JP4239615B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高圧放電ランプはコンパクトな形状で高ワットの高光束を得ることができ、点光源に近く、配光制御が容易であるので、白熱ランプやハロゲンランプの代替として最近使用されるようになってきた。
【0003】
この高圧放電ランプを点灯させるために直流電圧を高周波でスイッチングし、インダクタンスやコンデンサを介して高圧放電ランプを矩形波出力で動作させる放電灯点灯装置がある。高圧放電ランプを高周波電力で点灯させると、音響的共鳴現象によってアーク放電が不安定になってチラツキが発生したり、立ち消えを起こすことがあるが、矩形波による点灯はアーク放電を安定させ、小型化を図ることができる。
【0004】
また、高圧放電ランプを始動させるために、数kV〜数十kVの高圧パルスが必要であり、特に瞬時に点灯させるためには20kV程度のパルス電圧が必要になる。
【0005】
図17は従来例1の放電灯点灯装置の回路構成を示し、直流電源1と、直流電源1の出力を交流に変換するDC/ACインバータ10と、DC/ACインバータ10の出力端間に接続されたインダクタL10とコンデンサC10の直列回路と、コンデンサC10に並列接続されたインダクタL11と高圧放電ランプ5(以後ランプ5と称す)の直列回路とから構成される。
【0006】
上記回路において、ランプ5の始動時はインダクタL10とコンデンサC10の共振動作によってコンデンサC10の両端電圧が増加し、始動に必要な電圧をランプ5に印加して、点灯するとインダクタL10,L11,コンデンサC10によってランプ5を流れるランプ電流I11を限流しつつ、高周波のリプル電流を低減させて、安定に点灯させることができる。
【0007】
図18はDC/ACインバータ10の出力電圧V10の波形を示し、無負荷モードで動作する始動時の期間T1において、出力電圧V10はインダクタL10とコンデンサC10との共振周波数に近い周波数で交互に正負に交番する波形であり、この時のランプ5の両端電圧V11は図19に示すように、ランプ5の絶縁破壊と共に振幅が小さくなっていく。
【0008】
そして点灯モードで動作する点灯時の出力電圧V10は、正電圧をチョッピングする期間Taと負電圧をチョッピングする期間Tbとを交互に繰り返す波形であり、この時のランプ電流I11は図20に示すように、インダクタL10及びコンデンサC10による高周波リプルの低減と、インダクタL11によるローパスフィルタ効果とによって、正の電流値をとる期間Taと、負の電流値をとる期間Tbとを繰り返す矩形波電流になる。
【0009】
次に従来例2の放電灯点灯装置の回路構成を図21に示し、従来例1と異なる点は、専用の始動回路を設けた点で、従来例1のインダクタL11の代わりにパルストランスPT9の2次巻線PT92を挿入し、パルストランスPT9の1次巻線PT91はパルス電圧を出力する始動回路11に接続されている。そして、始動時には始動回路11が1次巻線PT91にパルス電圧を印加し、2次巻線PT92に誘起する高圧パルスをランプ5に印加することで、ランプ5を始動させる。この従来例2では、DC/ACインバータ10の出力電圧V10の波形には図18の無負荷モードの期間T1はなく、点灯モードの期間Ta,Tbの繰り返しとなる。
(例えば、特許文献1参照。)
【0010】
【特許文献1】
特開平10−125482号公報(3頁左欄第50行〜4頁左欄第22行、5頁左欄第13行〜6頁左欄第8行、図1、図4)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例1では、始動電圧に数十kVの高電圧が必要な場合は、コンデンサC10には高耐圧のものが必要であり、さらに安定時にはフィルタとしての機能を果たすためにその静電容量も大きくなる。したがって、コンデンサC10は高耐圧、高静電容量となり大型化してしまう。
【0012】
また上記従来例2では、コンデンサC10には従来例1と同様に静電容量の大きいものが必要であるが、高耐圧のものは必要なく、従来例1と比べて小型となる。しかし、専用の始動回路11が必要となる。この始動回路11には放電ギャップやサイリスタ等の専用のスイッチング素子S11が必要であり、その周辺回路は複雑となり、さらに従来例1ではDC/ACインバータ10から出力される配線は2本だが、従来例2では3本となり、回路構成が複雑となって全体の構成は取り扱いにくいものとなり、部品点数、及びコストが増大してしまう。
【0013】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型、安価、構成が簡単で信頼性の高い放電灯点灯装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、直流電源と、直流電源の電源電圧を所望の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータの直流出力を平滑する平滑コンデンサと、平滑コンデンサが平滑した直流電圧を交流電圧に変換するDC/ACインバータと、少なくとも1つ以上のコンデンサ及びインダクタから成る共振回路を具備してDC/ACインバータの出力を放電灯に供給する始動回路とを備え、放電灯の始動時には、DC/ACインバータが高周波電圧を出力することで始動回路は共振回路の共振動作により発生する高電圧を放電灯に印加し、放電灯の点灯時には、DC/ACインバータは始動時の周波数よりも低い周波数の電圧を始動回路を介して放電灯に印加し、始動回路は、DC/ACインバータの一方の出力端に1次巻線と2次巻線との各一端を接続した第1のパルストランスと、第1のパルストランスの1次巻線の他端に一端を接続した第1のコンデンサと、DC/ACインバータの他方の出力端に一端を接続したインダクタと、インダクタの他端に1次巻線と2次巻線との各一端を接続し、1次巻線の他端を第1のコンデンサの他端に接続した第2のパルストランスと、第1のパルストランスの1次巻線に並列接続した第2のコンデンサと、第2のパルストランスの1次巻線に並列接続した第3のコンデンサとを備え、放電灯は、第1のパルストランスの2次巻線の他端と第2のパルストランスの2次巻線の他端との間に接続することを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1において、DC/ACインバータは、放電灯の始動時に、始動回路の共振回路が共振動作を行う高周波電圧を出力する期間と、直流電圧を出力する期間とを交互に繰り返すことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1において、DC/ACインバータは、放電灯の始動時に、始動回路の共振回路が共振動作を行う高周波電圧を出力する期間と、ゼロ電圧を出力する期間とを交互に繰り返すことを特徴とする
【0017】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、DC/DCコンバータは、昇圧チョッパ回路で構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、DC/DCコンバータは、フライバック型の昇降圧コンバータ回路で構成されることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、DC/DCコンバータは、降圧チョッパ回路で構成されることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかにおいて、DC/ACインバータは、スイッチング素子を平滑コンデンサの両端間にフルブリッジ接続して構成されることを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1乃至6いずれかにおいて、DC/ACインバータは、スイッチング素子を平滑コンデンサの両端間にハーフブリッジ接続して構成されることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、放電灯を装着すると共に、始動回路にリード線を介して接続されるソケットを備え、始動回路とソケットとは同一のブロック内に構成されることを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、放電灯を装着するソケットと始動回路とを一体に形成したことを特徴とする。
【0024】
請求項11の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、始動回路と放電灯とを一体に形成したことを特徴とする。
【0025】
請求項12の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、DC/DCコンバータと、平滑コンデンサと、DC/ACインバータと、始動回路とを一体に形成したことを特徴とする。
【0026】
請求項13の発明は、請求項1乃至12いずれかにおいて、DC/DCコンバータの出力電圧に基づいて、DC/DCコンバータの直流出力を制御する直流出力制御手段と、DC/ACインバータの交流出力を制御する交流出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
基本構成1
図1は放電灯点灯装置の基本構成1を示すブロック構成図であり、直流電源1と、直流電源1の出力を所望の直流電圧に変換するDC/DCコンバータ2と、DC/DCコンバータ2の出力端間に接続されて、直流出力を平滑する平滑コンデンサC1と、平滑コンデンサC1が平滑した直流電圧を交流電圧に変換するDC/ACインバータ3と、インダクタとコンデンサの共振回路から成る始動回路4と、始動回路4を介してDC/ACインバータ3から交流出力を供給される高圧放電ランプ5(以後ランプ5と称す)とから構成される。
【0029】
図2は図1の各ブロックの具体回路を示したもので、DC/DCコンバータ2は、直流電源1の正出力に一端を接続したインダクタL1と、インダクタL1の他端と正出力端との間に順方向接続したダイオードD1と、インダクタL1とダイオードD1との接続中点と直流電源の負出力との間に接続したスイッチング素子S5とを備えた昇圧チョッパ回路から成り、スイッチング素子S5をオン・オフすることで所望の直流電圧に昇圧して出力する。このような昇圧チョッパ回路は入力100V〜200Vを出力200〜400V程度に昇圧する場合に適している。
【0030】
DC/ACインバータ3は、平滑コンデンサC1の両端間に接続されたスイッチング素子S1,S2の直列回路、及びスイッチング素子S3,S4の直列回路を備えるフルブリッジ構成からなり、スイッチング素子S1,S4とスイッチング素子S2,S3とを交互にオン・オフすることで、スイッチング素子S1,S2の接続中点、及びスイッチング素子S3,S4の接続中点から所望の周波数の交流電圧V1を出力する。
【0031】
始動回路4は、DC/ACインバータ3の一方の出力端に1次巻線PT11と2次巻線PT12との各一端を接続したパルストランスPT1と、1次巻線PT11の他端に一端を接続し、他端をDC/ACインバータ3の他方の出力端に接続したコンデンサC2とを備え、ランプ5は、2次巻線PT12の他端とコンデンサC2の他端との間に接続される。
【0032】
上記本基本構成では、DC/DCコンバータ2とDC/ACインバータ3との間に平滑コンデンサC1を設けて、DC/DCコンバータ2の出力の高周波リプル成分を低減し、ほぼ平滑された直流電圧としている。したがって、DC/ACインバータ3、始動回路4を介してランプ5を流れるランプ電流は高周波のリプルが少なくなり、従来例のコンデンサC10、インダクタL11によるローパスフィルタ機能をランプ5の両端に設ける必要がなくなる。すなわち、本基本構成の始動回路4は始動時に高電圧を発生させる機能のみを有していればよく、その設計自由度は大幅に向上すると共に、部品点数の低減、小型化を図ることができる。
【0033】
また、従来例の図17、図21に示すコンデンサC10は交流電圧で使用されるのに対して、本基本構成の平滑コンデンサC1は直流電圧で使用されるので、電界コンデンサ等の高容量、小型、安価な部品を選定できる。
【0034】
次に図3(a),(b),(c)に示すDC/ACインバータ3の出力電圧V1波形を用いて、DC/ACインバータ3及び始動回路4の動作について説明する。まず図3(a)においては、始動開始してからの期間Thは無負荷モードであり、スイッチング素子S1,S4とスイッチング素子S2,S3とが数十kHz〜数百kHzの高周波で交互にオン・オフする。ここで始動回路4のパルストランスPT1の1次巻線PT11と2次巻線PT12とは各々インダクタンス素子とみなすことができ、1次巻線PT1とコンデンサC2との直列回路は共振回路を構成している。そして、DC/ACインバータ3のスイッチング周波数は1次巻線PT11とコンデンサC2との直列回路の共振周波数近傍に設定されており、1次巻線PT11とコンデンサC2との直列回路は共振動作を行い、1次巻線PT11には高い共振電圧が発生して、2次巻線PT12の両端に高電圧が誘起され、ランプ5に始動のための高電圧が印加される。
【0035】
期間Thに続く期間Tlはランプ5が始動した後の点灯モードであり、スイッチング素子S1,S4とスイッチング素子S2,S3とが百Hz〜数百Hzの低周波で交互にオン・オフすることで、低周波の矩形波電圧を出力して、2次巻線PT12を介してランプ5を点灯させる。ここでコンデンサC2は静電容量が小さく、DC/ACインバータ3の低周波出力に対して高インピーダンスとなり、期間Tlでは共振動作を行わない。
【0036】
次に図3(b)は無負荷モードの別の動作を示しており、期間Thの動作は図3(a)と同様である。期間Thに続く期間Tdcにおいては、スイッチング素子S2,S3がオンし、スイッチング素子S1,S4がオフしている状態で、直流電圧をランプ5に印加しており、この期間Thと期間Tdcとを繰り返して無負荷モードの動作としてもよい。この動作では期間Thでランプ5が放電し、その後、期間TdcでコンデンサC2の両端電圧をランプ5に印加して始動しやすくしたものである。なお、期間Tdcにはスイッチング素子S1,S4をオンし、スイッチング素子S2,S3をオフさせてもよい。
【0037】
さらに図3(c)も無負荷モードにおいての別の動作をしている。期間Thの動作は図3(a)と同様であるが、期間Thに続く期間Toffにおいては、スイッチング素子S1〜S4が全てオフしている状態で出力電圧V1はゼロとなり、この期間Thと期間Toffとを繰り返すいわゆる間欠発振を無負荷モードの動作とする。そしてランプ5が放電を開始すると期間Tlの動作に移行する。
【0038】
上記図3(a)〜(c)のように、DC/ACインバータ3が、期間Thでは1次巻線PT11とコンデンサC2との直列回路の共振周波数近傍で動作することでランプ5に高電圧を印加して始動させることができ、期間Tlでは百Hz〜数百Hzで動作することでランプ5を矩形波点灯させることができる。
【0039】
基本構成2
基本構成は図4に示すように、基本構成1のDC/DCコンバータ2の構成を、フライバックトランスT1を備えたフライバック方式の昇降圧コンバータ回路としたものである。このDC/DCコンバータ2は、直流電源1の出力端間に接続したフライバックトランスT1の1次巻線T11とスイッチング素子S6との直列回路と、フライバックトランスT1の2次巻線T12の一端から順方向に接続したダイオードD1とを備え、2次巻線T12の他端は直流電源1の負出力に接続されて、スイッチング素子S6をオン・オフすることで2次巻線T12からダイオードD1を介して所望の直流電圧が出力される。このようなフライバックトランスT1を備えたフライバック方式の回路は、直流電源1の電圧が12V、または24V、または42V等の低い電圧で、DC/DCコンバータ2の出力電圧が高い場合(例えばコンデンサC1の両端電圧が400V程度)に適している。
【0040】
基本構成3
基本構成は、基本構成1のDC/DCコンバータ2の構成を降圧チョッパ回路としたもので、図5に、直流電源として、周波数50Hzまたは60Hzの商用電源ACを整流器DBで全波整流し、この整流電圧をコンデンサC3で完全平滑したフラットな直流電圧を用いた例を示す。このDC/DCコンバータ2は、コンデンサC3の正電圧側に接続したスイッチング素子S7とインダクタL2との直列回路と、コンデンサC3の負電圧側からスイッチング素子S7とインダクタL2との接続中点に順方向に接続されたダイオードD2とを備え、平滑コンデンサC1の負電圧側はコンデンサC3の負電圧側に接続されて、スイッチング素子S7をオン・オフすることで所望の直流電圧に降圧して出力する。このような降圧チョッパ回路は、例えば200Vの商用電源ACを整流平滑した約300Vの直流電圧を100Vに降圧して出力する。
【0041】
基本構成4
基本構成は、基本構成1のDC/ACインバータ3の構成をハーフブリッジ構成としたもので、図6にその放電灯点灯装置の構成の一部を示す。DC/ACインバータ3は、平滑コンデンサC1の両端間に接続されたスイッチング素子S5,S6の直列回路、及びコンデンサC4a,C4bの直列回路を備え、コンデンサC4a,C4bの接続中点は平滑コンデンサC1の両端電圧を分圧した電圧となる。そして、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6とを交互にオン・オフすることで、スイッチング素子S5,S6の接続中点、及びコンデンサC4a,C4bの接続中点から所望の周波数の交流電圧V1を出力し、そのピーク電圧は平滑コンデンサC1の両端電圧の1/2となる。
【0042】
基本構成5
図7に示す構成は基本構成1乃至4いずれかの放電灯点灯装置を基本構成として、自動車用ヘッドランプに使用されている高圧放電灯の一種であるメタルハライドランプ5aを用い、そのメタルハライドランプ5aを口金に装着するソケットSC1を備えており、始動回路4はソケットSC1を介してメタルハライドランプ5aに接続している。
【0043】
そして、DC/DCコンバータ2と平滑コンデンサC1とDC/ACインバータ3とを1つに組み合わせたブロックINV1と、始動回路4にソケットSC1をリード線で接続して1つに組み合わせたブロックIGN1とを互いに分離して構成し、ブロックIGN1をメタルハライドランプ5aに近いところに配置して、ブロックINV1を直流電源1に近いところに配置し、DC/ACインバータ3と始動回路4との間をリード線で接続する。したがって、高電圧を発生するブロックIGN1がメタルハライドランプ5aに近いところにあるので、高圧パルスの減衰を少なくすることができる。
【0044】
次に図8に示すように、図7の始動回路4とソケットSC1とを一体化してブロックIGS1とすれば、図7のように始動回路4とソケットSC1との間をリード線で接続しなくてもよく、リード線の分布容量等による高周波、高圧のパルスの減衰を大幅に抑えることができる。
【0045】
また図9に示すように、始動回路4とメタルハライドランプ5aとを一体化してブロックISL1とすれば、ブロックISL1にはメタルハライドランプ5aを嵌合によって装着する口金は必要なく、始動回路4を含めたコンパクトなランプを構成できる。
【0046】
さらには図10に示すように、図8のブロックINV1とブロックIGS1とを一体化してブロックBaとすれば、各ブロック間を接続するリード線が不要となり、組み立てが非常に簡素化される。
【0047】
本発明においては基本構成1に示したように始動回路4の小型化、簡素化を図ることができるので、上記図7〜図10のように始動回路4を他の回路やブロックと一体化することは容易に実現できる。
【0048】
基本構成6
図11は図1の詳細な構成を示しており、DC/DCコンバータ2は図4のフライバック方式の昇降圧コンバータ回路で構成され、スイッチング素子としてFETQ5(図4のスイッチング素子S6に対応)を備え、出力端間には出力電圧を検出する出力電圧検出部6を備える。
【0049】
DC/ACインバータ3は図1と同様にフルブリッジ構成であり、スイッチング素子としてFETQ1〜Q4(図1のスイッチング素子S1〜S4に対応)を備える。
【0050】
始動回路4は図13にも示すように、DC/ACインバータ3の一方の出力端に1次巻線PT11と2次巻線PT12との各一端を接続したパルストランスPT1と、1次巻線PT11の他端に一端を接続したコンデンサC2と、コンデンサC2の他端とDC/ACインバータ3の他方の出力端との間に接続したインダクタL3と、1次巻線PT11に並列接続したコンデンサC3とを備え、ランプ5は、2次巻線PT12の他端とコンデンサC2の他端との間に接続される。
【0051】
基本構成では、FETQ1〜Q4,Q5のオン・オフを制御するための制御部7を備えており、制御部7は、出力電圧検出部6が出力する検出信号を受けてFETQ5のスイッチングをパルス幅制御するPWM信号を出力するPWM制御部71と、PWM制御部71のPWM信号を受けてFETQ5をオン・オフ駆動するドライバ部72と、出力電圧検出部6が出力する検出信号のレベル(DC/DCコンバータ2の出力電圧のレベル)から無負荷モード/点灯モードの動作モードを切り替えるモード信号を出力するモード切替部73と、モード切替部73からモード信号を受けて無負荷モードであれば高周波数の発振信号を出力し、点灯モードであれば低周波数の発振信号を出力する発振部74と、発振部74の発振信号を分周した分周信号を出力する分周回路75と、分周回路75から分周信号を受けてFETQ1〜Q4をオン・オフ駆動するドライバ部76とから構成される。
【0052】
モード切替部73は、DC/DCコンバータ2の出力電圧が高いときは無負荷モード信号を出力し、これは図3(a)の期間Thに相当する。そしてランプ5が始動して、DC/DCコンバータ2の出力電圧が低下すると点灯モード信号を出力し、これは図3(a)の期間Tlに相当する。
【0053】
次に本基本構成の始動回路4の動作について説明する。まず無負荷モード時にDC/ACインバータ3は数十kHz〜数百kHzの高周波電圧を出力する。ここでインダクタL3,コンデンサC2,C3は、高周波電圧の周波数が共振周波数近傍となるように各定数が設定されており、コンデンサC3の両端、すなわち1次巻線PT11の両端には共振電圧Vc3が発生し、2次巻線PT12の両端に高電圧Vpが誘起される。図12にはこの共振電圧Vc3、高電圧Vpの各波形を示しており、このときの各定数は、インダクタL3:100μH,コンデンサC2:100nF,コンデンサC3:100nFである。また、コンデンサC2,C3の直列回路はランプ5に対して実質的に並列接続されており、ランプ5を始動させるための共振回路の一部であると共に、ランプ5から発生するノイズを大幅に低減させることができる。
【0054】
そして、上記無負荷モードでランプ5が始動すると、電圧Vc3が低下し、点灯モードへ移行し、FETQ1〜Q4のスイッチング周波数は数百Hzとなり、出力電圧は低周波となる。この安定点灯時にランプ5を流れる電流は、平滑コンデンサC1の平滑動作によってDC/DCコンバータ2の出力に含まれる高周波のリプル電流は殆ど除去されているので、上記コンデンサC2,C3のフィルタ機能は必要なく、始動時の共振動作のみを考慮して部品定数を設定すればよい。しかも静電容量が小さいので小型の部品を使用することができる。
【0055】
実施形態1
図14〜図16は、基本構成6の始動回路4(図13参照)の他の構成を示しており、図14の始動回路4は、インダクタL3を削除して、コンデンサC2にインダクタL4を直列接続したもので、このインダクタL4はランプ5に対して実質的に並列接続しているので、点灯時は電流が殆ど流れず、無負荷時の共振動作のみに有効に作用する。
【0056】
図15の始動回路は、図14の始動回路のパルストランスPT1が2組の2次巻線PT12a,PT12bを具備しており、ランプ5の一端に2次巻線PT12a、他端に2次巻線PT12bが各々直列に接続されており、1次巻線PT11に共振電圧が発生すると、2つの2次巻線PT12a,PT12bに高電圧が誘起され、ランプ5に数十kVの高電圧が印加される。この場合、ランプ5から発生するノイズは、ランプ5の両端に接続した2次巻線PT12a,PT12bの各インダクタンス成分がフィルタとして作用するので、始動回路4を介してDC/ACインバータ3へ戻ることを防止でき、放電灯点灯装置のケース等の構造体では、ノイズをシールドするための部品を簡素化することができる。なお、2次巻線PT12a,PT12bを同一巻数として、発生する高電圧を同様に分担する構成がノイズに対して効果的である。
【0057】
図16の始動回路は図13の始動回路に2つ目のパルストランスPT2を設けて、パルストランスPT2は、コンデンサC2を介して1次巻線PT11に直列接続した1次巻線PT21と、ランプ5を介して2次巻線PT12に直列接続した2次巻線PT22とを具備している。さらに1次巻線PT21にはコンデンサC4が並列接続している。この場合、ランプ5から発生するノイズは、追加したパルストランスPT2、及びコンデンサC4によって低減される。
【0058】
上記図13〜図16の各始動回路4は、ノイズの要求レベルや、基本構成5の図7〜図10に示す構成のうちいずれの構成を採用するかに応じて選べばよい。いずれにしても、始動回路4は、コンデンサ、インダクタ、パルストランスの各部品で構成されるので、簡素化、小型化、低コスト化に寄与できるものである。
【0059】
また、高電圧を発生するパルストランスPT1,PT2は、始動回路4をランプ5の近傍に配置する基本構成5の図8〜図10の放電灯点灯装置ではパルスの減衰が少ないので、コアの形状を棒状にした開磁路で構成して、1次巻線と2次巻線とを2層に巻回することができる。あるいは、分巻き(セクション巻き)や、平角線を用いたエッジワイズ巻きでもよい。
【0060】
【発明の効果】
請求項1の発明は、直流電源と、直流電源の電源電圧を所望の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータの直流出力を平滑する平滑コンデンサと、平滑コンデンサが平滑した直流電圧を交流電圧に変換するDC/ACインバータと、少なくとも1つ以上のコンデンサ及びインダクタから成る共振回路を具備してDC/ACインバータの出力を放電灯に供給する始動回路とを備え、放電灯の始動時には、DC/ACインバータが高周波電圧を出力することで始動回路は共振回路の共振動作により発生する高電圧を放電灯に印加し、放電灯の点灯時には、DC/ACインバータは始動時の周波数よりも低い周波数の電圧を始動回路を介して放電灯に印加し、始動回路は、DC/ACインバータの一方の出力端に1次巻線と2次巻線との各一端を接続した第1のパルストランスと、第1のパルストランスの1次巻線の他端に一端を接続した第1のコンデンサと、DC/ACインバータの他方の出力端に一端を接続したインダクタと、インダクタの他端に1次巻線と2次巻線との各一端を接続し、1次巻線の他端を第1のコンデンサの他端に接続した第2のパルストランスと、第1のパルストランスの1次巻線に並列接続した第2のコンデンサと、第2のパルストランスの1次巻線に並列接続した第3のコンデンサとを備え、放電灯は、第1のパルストランスの2次巻線の他端と第2のパルストランスの2次巻線の他端との間に接続するので、構成部品の小型化、低コスト化、部品点数の低減化を図ることができると共に、始動回路専用のスイッチング素子がないので配線の数も増加せず、したがって全体の構成を簡単、小型、安価にすることができて、且つ信頼性を高くすることができるという効果がある。また、放電灯から発生するノイズをさらに低減することができる。
【0061】
請求項2の発明は、請求項1において、DC/ACインバータは、放電灯の始動時に、始動回路の共振回路が共振動作を行う高周波電圧を出力する期間と、直流電圧を出力する期間とを交互に繰り返すので、放電灯の始動を容易に行うことができるという効果がある。
【0062】
請求項3の発明は、請求項1において、DC/ACインバータは、放電灯の始動時に、始動回路の共振回路が共振動作を行う高周波電圧を出力する期間と、ゼロ電圧を出力する期間とを交互に繰り返すので、放電灯の始動を行うことができるという効果がある
【0063】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、DC/DCコンバータは、昇圧チョッパ回路で構成されるので、入力電圧を昇圧して点灯に適した電圧を得ることができるという効果がある。
【0064】
請求項5の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、DC/DCコンバータは、フライバック型の昇降圧コンバータ回路で構成されるので、低電圧を高電圧に昇圧する動作に適しているという効果がある。
【0065】
請求項6の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、DC/DCコンバータは、降圧チョッパ回路で構成されるので、入力電圧を降圧して点灯に適した電圧を得ることができるという効果がある。
【0066】
請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかにおいて、DC/ACインバータは、スイッチング素子を平滑コンデンサの両端間にフルブリッジ接続して構成されるので、平滑コンデンサの両端電圧をピーク電圧とする交流電圧を出力することができるという効果がある。
【0067】
請求項8の発明は、請求項1乃至6いずれかにおいて、DC/ACインバータは、スイッチング素子を平滑コンデンサの両端間にハーフブリッジ接続して構成されるので、平滑コンデンサの両端電圧の半分をピーク電圧とする交流電圧を出力することができるという効果がある。
【0068】
請求項9の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、放電灯を装着すると共に、始動回路にリード線を介して接続されるソケットを備え、始動回路とソケットとは同一のブロック内に構成されるので、始動回路を放電灯に近いところに配置でき、始動回路で発生するパルスの減衰を低減させることができるという効果がある。
【0069】
請求項10の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、放電灯を装着するソケットと始動回路とを一体に形成したので、始動回路を放電灯にさらに近いところに配置でき、始動回路で発生するパルスの減衰をさらに低減させることができるという効果がある。
【0070】
請求項11の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、始動回路と放電灯とを一体に形成したので、始動回路で発生するパルスの減衰をさらに低減させると共に、コンパクトにすることができるという効果がある。
【0071】
請求項12の発明は、請求項1乃至8いずれかにおいて、DC/DCコンバータと、平滑コンデンサと、DC/ACインバータと、始動回路とを一体に形成したので、組み立ての簡素化を図ることができるという効果がある。
【0072】
請求項13の発明は、請求項1乃至12いずれかにおいて、DC/DCコンバータの出力電圧に基づいて、DC/DCコンバータの直流出力を制御する直流出力制御手段と、DC/ACインバータの交流出力を制御する交流出力制御手段とを備えるので、DC/DCコンバータ及びDC/ACインバータを放電灯の点灯状態に応じて制御することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本構成1の放電灯点灯装置のブロック構成を示す図である。
【図2】 同上の回路構成を示す図である。
【図3】 (a)同上のDC/ACインバータの第1の出力電圧を示す図である。
(b)同上のDC/ACインバータの第2の出力電圧を示す図である。
(c)同上のDC/ACインバータの第3の出力電圧を示す図である。
【図4】 本発明の基本構成2のフライバック型の昇降圧コンバータ回路を用いた回路構成を示す図である。
【図5】 本発明の基本構成3の降圧チョッパ回路を用いた回路構成を示す図である。
【図6】 本発明の基本構成4のハーフブリッジインバータ回路を用いた回路構成を示す図である。
【図7】 本発明の基本構成5の放電灯点灯装置の第1の構成を示す図である。
【図8】 同上の放電灯点灯装置の第2の構成を示す図である。
【図9】 同上の放電灯点灯装置の第3の構成を示す図である。
【図10】 同上の放電灯点灯装置の第4の構成を示す図である。
【図11】 本発明の基本構成6の放電灯点灯装置の回路構成を示す図である。
【図12】 同上の始動回路の電圧波形を示す図である。
【図13】 本発明の実施形態1の始動回路の第1の構成を示す図である。
【図14】 同上の始動回路の第2の構成を示す図である。
【図15】 同上の始動回路の第3の構成を示す図である。
【図16】 同上の始動回路の第4の構成を示す図である。
【図17】 従来例1の放電灯点灯装置の回路構成を示す図である。
【図18】 同上の出力電圧波形を示す図である。
【図19】 同上の始動時のランプ電圧波形を示す図である。
【図20】 同上の点灯時のランプ電流波形を示す図である。
【図21】 従来例2の放電灯点灯装置の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1 直流電源
2 DC/DCコンバータ
3 DC/ACインバータ
4 始動回路
5 ランプ
C1 平滑コンデンサ

Claims (13)

  1. 直流電源と、直流電源の電源電圧を所望の直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータの直流出力を平滑する平滑コンデンサと、平滑コンデンサが平滑した直流電圧を交流電圧に変換するDC/ACインバータと、少なくとも1つ以上のコンデンサ及びインダクタから成る共振回路を具備してDC/ACインバータの出力を放電灯に供給する始動回路とを備え、
    放電灯の始動時には、DC/ACインバータが高周波電圧を出力することで始動回路は共振回路の共振動作により発生する高電圧を放電灯に印加し、放電灯の点灯時には、DC/ACインバータは始動時の周波数よりも低い周波数の電圧を始動回路を介して放電灯に印加し、
    始動回路は、DC/ACインバータの一方の出力端に1次巻線と2次巻線との各一端を接続した第1のパルストランスと、第1のパルストランスの1次巻線の他端に一端を接続した第1のコンデンサと、DC/ACインバータの他方の出力端に一端を接続したインダクタと、インダクタの他端に1次巻線と2次巻線との各一端を接続し、1次巻線の他端を第1のコンデンサの他端に接続した第2のパルストランスと、第1のパルストランスの1次巻線に並列接続した第2のコンデンサと、第2のパルストランスの1次巻線に並列接続した第3のコンデンサとを備え、放電灯は、第1のパルストランスの2次巻線の他端と第2のパルストランスの2次巻線の他端との間に接続する
    ことを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. DC/ACインバータは、放電灯の始動時に、始動回路の共振回路が共振動作を行う高周波電圧を出力する期間と、直流電圧を出力する期間とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  3. DC/ACインバータは、放電灯の始動時に、始動回路の共振回路が共振動作を行う高周波電圧を出力する期間と、ゼロ電圧を出力する期間とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  4. DC/DCコンバータは、昇圧チョッパ回路で構成されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の放電灯点灯装置。
  5. DC/DCコンバータは、フライバック型の昇降圧コンバータ回路で構成されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の放電灯点灯装置。
  6. DC/DCコンバータは、降圧チョッパ回路で構成されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の放電灯点灯装置。
  7. DC/ACインバータは、スイッチング素子を平滑コンデンサの両端間にフルブリッジ接続して構成されることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の放電灯点灯装置。
  8. DC/ACインバータは、スイッチング素子を平滑コンデンサの両端間にハーフブリッジ接続して構成されることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の放電灯点灯装置。
  9. 放電灯を装着すると共に、始動回路にリード線を介して接続されるソケットを備え、始動回路とソケットとは同一のブロック内に構成されることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の放電灯点灯装置。
  10. 放電灯を装着するソケットと始動回路とを一体に形成したことを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の放電灯点灯装置。
  11. 始動回路と放電灯とを一体に形成したことを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の放電灯点灯装置。
  12. DC/DCコンバータと、平滑コンデンサと、DC/ACインバータと、始動回路とを一体に形成したことを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の放電灯点灯装置。
  13. DC/DCコンバータの出力電圧に基づいて、DC/DCコンバー タの直流出力を制御する直流出力制御手段と、DC/ACインバータの交流出力を制御する交流出力制御手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至12いずれか記載の放電灯点灯装置。
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