JP4242940B2 - 光学活性アミン誘導体の製造法 - Google Patents

光学活性アミン誘導体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メラトニン受容体親和性を有し、医薬または医薬の合成原料として有用な光学活性アミン誘導体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メラトニン受容体親和性などの生理作用を有するベンゾシクロアルケン誘導体は、例えば特開平8−134030号公報(WO 96/08466号公報)に記載され、該公報の実施例65〜68および70にその光学活性化合物が開示されている。該光学活性化合物の製造法については、高速液体クロマトグラフィーを用いる方法が記載されている。
メラトニン様作用特性を有するエチルアミド誘導体は、例えば特開平8−268987号公報(EP−0728738号公報)に記載され、該公報の実施例36〜39にD−またはL−酒石酸を用いる光学分割法が記載されている。
メラトニン受容体親和性を有する三環式アミド化合物は、例えば特開平8−239377号公報(EP−0708099号公報)に記載されているが、該公報には光学活性化合物についての具体的記載はない。
さらに、メラトニン様作用特性を有する化合物は、例えば特開平8−239353号公報(EP−0721938号公報)、特開平8−231530号公報(EP−0721497号公報)、WO 95/29173号公報に記載されているが、光学活性化合物についての具体的記載はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いる光学分割により光学活性体化合物を得る方法では、大量処理は困難であり、製造コストも高く、工業的製造法としては適していない。
また、D−またはL−酒石酸を用いる光学分割法では、理論収率が最大でも50%止まり、即ち最大でも50%の原料しか利用できず、また操作も繁雑であるため工業的製造法としては好ましくない。
従って、メラトニン受容体親和性などの生理作用を有する医薬または医薬の合成原料として有用な光学活性アミン誘導体の製造法として、収率、純度、簡便性などの条件を満たす工業的大量規模での生産に適した効率良い製造法の確立が切望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、遷移金属−光学活性ホスフィン錯体を用いる不斉還元を用いて光学活性アミン誘導体の不斉合成方法を検討したところ、触媒量のルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いた場合、効率的に目的とする光学活性体が得られることを見出し、さらに鋭意努力した結果、本発明を完成するに至った。即ち、
本発明は、(1)式
【化4】
Figure 0004242940
〔式中、R1およびR2はそれぞれ水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を示すか、あるいはR1とR2は隣接する炭素原子と一緒になって置換基を有していてもよいスピロ環を形成していてもよく、Xは(CH2)n(nは1ないし4の整数を示す)、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を示し、mは1ないし3の整数を示す。環Aは置換基を有していてもよい。〕で表される化合物またはその塩を、遷移金属−光学活性ホスフィン錯体存在下に、不斉水素化反応に付すことを特徴とする式
【化5】
Figure 0004242940
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物の光学活性体またはその塩の製造法、
(2)R1およびR2がともに水素原子で、Xが(CH2)n(nは1または2を示す)で、mが1または2で、環Aが無置換である前記(1)項記載の製造法、
(3)nとmが共に1である前記(2)項記載の製造法、
【0005】
(4)遷移金属−光学活性ホスフィン錯体が、R−BINAP〔R−BINAPは光学活性2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル誘導体を示す。〕を配位子とする遷移金属錯体触媒である前記(1)記載の製造法、
(5)R−BINAPを配位子とする遷移金属錯体触媒が、式(V)
[Ru(R−BINAP)Ykw]tj (V)
[式中、R−BINAPは光学活性2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル誘導体を;Yはハロゲン原子を;Qはベンゼンまたはp−シメンを;ZはN(C25)3,CH3CO2 またはハロゲン原子を示し;ZがN(C25)3 であるとき、kは2、wは0,tは2、jは1;ZがCH3CO2 であるとき、kは0、wは0,tは1、jは2;Zがハロゲン原子であるとき、kは1,wは1,tは1,jは1または3を示す]で表わされる化合物である前記(4)記載の製造法、
(6)R−BINAPで示される光学活性2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル誘導体が、式
【化6】
Figure 0004242940
〔式中、Rは水素原子または炭素数1乃至6の低級アルキル基を示す〕で表わされる化合物の光学活性体である前記(4)記載の製造法、
(7)R−BINAPを配位子とする遷移金属錯体触媒が、Ru2Cl4[(R)−BINAP]2N(C25)3、{RuCl(Benzene)[(R)−BINAP]}Cl、{RuCl(p−Cymene)[(R)−BINAP]}Cl、{RuBr(p−Cymene)[(R)−BINAP]}Br、{RuI(p−Cymene)[(R)−BINAP]}I3 および{RuI(p−Cymene)[(R)−BINAP]}Iから選ばれる触媒である前記(5)記載の製造法、(8)(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミンを不斉水素化反応に付し、(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンを製造する前記(1)記載の製造法に関する。
【0006】
本発明において、式(I)で表される化合物の光学活性体は、下記の式(Ia)または(Ib)で表される。
【化7】
Figure 0004242940
【0007】
【発明の実施の形態】
以下の説明において、低級アルキル基、低級アルケニル基などにおける「低級」とは、特に断らない限り炭素数6以下の基(C1-6、C2-6またはC3-6)を意味するものとする。
上記式中、R1またはR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、脂肪族炭化水素基、単環式飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基などが挙げられ、具体的には、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基およびアリール基などが挙げられる。
該「アルキル基」としては、C1-16アルキル基などが挙げられ、なかでもC1-6アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチルおよびへキシルなど)、より好ましくはC1-4アルキル基が挙げられる。
該「アルケニル基」としては、C2-16アルケニル基などが挙げられ、なかでもC2-6アルケニル基(例えばビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、プテニルおよびイソブテニルなど)、より好ましくはC2-4アルケニル基が挙げられる。
該「アルキニル基」としては、C2-16アルキニル基などが挙げられ、なかでもC2-6アルキニル基(例えばエチニル、プロパルギルおよび1−プロピニルなど)、より好ましくはC2-4アルキニル基が挙げられる。
該「シクロアルキル基」としては、C3-16シクロアルキル基などが挙げられ、なかでもC3-6シクロアルキル基(例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなど)、より好ましくはC3-4シクロアルキル基が挙げられる。
該「アリール基」としては、C6-14アリール基(例えばフェニル、キシリル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、1−インデニルおよび1−アンスリルなど)、より好ましくはフェニル基などが挙げられる。
【0008】
1またはR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」が有していてもよい置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン化されていてもよい低級アルキル基(例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、4.4,4−トリフルオロブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルなどのハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシ基など)、アミノ基、モノ−低級アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノなどのモノ−C1-6アルキルアミノ基など)、ジ−低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのジ−C1-6アルキルアミノ基など)、カルボキシル基、低級アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニルなどのC1-6アルキル−カルボニル基など)、低級アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなどのC1-6アルコキシ−カルボニル基など)、カルバモイル基、モノ−低級アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイルなどのモノ−C1-6アルキルカルバモイル基など)、ジ−低級アルキルカルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイルなどのジ−C1-6アルキルカルバモイル基など)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル、ナフチルカルバモイルなどのC6-10アリール−カルバモイル基)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6-10アリール基)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシなどのC6-10アリールオキシ基)、ハロゲン化されていてもよい低級アルキルカルボニルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノなどのハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル−カルボニルアミノ基など)などが挙げられる。
【0009】
該「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」は、前記の置換基を、炭化水素基の置換可能な任意の位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
1またはR2で示される「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例えば炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれた1種または2種のへテロ原子を1ないし4個(好ましくは1ないし3個)含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員、より好ましくは5ないし7員、さらに好ましくは5または6員)の単環式ないし3環式(好ましくは単環式または2環式)の複素環基などが挙げられる。
【0010】
該「複素環基」としては例えば、(i)炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む5員環基(例、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、3−または4−ピラゾリジニル、2−、4−または5−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1H−または2H−テトラゾリル等)、
(ii)炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等から選ばれたへテロ原子を1ないし4個含む6員環基(例、2−、3−または4−ピリジル、N−オキシド−2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジニル、N−オキシド−2−、4−または5−ピリミジニル、チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジノ、2−、3−または4−ピペリジル、チオピラニル、1,4−オキサジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアジニル、ピペラジニル、トリアジニル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、N−オキシド−3−または4−ピリダジニル等)、
(iii)炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし4個含む2環性または3環性縮合環基(好ましくは、上記(i)の5員環基または上記(ii)の6員環基が炭素原子以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等から選ばれるヘテロ原子を1個ないし4個含んでいてもよい5または6員環基1個ないし2個と縮合して形成される縮合環基)(例、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、インドリジニル、キノリジニル、1,8−ナフチリジニル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フエナントリジニル、クロマニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル等)等が挙げられる。
【0011】
該「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」が有していてもよい置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1-6アルキル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3-6シクロアルキル基など)、低級アルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギル等のC2-6アルキニル基など)、低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニルなどのC2-6アルケニル基など)、アラルキル基(例えばベンジル、α−メチルベンジル、フェネチル等のC7-11アラルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチルなどのC6-10アリール基等、好ましくはフェニル基)、低級アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等のC1-6アルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等のC6-10アリールオキシ基等)、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1-6アルカノイル基など)、ベンゾイル基、ナフトイル基、低級アルカノイルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ等のC1-6アルカノイルオキシ基など)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等のC6-10アリールカルボニルオキシ基など)、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等のC1-6アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル等のC7-11アラルキルオキシカルボニル基など)、カルバモイル基、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノ−低級アルキル基(例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル等のモノ−、ジ−またはトリ−ハロゲノ−C1-4アルキル基など)、オキソ基、アミジノ基、イミノ基、アミノ基、モノ−低級アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ等のモノ−C1-4アルキルアミノ基など)、ジ−低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ等のジ−C1-4アルキルアミノ基など)、炭素原子と1個の窒素原子以外に酸素原子、硫黄原子、窒素原子等から選ばれたヘテロ原子を1ないし3個含んでいてもよい3ないし6員の環状アミノ基(例えば、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イミダゾリジニル、ピペリジル、モルホリニル、ジヒドロピリジル、ピリジル、N−メチルピペラジニル、N−エチルピペラジニル等の3ないし6員の環状アミノ基など)、アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1-3アルキレンジオキシ基など)、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、スルホ基、スルフィノ基、ホスホノ基、スルファモイル基、モノアルキルスルフアモイル基(例えば、N−メチルスルフアモイル、N−エチルスルファモイル、N−プロピルスルファモイル、N−イソプロピルスルファモイル、N−ブチルスルファモイル等のモノ−C1-6アルキルスルファモイル基など)、ジアルキルスルファモイル基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジブチルスルファモイル等のジ−C1-6アルキルスルファモイル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ等のC1-6アルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等のC6-10アリールチオ基など)、低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル等のC1-6アルキルスルフィニル基など)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6-10アリールスルフィニル基など)、低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル等のC1-6アルキルスルホニル基など)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6-10アリールスルホニル基など)などが挙げられる。
該「置換基を有していてもよい複素環基」の「複素環基」は、前記の置換基を、複素環基上の置換可能な任意の位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0012】
本明細書中で用いられる用語「置換基を有していてもよいスピロ環」の「スピロ環」は、例えばR1とR2が一緒になって隣接する炭素原子をスピロ原子として形成される炭素数3個ないし8個からなる環などを示し、例えば低級シクロアルカン(例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのC3-8シクロアルカンなど)、低級シクロアルケン(例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのC3-8シクロアルケンなど)などが挙げられ、好ましくは、C3-8シクロアルカンなどが挙げられる。
該「スピロ環」が有していてもよい置換基としては、例えば前記R1およびR2で示される「置換基を有していてもよい複素環基」における置換基として例示した置換基と同様のものが、同様の個数挙げられる。さらに、該「スピロ環」は芳香環(例えば、ベンゼン環、ピリジン環などの6員の芳香環等)と縮合していてもよい。
【0013】
上記式中、R1またはR2は、それぞれ例えば水素原子、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1-6アルキル基など)またはアリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどのC6-10アリール基など)などである場合が好ましく、特に水素原子またはC1-6アルキル基などである場合がより好ましい。 またR1とR2は、隣接する炭素原子と一緒になって、
【化8】
Figure 0004242940
などで表されるスピロ環を形成している場合などが好ましい。
【0014】
1およびR2としてより好ましくは、ともに水素原子である。
上記式中、環Aにおける置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、置換基を有していてもよい炭化水素基、水酸基、置換基を有する水酸基(好ましくは、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどのC1-6アルコキシ基など)、置換基を有していてもよいアミノ基、アミド基(例えば、アセトアミドなどのC1-6アシルアミノ基(好ましくは、C1-5アルカノイルアミノ)など)、低級アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなどのC1-6アルキレンジオキシ基など)などが挙げられる。環Aは、これら置換基から選ばれる1個または2個の置換基をその環上の置換可能な任意の位置に有していてもよい。
上記環Aの置換基における「置換基を有していてもよい炭化水素基」としては、R1またはR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」として例示したものと同様のものが挙げられる。
上記環Aの置換基における「置換基を有する水酸基」は、水酸基の水素原子の代わりに、例えば上記R1およびR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」として例示したものと同様の「置換基を有していてもよい炭化水素基」などで置換された水酸基を示し、例えば置換基を有していてもよい低級アルキル基などで置換された水酸基などが好ましい。該「低級アルキル基」としては、C1-6アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルなど)などが挙げられ、該「低級アルキル基」が有していてもよい置換基としては、例えば前記R1およびR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」が有していてもよい置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0015】
上記の「置換基を有していてもよいアミノ基」は、置換基として例えば前記R1およびR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」などを1個ないし2個有していてもよいアミノ基などが挙げられる。該「アミノ基」が有していてもよい置換基の好ましいものとしては、例えば置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基などが挙げられる。該「C1-6アルキル基」、「C6-10アリール基」が有していてもよい置換基としては、前記R1およびR2で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」が有していてもよい置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。これら「炭化水素基」、「水酸基」、「アミノ基」が有する置換基の数が2個の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0016】
環Aにおける置換基としては、例えばハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素など)、ハロゲン原子などで置換されていてもよいC1-6アルキル基(例えば、メチル、エチルなど)、C6-10アリール基などで置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシなど)、水酸基およびモノ−C1-6アルキルアミノ基が好ましく挙げられる。
環Aは、無置換である場合が特に好ましい。
上記式中、mは1ないし3の整数、好ましくは1または2を示す。より好ましくは、mは1である。
上記式中、Xは (CH2)n〔式中、nは、1ないし4の整数を示す。〕、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を示すが、好ましくは(CH2)n〔式中、nは、1ないし4の整数を示す。〕である。
【0017】
式(IIa)または(IIb)で表される化合物として好ましくは、Xが (CH2)n〔nは、1ないし4の整数を示す。〕の場合である。
式(IIa)で表される化合物としてより好ましくは、
【化9】
Figure 0004242940
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕などであり、
式(IIb)で表される化合物としてより好ましくは、
【化10】
Figure 0004242940
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕などである。
これら式中、好ましくはnが1ないし3の整数であり、nが1である場合が特に好ましい。
【0018】
化合物(IIa)または(IIb)として特に好ましくは、R1およびR2がそれぞれ水素原子、mが1、およびXが(CH2)n(この場合、nが1または2、好ましくはnが1)である化合物などである。
化合物(IIa)として具体的には例えば、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ〔5,4−b〕フラン−8−イリデン)エチルアミンなどが挙げられる。
また、化合物(IIb)として具体的には例えば、(Z)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ〔5,4−b〕フラン−8−イリデン)エチルアミンなどが挙げられる。
【0019】
本発明で対象とする式(IIa)、(IIb)、(Ia)または(Ib)で表される化合物の塩としては、例えば薬学的に許容可能な塩などが用いられる。例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩があげられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
中でも薬学的に許容可能な塩が好ましく、その例としては、該化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など無機酸との塩、例えば酢酸、フタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との塩があげられ、酸性官能基を有する場合には、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩などがあげられる。
【0020】
本発明製造法における原料化合物である式(IIa)または(IIb)で表される化合物またはその塩は、例えば、特開平8−134030号公報(WO96/08466号公報)、特開平8−268987号公報(EP−0728738号公報)、特開平8−239377号公報(EP−0708099号公報)、特開平8−239353号公報(EP−0721938号公報)、特開平8−231530号公報(EP−0721497号公報)、WO95/29173号公報などに記載の方法またはそれに準ずる方法により製造することができる。
本発明製造法において、式(IIa)または(IIb)で表される化合物またはその塩を、触媒として遷移金属−光学活性ホスフィン錯体の存在下に、不斉水素化反応に付すことにより、式(Ia)または(Ib)で表される化合物が製造される。
【0021】
本製造法において、遷移金属−光学活性ホスフィン錯体としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金等の周期表の第VIII族の金属、およびR−BINAPを配位子とする遷移金属錯体触媒が挙げられ、このうち、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体が好ましい。該錯体の配位子としてはR−BINAPが好ましい。
該R−BINAPを配位子とするルテニウム−光学活性ホスフィン錯体としては、式(V)
[Ru−(R−BINAP)Ykw]tZj(V)
[式中、Yはハロゲン原子(例えば塩素原子などが好ましい)を;Qはベンゼン、p−シメンを;wは0または1を、ZはN(C25)3,CH3CO2,またはハロゲン原子を示し;ZがN(C25)3 であるとき、kは2、wは0、tは2、jは1であり;ZがCH3CO2 であるとき、kは0、wは0、tは1、jは2であり:Zがハロゲン原子であるときkは1、wは1、tは1、jは1あるいは3である]で表わされるものが挙げられる。
上記式中、R−BINAPは、で表わされる「光学活性な三級ホスフィン」としては次の式(V−1)
【化11】
Figure 0004242940
で表される光学活性な三級ホスフィン(Rは水素原子またはメチル基を示す。従って、Rが水素原子の場合は2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチルであり、Rがメチル基の場合は2,2'−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1'−ビナフチルである)を用いることもできる。
【0022】
上記式中、R−BINAPで表される「光学活性な三級ホスフィン」としては、特開平3−255090号公報に記載の次の式(V−2)
【化12】
Figure 0004242940
〔式中、RはC1-6アルキル基を示す(Rがメチル基の場合、2,2'−ビス[ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチルである)〕、または、特開平4−139140号公報に記載の次の式(V−3)
【化13】
Figure 0004242940
〔式中、Rは水素原子またはC1-6アルキル基を示す(Rが水素原子の場合、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビナフチルである)〕で表されるものを用いることもできる。
【0023】
また、式(V)で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体として、以上例示したルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を混合して用いることもできる。式(V)で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の好ましい例としては、R−BINAPが、式(V−1)
【化14】
Figure 0004242940
で表される光学活性な三級ホスフィンであり、Rが水素原子またはメチル基であり;Yが塩素原子;ZがN(C25)3 であり;kは2、tは2、jは1である化合物等が挙げられる。
【0024】
式(V)で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の好ましい具体例としては、[Ru(R−BINAP)Cl2]2N(C25)3,[Ru(R−BINAP)Cl(benzene)]Cl,[Ru(R−BINAP)Cl(p−Cymene)]Cl,[Ru(R−BINAP)Br(p−Cymene)]Br,[Ru(R−BINAP)I(p−Cymene)]I3,[Ru(R−BINAP)I(p−Cymene)]I などが挙げられる。
【0025】
式(V)で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体は、例えば特開昭61−63690号公報、特開平2−191289号公報、特開平3−255090号公報、特開平4−139140号公報、特開平5−111639号公報等に記載の方法あるいはこれに準ずる方法により製造することができる。
上記のルテニウム−光学活性ホスフィン錯体中の光学活性な三級ホスフィンには、(R)配置および(S)配置の2種の光学異性体が存在する。本発明においては、化合物(IIa)または(IIb)のどちらを出発原料として用いるかに応じて、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体中の光学活性三級ホスフィンの(R)配置または(S)配置のどちらかの光学異性体を適宜選択すれば、(Ia)または(Ib)のうち目的とする方の光学活性化合物を選択的(実質的に純粋に)に得ることができる。
【0026】
例えば、R1 およびR2 が共に水素原子で、mが1ないし3(好ましくはmは1)、Xが(CH2)n(nは1ないし4の整数、好ましくはnは1を示す)であるとき、(S)配置の式(Ia)で表される化合物を得る為には、(i)式(IIa)で表わされる(E)−体の化合物を原料として(R)配置の光学活性ホスフィンを用いて反応を行うか、(ii)式(IIb)で表わされる(Z)−体の化合物を原料として(R)配置の光学活性ホスフィンを用いて反応を行えばよいが、とりわけ(i)の反応を行うことが好ましい。 一方、R1 およびR2 が共に水素原子で、mが1ないし3(好ましくはmは1)、Xが(CH2)n(nは1ないし4の整数、好ましくはnは1を示す)であるとき、(R)配置の式(Ib)で表される化合物を得る為には、(iii)式(IIa)で表わされる(E)−体の化合物を原料として(S)配置の光学活性ホスフィンを用いて反応を行うか、(iv)式(IIb)で表わされる(Z)−体の化合物を原料として(S)配置の光学活性ホスフィンを用いて反応を行えばよいが、とりわけ(iii)の反応を行うことが好ましい。
【0027】
該反応は、オートクレーブ中などで加圧条件下、以下に述べる水素圧の下で、加熱、撹拌することにより行うことができる。
該反応は、有機溶媒中で行うことができる。該有機溶媒としては、芳香族炭化水素類(例えばトルエン、ベンゼン、クロロベンゼン等)、脂肪族エステル類(酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル等)、エーテル類(イソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド等)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、また混合溶媒として用いてもよい。好ましくは、(1)アルコール類、(2)アルコール類とエーテル類との混合溶媒、が挙げられ、さらに好ましくは、(i)メタノール、(ii)メタノールとテトラヒドロフランとの混合溶媒などが挙げられる。
該反応において、有機溶媒の使用量は、原料化合物(基質)である式(IIa)または(IIb)1重量部に対し、通常1〜1000倍容量、好ましくは2〜20倍容量である。
【0028】
該反応において用いるルテニウム−光学活性ホスフィン触媒の量は、原料化合物(基質)である式(IIa)または(IIb)に対し、1/2〜1/1000倍モルもしくは1/2〜1/2000倍モル、さらに好ましくは1/10〜1/1000倍モルもしくは1/10〜1/500倍モルである。
該反応における反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは5〜100℃、さらに好ましくは10〜80℃である。
該反応における水素気圧は、通常5〜150kg/cm2、好ましくは30〜110kg/cm2 である。
該反応における反応時間は、通常0.5〜200時間もしくは0.5〜100時間、好ましくは1〜100時間もしくは5〜50時間、さらに好ましくは5〜50時間もしくは5〜25時間である。
該反応においては反応液中に、所望により、ルイス酸、プロトン酸などを添加してもよい。
該反応において、生成物である(Ia)または(Ib)のうち目的とする方の光学活性化合物を、原料である(IIa)または(IIb)に対して、1重量部に対し、通常1/200〜1/5倍重量、好ましくは1/100〜1/10倍重量をあらかじめ加えて、反応をさせてもよい。
【0029】
本発明の反応において、化合物(IIa)または(IIb)から化合物(Ia)または(Ib)ヘの変換率は、次に示す方法により求めることができる。即ち、例えば反応後の反応液を適当量サンプリングし、自体公知の適当なキラルカラム(例えば Chiralpak AS(ダイセル化学工業株式会社製),ULTRON ES-OVM(SHINWA CHEMICAL INDUSTRIES LTD.)など)を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により、化合物(Ia)、(Ib)、(IIa)または(IIb)のそれぞれの量を測定することができる。
上記の反応によって得られた反応液から、自体公知の方法(例えば溶媒抽出、転溶、晶出、再結晶、クロマトグラフィーなど)により、光学活性アミン誘導体である化合物(Ia)または(Ib)を得ることができる。
【0030】
本発明製造法により得られる光学活性アミン誘導体は、医薬または医薬の合成原料として有用である。即ち、該光学活性アミン誘導体として例えば(S)−N−〔2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ〔5,4−b〕フラン−8−イル)エチル〕プロピオンアミドなどは、優れたメラトニン受容体親和性、特にメラトニン受容体作動活性を示し、また毒性が低く、副作用も少ないため、医薬品として有用である。即ち、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、メラトニンアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し、メラトニン受容体親和性組成物、特にメラトニン受容体作動組成物またはメラトニン受容体拮抗組成物として有用であり、生体リズム調節障害などのメラトニンにより影響される可能性のある疾患、例えば睡眠覚醒リズム障害、時差ボケ(jet lag)、三交替勤等による体調の変調、季節的憂鬱病、生殖および神経内分泌疾恵、老人性痴呆、アルツハイマー病、老化に伴う各種障害(例えば、老化防止など)、脳循環障害、ストレス、てんかん、痙攣、不安、うつ病、パーキンソン病、高血症、緑内症、癌、不眠症、糖尿病などの予防・治療に使用でき、さらに、免疫調節、向知能、精神安定または排卵調整(例、避妊)に対しても有効である。また、該化合物は例えば生体リズム調節剤、好ましくは睡眠障害治療剤(例えば、睡眠導入剤など)、睡眠覚醒リズム調節剤(睡眠覚醒リズム調整作用も含む)、時間帯域変化症候群、いわゆる時差ボケ(jet lag)治療剤等としても用いられる。メラトニン受容体親和性を有する該化合物は、例えば下記の参考例に記載の方法により製造することができる。
【0031】
本発明の製造法によれば、各種の医薬や農薬などまたその合成中間体として有用な光学活性アミン誘導体、とりわけメラトニン受容体親和性を有する医薬またはその合成中間体として用いられる光学活性化合物を実質的に純粋に得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
実施例中で使用するメタノールおよびエタノールは、それぞれマグネシウムメトキシドまたはマグネシウムエトキシド存在下で、還流して脱水後、蒸留し、さらに脱気して用いた。
なお、高速液体クロマトグラフィーによる反応転化率及び光学純度の測定には次の条件を用いた。
Figure 0004242940
【0033】
参考例1. 2 , 3−ジヒドロベンゾフラン−5−カルバルデヒドの合成
【化15】
Figure 0004242940
2,3−ジヒドロベンゾフラン(10.0g、83.2mmol)およびジクロロメチルメチルエーテル(11.3mL、0.125mol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、氷冷下で四塩化チタン(28mL)を滴下した。混合物を氷冷下で1時間攪拌した後、水を加えた。ジクロロメタンを減圧下で濃縮した後、残渣を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して、表題化合物(収量11.4g、収率92%)を得た。
油状。
NMR(CDCl3 )δ:3.28(2H,t,J=8.8Hz),4.70(2H,t,J=8.8Hz),6.88(1H,d,J=8.4Hz),7.67(1H,dd,J=1.0Hz,8.4Hz),7.75(1H,d,J=1.0Hz), 9.83(1H,s)
【0034】
参考例2. (E)−3−(2 , 3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2−プロペン酸エチルの合成
【化16】
Figure 0004242940
ホスホノ酢酸トリエチル(19.0g、84.6mmol)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に60%水素化ナトリウム(3.39g、84.6mmol)を氷冷下で加え、混合物を20分間攪拌した。これに2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−カルバルデヒド(11.4g、76.9mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液を滴下して、さらに1時間攪拌した。反応液に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5から9:1)で精製して、表題化合物(収量14.7g、収率88%)を得た。
油状。
NMR(CDCl3 )δ:1.33(3H,t,J=7.2Hz),3,23(2H,t,J=8.8Hz),4.25(2H,q,J=7.2Hz),4.63(2H,t,J=8.8Hz),6.28(1H,d,J=16.0Hz),6.79(1H,d,J=8.4Hz),7.31(1H,d,J=8.4Hz),7.41(1H,s),7.64(1H,d,J=16.0Hz)
【0035】
参考例3. 3−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プロピオン酸エチルの合成
【化17】
Figure 0004242940
(E)−3−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−2−プロペン酸エチル(14.7g、66.7mmol)のエタノール(150mL)溶液に5%パラジウム炭素(1g、50%含水品)を加え、混合物を水素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。反応液をろ過した後ろ液を減圧下で濃縮して、表題化合物(収量14.6g、収率99%)を得た。
油状
NMR(CDCl3 )δ:1.24(3H,t,J=7.2Hz),2.57(2H,t,J=7.8Hz),2.88(2H,t,J=7.8Hz),3.18(2H,t,J=8.6Hz),4.13(2H,q,J=7.2Hz),4.55(2H,t,J=8.6Hz),6.70(1H,d,J=8.2Hz),6.94(1H,d,J=8.2Hz),7.05(1H,s)
得られた表題化合物はこれ以上精製せずに、次の反応に用いた。
【0036】
参考例4. 3−(7−ブロモ−2 , 3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プ ロピオン酸エチルの合成
【化18】
Figure 0004242940
3−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プロピオン酸エチル(14.5g、65.8mmol)および酢酸ナトリウム(5.94g、72.4mmol)の酢酸(150mL)溶液に臭素(10.5g、65.8mmol)を滴下して、混合物を室温で1時間攪拌した。反応液をろ過して、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮して、表題化合物(収量19.2g、収率97%)を得た。
油状
NMR(CDCl3 )δ:1.25(3H,t,J=7.2Hz),2.57(2H,t,J=7.6Hz),2.85(2H,t,J=7.6Hz),3.28(2H,t,J=8.8Hz),4.13(2H,q,J=7.2Hz),4.65(2H,t,J=8.8Hz),6.97(1H,s),7.11(1H,s)
得られた表題化合物はこれ以上精製せずに、次の反応に用いた。
【0037】
参考例5. 3−(6 , 7−ジブロモ−2 , 3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プロピオン酸エチルの製造:
【化19】
Figure 0004242940
3−(7−ブロモ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プロピオン酸エチル(1.0g,3.34mmol)および鉄(10mg)の酢酸(10mL)溶液に臭素(0.80g,5.01mmol)を滴下して、反応混合物を50℃で5時間加熱撹拌した。反応液をろ過して、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣に水を加えて有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和重層水、飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して表題化合物(収量0.67g、収率53%)を得た。
融点42−43℃
NMR(CDCl3 )δ:1.25(3H,t,J=7.3Hz), 2.60(2H,t,J=7.7Hz), 3.07(2H,t,J=7.7Hz), 3.27(2H,t,J=8.8Hz), 4.14(2H,q,J=7.3Hz), 4.68(2H,t,J=8.8Hz), 7.06(1H,s)
【0038】
参考例6. 3−(6 , 7−ジブロモ−2 , 3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プロピオン酸の合成
【化20】
Figure 0004242940
3−(6,7−ジブロモ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プロピオン酸エチル(41.0g、0.108mol)のメタノール(80mL)懸濁液に水酸化ナトリウム(13g)を水(150mL)に溶解したアルカリ水を加え、混合物を50℃で1時間(原料が溶解するまで)撹拌した。反応液を冷却した後塩酸を加えて酸性にして、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘキサンから結晶化して、表題化合物35.1g(収率93%)を得た。
融点177−178℃
NMR(CDCl3 )δ:2.67(2H,t,J=7.5Hz), 3.08(2H,t,J=7.5Hz), 3.27(2H,t,J=8.8Hz), 4.68(2H,t,J=8.8Hz), 7.07(1H,s)
【0039】
参考例7. 4 , 5−ジブロモ−1 , , 6,7−テトラヒドロ−8H−インデノ [5 , 4−b]フラン−8−オンの合成
【化21】
Figure 0004242940
3−(6,7−ジブロモ−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)プロピオン酸(35.0g、0.1mol)に塩化チオニル(21.9mL、0.300mol)を加えて、混合物を65℃で45分間撹拌した後反応液を減圧下で濃縮して、酸クロリドを得た(固体)。無水塩化アルミニウム(14.7g、0.11mol)の1,2−ジクロロエタン(150mL)懸濁液に先に調製した酸クロリドの1,2−ジクロロエタン(100mL)溶液を氷冷下で滴下して、混合物を20分間撹拌した。反応液を水に注いだ後、クロロホルムで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残渣をクロロホルム/イソプロピルエーテルから結晶化して、表題化合物29.1g(収率88%)を得た。
融点224−226℃
NMR(CDCl3 )δ:2.68-2.75(2H,m), 3.01-3.08(2H,m), 3.55(2H,t,J=9.0Hz), 4.80(2H,t,J=9.0Hz)
【0040】
参考例8. 1 , , 6,7−テトラヒドロ−8H−インデノ[5 , 4−b]フラン−8−オンの合成
【化22】
Figure 0004242940
4,5−ジブロモ−1,6,7,8−テトラヒドロ−8H−インデノ[5,4−b]フラン−8−オン(29.0g,87.4mmol)の酢酸(550mL)溶液に、5%パラジウムカーボン(50%含水,2.9g)および酢酸ナトリウム(17.9g,0.22mol)を加え、 混合物を水素雰囲気下、常温常圧で接触還元した。計算量の水素添加後、パラジウムカーボンをろ去して、減圧下で溶媒を留去した。残渣に水を加えて有機物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和重層水、飽和食塩水および水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=15:85)で精製して表題化合物を得た(収量13.5g,89%)。
融点133−134℃(酢酸エチル/ヘキサンから再結晶)
NMR(CDCl3 )δ:2.68(2H,t,J=5.9Hz), 3.08(2H,t,J=5.9Hz), 3.47(2H,t,J=8.8Hz), 4.65(2H,t,J=8.8Hz), 7.01(1H,d,J=8.1Hz), 7.21(1H,d,J=8.1Hz)元素分析値:C11102として
計算値:C,75.84;H,5.79
実測値:C,75.69;H,5.75
【0041】
参考例9. (E)−(1 , , , 8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5 , 4−b]フラン−8−イリデン)アセトニトリルの合成
【化23】
Figure 0004242940
シアノメチルホスホン酸ジエチル(13.4g、75.7mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に60%水素化ナトリウム(3.03g、75.7mmol)を氷冷下で加え、混合物を30分間撹拌した。これを4,5−ジブロモ−1,2,6,7−テトラヒドロ−8H−インデノ[5,4−b]フラン−8−オン(11.0g、63.1mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)懸濁液に加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄した後無水硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1から6:4)で精製した後、酢酸エチル/ヘキサンから結晶化して、表題化合物9.30g(収率75%)を得た。
NMR(CDCl3 )δ:3.00-3.18(4H,m), 3.30(2H,t,J=8.8Hz), 4.67(2H,t,J=8.8Hz), 5.43-5.45(1H,m), 6.85(1H,d,J=8.0Hz), 7.11(1H,d,J=8.0Hz)
【0042】
参考例10. (E)−2−(1 , , , 8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5 , 4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミン塩酸塩の合成
【化24】
Figure 0004242940
〔方法1〕
(E)−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)アセトニトリル(5.80g、29.4mmol)のエタノール(100mL)懸濁液にラネーコバルト(5g)および4Mアンモニアエタノール溶液(50mL)を加えて、水素雰囲気下(5.0−5.5気圧)、40℃で6時間撹拌した。反応液をろ過した後、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣を塩酸エタノールを用いて氷冷下で塩酸塩にした後エタノール/ジエチルエーテルから結晶化して、表題化合物6.20g(収率89%)を得た。
融点218−222℃
NMR(DMSO−d6)δ:2.75-2.96(4H,m), 3.26(2H,t,J=8.8Hz), 3.58(2H,broad s), 4.59(2H,t,J=8.8Hz), 5.79-5.88(1H,m), 6.69(1H,d,J=8.0Hz), 7.04(1H,d,J=8.0Hz), 8.11(2H,broad s)
【0043】
〔方法2〕
10Lオートクレーブに(E)−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)アセトニトリル(201g、1.02mol)、エタノール(2.9L)、4.5M−アンモニア・エタノール溶液(1.5L)、ラネー・コバルト(186g)を仕込み、水素圧(2.0kg/cm2)、37℃で8時間接触還元した。反応液より触媒をろ去した後、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をメタノール(0.4L)に室温で溶解し、活性炭(10g)を加え30分間かき混ぜた後、活性炭をろ去した。ろ液にジイソプロピルエーテル(1.5L)を加え、氷冷下に5N−塩酸・エタノール(204mL)を滴加した後、析出した結晶をろ取し、少量のジイソプロピルエーテルで洗浄し、表題化合物の淡黄色結晶214g(収率88.4%)を得た。
融点235℃
NMR(d6−DMSO)δ:2.82(2H,d,J=6.3Hz),2.89(2H,d,J=6.3Hz),3.26(2H,t,J=8.7Hz),3.57(2H,d,J=7.1Hz),4.59(2H,t,J=8.7Hz),5.86(1H,t,J=7.1Hz),6.68(1H,d,J=8.0Hz),7.03(1H,d,J=8.0Hz),8.21(3H,s)元素分析値:C1316NOClとして
計算値:C,65.68;H,6.78;N,5.89
実測値:C,65.87;H,6.45;N,5.74
【0044】
実施例1. ( ) −2−(1 , , , 8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5 , 4−b]フラン−8−イル)エチルアミン塩酸塩の合成
【化25】
Figure 0004242940
200mlハステロイオートクレーブに、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミン(1.00g、5.00mmol)、Ru2Cl4((R)−BINAP)2NEt3(21.0mg)、メタノール(10ml)を窒素雰囲気下で挿入し、ついで水素ガスを100気圧まで圧入した。反応温度を50℃として20時間撹拌した後、反応液を常圧に戻し、反応転化率と生成物((S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミン)の光学純度を高速液体クロマトグラフィーにて測定したところ、反応転化率100%、光学純度88.8%ee であった。
減圧濃縮を行なって得られた残留物1.02gにトルエン(10ml)を加え、氷浴にて冷却、撹拌しながら2%塩酸水(10ml)を加えた。この反応液を30分撹拌した後、減圧濃縮を行なって1.21gの残留物を得た。この残留物をメタノール5mlに溶解し、得られた溶液にアセトン10mlを加え、0℃に冷却した後、ろ過を行なった。得られた目的物の真空乾燥後の重量は0.64gであった。また、ろ液を減圧濃縮して得られた残留物0.34gをメタノール、アセトンそれぞれ1.5ml、3.0mlを用いて同様に結晶化精製を行なって0.17gの目的物を得た。得られた目的物((S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミン塩酸塩)の総収量は0.81g(収率68%)であった。この塩酸塩を5%水酸化ナトリウム水溶液で処理し、得られた(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンの光学純度を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定したところ100%ee であった。
【0045】
実施例2. ( ) −2−(1 , , , 8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5 , 4−b]フラン−8−イル)エチルアミンの合成
【化26】
Figure 0004242940
200ml ハステロイオートクレーブに、(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミン(0.20g、1.00mmol)、Ru2Cl4((R)−BINAP)2NEt3(0.42g)、メタノール(20ml)、塩化メチレン(5ml)を窒素雰囲気下で挿入し、50℃に加熱後、水素ガスを50気圧まで圧入した。この混合物を50℃で15分間撹拌後、室温まで冷却し、常圧まで戻した後、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミン(20.0g、99.4mmol)をメタノール(30ml)に溶解した溶液を加えて、再度水素ガスを100気圧まで圧入した。反応温度を55℃として20時間撹拌した後、反応液を常圧に戻し、反応転化率と生成物((S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミン)の光学純度を高速液体クロマトグラフィーにて測定したところ、反応転化率100%、光学純度90.3%ee であった。
【0046】
実施例3. ( ) −2−(1 , , , 8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5 , 4−b]フラン−8−イル)エチルアミンの合成
100ml ハステロイオートクレーブに、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミン(0.50g、2.50mmol)、Ru2Cl4((R)−T−BINAP)2NEt3(5.0mg)、メタノール(5.0ml)を窒素雰囲気下で挿入し、ついで水素ガスを100気圧まで圧入した。反応温度を50℃として20時間撹拌した後、反応液を常圧に戻し、反応転化率と生成物((S)−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンの光学純度を高速液体クロマトグラフィーにて測定したところ、反応転化率100%、光学純度74.0%ee であった。
【0047】
実施例4〜6.
実施例3における触媒のみ Ru(OAc)2((R)−BINAP)、Ru(OAc)2((R)−T−BINAP)または Ru2Cl4((R)−DM−BINAP)2NEt3 に置き換えて、実施例3と同様に、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミンを原料として用いて水素化反応を行ない、(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンを得た。
その結果を以下に示す。
Figure 0004242940
【0048】
実施例7. ( ) −2−(1 , , , 8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5 , 4−b]フラン−8−イル)エチルアミンの合成
100ml ハステロイオートクレーブに、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミン(2.0g、9.94mmol)、[RuCl(Benzene)((R)−BINAP)]Cl(8.6mg)とTHF(20ml)、メタノール(8.0ml)を窒素雰囲気下で挿入した。ついで水素ガスを50気圧まで圧入し、反応温度を50℃として22時間撹拌した後、反応液を常圧に戻し、反応転化率と生成物(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンの光学純度を高速液体クロマトグラフィーで測定したところ反応転化率99.0%、光学純度96.0%ee であった。
【0049】
実施例8〜9.
実施例7における触媒のみ次の〔表1〕に示す触媒に置き換えて、実施例7と同様に、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミンを原料として用いて水素化反応を行い、(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンを得た。
【表1】
Figure 0004242940
【0050】
実施例11〜12.
実施例7と同様に、(E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミンを原料として用いて、次の〔表2〕に示す条件で水素化反応を行い、(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンを得た。
【表2】
Figure 0004242940
【0051】
参考例11. (S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミド
【化27】
Figure 0004242940
〔方法1〕
(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミン塩酸塩(719mg,3.0mmol)をテトラヒドロフラン(7mL)に溶解し、1N−水酸化ナトリウム水溶液(8.63mL)を加えた。氷冷下に塩化プロピオニル(363mg、3.92mmol)のテトラヒドロフラン(2ml)溶液を滴加し、1時間かき混ぜた後、反応液を飽和食塩水(14ml)、酢酸エチル(20ml)の混合液に注ぎ、分液した。水層を酢酸エチル(10ml)で抽出し、先の酢酸エチル層を合わせ、硫酸ナトリウム(無水)で乾燥後、減圧下に濃縮した。残渣を酢酸エチル(2ml)に溶解し、氷冷下にジイソプロピルエーテル(8ml)を加え、析出した結晶をろ取し、無色針状結晶661mg(収率85.0%)を得た。得られた(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの光学純度を高速液体クロマトグラフィーにて測定したところ100%eeであった。融点113−115℃
NMR(CDCl)δ:1.39(3H,t,J=7.6Hz), 1.63(2H,m), 1.83(1H,m), 2.04(1H,m), 2.18(2H,q,J=7.6Hz), 2.24(1H,m), 2.80-2.95(2H,m), 3.00-3.25(2H,m), 3.33(2H,m), 4.56(2H,m), 5.34(1H,s), 6.61(1H,d,J=8.0Hz), 6.95(1H,d,J=8.0Hz)
【0052】
〔方法2〕
(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミン塩酸塩(359mg,1.5mmol)、トリエチルアミン(0.628ml、4.5mmol)をテトラヒドロフラン(7mL)に溶解し、氷冷下に塩化プロピオニル(153mg、1.65mmol)を滴加した。30分かき混ぜた後、参考例11.と同様に処理し、無色結晶330mg(収率85.0%)を得た。得られた(S)−N−[2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチル]プロピオンアミドの光学純度を高速液体クロマトグラフィーにて測定したところ100%eeであった。
【0053】
【発明の効果】
本発明製造法によれば、目的とする光学活性アミン誘導体を高純度、高収率かつ簡便な方法で効率よく工業的大量規模で製造することができる。

Claims (5)

  1. 式:
    Figure 0004242940
    [式中、 Xは(CH)n(nは1ないし4の整数を示す)、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を示し、mは1ないし3の整数を示す。環Aは置換基を有していてもよい。]で表される化合物またはその塩を、式(V):
    [Ru(R−BINAP)Y (V)
    [式中、R−BINAPは、式:
    Figure 0004242940
    {式中、Rは水素原子または炭素数1乃至6の低級アルキル基を示す}で表される化合物の光学活性体を;Yはハロゲン原子を;Qはベンゼンまたはp−シメンを;ZはN(C 、CH CO またはハロゲン原子を示し;ZがN(C であるとき、kは2、wは0、tは2、jは1;ZがCH CO であるとき、kは0、wは0、tは1、jは2;Zがハロゲン原子であるとき、kは1、wは1、tは1、jは1または3を示す]で表される遷移金属錯体存在下に、不斉水素化反応に付すことを特徴とする式:
    Figure 0004242940
    [式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される化合物の光学活性体またはその塩の製造法。
  2. Xが(CH)n(nは1または2を示す)で、mが1または2で、環Aが無置換である請求項1記載の製造法。
  3. nとmが共に1である請求項2記載の製造法。
  4. R−BINAPを配位子とする遷移金属錯体触媒が、Ru Cl [(R)−BINAP] N(C 、{RuCl(ベンゼン)[(R)−BINAP]}Cl、{RuCl(p−シメン)[(R)−BINAP]}Cl、{RuBr(p−シメン)[(R)−BINAP]}Br、{RuI(p−シメン)[(R)−BINAP]I および{RuI(p−シメン)[(R)−BINAP]}Iから選ばれる触媒である請求項1記載の製造法。
  5. (E)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イリデン)エチルアミンを不斉水素化反応に付し、(S)−2−(1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル)エチルアミンを製造する請求項1記載の製造法。
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