JP4367280B2 - 除塵装置の運転方法 - Google Patents
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なお、本明細書において廃棄物というときは、都市ごみ、産業廃棄物、汚泥、バイオマス、およびこれらの混合物をいう。
このような構成の廃棄物処理装置における除塵装置22においては、可燃性ガスを、その温度を250〜500℃に保ちつつ、ろ過体に導入して可燃性ガス中のダスト濃度を0.1g/Nm3以下まで低減するとしている。可燃性ガスの温度を上記範囲に設定した理由は、250℃未満では可燃性ガスに含まれるタールの大部分が凝縮して液状であるため除塵装置へ可燃性ガスを導入するダクト内面や除塵装置入口付近に付着して、可燃性ガスの流通に支障が生じる問題があり、500℃より高いとダスト中の塩類が溶融してろ過体の目詰まりが生じる問題があるからである。
さらに、酸素濃度5%以下のガスあるいは窒素ガスで定期的にろ過体の付着物を払い落とすこととしている(特許文献1参照)。
図5は払落し装置5による払い落とし動作とフィルタ3の差圧との関係を示すグラフであり、縦軸がフィルタ差圧、横軸が時間を示している。フィルタの差圧は例えば除塵装置の入口と出口の圧力差を計測して求められる。
図5に示すように、フィルタ3にはダストが付着することで差圧が上昇するが、定期的に行われる払い落とし動作によって付着したダストが払い落とされると、一旦上昇した差圧は低下する。この払い落とし動作によって付着物を払い落とした後の安定したフィルタ差圧をベース差圧という。このベース差圧が一つ前の払い落としによるベース差圧と同じ場合(図5の状態)若しくは低い場合には、ベース差圧が上昇することはなく正常な運転を継続できる。
図6はタール分が含まれる可燃性ガスの除塵を行なったときのフィルタ3の差圧の変化を示したグラフであり、縦軸がフィルタの差圧を示し、横軸が時間を示している。
図6に示されるように、可燃性ガスにタールが含まれる場合には、ベース差圧が一つ前のベース差圧よりも若干高くなり、時間と共に徐々に上昇していく。これは、タールの粒子はその表面が液状になっているため他の固体粒子以上の付着力でフィルタに付着するため、通常の払い落とし動作では十分に払い落とすことが出来ず、付着分が徐々に増加してベース差圧増加の原因となるからである。
しかしながら、従来においては、ダストの払い落としはなされているものの、タールや煤の付着によるベース差圧上昇に対する対策はなんらなされていない。
通常、除塵装置を安定して運転できる場合、ろ過体(フィルタ)前後の差圧に注目すると、ろ過体に付着したダストを払落しガスによって払い落とした後の安定した差圧、すなわちろ過体の「ベース差圧」は、それぞれの廃棄物から生成された可燃性ガスに馴染んだほぼ一定のベース差圧になる(図5参照)。
また、ろ過体前後の差圧は、時間と共に可燃性ガス中のダストが累積して付着するため、ある差圧上昇率を有して上昇する。もちろん、ベース差圧や差圧上昇率には細かな圧力変動があり、ほぼ一定といっても、ベース差圧や単位時間あたりに上昇する差圧量(差圧上昇率)は、0.05〜0.3kPa程度変動する。
タールからなる粒子は、表面が液状になっているため、ろ過体に他の固体粒子以上の付着力で付着する。そのため、払落しガスによる払落し動作では落ちにくくなり、ろ過体前後の差圧上昇を招き、ベース差圧や差圧上昇率の上昇を発生させる。
他方、タール粒子が少なくなると、ベース差圧や差圧上昇率は低下する。これは、可燃性ガス中のタールが少なくなることでろ過体に新たに付着するタールが少なくなると共に、ろ過体中に馴染んだタールが通過する可燃性ガスと共に下流側に流されてろ過体に付着していたタールが減少するからである。
このように可燃性ガス中のタールの量はろ過体のベース差圧や差圧上昇率の変化に密接に関連している。
ろ過体のベース差圧や差圧上昇率の上昇と可燃性ガス中のタールの量との間に相関関係があることから、発明者は、ベース差圧や差圧上昇率の増減変化に基づいて可燃性ガス中のタールがろ過体に付着することを低減するように対応することを検討した。
廃棄物を部分酸化させて生成された可燃性ガス中の固体粒子は、酸化雰囲気でのダスト成分と異なり、タール成分を含むと共に、高温でも安定なすすのような炭素を主成分とする未燃成分ダストを数wt%から数十wt%含む。この高温安定粒子はタールとの濡れ性が良いので、タールは主に無機材料を主成分とするろ過体よりも、図2に示すように、炭素主成分の高温安定粒子に付着することになり、ろ過体にタールが直接単独で付着することが少なくなり、あるいはろ過体に付着しても剥離し易くなったために、ろ過体の差圧上昇を防止できることを発見した。
図3に示した廃棄物処理装置において、部分酸化炉21から発生する可燃性ガスを250℃〜500℃で除塵装置22に導入して除塵を実施中、処理対象物がカーシュレッダーダストから木屑を主成分とする廃棄物に替わったときに、除塵装置22の差圧が急に高くなった。その際、除塵装置下から回収されたダストを分析したところ揮発分が5.5wt%含まれたタール分の多いダストであることが確認された。
他方、木屑を主成分とする廃棄物を適切な部分酸化条件で処理した場合の除塵装置下から回収されたダストは揮発分が4.5wt%であり、特に除塵装置22の差圧が高くなることはなかった。
上述のように、部分酸化炉の部分酸化状況により、可燃性ガス中のタールが増減し、除塵装置の差圧が増減する。そこで、発明者は可燃性ガス中のタールの増減変化に基づき可燃性ガス中のタールがろ過体に付着することを低減するように対応するため、除塵装置内でのダストにおけるタール量を検知することに着目した。
しかし、約400℃の除塵装置内でのダストにおけるタールの割合を定量的に把握することは難しい。そこで、本発明においてはこのタールの重量割合を定量的に示す代表値として、除塵装置下から回収されたダスト中の「揮発分」を用いる。この揮発分の分析方法は、石炭の分析で一般に用いられるJIS規格に定められた方法による。
また、適切な粉体の吹き込み量は粉体の種類により異なるが、かさ比重が1.2g/cm3以上で、粒径10μm以上の粉体を吹き込めば、微粒子ダストがその周囲に付着して、重力により落下し、回収することが可能であることがわかった。
本発明は上記の知見を基になされたものである。
ろ過体の差圧とはベース差圧又は時間あたりの差圧上昇量をいう。
なお、上記高温安定粒子とは、250℃〜500℃の雰囲気でも表面が液化しない粒子をいう。高温安定粒子は、主として無機材料を主成分とするろ過体よりもタールとの濡れ性がよいので、タールは前記高温安定粒子に付着することになり、ろ過体へ直接付着することが少なくなる。
また、廃棄物から可燃性ガスを発生させる方法としては、部分酸化、熱分解、ガス化及び乾留によるものがある。
このようにすることにより、ろ過体に付着するダスト中のダストを低減できる。
バグフィルタの上流側で酸性ガス中和のため消石灰粉を吹き込む場合には、集塵灰に未反応の消石灰粉が含まれるので、除塵装置内で酸性ガスを中和できるので下流側の機器の腐食防止の効果がある。
マグネシウム化合物としては、ドロマイト、炭酸水酸化マグネシウムが好ましく、カルシウム化合物としては消石灰、炭酸カルシウムが安価であり好ましい。
マグネシウム化合物やカルシウム化合物を含むようにすることで、可燃性ガスの中の酸性ガスを除去でき、下流側の機器の腐食防止ができる。
また、活性炭、コークス粉等の炭素を主成分とする高温安定粒子は、主として無機材料を主成分とするろ過体よりもタールとの濡れ性がよいので、タールは前記高温安定粒子に付着することになり、ろ過体へ直接付着することが少なくなる。また、ダイオキシン類を吸着してその排出を抑制できる。
また、除塵装置22に導入される可燃性ガス中に高温安定粒子を含む粉体を吹き込みできるようになっている。さらに、バグフィルタ7で回収される集塵灰を前記粉体に代えて又は前記粉体と同時に除塵装置22に導入される可燃性ガス中に吹き込めるようになっている。
高温安定粒子を含む粉体を吹き込むことで、可燃性ガスに含まれるタール分が図2に示すように、高温安定粒子の周囲に付着する。高温安定粒子に付着したタールは、おおきな塊となるので、その塊がフィルタ表面に付着しても、容易に剥離しやすくなり、ベース差圧の上昇が防止される。
除塵装置からダストを回収して揮発分を計測することを省いて、ベース差圧が上昇した場合に、高温安定粒子を含む粉体を吹き込むようにしてもよい。
集塵灰又はマグネシウム化合物やカルシウム化合物を含む粉体を吹込むことで、可燃性ガスの酸性ガスを除去でき、下流側の機器の腐食防止ができる。
また、活性炭、コークス粉等の炭素を主成分とする高温安定粒子は、セラミックフィルタの主成分である無機材料よりもタールとの濡れ性がよいので、タールは前記高温安定粒子に付着することになり、フィルタへ直接付着することが少なくなる。
Claims (5)
- 廃棄物から発生させた可燃性ガスを250℃〜500℃でろ過体にてろ過して除塵する除塵装置の運転方法であって、前記ろ過体の差圧が所定値を超えたときに高温安定粒子を含む粉体を除塵装置内に吹き込むことを特徴とする除塵装置の運転方法。
- 除塵装置から回収されるダストの揮発分が5wt%を超えた場合に、前記ダストの揮発分が5wt%以下となるように高温安定粒子を含む粉体を除塵装置内に吹き込むことを特徴とする請求項1に記載の除塵装置の運転方法。
- 高温安定粒子を含む粉体は、かさ比重が1.2g/cm3以上で、粒径10μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の除塵装置の運転方法。
- 高温安定粒子を含む粉体は、除塵装置の下流側に設けられたバグフィルターで捕集された集塵灰であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の除塵装置の運転方法。
- 高温安定粒子を含む粉体は、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、活性炭、コークス粉のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の除塵装置の運転方法。
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