以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る光学式情報記録再生装置を示すブロック図であり、図2(a)乃至2(e)、図3(a)乃至3(e)、図4(a)乃至4(e)、図5(a)乃至5(e)は、この光学式情報記録再生装置の光ヘッド装置に組み込まれる収差補正光学素子を示す図であり、各図の(a)は平面図であり、各図の(b)乃至(e)は断面図である。本実施形態に係る光学式情報記録再生装置は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブである。
図1に示すように、本実施形態に係る光学式情報記録再生装置においては、光ヘッド装置21が組み込まれている。光ヘッド装置21においては、半導体レーザ1が設けられており、この半導体レーザ1が出射するレーザ光の経路に沿って、半導体レーザ1から出射されたレーザ光を平行光とするコリメータレンズ2、P偏光を透過させS偏光を所定の方向に反射する偏光ビームスプリッタ3、光学系の収差を補正する収差補正光学素子4、相互に垂直な方向に振動する直線偏光が入射したときにこれらの間に1/4波長分の位相差を与える1/4波長板5、入射した平行光を収束させる対物レンズ6が設けられており、この対物レンズ6の焦点に光記録媒体であるディスク7が位置するようになっている。
また、偏光ビームスプリッタ3により反射される光の経路に沿って、円筒レンズ8、レンズ9及び光検出器10が配置されている。なお、円筒レンズ8及びレンズ9により、光に非点収差を与える複合レンズが構成されている。光検出器10は、円筒レンズ8及びレンズ9からなる複合レンズにより形成される2つの焦線の中間に設置されている。光検出器10においては、光の受光面に複数の受光部(図示せず)が配列されており、各受光部が受光した光の強度を測定することにより、入射した光から各種の信号を検出するものである。
更に、図1に示すように、本実施形態に係る光学式情報記録再生装置における光ヘッド装置21の外部には、外部から入力される記録データに基づき、半導体レーザ1を駆動するための記録信号を生成する記録信号生成回路12が設けられている。また、記録信号生成回路12から出力された記録信号が入力され、この記録信号に基づいて半導体レーザ1を駆動するための駆動信号を生成し、これを半導体レーザ1に対して出力する半導体レーザ駆動回路13が設けられている。
更にまた、光検出器10から出力された電流信号を電圧信号に変換するプリアンプ14が設けられており、このプリアンプ14から出力された電圧信号に基づいて再生信号を生成して再生データを外部へ出力する再生信号生成回路15が設けられている。また、プリアンプ14から出力された電圧信号に基づいて、対物レンズ6を駆動するためのフォーカス誤差信号及びトラック誤差信号を生成する誤差信号生成回路16が設けられており、このフォーカス誤差信号及びトラック誤差信号が入力され、これらの信号に基づいて駆動信号を生成する対物レンズ駆動回路17が設けられており、この対物レンズ駆動回路17から出力された駆動信号が入力され、対物レンズ6の位置を制御するアクチュエータ(図示せず)が設けられている。更に、本実施形態に係る光学式情報記録再生装置においては、ディスク7を回転させるスピンドル制御回路、及び光ヘッド装置21全体をディスク7に対して移動させるポジショナ制御回路等が設けられている。
前述の如く、収差補正光学素子4は、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光の経路に介在している。図1においては、偏光ビームスプリッタ3と1/4波長板5の間に挿入されているが、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系中であれば、どこに挿入されていても良い。また、収差補正光学素子4は、以下に説明する複数の収差補正光学素子から選択された1枚又は2枚以上の収差補正光学素子であり、光ヘッド装置21において発生している収差を最も効果的に補正できる収差補正光学素子が選択され、光ヘッド装置21に組み込まれる。以下、光ヘッド装置21に組み込まれる収差補正光学素子4の候補となる複数の収差補正光学素子について、詳細に説明する。
光学系で生じるコマ収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図2に示す収差補正光学素子4aを使用する。図2(a)は収差補正光学素子4aを示す平面図である。図2(a)に示すように、収差補正光学素子4aは、領域11a〜11eの5つの領域に分割されている。なお、図中の破線は対物レンズ6の有効領域を示している。
収差補正光学素子4aにおいては、外縁が+X方向及び−X方向に膨らんだ凸形曲線からなる領域11aが設けられており、この領域11aのY方向における両端は、対物レンズ6の有効領域の外側にはみ出し、夫々収差補正光学素子4aの端縁に接している。また、X方向における領域11aの両側が、夫々領域11d及び11eとなっている。更に、領域11aの内部における領域11aのY軸に平行な中心線に関して相互に対称となる位置に、2つの領域11b及び11cが設けられている。
収差補正光学素子4aは、コマ収差の補正量及び/又は符号の違いにより、更に4種類の収差補正光学素子4a1〜4a4に分類できる。図2(b)乃至(e)は、コマ収差の補正量及び/又は符号が相互に異なる4種類の収差補正光学素子4a1〜4a4を示す図2(a)に示すA−A’線による断面図である。図2(b)乃至(e)に示すように、収差補正光学素子4a1〜4a4の表面形状は3レベルの階段状である。
図2(b)に示す収差補正光学素子4a1においては、領域11b及び11eの高さは領域11aの高さに比べてhだけ高く、領域11c及び11dの高さは領域11aの高さに比べてhだけ低い。図2(c)に示す収差補正光学素子4a2においては、領域11b及び11eの高さは領域11aの高さに比べて2hだけ高く、領域11c及び11dの高さは領域11aの高さに比べて2hだけ低い。図2(d)に示す収差補正光学素子4a3においては、領域11b及び11eの高さは領域11aの高さに比べてhだけ低く、領域11c及び11dの高さは領域11aの高さに比べてhだけ高い。図2(e)に示す収差補正光学素子4a4においては、領域11b及び11eの高さは領域11aの高さに比べて2hだけ低く、領域11c及び11dの高さは領域11aの高さに比べて2hだけ高い。一方、収差補正光学素子4aの中心を通るY方向の断面は平坦である。
このような断面を有する収差補正光学素子4aは、ガラス若しくはプラスチックの成形
により、又は、ガラス上に誘電体を堆積させることにより作製することができる。後者の
作製方法は、フォトリソグラフィのプロセスを適用できるため製造コストが低く、量産性
に優れている。
光学系で生じる球面収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図3に示す収差補正光学素子4bを使用する。図3(a)は収差補正光学素子4bを示す平面図である。図3(a)に示すように、収差補正光学素子4bは、領域11f〜11jの5つの領域に分割されている。なお、図中の破線は対物レンズ6の有効領域を示している。
収差補正光学素子4bにおいては、中心が収差補正光学素子4bの中心と一致する円形の領域11fが設けられており、この領域11fの周囲に、内側から外側に向かって、領域11fと同心円状に環状の領域11g、11h及び11iが設けられており、収差補正光学素子4bにおける領域11iの外側が領域11jとなっている。なお、領域11iの外縁は対物レンズ6の有効領域に相当する領域の内部に位置している。
収差補正光学素子4bは、球面収差の補正量及び/又は符号の違いにより、更に4種類の収差補正光学素子4b1〜4b4に分類できる。図3(b)乃至(e)は、球面収差の補正量及び/又は符号が相互に異なる4種類の収差補正光学素子4b1〜4b4を示す図3(a)に示すB−B’線による断面図である。図3(b)乃至(e)に示すように、収差補正光学素子4b1〜4b4の表面形状は3レベルの階段状である。
図3(b)に示す収差補正光学素子4b1においては、領域11hの高さは領域11g及び11iの高さに比べてhだけ高く、領域11f及び11jの高さは領域11g及び11iの高さに比べてhだけ低い。図3(c)に示す収差補正光学素子4b2においては、領域11hの高さは領域11g及び11iの高さに比べて2hだけ高く、領域11f及び11jの高さは領域11g及び11iの高さに比べて2hだけ低い。図3(d)に示す収差補正光学素子4b3においては、領域11hの高さは領域11g及び11iの高さに比べてhだけ低く、領域11f及び11jの高さは領域11g及び11iの高さに比べてhだけ高い。図3(e)に示す収差補正光学素子4b4においては、領域11hの高さは領域11g及び11iの高さに比べて2hだけ低く、領域11f及び11jの高さは領域11g及び11iの高さに比べて2hだけ高い。一方、収差補正光学素子4bの中心を通るY方向の断面は、中心を通るX方向の断面と同じである。
このような断面を有する収差補正光学素子4bは、ガラス若しくはプラスチックの成形により、又は、ガラス上に誘電体を堆積させることにより作製することができる。後者の作製方法は、フォトリソグラフィのプロセスを適用できるため製造コストが低く、量産性に優れている。
光学系で生じる非点収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図4に示す収差補正光学素子4cを使用する。図4(a)は収差補正光学素子4cを示す平面図である。図4(a)に示すように、収差補正光学素子4cは、領域11k〜11oの5つの領域に分割されている。なお、図中の破線は対物レンズ6の有効領域を示している。
収差補正光学素子4cにおいては、中心が収差補正光学素子4cの中心と一致する円形の領域11kが設けられており、この領域11kの外側に領域11l〜11oが収差補正光学素子4cの中心に関して4回対称となるように設けられている。領域11kから見て、+Y方向には領域11lが設けられており、−Y方向には領域11mが設けられており、−X方向には領域11nが設けられており、+X方向には領域11oが設けられている。領域11l〜11oにおける相互間の境界線は、収差補正光学素子4cの対角線と一致している。なお、領域11kは対物レンズ6の有効領域の内部にある。
収差補正光学素子4cは、非点収差の補正量及び/又は符号の違いにより、更に4種類の収差補正光学素子4c1〜4c4に分類できる。図4(b)乃至(e)は、非点収差の補正量及び/又は符号が異なる4種類の収差補正光学素子4c1〜4c4を示す図4(a)に示すC−C’線による断面図である。図4(b)乃至(e)に示すように、収差補正光学素子4c1〜4c4の中心を通るX方向の断面形状は2レベルの階段状である。
図4(b)に示す収差補正光学素子4c1においては、領域11n及び11oの高さは領域11kの高さに比べてhだけ高い。図4(c)に示す収差補正光学素子4c2においては、領域11n及び11oの高さは領域11kの高さに比べて2hだけ高い。図4(d)に示す収差補正光学素子4c3においては、領域11n及び11oの高さは領域11kの高さに比べてhだけ低い。図4(e)に示す収差補正光学素子4c4においては、領域11n及び11oの高さは領域11kの高さに比べて2hだけ低い。
一方、収差補正光学素子4cの中心を通るY方向の断面形状(図示せず)は、同じく2レベルの階段状である。図4(b)に示す収差補正光学素子4c1においては、領域11l及び11mの高さは領域11kの高さに比べてhだけ低い。図4(c)に示す収差補正光学素子4c2においては、領域11l及び11mの高さは領域11kの高さに比べて2hだけ低い。図4(d)に示す収差補正光学素子4c3においては、領域11l及び11mの高さは領域11kの高さに比べてhだけ高い。図4(e)に示す収差補正光学素子4c4においては、領域11l及び11mの高さは領域11kの高さに比べて2hだけ高い。即ち、収差補正光学素子4cの表面形状は、全体として3レベルの階段状である。
このような断面を有する収差補正光学素子4cは、ガラス若しくはプラスチックの成形により、又は、ガラス上に誘電体を堆積させることにより作製することができる。後者の作製方法は、フォトリソグラフィのプロセスを適用できるため、製造コストが低く、量産性に優れている。
光学系で生じる矢型収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図5に示す収差補正光学素子4dを使用する。図5(a)は収差補正光学素子4dを示す平面図である。図5(a)に示すように、収差補正光学素子4d全体の形状は、光軸方向から見て正六角形である。そして、収差補正光学素子4dは、領域11p〜11vの7つの領域に分割されている。なお、図中の破線は対物レンズ6の有効領域を示している。
収差補正光学素子4dにおいては、中心が収差補正光学素子4dの中心と一致する円形の領域11pが設けられており、この領域11pの外側に領域11q〜11vが収差補正光学素子4dの中心に関して6回対称となるように設けられている。領域11pから見て、−X方向には領域11qが設けられており、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向には領域11rが設けられており、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向には領域11sが設けられており、+X方向には領域11tが設けられており、−X方向から+Y方向へ60°傾いた方向には領域11uが設けられており、−X方向から−Y方向へ60°傾いた方向には領域11vが設けられている。即ち、領域11s、領域11t、領域11r、領域11v、領域11q及び領域11uは、円形の領域11pを囲むようにこの順に配列されている。領域11q〜11vにおける相互間の境界線は、収差補正光学素子4dの対角線と一致している。なお、領域11pは対物レンズ6の有効領域の内部にある。
収差補正光学素子4dは、矢型収差の補正量及び/又は符号の違いにより、更に4種類の収差補正光学素子4d1〜4d4に分類できる。図5(b)乃至(e)は、矢型収差の補正量及び/又は符号が異なる4種類の収差補正光学素子4d1〜4d4を示す図5(a)に示すD−D’線による断面図である。図5(b)乃至(e)に示すように、収差補正光学素子4d1〜4d4の中心を通るX方向の断面形状は3レベルの階段状である。
図5(b)に示す収差補正光学素子4d1においては、領域11qの高さは領域11pの高さに比べてhだけ低く、領域11tの高さは領域11pの高さに比べてhだけ高い。図5(c)に示す収差補正光学素子4d2においては、領域11qの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ低く、領域11tの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ高い。図5(d)に示す収差補正光学素子4d3においては、領域11qの高さは領域11pの高さに比べてhだけ高く、領域11tの高さは領域11pの高さに比べてhだけ低い。図5(e)に示す収差補正光学素子4d4においては、領域11qの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ高く、領域11tの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ低い。
一方、収差補正光学素子4dの中心を通り、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における素子の形状(図示せず)は、X方向に平行な断面と同じく3レベルの階段状である。図5(b)に示す収差補正光学素子4d1においては、領域11rの高さは領域11pの高さに比べてhだけ低く、領域11uの高さは領域11pの高さに比べてhだけ高い。図5(c)に示す収差補正光学素子4d2においては、領域11rの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ低く、領域11uの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ高い。図5(d)に示す収差補正光学素子4d3においては、領域11rの高さは領域11pの高さに比べてhだけ高く、領域11uの高さは領域11pの高さに比べてhだけ低い。図5(e)に示す収差補正光学素子4d4においては、領域11rの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ高く、領域11uの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ低い。
また、収差補正光学素子4dの中心を通り、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における素子の形状(図示せず)は、X方向に平行な断面と同じく3レベルの階段状である。図5(b)に示す収差補正光学素子4d1においては、領域11sの高さは領域11pの高さに比べてhだけ低く、領域11vの高さは領域11pの高さに比べてhだけ高い。図5(c)に示す収差補正光学素子4d2においては、領域11sの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ低く、領域11vの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ高い。図5(d)に示す収差補正光学素子4d3においては、領域11sの高さは領域11pの高さに比べてhだけ高く、領域11vの高さは領域11pの高さに比べてhだけ低い。図5(e)に示す収差補正光学素子4d4においては、領域11sの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ高く、領域11vの高さは領域11pの高さに比べて2hだけ低い。
このような断面を有する収差補正光学素子4dは、ガラス若しくはプラスチックの成形により、又は、ガラス上に誘電体を堆積させることにより作製することができる。後者の作製方法は、フォトリソグラフィのプロセスを適用できるため製造コストが低く、量産性に優れている。
次に、本実施形態に係る光ヘッド装置21の製造方法について説明する。先ず、図1に示すように、半導体レーザ1、コリメータレンズ2、偏光ビームスプリッタ3、1/4波長板5、対物レンズ6を、半導体レーザ1が出射するレーザ光の経路に沿ってこの順に配列し、光学系を組み立てる。また、偏光ビームスプリッタ3により反射される光の経路に沿って、円筒レンズ8、レンズ9及び光検出器10をこの順に配列する。一方、収差補正光学素子として、前述の収差補正光学素子4a1〜4a4、4b1〜4b4、4c1〜4c4、4d1〜4d4を準備しておく。
次に、半導体レーザ1、コリメータレンズ2、偏光ビームスプリッタ3、1/4波長板5、対物レンズ6からなる光路における光の収差を、干渉計等により測定する。そして、この収差の種類、符号及び収差量に応じて、この収差を補正できるような収差補正光学素子を収差補正光学素子4a1〜4a4、4b1〜4b4、4c1〜4c4、4d1〜4d4から1枚又は複数枚選択し、選択した収差補正光学素子4を偏光ビームスプリッタ3と1/4波長板5との間に、光路に介在するように組み込む。このとき、収差補正光学素子4により補正される収差の方向が測定された収差の方向と一致するように、収差補正光学素子4を入射光の光軸を中心軸として回転させながら、収差補正光学素子4の方向を調整してもよい。これにより、光ヘッド装置21が製造される。
次に、上述の如く構成された本実施形態に係る光学式情報記録再生装置の動作について説明する。先ず、ディスク7への記録動作について説明する。図1に示すように、先ず、外部から記録データが記録信号生成回路12に入力される。そして、この記録信号生成回路12が入力された記録データに基づき、半導体レーザ1を駆動するための記録信号を生成し、半導体レーザ駆動回路13に対して出力する。次に、半導体レーザ駆動回路13がこの記録信号に基づいて駆動信号を生成し、光ヘッド装置21の半導体レーザ1に対して出力する。
そして、半導体レーザ1が入力された駆動信号に基づいてレーザ光を出射する。このレーザ光はコリメータレンズ2により平行光化され、偏光ビームスプリッタ3にP偏光として入射してほぼ完全に透過し、収差補正光学素子4を透過することにより往路における収差が補正される。次に、この光は1/4波長板5を透過して直線偏光から円偏光に変換され、対物レンズ6でディスク7上に集光される。これにより、ディスク7にデータが書き込まれ、信号が記録される。
そして、この光はディスク7により反射され、対物レンズ6を逆向きに透過し、1/4波長板5を透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光に変換され、収差補正光学素子4を透過することにより復路における収差が補正され、偏光ビームスプリッタ3にS偏光として入射してほぼ完全に反射され、円筒レンズ8に向けて出射される。この光が円筒レンズ8及びレンズ9を透過することにより非点収差を与えられ、光検出器10に入射する。そして、光検出器10の各受光部が受光した光の強度に基づいて電流信号を生成し、プリアンプ14に対して出力する。
次に、図1に示すように、プリアンプ14が入力された電流信号を電圧信号に変換し、再生信号生成回路15及び誤差信号生成回路16に対して出力する。そして、誤差信号生成回路16が、プリアンプ14から入力される電圧信号に基づいて、対物レンズ6を駆動するためのフォーカス誤差信号及びトラック誤差信号を生成する。
そして、対物レンズ駆動回路17が、誤差信号生成回路16から入力されるフォーカス誤差信号及びトラック誤差信号に基づいてアクチュエータを駆動し、対物レンズ6の位置を制御する。これにより、フォーカスサーボ及びトラックサーボの動作が行われる。
次に、ディスク7からの再生動作について説明する。データの再生時においては、半導体レーザ駆動回路13は外部から入力される記録データに基づいて半導体レーザ1を駆動するのではなく、半導体レーザ1に一定の出力でレーザ光を出射させる。そして、前述の記録動作と同様な動作により、レーザ光がディスク7上に集光して反射され、光検出器10により電流信号として取り出される。次いで、プリアンプ14がこの電流信号を電圧信号に変換して再生信号生成回路15及び誤差信号生成回路16に対して出力する。
次に、再生信号生成回路15が、プリアンプ14から入力される電圧信号に基づき、再生信号を生成し、再生データとして外部へ出力する。これにより、ディスク7からの信号の再生が行われる。なお、誤差信号生成回路16、対物レンズ駆動回路17及びアクチュエータの動作は、前述のデータ記録時と同様である。
以下、上述の光学式情報記録再生装置の動作における収差補正光学素子4の作用について、詳細に説明する。図6(a)乃至(h)は、横軸に収差補正光学素子4aの中心を通るX方向の断面における位置をとり、縦軸に収差量をとって、光学系又は収差補正光学素子4aの波面収差を示すグラフ図であり、図6(a)乃至(d)に示す実線は光学系において生じるコマ収差を示しており、破線は収差補正光学素子4aにより生じる波面収差を示しており、図6(e)乃至(h)に示す実線は収差補正光学素子4aを用いて光学系で生じるコマ収差を補正した場合の波面収差を示している。
図6(a)においては、光学系で生じるコマ収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負と変化しており、RMS(root mean square:二乗平均平方根)波面収差は0.02λである。このコマ収差を補正するため、図2(b)に示す収差補正光学素子4a1を使用する。収差補正光学素子4a1で生じるコマ収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正と変化している。図2(b)における高さhは、収差補正光学素子4a1を使用して図6(a)に示すコマ収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図6(e)はこのときの残留波面収差、即ち図6(a)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図6(b)においては、光学系で生じるコマ収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。このコマ収差を補正するため、図2(c)に示す収差補正光学素子4a2を使用する。収差補正光学素子4a2で生じるコマ収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正と変化している。図2(c)における高さ2hは、収差補正光学素子4a2を使用して図6(b)に示すコマ収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図6(f)はこのときの残留波面収差、即ち図6(b)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図6(c)においては、光学系で生じるコマ収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正と変化しており、RMS波面収差は0.02λである。このコマ収差を補正するため、図2(d)に示す収差補正光学素子4a3を使用する。収差補正光学素子4a3で生じるコマ収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負と変化している。図2(d)における高さhは、収差補正光学素子4a3を使用して図6(c)に示すコマ収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図6(g)はこのときの残留波面収差、即ち図6(c)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図6(d)においては、光学系で生じるコマ収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。このコマ収差を補正するため、図6(e)に示す収差補正光学素子4a4を使用する。収差補正光学素子4a4で生じるコマ収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負と変化している。図2(e)における高さ2hは、収差補正光学素子4a4を使用して図6(d)に示すコマ収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図6(h)はこのときの残留波面収差、即ち図6(d)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
一方、収差補正光学素子4aの中心を通るY方向の断面における波面収差は0λである。
光学系で生じるコマ収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、例えば、図2(b)乃至(e)に示す4種類の収差補正光学素子4aを準備しておく。そして、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系のうち、収差補正光学素子4aを除く光学系において生じるコマ収差の量及び符号を干渉計等により測定する。そして、測定したコマ収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4a1乃至4a4の中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4aを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下の場合は、収差補正光学素子4aを用いたコマ収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下の場合は、コマ収差の符号に応じて、図2(b)に示す収差補正光学素子4a1又は図2(d)に示す収差補正光学素子4a3を用いてコマ収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、コマ収差の符号に応じて、図2(c)に示す収差補正光学素子4a2又は図2(e)に示す収差補正光学素子4a4を用いてコマ収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。なお、本実施形態においては、収差補正光学素子4aの種類を4種類としたが、コマ収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4aの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
なお、図2及び図6においては、光学系で生じるコマ収差の方向がX方向である場合について説明したが、光学系で生じるコマ収差の方向がX方向とは異なる場合についても、その方向と、収差補正光学素子4aで補正できるコマ収差の方向が略一致するように、収差補正光学素子4aを入射光の光軸に垂直な面内で回転させて設置すれば、コマ収差の補正を行うことができる。
図7(a)乃至(h)は、横軸に収差補正光学素子4bの中心を通るX方向の断面における位置をとり、縦軸に収差量をとって、光学系又は収差補正光学素子4bの波面収差を示すグラフ図であり、図7(a)乃至(d)に示す実線は光学系において生じる球面収差を示しており、破線は収差補正光学素子4bにより生じる波面収差を示しており、図7(e)乃至(h)に示す実線は収差補正光学素子4bを用いて光学系で生じる球面収差を補正した場合の波面収差を示している。
図7(a)においては、光学系で生じる球面収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負、正と変化しており、RMS波面収差は0.02λである。この球面収差を補正するため、図3(b)に示す収差補正光学素子4b1を使用する。収差補正光学素子4b1で生じる球面収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正、負と変化している。図3(b)における高さhは、収差補正光学素子4b1を使用して図7(a)に示す球面収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図7(e)はこのときの残留波面収差、即ち図7(a)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図7(b)においては、光学系で生じる球面収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負、正と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。この球面収差を補正するため、図3(c)に示す収差補正光学素子4b2を使用する。収差補正光学素子4b2で生じる球面収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正、負と変化している。図3(c)における高さ2hは、収差補正光学素子4b2を使用して図7(b)に示す球面収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図7(f)はこのときの残留波面収差、即ち図7(b)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図7(c)においては、光学系で生じる球面収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正、負と変化しており、RMS波面収差は0.02λである。この球面収差を補正するため、図3(d)に示す収差補正光学素子4b3を使用する。収差補正光学素子4b3で生じる球面収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負、正と変化している。図3(d)における高さhは、収差補正光学素子4b3を使用して図7(c)に示す球面収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図7(g)はこのときの残留波面収差、即ち図7(c)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図7(d)においては、光学系で生じる球面収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、正、負、正、負と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。この球面収差を補正するため、図3(e)に示す収差補正光学素子4b4を使用する。収差補正光学素子4b4で生じる球面収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、負、正、負、正と変化している。図3(e)における高さ2hは、収差補正光学素子4b4を使用して図7(d)に示す球面収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図7(h)はこのときの残留波面収差、即ち図7(d)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
一方、収差補正光学素子4bの中心を通るY方向の断面における波面収差は、中心を通るX方向の断面における波面収差と同じである。
光学系で生じる球面収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、図3(b)乃至(e)に示す4種類の収差補正光学素子4bを準備しておく。そして、収差補正光学素子4bを除く、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系で生じる球面収差の量及び符号を干渉計等により測定する。次に、測定した球面収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4bの中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4bを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下である場合は、収差補正光学素子4bによる球面収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下である場合は、球面収差の符号に応じて、図3(b)に示す収差補正光学素子4b1又は図3(d)に示す収差補正光学素子4b3を使用して球面収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、球面収差の符号に応じて、図3(c)に示す収差補正光学素子4b2又は図3(e)に示す収差補正光学素子4b4を使用して球面収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。本実施形態においては、収差補正光学素子4bの種類を4種類としたが、球面収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4bの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
図8(a)乃至(h)は、横軸に収差補正光学素子4cの中心を通るX方向の断面における位置をとり、縦軸に収差量をとって、光学系又は収差補正光学素子4cの波面収差を示すグラフ図であり、図8(a)乃至(d)に示す実線は光学系において生じる非点収差を示しており、破線は収差補正光学素子4cにより生じる波面収差を示しており、図8(e)乃至(h)に示す実線は収差補正光学素子4cを用いて光学系で生じる非点収差を補正した場合の波面収差を示している。
図8(a)においては、光学系で生じる非点収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、0、負と変化しており、RMS波面収差は0.02λである。この非点収差を補正するため、図4(b)に示す収差補正光学素子4c1を使用する。収差補正光学素子4c1で生じる非点収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、0、正と変化している。図4(b)における高さhは、収差補正光学素子4c1を使用して図8(a)に示す非点収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図8(e)はこのときの残留波面収差、即ち図8(a)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図8(b)においては、光学系で生じる非点収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、0、負と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。この非点収差を補正するため、図4(c)に示す収差補正光学素子4c2を使用する。収差補正光学素子4c2で生じる非点収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、0、正と変化している。図4(c)における高さ2hは、収差補正光学素子4c2を使用して図8(b)に示す非点収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図8(f)はこのときの残留波面収差、即ち図8(b)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図8(c)においては、光学系で生じる非点収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、0、正と変化しており、RMS波面収差は0.02λである。この非点収差を補正するため、図4(d)に示す収差補正光学素子4c3を使用する。収差補正光学素子4c3で生じる非点収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、0、負と変化している。図4(d)における高さhは、収差補正光学素子4c3を使用して図8(c)に示す非点収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図8(g)はこのときの残留波面収差、即ち図8(c)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図8(d)においては、光学系で生じる非点収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、0、正と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。この非点収差を補正するため、図4(e)に示す収差補正光学素子4c4を使用する。収差補正光学素子4c4で生じる非点収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、0、負と変化している。図4(e)における高さ2hは、収差補正光学素子4c4を使用して図8(d)に示す非点収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図8(h)はこのときの残留波面収差、即ち図8(d)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
一方、収差補正光学素子4cの中心を通るY方向の断面における波面収差は、中心を通るX方向の断面における波面収差と符号が逆である。
光学系で生じる非点収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、図4(b)〜(e)に示す4種類の収差補正光学素子4cを準備しておく。そして、収差補正光学素子4cを除く、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系で生じる非点収差の量及び符号を干渉計等により測定する。測定した非点収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4c1乃至4c4の中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4cを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下の場合は、収差補正光学素子4cを用いた非点収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下の場合は、非点収差の符号に応じて、図4(b)に示す収差補正光学素子4c1又は図4(d)に示す収差補正光学素子4c3を使用して非点収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、非点収差の符号に応じて、図4(c)に示す収差補正光学素子4c2又は図4(e)に示す収差補正光学素子4c4を使用して非点収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。本実施形態においては、収差補正光学素子4cの種類を4種類としたが、非点収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4cの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
なお、図4及び図8では、光学系で生じる非点収差の方向がX−Y方向である場合について説明したが、光学系で生じる非点収差の方向がX−Y方向とは異なる場合についても、その方向と、収差補正光学素子4cで補正できる非点収差の方向が略一致するように、収差補正光学素子4cを入射光の光軸に垂直な面内で回転させて設置すれば、非点収差の補正を行うことができる。
図9(a)乃至(h)は、横軸に収差補正光学素子4dの中心を通るX方向の断面における位置をとり、縦軸に収差量をとって、光学系又は収差補正光学素子4dの波面収差を示すグラフ図であり、図9(a)乃至(d)に示す実線は光学系において生じる矢型収差を示しており、破線は収差補正光学素子4dにより生じる波面収差を示しており、図9(e)乃至(h)に示す実線は収差補正光学素子4dを用いて光学系で生じる矢型収差を補正した場合の波面収差を示している。
図9(a)においては、光学系で生じる矢型収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、0、負と変化しており、RMS波面収差は0.02λである。この矢型収差を補正するため、図5(b)に示す収差補正光学素子4d1を使用する。収差補正光学素子4d1で生じる矢型収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、0、正と変化している。図5(b)における高さhは、収差補正光学素子4d1を使用して図9(a)に示す矢型収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図9(e)はこのときの残留波面収差、即ち図9(a)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図9(b)においては、光学系で生じる矢型収差がX軸の負の側から正の側へ向かって正、0、負と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。この矢型収差を補正するため、図5(c)に示す収差補正光学素子4d2を使用する。収差補正光学素子4d2で生じる矢型収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって負、0、正と変化している。図5(c)における高さ2hは、収差補正光学素子4d2を使用して図9(b)に示す矢型収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図9(f)はこのときの残留波面収差、即ち図9(b)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図9(c)においては、光学系で生じる矢型収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、0、正と変化しており、RMS波面収差は0.02λである。この矢型収差を補正するため、図5(d)に示す収差補正光学素子4d3を使用する。収差補正光学素子4d3で生じる矢型収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、0、負と変化している。図5(d)における高さhは、収差補正光学素子4d3を使用して図9(c)に示す矢型収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図9(g)はこのときの残留波面収差、即ち図9(c)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
図9(d)においては、光学系で生じる矢型収差がX軸の負の側から正の側へ向かって負、0、正と変化しており、RMS波面収差は0.04λである。この矢型収差を補正するため、図5(e)に示す収差補正光学素子4d4を使用する。収差補正光学素子4d4で生じる矢型収差は、X軸の負の側から正の側へ向かって正、0、負と変化している。図5(e)における高さ2hは、収差補正光学素子4d4を使用して図9(d)に示す矢型収差を補正したときに、残留RMS波面収差が最小になるように設計されている。図9(h)はこのときの残留波面収差、即ち図9(d)の実線と破線の和を示しており、残留波面収差の絶対値が0λに近づいていることがわかる。
一方、収差補正光学素子4dの中心を通り、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における波面収差は、中心を通るX方向に平行な断面における波面収差と同じである。また、収差補正光学素子4dの中心を通り、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における波面収差は、中心を通るX方向に平行な断面における波面収差と同じである。
光学系で生じる矢型収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、図5(b)〜(e)に示す4種類の収差補正光学素子4dを準備しておく。そして、収差補正光学素子4dを除く、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系で生じる矢型収差の量及び符号を干渉計等により測定する。測定した矢型収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4d1乃至4d4の中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4dを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下の場合は、収差補正光学素子4dを用いた矢型収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下の場合は、矢型収差の符号に応じて、図5(b)に示す収差補正光学素子4d1又は図5(d)に示す収差補正光学素子4d3を使用して矢型収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、矢型収差の符号に応じて、図5(c)に示す収差補正光学素子4d2又は図5(e)に示す収差補正光学素子4d4を使用して矢型収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を約0.01λ以下に低減することができる。本実施形態においては、収差補正光学素子4dの種類を4種類としたが、矢型収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4dの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
なお、図5及び図9では、光学系で生じる矢型収差の方向がX方向、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向である場合について説明したが、光学系で生じる矢型収差の方向がX方向、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向とは異なる場合についても、その方向と、収差補正光学素子4dで補正できる矢型収差の方向が略一致するように、収差補正光学素子4dを入射光の光軸に垂直な面内で回転させて設置すれば、矢型収差の補正を行うことができる。
このように、本実施形態においては、収差補正光学素子4を複数種類用意しておいて、光ヘッド装置21における収差補正光学素子4を除く光学系の収差を測定し、この収差の種類、符号、補正量に応じていずれかの収差補正光学素子4を選択して光ヘッド装置21に組み込むことにより、光ヘッド装置21の光学系の収差を簡単に低減することができる。
また、本実施形態においては、収差補正光学素子4a、4b、4c、4dのうちいずれか一つの収差補正光学素子を使用して、光学系において生じるコマ収差、球面収差、非点収差、矢型収差のうちいずれか一つの収差を補正する場合について説明したが、いずれか二つ以上の収差補正光学素子を使用して、いずれか二つ以上の収差を補正することも可能である。例えば、光ヘッド装置21の半導体レーザ1から対物レンズ6までの光の経路において発生する収差が、コマ収差、球面収差、非点収差、矢型収差のうち2種類の収差を含んでいる場合は、各収差を補正する2枚の収差補正光学素子を組み込んでもよい。又は、前記光の経路において発生する収差が、コマ収差、球面収差、非点収差、矢型収差のうち3種類の収差を含んでいる場合は、各収差を補正する3枚の収差補正光学素子を組み込んでもよい。又は、前記光の経路において発生する収差が、コマ収差、球面収差、非点収差、矢型収差の全てを含んでいる場合は、各収差を補正する4枚の収差補正光学素子を組み込んでもよい。
更に、図2乃至図5に示す収差補正光学素子4a、4b、4c、4dにおける階段状のパタンのレベル数は3であるが、これは2以上であればいくつでも構わない。レベル数が多いほど、残留RMS波面収差を小さくすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10(a)乃至(e)は本実施形態における収差補正光学素子4eを示す図であり、図11(a)乃至(e)は本実施形態における収差補正光学素子4fを示す図であり、図12(a)乃至(e)は本実施形態における収差補正光学素子4gを示す図であり、図13(a)乃至(e)は本実施形態における収差補正光学素子4hを示す図である。各図の(a)は平面図であり、(b)乃至(e)は断面図である。本実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、収差補正光学素子4として図10乃至図13に示す収差補正光学素子4e乃至4hから選択された収差補正光学素子を使用する点が異なっている。本実施形態における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
以下、本実施形態における収差補正光学素子4について説明する。光学系で生じるコマ収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図10に示す収差補正光学素子4eを用いることもできる。図10(a)は収差補正光学素子4eを示す平面図である。収差補正光学素子4eは、単一の領域から構成されており、図2(a)乃至(e)に示す収差補正光学素子4aの表面における段差をなくし、表面全体を単一の曲面で形成したものである。なお、図中の二点鎖線で描かれた円は対物レンズ6の有効領域に相当する。図10(b)乃至(e)は、コマ収差の補正量及び/又は符号が異なる4種類の収差補正光学素子4eを示す図10(a)に示すE−E’線による断面図である。図10(b)乃至(e)に示すように、中心を通るX方向に平行な断面における素子の輪郭は曲線状である。このような断面を有する収差補正光学素子4eは、ガラス又はプラスチックの成形により作製することができる。
図10(b)に示す収差補正光学素子4e1においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが一旦高くなったのち低くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが一旦低くなったのち高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図10(c)に示す収差補正光学素子4e2においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが一旦高くなったのち低くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが一旦低くなったのち高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。図10(d)に示す収差補正光学素子4e3においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが一旦低くなったのち高くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが一旦高くなったのち低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図10(e)に示す収差補正光学素子4e4においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが一旦低くなったのち高くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが一旦高くなったのち低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。一方、収差補正光学素子4eの中心を通るY方向の断面は平坦である。
収差補正光学素子4eを用いて光学系で生じるコマ収差を補正する場合における収差補正光学素子4eの中心を通るX方向の断面における波面収差は、図6に示すものと同じである。図6(a)に示すコマ収差を補正する場合、図10(b)に示す収差補正光学素子4e1を用いる。図10(b)における高さHは、収差補正光学素子4e1を用いて図6(a)に示すコマ収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図6(b)に示すコマ収差を補正する場合、図10(c)に示す収差補正光学素子4e2を用いる。図10(c)における高さ2Hは、収差補正光学素子4e2を用いて図6(b)に示すコマ収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図6(c)に示すコマ収差を補正する場合、図10(d)に示す収差補正光学素子4e3を用いる。図10(d)における高さHは、収差補正光学素子4e3を用いて図6(c)に示すコマ収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図6(d)に示すコマ収差を補正する場合、図10(e)に示す収差補正光学素子4e4を用いる。図10(e)における高さ2Hは、収差補正光学素子4e4を用いて図6(d)に示すコマ収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。
一方、収差補正光学素子4eの中心を通るY方向の断面における波面収差は0λである。
光学系で生じるコマ収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、図10(b)乃至(e)に示す4種類の収差補正光学素子4eを準備しておく。そして、収差補正光学素子4eを除く、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系で生じるコマ収差の量及び符号を干渉計等により測定する。その後、測定したコマ収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4eの中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4eを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下の場合は、収差補正光学素子4eを用いたコマ収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下の場合は、コマ収差の符号に応じて、図10(b)に示す収差補正光学素子4e1又は図10(d)に示す収差補正光学素子4e3を用いたコマ収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、コマ収差の符号に応じて、図10(c)に示す収差補正光学素子4e2又は図10(e)に示す収差補正光学素子4e4を用いたコマ収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。ここでは、収差補正光学素子4eの種類を4種類としたが、コマ収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4eの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
なお、図10では、光学系で生じるコマ収差の方向がX方向である場合について説明したが、光学系で生じるコマ収差の方向がX方向とは異なる場合についても、その方向と、収差補正光学素子4eで補正できるコマ収差の方向が略一致するように、収差補正光学素子4eを入射光の光軸に垂直な面内で回転させて設置すれば、コマ収差の補正を行うことができる。
光学系で生じる球面収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図11に示す収差補正光学素子4fを用いることもできる。図11(a)は収差補正光学素子4fの平面図である。収差補正光学素子4fは、単一の領域から構成されており、図3(a)乃至(e)に示す収差補正光学素子4bの表面における段差をなくし、全体を単一の曲面で形成したものである。なお、図中の二点鎖線で描かれた円は対物レンズ6の有効領域に相当する。図11(b)乃至(e)は、球面収差の補正量及び/又は符号が異なる4種類の収差補正光学素子4fを示す図11(a)に示すF−F’線による断面図である。図11(b)乃至(e)に示すように、中心を通るX方向に平行な断面における素子の輪郭は曲線状である。このような断面を有する収差補正光学素子4fは、ガラス又はプラスチックの成形により作製することができる。
図11(b)に示す収差補正光学素子4f1においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが一旦高くなったのち低くなる。最高点の高さは最低点の高さに比べて2Hだけ高い。図11(c)に示す収差補正光学素子4f2においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが一旦高くなったのち低くなる。最高点の高さは最低点の高さに比べて4Hだけ高い。図11(d)に示す収差補正光学素子4f3においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが一旦低くなったのち高くなる。最高点の高さは最低点の高さに比べて2Hだけ高い。図11(e)に示す収差補正光学素子4f4においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが一旦低くなったのち高くなる。最高点の高さは最低点の高さに比べて4Hだけ高い。一方、収差補正光学素子4fの中心を通るY方向の断面は、中心を通るX方向の断面と同じである。
収差補正光学素子4fを用いて光学系で生じる球面収差を補正する場合における収差補正光学素子4fの中心を通るX方向の断面における波面収差は、図7に示すものと同じである。即ち、図7(a)に示す球面収差を補正する場合、図11(b)に示す収差補正光学素子4f1を用いる。図11(b)における高さHは、収差補正光学素子4f1を用いて図7(a)に示す球面収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図7(b)に示す球面収差を補正する場合、図11(c)に示す収差補正光学素子4f2を用いる。図11(c)における高さ2Hは、収差補正光学素子4f2を用いて図7(b)に示す球面収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図7(c)に示す球面収差を補正する場合、図11(d)に示す収差補正光学素子4f3を用いる。図11(d)における高さHは、収差補正光学素子4f3を用いて図7(c)に示す球面収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図7(d)に示す球面収差を補正する場合、図11(e)に示す収差補正光学素子4f4を用いる。図11(e)における高さ2Hは、収差補正光学素子4f4を用いて図7(d)に示す球面収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。
一方、収差補正光学素子4fの中心を通るY方向の断面における波面収差は、中心を通るX方向の断面における波面収差と同じである。
光学系で生じる球面収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、図11(b)〜(e)に示す4種類の収差補正光学素子4fを準備しておく。そして、収差補正光学素子4fを除く、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系で生じる球面収差の量及び符号を干渉計等により測定する。測定した球面収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4fの中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4fを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下の場合は、収差補正光学素子4fを用いた球面収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下の場合は、球面収差の符号に応じて、図11(b)に示す収差補正光学素子4f1又は図11(d)に示す収差補正光学素子4f3を用いた球面収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、球面収差の符号に応じて、図11(c)に示す収差補正光学素子4f2又は図11(e)に示す収差補正光学素子4f4を用いた球面収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。ここでは、収差補正光学素子4fの種類を4種類としたが、球面収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4fの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
光学系で生じる非点収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図12に示す収差補正光学素子4gを用いることもできる。図12(a)は収差補正光学素子4gの平面図である。収差補正光学素子4gは、単一の領域から構成されており、図4(a)乃至(e)に示す収差補正光学素子4cの表面における段差をなくし、全体を単一の曲面で形成したものである。なお、図中の二点鎖線で描かれた円は対物レンズ6の有効領域に相当する。図12(b)乃至(e)は、非点収差の補正量及び/又は符号が異なる4種類の収差補正光学素子4gにおける図12(a)に示すG−G’線による断面図である。図12(b)乃至(e)に示すように、中心を通るX方向に平行な断面における素子の輪郭は曲線状である。このような断面を有する収差補正光学素子4gは、ガラス又はプラスチックの成形により作製することができる。
図12(b)に示す収差補正光学素子4g1においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高い。図12(c)に示す収差補正光学素子4g2においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高い。図12(d)に示す収差補正光学素子4g3においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが低くなる。最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図12(e)に示す収差補正光学素子4g4においては、中心からX軸の正及び負の側へ向かって高さが低くなる。最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。
一方、収差補正光学素子4gの中心を通るY方向に平行な断面における素子の輪郭は、X方向に平行な断面と同じく曲線状である。図12(b)に示す収差補正光学素子4g1においては、中心からY軸の正及び負の側へ向かって高さが低くなる。最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図12(c)に示す収差補正光学素子4g2においては、中心からY軸の正及び負の側へ向かって高さが低くなる。最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。図12(d)に示す収差補正光学素子4g3においては、中心からY軸の正及び負の側へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高い。図12(e)に示す収差補正光学素子4g4においては、中心からY軸の正及び負の側へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高い。
収差補正光学素子4gを用いて光学系で生じる非点収差を補正する場合における収差補正光学素子4gの中心を通るX方向の断面における波面収差は、図8に示すものと同じである。即ち、図8(a)に示す非点収差を補正する場合、図12(b)に示す収差補正光学素子4g1を用いる。図12(b)における高さHは、収差補正光学素子4g1を用いて図8(a)に示す非点収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図8(b)に示す非点収差を補正する場合、図12(c)に示す収差補正光学素子4g2を用いる。図12(c)における高さ2Hは、収差補正光学素子4g2を用いて図8(b)に示す非点収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図8(c)に示す非点収差を補正する場合、図12(d)に示す収差補正光学素子4g3を用いる。図12(d)における高さHは、収差補正光学素子4g3を用いて図8(c)に示す非点収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図8(d)に示す非点収差を補正する場合、図12(e)に示す収差補正光学素子4g4を用いる。図12(e)における高さ2Hは、収差補正光学素子4g4を用いて図8(d)に示す非点収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。
一方、収差補正光学素子4gの中心を通るY方向の断面における波面収差は、中心を通るX方向の断面における波面収差と符号が逆である。
光学系で生じる非点収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、図12(b)乃至(e)に示す4種類の収差補正光学素子4gを準備しておく。そして、収差補正光学素子4gを除く、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系で生じる非点収差の量及び符号を干渉計等により測定する。次に、測定した非点収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4gの中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4gを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下の場合は、収差補正光学素子4gを用いた非点収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下の場合は、非点収差の符号に応じて、図12(b)に示す収差補正光学素子4g1又は図12(d)に示す収差補正光学素子4g3を用いた非点収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、非点収差の符号に応じて、図12(c)に示す収差補正光学素子4g2又は図12(e)に示す収差補正光学素子4g4を用いた非点収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。ここでは、収差補正光学素子4gの種類を4種類としたが、非点収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4gの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
なお、図12では、光学系で生じる非点収差の方向がX−Y方向である場合について説明したが、光学系で生じる非点収差の方向がX−Y方向とは異なる場合についても、その方向と、収差補正光学素子4gで補正できる非点収差の方向が略一致するように、収差補正光学素子4gを入射光の光軸に垂直な面内で回転させて設置すれば、非点収差の補正を行うことができる。
光学系で生じる矢型収差を補正する場合、収差補正光学素子4として、図13に示す収差補正光学素子4hを用いることもできる。図13(a)は収差補正光学素子4hの平面図である。収差補正光学素子4hは、単一の領域から構成されており、図5(a)乃至(e)に示す収差補正光学素子4dの表面における段差をなくし、全体を単一の曲面で形成したものである。なお、図中の二点鎖線で描かれた円は対物レンズ6の有効領域に相当する。図13(b)乃至(e)は、矢型収差の補正量及び/又は符号が異なる4種類の収差補正光学素子4hにおける図13(a)に示すH−H’線による断面図である。図13(b)乃至(e)に示すように、中心を通るX方向に平行な断面における素子の輪郭は曲線状である。このような断面を有する収差補正光学素子4hは、ガラス又はプラスチックの成形により作製することができる。
図13(b)に示す収差補正光学素子4h1においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが低くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図13(c)に示す収差補正光学素子4h2においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが低くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。図13(d)に示す収差補正光学素子4h3においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが高くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図13(e)に示す収差補正光学素子4h4においては、中心からX軸の負の側へ向かって高さが高くなり、中心からX軸の正の側へ向かって高さが低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。
一方、収差補正光学素子4hの中心を通り、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における素子の輪郭は、X方向に平行な断面と同じく曲線状である。図13(b)に示す収差補正光学素子4h1においては、中心から、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなり、中心から、−X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図13(c)に示す収差補正光学素子4h2においては、中心から、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなり、中心から、−X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。図13(d)に示す収差補正光学素子4h3においては、中心から、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなり、中心から、−X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図13(e)に示す収差補正光学素子4h4においては、中心から、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなり、中心から、−X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。
また、収差補正光学素子4hの中心を通り、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における素子の輪郭は、X方向に平行な断面と同じく曲線状である。図13(b)に示す収差補正光学素子4h1においては、中心から、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなり、中心から、−X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図13(c)に示す収差補正光学素子4h2においては、中心から、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなり、中心から、−X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。図13(d)に示す収差補正光学素子4h3においては、中心から、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなり、中心から、−X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べてHだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べてHだけ低い。図13(e)に示す収差補正光学素子4h4においては、中心から、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが高くなり、中心から、−X方向から−Y方向へ60°傾いた方向へ向かって高さが低くなる。最高点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ高く、最低点の高さは中心の高さに比べて2Hだけ低い。
収差補正光学素子4hを用いて光学系で生じる矢型収差を補正する場合における収差補正光学素子4hの中心を通るX方向の断面における波面収差は、図9に示すものと同じである。即ち、図9(a)に示す矢型収差を補正する場合、図13(b)に示す収差補正光学素子4h1を用いる。図13(b)における高さHは、収差補正光学素子4h1を用いて図9(a)に示す矢型収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図9(b)に示す矢型収差を補正する場合、図13(c)に示す収差補正光学素子4h2を用いる。図13(c)における高さ2Hは、収差補正光学素子4h2を用いて図9(b)に示す矢型収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図9(c)に示す矢型収差を補正する場合、図13(d)に示す収差補正光学素子4h3を用いる。図13(d)における高さHは、収差補正光学素子4h3を用いて図9(c)に示す矢型収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。図9(d)に示す矢型収差を補正する場合、図13(e)に示す収差補正光学素子4h4を用いる。図13(e)における高さ2Hは、収差補正光学素子4h4を用いて図9(d)に示す矢型収差を完全に補正できるように、即ち、残留RMS波面収差が0λになるように設計されている。
一方、収差補正光学素子4hの中心を通り、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における波面収差は、中心を通るX方向に平行な断面における波面収差と同じである。また、収差補正光学素子4hの中心を通り、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向に平行な断面における波面収差は、中心を通るX方向に平行な断面における波面収差と同じである。
光学系で生じる矢型収差がRMS波面収差として最大0.05λであるとする。このとき、図13(b)乃至(e)に示す4種類の収差補正光学素子4hを準備しておく。そして、収差補正光学素子4hを除く、半導体レーザ1から対物レンズ6までの光学系で生じる矢型収差の量及び符号を干渉計等により測定する。次に、測定した矢型収差の量及び符号に応じて、4種類の収差補正光学素子4hの中から、補正後の残留RMS波面収差が最も小さくなるように、必要に応じて1種類の収差補正光学素子4hを選択し、光学系中に挿入する。具体的には、RMS波面収差が0.01λ以下の場合は、収差補正光学素子4hを用いた矢型収差の補正を行わない。RMS波面収差が0.01λより大きく0.03λ以下の場合は、矢型収差の符号に応じて、図13(b)に示す収差補正光学素子4h1又は図13(d)に示す収差補正光学素子4h3を用いた矢型収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。RMS波面収差が0.03λより大きく0.05λ以下の場合は、矢型収差の符号に応じて、図13(c)に示す収差補正光学素子4h2又は図13(e)に示す収差補正光学素子4h4を用いた矢型収差の補正を行う。これにより、補正後の残留RMS波面収差を0.01λ以下に低減することができる。ここでは、収差補正光学素子4hの種類を4種類としたが、矢型収差の補正量及び/又は符号が異なる収差補正光学素子4hの種類が多いほど、補正後の残留RMS波面収差を小さくすることができる。
なお、図13では、光学系で生じる矢型収差の方向がX方向、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向である場合について説明したが、光学系で生じる矢型収差の方向がX方向、+X方向から−Y方向へ60°傾いた方向、+X方向から+Y方向へ60°傾いた方向とは異なる場合についても、その方向と、収差補正光学素子4hで補正できる矢型収差の方向が略一致するように、収差補正光学素子4hを入射光の光軸に垂直な面内で回転させて設置すれば、矢型収差の補正を行うことができる。
本実施形態においては、収差補正光学素子4e、4f、4g、4hのうちいずれか一つの収差補正光学素子を用い、光学系で生じるコマ収差、球面収差、非点収差、矢型収差のうちいずれか一つの収差を補正する場合について説明したが、いずれか二つ以上の収差補正光学素子を用い、いずれか二つ以上の収差を補正することも可能である。
本実施形態においては、前述の第1の実施形態と比較して、収差補正光学素子の表面を曲面により構成し、光学系の収差を完全に補正できるように、収差補正光学素子を設計しているため、より精度良く光学系の収差を補正することができる。但し、収差補正光学素子の設計及び製造は、前述の第1の実施形態と比較してやや困難になる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
なお、上述の第1及び第2の実施形態においては、ディスク7に対して記録及び再生の双方を行う光学式情報記録再生装置について説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、ディスク7に対して再生のみを行う再生専用装置であってもよい。この場合、半導体レーザ1は、半導体レーザ駆動回路13により記録信号に基づいて駆動されるのではなく、常に一定の出力で駆動される。
また、上述の第1及び第2の実施形態に係る光学式情報記録再生装置はDVDドライブに限定されず、再生専用装置であってもよく、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable:書込可能DVD)ドライブ、DVD−ROM(Digital Versatile Disc - Read Only Memory:読出専用DVD)ドライブ、又はDVD−RW(Digital Versatile Disk ReWritable)等であってもよく、CD−R(Compact Disc Recordable:書込可能コンパクトディスク)又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory:読出専用コンパクトディスク)等であってもよい。