JP4243955B2 - 延伸ロッドの伸長駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータによる回転運動を直線運動に変換して延伸ロッドを伸長する延伸ロッドの伸長駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来では、プリフォームを延伸する延伸ロッドの伸長を、電動モータによる回転運動を、ボールねじとボールナットとにより直線運動に変換する機構を採用して行っている(例えば、特許文献1参照)。
また搬送装置の移動手段として磁気ねじを利用しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−43131号公報(第3頁、図1ー2)。
【特許文献2】
特許第2685723号明細書(第1頁、第1−3図)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来から採用されているボールねじ軸とボールナット部材とによる回転−直線運動変換手段では、ボールナット部材側にボール循環路を設けて、ねじ軸とナット部材の軸方向への相対移動を円滑に行えるようにしている。このためボールナット部材に循環路が軸方向に突出形成され、これがボールナット部材の簡素化と小型化を難しくしている。
【0005】
また延伸ロッドの伸縮作動ごとに、ねじ溝内のボールもそれに応じて、ねじ溝の前後何れかに位置して応力を受けるので、延伸作動が繰返し長時間に行われると、ボールが圧縮応力を受けて疲労破壊を起こす場合が多く、摩擦による発熱を防止するために給油を必要とするなど保守管理に手数を要するなどの課題を有する。
【0006】
さらにまた、底型をキャビティ内に上昇して延伸ロッドとによりプリフォーム底部を挟持して製品を完成する際に、底型が延伸ロッドの先端に衝突すると、その衝撃力がボールねじに圧迫力として作用し、これが故障の原因となることから、そのような事態が生じないように延伸ロッドの伸長と底型の上昇作動とを同調させる必要がある、という課題をも有する。
【0007】
この発明は、上記従来のボールねじ軸とボールナット部材による場合の課題を解決するために考えられたものであって、その目的は、非接触状態で回転−直線運動変換を円滑に行い得る磁気ねじ軸と磁気ナット部材の採用によって、装置の簡素化と小型化を図ることができ、また保守管理も容易となる延伸ロッドの伸長駆動装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明は、立設した延伸ブロー装置のブローコア部材に延伸ロッドを挿通し、その延伸ロッドの伸長を電動サーボモータによる回転運動を磁気ねじ軸と磁気ナット部材とにより直線運動に変換して行う伸長駆動装置であって、延伸ブロー装置の昇降自在な設置盤に縦設したシリンダと、シリンダ内から設置盤下側の延伸ロッドの取付板に連結した円筒体のプランジャと、そのプランジャの上部内周囲に一体に嵌着した上記磁気ナット部材と、シリンダ上端から磁気ナット部材を通してプランジャ内に挿入し、下軸端をベアリングをもってプランジャに支持すると共に上軸端を軸受部材に支持した上記磁気ねじ軸と、その上端軸に駆動軸をジョイントしてシリンダ上端の受台に連結した上記電動サーボモータとからなる、というものである。
【0009】
この発明の上記磁気ナット部材と上記磁気ねじ軸は、永久磁石による軸材の外周面と、永久磁石による円筒体の内周面とに、N極着磁帯とS極着磁帯とを同一ピッチで交互に螺旋状に施し、その磁気ねじ軸の外周囲にクリアランスを設けて同極対位により磁気ナット部材を反撥支持してなり、かつ磁気ねじ軸に付加されたトルクよりも大きな軸方向の衝撃力に対し、磁気ねじ軸が回転して衝撃を吸収する構造からなる、というものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図中1は機台上方の昇降自在な基盤2に立設した延伸ブロー装置の固定盤で、基盤2の上面に一対ずつ左右に立設した4本の支柱3,3の頂部にわたり跨設してあり、その固定盤1の両側の支柱間上にエア又は油圧作動の一対の昇降シリンダ4,4が縦に取付けてある。5は延伸駆動装置6の設置盤で、両端部を各昇降シリンダ4,4のピストンロッド4a,4aに連結して固定盤1の下側に昇降自在に設けられている。
【0011】
7はコア保持板で、四隅部を各支柱3,3に挿通するとともに、両側をタイロッド8,8により設置盤5に連結して、該設置盤5と一緒に昇降移動するようにしてある。このコア保持板7の下面には、上記基盤2の下側に設けたブロー金型30が有する複数のキャビティ31,31と同数のブローコア部材9,9が、エア通路を穿設した座板7aに固着して、キャビティ間隔毎に下向きに取付けてある。
【0012】
10は延伸ロッド11の取付板で、上記タイロッド8,8に両側端を挿通して設置盤5とコア保持板7との間に設けられており、その下面に各ブローコア部材9,9にそれぞれ挿通した延伸ロッド11,11が、基端部を連結板10aに挟持して下向きに取付けてある。また上面中央には伸長駆動装置6の後記するプランジャ61が連結してある。
【0013】
上記伸長駆動装置6は、設置盤5の上面中央に連結板62をもって縦設したシリンダ63と、その下端部内に嵌着したブッシュ64を通して、シリンダ内から設置盤5の下側の延伸ロッド11の取付板10に、連結板61aをもつて連結した円筒体の上記プランジャ61と、そのプランジャ61の上部内周囲に一体に嵌着した磁気ナット部材65と、シリンダ上端から磁気ナット部材65を通してプランジャ内に挿入し、下軸端66aをベアリング65´をもってプランジャ61に支持した磁気ねじ軸66と、シリンダ上端に取付けた受台67に連結して、軸受部材68に支持した磁気ねじ軸66の上軸端66bに、駆動軸69aをジョイントした電動サーボモータ69とからなる。なお、61bはシリンダ63とプランジャ61の間にリング止めした振れ止用のブッシュである。
【0014】
上記磁気ナット部材65と磁気ねじ軸66は、永久磁石材による軸材の外周面と、永久磁石材による円筒体の内周面とに、N極着磁帯とS極着磁帯とを同一ピッチで交互に螺旋状に施したものからなり、その磁気ねじ軸65の外周囲に所要クリアランス(例えば、0.5mm)を設けて同極対位により反撥支持された磁気ナット部材65が、磁気ねじ軸66と共に回転する着磁帯によって、同方向に回転するようになる。しかし磁気ナット部材65が取付板10との連結により回転が阻止されたプランジャ61と一体にあることから、磁気ナット部材65は回転することなくプランジャ61と一緒に磁気ねじ軸66に沿って直線移動する。また磁気ねじ軸66が停止すると、磁力により磁気ナット部材65が磁気ねじ軸66に拘束されて、プランジャ61がその停止位置に保持される。
【0015】
このような伸長駆動装置6を備えた延伸ブロー装置では、図1に示すように、上記基盤2の下側面に設けられた移送盤32により、ネック型33に保持されたプリフォーム34が、型開した上記ブロー金型30の中央に位置すると、基盤2と共に装置全体が降下してブロー金型30とネック型33の型閉が行われる。
【0016】
この型閉後に、図2に示すように上記昇降シリンダ4を作動すると、設置盤5と連結したピストンロッド4aが伸長し、設置盤5とタイロッド8により連結されたコア保持板7どが降下して、ブローコア部材9がネック型33と気密に嵌合する。同時に磁気ナット部材65と磁気ねじ軸66とにより拘束されて伸長駆動装置6に吊り持たれ、上方に固定位置していたロッド取付板10も、設置盤5と共に降下する伸長駆動装置6により下方に移動する。これによりブローコア部材9から突出した上記延伸ロッド11の先端部が、プリフォーム内底面に先端部材が達するところまでネック型33を通してプリフォーム34に挿入される。
【0017】
ブローコア部材9及び延伸ロッド11の嵌合及び挿入が終了すると、上記取付板10の荷重に対応するトルクを磁気ねじ軸66に付与していた上記電動サーボモータ69が作動し、磁気ねじ軸66を正回転する。これにより磁気ナット部材65と一体で回転止めされているプランジャ61が、下方へ直線移動して取付板10を押下げ、延伸ロッド11がプリフォーム34を底型設定まで伸長する。
これと同時に、ブローコア部材9に図示しないエア回路からブローエアが圧送されて、プリフォーム34は上方から下方へと膨張し、その後に底型35がキャビティ内に押し上げられて、キャビティ形状と同一のボトル36が延伸ブロー成形される(図3参照)。
【0018】
ボトル成形が終了すると、ブロー金型30の型開と基盤2による装置全体の上昇移動が行われ、その移動過程で上記昇降シリンダ4の作動によるピストンロッド4aの引き戻しと、電動サーボモータ69による磁気ねじ軸66の逆回転作動によるプランジャ61の上方移動とが行われて、設置盤5とコア保持板7及びロッド取付板10の元の上方位置に復帰する。
【0020】
上述のように、電動サーボモータによる磁気ねじ軸の回転運動を、磁気ナット部材により直線運動に変換して延伸ロッドを駆動するこの発明では、ボールねじが不可欠とするボールナット側部のボール循環路が不要となって、磁気ナット部材の側部に突出部分がなくなるので、伸長駆動装置が簡素化されてコンパクトな単一の装置として取り扱い得るようになり、装置重量も軽減されることから、設置位置が延伸ブロー装置の上部であっても取付作業に手数が掛からず、作業を安全に行うことができる。
【0021】
またナット部材はボールねじのように磁気ねじ軸と噛合せずに、設定クリアランスを保持してねじ軸周囲に遊嵌され、非接触であることから応答性がよく、磁気ねじ軸の回転量と磁気ねじ部材の移動量の誤差は無いに等しいことから、延伸ロッドの伸長停止位置が設定通りに確実に行え、ボールねじにみられる圧縮応力による疲労破壊も起こらぬことから、長期の使用においてもその機能を十分に維持し、保守管理も容易となる。
【0022】
さらにまた磁気ねじ軸と磁気ナット部材では、磁気ねじ軸に付加されたトルクよりも大きな衝撃力を軸方向に受けると、衝撃力に応じて磁気ねじ軸が回転し、衝撃を吸収するようになるので、底型をキャビティ内に上昇して延伸ロッドとによりプリフォーム底部を挟持して成形を行う場合でも、ボールねじにでは不可欠な延伸ロッドと底型の作動とを同調させる複雑なサーボ制御が不要となる。したがって、制御手段を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る伸長駆動装置を備えた延伸ブロー装置の要部縦断正面図である。
【図2】 同上の型閉時における半部縦断正面図である。
【図3】 同じく延伸ブロー成形時の半部縦断正面図である。
【図4】 延伸ブロー成形時の側面図である。
【符号の説明】
1 固定盤
2 基盤
2 支柱
4 昇降シリンダ
4a ピストンロッド
5 設置盤
6 伸長駆動装置
7 コア保持板
8 タイロッド
9 ブローコア部材
10 延伸ロッドの取付板
11 延伸ロッド
30 ブロー金型
34 プリフォーム
61 プランジャ
63 シリンダ
64 スプラインブッシュ
65 磁気ナット部材
66 磁気ねじ軸
69 電動サーボモータ
Claims (2)
- 立設した延伸ブロー装置のブローコア部材に延伸ロッドを挿通し、その延伸ロッドの伸長を電動サーボモータによる回転運動を磁気ねじ軸と磁気ナット部材とにより直線運動に変換して行う伸長駆動装置であって、
延伸ブロー装置の昇降自在な設置盤に縦設したシリンダと、シリンダ内から設置盤下側の延伸ロッドの取付板に連結した円筒体のプランジャと、そのプランジャの上部内周囲に一体に嵌着した上記磁気ナット部材と、シリンダ上端から磁気ナット部材を通してプランジャ内に挿入し、下軸端をベアリングをもってプランジャに支持すると共に上軸端を軸受部材に支持した上記磁ねじ軸と、その上端軸に駆動軸をジョイントしてシリンダ上端の受台に連結した上記電動サーボモータとからなることを特徴とする延伸ロッドの伸長駆動装置。 - 上記磁気ナット部材と上記磁気ねじ軸は、永久磁石による軸材の外周面と、永久磁石による円筒体の内周面とに、N極着磁帯とS極着磁帯とを同一ピッチで交互に螺旋状に施し、その磁気ねじ軸の外周囲にクリアランスを設けて同極対位により磁気ナット部材を反撥支持してなり、かつ磁気ねじ軸に付加されたトルクよりも大きな軸方向の衝撃力に対し、磁気ねじ軸が回転して衝撃を吸収する構造からなることを特徴とする請求項1記載の延伸ロッドの伸長駆動装置。
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