JP4473533B2 - 放電ランプ点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の直列的に接続したスイッチング素子を備えた放電ランプ点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
商用交流電源のような低周波交流電源を用いて例えば放電ランプを高周波で点灯する照明用電子安定器における高調波対策は、パッシブフィルタ方式、アクティブフィルタ方式および部平滑方式に区分される。また、アクティブフィルタ方式には、チョッパ方式、チャージポンプ方式およびチャージポンプ+チョッパ方式がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、パッシブフィルタにおいては、負荷に直列のインダクタおよび並列のコンデンサを接続してそれらの共振周波数を電源周波数の3倍に共振するように回路定数を選択するが、特にインダクタには電力容量の大きなものを必要とするので、小形、軽量化を図ることができない。
【0004】
アクティブフィルタにおいては、チョッパ形の場合、インバータとは別に独立した昇圧チョッパ回路を配設するので、部品点数が多くなり、コストアップを招く。また、チャージポンプ方式およびチャージポンプ+チョッパ方式は、インバータのスイッチング素子をアクティブフィルタのスイッチング素子として兼用するいわゆる複合形であるが、回路構成が複雑であったり、十分な平滑化作用が得られなかったりするなどの問題がある。
【0005】
部分平滑回路においては、最近の厳しい入力電流高調波規格を満足することができない。
【0006】
本発明は、正負両極性の低周波交流電源電圧を高周波でスイッチングする中性点形降圧非反転インバータを備え、回路構成が簡単で、しかも高調波の少ない放電ランプ点灯装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の放電ランプ点灯装置は、高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;ブリッジ形整流・変換回路の低周波交流電流と高周波電流とがともに双方向に流れる回路上の位置に挿入されたインダクタ、インダクタに生じる逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路、および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を含むチョッパ回路と;高周波電圧に共振する共振回路と;共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;を具備していることを特徴としている。
【0008】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0009】
本発明において、「高周波」とは、周波数1kHz以上、好ましくは可聴周波数の限界を超える20kHz以上、より好ましくはリモコンの搬送周波数より高い40kHz以上をいう。
【0010】
<ブリッジ形整流・変換回路について> ブリッジ形整流・変換回路は、低周波交流を整流して直流に変換するとともに、直流をスイッチングによって高周波に変換する手段であり、したがって中性点降圧形のインバータとして動作する。低周波交流を直流に変換するには、主として一対の整流素子が作用する。また、直流を高周波に変換するには、一対のスイッチング素子が作用する。
【0011】
一対のスイッチング素子は、直接直列接続している態様および他の回路素子、例えば抵抗器などを介して間接的に直列接続した態様のいずれであってもよい。また、一対のスイッチング素子および一対の整流素子は、機能上一対として作用することができればよく、一対の両方またはいずれか一方がそれぞれ複数の素子により構成されていることを許容する。さらに、スイッチング素子は、高周波でスイッチング可能な可制御なスイッチング素子であれば、どのような構成であってもよく、例えばバイポーラトランジスタ、FETなどを用いることができる。
【0012】
低周波交流電源は、ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間に単独で接続してもよいし、チョッパ回路のインダクタなど他の回路部品を直列に介して接続してもよい。
【0013】
<チョッパ回路について> 本発明において、「チョッパ回路」とは、直流電流のスイッチングによりインダクタの両端間に生じる逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還して、ある電圧の直流電圧を電圧の異なる他の直流電圧に変換する手段をいう。そして、降圧形、昇圧形、逆極性形などいずれの形式のチョッパ回路であってもよい。インダクタは、チョッパ専用であってもよいし、出力用トランスを兼ねていてもよい。逆起電力を帰還するための帰還回路は、どのような構成であってもよい。なお、直流電流のスイッチングは、ブリッジ形整流・変換回路における一対のスイッチング素子のいずれか一方または両方のスイッチング素子により行われる。
【0014】
<共振回路について> 共振回路は、一対のスイッチング素子の交互スイッチングにより形成された高周波電圧に共振する。そして、インダクタおよびコンデンサにより形成されている。なお、「インダクタ」とは、インダクタンスを有する回路手段を意味し、チョークコイルのようなものに限定されない。したがって、1次側から見て適当なインダクタンスを有すればトランスなどであってもよい。そうして、共振回路は、放電ランプの始動時には共振により高電圧を形成して、これを放電ランプに印加することにより始動を促進するとともに、高周波電圧の波形を正弦波に整形する。
【0015】
<放電ランプについて> 放電ランプは、どのようなものでもよく、例えば蛍光ランプなどの低圧放電ランプやメタルハライドランプなどの高圧放電ランプを用いることができる。また、放電ランプは、高周波電圧の共振出力が印加されるような回路上の位置に接続される。例えば、ブリッジ形整流・変換回路の一対のスイッチング素子を共有し、かつ、ブリッジ形整流・変換回路と並列的な関係に共振回路を備えたハーフブリッジ形インバータ回路を構成して、共振回路のインダクタと並列的に、または直列的に放電ランプを接続することができる。また、チョッパ回路のインダクタを一方の共振要素とする共振回路をブリッジ形整流・変換回路の一部を共有して形成して、上記インダクタと並列的または直列的に放電ランプを接続することができる。なお、上記の接続態様において、高周波成分のみを選択して抽出するために、インダクタに2次巻線を巻装して出力トランスを構成し、当該出力トランスを経由して放電ランプを付勢するのが望ましい。
【0016】
<その他の構成について> 本発明の必須構成要件ではないが、放電ランプの始動のために、負荷回路の共振回路による共振電圧だけでは不足の場合には、別設のイグナイタをそこから発生する高電圧パルスが放電ランプに印加されるように負荷回路に接続することができる。
【0017】
<本発明の作用について> 本発明は、以上の構成を具備していることにより、低周波交流電圧がブリッジ形整流・変換回路において全波整流されるとともに高周波でスイッチングされる結果、降圧変換インバータ動作が行われる。
【0018】
また、インダクタには、低周波交流電源から流入するスイッチングにより高周波化された低周波交流電流とチョッパ回路による高周波電流とが双方向に流れる。そして、インダクタは、スイッチング素子のスイッチングによる高周波電流に対してのみ有効なインピーダンスを有すればよいので、低周波交流電源が実質的に短絡されることなく動作することが可能になる。したがって、チョッパ回路のインダクタを小形化、軽量化することができる。
【0019】
さらに、スイッチング素子の交互スイッチングによりチョッパ回路のインダクタに発生する逆起電力がインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還され、さらに帰還された直流エネルギーがスイッチング素子のスイッチングにより高周波に変換される。したがって、低周波交流電源から流入する低周波交流がスイッチングされて変換される高周波電流と帰還された直流エネルギーがスイッチングされて流れる高周波電流とが通流する回路部分に共振回路を接続したり、帰還された直流エネルギーがスイッチングされた高周波電流が通流する回路部分に共振回路を接続したりして、共振出力によって付勢されるように放電ランプを接続することにより放電ランプを高周波点灯することができる。
【0020】
さらにまた、スイッチング素子の交互スイッチングによりチョッパ回路のインダクタに発生する逆起電力がインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還され、さらにスイッチング素子のスイッチングにより高周波に変換されるので、放電ランプ点灯装置装置全体として高い変換効率を得ることができる。しかも、高周波発生のためのインバータ動作とチョッパ動作とを共通のスイッチング素子を用いて行うので、配線基板の実装面積が縮小して小形化および廉価化に効果的である。
【0021】
請求項2の発明の放電ランプ点灯装置は、高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されるインダクタ、インダクタに生じた逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を構成要素として含むチョッパ回路と;高周波電圧に共振する共振回路と;共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;を具備していることを特徴としている。
【0022】
本発明は、請求項1の発明においてチョッパ回路として好適な構成を規定している。すなわち、チョッパ回路は、そのインダクタがブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されている。インダクタに生じた逆起電力を帰還する帰還回路としては、適宜の回路構成を採用することができる。例えば、4辺が整流素子からなり、交流入力端がインダクタの両端に接続した全波整流回路、および2辺が整流素子で、かつ、他の2辺がコンデンサからなり、上記と同様に接続した全波整流回路などを用いて帰還回路を構成することができる。
【0023】
そうして、本発明においては、請求項1の発明における作用、効果に加えて以下の作用、効果を奏する。すなわち、インダクタが上記の位置に接続されているので、帰還回路、平滑コンデンサおよび負荷である放電ランプなどの接続位置や回路構成を多様に展開することが可能になり、したがって放電ランプ点灯装置としての回路設計の自由度が大きくなる。
【0024】
また、チョッパ回路の帰還回路が一対のスイッチング素子とは別に配設されるので、スイッチング素子の寄生ダイオードを経由して帰還させる必要がないために、高効率化される。あるいは、スイッチング素子に帰還用のダイオードを並列接続しなくてもよいので、スイッチング素子やその駆動回路などが密集した位置近傍に帰還回路を実装する必要性がなくなるために、配線基板設計における実装自由度が向上する。
【0025】
請求項3の発明の放電ランプ点灯装置は、高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されるインダクタ、インダクタに生じた逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を構成要素として含むチョッパ回路と;ブリッジ形整流・変換回路の直流出力端間に接続するとともに、帰還回路により充電される平滑コンデンサと;高周波電圧に共振する共振回路と;共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;を具備していることを特徴としている。
【0026】
本発明は、帰還回路インダクタの逆起電力をその両端から低周波交流電源を経由しないで帰還して平滑コンデンサを充電し、また平滑コンデンサをブリッジ形整流・変換回路の直流出力端間に接続した点が請求項1および2の構成に比較して特長的である。したがって、平滑コンデンサは、帰還回路から得られる帰還電流によって充電することで一対のスイッチング素子の直列回路に対して高周波発生用の直流電源として作用することによって、平滑コンデンサの充電電荷を電源として発生した高周波を用いて負荷である放電ランプを点灯きるように構成したものである。
【0027】
高周波電源として用いる場合、放電ランプは、例えば以下に示すような多様な接続の態様であることを許容する。(1)ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において例えば出力トランスを兼ねるインダクタの両端に接続する態様。(2)インダクタおよび低周波交流電源と直列に接続する態様。(3)平滑コンデンサを電源とする一対のスイッチング素子を含むハーフブリッジ形インバータを構成してその出力端に接続する態様。
【0028】
そうして、本発明においては、インダクタに蓄積された磁気エネルギーを一対のスイッチング素子を経由しないで平滑コンデンサの静電エネルギーに転送して、これを高周波発生の電源とするので、高効率で、しかも回路設計の自由度が高くなる。
【0029】
また、平滑コンデンサの充電回路は、一対のスイッチング素子が高周波のスイッチングを開始する以前には存在しないでスイッチングが開始すると帰還回路からの帰還電流によって平滑コンデンサが充電されるので、低周波交流電源の投入時の突入電流が発生しなくなる。このため、電源容量や配線容量に余裕が生じる。
【0030】
請求項4の発明の放電ランプ点灯装置は、高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されるインダクタ、インダクタに生じた逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を構成要素として含むチョッパ回路と;ブリッジ形整流・変換回路の直流出力端間に接続するとともに、帰還回路により充電される平滑コンデンサと;平滑コンデンサの両端と一対のスイッチング素子との間にそれぞれ直列に挿入された一対の整流素子と;高周波電圧に共振する共振回路と;共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;を具備していることを特徴としている。
【0031】
本発明は、請求項3の発明に比較して平滑コンデンサの両端と一対のスイッチング素子との間にそれぞれ直列に挿入された一対の整流素子が配設されている点で異なる。このため、平滑コンデンサの充放電が所望の経路で的確に行われる。
【0032】
請求項5の発明の放電ランプ点灯装置は、請求1ないし4のいずれか一記載の放電ランプ点灯装置において、帰還回路は、一対の整流素子の直列回路の一対が並列接続してなり、交流入力端がインダクタに並列接続し、かつ、直流出力端が平滑コンデンサの両端間に接続したブリッジ形整流回路からなることを特徴としている。
【0033】
本発明は、4辺が整流素子のブリッジ形整流回路からなる帰還回路の構成を規定している。
【0034】
請求項6の発明の放電ランプ点灯装置は、請求項項1ないし4のいずれか一記載の放電ランプ点灯装置において、帰還回路は、一対の整流素子の直列回路および一対のコンデンサの直列回路を並列接続してなり、交流入力端がインダクタに並列接続し、かつ、直流出力端が平滑コンデンサの両端間に接続したブリッジ形整流回路からなることを特徴としている。
【0035】
本発明は、一対の整流素子と一対のコンデンサのブリッジ形整流回路からなる帰還回路の構成を規定している。
【0036】
請求項7の発明の放電ランプ点灯装置は、請求項1ないし6のいずれか一記載の放電ランプ点灯装置において、共振回路は、一対のスイッチング素子の一方、インダクタおよびコンデンサの閉回路からなり;放電ランプは、共振回路のインダクタにトランス結合している;ことを特徴としている。
【0037】
本発明は、一対のスイッチング素子を主体とするハーフブリッジ回路の負荷回路の好適な回路構成を規定している。すなわち、インダクタおよびコンデンサの直列回路が共振回路を構成し、また共振回路が一方のスイッチング素子と閉回路を形成することによってハーフブリッジ回路の負荷回路を構成している。そして、放電ランプが負荷回路に接続して、負荷回路から高周波電力の供給を受けて点灯する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
図1および図2は、本発明の放電ランプ点灯装置におけるブリッジ形整流・変換回路を示し、図1は回路図、図2は負荷電圧および負荷電流を概念的に示す波形図である。図1において、ACは低周波交流電源、Lは負荷、Q1およびQ2は一対のスイッチング素子、D1およびD2は一対の整流素子である。
【0040】
すなわち、ブリッジ形整流・変換回路BRCは、一対のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路と、一対の整流素子D1、D2の直列回路とを順方向の閉回路を形成するように並列接続して形成され、一対のスイッチング素子Q1、Q2の接続点j1と、一対の整流素子D1、D2の接続点j2との間が交流入力端となる。
【0041】
図示のブリッジ形整流・変換回路BRCの交流入力端j1、j2には、低周波交流電源ACが負荷Lを直列に介して接続している。
【0042】
次に、ブリッジ形整流・変換回路BRCの回路動作を説明する。一対のスイッチング素子Q1、Q2が高周波で交互にスイッチング動作を行うと、低周波交流電源ACの電圧の極性が整流素子D1の順方向に一致する半波の期間中、低周波交流電源AC、整流素子D1、スイッチング素子Q1、負荷Lおよび低周波交流電源ACの閉回路内をスイッチング素子Q1がオンのときだけ電流が流れ、負荷Lの両端に間欠的に電圧降下を生じる。換言すれば、低周波交流電源ACから負荷Lに対して高周波パルス状の低周波交流電流が一方向に間欠的に流れる。
【0043】
低周波交流電源ACの電圧の極性が反転して整流素子D2の順方向に一致する半波の期間中、低周波交流電源AC、整流素子D2、スイッチング素子Q2、負荷Lおよび低周波交流電源ACの閉回路内をスイッチング素子Q2がオンのときだけ電流が流れ、負荷Lの両端に間欠的に電圧降下を生じる。換言すれば、低周波交流電源ACから負荷Lに高周波パルス状の低周波交流電流が反対方向に間欠的に流れる。したがって、ブリッジ形整流・変換回路BRCの交流入力端j1、j2に流れる高周波成分を抽出して負荷Lに供給すれば、負荷Lを高周波で付勢することができる。
【0044】
図2において、負荷Lは抵抗であり、曲線Vは負荷電圧、曲線Iは負荷電流である。図から理解できるように、負荷電圧Vおよび負荷電流Iは同位相で、波形は正弦波である。
【0045】
図3は、本発明の放電ランプ点灯装置における第1の実施の形態を示す回路図である。図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。放電ランプ点灯装置は、ブリッジ形整流・変換回路BRC、チョッパ回路BUC、平滑コンデンサC1、一対の整流素子D7、D8、負荷回路LCおよび放電ランプDLからなり、入力端子t1およびt2が低周波交流電源ACに接続し、放電ランプDLを高周波点灯する。
【0046】
ブリッジ形整流・変換回路BRCは、図1と同一の構成である。
【0047】
チョッパ回路BUCは、インダクタL1、帰還回路FBCおよびスイッチング素子Q1からなる。インダクタL1は、ブリッジ形整流・変換回路BRCの交流入力端j1、j2において高周波交流電源ACと直列接続している。帰還回路FBCは、4つの整流素子D3〜D6によるブリッジ形整流回路からなり、その交流入力端j3、j4がインダクタL1の両端に接続している。
【0048】
平滑コンデンサC1は、電解コンデンサからなり、帰還回路FBCのブリッジ形整流回路の直流出力端j5、j6間に接続している。
【0049】
一対の整流素子D7、D8は、平滑コンデンサC1の両端と一対のスイッチング素子Q1、Q2との間に介在して、平滑コンデンサC1の放電路を規定する。
【0050】
負荷回路LCは、共振回路RCをスイッチング素子Q2の両端に接続して形成された閉回路により構成されている。共振回路RCは、インダクタL2およびコンデンサC2の直列回路からなり、スイッチング素子Q2の両端に接続している。なお、コンデンサC3が図の位置に接続して、インダクタL2に生じる逆起電力の帰還回路の一部を形成している。インダクタL2は、その一端が一対のスイッチング素子Q1、Q2の接続点j1に接続し、他端が放電ランプDLの一極に接続している。コンデンサC2は、その一端が放電ランプDLの他端に接続し、他端が平滑コンデンサC1の負極に接続している。
【0051】
放電ランプDLは、負荷回路LCにインダクタL2と直列に接続している。
【0052】
次に、本実施の形態における回路動作について説明する。低周波交流電源ACを投入すると、ブリッジ形整流・変換回路BRCの整流素子D1に対して順方向になる極性において、一対のスイッチング素子Q1、Q2が高周波で交互にスイッチングを行うと、スイッチング素子Q1がオン時に低周波交流電源AC→ブリッジ形整流・変換回路BRCの整流素子D1→スイッチング素子Q1→チョッパ回路BUCのインダクタL1→低周波交流電源ACの閉回路を電流が流れ、インダクタL2に電磁エネルギーが蓄積される。
【0053】
上記に続いてスイッチング素子Q1がオフすると、チョッパ回路BUCのインダクタL1に蓄積された電磁エネルギーが放出されて逆起電力がインダクタL1の両端に現れる。この逆起電力によってインダクタL1→帰還回路FBCの整流素子D3→平滑コンデンサC1→帰還回路FBCの整流素子D6→インダクタL1の閉回路を電流が流れ、平滑コンデンサC1が充電される。
【0054】
以上の回路動作において、チョッパ回路BUCがョッパ動作を行う
【0055】
一方、平滑コンデンサC1の充電電荷は、以下に説明するように放電する。そして、一対のスイッチング素子Q1、Q2および負荷回路LCは、ハーフブリッジ形インバータとして動作して放電ランプDLを高周波点灯する。すなわち、スイッチング素子Q1がオンすると、平滑コンデンサC1→整流素子D7→スイッチング素子Q1→インダクタL2→放電ランプDL→コンデンサC2→平滑コンデンサC1の閉回路を平滑コンデンサC1の放電電流が流れ、インダクタL2に電磁エネルギーが蓄積される。
【0056】
次に、スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL2に逆起電力が生じて、インダクタL2→放電ランプDL→コンデンサC2→帰還回路FBCの整流素子D6→インダクタL2の閉回路を電流が流れてインダクタL2蓄積された電磁エネルギーが放出され、コンデンサC2に電荷が蓄積される。
【0057】
続いてスイッチング素子Q2がオンすると、コンデンサC2に蓄積されていた電荷が放出されてコンデンサC2→放電ランプDL→インダクタL2→スイッチング素子Q2→整流素子D8→コンデンサC2の閉回路を電流が流れる。
【0058】
以上の回路動作によって放電ランプDLは、そこに高周波交流電流が流れるので、高周波点灯する。
【0059】
次に、低周波交流電圧の極性が反転してブリッジ形整流・変換回路BRCの整流素子D2に対して順方向になる極性になり、一対のスイッチング素子Q1、Q2が高周波で交互にスイッチングを行うと、スイッチング素子Q2がオン時に低周波交流電源AC→チョッパ回路BUCのインダクタL1→スイッチング素子Q2→ブリッジ形整流・変換回路BRCの整流素子D2→低周波交流電源ACの閉回路を電流が流れ、インダクタL1に電磁エネルギーが蓄積される。
【0060】
上記に続いてスイッチング素子Q2がオフすると、チョッパ回路BUCのインダクタL1に蓄積された電磁エネルギーが放出されて逆起電力がインダクタL1の両端に現れる。この逆起電力によってインダクタL1→帰還回路FBCの整流素子D5→平滑コンデンサC1→帰還回路FBCの整流素子D4→インダクタL1の閉回路を電流が流れ、平滑コンデンサC1が充電される。
【0061】
以上の回路動作において、チョッパ回路BUCがチョッパ動作を行う
【0062】
一方、平滑コンデンサC1の充電電荷は、前述と同様に放電する。
【0063】
図4は、本発明の放電ランプ点灯装置における第2の実施の形態を示す回路図である。図において、図3と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本実施の形態は、コンデンサC3がない点で異なる。
【0064】
図5は、本発明の放電ランプ点灯装置における第3の実施の形態を示す回路図である。図において、図3と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本実施の形態は、帰還回路FBCのインダクタL1を経由して放電ランプDLを点灯するように構成されている点で異なる。
【0065】
すなわち、帰還回路FBCのインダクタL1は、出力トランスOTを構成していて、出力トランスOTの2次巻線に放電ランプDLが接続されている。また、コンデンサC2がスイッチング素子Q2、インダクタL1およびコンデンサC2の閉回路を形成するようにインダクタL1およびスイッチング素子Q2の間に接続している。さらに、コンデンサC3が図示の位置に接続している。
【0066】
そうして、第3の実施の形態においては、放電ランプDLは、低周波交流電源ACから流入する高周波電流と、平滑コンデンサC1の電荷の放電により流れる高周波電流とにより点灯する。なお、低周波交流電源ACから流入する高周波電流および平滑コンデンサC1の電荷の放電により流れる高周波電流は、図3に示す第1の実施の形態におけるのと本質的に同じように流れる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1ないし7の各発明によれば、正負両極性の低周波交流電源電圧を高周波でスイッチングする中性点形降圧非反転インバータを備え、チョッパ回路のインダクタに生じる逆起電力をそのインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還して高周波に変換するので、高い変換効率で放電ランプを高周波点灯することができるとともに、チョッパ回路の帰還回路を一対のスイッチング素子とは別に配設することができ、この場合スイッチング素子の寄生ダイオードを経由して帰還させる必要がないために、高効率化され、またスイッチング素子に帰還用のダイオードを並列接続しなくてもよいので、スイッチング素子やその駆動回路などが密集した位置近傍に帰還回路を実装する必要性がなくなるために、配線基板設計における実装自由度が向上し、回路構成が簡単で、しかも高調波の少ない放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0068】
請求項1の発明によれば、加えてインダクタは、スイッチング素子のスイッチングによる高周波電流に対してのみ有効なインピーダンスを有すればよいので、低周波交流電源が実質的に短絡されることなく動作することが可能になり、チョッパ回路のインダクタを小形化、軽量化した放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0069】
請求項2の発明によれば、加えてチョッパ回路のインダクタがブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されていることにより、帰還回路、平滑コンデンサおよび負荷である放電ランプなどの接続位置や回路構成を多様に展開することが可能になり、放電ランプ点灯装置としての回路設計の自由度が大きくなる電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0070】
請求項3の発明によれば、加えてブリッジ形整流・変換回路の直流出力端間に接続するとともに、帰還回路により充電される平滑コンデンサを具備していることにより、インダクタに蓄積された磁気エネルギーを一対のスイッチング素子を経由しないで平滑コンデンサの静電エネルギーに転送して、これを高周波発生の電源とするので、高効率で、しかも回路設計の自由度が高くなるとともに、平滑コンデンサの充電回路は、一対のスイッチング素子が高周波のスイッチングを開始する以前には存在しないでスイッチングが開始すると帰還回路からの帰還電流によって平滑コンデンサが充電されるので、低周波交流電源の投入時の突入電流が発生しなくなるため、電源容量や配線容量に余裕が生じる放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0071】
請求項4の発明によれば、加えてブリッジ形整流・変換回路の直流出力端間に接続するとともに、帰還回路により充電される平滑コンデンサと、平滑コンデンサの両端と一対のスイッチング素子との間にそれぞれ直列に挿入された一対の整流素子とを具備していることにより、平滑コンデンサの充放電が所望の経路で的確に行われる放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0072】
請求項5の発明によれば、加えて帰還回路が一対の整流素子の直列回路の一対が並列接続してなり、交流入力端がインダクタに並列接続し、かつ、直流出力端が平滑コンデンサの両端間に接続したブリッジ形整流回路からなる放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0073】
請求項6の発明によれば、加えて帰還回路が一対の整流素子の直列回路および一対のコンデンサの直列回路を並列接続してなり、交流入力端がインダクタに並列接続し、かつ、直流出力端が平滑コンデンサの両端間に接続したブリッジ形整流回路からなる放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0074】
請求項7の発明によれば、加えて共振回路が、一対のスイッチング素子の一方、インダクタおよびコンデンサの閉回路からなり、放電ランプが共振回路のインダクタにトランス結合している放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の放電ランプ点灯装置におけるブリッジ形整流・変換回路を示す回路図
【図2】 同じく負荷電圧および負荷電流を概念的に示す波形図
【図3】 本発明の放電ランプ点灯装置における第1の実施の形態を示す回路図
【図4】 本発明の放電ランプ点灯装置における第2の実施の形態を示す回路図
【図5】 本発明の放電ランプ点灯装置における第3の実施の形態を示す回路図
【符号の説明】
BEC…ブリッジ形整流・変換回路、BUC…チョッパ回路、C1…平滑コンデンサ、D1〜D8……整流素、DL…放電ランプ、FBC…帰還回路、L1、L2…インクタ、LC…負荷回路、Q1、Q2…スイッチング素子、RC…共振回路

Claims (7)

  1. 高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;
    ブリッジ形整流・変換回路の低周波交流電流と高周波電流とがともに双方向に流れる回路上の位置に挿入されたインダクタ、インダクタに生じる逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路、および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を含むチョッパ回路と;
    高周波電圧に共振する共振回路と;
    共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;
    を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
  2. 高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;
    ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されるインダクタ、インダクタに生じた逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を構成要素として含むチョッパ回路と;
    高周波電圧に共振する共振回路と;
    共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;
    を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
  3. 高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;
    ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されるインダクタ、インダクタに生じた逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を構成要素として含むチョッパ回路と;
    ブリッジ形整流・変換回路の直流出力端間に接続するとともに、帰還回路により充電される平滑コンデンサと;
    高周波電圧に共振する共振回路と;
    共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;
    を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
  4. 高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;
    ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において低周波交流電源と直列接続されるインダクタ、インダクタに生じた逆起電力をインダクタの両端から低周波交流電源を経由しないで帰還する帰還回路および一対のスイッチング素子の少なくとも一方を構成要素として含むチョッパ回路と;
    ブリッジ形整流・変換回路の直流出力端間に接続するとともに、帰還回路により充電される平滑コンデンサと;
    平滑コンデンサの両端と一対のスイッチング素子との間にそれぞれ直列に挿入された一対の整流素子と;
    高周波電圧に共振する共振回路と;
    共振回路の共振電圧が印加されて点灯する放電灯と;
    を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
  5. 帰還回路は、一対の整流素子の直列回路の一対が並列接続してなり、交流入力端がインダクタに並列接続し、かつ、直流出力端が平滑コンデンサの両端間に接続したブリッジ形整流回路からなることを特徴とする請求1ないし4のいずれか一記載の放電ランプ点灯装置。
  6. 帰還回路は、一対の整流素子の直列回路および一対のコンデンサの直列回路を並列接続してなり、交流入力端がインダクタに並列接続し、かつ、直流出力端が平滑コンデンサの両端間に接続したブリッジ形整流回路からなることを特徴とする請求項項1ないし4のいずれか一記載の放電ランプ点灯装置。
  7. 共振回路は、一対のスイッチング素子の一方、インダクタおよびコンデンサの閉回路からなり;
    放電ランプは、共振回路のインダクタにトランス結合している;
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の放電ランプ点灯装置。
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