JP4239228B2 - ステロール誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用な新規ステロール誘導体とそれを用いた液晶組成物及びそれを構成要素とする液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知られているが、このうち現在最もよく用いられているのはTN型およびSTN型である。また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、さらに単純マトリックス方式、最近では高精細表示の可能なアクティブマトリックス方式が実用化されている。
【0003】
この上記TN型あるいはSTN型液晶表示に用いられる液晶材料には、通常ネマチック液晶に少量の光学活性な液晶性化合物をドーパントとして添加したキラルネマチック液晶が用いられているが、この光学活性液晶性化合物には以下のような特性が要求されている。
イ)少量の添加でも充分な螺旋を誘起すること。
ロ)極性が小さく、化学的に安定であること。
ハ)螺旋ピッチの温度依存性が小さいこと。
ニ)閾値電圧を高くしないこと。
【0004】
また、現在汎用されている光学活性液晶性化合物の例を以下にあげる。
【0005】
【化2】
Figure 0004239228
【0006】
しかしながら、これらのうち(A)、(B)及び(C)の化合物では、ともに化学的には比較的安定であるにもかかわらず、その分子内にシアノ基やエステル基など極性の強い基が存在するため、例えば上述のアクティブマトリックス駆動を行った場合、高い電圧保持率を得難いという問題点があった。また、これらの化合物は特にアクティブマトリックス駆動用のホスト液晶と比較すると高極性のため、その混合物を例えばシリカゲル等の吸着剤を用いて精製した場合に、その組成比が減少し、ピッチの再調整が必要となる等の問題点も存在した。
【0007】
また(D)等のエーテル系の光学活性な液晶化合物では分子中に極性の強い基を含まないため、比較的高い電圧保持率を得ることも可能である。しかしながら、(D)の誘起する螺旋のピッチは前記(B)や(C)等と比較するとかなり長いという問題点があり、充分とはいえなかった。
【0008】
低極性でかつ螺旋ピッチの短い化合物を得るためには、例えば(C)のようにステロイド骨格を有するアルコール(ステロール類)をアルキルエーテルとすることが考えられる。しかしこうして得られたステロールのアルキルエーテルでは対応するアルカン酸エステルと比較するとそのピッチが2倍程度に長くなってしまい実用上充分とはいえなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は以上の目的に応じ、ネマチック液晶に少量添加することにより充分短い螺旋ピッチを誘起し、かつ化学的に安定であってシアノ基やエステル基といった極性基を含まず、アクティブマトリックス駆動を行っても充分な電圧保持率が得れらるような、新規な光学活性液晶性化合物を提供することにあり、さらにそれを用いた液晶組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、
1.一般式(I)
【0011】
【化3】
Figure 0004239228
【0012】
(式中、Stはステロール骨格を表す。)で表されるステロール誘導体。
2.一般式(I)においてStが分子内に二重結合を含まないステロール骨格を表すところの上記1記載のステロール誘導体。
3.一般式(I)においてStがコレスタノール骨格を表すところの上記2記載のステロール誘導体。
4.上記1、2又は3記載の一般式(I)で表されるステロール誘導体を少なくとも1種含有するところの液晶組成物。
5.キラルネマチック相を呈するところの上記4記載の液晶組成物。
6.上記4又は5記載の液晶組成物を構成要素とする液晶素子。
7.アクティブマトリックス駆動を行うところの上記6記載の液晶素子。
を前記課題の解決手段として見出した。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一例について説明する。
本発明は、一般式(I)
【0014】
【化4】
Figure 0004239228
【0015】
で表されるステロール誘導体を提供する。
式中、Stはステロール骨格を表すが、分子内に二重結合を含まないステロール骨格が好ましく、特にコレスタノール骨格が好ましい。
【0016】
一般式(I)で表される各化合物は例えば以下のようにして製造することができる。
一般式(II)
【0017】
【化5】
Figure 0004239228
【0018】
(式中、Stは一般式(I)におけると同じ意味を表す。)で表されるステロールを塩基存在下に二硫化炭素、次いで一般式(III)
【0019】
【化6】
Figure 0004239228
【0020】
(式中、R’は低級アルキル基を表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、あるいはp−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)で表される化合物と反応させることにより一般式(IV)
【0021】
【化7】
Figure 0004239228
【0022】
(式中、R’及びStは前述の意味を表す。)で表されるジチオ炭酸エステルを得る。これをフッ化物イオン源存在下に酸化剤と反応させることにより一般式(I)の化合物を得ることができる。
【0023】
ここで、フッ化物イオン源としては二水素三フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAH23)、フッ化水素−ピリジン錯体(HF/Py)、フッ化水素−メラミン錯体(HF−Mel)等が好ましい。
【0024】
また、酸化剤としてはハロニウムイオン発生剤が好ましく、特にN−ヨードこはく酸イミド(NIS)、N−ブロモこはく酸イミド(NBS)、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBH)等が取り扱い容易で好ましい。
【0025】
斯くして製造される一般式(I)で表される化合物の多くは、液晶性は示さないが、通常用いられる液晶化合物あるいは組成物との相溶性に優れており、保存中に析出や相分離が生じる危険性は小さい。しかも、そのホスト液晶に対する添加量は通常少量で充分であり、その範囲では液晶相温度範囲を狭くすることもほとんどない。
【0026】
従って、一般式(I)で表される化合物は他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、TN型あるいはSTN型といった電界効果型表示セルの材料として、好適に使用することができる。しかも一般式(I)で表される化合物はその分子内にシアノ基やエステル結合などの強い極性基を有さないため、大きい比抵抗と高い電圧保持率を得ることが容易である。そのため、アクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分としても適している。本発明はその第二として、このように一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種類をその構成成分として含有する液晶組成物を提供するものであり、さらにその第三としてこの液晶組成物を使用して構成された液晶素子を提供するものである。
【0027】
この組成物中において、一般式(I)で表される化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が側方置換基を有する化合物等を挙げることができる。
【0028】
このうちアクティブマトリックス駆動用としては4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン及び上記においてベンゼン環がフッ素置換されている化合物が適している。
【0029】
一般式(I)の化合物を液晶組成物の構成成分として用いることの優れた効果は以下のように明らかである。
ホスト液晶(H)
【0030】
【化8】
Figure 0004239228
【0031】
(等量混合物。シクロヘキサン環はトランス配置を表す。)はネマチック液晶材料として汎用のn型液晶化合物からなり、そのN相の上限温度(TN-I)は73.8℃である。このホスト液晶(H)の99重量%と、本発明の一般式(I)の化合物である(I−1)
【0032】
【化9】
Figure 0004239228
【0033】
の化合物1重量%からなるキラルネマチック(N*)液晶組成物(H−1)を調製したところ、そのN*相の上限温度は72℃とほとんど変化しなかった。この(H−1)の室温(25℃)における螺旋のピッチは15.9μmと短いものであった。これはホスト液晶(H)の99重量%と、前述の(C)の化合物1重量%とからなる液晶組成物(H−C)の螺旋ピッチ15.9μmと同じ値であった。
【0034】
次に、ホスト液晶(H)99重量%と、(I−1)の化合物に換えて、類似の骨格構造を有するが、メチルエーテルである化合物(E)
【0035】
【化10】
Figure 0004239228
【0036】
の化合物1重量%からなるN*液晶組成物(H−E)を調製したところ、そのN*相の上限温度は72℃で(H−1)とほとんど変化がなかったが、その室温(25℃)における螺旋のピッチは39.2μmと2倍以上に長くなってしまった。
【0037】
次にアクティブマトリックス駆動用低粘性液晶として好適なホスト液晶(M)
【0038】
【化11】
Figure 0004239228
【0039】
(等量混合物。シクロヘキサン環はトランス配置を表す。)を調製した。このホスト液晶(M)の80℃における電圧保持率は97.5%である。これに(I−1)の化合物を2%添加してN*液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)の80℃における電圧保持率を測定したところ97.4%とほとんど低下していなかった。
【0040】
次に、この(M−1)5.0gをヘキサン20mlに溶解し、高さ15cmのカラムに充填したシリカゲル25gに吸着させ、ついでヘキサン300mlで溶出させた。溶質を含むフラクションを併せ濃縮して(M−1)5.0gを回収した。この回収した組成物のピッチを測定したところ、室温(25℃)において、8.0μmであった。カラム処理する前の(M−1)を用いて同様に測定したピッチは8.0μmであったのでカラム精製によりほとんど変化していないことがわかる。
【0041】
これに対し、前述の(C)の化合物をホスト液晶(M)に同量(2%)添加して、N*液晶組成物(M−C)を調製し同様にして80℃における電圧保持率を測定したところ97%と(M−1)と比較して若干低下した。また、この組成物を同様にシリカゲルカラムによる精製を行い、その室温におけるピッチを測定したところ、10μmであった。カラム処理する前の(M−C)を用いて同様に測定したピッチは8.0μmであったのでカラム精製により変化(増大)したことになる。
【0042】
以上のように本発明の一般式(I)の化合物はホスト液晶に添加することにより、その温度範囲をほとんど狭くすることなく、少量の添加でも充分短い螺旋ピッチをするという特性を有する。さらにアクティブマトリックス用組成物に用いた場合、容易に高い電圧保持率を得ることが可能であり、しかもホスト液晶材料と同様に低い極性を有するため、組成物のシリカゲルカラム精製を行ってもその組成比が変化せず、従ってピッチも変化せずその再調整の必要もないことがわかる。従って、本発明の一般式(I)の化合物は、ネマチック液晶用キラルドーパントとして、特にアクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として、非常に優れていることがわかる。
【0043】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡および示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR及び19F−NMR)、質量スペクトル(MS)等により確認した。NMRにおけるCDCl3は溶媒を表し、Me4Si及びCFCl3は内部標準を表し、sは1重線、mは多重線を表し、Jはカップリング定数を表す。また、組成比における%はすべて重量%を表す。
(実施例1) β−コレスタニルトリフルオロメチルエーテル(I−1)の合成
【0045】
【化12】
Figure 0004239228
【0046】
(1−イ) O−β−コレスタニルジチオ炭酸−S−メチルの合成
β−コレスタノール15.6g(40mmol)のテトラヒドロフラン(THF)120mL溶液を氷冷で冷却し、激しく撹拌下に水素化ナトリウム(60%,1.92g,48mmol)を徐々に加えた後、室温で1時間撹拌した。反応溶液に二硫化炭素4.8mL(80mmol)を滴下し、室温でさらに10時間撹拌した。反応懸濁液にヨウ化メチル6.0mL(48mmol)を徐々に滴下し、滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗滌後、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。有機層をセライト濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。得られた黄色の固形物をヘキサン/エタノール混合溶媒から再結晶させて、O−β−コレスタニルジチオ炭酸−S−メチル17.7g(37.1mmol)を得た。(収率93%)
1H−NMR(200MHz,CDCl3,Me4Si):δ=0.60〜2.15(m,47H),2.53(s,3H),5.38〜5.60(m,1H)
13C−NMR(50.3MHz,CDCl3,Me4Si):δ=12.1,12.2,18.7,18.8,21.2,22.5,22.8,23.8,24.2,26.8,28.0,28.2,28.6,32.0,33.3,35.5,35.8,36.2,36.7,39.5,40.0,42.6,44.6,54.2,56.3,56.4,83.6,215.2
(1−ロ) β−コレスタニルトリフルオロメチルエーテル(I−1)の合成
NBS2.67g(15.0mmol)のジクロロメタン10mL溶液を−42℃に冷却した。これにピリジン1.5mL、次いで70%HF/Py3.0mLを滴下した。滴下終了後、反応溶液を氷冷し、5分間激しく撹拌させた。氷冷下、(1−イ)で得られたO−β−コレスタニルジチオ炭酸−S−メチル1.43g(2.98mmol)のジクロロメタン6mL溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌させ、炭酸水素ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム/亜硫酸水素ナトリウム水溶液(pH=10)を加えて反応を停止した。ジエチルエーテルで3回抽出し、有機層を併せ、飽和食塩水で洗滌後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。セライト濾過後、濾液を減圧濃縮し残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン)で精製して、表記のβ−コレスタニルトリフルオロメチルエーテル(I−1)327mg(0.717mmol)を得た。(収率24%)
融点:97〜98℃
1H−NMR(200MHz,CDCl3,Me4Si):δ=0.60〜2.15(m,47H),4.05〜4.20(m,1H)
19F−NMR(188MHz,CDCl3,CFCl3):δ=−58.0(s,3F)
(実施例2) 液晶組成物の調製と螺旋ピッチの測定
ネマチック相を示すホスト液晶(H)
【0047】
【化13】
Figure 0004239228
【0048】
(等量混合物。シクロヘキサン環はトランス配置を表す。)を調製した。ホスト液晶(H)はネマチック液晶材料として汎用のn型液晶化合物からなり、そのN相の上限温度(TN-I)は73.8℃である。この99%と実施例1で得られた(I−1)の化合物1%からなるキラルネマチック(N*)液晶組成物(H−1)を調製したところ、そのN*相の上限温度は72℃とほとんど変化しなかった。次に、この(H−1)をくさび形セルに充填し、その室温(25℃)における螺旋のピッチを測定したところ、15.9μmと短い値であった。
(比較例1)
実施例2において(I−1)の化合物に換えて、現在液晶用キラル添加剤として汎用されているノナン酸コレステリル(C)
【0049】
【化14】
Figure 0004239228
【0050】
を用いて、同様にしてキラルネマチック(N*)液晶組成物(H−C)を調製し、同様にしてその室温(25℃)における螺旋のピッチを測定したところ、15.9μmと(H−1)と同じ値であった
(比較例2)
実施例2において(I−1)の化合物に換えて、(I−1)と類似した化学構造を有するが、メチルエーテルである化合物(E)
【0051】
【化15】
Figure 0004239228
【0052】
を同量(1%)添加してN*液晶組成物(H−E)を調製した。(H−E)のN*相の上限温度は72℃で(H−1)とほとんど変化がなかったが、同様にしてその室温(25℃)における螺旋のピッチを測定したところ、39.2μmと(H−1)と比較して2倍以上に長くなってしまった。
(実施例3) 液晶組成物の調製と保持率の測定、及びカラム後のピッチの変化
アクティブマトリックス駆動用低粘性液晶として好適なホスト液晶(M)
【0053】
【化16】
Figure 0004239228
【0054】
(等量混合物、シクロヘキサン環はトランス配置を表す。)を調製した。この組成物の80℃における電圧保持率は97.5%であった。このホスト液晶(M)の98%に(I−1)の化合物を2%添加してN*液晶組成物(M−1)を調製した。この(M−1)の80℃における電圧保持率を測定したところ97.4%であり、ホスト液晶(M)と比較してほとんど低下していなかった。
【0055】
次に、この(M−1)5.0gをヘキサン20mlに溶解し、高さ15cmのカラムに充填したシリカゲル25gに吸着させ、ついでヘキサン300mlで溶出させた。溶質を含むフラクションを併せ、減圧下に濃縮して(M−1)5.0gを回収した。この回収した組成物のピッチを測定したところ、室温(25℃)において、8.0μmであった。カラム処理する前の(M−1)を用いて同様に測定したピッチは8.0μmであったのでカラム精製により変化していないことがわかる。
【0056】
従って、(M−1)は特に実用的なアクティブマトリックス駆動用液晶組成物として優れた特性を有していることがわかる。
(比較例3)
実施例2において、(I−1)に換えて、前述の(C)の化合物をホスト液晶(M)に同量(2%)添加して、N*液晶組成物(M−C)を調製した。この組成物の80℃における電圧保持率は97%とホスト液晶(M)及び(M−1)と比較して若干低下した。
【0057】
次に、この組成物5.0gを同様にしてシリカゲルカラムを通して回収した。その室温におけるピッチを測定したところ、10μmであった。カラム処理する前の(M−C)を用いて同様に測定したピッチは8.0μmであったのでカラム精製により変化(増大)したことになる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、実施例に示したように工業的にも容易に製造でき、熱、光、水等に対し化学的に安定であり、ネマチック液晶として現在汎用されているホスト液晶との相溶性にも優れている。しかも、ホスト液晶に添加することにより、その温度範囲を狭くすることなく、少量の添加でも充分短い螺旋ピッチを誘起するという特性を有する。さらに分子内にシアノ基やエステル結合などの極性基が存在しないため、アクティブマトリックス用組成物に用いた場合、容易に高い電圧保持率を得ることが可能であり、しかもホスト液晶材料と同様の低極性化合物であるため、組成物のシリカゲルカラム精製を行ってもその組成比が変化しないので、ピッチも変化せずその再調整の必要もない。従って、本発明の一般式(I)の化合物は、ネマチック液晶用キラルドーパントとして、特にアクティブマトリックス駆動用液晶材料の構成成分として、特に有用である。

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004239228
    (式中、Stはステロール骨格を表す。)で表されるステロール誘導体を少なくとも1種含有するところの液晶組成物。
  2. 一般式(I)においてStが分子内に二重結合を含まないステロール骨格を表すところの請求項1記載のステロール誘導体を少なくとも1種含有するところの液晶組成物。
  3. 一般式(I)においてStがコレスタノール骨格を表すところの請求項2記載のステロール誘導体を少なくとも1種含有するところの液晶組成物。
  4. キラルネマチック相を呈するところの請求項1、2又は3記載の液晶組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の液晶組成物を構成要素とする液晶素子。
  6. アクティブマトリックス駆動を行うところの請求項記載の液晶素子。
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