラキシレン可溶成分とした。このパラキシレン可溶成分を充分に乾燥させた後、下記のようにして極限粘度〔η〕を測定した。
(6) 極限粘度〔η〕の測定
(株)離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、デカリン溶媒中135℃において測定した。
【0044】
(イ)フィルムの製膜方法
後述する実施例及び比較例で得たプロピレン系共重合体又はプロピレン系共重合体組成物から、田辺プラスチックス機械株式会社製の40mmφTダイキャスト成形機を用い、膜厚30μmのフィルムを以下の成形条件で製膜した。
加工温度 :230℃
チルロール温度 :23℃
引取速度 :15m/分
スクリュー回転数 :80rpm
コロナ処理なし
【0045】
(ウ)フィルムの品質の評価方法
特に記載のない場合、フィルムの品質は製膜後、40℃×24時間のエージング処理を行った後、温度23±2℃、湿度50±10%で、16時間以上状態調節した後、同じ温度、同じ湿度条件下にて測定を行った。
(1) 耐衝撃性
試料を所定の温度±2℃、湿度50±10%で16時間以上状態調節した後、同じ温度、同じ湿度条件にて、東洋精機製作所製フィルムインパクトテスターにおいて1/2 インチ衝撃ヘッドを用いて測定した衝撃破壊強度により評価した。
(2) 透明性(内部ヘイズ)
JIS K7105に従い測定した。ガラス板の片面にシリコンオイルを塗布し、塗布面で試料を挟み測定した。測定値は試料を挟まないで測定したブランク値で補正した。
(3) 透明性(全ヘイズ)
JIS K7105に従い測定した。
(4) 外観
目視で確認し、直径0.2mm以上のブツ、ゲルが1000cm2 に2個以下を良好と判断した。
(5) 屈曲白化
フィルムを折り曲げ、白化の有無を目視で確認した。
(6) アンチブロッキング性
重ね合わせた2枚のフィルムについて以下の密着条件で密着させた後の引剥強度により評価した。引剥試験は以下の条件で行った。
密着条件1:温度;60 ℃、時間;3時間、荷重;36g/cm2、面積; 10cm x 10cm
密着条件2:温度;50 ℃、時間;1週間、荷重;15g/cm2、面積; 10cm x 10cm
引剥試験
テストスピード:20mm/分
ロードセル :2kg
(7) 引張弾性率の測定
JIS K−7127に準拠した引張試験により以下の条件にて測定した。
クロスヘッド速度:500mm/分
ロードセル :10kg
測定方向 :マシン方向(MD方向)
(8) ヒートシール温度の測定
JIS Z−1707に準拠して測定した。融着条件を以下に示す。なお、ヒートシールバーの温度は表面温度計により較正されている。シール後、室温で一昼夜放置し、その後室温で剥離速度を200mm/分にしてT型剥離法で剥離強度を測定した。ヒートシール温度は剥離強度が300g/15mmになる温度をシール温度−剥離強度曲線から計算して求めた。
シール時間:1秒
シール面積:15mm×10mm
シール圧力:2kg/cm2
シール温度:ヒートシール温度を内挿できるよう数点を測定
【0046】
実施例1
▲1▼ シリカ担持メチルアルミノキサンのn−ヘプタン懸濁液の調製
SiO2 (富士シリシア化学社製,商品名:P−10)27.1gを200℃で2時間減圧乾燥処理し、乾燥シリカ25.9gを得た。
この乾燥シリカをドライアイス/メタノール浴で−78℃に冷却したトルエン400ミリリットル中に投入し、攪拌しながら、これに1.5モル/リットルのメチルアルミノキサントルエン溶液145.5ミリリットルを1.0時間かけて滴下ロートにより滴下した。この状態で4.0時間放置したのち、−78℃から20℃まで6.0時間で昇温し、さらにこの状態で4.0時間放置した。その後、20℃から80℃まで1.0時間で昇温し、80℃で4.0時間放置することにより、シリカとメチルアルミノキサンとの反応を完了させた。
【0047】
この懸濁液を60℃でろ過し、得られた固形物を60℃にて、400ミリリットルのトルエンで2回、さらに60℃にて、400ミリリットルのn−ヘキサンで2回洗浄を実施した。
洗浄後の固形物を60℃で4.0時間減圧乾燥処理することにより、シリカ担持メチルアルミノキサン33.69gを得た。メチルアルミノキサンの担持量は23.12重量%であった。
このようにして得られたシリカ担持メチルアルミノキサン全量に、n−ヘプタンを加えて全容量を500ミリリットルとし、メチルアルミノキサン濃度0.27モル/リットルの懸濁液を調製した。
【0048】
▲2▼ シリカ担持メタロセン触媒の調製
窒素雰囲気下、1 00ミリリットルのシュレンクに、上記で得られたシリカ担持メチルアルミノキサン懸濁溶液74ミリリットル(20ミリモル)、rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライドのヘプタンスラリー40マイクロモルを加え、室温において15分間攪拌し、シリカ担持メタロセン触媒を調製した。
▲3▼ 重合
内容積10リットルのステンレン鋼製オートクレーブにn−ヘプタン6.0リットル、トリイソブチルアルミニウム6ミリモル及び上記で得られたシリカ担持メタロセン触媒の全量を仕込み、60℃に昇温し、全圧で8.0kg/cm2 Gまでプロピレンガスを導入し、重合を開始した。重合中に圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給した。2時間後、温度を40℃に下げ、1−オクテン600ミリリットルを投入し、引き続き重合中に圧力が一定となるように調圧器によりプロピレンを供給した(第1段目反応)。6時間後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン−オクテンブロック共重合体を得た。
▲4▼ 添加剤処方
上記のようにして得た共重合体に以下の添加剤を処方し、混練機にて押出し造粒し、ペレットを得た。このペレットの樹脂特性を上記(ア)の方法で評価した。結果を第5表に示す。
酸化防止剤
チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガノックス1010:1000ppm
及びチバスペシャルティケミカルズ社製のイルガフォス168:1000ppm
中和剤・・・・・・・・・・ステアリン酸カルシウム:1000ppm
アンチブロッキング剤・・・・・・・・・・シリカ系:1000ppm
スリップ剤・・・・・・・・・・・・エルカ酸アミド:1000ppm
▲5▼ フィルム成形及びフィルム評価
上記ペレットについて、上記(イ)の方法で製膜し、そのフィルム品質を上記(ウ)の方法で評価した。結果を第5表に示す。
【0049】
実施例2
実施例1において第1段目反応における重合時間を30分とした以外は実施例1と同様に行った。得られた共重合体の樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
実施例3
実施例2において1−オクテンを1−ドデセンに変えた以外は実施例2と同様に行った。得られた共重合体の樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
【0050】
比較例1
実施例1で得られた共重合体の代わりに市販のポリプロピレン(出光ポリプロFR774NP)を使用した以外は全て実施例1と同様に行った。このポリプロピレンの樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
比較例2
実施例1で得られた共重合体の代わりに市販のポリプロピレン(出光ポリプロJ−763H)を使用した以外は全て実施例1と同様に行った。このポリプロピレンの樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
比較例3
実施例1で得られた共重合体の代わりに市販のポリプロピレン(出光ポリプロF−744NP)を使用した以外は全て実施例1と同様に行った。このポリプロピレンの樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
比較例4
内容積10リットルのステンレス鋼製オートクレーブにn−ヘプタン5.0リットル、トリイソブチルアルミニウム6ミリモル、1−ブテン500ミリリットルを投入し、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートジメチルアニリニウム塩40マイクロモル、及びrac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−エチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド20マイクロモルを仕込み、50℃に昇温し、全圧で8.0kg/cm2 Gまでプロピレンガスを導入し、重合を開始した。重合中に圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給した。3時間後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン−ブテンランダム共重合体パウダーを得た。
上記触媒の調製及び共重合体の製造以外は全て実施例1と同様に行った。この共重合体の樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【発明の効果】
本発明により、ポリプロピレンのフィルムが本来有する特性を損なうことなく、極めて良好な低温耐衝撃性を発揮し、かつ透明性、アンチブロッキング性、剛性にも優れたフィルム、積層体、繊維、シート及び成形体を安定して製造することができるプロピレン系共重合体及びプロピレン系共重合体組成物を得ることができる。
Claims (10)
- メタロセン系触媒の存在下、プロピレンの単独重合、次いで、プロピレンと、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも一つを含む炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合により得られ、該α−オレフィン単位の含有量が0.6〜1.1モル%であり、昇温分別クロマトグラフにおける最高温度側のピークのピークトップ温度をTp(℃)としたとき、(Tp−5)℃以上で溶出する成分の量が全体の35.8〜63.1重量%であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフによって測定される分子量1万以下の成分の量が全体の0.1〜0.2重量%であることを特徴とするプロピレン系共重合体。
- 共重合体が、パラキシレン不溶成分の立体規則性指標(P)が85モル%以上のものである請求項1に記載のプロピレン系共重合体。
- 共重合体が、パラキシレン可溶成分のデカリン中、温度135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gの範囲にあるものである請求項1又は2記載のプロピレン系共重合体。
- 共重合体が、デカリン中、温度135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gの範囲にあるものである請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系共重合体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系重合体に、酸化防止剤、中和剤、アンチブロッキング剤及びスリップ剤のうちの少なくとも一つを添加してなるプロピレン系重合体組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系共重合体又は請求項5記載のプロピレン系共重合体組成物を製膜してなるフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系共重合体又は請求項5記載のプロピレン系共重合体組成物を少なくともその一層成分とする積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系共重合体又は請求項5記載のプロピレン系共重合体組成物を含む繊維。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系共重合体又は請求項5記載のプロピレン系共重合体組成物を含むシート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系共重合体又は請求項5記載のプロピレン系共重合体組成物を含む成形体。
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