JP4244398B2 - キナゾリン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規な複素環誘導体に関する。詳しくいえば、本発明はタイプ2ヘルパーT細胞(以下、Th2と略す。)側の免疫応答を抑制する免疫調節剤に関する。更に詳しくは、本発明は、Th2側の免疫応答を抑制し、タイプ1ヘルパーT細胞(以下、Th1と略す。)側の免疫応答を増強し、生体全体においてTh1/Th2のバランスを変化させることによる免疫調節作用を有する新規な複素環誘導体に関する。具体的には、本発明は、例えば、アレルギー性疾患、寄生虫感染症、全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患、ウイルスあるいはバクテリア感染症、悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群(AIDS)等の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫応答において中心的な役割を担っているヘルパーT細胞(以下、Thと略す。)と呼ばれるリンパ球が、異なる二つのサブセットに分類されることを初めてMosmannらが提唱した。彼らはマウスのヘルパーT細胞(Th)を、産生するサイトカインの種類によりTh1とTh2のサブセットに分類した(J. Immunol. (1986) 136 : 2348-2357)。Th1タイプサイトカインとしては、インターロイキン2(IL−2)、インターフェロンγ(IFN−γ)等が挙げられる。Th2タイプサイトカインとしては、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン5(IL−5)、インターロイキン10(IL−10)、インターロイキン13(IL−13)等が挙げられる。
今日では、このTh1とTh2の分類は、単にヘルパーT細胞のサブセットの分類にとどまらず、生体における種々の免疫応答をTh1側の免疫応答あるいはTh2側の免疫応答と分類されるようになった。さらに細胞性免疫はTh1タイプサイトカインが、液性免疫はTh2タイプサイトカインが関与することが知られている。
【0003】
Th1側の免疫応答の主体をなすメカニズムとして、Th1の活性化に伴って産生されるインターロイキン2(IL-2)、インターフェロンγ(IFN-γ)等のTh1タイプサイトカインによるマクロファージやナチュラルキラー細胞等の活性化がある。あるいは逆に、活性化したマクロファージから産生されるIL-12などの作用によるTh1活性化の増強などがある。具体的には、ウイルス、バクテリア等に対する感染防御などにTh1側の免疫応答が関与することが知られている。
【0004】
一方、Th2側の免疫応答としては、Th2から産生されるIL−4、IL−5、IL−10等のTh2タイプサイトカインによる、B細胞からの抗体産生誘導(IgEクラスを含む。)などがある。
さらに、近年、このTh1/Th2の考え方が特に注目されている理由は、幾つかの疾患において、その発症機構に、Th1/Th2のバランスの異常が関与していることが明らかとなったことにある。その結果、患者におけるTh1/Th2のバランスの異常を正常化または正常に近づけることが、これらの疾患の治療における新しい方向性として認識されてきた。
【0005】
Th2はアレルギー反応に関与する多くのサイトカインを産生することから、アレルギー反応の制御細胞として重要視されている。例えば、Th2タイプサイトカインのIL−4はB細胞に対し、IgE抗体の産生を誘導するとともに、好酸球が血管内皮細胞に接着、組織浸潤する際に機能する重要な分子であるVCAM−1の遺伝子発現も誘導する。最近では、IL−4はTh2自身の分化因子としても注目されている。また、Th2タイプサイトカインのIL−5は好酸球の分化、増殖、遊走および活性化を誘導し、アレルギー性炎症反応の惹起因子と考えられている。したがって、Th2は、IgE抗体や肥満細胞が関与する即時型反応、好酸球が関与する遅発型反応という二つのアレルギー反応を制御する中心的な細胞であるといえる。すなわち、アレルギー性疾患はTh2が病的に活性化(機能亢進)した状態であると言える。実際に、アレルギー性疾患病変部である気道、皮膚において、IL−4、IL−5等のTh2タイプサイトカインの産生、あるいはTh2の存在が確かめられるにいたり、アレルギー性疾患を治療する為には、Th2の活性化を制御する事が重要であるとの認識が、広く一般に受け入れられている(臨床医 (1994) 20 : 40-46)。また、同様のTh2の機能亢進が寄生虫感染症の病態に関しても確認されている(臨床免疫(1995) 27: 652-656)。
【0006】
全身性エリテマトーデス等の抗体産生あるいは液性免疫が異常亢進状態にある自己免疫疾患においても、やはりTh2が病的に機能亢進した状態にあると推定されている(Medical Immunology (1988) 15 : 401)。
また、最近の研究において、AIDSの発症後期においてTh2がTh1に比して優位になるバランス異常状態が確認されており、このバランス異常状態を経過することが最終的な免疫不全状態に移行する上で重要な段階である可能性が示唆されている。このTh2がTh1に比して優位になるバランス異常状態を改善できれば、AIDSの発症を遅らせ、発症をとめることが出来る可能性が指摘されている(Immunology Today (1993) 14 : 107-111)。
【0007】
逆に、Th1側の免疫応答を増強することにより、主にインターロイキン2(IL−2)、インターフェロンγ(IFN−γ)等のTh1タイプサイトカインの産生を介して、マクロファージやナチュラルキラー細胞を活性化することで細胞性免疫を増強して、ウイルス、あるいは細胞内寄生菌等のバクテリアに対する感染防御あるいは癌免疫の増強などが期待される(Int. Arch. Allergy Immunol.(1992) 98 : 279-285)。
【0008】
アレルギー性疾患のうち、特に重症の喘息やアトピー性皮膚炎等においては、遅発型のアレルギー反応が重要な役割を果たしていると考えられている。しかるに現在使用されている抗アレルギー薬は、主に即時型のアレルギー反応のみを抑制するものであり、その臨床効果は十分なものではなく、結局、これら重症の喘息やアトピー性皮膚炎に対しては、ステロイド剤のみが有効であるとして、現在該ステロイド剤が頻繁に使用されている状況にある。しかし該ステロイドは長期投与により種々の副作用(ステロイド皮膚症、誘発感染症、副腎皮質機能不全等)の生じることが問題となっており、このような観点からも、前述の如き遅発型、即時型両方のアレルギー反応が関与するアレルギー性疾患全般を治療又は予防するような、Th2側の免疫応答を抑制する薬剤の開発が望まれているのである。
【0009】
また、より副作用の少ない治療薬あるいは予防薬の開発を念頭に置いた場合、前述の如きTh2側の免疫応答を抑制する薬剤がTh1側の免疫応答を増強するものであれば、医薬としてより好都合であると思われる。すなわち先にも述べたようにTh1は、主としてIFN−γを産生することによりウイルス、バクテリア等に対する感染防御を行うという生体にとって重要な役割を担っているため、前記Th2側の免疫応答の抑制を目的に開発された薬剤がTh1の作用を増強するものであれば、それは副作用の面から非常に望ましいことと言える。例えば免疫抑制剤であるシクロスポリンやFK506は、Th2の活性化を強く抑制することが知られている。しかし、これらシクロスポリンやFK506は、Th2の活性化を抑制するのと同様に、あるいはそれよりもさらに強く、Th1の活性化をも抑制するという非特異的な免疫抑制作用を有するがために、このような非特異的な免疫抑制作用に起因する日和見感染が、重篤な副作用として問題となっているのである。
【0010】
ある種のキナゾリン誘導体は、殺虫、殺菌剤として知られている(特開昭53年第103484号、特開平3年第17068号、特公表平2年第502462号、特公表平3年第505741号、米国特許第5534518号、WO9418980)。しかし、Th1側の免疫応答を増強し、Th2側の免疫応答を抑制するようなキナゾリン誘導体は知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、Th1側の免疫応答を増強し、Th2側の免疫応答を抑制することにより、その結果、全体としてTh1/Th2のバランスを変化させ、免疫応答を調節する化合物の提供である。具体的には、インターフェロンγ(IFN−γ)等のTh1タイプサイトカインの産生を増強し、逆にインターロイキン4(IL−4)、インターロイキン5(IL−5)等のTh2タイプサイトカインの産生を抑制する化合物の提供である。より具体的には例えば、アレルギー性疾患、寄生虫感染症、全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患、ウイルスあるいはバクテリア感染症、悪性腫瘍あるいは後天性免疫不全症候群(AIDS)等の治療剤の提供である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明の複素環誘導体およびその塩がTh1側の免疫応答を増強し、Th2側の免疫応答を抑制することにより、その結果、全体としてTh1/Th2のバランスを変化させ、免疫応答を調節することを見いだし本発明を完成させるに至った。
【0013】
本願発明は、
1.式(1)
【化2】
Figure 0004244398
(式中、A環は、炭素数3から10のシクロアルカン、炭素数5から10のシクロアルケン、置換シクロアルカン、炭素数7から10のビシクロアルカン、置換ビシクロアルカンまたは、ヘテロ原子として酸素または、硫黄原子を含む複素環を表わし、硫黄原子は、1または2個の酸素原子と結合してスルフィニルまたはスルホニルとなってもよい。Rは、炭素数1から6の低級アルキル基、炭素数2から6の低級アルケニル基、炭素数3から6の低級アルキニル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数4から10のシクロアルキルアルキル基またはOR(Rは炭素数1から6の低級アルキル基、炭素数3から6の低級アルケニル基、炭素数3から6の低級アルキニル基、炭素数3から6のシクロアルキル基または炭素数4から10のシクロアルキルアルキル基を表す。)を表わし、
は、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、Rは、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、Rは、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、Rは、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。)で表わされるキナゾリン誘導体およびその塩。
【0014】
2.1記載のキナゾリン誘導体またはその塩を有効成分とするタイプ2ヘルパーT細胞側の免疫応答抑制剤、
3.1記載のキナゾリン誘導体またはその塩を有効成分とするタイプ2ヘルパーT細胞側の免疫応答を抑制し、タイプ1ヘルパーT細胞側の免疫応答を増強する免疫調節剤
4.1記載のキナゾリン誘導体またはその塩を有効成分とするアレルギー性疾患、寄生虫感染症、全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患、ウイルスあるいはバクテリア感染症、悪性腫瘍あるいは後天性免疫不全症候群(AIDS)等の治療剤または予防剤
5.1記載のキナゾリン誘導体またはその塩を有効成分とするTh2が病的に活性化されることが原因のアレルギー性疾患、寄生虫感染症、全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患、あるいは後天性免疫不全症候群(AIDS)等の治療剤または予防剤
に関する。
【0015】
【発明の実施形態】
式(1)に包含される具体的な化合物群としては例えば以下のもの等が挙げられる。
【化3】
Figure 0004244398
【化4】
Figure 0004244398
【化5】
Figure 0004244398
【化6】
Figure 0004244398
【化7】
Figure 0004244398
【化8】
Figure 0004244398
式中、R、R、R、RおよびRは、式(1)と同じ意味を表わし、nは、0、1または2の整数を表わす。
【0016】
本発明における置換基を具体的に以下に説明する。
炭素数3から10のシクロアルカンとしては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル等が挙げられる。
【0017】
炭素数5から10のシクロアルケンとしては、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル等が挙げられる。
【0018】
炭素数7から10のビシクロアルカンとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−5−エン等が挙げられる。
【0019】
ヘテロ原子として酸素または、硫黄原子を含む複素環としては、例えば、オキセタン、チエタン(トリメチレンスルフィド)、チエタン−1−オキシド(トリメチレンスルホキシド)、チエタン−1,1−ジオキシド(トリメチレンスルホン)、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン−1−オキシド、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、テトラヒドロ−4H−ピラン、チアン(ペンタメチレンスルフィド)、チアン−1,1−ジオキシド(ペンタメチレンスルホン)、チアン−1−オキシド(ペンタメチレンスルホキシド)、オキセパン(ヘキサメチレンオキシド)、チエパン(ヘキサメチレンスルフィド)、チエパン−1−オキシド(ヘキサメチレンスルホキシド)、チエパン−1,1−ジオキシド(ヘキサメチレンスルホン)、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン等が挙げられる。
【0020】
置換シクロアルカンおよび置換ビシクロアルカンの置換基としては、例えば、炭素数1から3のアルキル基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、カルバモイル基等が挙げられ、または隣接する炭素原子の置換基が結合してテトラメチレン基を形成してもよい、あるいは環上の炭素原子がカルボニル基に置換されてもよい。該置換基は一個、または同一もしくは異なる複数個である。
炭素数1から3のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、2−プロピルが挙げられる。
【0021】
炭素数1から6のアルキル基としては、例えば直鎖または分枝した炭素数6個以下の低級アルキル基が挙げられ、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、2−プロピル、ブチル、2−ブチル、3−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0022】
炭素数2から6のアルケニル基としては、例えばビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
【0023】
炭素数3から6個のアルキニル基としては、例えばプロパルギル、ブチニル、ペンチニルなどが挙げられる。
【0024】
炭素数4から7個のシクロアルキル基としては、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0025】
炭素数4から10個のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル基、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルプロピル等が挙げられる。
【0026】
炭素数3から6のアルケニル基としては、例えばアリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
【0027】
アルコキシ基としては、例えば直鎖または分枝した炭素数1から6の低級アルコキシ基が挙げられ、具体的には例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、1,1−ジメチルエトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ等が挙げられる。
【0028】
ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0029】
本発明の医薬の有効成分である複素環化合物は薬学上許容される塩にすることができる。薬学上許容される塩としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、りんご酸塩、酒石酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩等の無機塩基塩、メグルミン塩、トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩等の有機塩基塩が挙げられる。また、本発明には、複素環化合物またはその薬学上許容される塩の水和物等の溶媒和物も含む。
【0030】
本発明の式(1)で表される化合物は以下の方法およびそれに準じた方法で製造することができる。
【化9】
Figure 0004244398
式中、R、R、R、R、R及びA環は、式(1)と同じ意味を表わし製造法1
化合物(21)をオキシ塩化リンと反応させることにより化合物(22)を得ることができる(特開平2−502462、特開平3−17068、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(J. Chem. Soc. 775, (1947))、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー(J. Chem. Soc.1766, (1948)))。反応は、必要に応じて溶媒を加えてもよい。溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。反応には、場合によりN,N−ジメチルアミノピリジンなどの反応助剤を用いてもよい。反応温度としては、約室温から溶媒の還流温度付近の範囲が挙げられる。
【0031】
化合物(22)は、化合物(23)と反応させ、本発明化合物(1)を得ることができる。反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(以下THFと略す。)、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール(以下IPAと略す。)、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す。)、アセトニトリルなどの不活性溶媒などが挙げられる。反応は、必要に応じてトリエチルアミンなどの有機塩基、、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基を添加してもよい。反応温度は、例えば室温から溶媒の沸点付近の温度範囲から選択される。
【0032】
製造法2
化合物(24)と化合物(23)を反応させて化合物(25)を得ることができる。反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、THF、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、エタノール、IPA、ブタノールなどのアルコール系溶媒、DMF、アセトニトリルなどの不活性溶媒などが挙げられる。反応は、必要に応じてトリエチルアミンなどの有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基を添加してもよい。反応温度は、例えば室温から溶媒の沸点付近の温度範囲から選択される。
【0033】
化合物(25)は、有機溶媒中アンモニアと反応させることにより本発明化合物(1)を得ることができる。有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。反応は、オートクレーブ中、約室温から約200℃までの温度範囲で行う。
また、化合物(25)は、アジ化ナトリウムと反応後、トリフェニルホスフィンで還元することによっても本発明化合物(1)を得ることができる。アジ化ナトリウムとの反応は、DMFなどの不活性溶媒中行う。反応温度は、約室温から溶媒の沸点付近範囲から選択される。トリフェニルホスフィンによる還元は、THFなどのエーテル系溶媒中で行う。反応温度は、約室温から溶媒の沸点付近の温度範囲から選択される。
【0034】
製造法3
化合物(26)を、溶媒中、ブロモシアンと反応させ、化合物(27)を得ることができる。必要に応じてトリエチルアミン等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基あるいは水素化ナトリウムを添加しても良い。溶媒としては、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、THF等のエーテル系溶媒、DMF、アセトニトリル、メタノール、エタノール等の不活性溶媒が挙げられる。反応温度は例えば、室温から溶媒の沸点付近の温度範囲から選択される。
【0035】
化合物(27)をROH中、RONaと反応させ、本発明化合物(1)を得ることができる。反応温度は例えば、室温から溶媒の沸点の範囲から選択される。Rは式(1)と同じ意味を有する。
化合物(27)をt−ブトキシカルボニル基で保護し、THF、ジエチルエーテル等のエーテル系不活性溶媒中、RMgBrで表されるグリニアー試薬と反応させ、本発明に含まれる化合物(1)を得ることができる。反応温度は例えば、室温から溶媒の沸点の範囲から選択される。
【0036】
次に上記反応で使用した原料の合成方法について説明する。
原料は、既知の反応あるいは既知の反応に準じて合成を行った。
化合物(23)化合物の製造
【化10】
Figure 0004244398
(式中、A環、Rは式(1)と同じ意味を表す。)
化合物(28)は、酸触媒存在下、対応するアルコールと反応させることで化合物(23)を得ることができる。酸触媒としては、パラトルエンスルホン酸などの有機酸、塩酸、硫酸などの無機酸が挙げられる。反応温度は、約室温から溶媒の沸点付近の温度範囲から選ばれる。
【0037】
化合物(26)の製法
【化11】
Figure 0004244398
(式中、R、R、R、RおよびA環は式(1)と同じ意味を表す。)
【0038】
化合物(29)を化合物(30)と有機溶媒中、脱水縮合剤存在下、反応させ、化合物(31)を得ることができる。有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、THF等のエーテル系溶媒、DMF等の不活性溶媒が挙げられる。反応温度は例えば、約−10℃から約60℃の範囲から選択される。脱水縮合剤としては例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の縮合剤が挙げられ、反応助剤とともに用いられる。反応助剤としては例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等が挙げられる。他の脱水縮合剤としては、例えば、N,N−ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド等を、例えば、トリエチルアミン等の有機塩基と組み合わせて用いることもできる。
【0039】
あるいは、化合物(29)を塩化チオニル等中、例えば、約40〜約60℃に加熱することにより、化合物(29)のカルボン酸残基を対応する酸クロリドに変換し、化合物(30)と適当な有機溶媒中、トリエチルアミン等の有機塩基の存在下、反応させて、化合物(31)を得ることもできる。有機溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、THF等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒が挙げられる。反応温度は、例えば、約−10℃から約60℃の範囲から選択される。
【0040】
化合物(31)を適当な不活性溶媒中、例えば、約60℃から溶媒の沸点付近の温度に加熱することにより、化合物(32)を得ることができる。必要に応じて触媒として塩基または酸を添加しても良い。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属の水溶液が挙げられる。酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸等のプロトン酸、オキシ塩化リン、三フッ化ホウ素等のルイス酸が挙げられる。不活性溶媒としては、例えば水、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、THF等のエーテル系溶媒、DMF等の不活性溶媒が挙げられる。
【0041】
化合物(30)と化合物(33)を有機溶媒中で、反応して化合物(34)が得られる。反応中、必要に応じて、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基を加えてもよい。有機溶媒としては例えば、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、THF等のエーテル系溶媒、DMF等の不活性溶媒等が挙げられる。反応温度は例えば、約室温から溶媒の沸点付近の温度範囲から選択される。
【0042】
化合物(34)を適当な不活性溶媒中、例えば、約60℃から溶媒の沸点付近の温度に加熱することにより、化合物(26)を得ることができる。必要に応じて触媒として塩基または酸を添加しても良い。塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属の水溶液が挙げられる。酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸等のプロトン酸、オキシ塩化リン、三フッ化ホウ素等のルイス酸が挙げられる。不活性溶媒としては、例えば、水、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、THF等のエーテル系溶媒、DMF等の不活性溶媒が挙げられる。
【0043】
化合物(31)および化合物(32)のニトロ基を還元し、アミノ基となった化合物(34)および化合物(26)を得ることができる。ここで還元剤としては、例えば、ナトリウムボロヒドリド−NiCl2−メタノール、塩酸−鉄、塩酸−スズ、アルカリ水−鉄、三塩化チタン水溶液、水素−Pd/C等が挙げられる。反応温度としては、室温から約80℃の範囲が挙げられる。
【0044】
化合物(23)の製法
【化12】
Figure 0004244398
化合物(36)は、既知の方法で合成することができる。例えば、化合物(35)とKCN、NaCN等の青酸アルカリ金属化合物を濃アンモニア水溶液中、酢酸等の弱酸の存在下、室温の付近で反応させることにより、化合物(36)を得ることができる。
化合物(36)を必要であれば助溶媒中、アルカリ水、アンモニア水、過酸化水素等で加水分解し、化合物(23)を得ることができる。アルカリ水としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の水酸化アルカリ金属の水溶液が挙げられる。助溶媒としては、例えば、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。反応温度は例えば、約0℃から約室温の範囲から選択される。
【0045】
式(1)で表される本発明に含まれる化合物またはそれを製造するための中間体は通常の方法で精製することができる。例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶等で精製することができる。再結晶溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ヘキサン等の炭化水素系溶媒等またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0046】
また上述の反応を実行する際、必要ならば、保護、脱保護の技術を用いることができる。保護、脱保護の技術については、(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, "Protecting Groups in Organic Synthesis", 1991, JOHN WILEY & SONS, INC.)に詳しく記されている。
【0047】
本発明のキナゾリン誘導体またはその薬学上許容される塩は水和物等の溶媒和物を形成することがあり本発明はこれらも含む。
【0048】
本発明に含まれる化合物は、不斉が生じる場合または不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。本発明化合物にはこれらの各異性体の混合物や単離されたものを含む。そのような光学異性体を純粋に得る方法としては、例えば光学分割が挙げられる。
【0049】
光学分割法としては、本発明化合物またはその中間体を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリル等およびこれらの混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N−ベンジルオキシアラニン、乳酸などのモノカルボン酸類、酒石酸、o−ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸などのジカルボン酸類、カンファースルフォン酸、ブロモカンファースルフォン酸などのスルフォン酸類)と塩を形成させることもできる。
また本発明化合物またはその中間体がカルボキシル基等の酸性置換基を有する場合は光学活性なアミン(例えばα−フェネチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン類)と塩を形成させることもできる。
【0050】
塩を形成させる温度としては、室温から溶媒の沸点の範囲が挙げられる。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取するまえに必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸またはアミンの使用量は、基質に対し約0.5〜約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲が適当である。必要に応じ結晶を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリル等およびこれらの混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。必要に応じ、得られた塩を通常の方法で酸または塩基と処理しフリー体を得ることもできる。
【0051】
本発明のキナゾリン誘導体は経口的または非経口的に投与することができる。経口的に投与する場合、通常用いられる投与形態で投与することができる。非経口的には、局所投与剤、注射剤、、経皮剤、経鼻剤等の形で投与することができる。経口剤または直腸投与剤としては、例えば、カプセル、錠剤、ピル、散剤、カシェ剤、座剤、液剤等が挙げられる。注射剤としては、例えば、無菌の溶液又は懸濁液等が挙げられる。局所投与剤としては、例えば、クリーム、軟膏、ローション、経皮剤(通常のパッチ剤、マトリクス剤)等が挙げられる。
上記の剤形は通常の方法で、薬学的に許容される賦形剤、添加剤とともに製剤される。薬学的に許容される賦形剤、添加剤としては、担体、結合剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバター等が挙げられる。カプセルは、本発明化合物を薬学的に許容される担体と共に中に入れることにより製剤できる。本発明化合物は薬学的に許容される賦形剤と共に混合し、または賦形剤なしにカプセルの中に入れることができる。カシェ剤も同様の方法で製造できる。
注射用液剤としては、溶液、懸濁液、乳剤等が挙げられる。例えば、水溶液、水−プロピレングリコール溶液等が挙げられる。液剤は、水を含んでも良い、ポリエチレングリコールまたは/及びプロピレングリコールの溶液の形で製造することもできる。経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を水に加え、着色剤、香料、安定化剤、甘味剤、溶解剤、増粘剤等を必要に応じて加え製造することができる。また経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を分散剤とともに水に加え、粘重にすることによっても製造できる。増粘剤としては、例えば、薬学的に許容される天然または合成ガム、レジン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは公知の懸濁化剤等が挙げられる。
局所投与剤としては、上記の液剤及び、クリーム、エアロゾル、スプレー、粉剤、ローション、軟膏等が挙げられる。上記の局所投与剤は、本発明化合物と通常に使用される薬学的に許容される希釈剤及び担体と混合し製造できる。軟膏及びクリームは、例えば、水性または油性の基剤に増粘剤及び/またはゲル化剤を加えて製剤化して得られる。該基剤としては、例えば、水、液体パラフィン、植物油(ピーナッツ油、ひまし油等)等が挙げられる。増粘剤としては、例えばソフトパラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ラノリン、水素添加ラノリン、蜜蝋等が挙げられる。
ローションは、水性又は油性の基剤に、一種類またはそれ以上の薬学的に許容される安定剤、懸濁化剤、乳化剤、拡散剤、増粘剤、着色剤、香料等を加えることができる。
散剤は、薬学的に許容される散剤の基剤と共に製剤化される。基剤としては、タルク、ラクトース、澱粉等が挙げられる。ドロップは水性又は非水性の基剤と一種またはそれ以上の薬学的に許容される拡散剤、懸濁化剤、溶解剤等と共に製剤化できる。
局所投与剤は、必要に応じて、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロクレゾール、ベンズアルコニウムクロリド等の防腐剤、細菌増殖防止剤を含んでも良い。
本発明化合物を有効成分とする、液剤スプレー、散剤またはドロップにした製剤を経鼻的に投与できる。
投与量、投与回数は症状、年齢、体重、投与形態等によって異なるが、経口投与する場合には、通常は成人に対し1日あたり約1〜約500mgの範囲、好ましくは約5〜約100mgの範囲を1回または数回に分けて投与することができる。注射剤として投与する場合には約0.1〜約300mgの範囲、好ましくは約1〜約100mgの範囲を1回または数回に分けて投与することができる。
【0052】
本発明のキナゾリン誘導体は、抗原特異的刺激によるマウスリンパ節細胞からのIL-4産生及びIL-5産生を抑制し、逆にIFN-γ産生を増強する。この評価に用いられたサイトカイン産生調節活性試験は以下の方法で実行される。
【0053】
サイトカイン産生調節活性試験
Keyhole Lympet Hemocyanin(以下KLHと訳す。)0.2mgを水酸化アルミニウム・アジュバント(Alu-Gel-S;Serva Feinbiochemica GmbH & Co., Code No.12261)あるいはフロイント完全アジュバント(Difco Lab., Detroit, Michigan, Code No.3113-60-5)とともにマウス足蹠皮下に注射する(0.1ml)。8〜10日後に膝窩リンパ節を摘出し、動物細胞培養用培地を用いて、細胞浮遊液を調製する。
リンパ節細胞浮遊液(1〜5 x106 cells/ml)にKLH(1〜100μg/ml)および薬剤を添加し、37℃、5%CO2存在下で4日間培養(Corning 25850, 0.15ml/well)後、上清中に産生されるサイトカインを特異的なELISA法により定量する。
代表的なTh2タイプサイトカインとしてインターロイキン4(IL-4)及びインターロイキン5(IL-5)を、代表的なTh1タイプサイトカインとしてインターフェロンγ(IFN-γ)を定量する。
【実施例】
【0054】
参考例1
1−アミノシクロヘキサンカルボキサミドの合成
1−1)1−アミノシクロヘキサンカルボニトリルの合成
【化13】
Figure 0004244398
窒素気流下、シアン化ナトリウム(5.68 g, 116 mmol)の水溶液(14 ml)と29%アンモニア水(60 ml)の溶液に酢酸(6.0 ml)をゆっくり滴下した。反応液にシクロヘキサノン(10.0 ml, 96.5 mmol)を滴下し、6時間、40℃で加熱した。反応液を室温に戻し、トルエンで抽出し、有機層をアンモニア水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液の溶媒を留去し、標題化合物 (9.67 g, 81%) を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 1.96〜2.02 (m, 2H), 1.41〜1.82 (m, 9H), 1.18〜1.27 (m, 1H)
【0055】
1−2)1−アミノシクロヘキサンカルボキサミドの合成
【化14】
Figure 0004244398
窒素気流下、12規定アンモニア水(56 ml)に1−アミノシクロヘキサンカルボニトリル(9.10 g, 73.3 mmol)、30%過酸化水素水(16.3 ml, 161 mmol)を同時に滴下し、7時間撹拌した。10%パラジウム−炭素(2.0 g)を加え、過剰の過酸化水素をつぶし、セライト濾過し、ろ液の溶媒を留去し、標題化合物(8.75 g, 84%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.57 (br, 1H), 5.12 (br, 1H), 2.51 (t, 1H, J = 6.3 Hz), 2.20 (t, 1H, J = 6.1 Hz), 1.93〜2.03 (m, 2H), 1.28〜1.68 (m, 8H)
【0056】
参考例2
1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル塩酸塩
【化15】
Figure 0004244398
1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸(14.32 g, 100 mmol)のメタノール(250 ml)溶液中へ室温攪拌下、チオニルクロライド(36 ml, 500 mmol)を滴下し、滴下後、室温で19時間攪拌した。反応液を留去し、メタノールで3回共沸し標題化合物(8.75 g, 84%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ; 8.80(3H, brs), 3.76 (3H, s), 1.41-2.01 (10H, m)
【0057】
参考例3 1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル塩酸塩
【化16】
Figure 0004244398
1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸塩酸塩(8.98g, 50mmol)のエタノール(100ml)溶液中へ室温攪拌しながら、チオニルクロライド(18ml, 250mmol)を滴下した。その後、反応液を7時間還流した。反応液を、減圧濃縮し、濃縮残渣にエタノールを加え、減圧濃縮した。この操作を3回繰り返した。残渣にトルエンを加え、再結晶をし、9.74g(94%)の表題化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ; 8.98 (3h, br), 4.27 (2H,q, J=7.1 Hz), 2.00-2.10 (4H, m), 1.83-1.94(2H, m), 1.62-1.73 (3H, m), 1.39-1.47 (1H, m), 1.33 (3H, t, J=7.1 Hz)
【0058】
参考例4
5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2-c]キナゾリン−3(2H)-オンの合成
3−1)1−(2−ニトロベンズアミド)シクロヘキサンカルボキサミドの合成
【化17】
Figure 0004244398
窒素気流下、1−アミノシクロヘキサンカルボキサミド(1.03 g, 7.24 mmol)とトリエチルアミン(1.80 ml, 12.9 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(25 ml) に2−ニトロベンゾイルクロライド(1.04 ml, 7.96 mmol)を加え、室温で9時間撹拌した。5%硫酸水素カリウム水溶液に反応液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液の溶媒を留去し、析出した結晶を酢酸エチル とエーテルの混合液に懸濁し、濾取した。ろ液の溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、先に濾取した結晶と合わせ標題化合物(916 mg, 43%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ; 8.46 (s, 1H), 8.06 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 7.65〜7.84 (m, 3H), 6.98 (brs, 1H), 6.83 (brs, 1H), 2.08〜2.12 (m, 2H), 1.54〜1.76 (m, 7H), 1.20 (m, 1H)
【0059】
3−2)1−(2−アミノベンズアミド)シクロヘキサンカルボキサミドの合成
【化18】
Figure 0004244398
1−(2−ニトロベンズアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(871 mg, 2.99 mmol)、10%パラジウム−炭素(630 mg)をメタノール(50 ml)に懸濁させ、2.5時間水素添加した。反応液をセライト濾過し、ろ液の溶媒を留去し、標題化合物(739 mg, 95%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.37 (dd, 1H, J = 1.3, 8.6 Hz), 7.24 (ddd, 1H, J = 1.3, 8.6, 8.6 Hz), 6.86 (br, 1H), 6.65〜6.71 (m, 2H), 6.10 (brs, 1H), 5.47 (br, 2H), 5.40 (br, 1H), 2.24〜2.29 (m, 2H), 1.90〜2.06 (m, 2H), 1.33〜1.76 (m, 6H)
【0060】
3−3)2−(2−アミノフェニル)−5−オキソ−2−イミダゾリン−4−スピロシクロヘキサンの合成
【化19】
Figure 0004244398
窒素気流下、1−(2−アミノベンズアミド)シクロヘキサンカルボキサミド(673 mg, 2.58 mmol)をテトラヒドロフラン(15 ml)に懸濁させ、5.15規定水酸化カリウム水溶液(1.0 ml, 5.15 mmol)を加え、7時間加熱還流した。反応液を室温に戻し、5%炭酸カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液の溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、標題化合物(305 mg, 49%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 9.83 (brs, 1H), 7.38 (dd, 1H, J = 1.5, 7.9 Hz), 7.24 (ddd, 1H, J = 1.5, 7.9, 7.9 Hz), 6.72〜6.78 (m, 2H), 6.43 (brs, 2H), 1.80〜1.86 (m, 6H), 1.43〜1.62 (m, 4H)
【0061】
3−4)5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの合成
【化20】
Figure 0004244398
窒素気流下、2−(2−アミノフェニル)−5−オキソ−2−イミダゾリン−4−スピロシクロヘキサン(102 mg, 4.17×10-1 mmol)をエタノール(3.0 ml)に溶解し、95%ブロモシアン(55.0 mg, 4.93×10-1 mmol)を加え、室温で3.5時間、さらにトリエチルアミン(60μl, 4.32×10-1 mmol)を加え50℃で7時間撹拌した。室温に冷却し、飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出し硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製することにより標題化合物(20.7 mg, 19%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ; 7.93 (dd, 1H, J = 1.5, 7.9 Hz), 7.50 (ddd, 1H, J = 1.5, 7.9, 7.9 Hz), 7.50 (br, 2H), 7.11 (dd, 1H, J = 1.5, 7.9 Hz), 7.10 (ddd, 1H, J = 1.5, 7.9, 7.9 Hz), 1.40〜1.71 (m, 10H)
【0062】
実施例1
1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルの合成
1−1) 2−アミノ−4−クロロキナゾリンの合成
【化21】
Figure 0004244398
2−アミノ−4−ヒドロキシキナゾリン塩酸塩 (16 g)とオキシ塩化リン(100 ml)の混合液を4.5時間還流した。反応終了後、過剰のオキシ塩化リンを留去し、残渣にトルエンを加え再留去した。残渣へ氷水および水酸化ナトリウムを加え、終夜攪拌し、固形物をろ取し、表記化合物(9.04 g, 38.6 %)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 8.05(1H, d, J=7.8 Hz), 7.75(1H, t, J=8.1 Hz), 7.59(1H, d, J=8.1 Hz), 7.35 (1H, t, J=7.8 Hz), 5.32 (2H, brs)
【0063】
1−2) 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルの合成
【化22】
Figure 0004244398
2−アミノ−4−クロロキナゾリン(43.5 mg, 0.242 mmol)、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル塩酸塩 (60.3 mg, 0.29 mmol), トリエチルアミン(50 mg, 0.484 mmol)およびブタノール(5 ml)の混合液を6.5時間還流した。反応液へ水を加えクロロホルム抽出、クロロホルム層を水、次いで飽和食塩水で洗浄、芒硝で乾燥後減圧濃縮し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%MeOH/CHCl3→10%MeOH/CHCl3)で精製することにより標題化合物(30.7 mg, 40.5%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.59(1H, d, J=7.9Hz), 7.58(1H, dd, J=7.9, 7.9Hz), 7.44(1H, d, J=7.9Hz), 7.16(1H, dd, J=7.9, 7.9Hz), 5.71(1H, brs), 4.81(2H, brs), 4.12(2H, q, J=7.0Hz), 2.27-2.32(2H, m), 1.93-2.04(2H, m), 1.36-1.71(6H, m), 1.11(3H, t, J=7.0Hz)
【0064】
実施例2
1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの合成
2−1)1−(2−クロロキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの合成
【化23】
Figure 0004244398
2、4−ジクロロキナゾリン(1.99 g, 10 mmol)、炭酸カリウム(2.07 g, 30 mmol)、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル塩酸塩(2.91 g, 15 mmol)およびTHF(20 ml)の混合液を30分間還流した。混合液に炭酸カリウム(2.07 g, 30 mmol)を追加し、更に30分間還流した。反応液に酢酸エチル及び重曹水を加え抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、芒硝乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 5:1→ヘキサン:酢酸エチル1:1)で精製し、標題化合物(1.13 g, 35%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ;7.72-7.80(3H, m), 7.45-7.52 (1H, m), 6.02(1H, brs), 3.73(3H, s), 2.30(2H, brd), 2.05(2H, dt-like), 1.39-1.80(6H, m)
【0065】
2−2) 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの合成
【化24】
Figure 0004244398
1−(2−クロロキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(319 mg, 1 mmol), ナトリウムアジド(98 mg, 1.5 mmol)およびDMF(1.5 ml)の混合液を100℃で11時間加熱攪拌した。反応液を水に空け、析出晶をろ取した。得られた結晶を乾燥し、トリフェニルホスフィン(262 mg, 1 mmol)およびTHF(4ml)を加え、6時間還流した。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%MeOH/CHCl3)で精製することにより標題化合物(34 mg, 23%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.55-7.60(2H, m), 7.44(1H, d, J=7.6Hz), 7.16(1H, dd, J=7.6, 7.6Hz), 5.70(1H, brs), 4.81(2H, brs), 3.63(3H, s), 2.26-2.31(2H, m), 1.41-1.99(8H, m)
【0066】
実施例3
1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルの合成
【化25】
Figure 0004244398
窒素気流下、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オン(15.7 mg, 5.85×10-2 mmol)をエタノール(1.0 ml)に溶解し、ナトリウムエトキシド(5.9 mg, 8.66×10-2 mmol)を加え、室温で0.5時間撹拌した。5%炭酸カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液の溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することにより標題化合物(12.2 mg, 66%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.59 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 7.58 (dd, 1H, J = 7.9, 7.9 Hz), 7.44 (d, 1H, J = 7.9 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 7.9, 7.9 Hz), 5.71 (brs, 1H), 4.81 (brs, 2H), 4.12 (q, 2H, J = 7.0 Hz), 2.27〜2.32 (m, 2H), 1.93〜2.04 (m, 2H), 1.36〜1.71 (m, 6H), 1.11 (t, 3H, J = 7.0 Hz)
【0067】
実施例4
1−[1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキシル]ブタン−1−オンの合成
4−1)1−[1−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−キナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキシル]ブタン−1−オンの合成
【化26】
Figure 0004244398
窒素気流下、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オン(5 g, 0.021 mol)をTHF(50 ml)に溶解し、トリエチルアミン(6.2 g, 0.062 mol)およびジ−t−ブチルジカーボネート(13.5 g, 0.062 mol)の混合液を3時間攪拌した。反応液にN,N’−ジメチルアミノピリジン(50 mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応溶媒を留去し、残渣に酢酸エチル200 mlを加え、水50 mlで2回洗浄し、飽和重曹水50 mlで洗浄した。有機層を芒硝乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、7.2 gのBoc保護体を得た(Bocはt−ブトキシカルボニルの略)。
窒素気流下、上記Boc保護体(1 g)をテトラヒドロフラン(10 ml)に溶解し、2Mプロピルマグネシウムクロライド(3.6 ml, 7.2 mmol)を氷冷下 加え、室温で1時間撹拌した。反応液に10%塩化アンモニア水50 mlを加え、クロロホルム130 mlで抽出した。水層をクロロホルム50 mlで再抽出し、飽和食塩水で洗浄後硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液の溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1→2/1)で精製し、標題化合物(980 mg)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.85 (dd, 1H, J = 1.2, 7.4 Hz), 7.65〜7.70 (m, 2H), 7.34 (ddd, 1H, J = 1.2, 7.4, 7.4 Hz), 6.99 (brs, 1H), 5.93 (brs, 1H), 2.48 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 2.17〜2.23 (m, 2H), 1.23〜1.90 (m, 8H), 1.53 (s, 9H), 0.83 (t, 3H, J = 7.2 Hz)
【0068】
4−2)1−[1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキシル]ブタン−1−オンの合成
【化27】
Figure 0004244398
窒素気流下、1−[1−(2−t−ブトキシカルボニルアミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキシル]ブタン−1−オン(960 mg)に4規定塩酸のジオキサン溶液(10 ml)を加え、室温で4.5時間撹拌した。結晶をろ取した。結晶に酢酸エチル80 mlと飽和重曹水30 mlを加え分液した。抽出有機層を飽和食塩水30 mlで洗浄し、芒硝乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲル50gクロロホルムでクロマト精製を行い、標題化合物(260 mg)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.57-7.63 (m, 2H), 7.46 (dd, 1H, J = 1.3, 8.9 Hz), 7.19 (t, 1H, J = 8.3 Hz), 5.85 (brs, 1H),4.77(brs, 2H), 2.50 (q, 2H, J = 7.3 Hz), 2.17〜2.21 (m, 2H), 1.16〜1.89 (m, 8H), 0.84 (t, 3H, J = 7.3 Hz)
【0069】
実施例5 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸プロピルエステルの合成
【化28】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、エタノールの代わりに1−プロピルアルコールを用い、ナトリウムエトキシドの代わりにナトリウムプロポキシドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.54-7.60(2H, m), 7.43(1H, dd, J=7.9,1.3Hz), 7.16(1H, ddd, J=1.3, 7.8, 7.8Hz), 5.72(1H, brs), 4.82(1H, brs), 4.02(2H, t, J=6.6Hz), 2.28-2.33(2H, m), 1.94-2.03(2H, m), 1.48-1.71(6H, m), 0.72(3H, t, J=7.3Hz)
【0070】
実施例6 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸ブチルエステルの合成
【化29】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、エタノールの代わりに1−ブタノールを用い、ナトリウムエトキシドの代わりにナトリウム−1−ブトキシドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.54-7.60(2H, m), 7.44(1H, dd, J=1.3, 7.8Hz), 7.16(1H, ddd, J=1.3, 7.8, 7.8Hz), 5.74(1H, brs), 4.98(2H, brs), 4.06(2H, t, J=6.6Hz), 1.42-2.33(12H, m), 1.15(2H, qt, J=7.4, 7.4Hz), 0.78(3H, t, J=7.4Hz)
【0071】
実施例7 1−(2−アミノーキナゾリンー4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸アリルエステルの合成
【化30】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、エタノールの代わりにアリルアルコールを用い、ナトリウムエトキシドの代わりにナトリウムアリルアルコキシドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.53-7.61 (2H, m), 7.43 (1H, d, J=8.2 Hz), 7.14 (1H, dd, J= 8.2, 8.2 Hz), 5.73-5.86 (2H, m), 5.19 (1H, d, J=17.1Hz), 5.14(1H, d, J=10.6 Hz), 4.92 (1H, brs), 4.57 (2H, d, J=5.7Hz), 2.29-2.34 (2H, m), 1.96-2.10 (2H. m), 1.26-1.76 (6h, m)
【0072】
実施例8 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸2−プロピルエステルの合成
【化31】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、エタノールの代わりにイソプロピルアルコールを用い、ナトリウムエトキシドの代わりにナトリウムイソプロポキシドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.56-7.61(1H, m), 7.46(1H, d, J=8.0Hz), 7.18(1H, ddd, J=1.0, 8.9, 8.9), 5.74(1H, brs), 4.96(2H, brs), 4.85-5.07(3H, m), 2.20-2.40(3H, m), 1.92-2.05(2H, m), 1.25-1.80(5H, m), 1.10(6H, d, J=6.3Hz)
【0073】
実施例9 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸−2−メチル−1−プロピルエステルの合成
【化32】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、エタノールの代わりに2−メチル−1−プロピルアルコールを用い、ナトリウムエトキシドの代わりにナトリウム2−メチル−1−プロポキシドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.55-7.61(2H, m), 7.44(1H, d, J=8.0Hz), 7.17(1H, dd, J=8.0, 8.0Hz), 5.72(1H, brs), 4.82(2H, brs), 3.83(2H, d, J=6.6Hz), 2.29-2.34(2H, m), 1.95-2.03(2H, m), 1.41-1.83(7H, m), 0.72(6H, d, J=6.8Hz),
【0074】
実施例10 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸シクロプロピルメチルエステルの合成
【化33】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、エタノールの代わりにシクロプロパンメタノールを用い、ナトリウムエトキシドの代わりにナトリウムシクロプロパンメトキシドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.56-7.62(2H, m), 7.45(1H, d, J=7.7Hz), 7.17(1H, ddd, J=7.7, 7.0, 1.3Hz), 5.76(1H, brs), 4.89(2H, brs), 3.98(2H, d, J=7.1Hz), 2.20-2.40(2H, m), 2.08-2.19(2H, m), 1.30-1.70(6H, m), 0.91-1.05(1H, m), 0.35-0.43(2H, m), 0.07-0.13(2H, m)
【0075】
実施例11 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸2−メチル−2−プロペンエステルの合成
【化34】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、エタノールの代わりに2−メチル−2−プロペン−1−オールを用い、ナトリウムエトキシドの代わりにナトリウム2−メチル−2−プロペン−1−オキシドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.55-7.60(2H, m), 7.44(1H, dd, J=8.7, 1.3Hz), 7.17(1H, ddd, J= 7.0, 1.3Hz), 5.72(1H, brs), 4.90(1H, brs), 4.83(1H, brs), 4.80(2H, brs), 2.31-2.36(2H, m), 1.97-2.05(2H, m), 1.41-1.72(6H, m), 1.53(3H, s)
【0076】
実施例12 1−[1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキシル]エタン−1−オンの合成
【化35】
Figure 0004244398
実施例4の方法に準じ、2Mプロピルマグネシウムクロライドの代わりにメチルマグネシウムクロライドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.59-7.64(2H, m), 7.49(1H, dd, J=8.9, 1.3), 7.21(1H, ddd, J= 8.3, 1.3Hz), 5.96(1H, brs), 5.05(1H, brs), 2.14-2.22(2H, m), 2.14(3H, s), 1.67-1.88(6H, m), 1.26-1.55(2H, m)
【0077】
実施例13 1−[1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキシル]プロパン−1−オンの合成
【化36】
Figure 0004244398
実施例4の方法に準じ、2Mプロピルマグネシウムクロライドの代わりにエチルマグネシウムクロライドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ; 8.79(1H, s), 8.53(1H, d, J=7.5Hz), 8.0(2H, br), 7.83(1H, dd, J=7.5, 7.5Hz), 7.43-7.49( 2H, m), 2.59(2H, d, J=7.1Hz), 2.32-2.37(2H, m), 1.19-1.77(8H, m), 0.91(3H, t, J=7.1Hz)
【0078】
実施例14 1−[1−(2−アミノ−キナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキシル]ペンタン−1−オンの合成
【化37】
Figure 0004244398
実施例4の方法に準じ、2Mプロピルマグネシウムクロライドの代わりにブチルマグネシウムクロライドを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.71(1H, d, J=8.1Hz), 7.61(1H, dd, J=8.1, 8.2), 7.46(1H, d, J=8.2Hz), 7.21(1H, dd, J=8.2, 8.2Hz), 6.18(1H, brs), 5.32(2H, brs), 2.49(2H, t, J=7.3Hz), 2.08-2.18(2H, m), 1.73-1.88(6H, m), 1.16-1.56(8H, m), 0.83(3H, t, J=7.3Hz)
【0079】
実施例15 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロペンタンカルボン酸エチルエステル
【化38】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−2−スピロシクロペンタン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリンー3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.56-7.64(2H, m), 7.46(1H, d, J=8.6Hz), 7.14-7.19(1H, m), 6.19(1H, brs), 5.14(2H, brs), 4.15(2H, q, J=7.1Hz), 2.39-2.49(2H, m), 2.08-2.17(2H, m), 1.84-1.89( 4H, m), 1.44(3H, t, J=7.1Hz)
【0080】
実施例16 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘプタンカルボン酸エチルエステル
【化39】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−2−スピロシクロヘプタン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.54-7.59(2H, m), 7.43(1H, dd, J=6.8, 1.3Hz), 7.16(1H, ddd, J=6.8, 6.8, 1.3Hz), 5.69(1H, brs), 4.75(2H, brs), 4.11(2H, q, J=7.1Hz), 2.18-2.38(4H, m), 1.62-1.76(8H, m), 1.10(3H, t, J=7.1Hz)
【0081】
実施例17 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロオクタンカルボン酸エチルエステル
【化40】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−2−スピロシクロオクタン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.54-7.59(2H, m), 7.43(1H, dd, J=8.6, 1.0Hz), 7.15(1H, ddd, J=8.6, 8.6, 1.0Hz), 5.57(1H, brs), 4.75(2H, brs), 4.12(2H, q, J=7.1Hz), 2.37-2.43(2H, m), 2.16-2.24(2H, m), 1.60-1.70(10H, m), 1.12(3H, t, J=6.9Hz)
【0082】
実施例18 1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−テトラヒドロピラン−4−カルボン酸エチルエステル
【化41】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−2−(スピロ−4−テトラヒドロピラン)−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.58-7.63(2H, m), 7.46(1H, d, J=7.5Hz), 7.19(1H, dd, J=7.5, 7.5Hz), 5.75(1H, brs), 4.92(2H, brs), 4.15(2H, q, J=6.9Hz), 3.89-3.96(2H, m), 3.74-3.82(2H, m), 2.35-2.45(2H, m), 2.15-2.25(2H, m), 1.13(3H, t, J=6.9Hz)
【0083】
実施例19 1−(2−アミノ−7−メトキシキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【化42】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−7−メトキシ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.50(1H, d, J=9.0Hz), 6.85(1H, d, J=2.4Hz), 6.80(1H, dd, J=9.0, 2.4Hz), 5.71(1H, brs), 5.34(1H, br), 4.12(2H, q, J=7.1Hz), 3.88(3H, s), 2.28(2H, br), 1.99(2H, dt-like), 1.71(3H, m), 1.25-1.58(3H, m), 1,12(3H, t, J=7.1Hz)
【0084】
実施例20 1−(2−アミノ−7−クロルキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【化43】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−7−クロル−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.50(1H, d, J=8.8Hz), 7.42(1H, d, J=2.0Hz), 7.09(1H, dd, J=8.8Hz), 5.63(1H, brs), 5.93(1H, s), 4.87(1H, brs), 4.12(2H, q, J=7.1Hz), 2.28(2H, brs), 1.99(2H, t-like), 1.75(3H, m), 1.25-1.55(3H, m), 1.11(3H, t, J=7.1Hz)
【0085】
実施例21 1−(2−アミノ−6−メトキシキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【化44】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−6−メトキシ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.48(1H, d, J=9.2Hz), 7.28(1H, dd, J=9.2, 2.7Hz), 6.97(1H, d, J=2.6Hz), 5.91(1H, brs), 5.85(1H, br), 4.94(1H, br), 4.13(2H, q, J=7.1Hz), 3.89(3H, s), 2.29(2H, brs), 2.06(2H, br), 1.74(3H, m), 1.35-1.60(3H, m), 1.14(3H, t, J=7.1Hz)
【0086】
実施例22 1−(2−アミノ−6−フルオロキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【化45】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−6−フルオロ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.44(1H, dd, J=9.2, 5.3Hz), 7.35(1H, dt, J=8.3, 2.6Hz), 7.22(1H, dd, J=9.0, 2.6Hz), 5.52(1H, br), 4.93(2H, br), 4.12(2H, q, J=7.1Hz), 2.31(2H, brm), 1.95(4H, brm), 1.77(2H, brm), 1.55(2H, brm), 1.12(3H, t, J=7.1Hz)
【0087】
実施例23 1−(2−アミノ−6−クロルキナゾリン−4−イルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【化46】
Figure 0004244398
実施例3の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−6−クロル−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.52(2H, m), 7.38(1H, d, J=9.0Hz), 5.59(1H, br), 4.90(2H, br), 4.11(2H, q, J=7.1Hz), 2.29(2H, brm), 1.99(2H, dt-like), 1.69(4H, brm), 1.26-1.60(2H, brm), 1.11(3H, t, J=7.1Hz)
【0088】
実施例24 1−(1−(2−アミノキナゾリン−4−イルアミノ)−4−テトラヒドロピラニル)ブタン−1−オン
【化47】
Figure 0004244398
実施例4の方法に準じ、5−アミノ−2−スピロシクロヘキサン−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンの代わりに5−アミノ−2−(スピロ−4−テトラヒドロピラン)−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−3(2H)−オンを用いて合成を行い標題化合物を得た。
1H NMR (CDCl3) δ; 7.61 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 7.52 (dd, 1H, J = 8.3, 8.3 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 7.11 (dd, 1H, J = 8.3, 8.3 Hz), 6.00 (brs, 1H), 4.99 (brs, 2H), 3.90-3.80 (m, 2H), 3.70-3.60 (m, 2H), 2.40 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 2.25-2.13 (m, 2H), 2.05-1.95 (m, 2H), 1.51 (tt, 2H, J = 7.5, 7.5 Hz), 0.74 (t, 3H, J = 7.5 Hz)
【0089】
実施例25
マウスリンパ節細胞からのサイトカイン産生に対する実施例1の化合物の作用
実験方法
1.動物
BALB/cマウスは日本チャールスリバー(横浜)より購入し、8週令の雌を使用した。
2.培地
RPMI1640培地「ダイゴ」(日本製薬(東京))に56℃、30分にて非働化した牛胎児血清(Fetal Bovine Serum, Characterized, Code No.A-1115-L, HyClone Lab., Logan, Utah)を10%、2-メルカプトエタノール(Sigma, St Louis, MO, Code No.M-6250)を50μMとなるように添加して使用した。
3.薬剤
化合物はジメチルスルホキシド(ナカライテスク(京都)Code No. 11J)にて、100mMとなるように溶解し、培地により最終濃度まで希釈した。
4.感作およびリンパ節細胞調製
KLH 0.2mgをフロイント完全アジュバント(Difco Lab., Detroit, Michigan, Code No.3113-60-5)とともにマウス足蹠皮下に注射した(0.1ml)。8日後に膝窩リンパ節を摘出し、細胞浮遊液を調製した。
5.抗原刺激によるサイトカイン産生
リンパ節細胞浮遊液(2.5 x106 cells/ml)にKLH(0.1mg/ml)および薬剤を添加し、37℃、5%CO2存在下で4日間培養(Corning 25850, 0.15ml/well)後、上清中に産生されるサイトカインを特異的なELISA法により定量した。
代表的なTh2タイプサイトカインとしてインターロイキン4(IL-4)及びインターロイキン5(IL-5)を、代表的なTh1タイプサイトカインとしてインターフェロンγ(IFN-γ)を定量した。
【0090】
6.ELISA法
IL-4の定量は、以下に示すELISA法にて行った。1次抗体として、ラット抗マウスIL-4抗体(Pharmingen, San Diego, CA, Code No.18031D, 0.5mg/ml)を炭酸緩衝液にて250倍希釈し、50μ/wellずつ96ウェルプレート(Falcon 3912, Becton Dickinson and company, Franklin Lakes, NJ)にまき、一晩4℃にてコートした。その後、プレートは、3%BSAを含むPBS(-)(塩化カルシウム及び塩化マグネシウムを含まないPhosphate-buffered saline)にてブロッキングした(200μl/well)。プレートを0.05%のポリオキシエチレン・ソルビタン・モノラウレート(Tween 20(登録商標)ナカライテスク(京都) Code No. 281-51)を含むPBS(−)(PBST)を用いて3回洗浄し、培養上清を50μl/wellずつまき、室温にて4時間インキュベートした。検量線作成のため、リコンビナントマウスIL-4 (Pharmingen, Code No.19231W)を使用した。プレートをPBSTを用いて3回洗浄し、二次抗体としてビオチン標識ラット抗マウスIL-4抗体(Pharmingen, Code No.18042D, 0.5mg/ml)を0.1%BSAを含むPBS(-)にて500倍希釈したものを加え(100μl/well)、室温にて1時間インキュベートした。結合した二次抗体は、ストレプトアビジンアルカリフォスファターゼ(Kirkegaard & Perry Lab., Gaithersburg, MD, Code No.15-30-00)(0.25μg/ml, 100μl/well)により検出した。37℃、1時間インキュベートした後、プレートをPBSTにより3回洗浄し、PNPP基質(p-ニトロフェニルリン酸ニナトリウム、ナカライテスク)(1mg/ml, 100μl/well)を加えて発色させた。測定にはマイクロプレートリーダー(MTP-120 Microplatereader, Corona Electric)を用いた(波長415nm)。
IFN-γの定量には、1次抗体としてラット抗マウスIFN-γ抗体(Pharmingen, San Diego, CA, Code No.18181D, 0.5mg/ml)、二次抗体としてビオチン標識ラット抗マウスIFN-γ抗体(Pharmingen, Code No.18112D, 0.5mg/ml)を用いて同様の方法で行った。検量線作成のため、リコンビナントマウスIFN-γ(Pharmingen, Code No.19301U)を使用した。
IL-5の定量には、1次抗体としてラット抗マウスIL-5抗体(Pharmingen, San Diego, CA, Code No.18051D, 0.5mg/ml)、二次抗体としてビオチン標識ラット抗マウスIL-5抗体(Pharmingen, Code No.18062D, 0.5mg/ml)を用いて同様の方法で行った。検量線作成のため、リコンビナントマウスIL-5 (Pharmingen, Code No.19241W)を使用した。実験は、triplicateで行い、平均値を求めた。
【0091】
結果
実施例1の化合物はIL-4及びIL-5の産生を抑制した。一方、IFN-γの産生に対しては顕著な増強作用を示した。
【表1】
Figure 0004244398
【0092】
実施例26
マウスリンパ節細胞からのサイトカイン産生に対する実施例化合物の作用
実験方法
1.薬剤
実施例25と同様に、種々の類縁体化合物はジメチルスルホキシド(ナカライテスク(京都)Code No. 11J)にて、100mMとなるように溶解し、培地により最終濃度まで希釈した。
2.抗原感作リンパ節細胞調製法、抗原刺激によるサイトカイン産生法及びはサイトカイン定量法は実施例25で示したとおりの方法で行った。
代表的なTh2タイプサイトカインとしてIL-4を定量した。
それぞれの類縁体化合物に関して、種々の濃度でのIL-4産生抑制率を計算して、化合物濃度と抑制率とのグラフより各類縁体化合物の50%抑制濃度(IC50)値を求めた。
結果
結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
Figure 0004244398
【0094】
実施例27
マウス生体内におけるIgE産生に対する実施例1の化合物の作用
実験方法
1)動物
BALB/cは日本マウスチャールスリバー(横浜)より8週令の雌のマウスを購入し、9日間予備飼育をした後に使用した。
2)卵白アルブミン感作
卵白アルブミン(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)の生理食塩水溶液(4μg/ml)と水酸化アルミニウム・アジュバント(Alu-Gel-S;Serva Feinbiochemica GmbH & Co., Code No.12261)を等量混合してマウス腹腔内に0.5ml投与した。
3)薬剤投与方法
被検化合物(実施例1の化合物)はメチルセルロースに懸濁して、卵白アルブミン感作1時間前及び、感作後1日から12日まで連日1日1回経口投与した。コントロール群にはメチルセルロースのみを投与した。
4)採血及び血漿調製
感作後13日目に麻酔下で眼か静脈叢よりヘパリン処理毛細管で採血し、遠心分離して血漿を調製した。
5)血中IgE量の測定
血中IgE量の測定はELISA法を用いて行った。1次抗体としてラット抗マウスIgEモノクローナル抗体(コード番号7627,ヤマサ醤油株式会社、千葉)、2次抗体としてビオチン標識ラット抗マウスIgEモノクローナル抗体(コード番号7617,ヤマサ醤油株式会社、千葉)を用いて、実施例25と同様な方法で測定した。血漿は500倍希釈して測定し、血中IgE量は、マウスIgE(品番7626ヤマサ醤油、千葉)を用いた標準曲線から算出した。
6)統計処理法
結果は、Dunnett's-testで統計処理した。
【0095】
結果
表3に示すように、実施例1の化合物は卵白アルブミン/水酸化アルミニューム・アジュバント腹腔内感作により誘導される血中IgEの上昇を有意差をもって抑制した。この実験系における血中IgEの上昇は、生体内でのIL-4産生に依存していることがすでに確認されている。この結果は、実施例1の化合物がマウス生体内において、IL-4産生を抑制することにより、血中IgEの上昇を抑制したことを示す。
【表3】
Figure 0004244398
【0096】
実施例28
TNCB誘発接触性皮膚炎に対する実施例1の化合物の作用
実験方法
1)動物
BALB/cは日本チャールスリバー(株)より8週令のメスのマウスを購入し、14日間予備飼育した後に使用
2)感作
北垣らの方法(北垣ら, J. Invest. Dermatol. 105, 749-755(1995))を参考にした。マウスの右耳の両面に1% 2,4,6−トリニトロクロルベンゼン(TNCB)のアセトン溶液を10μlずつ塗布して感作した。初回感作後6日目より週3回の割合で塗布感作を繰り返した。
3)耳介肥厚測定法
ハプテンを塗布し皮膚肥厚を惹起し、4、24及び48時間後の皮膚肥厚を測定した。
耳介肥厚は、(塗布した右耳の厚さ)−(塗布しない左耳の厚さ)で表現した。
4)薬物投与法
実施例1の化合物0.4 mgをアセトン20μlに溶解し、初回感作後20、21、22、23及び24日目にマウスの右耳に塗布した。
5)統計処理法
SASプログラムを用いて、Dunnett’s-testを行った。
【0097】
結果
実施例1の化合物の投与により、コントロール群と比較して、初回感作後20日目のハプテン塗布の4、24及び48時間後の皮膚肥厚を抑制する傾向を示し、さらには初回感作後22日目のハプテン塗布の4、24及び48時間後の皮膚肥厚を有意差(p<0.05)を持って抑制した。
このTNCBを繰り返し塗布することにより誘発される慢性接触性皮膚炎は初回感作後8日目あたりからIgE抗体価の上昇及び皮膚でのアレルギー性の炎症を伴うTh2型の免疫応答が誘導され、慢性のアトピー性皮膚炎に近似した皮膚症状を示すことが報告されている(北垣ら, J. Invest. Dermatol. 105, 749-755(1995))。
この結果は、実施例1の化合物が経皮的に作用し、皮膚でのTh2型の免疫応答を抑制し、アレルギー性炎症を抑制したことを示すものである。

Claims (2)

  1. 式(1)
    Figure 0004244398
    (式中、A環は、炭素数3から10のシクロアルカン、炭素数5から10のシクロアルケン、置換シクロアルカン、炭素数7から10のビシクロアルカン、置換ビシクロアルカンまたは、ヘテロ原子として酸素または、硫黄原子を含む複素環を表わし、硫黄原子は、1または2個の酸素原子と結合してスルフィニルまたはスルホニルとなってもよい。Rは、炭素数1から6の低級アルキル基、炭素数2から6の低級アルケニル基、炭素数3から6の低級アルキニル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数4から10のシクロアルキルアルキル基またはOR(Rは炭素数1から6の低級アルキル基、炭素数3から6の低級アルケニル基、炭素数3から6の低級アルキニル基、炭素数3から6のシクロアルキル基または炭素数4から10のシクロアルキルアルキル基を表す。)を表わし、
    は、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、Rは、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、Rは、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、Rは、水素原子、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。)で表わされるキナゾリン誘導体およびその塩。
  2. 請求項1記載のキナゾリン誘導体またはその塩を有効成分とするタイプ2ヘルパーT細胞側の免疫応答を抑制し、タイプ1ヘルパーT細胞側の免疫応答を増強する免疫調節剤。
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