JP4245527B2 - 廃棄物処理装置の運転方法 - Google Patents
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Description
なお、本明細書において廃棄物というときは、都市ごみ、産業廃棄物、汚泥、バイオマス、およびこれらの混合物をいう。
このような構成の廃棄物処理装置における除塵装置22においては、可燃性ガスを、その温度を250〜500℃に保ちつつ、ろ過体に導入して可燃性ガス中のダスト濃度を0.1g/Nm3以下まで低減するとしている。可燃性ガスの温度を上記範囲に設定した理由は、250℃未満では可燃性ガスに含まれるタールの大部分が凝縮して液状であるため除塵装置へ可燃性ガスを導入するダクト内面や除塵装置入口付近に付着して、可燃性ガスの流通に支障が生じる問題があり、500℃より高いとダスト中の塩類が溶融してろ過体の目詰まりが生じる問題があるからである。
さらに、酸素濃度5%以下のガスあるいは窒素ガスで定期的にろ過体の付着物を払い落とすこととしている。
除塵装置22を通過してダスト濃度が極めて小さくなった可燃性ガス中には、硫酸塩に由来する腐食性物質が殆んど無くなるので、下流側に備えられた高温高圧蒸気を回収するボイラチューブの腐食は激減され、廃棄物からの高効率発電が可能となる(特許文献1参照)。
図6は払落し装置5による払い落とし動作とフィルタ3の差圧との関係を示すグラフであり、縦軸がフィルタ差圧、横軸が時間を示している。図6に示すように、フィルタ3にはダストが付着することで差圧が上昇するが、この差圧の時間当たりの上昇量すなわち差圧上昇率は通常図6に示すように一定している(図6の直線の傾きが一定である)。
定期的に行われる払落し動作によって付着したダストが払い落とされると、一旦上昇した差圧は低下する。この払い落とし動作によって付着物を払い落とした後の安定したフィルタ差圧をベース差圧という。このベース差圧が一つ前の払い落としによるベース差圧と同じ場合(図6の状態)若しくは低い場合には、ベース差圧が上昇することはなく正常な運転を継続できる。
図7はタール分が含まれる可燃性ガスの除塵を行なったときのフィルタ3の差圧の変化を示したグラフであり、縦軸がフィルタの差圧を示し、横軸が時間を示している。
図7に示されるように、可燃性ガスにタールが含まれる場合には、ベース差圧が一つ前のベース差圧よりも若干高くなり、時間と共に徐々に上昇していく。これはフィルタ3に付着したタールが通常の払い落とし動作では十分に払い落とすことが出来ず、付着分が徐々に増加してベース差圧増加の原因となるからである。
また、可燃性ガス中のタールが上昇した場合には、差圧上昇率が急激に上昇し、定期的に行なわれる払落し動作の前に許容値を超えることもある。
また、ろ過体前後の差圧は、時間と共に可燃性ガス中のダストが累積して付着するため、ある差圧上昇率を有して上昇する(図6参照)。もちろん、ベース差圧や差圧上昇率には細かな圧力変動があり、ほぼ一定といっても、ベース差圧や単位時間あたりに上昇する差圧量(差圧上昇率)は、0.05〜0.3kPa程度変動する。
タールからなる粒子は、表面が液状になっているため、ろ過体に他の固体粒子以上の付着力で付着する。そのため、払落しガスによる払落し動作では落ちにくくなり、ろ過体前後の差圧上昇を招き、ベース差圧や差圧上昇率の上昇を発生させる。
他方、タール含有粒子が少なくなると、ベース差圧や差圧上昇率は低下する。これは、可燃性ガス中のタールが少なくなることでろ過体に新たに付着するタールが少なくなると共に、ろ過体中に馴染んだタールが通過する可燃性ガスと共に下流側に流されてろ過体に付着していたタールが減少するからである。
このように可燃性ガス中のタールの量はろ過体のベース差圧や差圧上昇率の変化に密接に関連している。
他方、廃棄物の部分酸化度合いが減り、可燃ガス成分の発生量が増加し、可燃性ガスの発熱量が増加することに伴ってタールの量は増加し、逆に廃棄物の部分酸化度合いが増し、可燃ガス成分の発生量が減少し、可燃性ガスの発熱量が減少することに伴ってタールの量は減少する。
このように、ろ過体のベース差圧や差圧上昇率の上昇と可燃性ガス中のタールの量との間に相関関係があり、タールの量と可燃性ガスの発熱量との間にも相関関係があることから、発明者は、ろ過体のベース差圧や差圧上昇率の上昇と可燃性ガスの発熱量との間に相関関係があり、ベース差圧や差圧上昇率の増減変化に基づいて可燃性ガスの発熱量を制御できるのではないかとの知見を得た。
以上から、ベース差圧を検出して該ベース差圧が0.6KPa 〜1.0KPaとなるように、部分酸化炉の燃焼を制御すれば、ろ過体のベース差圧の増加によるトラブルの発生を防止しつつ可燃性ガスの適切な発熱量を確保できる。
差圧上昇率の上昇の場合もベース差圧上昇の場合と全く同様の関係があり、差圧上昇率の上昇程度をとらえて部分酸化炉の燃焼制御をするようにしても同様の効果を得られる。
図4に示した廃棄物処理装置において、部分酸化炉21から発生する可燃性ガスを250℃〜500℃で除塵装置22に導入して除塵を実施中、処理対象物がカーシュレッダーダストから木屑を主成分とする廃棄物に替わったときに、除塵装置22の差圧が急に高くなった。その際、除塵装置下から回収されたダストを分析したところ揮発分が5.5wt%含まれたタール分の多いダストであることが確認された。
他方、これ以前に木屑を主成分とする廃棄物を適切な部分酸化条件で処理した場合の除塵装置下から回収されたダストは揮発分が4.5wt%であり、特に除塵装置22の差圧が高くなることはなかった。
上述のように、部分酸化炉の部分酸化状況により、可燃性ガス中のタールが増減し、除塵装置の差圧が増減する。そこで、発明者は可燃性ガス中のタールの増減変化に基づき部分酸化炉の燃焼制御をするため、除塵装置内でのダストにおけるタール量を検知することに着目した。
しかし、約400℃の除塵装置内でのダストにおけるタールの割合を定量的に把握することは難しい。そこで、本発明においてはこのタールの重量割合を定量的に示す代表値として、除塵装置下から回収されたダスト中の「揮発分」を用いる。この揮発分の分析方法は、石炭の分析で一般に用いられるJIS規格に定められた方法による。
本発明は上記の知見を基になされたものである。
なお、廃棄物から可燃性ガスを発生させる方法としては、部分酸化、熱分解、ガス化及び乾留によるものがある。
ベース差圧に基づいて制御する場合には、ベース差圧が、0.6〜1.0kPaの範囲になるようにするのが好ましい。また、時間あたりの差圧上昇量の増減変化すなわち差圧上昇率により制御する場合は、0.1〜1.0kPa/時の範囲になるようにするのが好ましい。
具体的には、ベース差圧が所定値を超えたとき、あるいは、時間あたりの差圧上昇量が所定値を超えたとき、またあるいは除塵装置から回収されるダストの揮発分が5wt%を越えたときには、部分酸化炉における廃棄物の燃焼量が増加するように酸化剤を増加させるか、あるいは廃棄物の供給量を減少させるようにする。
他方、ベース差圧が所定値より小さくなったとき、あるいは、時間あたりの差圧上昇量が所定値より小さくなったとき、またあるいは除塵装置から回収されるダストの揮発分が所定値よりも少なくなったときには、部分酸化炉における廃棄物の燃焼量が減少するように酸化剤を減少させか、あるいは廃棄物の供給量を増加させるようにする。
酸化剤としては、空気、酸素、水蒸気、排ガス等、あるいはこれらの組合せからなるガスがある。また、部分酸化用の酸化剤の温度を増減させて部分酸化量を制御すると、より良い制御が可能となる。
なお、部分酸化の燃焼量の制御操作量は、酸化剤および廃棄物の供給量ともに基準値に対して、±50%程度である。これ以上変動させても、ろ過体前後の差圧を制御できない場合は、別の原因が考えられるので、一度炉を止めて点検作業をすることが望ましい。
酸化剤として空気を用いた場合、部分酸化時の空気量は、廃棄物の燃焼に必要な理論空気量を1とすると、通常0.4〜0.6で運転するのが好ましい。
その結果、廃棄物由来の腐食性ダストを含む可燃性ガスから腐食性ダストやその他の固体粒子を除塵することが可能となるので、これまで技術的、コスト的に実現できなかった廃熱ボイラによる廃棄物高効率発電や、ガスエンジンやガスタービン等の他の方式による電気エネルギーやその他のエネルギーへの変換が実現でき、それによって廃棄物から多くのエネルギーを回収することが可能となる。
本実施の形態に係る廃棄物処理装置は、廃棄物から可燃性ガスを発生させる部分酸化炉21と、該部分酸化炉21で発生した可燃性ガスを250℃〜500℃で導入してろ過するろ過体を備えてなる除塵装置22と、該除塵装置22によって除塵された可燃性ガスを燃焼することによって有効なエネルギーに変換するエネルギー変換装置23と、前記ろ過体前後の差圧を検知する差圧検知手段25と、該差圧検知手段25で検知された差圧に基づいて廃棄物の燃焼量を制御する制御手段27と、を備えている。
以下、本実施の形態に係る運転方法について図2を参照しながら説明する。
装置稼動から12時間まではλ0=0.4(λ0:部分酸化用空気量/燃焼に必用な理論空気量)で運転していたところ、ベース差圧が0.7KPaで安定していた。稼動後12時間を過ぎた時点で、ベース差圧が上昇し始め、稼動後24時間の時点でベース差圧が0.9
KPaになった。
そこで、可燃性ガス中のタール量を減少させるため、可燃性ガスの発熱量を減少させ、廃棄物の燃焼量を増加させるべく制御手段27によって空気量を増し、λ0=0.6とした。
その後、ベース差圧は若干だけ上昇したものの直ぐに低下しはじめたので、稼動後36時間の時点で空気量を減少させ、λ0=0.5とした。この時点でも除塵装置22下から回収されたダストを分析したところダストのタール含有量は5wt%未満であった。
その後、ベース差圧は緩やかに減少し続け、稼動後60時間の時点でベース差圧が0.6 KPa近くまで低下した。そこで、さらに空気量を減少させて、λ0=0.4となるようにしたところベース差圧は若干上昇して約0.7KPaで安定した。
なお、上記実施の形態においては、廃棄物焼却炉を例に挙げたが、石炭燃焼/ガス化プラントにおいても同様の処理を行うことで同様の効果を得ることができる。
Claims (6)
- 廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスを250℃〜500℃でろ過体を備えてなる除塵装置に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置の運転方法において、ろ過体前後の差圧変化を検知して、該ろ過体前後の差圧変化に基づいて可燃性ガス発生工程における廃棄物の燃焼量を制御することを特徴とする廃棄物処理装置の運転方法。
- ろ過体前後の差圧変化の検知は、可燃性ガスの流れに対してろ過体前後あるいは除塵装置前後、あるいはろ過体上流側と大気圧間において、ベース差圧の増減変化又は時間あたりの差圧上昇量の増減変化により行なうことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置の運転方法。
- ベース差圧が増加した場合又は時間あたりの差圧上昇量が増加した場合には可燃性ガス発生工程における廃棄物の燃焼量を増加し、ベース差圧が減少した場合又は時間あたりの差圧上昇量が減少した場合には可燃性ガス発生工程における廃棄物の燃焼量を減少するように制御することを特徴とする請求項2記載の廃棄物処理装置の運転方法。
- 廃棄物から可燃性ガスを発生させ、該発生した可燃性ガスを250℃〜500℃でろ過体を備えてなる除塵装置に導入して該可燃性ガス中のダスト類を除去し、さらに燃焼する廃棄物処理装置の運転方法において、除塵装置から回収されるダストの揮発分が、5wt%以下となるように、可燃性ガス発生工程における廃棄物の燃焼量を制御することを特徴とする廃棄物処理装置の運転方法。
- 廃棄物の燃焼量の制御は、可燃性ガス発生工程において供給する酸化剤の増減および/または廃棄物の供給量の増減により行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃棄物処理装置の運転方法。
- 廃棄物から可燃性ガスを発生させる部分酸化炉と、該部分酸化炉で発生した可燃性ガスを250℃〜500℃で導入してろ過するろ過体を備えてなる除塵装置と、該除塵装置によって除塵された可燃性ガスを燃焼することによってエネルギーに変換するエネルギー変換装置とを備えてなる廃棄物処理装置であって、前記ろ過体前後の差圧を検知する差圧検知手段と、該差圧検知手段で検知された差圧に基づいて廃棄物の燃焼量を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする廃棄物処理装置。
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