JP4245035B2 - 研削用粉末および研削方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研削用粉末および研削方法に関するものである。
研削方法として、例えば、金属粉末を被処理部材に噴射し、金属粉末中の粒子を被処理部材に衝突させることにより研削する方法(ショットブラスト法)がある。
ショットブラスト法で用いる研削材としては、砂やセラミックス材料等の非金属材料の粉末や、各種金属粉末等が用いられる。
特に、金属粉末は、含まれる粒子の比重が大きいために、粒子を小径化しても十分な衝突エネルギー(運動エネルギー)を被処理部材に付与することができ、優れた研削性(研削速度)を発揮する。これにより、微細な研削も可能になる。
このような金属粉末としては、例えば、Feを主成分とし、C、Si、Mn、Cr、AlおよびTiを含む金属粉末が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の金属粉末は、Feを主成分とし、いずれもFeより原子量の小さな元素を含んだ組成となっているため、その比重はFeより小さいものとなり、7.4程度である。したがって、この程度の比重では、金属粉末を小径化した場合、十分な研削性が得られないという問題がある。
また、特許文献1の金属粉末は、AlおよびTiを含んでいるため、金属粉末の製造時に、溶融状態から急速に固化し易く、その結果、粉末が異形状になり易いという問題もある。異形状の粉末は、被処理部材に衝突した際に、容易に破壊するおそれがある。したがって、使用後の金属粉末を回収し、再利用するのには適さない。
ところが、近年、半導体や表示機器の分野においては、より高い寸法精度で研削することが求められている。また、それに伴って、研削する範囲(面積)も拡大しており、研削性(研削速度)を確保しなければならない。
このような背景から、金属粉末をさらに小径化しても十分な研削性が得られるよう、さらに比重の大きな金属粉末の開発が求められている。
また、小径化しても容易には破壊しないよう、粉末が球形状であることも重要な要素として捉えられている。
特開2004−148413号公報
本発明の目的は、小径化しても十分な研削性(研削速度)を示し、再利用可能な球形状の研削用粉末、およびかかる研削用粉末を用いて基板を効率よく研削する研削方法を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の研削用粉末は、アトマイズ法により製造され、基板の表面を研削して凹部を形成する研削用粉末であって、
FeおよびNiのうちの少なくとも一方と、W(タングステン)およびB(ホウ素)とを構成成分として含んでおり、
Wの含有率が30〜55wt%、Bの含有率が0.5〜4wt%であり、比重が8.5以上であることを特徴とする。
これにより、小径化しても十分な研削性(研削速度)を示す球形状の研削用粉末が得られる。
また、これにより、得られた研削用粉末は、より真球に近い球形状のものとなる。その結果、研削用粉末は、凹部への挟まりが防止されるとともに、より耐久性に優れ、再利用に適したものとなる。
本発明の研削用粉末では、FeおよびNiの合計の含有率が25〜70wt%であることが好ましい。
これにより、研削用粉末の耐食性(耐酸化性)を維持しつつ、機械的特性を高めることができる。
本発明の研削用粉末では、さらに、Crを含有率1〜25wt%で含むことが好ましい。
これにより、研削用粉末の比重を8.5以上に維持しつつ、研削用粉末の耐食性をより高めることができる。
本発明の研削用粉末では、必須元素としてFeを含み、
FeとCrとの比率が、重量比で6:4〜9.5:0.5であることが好ましい。
これにより、Feの酸化、腐食等に対して、Crの耐食性向上の効果がより顕著に発揮され、研削用粉末全体の耐食性をより高めることができる。
本発明の研削用粉末では、表面の少なくとも一部が、Crを含む不働態被膜で覆われていることが好ましい。
Crを含む不働態被膜は、研削用粉末の耐食性に加え、耐磨耗性を高めることができる。したがって、研削用粉末を回収して再利用した場合にも、研削用粉末の欠損、変形および磨耗等の発生が防止され、初回使用時と同等の研削性を得ることができる。
本発明の研削用粉末では、Wの含有率が32〜55wt%であることが好ましい
本発明の研削用粉末では、C(炭素)の含有率が0.8wt%以下であることが好ましい。
Cの含有率が前記範囲内となるように制御することにより、WとCとの化合物であるWC(炭化タングステン)が生成するのを防止することができる。このWCは硬度が極めて高いため、WCを含む研削用粉末は、その硬度が前記上限値を容易に上回る極めて高いものとなる。したがって、研削用粉末のCの含有率を低く抑えることにより、その硬度が著しく高くなるのを防止することができる。
本発明の研削用粉末では、平均粒径が、5〜20μmであることが好ましい。
これにより、より幅の狭い凹部も、容易に研削して形成することができる。換言すれば、高い寸法精度で凹部を形成することができる。
本発明の研削用粉末では、レーザー式粒度分布計で測定した粒径50μm以上の粉末の比率が、5wt%以下であることが好ましい。
これにより、研削用粉末中に、著しく粒径の大きな粒子が含まれるのが防止され、研削によって形成された凹部の寸法精度の低下を防止することができる。
本発明の研削用粉末では、タップ密度(日本粉末冶金工業会規格 JPMA P08−1992に規定)が、5g/cm以上であることが好ましい。
これにより、研削用粉末は、十分に真球に近い球形状のものとなる。
本発明の研削用粉末では、前記アトマイズ法として、水アトマイズ法を用いて製造されたものであることが好ましい。
水アトマイズ法では、冷却媒として、ガス等よりも密度の大きな水を用いる。このため、溶湯が高圧の水ジェットに衝突した際に、大きなエネルギーを受けて飛散し、より微細な液滴となる。その結果、より微細な粉末を得ることができる。
本発明の研削用粉末では、前記凹部は、平均幅w[μm]の溝であり、
当該研削用粉末の平均粒径は、0.07w〜0.7w[μm]であることが好ましい。
これにより、研削用粉末の粒径の分布を考慮しても、溝に研削用粉末が挟まることなく、溝を高い寸法精度で効率よく形成することができる。
本発明の研削用粉末では、少なくとも1回の再利用に供されるものであることが好ましい。
これにより、研削用粉末の廃棄量を減少させることができ、研削用粉末を用いた研削工程のコスト低減を図ることができる。
本発明の研削方法は、基板の表面を、本発明の研削用粉末で研削して、前記表面に凹部を形成することを特徴とする。
これにより、基板を効率よく研削することができる。
本発明の研削方法では、前記研削の後、前記研削により生じた研削屑と前記研削後の研削用粉末との混在物中から、前記研削屑と前記研削用粉末との比重の差を利用して、前記研削用粉末を選択的に回収することが好ましい。
これにより、研削用粉末を確実に分離・回収することができる。
以下、本発明の研削用粉末および研削方法について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
[研削用粉末]
本発明の研削用粉末は、基板の表面に衝突させることにより、表面を研削して凹部を形成する媒体となるものである。
本発明の研削用粉末は、アトマイズ法により製造されたものであり、FeおよびNiのうちの少なくとも一方と、W(タングステン)とを構成成分として含んでおり、Wの含有率が30〜55wt%であり、比重(真比重)が8.5以上であるという特徴を有する。
アトマイズ法は、冷却媒(液体やガス等)を高圧のジェットとして噴射するとともに、加熱されて液体状態となった金属原料(溶湯)を、このジェットに衝突させることにより、金属原料を粉末化する方法である。溶湯は、ジェットと衝突することにより、微細な液滴となるとともに、この液滴が冷却媒と接触することにより急速に冷却され固化する。このとき、液滴は、自由落下しつつ冷却されるため、液滴が表面張力によって球形化し、微小で球形状の粉末を容易に製造することができる。
前述したように、本発明の研削用粉末は、基板の表面に衝突することにより、表面に凹部を形成する媒体となるものである。上記のように、研削用粉末が球形状であれば、凹部を形成する際に、研削用粉末が凹部に挟まり難いものとなる。また、球形状の粉末は、荷重に対する耐久性に優れた形状的な特性があるため、衝突の際に研削用粉末の変形や破壊が防止され、より再利用に適したものとなる。
アトマイズ法としては、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、真空溶解ガスアトマイズ法、ガス−水アトマイズ法、超音波アトマイズ法等が挙げられるが、これらの中でも水アトマイズ法が好ましい。
水アトマイズ法では、冷却媒として、ガス等よりも密度の大きな水を用いる。このため、溶湯が高圧の水ジェットに衝突した際に、大きなエネルギーを受けて飛散し、より微細な液滴となる。その結果、より微細な粉末を得ることができる。
また、水は、ガスに比べて熱容量が大きいため、溶湯と衝突した際に、溶湯が飛散してなる液滴を、急速に冷却することができる。このため、液滴中の結晶の成長が阻害されることとなり、液滴が固化してなる粉末中の結晶組織は、より微細なものとなる。これにより、得られた粉末は、硬度や靭性等の機械的特性に優れたものとなる。
なお、上記のように高圧の水ジェットに衝突させる方法のほかに、容器内を高速で流動している水流中に溶湯を噴霧することにより、微小な金属の粉末を得るようにしてもよい。
本発明の研削用粉末は、前述したように、FeおよびNiのうちの少なくとも一方と、Wとを構成成分として含んでおり、Wの含有率が30〜55wt%である。
FeおよびNiは、Wとともに、研削用粉末を構成する主要な元素であり、研削用粉末の基本的な機械的特性(強度、靭性、硬度等)等に大きな影響を与える元素である。特に、FeおよびNiは、靭性が比較的高いため、研削用粉末を再利用する場合に耐久性に寄与する成分である。
FeおよびNiの合計の含有率は、25〜70wt%であるのが好ましく、30〜65wt%であるのがより好ましく、35〜55wt%であるのがさらに好ましい。これにより、研削用粉末の耐食性(耐酸化性)を維持しつつ、機械的特性を高めることができる。
Wは、FeおよびNiよりも原子量が大きく、研削用粉末の比重を高める(調整する)成分である。また、Wは比較的耐食性(耐酸化性)に優れており、Wが30〜55wt%を占めていると、その分、比較的耐食性に劣るFeおよびNiの含有率を減少させることができ、研削用粉末全体の耐食性を高めることもできる。特に、研削用粉末においてFeの含有率が高い場合は、このような傾向が顕著である。
さらに、Wは、FeおよびNi中における拡散係数が特に小さいものである。これは、FeやNiの原子半径とWの原子半径との差が非常に大きいため、FeやNi中におけるWの移動が規制されていることに起因すると推察される。このため、研削用粉末に熱が付与された場合でも、Wの拡散を抑制して、結晶組織が肥大化してしまうのを効果的に防止することができる。その結果、例えば、研削用粉末を基板に衝突させた際の熱で研削用粉末が加熱されても、結晶組織の状態に依存する硬度や靭性等の機械的特性の低下を防止することができ、複数回の再利用に供されるのに好適な研削用粉末となる。
また、FeおよびNi中におけるWの拡散係数は、Wの含有率が高まるにつれて低下するため、Wはできるだけ多く含有していることが好ましい。
一方、Wは、非常に融点の高い金属元素であるため、Wを含む金属材料の融点は、Wの含有率の増大に伴って上昇する。このため、原料を溶融する炉や坩堝の耐熱温度を考慮すると、Wの含有率に上限値を設定する必要もある。
かかる観点から、Wの含有率は、前述したように、30〜55wt%とされるが、32〜50wt%であるのが好ましく、35〜45wt%であるのがより好ましい。Wの含有率を前記範囲内とすることにより、Wを含む金属原料の融点上昇を、容易に溶融可能な温度範囲内に抑えつつ、研削用粉末の比重を高め、さらに、機械的特性の低下を特に効果的に防止することができる。
また、研削用粉末は、前述したように、その比重が8.5以上とされる。これにより、小径化しても十分な衝突エネルギーを基板に付与することができ、優れた研削性(研削速度)を発揮する。その結果、微細なパターンを高い寸法精度で研削することができる。
また、研削用粉末の比重がこのように大きいと、研削用粉末が基板に衝突し、研削されて生じた研削屑との比重の差を確保し易い。このため、比重の差を利用した分離方法により、これらを容易に分離・回収することが可能となる。その結果、研削用粉末を、異物の混入を防止しつつ、確実に回収することができる。
さらに、研削用粉末の比重は、9以上であるのが好ましい。これにより、研削用粉末の研削性がより向上するとともに、研削用粉末と研削屑との比重の差がさらに顕著なものとなり、分離・回収がより容易になる。
また、研削用粉末は、さらに、Crを含有率1〜25wt%で含むのが好ましく、5〜20wt%で含むのがより好ましい。Crは、研削用粉末の耐食性(耐酸化性)を向上させ得る成分である。Crの含有率が前記範囲内であれば、研削用粉末の比重を8.5以上に維持しつつ、研削用粉末の耐食性をより高めることができる。
特に、必須元素としてFeを含んでいる場合には、FeとCrとの比率が、重量比で6:4〜9.5:0.5であるのが好ましく、6.5:3.5〜9:1であるのがより好ましい。これにより、Feの酸化、腐食等に対して、Crの耐食性向上の効果がより顕著に発揮され、研削用粉末全体の耐食性をより高めることができる。
なお、このようなCrは、研削用粉末の表面の少なくとも一部を覆う不働態被膜として含まれているのが好ましい。Crを含む不働態被膜は、研削用粉末の耐食性に加え、耐磨耗性を高めることができる。したがって、研削用粉末を回収して再利用した場合にも、研削用粉末の欠損、変形および磨耗等の発生が防止され、初回使用時と同等の研削性を得ることができる。
また、研削用粉末は、さらに、B(ホウ素)を含有率0.5〜4wt%で含むのが好ましく、1〜3wt%で含むのがより好ましい。Bを含む金属原料は、アトマイズ法で溶融した際に、Bの影響で凝固点(融点)が低下するため、液滴が固化するまでの時間をより長く確保することができ、液滴が表面張力によって十分に球形化することができる。このため、得られた研削用粉末は、より真球に近い球形状のものとなる。その結果、研削用粉末は、凹部への挟まりが防止されるとともに、より耐久性に優れ、再利用に適したものとなる。
また、研削用粉末は、実質的にAlおよびTiの双方を含まないのが好ましい。AlおよびTiは、特に急速に、強固な酸化被膜を形成するため、アトマイズ法で溶湯を液滴とした際に、液滴が球形化する前に、急速に固化させてしまうものである。したがって、AlおよびTiを含まないことにより、液滴が球形化するのに必要な時間が確保され、得られた研削用粉末は、より真球に近い球形状のものとなる。
このようにして球形化が図られた研削用粉末は、そのタップ密度(日本粉末冶金工業会規格 JPMA P08−1992に規定)が、5g/cm以上であるのが好ましく、5.5g/cm以上であるのがより好ましい。タップ密度は、粉末がより真球に近いほど高い傾向を示すものである。したがって、タップ密度が前記範囲内にように比較的高い値であれば、研削用粉末は、十分に真球に近い球形状のものとなる。
また、研削用粉末は、その平均粒径が5〜20μm程度であるのが好ましく、5〜15μm程度であるのがより好ましい。このような微小な研削用粉末であれば、より幅の狭い凹部も、容易に研削して形成することができる。換言すれば、高い寸法精度で凹部を形成することができる。
また、本発明の研削用粉末は、その比重が8.5以上と高いため、平均粒径が前記範囲内であれば、十分な研削性(研削速度)を確保することができる。このため、高い寸法精度の凹部を効率よく形成することができる。
特に、研削用粉末は、レーザー式粒度分布計で測定した粒径50μm以上の粉末の比率が、5wt%以下であるのが好ましく、3wt%以下であるのがより好ましい。これにより、研削用粉末中に、著しく粒径の大きな粒子が含まれるのが防止され、研削によって形成された凹部の寸法精度の低下を防止することができる。
また、研削用粉末は、そのマイクロビッカース硬度HmVが、200〜600程度であるのが好ましく、250〜500程度であるのがより好ましい。研削用粉末のマイクロビッカース硬度HmVが前記範囲内であれば、研削用粉末の硬度が高すぎて、研削用粉末が被研削物に衝突した際に、被研削物が損傷を受けるのを確実に防止することができる。
一方、研削用粉末のマイクロビッカース硬度HmVが前記下限値を下回ると、研削の効率が低下し、研削に要する時間が長くなるおそれがある。また、研削用粉末のマイクロビッカース硬度HmVの硬度が前記上限値を上回ると、特に被研削物がガラス材料や樹脂材料のような硬度が比較的低い材料で構成されていた場合に、研削に伴って被研削物に損傷を与えるおそれがある。
また、研削用粉末は、C(炭素)の含有率ができるだけ低いのが好ましい。
なお、Cを意図的に添加しない場合でも、研削用粉末を製造するための原料に不可避的に混入している場合がある。このような場合でも、Cの含有率は、0.8wt%以下であるのが好ましく、0.5wt%以下であるのがより好ましい。Cの含有率が前記範囲内となるように制御することにより、WとCとの化合物であるWC(炭化タングステン)が生成するのを防止することができる。このWCは硬度が極めて高いため、WCを含む研削用粉末は、その硬度が前記上限値を容易に上回る極めて高いものとなる。したがって、研削用粉末のCの含有率を低く抑えることにより、その硬度が著しく高くなるのを防止することができる。
以上のような研削用粉末は、小径化しても十分な研削性を示し、基板の表面に衝突させることにより、表面を研削して高い寸法精度の凹部を形成することができる。
なお、この凹部としては、その平均幅が30〜70μm程度であるものを形成するのに本発明の研削用粉末を用いるのが好ましく、平均幅が30〜55μm程度であるものを形成するのに用いるのがより好ましい。このような非常に狭い幅の凹部を形成する際に、本発明の研削用粉末であれば、凹部を高い寸法精度で形成することができる。
また、凹部が溝であり、その溝の平均幅がw[μm]である場合には、研削用粉末の平均粒径は、0.07w〜0.7w[μm]程度であるのが好ましく、0.07w〜0.3w[μm]程度であるのがより好ましい。溝の平均幅wと研削用粉末の平均粒径とがこのような関係を有していれば、研削用粉末の粒径の分布を考慮しても、溝に研削用粉末が挟まることなく、溝を高い寸法精度で効率よく形成することができる。
[研削方法]
次に、本発明の研削方法について説明する。
本発明の研削方法は、基板の表面に、前述したような研削用粉末を衝突させて、表面を研削し、凹部を形成する方法である。
ここでは、一例として、リア型プロジェクタに用いられるマイクロレンズ基板を製造するためのマイクロレンズ用凹部付き基板の製造方法に、本発明の研削方法を適用した場合について説明する。
図1は、マイクロレンズ用凹部付き基板を模式的に示す縦断面図、図2は、マイクロレンズ基板を模式的に示す縦断面図、図3〜5は、図1に示すマイクロレンズ用凹部付き基板の製造方法を説明するための模式図である。
図1に示すように、マイクロレンズ用凹部付き基板2は、ランダムに配された複数個の凹部(マイクロレンズ用凹部)3を有している。
そして、このようなマイクロレンズ用凹部付き基板2を型として、凹部3の形状を転写するよう用いることにより、図2に示すような、マイクロレンズ8がランダムに配されたマイクロレンズ基板1を得ることができる。
[1]まず、マイクロレンズ用凹部付き基板2を製造するに際し、基板5を用意する。
この基板5は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。
基板5の材料としては、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
[2]次に、図3(a)に示すように、用意した基板5の表面に、マスク6を形成する。また、基板5の裏面(マスク6を形成する面と反対側の面)に裏面保護膜69を形成する。
マスク6は、後述する工程[3]において、ショットブラストにより初期孔61を形成することができるとともに、後述する工程[4]におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク6は、エッチングレートが、基板5と略等しいか、または、基板5に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
かかる観点から、マスク6を構成する材料としては、例えば、Cr、Au、Ni、Ti、Pt等の金属やこれらから構成される2種以上を含む合金、前記金属の酸化物(金属酸化物)、シリコン、樹脂等が挙げられる。また、マスク6を、Cr(または酸化Cr)/Auのように異なる材料からなる複数の層の積層構造としてもよい。
マスク6の形成方法は特に限定されないが、マスク6を、Cr、Au等の金属材料や金属酸化物(例えば、酸化Cr)から構成する場合、マスク6は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク6をシリコンから構成する場合、マスク6は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
マスク6の厚さは、マスク6を構成する材料によっても異なるが、0.05〜2μm程度が好ましく、0.1〜0.5μm程度がより好ましい。これにより、後述する工程[3]においてショットブラストを施す際に、研削用粉末の衝突で確実に初期孔61を形成することができる。
なお、裏面保護膜69は、次工程以降で基板5の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜69により、基板5の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜69は、例えば、マスク6と同様の材料で構成されている。このため、裏面保護膜69は、マスク6の形成と同時に、マスク6と同様に設けることができる。
[3]次に、図3(b)に示すように、マスク6に、後述するエッチングの際のマスク開口となる、複数の初期孔61をランダムに形成する。
この初期孔61の形成に、本発明の研削方法を適用することができる。
具体的には、マスク6から所定の距離離間した位置にノズル610を配置し、このノズル610と基板5とを相対的に移動(平行移動)させつつ、ノズル610から研削材(本発明の研削用粉末)611を噴射する。これにより、研削材611が衝突した箇所のマスク6に、図3(c)に示すように、初期孔61がランダムに形成される。
この場合、研削材611を比較的広範に噴射することにより、よりランダムに初期孔61を形成することができる。
ここで、本発明の研削用粉末を適用した研削材611は、比重が8.5以上と高いものである。このため、研削材611を小径化しても十分な研削力があり、小径の初期穴61を高い寸法精度で確実に形成することができる。
なお、本実施形態では、初期孔61をランダムに形成する場合について説明しているが、初期孔61は、規則的に配列するよう形成されていてもよい。
また、初期孔61の形状は特に限定されず、円形状のほか、長円形、矩形、溝形状等であってもよい。
このようにして初期孔61を形成した際には、図3(c)に示すように、初期孔61の研削屑62と、噴射された研削材611との混在物63が生じることとなる。
[4]次に、図4(d)および図4(e)に示すように、マスク6を用いて、基板5にエッチングを施す。これにより、基板5上に多数の凹部3をランダムに形成することができる。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられる。
初期孔61が形成されたマスク6で被覆された基板5に対して、エッチングが施されると、図4(d)に示すように、基板5は、初期孔61を起点として食刻され、基板5上に初期孔61の配置を反映した位置に、図4(e)に示すような多数の凹部3が形成される。
[5]次に、図4(f)に示すように、マスク6および裏面保護膜69を除去する。
[6]次に、図5(g)に示すように、基板5の表面に向けて、再度、ノズル610から研削材(本発明の研削用粉末)611を噴射する。これにより、基板5上に形成されている凹部3の表面の凹凸を緩和して、平滑性を高めることができる。その結果、凹部3で成形されるマイクロレンズ8は、表面の平滑性が高いものとなる。
また、研削材611は、比重が高いため研削力が高く、上記の平滑化処理を比較的短時間で行うことができる。
なお、本工程の終了後にも、図5(g)に示すように、基板5の研削屑52と、噴射された研削材611との混在物53が生じることとなる。
以上のようにして、マイクロレンズ用凹部付き基板2を製造することができる。
ここで、前記工程[3]で生じた混在物63や、本工程で生じた混在物53は、それぞれ、研削材611と、研削屑52、62との比重の差を利用して、これらを分離・回収することができる。
すなわち、混在物53中の研削屑52は、ガラス材料で構成されているため、研削材611との間の比重の差が大きく、この差を利用して、研削材611を確実に分離・回収することができる。
また、混在物63中の研削屑62のうち、シリコンや樹脂等のマスク6の構成材料から生じた研削屑62は、比重が特に小さいため、研削材611との間の比重の差が大きくなり、上記と同様に研削材611を確実に分離・回収することができる。
比重の差を利用した分離方法としては、遠心分離、慣性分離、重力沈降等の方法を用いることができる。
さらに、このようにして回収した研削用粉末は、少なくとも1回の再利用に供することができる。これにより、研削用粉末の廃棄量を減少させることができ、研削用粉末を用いた研削工程のコスト低減を図ることができる。
以上、本発明の研削用粉末および研削方法について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、本発明の研削方法をマイクロレンズ用凹部付き基板の製造方法の一部に適用した場合を代表に説明したが、本発明は、このような場合に限定されない。
本発明の研削方法は、例えば、サーフェスエレクトロンエミッターディスプレイパネル(SED)用基板のようなフラットディスプレイパネル用基板の製造方法、半導体基板の切断、穴開け加工、各種バリ取り、下地処理、クリーニング処理、圧粉成形体の微細加工、ショットピーニング等に適用することができる。
1.研削材および評価用基板の製造
(実施例1)
<1>まず、以下の各元素が、それぞれ以下の含有率で含まれるように原料を秤量し、各原料の混合物を高周波誘導炉で溶融して溶融物を得た。
<構成元素含有率>
・W :30wt%
・Cr:19wt%
・B : 1wt%
・Fe:残部
<2>次に、得られた溶融物を、水アトマイズ法で粉末化した。これにより、研削材を得た。
<3>次に、平均厚さ3mmのガラス基板を用意した。
<4>次に、ロールコート法により、基板上にガラスペーストを塗布した。そして、この基板をホットプレートに載せ、120℃×30分で乾燥させた。これにより、基板上にガラス含有層を得た。
<5>次に、ガラス含有層上にドライフィルムレジストを積層した後、フォトリソグラフィー法とエッチング法とにより、幅150μmの帯状の開口部を有するレジストマスク(マスク)を形成した。
<6>次に、レジストマスクの上方から、前記工程<2>で得られた研削材を噴射し、ショットブラストを行った。これにより、開口部に対応する領域のガラス含有層を除去することができ、その領域に溝を形成した。
<7>次に、レジストマスクを除去した。これにより、幅150μmの溝を備えた評価用基板を得た。
<8>次に、前記工程<6>で発生した研削屑と噴射した研削材との混在物を回収した。そして、遠心分離法により、研削材と研削屑とに分離するとともに、研削材の回収を試みた。
(実施例2〜24、比較例1〜4)
溶融物に含まれる構成元素、その含有率、研削用粉末の製造方法および評価用基板の溝の幅を、それぞれ、表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして研削材を得、この研削材を用いて評価用基板を得た。また、前記実施例1と同様にして、研削材の回収を試みた。
なお、実施例5は、FeとNiの双方を含み、その比率は重量比で1:1とした。
また、比較例2では、原料の一部が溶融しなかったため、研削材および評価用基板を製造することができなかった。
(比較例5)
研削材として、アルミナセラミックスの粉末を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、評価用基板を得た。また、前記実施例1と同様にして、研削材の回収を試みた。
2.評価
2−1 研削材の比重、粒径およびタップ密度の評価
各実施例および各比較例で製造した研削材の比重、粒径およびタップ密度を測定し評価した。
なお、研削材の比重は、ピクノメーター法(micromeritics社製 AccuPyc1330を使用)により、タップ密度は、日本粉末冶金工業会規格 JPMA P08−1992に規定の方法により、それぞれ測定した。
また、粒径は、レーザー式粒度分布計で測定し、平均粒径と、粒径50μm以上の粉末の比率とを、それぞれ測定した。
以上、2−1の測定結果を表1に示す。
Figure 0004245035
表1に示すように、各実施例で製造した研削材は、その比重が8.5以上と高いものである。
また、Wの含有率が高いほど比重が高くなっており、含有率によっては、比重が9以上となっている。
一方、各比較例で製造した研削材は、いずれも、その比重が8.5未満であった。
また、各実施例で製造した研削材は、そのほとんどが、平均粒径が5〜15μm、50μm以上の粉末の比率が5wt%以下であり、極めて微小な粉末であった。さらに、タップ密度が比較的高いことから、粉末がより真球に近い球形状をなしていると推測される。
なお、実施例24で製造した研削材は、平均粒径がやや大きかった。これは、この研削材がガスアトマイズ法により製造されたためと考えられる。
2−2 回収および回収後の研削材の評価
各実施例および各比較例において、研削材の回収の可否を、以下の基準にしたがって評価した。
◎:ほぼ研削材のみを選択的に回収することができた
○:研削材を選択的に回収することができたが、わずかに研削屑が混入している
△:研削材を選択的に回収することができたが、研削屑が多数混入している
×:研削材を選択的に回収することができない
また、選択的に回収された研削材の外観について評価した。
2−2−1 研削材の欠損・変形の評価
まず、研削に1回使用した後、回収した各実施例および各比較例で製造した研削材について、それぞれ、欠損・変形の程度を以下の基準にしたがって評価した。
次に、使用と回収とをそれぞれ10回繰り返した後の研削材について、同様に、欠損・変形の程度を以下の基準にしたがって評価した。
次に、使用と回収とをそれぞれ30回繰り返した後の研削材について、同様に、欠損・変形の程度を以下の基準にしたがって評価した。
◎:研削材の欠損、変形が認められない
○:研削材の欠損、変形が若干認められる
△:研削材の欠損、変形が多数認められる
×:研削材の欠損、変形がほぼ全数に認められる
2−2−2 研削材の酸化の評価
まず、研削に1回使用した後、回収した各実施例および各比較例で製造した研削材について、それぞれ、酸化の程度を以下の基準にしたがって評価した。
次に、使用と回収とをそれぞれ10回繰り返した後の研削材について、同様に、酸化の程度を以下の基準にしたがって評価した。
次に、使用と回収とをそれぞれ30回繰り返した後の研削材について、同様に、酸化の程度を以下の基準にしたがって評価した。
◎:研削材の酸化が認められない
○:研削材の酸化が若干認められる
△:研削材の酸化が多数認められる
×:研削材の酸化がほぼ全数に認められる
2−3 研削性(所要時間)の評価
各実施例および各比較例で製造した評価用基板の研削性(研削速度)を評価した。
評価にあたっては、評価用基板の溝の形成が終了するまでの所要時間を測定した。
なお、溝の幅によって所要時間が異なるため、溝の幅が等しい場合について、それぞれ、以下のようにして所要時間を比較した。
・溝の幅が150μm(実施例1、2、14および比較例3)
比較例3の所要時間を1としたときの各相対時間をそれぞれ求めた。
・溝の幅が50μm(実施例3〜13、実施例15〜24および比較例1、4、5)
比較例4の所要時間を1としたときの各相対時間をそれぞれ求めた。
2−4 評価用基板の評価
各実施例および各比較例で製造した評価用基板の外観を目視にて評価した。
なお、外観の評価は、以下の項目とその評価基準にしたがって行った。
2−4−1 溝の寸法精度
◎:寸法精度が±3μm未満
○:寸法精度が±3μm以上、±6μm未満
△:寸法精度が±6μm以上、±10μm未満
×:寸法精度が±10μm以上
2−4−2 研削材の溝への挟まり
◎:溝に研削材が全く挟まっていない
○:溝に研削材が若干挟まっている
△:溝に研削材が多数挟まっている
×:溝に研削材が多数挟まり、研削されない部分がある
2−4−3 評価用基板の損傷の程度
◎:ガラス基板、レジストマスクに損傷が認められない
○:ガラス基板、レジストマスクに若干の損傷が認められる
△:ガラス基板、レジストマスクに多数の損傷が認められる
×:ガラス基板に多数の損傷が認められ、レジストマスクが剥離している
以上、2−2〜2−4の各評価結果を、それぞれ表2に示す。
Figure 0004245035
表2に示すように、各実施例の研削材は、いずれも、研削材のみを選択的に回収することができたのに対し、各比較例の研削材は、回収することができなかったり、回収することができても、研削屑の混入が認められた。
また、各実施例で製造された研削材は、1回の使用後では、いずれも、研削材の欠損・変形および酸化等が認められないか、若干認められる程度であった。
さらに、実施例9〜11で製造された研削材は、30回使用した後であっても、いずれも、研削材の欠損・変形および酸化等が認められなかった。
また、各実施例で製造した研削材のうち、FeやNiの含有率が比較的高い研削材では、使用回数が多くなると、研削材の酸化がやや多くなる傾向があった。これに対し、Wの含有率が比較的高い研削材では、使用回数が多くなると、研削材の欠損・変形がやや多くなる傾向があった。
一方、各比較例で回収された研削材では、使用回数が少なくても、研削材の欠損・変形や酸化等が多数認められたものが多かった。
具体的には、比較例1、3、4の研削材は、Wの含有率が低いか、全く含んでいないため、その分、Feの含有率が高くなり、酸化し易い傾向にあったためと推察される。
また、比較例3、4の研削材は、AlやTi等の酸化被膜を急速に形成し易い元素を含んでいるため、粉末が異形状になり易く、その結果、衝突の際に欠損し易い状態にあったためと推察される。
各実施例の研削材は、いずれも、研削に要する時間が短く、研削性が高いことが確認されたが、これは、研削材の比重が反映されたものと考えられる。
例えば、実施例1と比較例3とを比べた場合、評価用基板の溝の幅と平均粒径はそれぞれ等しいが、比重は実施例1の方が高いため、その分、所要時間が短縮されている。
また、実施例1と実施例2とを比べた場合、評価用基板の溝の幅と比重はそれぞれ等しいが、平均粒径は実施例1の方が高いため、その分、所要時間が短縮されている。
一方、各比較例の研削材は、いずれも、溝の研削に長い時間を要した。
また、各実施例の評価用基板では、溝の寸法精度が高く、溝への研削材の挟まりもほとんど認められなかった。これは、各実施例の研削材が、微小で、粒度のバラツキが小さく、かつ、真球に近い球形状をなしていたためと推察される。
なお、実施例23では、評価用基板のガラス基板やレジストマスクに損傷が認められた。これは、実施例23の研削材がC(炭素)を含んでいて硬度が非常に高い(マイクロビッカース硬度HmV:700以上)ため、ガラス基板やレジストマスクに損傷を与えたことによるものと推察される。
また、実施例24では、評価用基板において形成された溝の寸法精度がやや低かった。これは、実施例24の研削材がガスアトマイズ法により製造されたものであり、平均粒径が大きいことに起因するものである。
マイクロレンズ用凹部付き基板を模式的に示す縦断面図である。 マイクロレンズ基板を模式的に示す縦断面図である。 図1に示すマイクロレンズ用凹部付き基板の製造方法を説明するための模式図である。 図1に示すマイクロレンズ用凹部付き基板の製造方法を説明するための模式図である。 図1に示すマイクロレンズ用凹部付き基板の製造方法を説明するための模式図である。
符号の説明
1……マイクロレンズ基板 2……マイクロレンズ用凹部付き基板 3……凹部 5……基板 52、62……研削屑 53、63……混在物 6……マスク 61……初期孔 610……ノズル 611……研削材 69……裏面保護膜 8……マイクロレンズ

Claims (15)

  1. アトマイズ法により製造され、基板の表面を研削して凹部を形成する研削用粉末であって、
    FeおよびNiのうちの少なくとも一方と、W(タングステン)およびB(ホウ素)とを構成成分として含んでおり、
    Wの含有率が30〜55wt%、Bの含有率が0.5〜4wt%であり、比重が8.5以上であることを特徴とする研削用粉末。
  2. FeおよびNiの合計の含有率が25〜70wt%である請求項1に記載の研削用粉末。
  3. さらに、Crを含有率1〜25wt%で含む請求項1または2に記載の研削用粉末。
  4. 必須元素としてFeを含み、
    FeとCrとの比率が、重量比で6:4〜9.5:0.5である請求項3に記載の研削用粉末。
  5. 表面の少なくとも一部が、Crを含む不働態被膜で覆われている請求項3または4に記載の研削用粉末。
  6. Wの含有率が32〜55wt%である請求項1ないし5のいずれかに記載の研削用粉末。
  7. C(炭素)の含有率が0.8wt%以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の研削用粉末。
  8. 平均粒径が、5〜20μmである請求項1ないし7のいずれかに記載の研削用粉末。
  9. レーザー式粒度分布計で測定した粒径50μm以上の粉末の比率が、5wt%以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の研削用粉末。
  10. タップ密度(日本粉末冶金工業会規格 JPMA P08−1992に規定)が、5g/cm以上である請求項1ないし9のいずれかに記載の研削用粉末。
  11. 前記アトマイズ法として、水アトマイズ法を用いて製造されたものである請求項1ないし10のいずれかに記載の研削用粉末。
  12. 前記凹部は、平均幅w[μm]の溝であり、
    当該研削用粉末の平均粒径は、0.07w〜0.7w[μm]である請求項1ないし11のいずれかに記載の研削用粉末。
  13. 少なくとも1回の再利用に供されるものである請求項1ないし12のいずれかに記載の研削用粉末。
  14. 基板の表面を、請求項1ないし13のいずれかに記載の研削用粉末で研削して、前記表面に凹部を形成することを特徴とする研削方法。
  15. 前記研削の後、前記研削により生じた研削屑と前記研削後の研削用粉末との混在物中から、前記研削屑と前記研削用粉末との比重の差を利用して、前記研削用粉末を選択的に回収する請求項14に記載の研削方法。
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