JP4220811B2 - 廃棄物ガス化方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は都市ごみや廃電線、シュレッダーダスト等の難処理プラスチック系廃棄物などを含有する可燃性廃棄物の熱分解ガスを改質炉内に導入し、熱分解ガス中に含まれる高分子量の有機化合物であるタール分や軽油分をCO、H2、C数1〜4程度の炭化水素等の低分子量の改質ガスに変換するための廃棄物ガス化方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国の従来の可燃性廃棄物の処理方法は、都市ごみについてはストーカー式焼却炉や流動床式焼却炉により焼却した後、燃焼排ガスの廃熱をボイラで蒸気回収し、回収した蒸気を蒸気タービン発電する方式が用いられている。しかしながら通常10〜15%程度の低い効率の発電しか行うことができず、廃棄物をエネルギー資源として有効利用できていないのが現状である。発電効率が低い原因は回収蒸気温度が300℃程度と低いためであり、発電効率向上のためには回収蒸気温度を一般の火力発電所並みの500〜600℃まで上昇させる必要があるが、燃焼排ガス中にはアルカリ金属等の腐食性ダストや塩酸ガスが含まれていることから、回収蒸気温度を高くするとボイラ過熱部の伝熱管温度が高くなって腐食性ダストや塩酸ガスによる高温腐食を受けてしまい、回収蒸気温度は300℃以下に抑える必要がある。ボイラの高温腐食を抑制するために高価な耐食鋼管を使用した場合でも回収蒸気温度は400℃程度で発電効率20%程度が限界である。
【0003】
また、廃電線やシュレッダーダスト等の難処理プラスチック系廃棄物の処理方法については、ダイオキシン等の有毒ガス発生や炉体損傷が懸念されるために焼却炉による焼却処理が難しく、例えば、非特許文献1に記載されているように大半が埋立て処分されておりエネルギー資源として利用できていないのが現状である。
【0004】
これらの問題の解決を目的とした新たな廃棄物処理方法として、例えば、非特許文献2に記載されているように、廃棄物を熱分解処理して廃棄物中の揮発分を熱分解ガスとした後、熱分解ガスを空気と共に改質炉内に導入し、改質炉内で1000〜1200℃程度の反応温度下で熱分解ガス中に含まれる高分子量の有機化合物であるタール分や軽油分を部分燃焼反応および水蒸気改質反応させてCO、H2、C数1〜4程度の炭化水素等からなる低分子量の改質ガスに変換し、得られた改質ガスを精製した後ガスエンジン発電する廃棄物ガス変換法が開発されている。副生する熱分解残渣については金属類を分離して炭化物を燃料に利用したり、溶融処理して得たスラグを路盤材等に利用する。廃棄物ガス変換法は廃棄物の持つ発熱量の大半が改質ガスの発熱量として回収されるため、冷却を伴うガス精製を行うことでき、クリーンガスを用いたガスエンジン発電により30%以上の高効率発電が可能である。
【0005】
廃棄物ガス変換法の改質炉は、通常熱分解ガスを部分燃焼させて反応温度を確保するが、既存の改質炉の熱分解ガス燃焼方法は、例えば、特許文献1の図7に記載されているように熱分解ガス吹込ノズルと空気吹込ノズルが一体化したバーナー方式が用いられており、これは非特許文献3に記載されているように、気体燃料燃焼法として広く一般的に使用されている方法を改質炉に適用したものである。しかしながら既存の改質炉の抱える課題として、発熱量の高い改質ガス生成を目的として改質炉に空気の代わりに純酸素等の高酸素濃度ガスを導入して熱分解ガスを部分燃焼する場合、バーナー近傍で急激な酸素燃焼が生じるために局部的な高温フレームが形成されてバーナー損耗やバーナー対向部の炉壁損耗が生じやすくなるという点が挙げられる。
【0006】
【非特許文献1】
「クリーンジャパン」vol.135,P22-25,2000、22頁11行目
【非特許文献2】
「自動車研究」Vol.23,No.12,P668-673、670頁図1
【特許文献1】
「特願2000−67278」、図7
【非特許文献3】
「日本機会学会編燃焼工学ハンドブック初版」、P148〜P164
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、改質炉で純酸素等の高酸素濃度ガスを用いて熱分解ガスを部分燃焼する場合でも、バーナー損耗や炉壁損耗を抑制し、安定的なガス改質処理が可能な廃棄物ガス化方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、以下(1)〜(4)に示す通りである。
(1)可燃性廃棄物を外熱式ロータリーキルンで熱分解して生じた可燃性廃棄物の熱分解ガスを改質炉内で酸素および水蒸気と反応させて改質ガスに変換する廃棄物ガス化方法であって、熱分解ガスを改質炉炉頂部から直線流で吹き込み、酸素を改質炉側壁部の高さ方向に複数段に分割して吹き込み、水蒸気を上から第一段目の酸素と共に改質炉内に導入し、酸素および水蒸気を改質炉内に導入する際に、改質炉の直径方向の同一平面上に設けた4〜8本のノズルから斜め下向きの旋回流で吹き込むと共に、2重管の内管から酸素を導入し、内管の外側に設けた外管から吐出角度が90度以下となるように水蒸気を導入することを特徴とする廃棄物ガス化方法。
(2)前記可燃性廃棄物が、シュレッダーダスト又は複数種類の可燃性廃棄物であることを特徴とする(1)記載の廃棄物ガス化方法。
)可燃性廃棄物を外熱式ロータリーキルンで熱分解して生じた可燃性廃棄物の熱分解ガスを改質炉内で酸素および水蒸気と反応させて改質ガスに変換する廃棄物のガス化装置であって、熱分解ガスの直線流での吹込ノズルを改質炉炉頂部に配置し、酸素吹込ノズルを改質炉側壁部の高さ方向に複数段配置し、上から第一段目の酸素吹込ノズルは水蒸気を酸素と共に改質炉内に導入する機能を有し、更に第一段目の酸素吹込ノズルを、改質炉の直径方向の同一平面上に4〜8本設け、斜め下向きの旋回流を形成するように配置すると共に、第一段目の酸素吹込ノズルが、酸素を導入する内管と、内管の外側に設けた水蒸気を導入する外管と、水蒸気の吐出角度がノズル先端面に対して90度以下となるように先端部に設けたノズルチップから構成されることを特徴とする廃棄物ガス化装置。
(4)前記可燃性廃棄物が、シュレッダーダスト又は複数種類の可燃性廃棄物であることを特徴とする(3)記載の廃棄物ガス化装置。
【0009】
ここで、吐出角度とはノズル軸に垂直な面と水蒸気の吐出流の中心軸線とのなす角度と定義する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の廃棄物ガス化方法および装置を実施するための設備例を示すブロック図である。
【0011】
発明は、廃棄物の熱分解ガスを熱分解ガス吹込ノズル1を用いて改質炉2の炉頂部から導入し、酸素吹込ノズル3〜5を用いて改質炉2の側壁部高さ方向の複数段から酸素を導入し、改質反応促進のガス化剤の水蒸気を第一段目の酸素吹込ノズル3から酸素と共に改質炉2内に導入する。
【0012】
改質炉2内に導入された熱分解ガスは、まず第一段目の酸素吹込ノズル3から導入された酸素と燃焼反応を起こしてCO2やH2O等を生成すると共にガス温度を上昇させ、続いて熱分解ガスが分解反応や水蒸気との改質反応を起こして熱分解ガス中のタール分や軽油分などの高分子量の炭化水素類がCO、CO2、H2、H2Oや炭素数1〜4程度の炭化水素等からなる低分子量ガスに改質させる。改質炉内は、炉壁からの熱損失や吸熱反応の熱分解ガス改質反応により炉下部ほど炉内温度が低下するため、改質炉の高さ方向に第二段目および第三段目の酸素吹込ノズルを設けてガスを部分燃焼させ炉内温度を調整する。尚、図1の例では酸素吹込ノズルの段数は三段としたが、改質炉の高さや温度分布状況に応じて二段以上に増減させるのが望ましい。
【0013】
本発明は、熱分解ガスと酸素を個別のノズルを用いて、それぞれ炉頂部および炉側壁から改質炉3内に導入することによって従来のバーナー方式に比べて炉壁から離れた位置に燃焼フレームが形成され、加えて改質反応促進のガス化剤である水蒸気を第一段目の酸素ノズルから集中して吹き込むことによって、熱分解ガスの酸素燃焼による急激な温度上昇が緩和され、ノズル損耗や炉壁損耗の抑制が可能となる。
【0014】
また、本発明では、改質炉の第一段目の酸素導入方法が図2に示すように、改質炉の直径方向の同一平面上に4〜8本のノズル8を設けて斜め下向きの旋回流とする。4本以上のノズルから導入された酸素および水蒸気が改質炉の直径方向の平面上に安定した旋回円を形成し、これに炉頂から導入された熱分解ガスの直線流が接触するので、操業変動等により熱分解ガスが偏流しても吹き抜けが生じにくく、酸素および水蒸気と効率的な改質反応を行うことができる。また、斜め下向きのノズル角度とすることでノズル対向部の炉壁損耗を抑制することができる。一方、ノズルが8本より多くなると装置が複雑になる反面、効果が飽和するので8本以下とすることが好ましい。
【0015】
第2段目以降の酸素吹込ノズルの角度は、特に限定することなく、水平でも斜め上向きでも本発明の効果を得ることができるが、下向きの旋回流にすると1段目のノズルと同様な効果を得ることができるので、斜め下向きの旋回流となるように配置することが好ましい。
【0016】
また、本発明では、改質炉の第一段目の酸素吹込ノズルが、図3に示すように、酸素を導入する内管9と、水蒸気を導入する外管10と、水蒸気の吐出角度がノズル先端面に対して90度以下となるように外管の先端部に設けたノズルチップ11から構成される。必要に応じて、ノズル保護のために外管10の外側に間接水冷管を設けても良い。酸素と熱分解ガスを直接接触させずに水蒸気で酸素を希釈することは急激な温度上昇を緩和させてノズル損耗や、すす発生を抑制するのに有効であるが、含水率の変動範囲が大きいシュレッダーダスト等の廃棄物を処理して熱分解ガス中蒸気量の変動範囲が大きい場合や、複数種類の廃棄物を処理対象とするために熱分解ガス中のタール分および軽油分の性状が変動して改質炉での所要蒸気量条件が変化する場合には、酸素と水蒸気を事前混合して改質炉内に吹き込む方法では水蒸気吹込量の増減に伴う酸素の吐出流速の変動が大きくなり、改質炉内での流動状態および改質反応の不安定化を招きやすい。
【0017】
本発明は、ノズル先端面に対して90度以下の吐出角度で吹き込まれた水蒸気が酸素吐出流の外周を取り囲みながら徐々に酸素と混合していくため、水蒸気吹込量を変化させても酸素吐出流の流速に及ぼす影響が小さく、熱分解ガスが酸素と直接接触することを抑制でき、最終的な酸素と水蒸気の混合性も良い。
【0018】
【実施例】
(実施例1)
実施例1として図1、図2、図3に示した本発明例に係る装置を用いて低位発熱量約3500〜4500kcal/kgのシュレッダーダストを処理量100T/Dで処理した例を示す。シュレッダーダストは複数の処理業者から収集し、処理業者毎にヤード発塵対策用の散水条件が異なるためにシュレッダーダストの含水率は5〜15%の範囲となった。熱分解炉には外熱式ロータリーキルンを用い、改質炉の酸素含有ガスには純酸素を用い、ガス冷却装置にボイラを用い、ガス精製装置にはダスト分離のためのバグフィルタと塩酸ガス除去のためのアルカリスクラバーを用いた。シュレッダーダストを各熱分解炉にそれぞれ装入して500〜600℃に加熱し、各熱分解炉から発生した熱分解ガスを集合させて改質炉にて酸素濃度99vol%以上からなる酸素含有ガス約1000kg/hrおよび水蒸気と反応させて1000〜1200℃で改質した。水蒸気及び酸素含有ガスの酸素吹込ノズル3の吹き込み角度は下向き10度とした。また、図3に示す二重管において、内径40mm、外径100mmのステンレス製鋼管を用い、先端のノズルチップ11の吐出角度は85度とした。また、上から2段目以降の酸素吹込みノズル4,5は下向き10度とし、内径15mm、外径21mmのステンレス製鋼管を用いた。
【0019】
得られた改質ガスをガス冷却装置で200℃まで冷却したのち、バグフィルタでダストを分離し、アルカリスクラバーで塩酸ガスを10ppm以下まで除去して発熱量約2500kcal/Nm3の改質ガスを約4000Nm3/hr得た。改質炉では純酸素を用いて熱分解ガスを部分燃焼したが酸素ノズルの溶損や改質炉耐火物の損耗が生じることなく安定に操業することができた。また、改質炉へ吹き込む水蒸気量を原料シュレッダーダストの含水率に応じて100〜500kg/hrの範囲で変化させたが、第一段目の酸素の流動状態へ及ぼす影響が小さいために安定した旋回流を維持することができ、未反応の熱分解ガスを発生させない安定した改質処理を行うことができた。
【0020】
【発明の効果】
本発明により改質炉で純酸素等の高酸素濃度ガスを用いて熱分解ガスを部分燃焼する場合でも、バーナー損耗や炉壁損耗や、すす発生を抑制した安定的なガス改質処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置例の設備例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る第一段目の酸素吹込ノズルによる吹込み方法を示す改質炉の直径方向の断面図である。
【図3】本発明に係る第一段目の酸素吹込みノズルの長さ方向の断面図である。
【符号の説明】
1…熱分解ガス吹込ノズル
2…改質炉
3…第一段目の酸素吹込ノズル
4…第二段目の酸素吹込ノズル
5…第三段目の酸素吹込ノズル
6…改質ガス出口配管
7…改質炉内壁
8…第一段目の酸素吹込ノズル
9…内管
10…外管
11…ノズルチップ

Claims (4)

  1. 可燃性廃棄物を外熱式ロータリーキルンで熱分解して生じた熱分解ガスを改質炉内で酸素および水蒸気と反応させて改質ガスに変換する廃棄物ガス化方法であって、熱分解ガスを改質炉炉頂部から直線流で吹き込み、酸素を改質炉側壁部の高さ方向に複数段に分割して吹き込み、水蒸気を上から第一段目の酸素と共に改質炉内に導入し、酸素および水蒸気を改質炉内に導入する際に、改質炉の直径方向の同一平面上に設けた4〜8本のノズルから斜め下向きの旋回流で吹き込むと共に、2重管の内管から酸素を導入し、内管の外側に設けた外管から吐出角度が90度以下となるように水蒸気を導入することを特徴とする廃棄物ガス化方法。
  2. 前記可燃性廃棄物が、シュレッダーダスト又は複数種類の可燃性廃棄物であることを特徴とする請求項1記載の廃棄物ガス化方法。
  3. 可燃性廃棄物を外熱式ロータリーキルンで熱分解して生じた熱分解ガスを改質炉内で酸素および水蒸気と反応させて改質ガスに変換する廃棄物のガス化装置であって、熱分解ガスの直線流での吹込ノズルを改質炉炉頂部に配置し、酸素吹込ノズルを改質炉側壁部の高さ方向に複数段配置し、上から第一段目の酸素吹込ノズルは水蒸気を酸素と共に改質炉内に導入する機能を有し、更に第一段目の酸素吹込ノズルを、改質炉の直径方向の同一平面上に4〜8本設け、斜め下向きの旋回流を形成するように配置すると共に、第一段目の酸素吹込ノズルが、酸素を導入する内管と、内管の外側に設けた水蒸気を導入する外管と、水蒸気の吐出角度がノズル先端面に対して90度以下となるように先端部に設けたノズルチップから構成されることを特徴とする廃棄物ガス化装置。
  4. 前記可燃性廃棄物が、シュレッダーダスト又は複数種類の可燃性廃棄物であることを特徴とする請求項3記載の廃棄物ガス化装置。
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