JP4047962B2 - プロピレン系ランダム共重合体及びその組成物並びにそれらからなるフィルム及び積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系ランダム共重合体及びその組成物並びにそれらからなるフィルム及び積層体等に関し、さらに詳しくは、低温ヒートシール性に優れ、かつアンチブロッキング性、スリップ性、剛性にも優れたフィルムを得ることができるプロピレン系ランダム共重合体及びその組成物並びにそれらからなるフィルム、積層体、繊維、シート及び成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結晶性プロピレン系重合体のフィルムは、その優れた剛性、透明性及び防湿性等を生かして広く包装用フィルムとして使用されている。通常、フィルムはヒートシールにより製袋され、内容物を充填した後に袋口は再びヒートシールにより閉じられる。近年、これら一連の製袋包装工程は生産性向上のため高速化が計られており、フィルムを高性能化するために性質の異なる樹脂を積層した多層フィルムが広く用いられている。この多層フィルムの最外層に用いられる樹脂フィルムは、特に、上記一連の製袋包装工程を高速化するのに必要な低温ヒートシール性、フィルムの巻き返し工程を支障なく行うために必要なスリップ性、及びアンチブロッキング性において優れた性能を発揮することが求められている。
【0003】
従来から、プロピレン単独重合体のフィルムにおける低温ヒートシール性を改良することを目的として、プロピレンとエチレンや1−ブテンとを共重合させることが広く行われている。しかしながら、充分な低温ヒートシール性改良効果を得るためには多量のエチレンや1−ブテンをプロピレンと共重合させる必要があり、その結果としてべとつき成分を多量に副生してしまい、例えばアンチブロッキング性が大きく低下したり、ブリード白化による外観不良が起きたりするため、従来のプロピレン系重合体のフィルムは実用に耐えるものではなかった。
【0004】
また、この問題の解決方法として、べとつき成分を不活性溶媒中に溶解させて除去するという方法も試みられているが、この際に低温ヒートシール性に寄与する低温融解性結晶成分も除去されてしまうことは避けがたく、結局、低温ヒートシール性の改良効果は不充分なものとなっている。また、エチレンや1−ブテン以外のα−オレフィン、例えば1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどとプロピレンとの共重合も試みられてきたが、極めて組成分布の広い樹脂しか得ることができず、アンチブロッキング性や剛性が劣るため、従来のプロピレン系共重合体は実用に耐えるものではなかった。
また、プロピレン系重合体はエチレン系重合体と比較して、結晶化が始まるのに必要な過冷却度が大きく、融点が同じでも結晶化温度が低いという樹脂特性を有する。このため、特に直鎖状低密度ポリエチレンにも匹敵するような低温ヒートシール性を追求した場合、成形不良現象、特にチルロールリリース不良が起こり易いという問題がある。従って、低温ヒートシール性に優れたフィルム、繊維、シート、成形体を得るためにはこの問題を解決する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリプロピレンのフィルムやシートが本来有する好ましい特性を損なうことなく、直鎖状低密度ポリエチレンにも匹敵するような優れた低温ヒートシール性を発揮し、かつアンチブロッキング性、スリップ性、剛性にも優れたフィルムやシートを得ることができるプロピレン系ランダム共重合体及びプロピレン系ランダム共重合体組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題につき鋭意検討した結果、プロピレンと炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合体であって、該共重合体の融点と該共重合体中の炭素数5以上のα−オレフィン単位の含有量、該共重合体の結晶化温度と融点とが、それぞれ特定の関係にあるプロピレン系ランダム共重合体、または該プロピレン系ランダム共重合体に核剤効果を有する物質を添加してなる樹脂組成物であって、該組成物の融点と該組成物中の炭素数5以上のα−オレフ単位の含有量、該組成物の結晶化温度と融点とが、それぞれ特定の関係にあるプロピレン系ランダム共重合体組成物は、結晶化温度が高いので、これらを製膜したフィルム、積層体、繊維、シート及び成形体は、ポリプロピレンのフィルムやシートが本来有する好ましい特性を損なうことなく、優れた低温ヒートシール性を発揮し、べとつきがなく、かつアンチブロッキング性、スリップ性、剛性にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、プロピレンと炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合体であって、示差走査型熱量計により測定した共重合体の融点(Tm(℃))と共重合体中の炭素数5以上のα−オレフィン単位の含有量(α(モル%))とが以下の関係式(I)
Tm≦140かつTm≦160−7α (I)
を満たし、示差走査型熱量計により測定した共重合体の結晶化温度(Tc(℃))と融点(Tm(℃))とが以下の関係式(II)
Tc≧0.75Tm−15 (II)
を満たすことを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体、(A)プロピレンと炭素数5以上のα−オレフィンとからなるプロピレン系ランダム共重合体に、(B)核剤効果を有する物質を添加してなる組成物であって、示差走査型熱量計により測定した組成物の融点(Tm(℃))と組成物中の炭素数5以上のα−オレフィン含有量(α(モル%))が以下の関係式(I)
Tm≦140かつTm≦160−7α (I)
を満たし、示差走査型熱量計により測定した組成物の結晶化温度(Tc(℃))と融点(Tm(℃))とが以下の関係式(II)
Tc≧0.75Tm−15 (II)
を満たすことを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体組成物、これらの共重合体又は共重合体組成物を製膜してなるフィルム、これらの共重合体又は共重合体組成物を少なくともその一層成分とする積層体、及びこれらの共重合体又は共重合体組成物を含む繊維、シート若しくは成形体を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体に用いる炭素数5以上のα−オレフィンとしては、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。本発明においては、これらの一種又は二種以上を用いることができるが、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0009】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、示差走査型熱量計により測定した共重合体の融点(Tm(℃))と共重合体中の炭素数5以上のα−オレフィン単位の含有量(α(モル%))とが以下の関係式(I)
Tm≦140かつTm≦160−7α (I)
を満たすことが必要である。
Tmが140かつ "160−7α" の値を超える場合には、低温ヒートシール性と剛性とのバランスが低くなり、本発明の目的が達せられない。このバランスの面から、好ましくは
Tm≦130かつTm≦155−7α
より好ましくは
Tm≦120かつTm≦150−7α
特に好ましくは
Tm≦115かつTm≦145−7α
である。
また、この共重合体は、示差走査型熱量計により測定した共重合体の結晶化温度(Tc(℃))と融点(Tm(℃))とが以下の関係式(II)
Tc≧0.75Tm−15 (II)
を満たすことが必要である。
Tcが " 0. 75Tm−15" より小さい場合には、成形不良現象が起こり易くなり、本発明の目的が達せられない。成形不良現象を起こりにくくする面から、好ましくは
Tc≧0.75Tm−10
より好ましくは
Tc≧0.75Tm−5
である。
【0010】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、炭素数5以上のα−オレフィン含有量が0.1〜12モル%であることが好ましい。この含有量が0.1モル%未満では低温ヒートシール性の改良効果が不充分なものとなり、また12モル%を超えると共重合体の結晶性が低下し、剛性に劣るものとなる場合がある。低温ヒートシール性及び剛性の面から、炭素数5以上のα−オレフィン含有量は、より好ましくは0.2〜11モル%、特に好ましくは0.3〜10モル%である。
また、本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、13C−NMRで測定したトライアッド単位のアイソタクチック分率である立体規則性の指標(P)が85モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上であり、特に好ましくは95モル%以上である。立体規則性の指標(P)が85モル%未満では、共重合体の結晶性が低下し、剛性が劣るものとなる場合がある。なお、プロピレン系ランダム共重合体の立体規則性の指標(P)を求める方法については、後述する実施例において説明する。
さらに、本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、デカリン中、135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gの範囲にあることが好ましく、極限粘度〔η〕がこの範囲を外れると、製膜等の際に成形不良現象が発生し易くする場合がある。特に、この極限粘度〔η〕は0.6〜2.9デシリットル/gが好ましい。
【0011】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体の製造に用いるメタロセン系触媒は各種のものを使用できるが、好ましくはメタロセン系遷移金属化合物に有機アルミニウム化合物又はイオン化剤(例えばホウ素化合物)等を組み合わせたものである。ここで、メタロセン系遷移金属化合物としては、例えば、周期律表第4族から選ばれる遷移金属であるチタン、ジルコニウム、ハフニウムに、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基若しくは置換フルオレニル基が1〜2個結合しているか又はこれらのうちの2個が共有結合で架橋したものが結合しているもの、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アセチルアセトナート基、カルボニル基、窒素,酸素,イオウ,リン,ケイ素を含む配位子を有するものなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては各種アルミノキサン化合物が用いられ、特にメチルアルミノキサンが好適である。この他にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムジクロリド等が用いられる。
また、イオン化剤としてホウ素化合物が好適である。ホウ素化合物としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレートのようなトリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジメチルテトラフェニルボレートのようなN,N−ジアルキルアニリニウム塩、トリスペンタフルオロフェニルホウ素のようなフェニルホウ素化合物が挙げられる。
これらのメタロセン触媒及び/又は有機アルミニウム化合物は担体に担持させて使用してもよく、担体としてはポリスチレン等の有機化合物、シリカ、アルミナ等の無機化合物が挙げられる。
また、予め少量のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、炭素数5以上のα−オレフィン、さらには炭素数5以上のα−オレフィン等で予備重合を行ってもよい。
【0012】
プロピレンと炭素数5以上のα−オレフィンとの共重合は、プロピレンと炭素数5以上のα−オレフィンとを混合し、接触させることにより行われる。反応中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することもでき、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることもできる。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割して添加することもできる。さらに、モノマーの量比が一定であるガスを連続的に反応系中に導入し、余剰ガスを排圧弁にて連続的に排出することにより、反応系中の各モノマーの量比を経時的に一定に保つこともできる。また、分子量調節剤として水素ガスを用いてもよい。
共重合の方法としては、特に制限されるものではなく、塊状重合、溶液重合、気相重合、懸濁重合等のいずれの方法でもよいし、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
重合条件は特に制限されることはなく、公知の方法と同様の条件とすることができる。例えば、重合温度は通常、−50〜250℃の範囲であり、好ましくは0〜150℃である。重合圧力は常圧から300kg/cm2-Gの範囲であり、重合時間は1分〜10時間程度である。
【0013】
本発明のプロピレンランダム共重合体組成物は、(A)プロピレンと炭素数5以上のα−オレフィンとからなるプロピレン系ランダム共重合体に、(B)核剤効果を有する物質を添加してなる組成物である。
ここで、(B)成分の核剤効果を有する物質(以下、「造核剤」という)としては、結晶核生成過程の進行速度を向上させるものであればよい。一般的には、プロピレン系共重合体の結晶化は、結晶核生成過程と結晶成長過程の2過程からなり、結晶核生成過程では、結晶化温度との温度差や分子鎖の配向挙動等がその結晶核生成速度に影響し、特に分子鎖の吸着等を経て分子鎖配向を助長する効果のある物質が存在すると不均一な結晶核生成速度は著しく増大する。
【0014】
本発明に用いる造核剤の具体例としては、高融点ポリマー、有機カルボン酸若しくはその金属塩、芳香族スルホン酸塩若しくはその金属塩、有機リン酸化合物若しくはその金属塩、シベンジリデンソルビトール若しくはその誘導体、ロジン酸部分金属塩、無機微粒子、イミド類、アミド類、キナクリドン類、キノン類又はこれらの混合物が挙げられる。
高融点ポリマーとしては、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン等のポリビニルシクロアルカン、ポリ3−メチルペンテン−1、ポリ3−メチルブテン−1、ポリアルケニルシラン等が挙げられる。金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウム等が挙げられる。無機微粒子としては、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファィト、アルミニウム粉末、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉末、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、硫化モリブデン等が挙げられる。中でも下記一般式(I)で示される有機リン酸金属塩及びタルク等の無機微粒子は臭いの発生が少なく、本発明のプロピレン系重合体組成物を食品向けの用途に用いる場合に好適である。
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び亜鉛のうちのいずれかを示し、Mがアルカリ金属のときmは0を、nは1を示し、Mが二価金属のときnは1又は2を示し、nが1のときmは1を、nが2のときmは0を示し、Mがアルミニウムのときmは1を、nは2を示す。)
更に、タルク等の無機微粒子を含むプロピレン系重合体組成物を成形してなるフィルムは、スリップ性にも優れるため、製袋、印刷等の二次加工性が向上し、各種自動充填包装ラミネート等の高速製造装置でのあらゆる汎用包装フィルムに好適である。
【0017】
造核剤としてジベンジリデンソルビトール又はその誘導体を含むプロピレン系重合体組成物を成形してなるフィルムは、特に透明性に優れディスプレー効果が大きいため、玩具、文具等の包装に好適である。
ジベンジリデンソルビトールの誘導体の具体例としては、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−4−クロロベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0018】
造核剤としてアミド化合物を含むプロピレン系重合体組成物を成形してなるフィルムは、特に剛性に優れ、高速製袋における巻き皺等の問題が起こりにくいため、高速製袋機でのあらゆる汎用包装フィルムとして好適である。
アミド化合物の具体例としては、アジピン酸ジアニリド、スペリン酸ジアニリド等が挙げられる。
【0019】
これらの造核剤の添加量は通常、プロピレン系ランダム共重合体に対して10ppm以上が好ましく、より好ましくは50〜3000ppmの範囲である。10ppm未満では低温ヒートシール性の改善がみられない場合があり、一方、3000ppmを超える量を添加しても好ましい効果が増大しない。
【0020】
上記(A)成分と(B)成分とからなるプロピレン系ランダム共重合体組成物は、示差走査型熱量計により測定したこの組成物の融点(Tm(℃))とこの組成物中の炭素数5以上のα−オレフィン単位の含有量(α(モル%))とが以下の関係式(I)
Tm≦140かつTm≦160−7α (I)
を満たすことが必要である。
Tmが140かつ "160−7α" の値を超える場合には、低温ヒートシール性と剛性とのバランスが低くなり、本発明の目的が達せられない。このバランスの面から、好ましくは
Tm≦130かつTm≦155−7α
より好ましくは
Tm≦120かつTm≦150−7α
特に好ましくは
Tm≦115かつTm≦145−7α
である。
また、このプロピレン系ランダム共重合体組成物は、示差走査型熱量計により測定した組成物の結晶化温度(Tc(℃))と融点(Tm(℃))とが以下の関係式(II)
Tc≧0.75Tm−15 (II)
を満たすことが必要である。
Tcが " 0. 75Tm−15" より小さい場合には、成形不良現象が起こり易くなり、本発明の目的が達せられない。成形不良現象を起こりにくくする面から、好ましくは
Tc≧0.75Tm−10
より好ましくは
Tc≧0.75Tm−5
である。
【0021】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体組成物における、炭素数5以上のα−オレフィン含有量、立体規則性の指標(P)及び極限粘度〔η〕の好ましい数値範囲は、上記プロピレン系ランダム共重合体における数値範囲と同様である。
【0022】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体、プロピレン系ランダム共重合体組成物、フィルム、積層体、繊維、シート又は成形体には、常用される酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、又は帯電防止剤等を必要に応じて配合することができる。
【0023】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体又はプロピレン系ランダム共重合体組成物は、溶融押出成形法によりフィルムに製膜できる。例えば、Tダイキャスト製膜法において、引取速度が50m/分又はこれ以上の高速製膜条件においても、厚みが10〜500μmのフィルムの製膜に好適である。また、上記共重合体及び共重合体組成物は、前述した好ましい特性を有することから、共押出製膜法による積層フィルムの製造に際して、その少なくとも一層として好適に使用でき、また、繊維、シート、成形体として好適に使用できる。
製膜法としては、大型製膜機により高速製膜が実施できるTダイキャスト製膜法が、剛性、ヒートシール性及び透明性が良好なフィルムを得る点から好ましいが、これに限られるものではなく、溶融押出成形法によりフィルムを製造する方法であれば、どのような製膜法であってもよい。
【0024】
本発明のプロピレン系ランダム共重合体からなるフィルム又はプロピレン系ランダム共重合体組成物からなるフィルムは、例えば、プロピレン系ランダム共重合体(又はプロピレン系ランダム共重合体と造核剤)と、所望に応じて用いられる各種添加剤とをヘンシェルミキサー等でドライブレンドしたものをキャスト成形により製膜して得ることができる。また予め、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて、プロピレン系共重合体(又はプロピレン系ランダム共重合体と造核剤)と、所望に応じて用いられる各種添加剤とを溶融混練することにより調製し、ペレット化したものをキャスト成形により製膜して得ることもできる。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定させるものではない。
まず、プロピレン系ランダム共重合体及びプロピレン系ランダム共重合体組成物の評価方法、並びにそれらからなるフィルムの評価方法について説明する。
(ア)樹脂特性の評価方法
(1) 融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)の測定
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製,DSC−7)を用い、あらかじめ試料10mgを窒素雰囲気下、230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温する。このときに得られた結晶化発熱カーブの最大ピークのピークトップを結晶化温度とした。また、さらに0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最大ピークのピークトップを融点とした。
(2) 共重合体中のコモノマー単位(炭素数5以上のα−オレフィン単位)の含有量(α( モル%) )及び立体規則性指標(P( モル%) )
日本電子社製のJNM−EX400型NMR装置を用い、以下の条件で13C−NMRスペクトルを測定し、以下の方法により算出した。
試料濃度 :220mg/NMR溶媒 3 ml
NMR溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン/ベンゼン-d6 (90/10 vol%)
測定温度 :130℃
パルス幅 :45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算回数 :4000回
【0026】
(a)1−オクテン単位
プロピレンと1−オクテンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第1表に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
共重合体中の1−オクテン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにおいて、主鎖メチレン炭素に注目し、下記の(1)式により求めた。
なお、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナルはPPP連鎖Tαβ炭素のシグナルと重なって分離が困難なため、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度は、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度で代用した。
【0029】
【数1】
【0030】
また、下記の(2)式により共重合体の立体規則性指標(P( モル%) )を求めた。
【0031】
【数2】
【0032】
ここで、I▲1▼、I▲2▼・・・等はシグナル▲1▼、▲2▼・・・等の強度を示す。
(b)1−ドデセン単位
プロピレンと1−ドデセンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第2表に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
共重合体中の1−ドデセン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにおいて、主鎖メチレン炭素に注目し、下記の(3)式により求めた。
なお、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナルはPPP連鎖Tαβ炭素のシグナルと、またPPP連鎖Sαβ炭素のシグナルは1−ドデセン単位の側鎖メチレン炭素のシグナルと重なって分離が困難なため、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度及びPPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度は、PPP連鎖Sαα炭素のシグナル強度で代用した。
【0035】
【数3】
【0036】
また、下記の(4)式により共重合体の立体規則性指標(P( モル%) )を求めた。
【0037】
【数4】
【0038】
ここで、I▲1▼、I▲2▼・・・等はシグナル▲1▼、▲2▼・・・等の強度を示す。
(c)エチレン単位
プロピレンと1−オクテンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第3表に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
共重合体中のエチレン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにより下記の(5)式により求めた。
α=E/S×100 (5)
ここで、S及びEはそれぞれ、
S=IEPE +IPPE +IEEE +IPPP +IPEE +IPEP
E=IEEE +2/3(IPEE +IEPE )+1/3(IPPE +IPEP )
であり、また
IEPE =I(12)
IPPE =I(15)+I(11)+(I(14)−I(11))/2 +I(10)
IEEE =I(18)/2+I(17)/4
IPPP =I(19)+(I(6) +I(7))/2+I(3) +I(13)+I(11)+(I(14)−I(11))/2
IPEE =I(20)
IPEP =(I(8) +I(9) −2×I(11))/4 +I(21)
である。
【0041】
また、下記(6)式により共重合体の立体規則性指標(P( モル%) )として、PPP連鎖のアイソタクチックトライアド分率を求めた。
【0042】
P=Im/I×100 (6)
ここで、Im及びIはそれぞれ、
Im=I(22)
I =I(22)+I(23)+I(24)−{(I(8) +I(9))/2+I(10)+3/2 ×I(11)+I(12)+I(13)+I(15)}
である。
ここで、I(1) 、I(2) ・・・等はシグナル(1) 、(2) ・・・等の強度を示す。
【0043】
(d)1−ブテン単位
プロピレンと1−ブテンのランダム共重合体について13C−NMRにより測定したスペクトルの各シグナルの化学シフトと帰属を第4表に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
共重合体中の1−ブテン単位の含有量(α( モル%) )は、13C−NMRで測定したスペクトルにおいて、主鎖メチレン炭素に注目し、下記の(7)式により求めた。
なお、PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度は、▲9▼のシグナル強度(PPP連鎖Sαβ炭素のシグナル強度)で代用した。
【0046】
【数5】
【0047】
また、下記の(8)式により共重合体の立体規則性指標(P( モル%) )を求めた。
【0048】
【数6】
【0049】
ここで、I▲1▼、I▲2▼・・・等はシグナル▲1▼、▲2▼・・・等の強度を示す。
(3) 極限粘度〔η〕の測定
(株)理合社のVMR−053型自動粘度計を用い、デカリン溶媒中135℃において測定した。
【0050】
(イ)フィルムの製膜方法
後述する実施例及び比較例で得たプロピレン系ランダム共重合体又はびプロピレン系ランダム共重合体組成物から、塚田樹機製作所製20mmφ成形機を用い、膜厚30μmのフィルムを以下の成形条件で製膜した。
Tダイ出口樹脂温度:192℃
チルロール温度 :60℃
引取速度 :6.0m/分
チルロール :鏡面
【0051】
(ウ)フィルムの品質の評価方法
フィルムの品質は製膜後、40℃×24時間のエージング処理を行った後、温度23±2℃、湿度50±10%で、16時間以上状態調節した後、同じ温度、同じ湿度条件下にて測定を行った。
(1) ヒートシール温度の測定
JIS K−1707に準拠して測定した。融着条件を以下に示す。なお、ヒートシールバーの温度は表面温度計により較正されている。シール後、室温で一昼夜放置し、その後室温で剥離速度を200mm/分にしてT型剥離法で剥離強度を測定した。ヒートシール温度は剥離強度が300g/15mmになる温度をシール温度−剥離強度曲線から計算して求めた。
シール時間:1秒
シール面積:15mm×10mm
シール圧力:2kg/cm2
シール温度:ヒートシール温度を内挿できるよう数点を測定
【0052】
(2) アンチブロッキング性の評価
長方形(30cm×15cm)のフィルムを接着面積が10cm×10cmの治具にそれぞれ固定し、以下の密着条件で密着させた後の引剥強度により評価した。引剥試験は以下の条件で行った。
密着条件1:温度;60 ℃、時間;3時間、荷重;36g/cm2、面積; 10cm x 10cm
密着条件2:温度;50 ℃、時間;1週間、荷重;15g/cm2、面積; 10cm x 10cm
引剥試験
テストスピード:20mm/分
ロードセル :2kg
【0053】
(3) スリップ性の評価
フィルムを張ったスレットを、フィルムを張ったガラス板の上に静置した後、ガラス板を傾けていきスレットが滑り出したときの傾き角θのtanで評価した。東洋精機製作所製の摩擦角測定機を用い、以下の条件にて測定した。
測定面 :金属ロール面/金属ロール面
傾斜速度 :2.7°/秒
スレッド重量 :1kg
スレッド断面積:65cm2
面間圧力 :15g/cm2
【0054】
(4) 透明性(ヘイズ)の測定
JIS K7105に従い測定した。
(5) 引張弾性率の測定
JIS K−7127に準拠した引張試験により以下の条件にて測定した。
クロスヘッド速度:500mm/分
ロードセル :10kg
測定方向 :マシン方向(MD方向)
【0055】
参考例1
シリカ担持メチルアルミノキサンのn−ヘプタン懸濁液の調製SiO2(フジシリシア社製,商品名:P−10)27.1gを200℃で2時間減圧乾燥処理し、乾燥シリカ25.9gを得た。この乾燥シリカをドライアイス/メタノール浴で−78℃に冷却したトルエン400ミリリットル中に投入し、攪拌しながら、これに1.5モル/リットルのメチルアルミノキサントルエン溶液145.5ミリリットルを1.0時間かけて滴下ロートにより滴下した。この状態で4.0時間放置したのち、−78℃から20℃まで6.0時間で昇温し、さらにこの状態で4.0時間放置した。その後、20℃から80℃まで1.0時間で昇温し、80℃で4.0時間放置することにより、シリカとメチルアルミノキサンとの反応を完了させた。
【0056】
この懸濁液を60℃でろ過し、得られた固形物を60℃にて、400ミリリットルのトルエンで2回、さらに60℃にて、400ミリリットルのn−ヘキサンで2回洗浄を実施した。
洗浄後の固形物を60℃で4.0時間減圧乾燥処理することにより、シリカ担持メチルアルミノキサン33.69gを得た。メチルアルミノキサンの担持量は23.12重量%であった。
このようにして得られたシリカ担持メチルアルミノキサン全量に、n−ヘプタンを加えて全容量を500ミリリットルとし、メチルアルミノキサン濃度0.27モル/リットルの懸濁液を調製した。
【0057】
▲2▼ シリカ担持メタロセン触媒の調製
窒素雰囲気下、300ミリリットルのシュレンクに、上記で得られたシリカ担持メチルフルミノキサン懸濁溶液74ミリリットル(20ミリモル)、ラセミ−ジメチルシリル−ビス−2−エチル−4,5−ベンゾインデニルジルコニウムジクロライドのヘプタン溶液40マイクロモルを加え、室温において10分間攪拌し、シリカ担持メタロセン触媒を調製した。
▲3▼ 重合
内容積10リットルのステンレン鋼製オートクレーブにn−ヘプタン5.0リットル、トリイソブチルアルミニウム5ミリモル、1−オクテン400ミリリットル及び上記で得られたシリカ担持メタロセン触媒40マイクロモルを仕込み、50℃に昇温し、全圧で8.0kg/cm2 Gまでプロピレンガスを導入し、重合を開始した。重合中に圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給した。4時間後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン−オクテンランダム共重合体パウダーを得た。
▲4▼ 添加剤処方
上記のようにして得た共重合体パウダーに以下の添加剤を処方し、混練機にて押出し造粒し、ペレットを得た。このペレットの樹脂特性を上記(ア)の方法で評価した。結果を第5表に示す。
酸化防止剤
チバガイギー社製のイルガノックス1010:1000ppm
及びチバガイギー社製のイルガフォス168:1000ppm
中和剤・・・・・・・・・・ステアリン酸カルシウム:1000ppm
アンチブロッキング剤・・・・・・・・・・シリカ系:1800ppm
スリップ剤・・・・・・・・・・・・エルカ酸アミド: 500ppm
▲5▼ フィルム成形及びフィルム評価
上記ペレットについて、上記(イ)の方法で製膜し、そのフィルム品質を上記(ウ)の方法で評価した。結果を第5表に示す。
【0058】
参考例2
重合時に仕込む1−オクテン量を300ミリリットルから500ミリリットルに、重合温度を50℃から40℃に変更した以外は全て参考例1と同様に行った。得られた共重合体の樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
【0059】
実施例1
(1)触媒の調製及び共重合体の製造
内容積10リットルのステンレン鋼製オートクレーブにn−ヘプタン5.0リットル、トリイソブチルアルミニウム6ミリモル、1−オクテン300ミリリットルを投入し、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートジメチルアニリニウム塩40マイクロモル、及びラセミ−ジメチルシリル−ビス−2−エチル−4,5−ベンゾインデニルジルコニウムジクロライド20マイクロモルを仕込み、50℃に昇温し、全圧で8.0kg/cm2Gまでプロピレンガスを導入し、重合を開始した。重合中に圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給した。3時間後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン−オクテンランダム共重合体パウダーを得た。
(2)添加剤処方
上記のようにして得た共重合体パウダーに以下の添加剤を処方し、混練機にて押出し造粒し、ペレットを得た。このペレットの樹脂特性を上記(ア)の方法で評価した。結果を第5表に示す。
酸化防止剤
チバガイギー社製のイルガノックス1010:1000ppm
及びチバガイギー社製のイルガフォス168:1000ppm
中和剤・・・・・・・・・・ステアリン酸カルシウム:1000ppm
アンチブロッキング剤・・・・・・・・・・シリカ系:1800ppm
スリップ剤・・・・・・・・・・・・エルカ酸アミド: 500ppm
造核剤・・・・・・・・浅田製粉社製のタルクMMR:1000ppm
(3)フィルム成形及びフィルム評価
参考例1と同様に行った。
実施例2
重合時に仕込む1−オクテン量を300ミリリットルから500ミリリットルに、重合温度を50℃から40℃に変更し、さらに造核剤のタルクMMR:1000ppmを新日本理化社製のゲルオールMD(ジメチルベンジリデンソルビトール):1000ppmに変更した以外は全て実施例1と同様に行った。得られた共重合体の樹脂特性及びフィルム品質の評価結果を第5表に示す。
参考例3
1−オクテンの代わりに1−ドデセンを700ミリリットル仕込み、重合温度を50℃から40℃にした以外は全て参考例1と同様に行った。得られた共重合体の樹脂特性及びフィルム品質を第5表に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
比較例1
添加剤処方を以下のように変更した以外は全て実施例2と同様に行った。しかし、フィルム成形時に成形不良現象が発生し、きれいなフィルムを得ることができなかった。得られた共重合体の樹脂特性を第6表に示す。
酸化防止剤
チバガイギー社製のイルガノックス1010:1000ppm
及びチバガイギー社製のイルガフォス168:1000ppm
中和剤・・・・・・・・・・ステアリン酸カルシウム:1000ppm
アンチブロッキング剤・・・・・・・・・・シリカ系:1800ppm
スリップ剤・・・・・・・・・・・・エルカ酸アミド: 500ppm
比較例2
プロピレン系ランダム共重合体の製造方法を下記のように変更した以外は、全て参考例1と同様に行った。しかし、フィルム成形時に成形不良現象が発生し、きれいなフィルムを得ることができなかった。樹脂特性を第6表に示す。
内容積10リットルのステンレン鋼製オートクレーブにトルエン6リットル、メチルアルミノキサン6ミリモルを仕込み、30℃に昇温し、全圧で7.0kg/cm2Gまでエチレンとプロピレンとの混合ガス(ガス組成比(体積比):エチレン/プロピレン=30/70)を導入した。そこへラセミ−ジメチルシリル−ビス−2−エチル−4,5−ベンゾインデニルジルコニウムジクロライド0.6マイクロモルを加え、重合を開始した。重合中に圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給した。1時間後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダーを得た。
【0062】
比較例3
プロピレン系ランダム共重合体の製造方法を下記のように変更した以外は、全て参考例1と同様に行った。樹脂特性及びフィルム品質を第6表に示す。
内容積10リットルのステンレン鋼製オートクレーブにトルエン6リットル、トリイソブチルアルミニウム6ミリモル及びテトラキスペンタフルオロフェニルボレートジメチルアニリニウム塩20マイクロモルを仕込み、50℃に昇温し、全圧で7.0kg/cm2Gまでエチレンとプロピレンとの混合ガス(ガス組成比(体積比):エチレン/プロピレン=10/100)を導入した。そこへ(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(インデニル)ハフニウムジクロライド5マイクロモルを加え、重合を開始した。重合中に圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給した。3時間後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダーを得た。
【0063】
比較例4
1−オクテンの代わりに1−ブテンを500ミリリットル仕込み、重合温度を40℃から50℃にした以外は全て比較例1と同様に行った。得られた共重合体の樹脂特性及びフィルム品質を第6表に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
【発明の効果】
本発明により、ポリプロピレンのフィルムが本来有する特性を損なうことなく、直鎖状低密度ポリオレフィンにも匹敵するような優れた低温ヒートシール性を発揮し、べとつきがなく、かつアンチブロッキング性、スリップ性、剛性にも優れたフィルム、積層体、繊維、シート及び成形体を安定して製造することができるプロピレン系ランダム共重合体及びプロピレン系ランダム共重合体組成物を得ることができる。
Claims (11)
- (A)周期律表第4族のメタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物又はイオン化剤を含む触媒を用いて得られたプロピレンと炭素数5以上のα−オレフィンとからなる、α−オレフィン単位の含有量が0.1〜4.9モル%であるプロピレン系ランダム共重合体に、(B)核剤効果を有する物質をプロピレン系ランダム共重合体に対して10〜3000ppmの範囲で添加してなる樹脂組成物であって、示差走査型熱量計により測定した組成物の融点(Tm(℃))と組成物中の炭素数5以上のα−オレフィン単位の含有量(α(モル%))が以下の関係式(I)
Tm≦120かつTm≦150−7α (I)
を満たし、示差走査型熱量計により測定した組成物の結晶化温度(Tc(℃))と融点(Tm(℃))とが以下の関係式(II)
Tc≧0.75Tm−15 (II)
を満たすことを特徴とするプロピレン系ランダム共重合体組成物。 - 炭素数5以上のα−オレフィン単位の含有量が4.1〜4.9モル%である請求項1に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 核剤効果を有する物質の含有量が、プロピレン系ランダム共重合体に対して1000〜3000ppmである請求項1または2に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 共重合体組成物が、その立体規則性指標(P)が85モル%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- デカリン中、温度135℃において測定した極限粘度〔η〕が0.5〜3デシリットル/gの範囲にある請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 炭素数5以上のα−オレフィン単位が、1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンのうちの少なくとも一つを含むものである請求項1〜5のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を製膜してなるフィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を少なくともその一層成分とする積層体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含む繊維。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含むシート。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含む成形体。
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