JP2005124370A - 高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置 - Google Patents

高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
入力電流の休止期間が短く、同一特性のスイッチング素子を用いることができ、チョッパ動作が昇圧的となり、回路構成が簡単な高周波インバータ装置およびこれを用いた放電ランプ点灯装置を提供する。
【解決手段】
高周波インバータ装置HFIは、一対のスイッチング素子Q1、Q2と一対の整流素子D1、D2を並列接続して、交流入力端j1、j2間を有するブリッジ形整流・変換回路BRCと;この回路に交流入力端間と直列に挿入されたインダクタL1、インダクタL1および交流入力端間の直列部分に並列接続した第1の帰還回路要素FB1とこの要素と並列接続した第2の帰還回路要素FB2とを備えた帰還回路FBC、前記一対のスイッチング素子Q1、Q2を含むチョッパ回路BCHと;第1および第2の帰還回路要素と一対のスイッチング素子の直列回路との間に介在する第3および第4の整流素子D5、D6と;を具備している。
【選択図】
図1

Description

本発明は、一対の直列的に接続したスイッチング素子を備えた高周波インバータ装置およびこれを備えた放電ランプ点灯装置に関する。
商用交流電源のような低周波交流電源を用いて例えば放電ランプを高周波で点灯する照明用電子安定器における高調波対策は、パッシブフィルタ方式、アクティブフィルタ方式(例えば、非特許文献1参照。)および部分平滑方式に区分される。また、アクティブフィルタ方式には、チョッパ方式、チャージポンプ方式およびチャージポンプ+チョッパ方式がある。
「照明学会誌」第84巻第5号、2000年5月発行、第273頁〜第280頁「チョッパ兼用インバータ式点灯回路の動作解析」
ところが、パッシブフィルタにおいては、負荷に直列のインダクタおよび並列のコンデンサを接続してそれらの共振周波数を電源周波数の3倍に共振するように回路定数を選択するが、特にインダクタには電力容量の大きなものを必要とするので、小形、軽量化を図ることができない。
アクティブフィルタにおいては、チョッパ形の場合、インバータとは別に独立した昇圧チョッパ回路を配設するので、部品点数が多くなり、コストアップを招く。また、チャージポンプ方式およびチャージポンプ+チョッパ方式は、インバータのスイッチング素子をアクティブフィルタのスイッチング素子として兼用するいわゆる複合形であるが、回路構成が複雑であったり、十分な平滑化作用が得られなかったりするなどの問題がある。
部分平滑回路においては、最近の厳しい入力電流高調波規格を満足することができない。
本発明は、中性点形降圧非反転インバータを備え、入力電流の休止期間が短くて、同一特性の一対のスイッチング素子を用いることができて、チョッパ動作が昇圧的となり、しかも回路構成が簡単な高周波インバータ装置およびこれを用いた放電ランプ点灯装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の放電ランプ点灯装置は、高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;ブリッジ形整流・変換回路の低周波交流電流と高周波電流とがともに双方向に流れる回路上の位置に交流入力端間と直列に挿入されたインダクタ、第1の整流素子および第1の小容量コンデンサの直列回路を含み上記インダクタおよび交流入力端の直列部分に並列接続した第1の帰還回路要素と上記インダクタに対する極性が第1の整流素子と逆の極性を有する第2の整流素子および第2の小容量コンデンサの直列回路を含み上記インダクタおよび交流入力端の直列部分に並列接続した第2の帰還回路要素とを有する帰還回路、ならびに前記一対のスイッチング素子を備えたチョッパ回路と;チョッパ回路における帰還回路の第1の整流素子および第1の小容量コンデンサの接続点と一対のスイッチング素子の直列回路の一端との間に介在する第3の整流素子、ならびに帰還回路の第2の整流素子および第2の小容量コンデンサの接続点と一対のスイッチング素子の直列回路の他端との間に介在する第4の整流素子と;を具備していることを特徴としている。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
本発明において、「高周波」とは、周波数1kHz以上、好ましくは可聴周波数の限界を超える20kHz以上、より好ましくはリモコンの搬送周波数より高い40kHz以上をいう。
<ブリッジ形整流・変換回路について> ブリッジ形整流・変換回路は、低周波交流を整流して直流に変換するとともに、直流をスイッチングによって高周波に変換する手段であり、したがって中性点形降圧非反転形のインバータとして動作する。低周波交流を直流に変換するには、主として一対の整流素子が作用する。また、直流を高周波に変換するには、一対のスイッチング素子が作用する。
一対のスイッチング素子は、直接直列接続している態様および他の回路素子、例えば抵抗器などを介して間接的に直列接続した態様のいずれであってもよい。また、一対のスイッチング素子および一対の整流素子は、機能上一対として作用することができればよく、一対の両方またはいずれか一方がそれぞれ複数の素子により構成されていることを許容する。さらに、スイッチング素子は、高周波でスイッチング可能な可制御なスイッチング素子であれば、どのような構成であってもよく、例えばバイポーラトランジスタ、FETなどを用いることができる。
低周波交流電源は、ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間に単独で接続してもよいし、チョッパ回路のインダクタおよび/または放電ランプなど負荷やその他の回路部品を直列に介して接続してもよい。
<チョッパ回路について> 本発明において、「チョッパ回路」とは、直流電流のスイッチングによりインダクタの両端間に生じる逆起電力を帰還して、ある電圧の直流電圧を電圧の異なる他の直流電圧に変換する手段をいう。そして、以下説明する回路構成によって昇圧チョッパ的な動作を行う。すなわち、本発明において、チョッパ回路は、インダクタ、帰還回路および一対のスイッチング素子を備えている。
インダクタは、チョッパ専用であってもよいし、出力トランスを兼ねていてもよい。
帰還回路は、逆起電力を帰還するための作用を行い、第1および第2の帰還回路要素を有して構成されている。第1の帰還回路要素は、第1の整流素子および第1の小容量コンデンサの直列回路を含み、インダクタに並列接続して主として低周波交流電圧が一方の極性のときに作動するように整流素子の極性が選択されている。これに対して、第2の帰還回路要素は、第2の整流素子および第2の小容量コンデンサの直列回路を含み、同様にインダクタに並列接続するが、上記インダクタに対する極性が第1の整流素子とは逆の極性を有し、したがって主として低周波交流電圧が他方の極性のときに作動するように整流素子の極性が選択されている。そして、第1および第2の帰還回路要素は、インダクタの逆起電力の極性に対して整流素子が順方向になる方が帰還作用を行う。要するに、低周波交流電圧の各半波の極性に応じて第1および第2の帰還回路要素が交互に帰還作用を担当する。なお、本発明において、「小容量コンデンサ」とは、その静電容量が相対的に小さくて、低周波交流電圧に対してほぼ完全平滑的ないし部分平滑的な平滑化作用を実質的に奏しないコンデンサをいう。
一対のスイッチング素子は、ブリッジ形整流・変換回路の一対のスイッチング素子が兼用される。そして、一方のスイッチング素子は、低周波交流電圧が一方の極性のときにオン状態からオフすることによってインダクタに逆起電力を生じさせるように作用する。また、他方のスイッチング素子は、他方の極性のときに上記と同様に作用する。
<第3および第4の整流素子について> 第3および第4の整流素子は、チョッパ回路と一対のスイッチング素子の直列回路との間を接続している。そして、チョッパ回路の第1および第2の小容量コンデンサに蓄積された電荷が放出されるときに、一対のスイッチング素子のうちその放出の経路に存在する方に対して順方向となって電流を流す。要するに、第3および第4の整流素子は、第1および第2の小容量コンデンサの放電回路を形成する。また、第3および第4の整流素子は、低周波交流電圧がブリッジ形整流・変換回路の一対の整流素子により整流された電流に対しては逆方向になって小容量コンデンサへの流れ込みを阻止するように作用する。
<本発明の作用について> 本発明は、以上の構成を具備していることにより、低周波交流電圧がブリッジ形整流・変換回路において全波整流されるとともに高周波でスイッチングされる結果、ブリッジ形整流・変換回路によって降圧変換インバータ動作を行う。
また、チョッパ回路のインダクタには、低周波交流電源から流入するスイッチングにより高周波化された低周波交流電流とチョッパ回路による高周波電流とが双方向に流れる。そして、インダクタは、スイッチング素子のスイッチングによる高周波電流に対してのみ有効なインピーダンスを有すればよいので、低周波交流電源が実質的に短絡されることなく動作することが可能になる。したがって、チョッパ回路のインダクタを小形化、軽量化することができる。
さらに、低周波交流電圧の極性に応じて一対のスイッチング素子のいずれか一方における交互スイッチングによりチョッパ回路のインダクタに発生する逆起電力が低周波交流電源から出力される高周波交流電圧のうち当該帰還回路中の第1または第2の整流素子に対して順方向となる半波の電圧に重畳して、第1および第2の帰還回路要素のうちいずれか一方における小容量コンデンサに帰還してこれを充電する。したがって、小容量コンデンサの端子間に現れる直流電圧は、上記低周波交流電圧の半波の電圧より高い昇圧された値となる。そして、昇圧した状態で蓄積された直流エネルギーが次に放電する際には、第3および第4の整流素子のいずれか一方により形成された放電回路中に介在するスイッチング素子のスイッチングによって上記直流エネルギーが昇圧した高周波電圧に変換される。このため、負荷は上記昇圧した高周波電圧が印加されることによって付勢される。この回路動作に伴って一部の電荷が他方の帰還回路要素に転送され、その平滑コンデンサを充電する。次に一対のスイッチング素子の他方がオンすると、他方の帰還回路要素の小容量コンデンサが負荷および他方のスイッチング素子を経由して放電する。その結果、このとき上記とは反対極性方向に波高値の包絡線がほぼ正弦波状に変化する高周波電圧が発生する。
次に、低周波交流電圧の極性が反転すると、同様に一対のうち他方のスイッチング素子におけるスイッチングにより、直流エネルギーが低周波交流電圧の他方の極性における半波の電圧に重畳して昇圧され、当該昇圧した直流エネルギーが第1および第2の帰還回路要素のうち他方における小容量コンデンサに帰還して充電される。そして、昇圧して蓄積された直流エネルギーが次に放電する際には、第3および第4の整流素子の他方により形成される放電回路中に介在する他方のスイッチング素子のスイッチングによって直流エネルギーが昇圧した高周波に変換されるので、負荷は当該昇圧した高周波電が印加されることによって付勢される。この回路動作に伴って一部の電荷が一方の帰還回路要素に転送され、その小容量コンデンサを充電する。次に一対のスイッチング素子の一方がオンすると、一方の帰還回路要素の小容量コンデンサが負荷および一方のスイッチング素子を経由して放電する。その結果、このとき上記とは反対極性方向に波高値の包絡線がほぼ正弦波状に変化する高周波電圧が発生する。
一方、本発明の高周波インバータ装置の定常状態時においては、帰還回路および高周波変換の動作は、次のとおりとなる。すなわち、チョッパ回路の帰還回路は、その第1および第2の小容量コンデンサが上述したようにインダクタの逆起電力が低周波交流電源の低周波交流電圧の半波に重畳した電圧により共に充電されている。そして、一方の帰還回路要素の整流素子が順方向になる低周波交流電圧の半波の期間において、一方のスイッチング素子がオンしたときに、当該スイッチング素子が属する方の帰還回路要素の小容量コンデンサに昇圧した電圧として蓄積された電荷が第3および第4の整流素子のうち当該帰還回路要素に接続する方および当該スイッチング素子を介して放電する。次に当該スイッチング素子がオフし、他方のスイッチング素子がオンすると、他方の帰還回路要素に属する小容量コンデンサの充電電荷が他方のスイッチング素子を介して流れるので、交互に正負両極性に振れる昇圧した高周波電圧が発生する。この昇圧した高周波電圧が負荷に印加することによって負荷が付勢される。低周波交流電圧の極性が反転したときにも上記と同様な回路動作が、他方の帰還回路要素、そこに接続する方の第4または第3の整流素子および他方のスイッチング素子の閉回路と、一方の帰還回路要素、そこに接続する方の第3または第4の整流素子および一方のスイッチング素子の閉回路とにおいて行われる。
以上の説明によって理解できるように、低周波交流電源から流入する低周波交流が直接スイッチングされて変換される高周波電流と、半波の低周波交流電圧に重畳することにより昇圧して第1および第2の小容量コンデンサに帰還した直流エネルギーがスイッチングされて流れる高周波電流とが、負荷に通流するので、負荷は高周波電圧の印加により所定の作動を行う。そこで、高周波交流が通流する回路部分に負荷を接続すれば、負荷を昇圧した高周波電圧により付勢することができる。さらに要すれば、帰還された直流エネルギーがスイッチングされて変換された高周波電流が通流する回路部分に共振回路を接続して、共振出力によって負荷を付勢するように構成することができる。
また、本発明においては、低周波交流電源から流入する入力電流が低周波交流電圧の各半波の全期間を通じて休止期間を生じることなくなるか、生じても短い期間となり、しかも正弦波状をなすので、高調波ひずみが極めて少なくなる。なお、発生する高周波電圧の包絡線は、正弦波状に変化する。
さらに、本発明においては、チョッパ回路の帰還回路が一対のスイッチング素子とは別に配設されるので、スイッチング素子としてFETを用いるとしても、その寄生ダイオードを経由して帰還させる必要がないために、高効率化される。あるいは、スイッチング素子に帰還用のダイオードを並列接続しなくてもよいので、スイッチング素子やその駆動回路などが密集した位置近傍に帰還回路を実装する必要性がなくなるために、配線基板設計における実装自由度が向上する。
さらにまた、インダクタに蓄積された磁気エネルギーを一対のスイッチング素子を経由しないで平滑コンデンサの直流エネルギーに転換して、これを高周波発生の電源とするので、高効率で、しかも回路設計の自由度が高くなる。
さらにまた、第1および第2の小容量コンデンサの充電回路は、一対のスイッチング素子が高周波のスイッチングを開始する以前には存在しないので、低周波交流電源の投入時の突入電流が発生しなくなるとともに、低周波交流電圧の半波の全期間にわたって入力電流がほぼ正弦波状に流入する。このため、電源容量や配線容量に余裕が生じるとともに、入力電流の休止期間が生じないので、高調波ひずみが少なくなる。
<その他の構成について> 本発明の必須構成要件ではないが、以下の構成を付加することにより、より実用的な高周波インバータ装置やこれを用いた放電ランプ点灯装置を得ることができる。
1.(共振回路について) 共振回路は、一対のスイッチング素子の交互スイッチングにより形成された高周波電圧に共振して高周波インバータ装置の負荷回路を提供する。共振回路は、インダクタおよびコンデンサにより形成される。なお、「インダクタ」とは、インダクタンスを有する回路手段を意味し、チョークコイルのようなものに限定されない。したがって、1次側から見て適当なインダクタンスを有すればトランスなどであってもよい。そうして、共振回路は、負荷、例えば放電ランプの始動時には共振により高電圧を形成して、これを負荷に印加することによりその始動を促進するとともに、高周波電圧の波形を正弦波に整形する。
2.(高周波ノイズフィルタ回路) 高周波ノイズフィルタ回路は、高周波インバータ装置の作動により発生した高周波ノイズが低周波交流電源側へ流出するのを防止する回路手段であり、低周波交流電源と高周波インバータ装置の入力端との間に直並列接続することができる。
3.(平滑コンデンサ) 一対のスイッチング素子の直列回路に並列に平滑コンデンサを接続することにより、負荷に印加される高周波電圧の包絡線波形のリップル成分を低減させることができる。
請求項2の発明の放電ランプ点灯装置は、請求項1記載の高周波インバータ装置と;高周波インバータ装置の出力端間に接続された放電ランプと;を具備していることを特徴としている。
放電ランプは、高周波インバータ装置を主体として構成される放電ランプ点灯装置の負荷として作動する。放電ランプは、どのようなものでもよく、例えば蛍光ランプなどの低圧放電ランプやメタルハライドランプなどの高圧放電ランプを用いることができる。また、放電ランプは、高周波電圧の共振出力が印加されるような回路上の位置に接続される。例えば、ブリッジ形整流・変換回路の一対のスイッチング素子を共有し、かつ、ブリッジ形整流・変換回路と並列的な関係に共振回路を備えたハーフブリッジ形インバータ回路を構成して、共振回路のインダクタと並列的に、または直列的に放電ランプを接続することができる。また、チョッパ回路のインダクタを一方の共振要素の全部または一部とする共振回路をブリッジ形整流・変換回路の一部を共有して形成して、上記インダクタと並列的または直列的に放電ランプを接続することができる。なお、上記の接続態様において、高周波成分のみを選択して抽出するために、インダクタに2次巻線を巻装して出力トランスを構成し、当該出力トランスを経由して放電ランプを付勢するのが望ましい。
放電ランプは、例えば以下に示すような多様な接続の態様であることを許容する。
(1)ブリッジ形整流・変換回路の交流入力端間において例えば出力トランスを兼ねるインダクタの両端に接続する態様。
(2)インダクタおよび低周波交流電源と直列に接続する態様。
(3)小容量コンデンサを電源とする一対のスイッチング素子を含むハーフブリッジ形インバータを構成してその出力端に接続する態様。
そうして、本発明においては、低周波交流電源を投入すると、低周波交流電圧がブリッジ形整流・変換回路およびチョッパ回路により整流平滑化され、さらに高周波電圧に変換されて放電ランプに印加されるので、放電ランプは高周波点灯する。
なお、本発明の必須構成要件ではないが、所望によりイグナイタを付加することができる。イグナイタは、放電ランプの始動のために、負荷回路の共振回路による共振電圧だけでは不足の場合に用いれら、高周波インバータを主体とする放電ランプ点灯装置において、放電回路に対して別設され、そこから発生する高電圧パルスが放電ランプに印加されるように放電回路に接続することができる。
請求項1の発明によれば、正負両極性の低周波交流電源電圧を高周波でスイッチングする中性点形降圧非反転インバータを備え、帰還電圧が低周波交流電圧に重畳することにより昇圧した高周波電圧が得られるとともに、同一特性の一対のスイッチング素子を用いることができて、第1および第2の帰還回路要素のコンデンサが小容量であるため入力電流に休止期間が短くなるので、高調波ひずみが少なくて、しかも回路構成が簡単な高周波インバータ装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1による効果を奏する放電ランプ点灯装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置を実施するための第1の形態を示す回路図である。図において、高周波インバータ装置HFIは、ブリッジ形整流・変換回路BRC、チョッパ回路BCH、ならびに第3および第4の整流素子D5、D6からなる。また、放電ランプ点灯装置DLOは、高周波インバータ装置HFIおよび放電ランプDLからなり、放電ランプDLを高周波点灯する。なお、ACは低周波交流電源である。
ブリッジ形整流・変換回路BRCは、一対のスイッチング素子Q1、Q2の直列回路と、一対の整流素子D1、D2の直列回路とを順方向の閉回路を形成するように並列接続して形成され、一対のスイッチング素子Q1、Q2の接続点j1と、一対の整流素子D1、D2の接続点j2との間が交流入力端となる。図示のブリッジ形整流・変換回路BRCの交流入力端j1、j2には、低周波交流電源ACが後述するインダクタL1および負荷である放電ランプDLを直列に介して接続している。
チョッパ回路BCHは、インダクタL1、帰還回路FBCおよび一対のスイッチング素子Q1、Q2からなる。インダクタL1は、ブリッジ形整流・変換回路BRCの交流入力端j1、j2間において低周波交流電源ACおよび放電ランプDLとともに直列接続している。帰還回路FBCは、第1および第2の帰還回路要素FB1、FB2からなる。第1の帰還回路要素FB1は、第1の整流素子D3および第1の小容量コンデンサC1の直列回路からなり、インダクタL1および低周波交流電源ACの直列部分に並列接続している。同様に第2の帰還回路要素FB2は、第2の整流素子D4および第2の小容量コンデンサC2の直列回路からなるが、インダクタL1および低周波交流電源ACの直列部分に対して第1の整流素子D3とは逆極性になるような極性において並列接続している。一対のスイッチング素子は、その一方がインダクタL1および第1の帰還回路要素FB1と協働して、主として接続点j2がプラスとなる低周波交流電源ACの一方の極性となる半波の間に昇圧チョッパ的な動作を行う。同様に他方のスイッチング素子Q2は、主としてインダクタL1および第2の帰還回路要素FB2と協働して、接続点j1がプラスとなる他方の極性となる半波の間に昇圧チョッパ的な動作を行う。
第3および第4の整流素子D5、D6は、チョッパ回路BCHの直流出力電流すなわち第1および第2の小容量コンデンサC1、C2に蓄積された電荷を放電電流としてスイッチング素子Q1、Q2に供給して高周波に変換するための放電回路を提供する。すなわち、第3の整流素子D5は、第1の小容量コンデンサC1の電荷がスイッチング素子Q1および負荷DLを経由して流れるように放電回路を提供する。同様に第4の整流素子D6は、第2の小容量コンデンサC2の電荷がスイッチング素子Q1および負荷DLを経由して流れるように放電回路を提供する。
次に、本形態における回路動作について説明する。
ブリッジ形整流・変換回路BRCの回路動作は次のとおりである。すなわち、低周波交流電源ACが投入されて、一対のスイッチング素子Q1、Q2が高周波で交互にスイッチング動作を行うと、低周波交流電源ACの電圧の極性が整流素子D1の順方向に一致する期間、したがって接続点j2がプラスとなる半波の期間中、低周波交流電源AC、整流素子D1、一方のスイッチング素子Q1、放電ランプDL、チョッパ回路BCHのインダクタL1および低周波交流電源ACの閉回路内を一方のスイッチング素子Q1がオンのとき電流が流れ、負荷Lの両端に間欠的に電圧降下を生じる。換言すれば、低周波交流電源ACから放電ランプDLに対して高周波パルス状の低周波交流電流が一方向に間欠的に流れる。
一方のスイッチング素子Q1の上記したスイッチング動作において、一方のスイッチング素子Q1がオンしている期間中チョッパ回路BCHのインダクタL1を流れる電流が直線的に増大する。次に、一方のスイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1にはそこに流れていた電流を継続させようと逆起電力が発生する。そして、インダクタL1、低周波交流電源AC、第1の帰還回路要素FB1における第1の整流素子D3、第1の小容量コンデンサC1およびインダクタL1の閉回路内を電流が流れて、第1の小容量コンデンサC1が充電される。このとき、低周波交流電源ACは、第1の整流素子D3が順方向となる極性であるから、第1の小容量コンデンサC1は、低周波交流電源ACの当該極性における半波の電圧が重畳した状態、換言すれば低周波交流電圧の半波分だけ昇圧した状態で充電される。
次に一方のスイッチング素子Q1が再びオンしたときに、第1の小容量コンデンサC1の電荷は、第1の小容量コンデンサC1、第3の整流素子D5、スイッチング素子Q1、放電ランプDLおよび第1の小容量コンデンサC1からなる閉回路すなわち放電回路内を高周波電流として流れる。このとき、第1の小容量コンデンサC1の電圧が低周波交流電源ACの半波の電圧に重畳することによって予め昇圧しているので、発生する高周波電圧もまた昇圧したものとなる。
さて、低周波交流電源ACの電圧の極性が反転して整流素子D2の順方向に一致する期間、したがって接続点j1がプラスとなる半波の期間中、他方のスイッチング素子Q2がオンすると、低周波交流電源AC、インダクタL1、放電ランプDL、他方のスイッチング素子Q2、整流素子D2および低周波交流電源ACの閉回路内を電流が流れ、放電ランプDLの両端に間欠的に電圧降下を生じる。換言すれば、低周波交流電源ACから放電ランプDLに高周波パルス状の低周波交流電流が反対方向に間欠的に流れる。したがって、ブリッジ形整流・変換回路BRCの交流入力端j1、j2間に流れる高周波成分が放電ランプDLに供給されるので、放電ランプDLは高周波で付勢される。
次に、他方のスイッチング素子Q2オフすると、チョッパ回路BCHのインダクタL1に生じた逆起電力が低周波交流電圧の半波の電圧に重畳して第2の帰還回路要素FB2における第2の小容量コンデンサC2に電荷として蓄積される。そして、再び他方のスイッチング素子Q2がオンしたときに、第2の小容量コンデンサC2、放電ランプDL、他方のスイッチング素子Q2、第4の整流素子D6および第2の小容量コンデンサC2の閉回路すなわち放電回路内を電荷が放電して高周波電流が放電ランプDLを流れる。このとき、第2の小容量コンデンサC2は、上記のように低周波交流電源ACの当該極性における半波の電圧分だけ昇圧した状態で充電されているから、発生する高周波電圧も昇圧している。
そうして、高周波インバータ装置の定常動作状態においては、チョッパ回路BCHの第1および第2の帰還回路要素FB1、FB2の第1および第2の小容量コンデンサC1、C2がそれぞれ帰還電圧に低周波交流電圧の半波の電圧が加算した値、したがって昇圧した状態で充電されており、第1のスイッチング素子Q1がオンすると、第1の小容量コンデンサC1の電荷が第3の整流素子D5、スイッチング素子Q1および放電ランプDLを介して短時間だけ放電する。
次に、スイッチング素子Q1がオフして、スイッチング素子Q2がオンすると、第2の帰還回路要素FB1の第2の小容量コンデンサC2の電荷が第4の整流素子D6、スイッチング素子Q2および放電ランプDLを介して上記と反対の方向に短時間流れるので、放電ランプDLには正負両極性の高周波の負荷電流が流れ、放電ランプDLの両端に正負両極性の高周波の負荷電圧が現れる。このときの負荷電圧は、昇圧した高周波電圧になっている。そのため、放電ランプDLは、所要に昇圧した電圧で高周波点灯を行うことができる。
以下、図2ないし図4を参照して本発明を実施するための他の形態を説明する。なお、各図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
図2は、本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置を実施するための第2の形態を示す回路図である。本形態は、チョッパ回路BCHの帰還回路FBCにおける第1および第2の整流素子D3、D4と第1および第2の小容量コンデンサC1、C2とのインダクタL1に対する接続位置が反対になっている点で異なる。
そうして、本形態においても、その回路動作は、図1に示す第1の形態におけるそれとほぼ同様である。また、帰還回路FBCの第1および第2の帰還回路要素FB1、FB2の回路動作が低周波交流電圧の各半波の極性に対して図1とは逆になる。すなわち、接続点j2がプラスとなる低周波交流電圧の半波において、入力電流の低周波交流電流に対する帰還動作は、主として第2の帰還回路要素FB2が担当し、また接続点j1がプラスとなる低周波交流電圧の半波において、入力電流の低周波交流電流に対する帰還動作は、主として第1の帰還回路要素FB1が担当する。
図3は、本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置における第3の形態を示す回路図である。本形態は、チョッパ回路BCHのインダクタL1を経由して放電ランプDLを点灯するように構成されている点で異なる。すなわち、チョッパ回路BCHのインダクタL1は、出力トランスOTを構成していて、出力トランスOTの2次巻線に負荷である放電ランプDLが接続されている。
そうして、第3の実施の形態においては、放電ランプDLは、インダクタL1の両端間に現れる高周波電圧が出力トランスOTの1次:2次巻数比に応じた昇圧比で変圧された電圧より点灯する。したがって、負荷である放電ランプDLに印加する2次電圧を所望の値まで昇圧または降圧することができる。
図4は、本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置における第4の形態を示す回路図である。本形態は、チョッパ回路BCHのインダクタL1が出力トランスOTを構成していて、出力トランスOTの2次巻線に負荷である放電ランプDLが接続されている点は図4に示す第3の形態と同様であるが、チョッパ回路BCHの帰還回路FBCにおける第1および第2の整流素子D3、D4と第1および第2の小容量コンデンサC1、C2とのインダクタL1に対する接続位置が反対になっている点は図3に示す第2の形態と同様な構成である。
本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置を実施するための第1の形態を示す回路図 本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置を実施するための第2の形態を示す回路図 本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置を実施するための第3の形態を示す回路図 本発明の高周波インバータ装置および放電ランプ点灯装置を実施するための第4の形態を示す回路図
符号の説明
AC…低周波交流電源、BCH…チョッパ回路、BRC…ブリッジ形整流・変換回路、C1…第1の小容量コンデンサ、C2…第2の小容量コンデンサ、D3……第1の整流素子、D4……第2の整流素子、D5……第3の整流素子、D6……第3の整流素子、DL…放電ランプ、DLO…放電ランプ点灯装置、FB1…第1の帰還回路要素、FB2…第2の帰還回路要素、FBC…帰還回路、HFI…高周波インバータ装置、j1、j2……接続点、L1…インクタ、Q1、Q2…スイッチング素子

Claims (2)

  1. 高周波で交互にスイッチングする一対のスイッチング素子の直列回路および一対の整流素子の直列回路を並列接続して形成されるとともに、その一対のスイッチング素子の接続点と一対の整流素子の接続点との間に形成された交流入力端間に低周波交流電源が接続するブリッジ形整流・変換回路と;
    ブリッジ形整流・変換回路の低周波交流電流と高周波電流とがともに双方向に流れる回路上の位置に交流入力端間と直列に挿入されたインダクタ、第1の整流素子および第1の小容量コンデンサの直列回路を含み上記インダクタおよび交流入力端の直列部分に並列接続した第1の帰還回路要素と上記インダクタに対する極性が第1の整流素子と逆の極性を有する第2の整流素子および第2の小容量コンデンサの直列回路を含み上記インダクタおよび交流入力端の直列部分に並列接続した第2の帰還回路要素とを有する帰還回路、ならびに前記一対のスイッチング素子を備えたチョッパ回路と;
    チョッパ回路における帰還回路の第1の整流素子および第1の小容量コンデンサの接続点と一対のスイッチング素子の直列回路の一端との間に介在する第3の整流素子、ならびに帰還回路の第2の整流素子および第2の小容量コンデンサの接続点と一対のスイッチング素子の直列回路の他端との間に介在する第4の整流素子と;
    を具備していることを特徴とする高周波インバータ装置。
  2. 請求項1記載の高周波インバータ装置と;
    高周波インバータ装置の出力端間に接続された放電ランプと;
    を具備していることを特徴とする放電ランプ点灯装置。
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