JP4242764B2 - アルコールのフルオラス求核置換反応および反応に使用する求核試薬 - Google Patents

アルコールのフルオラス求核置換反応および反応に使用する求核試薬 Download PDF

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Description

政府所有権の表示
本発明は、国立衛生研究所からの助成金GM31678をもとに政府支援を得てなされたものである。政府が本発明における特定の権利を有する。
本発明は、アルコールの求核置換反応、とりわけアルコールのフルオラス求核置換反応およびその反応に使用するフルオラス求核試薬に関する。
本願明細書中に記載の参考文献によって、本発明または本発明の背景技術の理解を容易にすることができよう。しかしながら、本願明細書に文献を含ませるということは、該文献が本発明に対しての従来技術として利用可能であることを認める意図を示すためのものでも、また利用可能であることを認めるものでもない。
有機合成において、光延反応は最もよく知られた大きな影響力を有する反応の1つであり、その応用範囲は、天然生成物の合成からパラレル合成やコンビナトリアル化学にまで及ぶ。例えば、Hughes, D.L.: "Progress in the Mitsunobu reaction. A review." Org. Prep. Proced. Int. 1996, 28, 127-164、Hughes, D.L.: "The Mitsunobu reaction." Org. React. (N.Y.) 1992, 42, 335-656、及びMitsunobu, O.: "Synthesis of Alcohols and Ethers." In Comprehensive Organic Synthesis; Trost, B.M. and Fleming I., Ed.; Pergamon Press: Oxford, 1991; Vol. 6, pp132 が参照できる。光延反応が非常によく利用されるのは、求核試薬を用いて第1級アルコール又は第2級アルコールを1工程で置換させることができるからである。アルコールの求核置換反応は公知な合成変換であるが、この他の一般的な方法では2つ以上の工程が必要である。
図1に示す従来の液相光延反応では、ジクロロメタン又はテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒中で、アルコールa、酸性の求核試薬前駆体(pro-nucleophile)b、ジエチルアゾジカルボキシラートc(通常「DEAD」と呼ばれている)及びトリフェニルホスフィンdを合体させる。いくつかの標準的な方法によっては、試薬及び反応物は異なる順番で混合させることが可能である。反応生成物は、所望の置換生成物e、cの還元によって誘導されるヒドラジンf及びdの酸化によって誘導されるトリフェニルホスフィンオキシドgである。試薬c又はdのいずれかを過剰に用いると、その試薬の未反応分が残ることもある。通常は、所望の反応生成物eを、試薬の副生成物や過剰な試薬からクロマトグラフィーによって単離する。
慎重なクロマトグラフィーによる分離作業が必要であるということが、光延反応の実質的な限界となっている。大規模であれば必要とされる単離作業には費用がかかる。小規模であれば、多段階のクロマトグラフィーによる分離作業に要する時間と労力を考えると、この反応をコンビナトリアル及びパラレル合成に適用するには限界がある。
光延反応における分離を容易にするために、通常、2種のアプローチがとられてきた。最初の1つは、ホスフィンとアゾジカルボキシラートの両方をポリマー固相に担持させることである。例えば、Tunoori, A.R.; Dutta, D.; Georg, G.I.: "Polymer-Bound Triphenylphosphine as Traceless Reagent for Mitsunobu Reactions in Combinatorial Chemistry: Synthesis of Aryl Ethers from Phenols and Alcohols" Tetrahedron Lett. 1998, 39, 8751-8754及びArnold, L.d.; Assil, H.I.; Vederas, J.: "Polymer-Supported Alkyl Azodicarboxylates for Mitsunobu Reactions" J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 3973-3976が参照できる。ポリマーに結合させた試薬及び反応物は簡単な濾過によって最終生成物から取り除くことができる。しかしながら、光延反応においては、ポリマーに結合させた2つの試薬(アゾジカルボキシラート及びホスフィン)を同時に使用することができないので、このポリマーによるアプローチでは問題の半分しか解決できない。試薬同士が互いに反応しなければならないが、両方の試薬をポリマーに結合させている場合、その反応は阻止される。そのため、ポリマー結合試薬として一方しか使うことができず、他方は可溶性試薬でなければならない。
第2のアプローチは、可溶性試薬を用い、光延反応終了後に化学反応によってそれらの試薬を変換するものである。例えば、Starkey, G.W.; Parlow J.J.; Flynn, D.L.: "Chemically-Tagged Mitsunobu Reagents for Use in Solution Phase Chemical Library Synthesis" Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, 2384-89 (1998)が参照できる。例えば、適切な官能基を有する可溶性ホスフィン及びアゾジカルボキシラート試薬を、光延反応終了後に重合させた後、濾過によって取り除くことができる。この第2のアプローチでは、所望の生成物の形成のためではなく、単に分離のためだけの余計な化学反応(係わる試薬類、時間及び労力等)が必要なので効率が悪い。そのうえ、所望の生成物には、重合反応に関係する可能性のある官能基はいずれも含ませることができない。分離を容易にするための第2のアプローチは、このように通常の光延反応にはない制限が課されることとなる。
現在用いられている光延反応に関する前述の問題点を、例えば、軽減又はなくすためにアルコールの求核置換反応のより優れた方法及びそこに使用する求核試薬を開発することが非常に望まれている。
本発明の第一の態様としては、目的とする生成物を生成するためのアルコール求核置換反応を実施する方法を提供するもので、この方法は、該アルコールと求核試薬とを、アゾジカルボキシラート及びホスフィンと反応させる工程を含む。アゾジカルボキシラート及びホスフィンのうち少なくとも1種は、フルオラスのタグを少なくとも1つ含む。実施形態によっては、アゾジカルボキシラートがフルオラスのタグを少なくとも1つ含み、さらにホスフィンがフルオラスのタグを少なくとも1つ含む。
該方法は、フルオラス分離方法を用いて、フルオラスのタグのついたアゾジカルボキシラート及び/又はフルオラスのタグのついたホスフィンから目的とする生成物を分離する工程をさらに含むことが好ましい。フルオラス分離方法としては、例えば、液体−液体抽出が挙げられる。フルオラス分離方法としては、固体−液体抽出も使用できる。また、フルオラス分離方法としては、フルオラス固相抽出又はフルオラスクロマトグラフィーも挙げることができる。
本願明細書で使用する「求核試薬」という用語は、一般に電子対を原子核に与えて共有結合を形成するイオン又は分子を指す。本発明での使用に適する求核試薬は、有機又は無機の酸の共役塩基である。これらの酸は、pKa値が約20以下が好ましく、約15以下がさらに好ましい。もっと好ましいのは、pKaが約12以下である。多くの種類の有機酸の共役塩基が光延反応に適していることは、この技術分野の当業者には既知である。適切な求核試薬としては、カルボン酸類、フェノール類、ヒドロキサム酸類、イミド類、スルホンイミド類、スルホンアミド類、チオール類、チオ酸類、チオアミド類、β-ジカルボニル類及び多種多様な複素環類から誘導される共役塩基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化水素又はアジ化水素等の無機酸から誘導される求核性共役塩基も好ましい。
有機アルコールとしては、ヒドロキシル基に結合した飽和炭素が挙げられる。光延反応にかかわるアルコール類は、この分野の当業者には既知であり、メタノール、第1級アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、アリルアルコール)及び第2級アルコール(例えば、イソプロパノール、1−フェニルエタノール)が挙げられる。第3級アルコールはあまり好ましくないが、用途によっては(とりわけ分子内求核置換)使用することができる。
アルコールと求核試薬は異なる分子であってもよいし、または同一分子でもよい。後者の場合(分子内光延反応)、新たに環が形成される。
フルオラスのタグのついたアゾジカルボキシラートは、例えば以下の式を有する。
12C−N=N−CO22
式中、Z1は、
Figure 0004242764
上記式中、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9及びn10はそれぞれ独立して1又は0である。X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アリール基又はアルコキシル基である。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基、O−Rf1、S−Rf2又は−N(Rf3)(R22)であり、R22はアルキル基又はRf4で、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基からなる群から選ばれるフルオラス基をそれぞれ独立して表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15又はR16のうち少なくとも1つは、O−Rf1、S−Rf2、−N(Rf3)(R22)、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基又はフッ化アミン基である。
ペルフルオロアルキル基は炭素数3〜20が好ましい。ハイドロフルオロアルキル基は炭素数3〜20が好ましく、それぞれの2個のフッ素原子に対して水素原子は多くて1個含まれる。例えば、過フッ化エーテル基は、一般式−[(CF2xO(CF2yzCF3で表すことができ、式中、x、y及びzは整数である。過フッ化アミン基は、例えば一般式−[(CF2x'(NRa)(CF2y'z'CF3で表すことができ、式中、x’、y’及びz’は整数で、Raは例えば、CF3又は(CF2n'CF3であり、n’は整数である。本発明で好ましく用いられるフッ化エーテル基及びフッ化アミン基は、過フッ化である必要はない。フッ化エーテル基は炭素数3〜20が好ましい。フッ化アミン基は炭素数4〜20が好ましい。
フルオラスのタグのついたホスフィンは、例えば以下の式で表される。
Figure 0004242764
式中、Z3
Figure 0004242764
4は、
Figure 0004242764
上記式中、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、それぞれ独立してH、F、Cl、アルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基、O−Rf1、S−Rf2又は−N(Rf3)(R22)であり、R22はアルキル基又はRf4で、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基からなる群から選ばれるフルオラス基をそれぞれ独立して表す。R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20又はR21のうち少なくとも1つは、O−Rf1、S−Rf2、−N(Rf3)(R22)、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基又はフッ化アミン基である。
再度になるが、ペルフルオロアルキル基は炭素数3〜20が好ましく、ハイドロフルオロアルキル基は炭素数3〜20が好ましい。ハイドロフルオロアルキル基は、それぞれの2個のフッ素原子に対して水素原子は多くて1個含まれる。
求核置換を施すアルコールとしては、第1級アルコール又は第2級アルコールが好ましい。アルコールと求核試薬を、例えば、フルオラスのタグのついたアゾジカルボキシラート及びフルオラスのタグのついたホスフィンの混合物に添加すればよい。
本発明の別の態様によると、式Z12C−N=N−CO22で表される化合物が提供され、式中Z1及びZ2は、前記に定義したとおりである。
また、本発明のもう1つの態様によると、下記式で表される化合物が提供され、
Figure 0004242764
式中Z1及びZ2は、前記に定義したとおりである。
本発明のさらに別の態様によると、式Z12C−N=N−CO22で表される化合物の合成方法が提供され、この方法は、下記式で表される化合物(式中Z1及びZ2は前記に定義したとおり)を、
Figure 0004242764
酸化剤と反応させる工程を含む。実施例の一つとして、該酸化剤はジブロミンである。
本発明のいくつかの実施例では、Z1とZ2がRf(CH2N−で、式中、Nは1〜5までの整数を表し、Rfはペルフルオロアルキル基を表す。ペルフルオロアルキル基は炭素数3〜20が好ましい。いくつかの実施例では、炭素数3〜20の直鎖のペルフルオロアルキル基が存在した。
本願明細書で使用する「生成物」又は「目的とする生成物」という用語は、基質アルコールを本発明の他の反応成分と反応媒体中で反応させることによる基質アルコールの求核置換で得られる目的の分子又は所望の分子を通常は指す。「副生成物」という用語は、通常、反応媒体のいずれかの成分から誘導される目的とする生成物とは異なる生成物であり、目的とする生成物からの分離が好ましい生成物を指す。
本願明細書で使用する「フルオラスのタグをつける」又は「フルオラスのタグのついた」という用語は、一般に、フルオラス部位または基(「フルオラスタグの部位」、「フルオラスタグの基」又は単に「フルオラスタグ」と呼ぶ)を化合物に結合させて「フルオラスタグのついた化合物」を作成することを指す。フルオラスタグの部位は、共有結合を介して結合することが好ましいが、この他にもイオン結合又はキレート化のような強力な結合も用いることができる。本発明においては、フルオラスタグのついた化合物を、例えばタグのついていない有機化合物から容易に分離するために、フルオラスタグの部位が異なる化合物に用いられることが好ましい。
本願明細書で使用する「フルオラス」という用語を、有機(炭素含有)の分子、部位又は基と一緒に用いる場合、一般に、炭素‐フッ素結合を多く含むドメイン又は部分を有する有機の分子、部位又は基(例えば、フルオロカーボン類、フルオロハイドロカーボン類、フッ化エーテル類及びフッ化アミン類)を指す。よって、「フルオラスタグのついた試薬」又は「フルオラス試薬」という用語は、通常、炭素‐フッ素結合を多く含む部分を有する試薬のことを指す。本願明細書で使用する「ペルフルオロカーボン類」という用語は、通常、炭素原子に結合した水素原子すべてがフッ素原子に置換された有機化合物のことを指す。「フルオロハイドロカーボン類」及び「ハイドロフルオロカーボン類」という用語には、1つの炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されている有機化合物が含まれる。有機化合物にフルオラス部位を結合させることについては、例えば、本発明の譲受人に譲渡されている米国特許第5,859,247号及び同5,777,121号、米国特許出願第09/506,779号、さらには米国特許仮出願シリアル番号第60/281,646号に記載されており、これらの開示は本願明細書に参照によって含まれるものとする。
本願明細書に記載の「アルキル」、「アリール」及び他の基については、通常、逆の指定がない限り、置換、未置換基の両方を指す。特に指定のない限り、アルキル基は炭化水素基であり、好ましくはC1〜C15(即ち、炭素数が1〜15個)のアルキル基であり、さらに好ましくはC1〜C10のアルキル基であり、分岐していてもしていなくてもよく、非環式でも環式であってもよい。上記のアルキル基の定義及び他の定義は、その基が別の基の置換基として用いられる場合(例えば、アルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基の置換基としてのアルキル基の場合)にも適用される。「アリール」という用語は、フェニル又はナフチルを指し、好ましくはフェニルである。「アルコキシル」という用語はRaがアルキル基である−ORaを指す。
本発明における化合物の分離は、フルオラス含有量の補完的な(含有量の差に基づいた)分離方法によって行うことが好ましい。フルオラス含有量の異なる化合物であれば、フルオラス分離方法(例えば、フルオラス逆相クロマトグラフィー)を用いて分離することができる。本願明細書に記載の「フルオラス分離方法」とは、一般に、フルオラスタグのついた分子(又はフルオラス分子)と有機の(非フルオラス)分子とを含む混合物を、主に分子のフルオラス性の差に基づいて分離させるのに用いる方法を指す。フルオラス分離方法としては、フルオロカーボン結合相のようなフルオラス固相又はフッ化ポリマーでのクロマトグラフィーが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、Danielson, N.D. et al.,: "Fluoropolymers and Fluorocarbon Bonded Phases as Column Packings for Liquid Chromatography" J. Chromat., 544, 187-199 (1991)、Kainz, S., Luo, Z.Y., Curran, D.P., Leitner, W.: "Synthesis of Perfluoroalkyl-Substituted Aryl Bromides and Their Purification Over Fluorous Reverse Phase Silica" Synthesis, 1425-1427 (1998)、及びCurran, D.P., Hadida, S., He, M.,: "Thermal Allylations of Aldehydes with a Fluorous Allylstannane. Separation of Organic and Fluorous Products by Solid Phase Extraction with Fluorous Reverse Phase Silica Gel" J. Org. Chem., 62, 6714-6715 (1997)を参照できる。好適なフルオロカーボン結合相の例として、キーストンサイエンティフィック社(ペンシルバニア州(PA)ベレフォンテ)から販売されている市販品「Fluofix(登録商標)」及び「Fluophase(商標)」カラム、ならびにESインダストリーズ社(ニュージャージー州(NJ)ベルリン)から販売されている「FluoroSep(商標)‐RP‐Octyl」が挙げられる。この他のフルオラス分離方法としては、標準的な分液漏斗型抽出やフルオラス溶媒と有機溶媒との向流分配などの液体‐液体分離方法が挙げられる。
目的とする有機生成物及び他の有機化学種からフルオラスタグのついた試薬及び副生成物を分離する本発明の方法は、数分しかかからず、また容易に並行して行うことができるので、個々の反応のみならずパラレル反応を含むコンビナトリアル化学実験にも非常に適している。本発明のフルオラス光延反応は経済的でもある。それは、フルオラス副生成物の混合物を容易に分離することができ、これらの生成物それぞれを対応する本来のフルオラス試薬に標準的な化学反応によって再変換することができるからである。
通常の有機合成においては、最終的な目的分子又は生成物が生成されるまで個々の工程が順次実行される。コンビナトリアル有機合成においては、目的物は1つの分子ではなく、分子の「ライブラリー(化合物群)」である。コンビナトリアル合成は、個々の純粋な化合物のパラレル合成又は混合物の合成によって実行することができる。
コンビナトリアル混合物合成において、多数の生成物を得るために多数の反応を一緒に、または並行して行う。混合物合成及びコンビナトリアル合成においては、精製方法が簡単であることの重要度が通常の合成においてよりもかなり高い。そのため、現在のところ、濾過によって簡単に精製することが可能な固相上でコンビナトリアル合成は通常行われている。しかしながら、固体に結合した反応成分は反応溶媒中で全く溶解しないので、このような反応を行うことは困難であるといえる。
フルオラス(フルオロカーボン)タグを担持した化合物は、フルオラスタグのない有機化合物から液体‐液体抽出又は固体‐液体抽出のようなフルオラス分離方法によって容易に分離することができる。フルオラス分離方法に連動した適切なフルオラス試薬を用いれば、光延反応による生成物はすべての試薬副生成物や未反応の試薬から分離される。この分離作業によって付加的な化学反応が必要となることもなく、光延反応に付加的制限を課することもない。さらには、試薬副生成物を最初の試薬にリサイクルして使用することができる。
ペルフルオロアルキル鎖を有するホスフィンが、フルオラス二相性触媒作用において使用されてきた。しかしながら、フルオラスホスフィンは、反応における化学量論的な試薬として非常に限られた用途しか見出せなかった。本発明において、フルオラスホスフィンとフルオラスジアゾジカルボキシラートを用いた光延反応では、図2Aに概略的に示されているように、液体‐液体抽出又は固体‐液体抽出のようなフルオラス分離方法によって、有機の光延反応付加物をフルオラス副生成物から容易に分離することができる。図2Bには、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5が前記に記載通りの本発明の代表的なフルオラスホスフィンとフルオラスジアゾジカルボキシラートを用いた光延反応が図示されている。
代表的ないくつかの研究では、ペルフルオロアルキル鎖の数が異なるフルオラスホスフィン系を図3のようにして合成した。また、フルオラスホスフィンの合成については、米国特許仮出願シリアル番号第60/281,646号に記載されている。例えば、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンを、ペルフルオロヘキシルヨウ化エチル1から誘導される有機亜鉛と結合させた。その後、フルオラスタグを持ったブロモベンゼン2をハロゲン−金属交換に供し、できあがったアリールリチウム試薬をジクロロフェニルホスフィンで処理し、フルオラスホスフィン3及びフルオラスホスフィンオキシド4を生成したが、どちらも2つのフルオラス鎖を有していた。粗反応混合物をさらに傾斜溶離のシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。極性のより小さいフルオラスホスフィン3はヘキサンと酢酸エチル(20:1)で溶離し、極性が大きい方のフルオラスホスフィンオキシド4はヘキサンと酢酸エチル(1:1)で溶離した。フルオラスホスフィン3は無色で粘性のあるオイル(2週間放置すると固化)として収率81%で単離された。フルオラスホスフィンオキシド4は粘性のある無色のオイルとして収率8%で単離された。この反応からより多い副生成物として単離させたフルオラスホスフィンオキシド4を、図4に示すように、例えばアラン(トリヒドリドアルミニウム)を用いて容易に還元させた。図4の還元において、フルオラスホスフィン3はシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル(20:1))終了後収率94%で単離された。
フルオラスホスフィンをフルオラス逆相HPLCで分析した。2つのフルオラス鎖を有するフルオラスホスフィン3及びこれに対応するホスフィンオキシド4の保持時間は、傾斜溶離液をMeOH80%と水20%(t=0分)から始めてMeOH100%(t=30分)、MeOH90%とTHF10%(t=60分)にしたところ、29.8分と28.3分であった。フルオラス鎖が1つのトリアリールホスフィンとフルオラス鎖が3つのトリアリールホスフィン(構造は図示していない)の保持時間は、それぞれ13.9分と38.9分で、それらに対応するホスフィンオキシド(構造は図示していない)の保持時間は、それぞれ10.6分と37.7分であった。一般に、フルオラス固相抽出(FSPE)によって有機化合物からのフルオラス化合物の分離を容易にするための実験条件下では、「フルオフィックス(Fluofix)」カラム(フルオラス逆相HPLCカラム)上でのフルオラス化合物の保持時間は、約10分より長いことが好ましい。フルオラス化合物の保持時間は、約14分より長いことがさらに好ましい。これらに基づいて、フルオラス鎖が2つのフルオラスホスフィン3を、フルオラス光延反応の更なる研究のために選択した。フルオラスホスフィン3から調製したPt錯体をアルデヒドのアリル化における触媒として使用したが、反応及び分離の段階両方において首尾よくいった。フルオラスホスフィン3を研究用に選択したが、フルオラス鎖が1つのみのフルオラスホスフィンは、例えば、この研究で用いたカラムよりもより高い分離能を有する分離カラムを用いると本発明でも好適に用いることができる(少なくともある程度は、カラムのフルオラス結合相のフルオラス分子保持能力によって決まる)。
図5に示すように、FSPEで用いるフルオラス逆相シリカゲル(FRPS)は、通常のシリカゲルから合成したが、トルエン中で市販のフルオラス塩化シリル5とイミダゾールを用いて100℃で2日間処理して合成した。この反応で得たFRPSを、MeOH、水、THF及びエーテルで繰り返し洗浄し、吸着した不純物を取り除いた。1H NMR分析で洗液に不純物が混じらなくなるまで洗浄作業を続けた。得られたFRPSを高真空状態にして一晩乾燥させた。
フルオラスホスフィン3の光延反応における適用性について、従来の有機DEAD試薬を用いてテストした。図6に示すように、メタノール、エタノール及びイソプロパノールによる3,5−ジニトロ安息香酸のエステル化とフタルイミドのN−アルキル化について調べた。3,5−ジニトロ安息香酸の反応は、3(1当量)とアルコール(2当量)とのエーテル溶液を、DEAD(1当量)と3,5−ジニトロ安息香酸(1当量)とのエーテル溶液に添加して一晩攪拌することによって行った。フタルイミドの反応は、DEAD(1当量)のTHF溶液を、フタルイミド(1当量)と3(1当量)とアルコール(2当量)からなる溶液に添加して一晩攪拌することによって行った。光延反応の最後に、溶媒を留去し粗反応混合物(〜200mg)をメタノール中に加えて、2gのFRPS上に載せた。10mlの80%MeOHで溶離させたところ、光延付加物6とジエチルヒドラジンジカルボキシラートとの混合物が得られた。フルオラス固相抽出によって、フルオラスホスフィンオキシドは完全に取り除かれた。しかしながら、ヒドラジン誘導体を取り除くためにクロマトグラフィーが必要であった。通常のシリカゲルクロマトグラフィーの終了後に単離された6の収率を表1に示す。



















Figure 0004242764
フルオラスDEAD試薬は、フルオラスホスフィンを補完してクロマトグラフィーの必要性を完全に取り除くために好ましく用いられる。そこで、ペルフルオロヘキシルエチル鎖を2つ有する新規のフルオラスDEAD試薬10を、図7に示すように合成した。2−ペルフルオロヘキシルエタノール7を1,1’−カルボニルジイミダゾール(1.2当量)を用いてTHF中室温で処理し、イミダゾリド8を生成した。過剰な1,1’−カルボニルジイミダゾールを水で急冷し、8からイミダゾリドを(幾分かのイミダゾールとともに)エーテル中に抽出させた。特性を明らかにせずに、さらに未精製のイミダゾリド8を、ヒドラジン塩酸塩とトリエチルアミンから現場で生成したヒドラジンと結合させた。フルオラスヒドラジン9は、標準的なクロマトグラフィー終了後に収率85%で白色の粉末として単離された。二酢酸ヨードベンゼンで9を酸化させると相対的に収量が低く、クロマトグラフィーによる分離が必要となった。しかし、9の酸化は、臭素とピリジンを用いてジクロロメタン中ですみやかに進行した。室温で2時間攪拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、亜硫酸ナトリウム水溶液、塩水及び水で洗浄した。塩化メチレン層を乾燥濃縮させ、定量的な収率で黄色の固体としてフルオラスDEAD試薬10を得た。この反応から直接得られた10の液体‐液体抽出終了後の純度は、1H、13C及び19F‐NMRスペクトルで判定したところ優れていたので、後述の光延反応すべてにおいて、これ以上の精製を行わずにそのまま使用した。比較結果は、N−ブロモスクシンイミド(NBS)で酸化させることによって得た。
光延反応におけるフルオラスDEAD試薬10の反応性とフルオラス副生成物9及び4の分離を実証するために、図8に示すように、前述と同じ手順で3及び10を用いて3,5−ジニトロ安息香酸をエタノールと反応させた。反応終了の時点で、溶媒を留去し粗反応混合物(〜200mg)をMeOH中に取り込み、2gのFRPS上に載せた。80%MeOHで溶離させると、光延付加物11がGC−MS分析及び1H‐NMRスペクトルから判定されたが不純物のない状態で収率92%で得られた。エーテルで溶離させると、フルオラスホスフィンオキシド4及びフルオラスヒドラジン9の混合物が得られた。このフルオラス副生成物の混合物は、通常のシリカゲル上でヘキサン:EtOAc(3:2)の溶媒系を用いて分離させた。極性のより低いフルオラスヒドラジン9が最初に溶離し収率80%で単離した。極性がより高いフルオラスホスフィンオキシド4は、86%の収率で単離した。
フルオラス試薬系の副生成物4及び9の分離が容易であるということは、後から試薬をリサイクルして使用できるという点から有用である。フルオラスホスフィンオキシド4の還元及びフルオラスヒドラジン9の酸化は、両方とも非常に明瞭な反応であり、それぞれの反応で生成物をほぼ定量的な収量で単離することができる。
また、フルオラス光延試薬3及び10相互の親和性、また、通常の有機試薬トリフェニルホスフィン及びDEADとの親和性を実証するために、いくつかの実験を行った。上記の手順で、フルオラス及び有機の試薬で可能な組み合わせはすべて使って3,5−ジニトロ安息香酸をMeOHと反応させた。一晩攪拌した後、溶媒を留去して各反応混合物をそれぞれFSPEに供した。それぞれの実験から得た有機留分を濃縮して1H‐NMR分光法で分析した。これらの実験結果は表2に概要を示す。表2及び本願明細書の他の場所に記載したFPhはフルオラスフェニル基を指し、FDEADはフルオラスDEAD試薬を表す。両方のフルオラス試薬を使った場合のみ、純粋な生成物が単離された。他のすべての場合、生成物と有機試薬系副生成物との混合物が単離された。この結果から、フルオラスシリカゲルにおける分離を成功させるにはフルオラス鎖が必要であることがわかった。4つの実験すべてからNMRスペクトルを求め図9に示す。
Figure 0004242764
(*)1H‐NMR分光法により分析
13=トリフェニルホスフィンオキシド
14=ジエチルヒドラジンジカルボキシラート
12=3,5−ジニトロ安息香酸メチル
他の光延基質でのフルオラス試薬の適用範囲を実証するため、パラレルな実験をいくつか行った。3種の異なるアルコール(MeOH、アリルアルコール及びp−フルオロベンジルアルコール)を用いた場合における3,5−ジニトロ安息香酸とフタルイミドの実験を前述の手順で行った。結果を表3にまとめる。p−フルオロベンジルアルコールから得た光延生成物はフッ素原子を1個有するが、生成物におけるフルオラス混入の評価に利用できる19F‐NMRスペクトルには1つだけピークが示されている。N−p−フルオロベンジルフタルイミド及び3,5−ジニトロ安息香酸p−フルオロベンジルともに、それぞれの19F‐NMRスペクトルには1つだけピークが示され、生成物中にフルオラス不純物のないことが明らかにされた。FSPE後の有機留分からの残渣の質量から生成物の収率を求め、ガスクロマトグラムにおけるピークの集積から純度を求めた。





































Figure 0004242764
光延反応用のもう1つの興味深い基質としてN−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドが挙げられる。この反応の生成物は、ナトリウムナフタレニド(ナトリウム=ジヒドロナフタレニジル)で処理するとboc−保護アミンに変換することができる。標準的な条件下で、N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドを、THF中でフルオラス試薬3及び10を用いたメタノールによるの光延反応に供した。(N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミド(1当量)と3(1.5当量)とアルコール(1.5当量)とのTHF溶液にFDEAD(1.5当量)のTHF溶液を添加する。)室温で3時間後、出発物質が完全に変換されていることがTLC分析(ヘキサン:EtOAc(10:3))により示された。溶媒を蒸発させて粗反応混合物をFSPEに供した。N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドは、FSPEの有機留分から100%の収率で単離された。出発物質が完全に変換されていることは1H‐NMR分析からも確認された。しかしながら、メタノールの時の標準的な方法でアリルアルコール及びp−フルオロベンジルアルコールを用いて、N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドのアルキル化を試みたところ、一晩攪拌した後でさえ出発物質が存在していることがTLCで明らかになった。そこで、各反応混合物を個々にFSPEに供し、有機留分からの残渣を1H‐NMR分光法で分析した。驚くことではないが、両方の1H‐NMRスペクトルから出発物質が残っていることがわかった。分子篩を反応に加えたが、変換を促すことはなかった。これらのN−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドを用いた「通常添加モード」での調査結果を表4にまとめる。
Figure 0004242764
試薬の添加の順番は、場合によっては光延反応に実質的な影響を与える可能性がある。そのため、上記に記載した以外の添加順序の異なるモードについて調査した。これについては、フルオラスDEAD試薬10(1.5当量)のTHF溶液を、フルオラスホスフィン3(1.5当量)のTHF溶液に0℃で添加し、その後、アリルアルコール(1.5当量)を希釈せずに添加し、最後にN−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミド(1当量)を添加した。3時間後、出発物質の完全な変換がTLC分析(ヘキサン:EtOAc(10:3))により示された。そこで、溶媒を蒸発させて反応混合物をFSPEに供した。FSPEからの有機留分を濃縮した。有機留分からの残渣を1H‐NMR分析したところ、変換率91%でN−アリル−N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドに変換されていることがわかった。同様の方法でメタノール及びp−フルオロベンジルアルコールによる反応を行ったところ、非常に高い変換率が得られた。この添加モードから得られた結果を表5にまとめる。再度記載しておくと、N−p−フルオロベンジル−N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドは、19F‐NMRスペクトルにおいて単一のピークを示したが、これは、生成物中にフルオラス不純物が無いことを明示している。収率は、FSPE後の有機留分残渣の質量から求め、変換率は有機留分の1H‐NMR分析から求め、純度は各試料のガスクロマトグラムにおけるピークの集積から求めた。
Figure 0004242764
上記の添加順序の「逆」モードの一般性を評価するために、4−(4−ニトロフェニル)酪酸と3種類の異なるアルコール(メタノール、アリルアルコール及びp−フルオロベンジルアルコール)を使って3つのフルオラス光延反応を行った。フルオラスホスフィン3(1.5当量)とフルオラスDEAD10(1.5当量)とを0℃でTHF中で混合して付加物を生成し、その後アルコール(1.5当量)を添加し、続けて4−(4−ニトロフェニル)酪酸(1当量)を添加した。一晩攪拌した後、反応混合物をFSPEに供し、有機留分を1H‐NMR及びGC−MSで評価分析した。結果を表6にまとめる。変換率は1H‐NMR分析から求め、収率はFSPE後の有機留分の質量から計算し、純度はガスクロマトグラムにおけるピークの集積から求めた。












Figure 0004242764
すべての場合ではないが、特定の場合において、フルオラス試薬のスペーサーに介入しているメチレン基の数によって反応性が変わる可能性がある。例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)二塩化白金の存在下で、ベンズアルデヒドをフルオラスアリル錫15及び16でアリル化する場合(図10参照)、違いを呈した。3個のメチレン(プロピレン)スペーサーを有するフルオラスアリル錫16での反応の方が、2個のメチレン(エチレン)スペーサーを有するフルオラスアリル錫15と比較して、反応速度が速く、より純度の高い生成物が得られた。
同様に、フルオラスboc保護アミン17及び18は反応性において違いを示した(図11参照)。2個のメチレンスペーサーを有するフルオラスboc保護アミン17では、ゆっくりと脱保護が行われた(63時間)が、一方、3個のメチレンスペーサーを担持する18の方は、同じ条件下で脱保護は40分で終わった。そこで、フルオラスジアゾジカルボキシラートにおけるスペーサーの長さが与える影響を調べた。
これに関しては、3個のメチレンスペーサーを有するフルオラスジアゾジカルボキシラート22を、図12のようにして合成した。ヨードアルコール19をLiAlH4で還元し、プロピレンスペーサーを有するアルコール20を蒸留後収率77%で単離した。その後、アルコール20を1,1’−カルボニルジイミダゾールと反応させ、未精製のイミダゾリドをヒドラジンと結合させ、クロマトグラフィーによって21を収率71%で白色の固体として単離した。さらに、フルオラスヒドラジン21の酸化をすみやかに進行させ、定量的な粗生成物の収率で黄色の固体22を得た。
その後、未精製のフルオラスDEAD試薬22を、N−Boc−p−トルエンスルホンアミドの光延反応に使用した。今回も、添加順序を標準的モードにすると、MeOHの場合は完全に変換され、生成物、即ちN−メチル−N−boc−p−トルエンスルホンアミドはFSPE後に85%の収率で単離された。しかしながら、アリルアルコールの場合は出発物質はわずかにしか変換されていなかった。FSPE後の有機留分はほとんどが出発物質であった。これらの結果を表7にまとめる。
Figure 0004242764
特に記載のない限り、すべての試薬は市販品をさらに精製することなくそのまま使用した。ジエチルエーテル、THF及びトルエンは、窒素気流化ナトリウム/ベンゾフェノンから蒸留して得た。ジクロロメタンは水素化カルシウムから蒸留して得た。NMRスペクトルは、1Hについては300MHz、13Cについては75MHz、19Fについては285MHz、31Pについては121.5MHzで記録した。特に規定のない限り、1H及び13Cの参照用としてCHCl3を用い、31Pについては80%H3PO4を、19FについてはCFCl3を用い、百万分の1の単位ppmで化学シフトの値を表す。赤外線スペクトルはIBM IR/32システムで得た。試料を薄膜にして試験を行った。低分解能質量スペクトル(LRMS)はヒューレットパッカード9000GC−MSシステムで記録をとった。高分解能質量スペクトル(HRMS)はvarian MATCH−5DF分光計で記録をとった。融点は装置MEL−TEMPIIで測定し修正は行わなかった。
実施例1
1−ブロモ−4−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−トリデカフルオロ−オクチル)ベンゼン(2):
液下漏斗と冷却器を取り付けた250mlの丸底フラスコに、亜鉛粉末(8.23g, 125.8mmol)を投入した。亜鉛を真空乾燥させアルゴン気流下で冷却した。蒸留したばかりのTHF(17.5ml)を室温で添加し、混合物を5分間攪拌した。1,2−ジブロモエタン(0.5ml)を65℃で添加し、反応フラスコを上記の温度で2分間保った後、室温まで冷却した。室温でクロロトリメチルシラン(0.5ml)を加えた。20分後、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロ−8−ヨードオクタン(50g, 105.5mmol)のTHF(88ml)溶液を滴下した。反応混合物が室温に保たれるように添加速度を調整した。室温で24時間経過後、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(30.75g, 108.7mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(4.3g, 3.7mmol)とのTHF(52.5ml)溶液を充填した、冷却器が取り付けられた250mlの丸底フラスコに、無色の有機亜鉛化合物をカニューレ挿入した。反応混合物を45℃で24時間攪拌した。その後、減圧下で溶媒を除去し、未精製の残渣を塩化メチレン(50ml)に溶解させFC−72(7 x 50 ml)で抽出した。FC−72層を合わせて溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を低圧で蒸留し、無色のオイル状の2(28g, 53%)を得た。沸点81℃/0.03mmHg; 1H NMR (CDCl3) δ7.45 (d,J=8.4Hz, 2H), δ7.11 (d,J=8.4Hz, 2H), δ2.86-2.92 (m, 2H), δ2.36 (tt,J=18.3, 9.1Hz, 2H)
実施例2
フェニル−ビス−[4-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)フェニル]ホスファン(3):
t−BuLi溶液(ペンタン中1.7M、3.4ml, 2.9mmol)を、−78℃で1−ブロモ−4−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−トリデカフルオロ−オクチル)ベンゼン2(1.48g)のエーテル(73ml)溶液に徐々に添加した。−78℃で1時間経過後、ジクロロフェニルホスフィン(196μl, 1.45mmol)を添加し、反応混合物の温度を室温まで上げて一晩攪拌した。その後、反応混合物を水(10ml)で急冷した。エーテル層が分離した。水層をエーテル(3 x 10ml)でさらに抽出した。エーテル層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥させ減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで傾斜溶離させ精製した。ヘキサン:酢酸エチル(20:1)で溶離させ、冷蔵庫中で2週間放置すると固化する無色のオイル3(融点35〜37℃)を得た(1.13g, 81%)。ヘキサン:酢酸エチル(1:1)でさらに溶離させ、無色のオイル4を得た(0.114g, 8%)。
(3) 1H NMR (CDCl3) δ7.20-7.36 (m, 13H), δ2.91-2.97 (m, 4H), δ2.31-2.48 (m, 4H); 31P NMR (CDCl3) δ-5.91;(4) 1H NMR (CDCl3) δ7.67-7.31 (m, 13H), δ3.00-2.95 (m, 4H), δ2.47-2.32 (m, 4H); 31P NMR (CDCl3) δ29.3
実施例3
フルオラスホスフィンオキシド(4)の還元手順
アラン−N,N−ジメチルエチルアミン錯体溶液(トルエン中0.5M、6.24ml, 3.12mmol)を、4(2.02g, 2.08mmol)のトルエン(20ml)溶液に徐々に添加した。90℃で3時間攪拌した後、反応混合物を室温まで冷却しメタノール(3ml)で急冷し、セライトの短いカラムに通した。その後、セライトカラムを温めたTHFで洗浄し、その洗液を濾過した反応混合物に加えた。これをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル(20:1))に供して濃縮し、3を得た(1.87g, 94%)。
フルオラスホスフィン3及びDEADによって促進される3,5−ジニトロ安息香酸の光延反応を、手順A(下記参照)にしたがって行った。使用した試薬と基質の量は、フルオラスホスフィン3(200mg, 0.21mmol)、アルコール(0.42mmol)、DEAD(33μl,
0.21mmol)及び3,5−ジニトロ安息香酸(44mg, 0.21mmol)であった。
実施例3.1
3,5−ジニトロ安息香酸メチル
CAS登録番号[2702-58-1];1H NMR (CDCl3) δ9.25 (t,J=2Hz, 1H), δ9.19 (d,J=2Hz, 2H), δ4.08 (s, 3H); LRMS m/z(相対強度)226 (M+, 18%), 195 (100%), 149 (45%), 75 (82%)
実施例3.2
3,5−ジニトロ安息香酸エチル
CAS登録番号[618-71-3];1H NMR (CDCl3) δ9.23 (t,J=2.1Hz, 1H), δ9.18 (d,J=2.1Hz), δ4.53 (q,J=7.1Hz, 2H), δ1.49 (t,J=7.1Hz, 2H); LRMS(相対強度)240 (M+, 19%), 195 (81%), 180 (47%), 149 (43%), 75 (100%)
実施例3.3
3,5−ジニトロ安息香酸イソプロピル
CAS登録番号[10477-99-3];1H NMR (CDCl3) δ9.23 (t,J=2Hz, 1H), δ9.16 (d,J=2.1Hz, 2H), δ5.43-5.31 (m, 1H), 1.46(d,J=6.1Hz); LRMS(相対強度)254 (M+, 2%), 213 (33%), 195 (100%), 149 (40%), 75 (76%)
フルオラスホスフィン3及びDEADを用いたフタルイミドのN−アルキル化は、手順B(下記参照)にしたがって行った。使用した試薬と基質の量は、DEAD(33μl,
0.210mmol)、フタルイミド(30mg, 0.210mmol)、アルコール(0.420mmol)及びフルオラスホスフィン3(200mg, 0.420mmol)であった。
実施例3.4
N−メチルフタルイミド
CAS登録番号[550-44-7];1H NMR (CDCl3) δ7.86-7.82 (m, 2H), δ7.73-7.70 (m, 2H), 3.19 (s, 3H); LRMS m/z(相対強度)161 (M+, 100%), 104 (33%), 76 (30%)
実施例3.5
N−エチルフタルイミド
CAS登録番号[5022-29-7];1H NMR (CDCl3) δ7.86-7.82 (m, 2H), 7.73-7.69 (m, 2H), 3.75 (q,J=7.3Hz, 2H), 1.28 (t,J=7.2Hz, 3H); LRMS m/z (相対強度)175 (M+, 100%), 160 (100%), 105 (26%), 76 (28%)
実施例3.6
N−イソプロピルフタルイミド
CAS登録番号[304-17-6];1H NMR (CDCl3) δ7.74-7.71 (m, 2H), 7.62-7.59 (m, 2H), 4.44 (m, 1H), 1.40 (d,J=6.9Hz, 6H); LRMS m/z(相対強度)189 (M+, 47%), 174 (100%)
実施例4
ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ヒドラジンジカルボキシラート(9)
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール7(10g, 27.5mmol)を、1,1'−カルボニルジイミダゾール(5.35g, 33mmol)のTHF(80ml)溶液に徐々に添加した。室温で30分間攪拌した後、粗反応混合物をエーテル(200ml)に取り込み、水(40ml)で急冷した。水層をエーテル(3 x 20ml)でさらに抽出した。有機層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で取り除き、残渣を高真空条件にして乾燥させた。未精製のイミダゾリド8をTHF(14ml)に取り込み、ヒドラジンモノハイドロクロライド(942mg, 13.75mmol)とトリエチルアミン(9.6ml, 68.75mmol)とを室温で添加した。3日(3 d)後(、反応混合物を水(50ml)で急冷し、エーテル(3 x 50ml)で抽出した。有機層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥濃縮させた。シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル(3:2))を行い、ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)ヒドラジンジカルボキシラート9(9.52g, 85%)を、白色固体として得た。融点105℃。
1H NMR (アセトン−d6) δ8.48 (b, 2H), δ4.32 (t,J=6.1Hz, 4H), δ2.70 (m, 4H); 13C NMR (アセトン−d6) δ156.2, 121.4-108.3 (m), 57.2, 30.2 (t,J=84.9Hz); 19 F NMR δ-80.6 (3F), -112.9 (2F), -121.4 (2F), -122.4 (2F), -123.0 (2F), -126.3 (2F); IR(薄膜): 1743cm-1, 3271cm-1, HRMS: 計算値(812.0225), 実測値(812.0239)
実施例5a
ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジアゾジカルボキシラート10
フルオラスヒドラジン(2g, 2.46mmol)とピリジン(0.4ml, 4.92mmol)とを塩化メチレン(25ml)に取り込み、混合物を0℃に冷却した。臭素(590mg, 3.69mmol)を徐々に添加した。添加終了後に氷浴をとりはずし、反応物を室温で2時間激しく攪拌した。その後、反応混合物を塩化メチレン(150ml)で希釈し、亜硫酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム溶液、塩水及び水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥濃縮し、黄色い固体状のビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジアゾジカルボキシラートを得た(1.99g, 100%)。融点61℃
1H NMR (アセトン−d6) δ4.87 (t, J=5.9Hz, 4H), δ2.91 (tt,J=5.9, 19Hz, 4H); 13C NMR (アセトン−d6) δ161.2, 125-104 (m), 62.7, 31.3 (t,J=85.1Hz); 19 F NMR (アセトンd6) δ-80.6 (3F), -112.9 (3F), -121.3 (2F), -122.3 (2F), -123 (2F), -123.6 (2F), -125.7 (2F); IR(薄膜): 1787cm-1, LRMS 812 (M++2, 55%), 449 (91%), 327 (85%), 131 (100%)
実施例5b
ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジアゾジカルボキシラート10
フルオラスヒドラジン9(200mg, 0.246mmol)及びピリジン(40μl, 0.492mmol)のTHF(2ml)溶液にN−ブロモスクシンイミド(200mg, 0.295mmol)を添加し、0℃に冷却した。氷浴をとりはずし、室温で攪拌を1時間続けた。その後、反応混合物を水で急冷しエーテルで抽出した。エーテル層を合わせて5%のHClと水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥濃縮し、黄色い固体状のビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジアゾジカルボキシラート10を得た(198mg, 100%)。
実施例6
フルオラスホスフィン3及びフルオラスDEAD10で促進させた3,5−ジニトロ安息香酸の光延反応(手順A)
フルオラスホスフィン3(100mg, 0.105mmol)とアルコール(0.105mmol)とのTHF(0.5ml)溶液を、フルオラスDEAD10(85mg, 0.105mmol)と3,5−ジニトロ安息香酸(15mg, 0.07mmol)のTHF(0.5ml)溶液に徐々に添加した。一晩攪拌した後、反応混合物から溶媒を蒸発させ、メタノールを用いて2gのFRPSに残渣を充填した。80%MEOH(10ml)で溶離させ、3,5−ジニトロベンゾイルエステルを得た。エーテルで2回目の溶離を行い、フルオラスホスフィンオキシド4とフルオラスヒドラジン9との混合物を回収した。
実施例6.1
3,5−ジニトロ安息香酸アリル
1H NMR (CDCl3) δ9.25 (t,J=2Hz, 1H), δ9.19 (d,J=2Hz, 2H), δ6.14-6.01 (m, 1H), δ5.49 (dd,J=17.2, 1.3Hz, 1H), δ5.41 (dd,J=10.4, 1Hz, 1H), δ4.96 (dt,J=6, 1Hz); LRMS m/z(相対強度)195 (M+, 100%), 149 (38%), 75 (56%)
実施例6.2
3,5−ジニトロ安息香酸p−フルオロベンジル
1H NMR δ9.24 (t,J=2.1Hz, 1H), δ9.15 (d,J=2.1Hz, 2H), δ7.51-7.45 (m, 2H), δ7.16-7.09 (m, 2H), 5.45 (s, 2H); 19F NMR (CDCl3) -110.8; LRMS m/z(相対強度)320 (M+, 8%), 196 (33%),109 (100%)
実施例7
フルオラスホスフィン3及びフルオラスDEAD10で促進させたフタルイミドの光延反応のための一般的手順(手順B)
フルオラスDEAD10(85mg, 0.105mmol)とTHF(0.5ml)との混合物を、フタルイミド(10mg, 0.07mmol)とアルコール(0.105mmol)とフルオラスホスフィン3(100mg, 0.210mmol)とのTHF(0.5ml)溶液に徐々に添加した。一晩攪拌した後、反応混合物から溶媒を蒸発させ、メタノールを用いて2gのFRPSに残渣を充填した。80%MEOH(10ml)で溶離させ、N−アルキルフタルイミドを得た。エーテル(20ml)で2回目の溶離を行い、フルオラスホスフィンオキシド4とフルオラスヒドラジン9との混合物を得た。
実施例7.1
N−アリルフタルイミド
CAS登録番号[5428-09-1];1H NMR (CDCl3) δ7.90-7.84 (m, 2H), 7.80-7.72 (m, 2H), 5.96-5.83 (m, 1H), δ5.29-δ5.19 (m, 2H), δ4.32-4.3 (m, 2H); LRMS m/z(相対強度)187 (M+, 100%), 169 (53%), 76 (68%)
実施例7.2
N−(p−フルオロベンジル)フタルイミド
1H NMR δ7.87-7.84 (m, 2H), δ7.74-7.70 (m, 2H), δ7.46-7.40 (m, 2H), δ7.04-6.96 (m, 2H), 4.82 (s, 2H); 19F NMR (CDCl3) -113.1; LRMS m/z(相対強度)255 (M+, 100%), 237 (29%), 122 (63%), 76 (34%)
実施例8
フルオラスホスフィン3及びフルオラスDEAD10で促進させたN−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドの光延反応のための一般的手順(手順C):
フルオラスDEAD10(85mg, 0.105mmol)のTHF(0.5ml)溶液を、0℃でフルオラスホスフィン3(100mg, 0.105mmol)のTHF(0.5ml)溶液に添加した。アルコール(0.105mmol)をそのまま添加し、続けてN−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミド(19mg, 0.07mmol)のTHF(0.5ml)溶液を加えた。室温で3時間攪拌した後、反応混合物から溶媒を蒸発させ、メタノールを用いて2gのFRPSに残渣を充填した。80%MEOH/H2O(10ml)で溶離させ、N−アルキル−N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミドを得た。エーテルで2回目の溶離を行い、フルオラスホスフィンオキシド4とフルオラスヒドラジン9との混合物を回収した。
実施例8.1
N−メチル−N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミド
1H NMR δ7.78 (d, 8.2Hz, 2H), δ7.32 (d, 8.1Hz, 2H), δ3.36 (s, 3H), δ2.45 (s, 3H),δ1.36 (s, 3H); LRMS m/z(相対強度)185 (22%), 155 (18%), 91 (100%), 65 (32%)
実施例8.2
N−アリル−N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミド
1H NMR (CDCl3) δ7.81-7.79 (m, 2H), δ7.32-7.29 (m, 2H), δ6.00-5.88 (m, 1H), δ5.37-5.29 (m, 1H),δ5.27-5.22 (m, 1H), 4.48-4.44 (m, 2H); LRMS m/z(相対強度)210 (2%), 155 (17%), 91 (100%)
実施例8.3
N−(p−フルオロベンジル)−N−(t−ブトキシカルボニル)−p−トルエンスルホンアミド
1H NMR δ7.58-7.56 (m, 2H), δ7.45-7.41 (m, 2H), δ7.26-7.23 (m, 2H), δ7.07-7.00 (m, 2H), 5.00 (s, 2H), δ2.42 (s, 3H), δ1.32 (s, 9H); LRMS m/z(相対強度)281 (2%), 206 (48%), 124 (80%), 91 (100%)
フルオラスホスフィン3及びフルオラスDEAD10で促進させた4−(4−ニトロフェニル)酪酸の光延反応は、手順C(上記参照)を用いて行った。
実施例8.4
4−(4−ニトロフェニル)酪酸メチル
1H NMR (CDCl3) δ8.16 (d,J=8.6Hz, 2H), 7.35 (d,J=8.6Hz, 2H), 3.69 (s, 3H), 2.77 (t,J=7.7Hz, 2H), 2.36 (t,J=7.3Hz, 2H), 1.99 (m, 2H); LRMS m/z(相対強度)223 (M+, 66%), 192 (33%), 150 (76%), 74 (100%), 59 (15%)
実施例8.5
4−(4−ニトロフェニル)酪酸アリル
1H NMR (CDCl3) δ8.16 (d,J=8.7Hz, 2H), δ7.35 (d,J=8.6Hz, 2H), δ5.99-5.86 (m, 1H), δ5.36-5.29 (m, 1H), δ5.28-5.23 (m, 1H), δ4.60-4.58 (m, 2H), δ2.78 (t,J=7.7Hz, 2H), δ2.39 (t,J=7.3Hz, 2H), δ2.05-1.96 (m, 2H); LRMS m/z(相対強度)249 (M+, 53%), 208 (100%), 116 (76%)
実施例8.6
4−(4−ニトロフェニル)酪酸p−フルオロベンジル
1H NMR (CDCl3) δ8.18-8.13 (m, 2H), δ7.37-7.27 (m, 4H), δ7.08-6.99 (m, 2H), δ5.09 (s, 2H), δ2.76 (t,J=7.6Hz, 2H), δ2.39 (t,J=7.4Hz, 2H), δ2.05-1.95 (m, 2H); 19F NMR (CDCl3) δ-112; LRMS m/z(相対強度)317 (26%), 208 (9%), 109 (100%)
実施例9
4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナン−1−オール(20)
水素化アルミニウムリチウム(1.14g, 30.1mmol)のTHF(60ml)溶液に、2−ヨード−4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9-トリデカフルオロノナン−1−オール19(15g, 29.8mmol)を徐々に添加した。一晩室温で攪拌した後、反応混合物を酢酸エチル(5ml)で急冷した。水(150ml)を混合物に添加し、エーテル(3 x 75ml)で抽出した。エーテル層を合わせて水と塩水で洗浄した。エーテル層を濃縮蒸留し、20を得た(8.66g, 77%)。沸点90〜92℃(アスピレーター圧力)
1H NMR (CDCl3) δ3.75 (t,J=6.1Hz, 2H), δ2.31-2.13 (m, 2H), δ1.92-1.83 (m, 2H)
実施例10
ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ヒドラジンジカルボキシラート(21)
本化合物は、9と同様にして合成した。融点98〜99℃
1H NMR (アセトン−d6) δ8.31 (b, 2H), 4.19 (t,J=6.2Hz, 4H), δ2.41-2.23 (m, 4H), δ1.98-1.89 (m, 2H); 13C NMR (アセトン−d6) δ157.9, δ125-110 (m), δ64.9, δ28.5 (t,J=88.3Hz), δ21.5; 19 F NMR -80.6 (3H), -113.8 (2H), -121.4 (2H), -122.4 (2H), -122.9 (2H), -125.7 (2H); HRMS: 計算値(840.0555), 実測値(840.0555); IR(薄膜) 1741cm-1, 3271cm-1
実施例10.1
ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)ジアゾジカルボキシラート(22)
本化合物は、10と同様にして合成した。融点51〜52℃
1H NMR (アセトン−d6) δ4.66 (t,J=6.1Hz, 4H), δ2.56-2.38 (m, 4H), δ2.25-2.16 (m, 4H); 13C NMR (アセトン−d6) δ161.3, δ124.2-105.3 (m), δ68.9, δ28.2 (t,J=88Hz), δ20.7; 19 F NMR (アセトン−d6) δ-79.6 (6F), -113.3 (4F), δ-120.8 (4F), δ-121.7 (4F), -122.3 (4F), -125 (4F); LRMS: 840 (M++2, 6%), 463 (6%), 436 (15%), 341 (32%), 295 (25%), 91 (100%); IR(薄膜) 1783cm-1
実施例11
1−ブロモ−4−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロオクチル)ベンゼン:
液下漏斗と冷却器を取り付けた250mlの丸底フラスコに、亜鉛粉末(3.24g, 52.3mmol)を投入した。亜鉛を真空乾燥させアルゴン気流下で冷却した。蒸留したばかりのTHF(8ml)を室温で添加し、混合物を5分間攪拌した。1,2−ジブロモエタン(0.2ml)を65℃で添加し、反応フラスコを上記の温度で2分間保った後、室温まで冷却した。室温でクロロトリメチルシラン(0.2ml)を加えた。20分後、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロ−8−ヨードオクタン(25g, 43.6mmol)のTHF(44ml)溶液を滴下した。反応混合物が室温に保たれるように添加速度を調整した。室温で24時間経過後、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(12.7g, 44.9mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.51g, 1.31mmol)とのTHF(22ml)溶液を充填した、冷却器が取り付けられた250mlの丸底フラスコに、無色の有機亜鉛化合物をカニューレ挿入した。反応混合物を45℃で24時間攪拌した。その後、減圧下で溶媒を除去し、未精製の残渣を塩化メチレン(50ml)に溶解させFC−72(7 x 50 ml)で抽出した。FC−72層を合わせて溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を低圧で蒸留し、無色のオイル状の生成物(13.4g, 51%)を得た。沸点123℃/0.4Torr
1H NMR (CDCl3) δ7.48-7.43 (m, 2H), δ7.13-7.09 (m, 2H), δ2.91-2.85 (m, 2H), δ2.45-2.27 (m, 2H)
実施例12
ビス−フェニル−[4-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロオクチル)フェニル]ホスファン:
t−BuLi溶液(ペンタン中1.7M、1.95ml, 3.32mmol)を、−78℃で1−ブロモ−4−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロ−オクチル)ベンゼン(1g, 1.66mmol)のエーテル(130ml)溶液に徐々に添加した。−78℃で1時間経過後、クロロジフェニルホスフィン(0.36ml, 1.99mmol)を添加し、反応混合物の温度を室温まで上げて一晩攪拌した。その後、反応混合物を水(10ml)で急冷した。エーテル層が分離した。水層をエーテル(3 x 10ml)でさらに抽出した。エーテル層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥させ減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した。ヘキサン:酢酸エチル(20:1)で溶離させ、無色のオイル状のビス−フェニル−[4-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロオクチル)フェニル]ホスファンを得た(970mg, 81%)。
1H NMR (CDCl3) δ7.37-7.21 (m, 14H), δ2.99-2.93 (m, 2H), δ2.45-2.33 (m, 2H); 31P NMR (CDCl3) δ-4.84;このホスフィンの保持時間は、標準的な条件下「フルオフィックス」カラムで25分間であった。
実施例12.1
ビス−フェニル−[4-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロオクチル)フェニル]ホスファン及びフルオラスDEAD10によって促進された4−(4−ニトロフェニル)酪酸とメタノールとの光延反応を、手順C(上記参照)で行い、純粋な置換生成物が提供された。
上記の実施例と照らし合わせながら本発明を詳細に説明したが、詳細説明はそのような目的のために過ぎず、当該分野の当業者であれば、添付のクレームによって限定されるようなことを除いて、本発明の技術的思想から逸脱することなく変更、修正が可能であることは理解できよう。
標準的な光延反応を示す。 本発明のフルオラス光延反応の1例を示す。 本発明の代表的なフルオラスホスフィンとフルオラスジアゾジカルボキシラートを用いた光延反応を示す。 フルオラスホスフィンの合成を示す。 フルオラスホスフィンオキシドの還元を示す。 フルオラス逆相シリカゲルの合成を示す。 フルオラスホスフィン試薬及び有機DEAD試薬を用いた、メタノール、エタノール及びイソプロパノールによる3,5−ジニトロ安息香酸のエステル化とフタルイミドのN−アルキル化を示す。 フルオラスDEAD試薬の合成を示す。 図7のフルオラスDEAD試薬の反応性に関する研究結果を示す。 フルオラス及び非フルオラス(標準)光延試薬を用いたいくつかの実験によるNMRスペクトルを示す。 フルオラスアリル錫化合物のスペーサー基におけるメチレン基の数の影響を示す。 フルオラスboc保護アミンのスペーサー基におけるメチレン基の数の影響を示す。 3個のメチレンスペーサーを有するフルオラスジアゾジカルボキシラートの合成を示す。

Claims (24)

  1. 目的とする生成物を生成するためにアルコールの求核置換反応を実施する方法であって、前記アルコールと求核試薬とを、アゾジカルボキシラート及びホスフィンと反応させるステップを含み、前記アゾジカルボキシラート及び前記ホスフィンのうち少なくとも1種が、フルオラスタグを少なくとも1つ含む方法。
  2. 前記アゾジカルボキシラートがフルオラスタグを少なくとも1つ含み、さらに前記ホスフィンがフルオラスタグを少なくとも1つ含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つのフルオラスタグのついたアゾジカルボキシラートと前記少なくとも1つのフルオラスタグのついたホスフィンとから、フルオラス分離方法を用いて前記の目的とする生成物を分離する工程をさらに含む請求項2に記載の方法。
  4. 前記フルオラス分離方法が液体−液体抽出である請求項3に記載の方法。
  5. 前記フルオラス分離方法が固体−液体抽出である請求項3に記載の方法。
  6. 前記フルオラス分離方法がフルオラス固相抽出である請求項3に記載の方法。
  7. 前記フルオラスタグのついたアゾジカルボキシラートが、式:Z12C−N=N−CO22で表され、
    式中、Z1は、
    Figure 0004242764
    (式中、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9及びn10はそれぞれ独立して1又は0であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立してH、F、Cl、アルキル基、アリール基又はアルコキシル基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基、O−Rf1、S−Rf2又は−N(Rf3)(R22)であり、R22はアルキル基又はRf4で、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基からなる群から選ばれるフルオラス基をそれぞれ独立して表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15又はR16のうち少なくとも1つは、O−Rf1、S−Rf2、−N(Rf3)(R22)、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基又はフッ化アミン基である)で表される請求項2に記載の方法。
  8. 直鎖のペルフルオロアルキル基の炭素数は3〜20個で、ハイドロフルオロアルキル基の炭素数は3〜20個であり、ハイドロフルオロアルキル基はそれぞれの2個のフッ素原子に対して水素原子を多くて1個含む請求項7に記載の方法。
  9. 前記フルオラスタグのついたホスフィンが、下記式、
    Figure 0004242764
    式中、Z3
    Figure 0004242764
    (式中、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、それぞれ独立してH、F、Cl、アルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基、O−Rf1、S−Rf2又は−N(Rf3)(R22)であり、R22はアルキル基又はRf4で、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基からなる群から選ばれるフルオラス基をそれぞれ独立して表し、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20又はR21のうち少なくとも1つは、O−Rf1、S−Rf2、−N(Rf3)(R22)、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基又はフッ化アミン基である)で表される請求項2に記載の方法。
  10. 直鎖のペルフルオロアルキル基の炭素数は3〜20個で、ハイドロフルオロアルキル基の炭素数は3〜20個であり、ハイドロフルオロアルキル基はそれぞれ2個のフッ素原子に対して水素原子を多くて1個含む請求項9に記載の方法。
  11. 前記アルコールが、第1級アルコール又は第2級アルコールである請求項1に記載の方法。
  12. 前記フルオラスタグのついたアゾジカルボキシラートと前記フルオラスタグのついたホスフィンとの混合物に、前記アルコールと前記求核試薬とを添加する請求項2に記載の方法。
  13. 前記フルオラスタグのついたアゾジカルボキシラートが、下記式、
    Figure 0004242764
    (式中、Nは1〜5までの整数を表し、Rfはペルフルオロアルキル基を表す)で表される請求項2に記載の方法。
  14. 前記ペルフルオロアルキル基の炭素数が3〜20個である請求項13に記載の方法。
  15. 式Z12C−N=N−CO22で表される化合物で、
    式中、Z1は、
    Figure 0004242764
    (式中、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9及びn10はそれぞれ独立して1又は0であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アリール基又はアルコキシル基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基、O−Rf1、S−Rf2又は−N(Rf3)(R22)であり、R22はアルキル基又はRf4で、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基からなる群から選ばれるフルオラス基をそれぞれ独立して表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15又はR16のうち少なくとも1つは、O−Rf1、S−Rf2、−N(Rf3)(R22)、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基又はフッ化アミン基である)で表される化合物。
  16. 前記Z1とZ2がRf(CH2N−で表され、Nが1〜5までの整数であり、Rfがペルフルオロアルキル基である請求項15に記載の化合物。
  17. 前記ペルフルオロアルキル基の炭素数が3〜20個である請求項16に記載の化合物。
  18. 下記式で表される化合物であって、
    Figure 0004242764
    式中、Z1は、
    Figure 0004242764
    (式中、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9及びn10はそれぞれ独立して1又は0であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アリール基又はアルコキシル基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基、O−Rf1、S−Rf2又は−N(Rf3)(R22)であり、R22はアルキル基又はRf4で、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基からなる群から選ばれるフルオラス基をそれぞれ独立して表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15又はR16のうち少なくとも1つは、O−Rf1、S−Rf2、−N(Rf3)(R22)、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基又はフッ化アミン基である)で表される化合物。
  19. 前記Z1とZ2がRf(CH2N−で表され、Nが1〜5までの整数であり、Rfがペルフルオロアルキル基である請求項18に記載の化合物。
  20. 前記ペルフルオロアルキル基の炭素数が3〜20個である請求項19に記載の化合物。
  21. 式Z12C−N=N−CO22で表される化合物を合成する方法で、下記式、
    Figure 0004242764
    式中、Z1は、
    Figure 0004242764
    (式中、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9及びn10はそれぞれ独立して1又は0であり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19及びX20は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アリール基又はアルコキシル基であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、H、F、Cl、アルキル基、アルコキシル基、チオアルキル基、ジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基、O−Rf1、S−Rf2又は−N(Rf3)(R22)であり、R22はアルキル基又はRf4で、Rf1、Rf2、Rf3及びRf4は、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基、フッ化アミン基からなる群から選ばれるフルオラス基をそれぞれ独立して表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15又はR16のうち少なくとも1つは、O−Rf1、S−Rf2、−N(Rf3)(R22)、ペルフルオロアルキル基、ハイドロフルオロアルキル基、フッ化エーテル基又はフッ化アミン基である)で表される化合物を酸化剤と反応させる工程を含む方法。
  22. 前記酸化剤が、ジブロミン又はN−ブロモスクシンイミドである請求項21に記載の方法。
  23. 前記Z1とZ2がRf(CH2N−で表され、Nが1〜5までの整数であり、Rfはペルフルオロアルキル基である請求項21に記載の方法。
  24. 前記ペルフルオロアルキル基の炭素数が3〜20個である請求項23に記載の方法。
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