JP4238566B2 - 自動車のスペアタイヤ保持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のスペアタイヤを保持する装置に関する。
【0002】
【従来技術】
【特許文献1】
特開平11−115834号公報
従来、自動車のスペアタイヤ保持装置としては、特開平11−115834号公報に開示されているように、車体下部に設けられた吊り索牽引装置から垂れ下がる吊り索の先端にタイヤ載架具を連結し、吊り索牽引装置でタイヤ載架具に載せたスペアタイヤを吊り上げて、スペアタイヤを車体下部に設けたタイヤ当て部材に当てて保持する構造が知られている。
【0003】
通常タイヤのサイドウォールは、車両の荷重に対する強度を上げるため外側に湾曲している形状になっているので、ディスクホイールのハブ孔周縁部は、タイヤのサイドウォール面より内側に位置する。そのため、スペアタイヤが吊り上げられると、タイヤのサイドウォール面が車体下部に当接してタイヤが保持されるが、ディスクホイールを載せているタイヤ載架具と車体下面との間には隙間が生じるので、前記隙間には吊り索の吊支部が存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スペアタイヤを吊り上げる際に吊り索が揺れながら上がっていくと、吊り上がったときに吊り索の吊支部が傾いたまま固定され、スペアタイヤが搭載される前後左右の位置精度にばらつきが発生する。その為、スペアタイヤの保持位置のばらつきを考慮し、車体下面のスペアタイヤと接する部分に設けられたタイヤ当て部材を大きくしなければならず、車体下部のレイアウトが制約される。
【0005】
そこで、本発明はスペアタイヤが吊り上って保持された状態において、吊り索の吊支部の車体下面に対する傾きを抑制し、スペアタイヤが搭載される位置の前後左右の精度を向上させることにより、タイヤ当て部材を小さくし、車体下部のレイアウトの自由度を高められる自動車のスペアタイヤ保持装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、吊り索の端部にスペアタイヤを支持するタイヤ支持具を連結し、車体に取付けられた吊り索牽引装置によって吊り上げ固定するスペアタイヤ保持装置において、スペアタイヤが保持された状態における吊り索の吊支部を被い、前記吊支部の車体下面に対する傾きを抑制するガイドを設け、当該ガイドは、少なくとも車体下部に当接する上側部材と、タイヤ支持具に当接する下側部材とからなり、前記下側部材は、前記上側部材に上下移動可能に取付けられることを特徴としている。
【0008】
請求項の発明にあっては、請求項に記載のスペアタイヤ保持装置において、前記ガイドは、車体下部と前記下側部材とに挟まれ弾性変形可能に配置される弾性体を有することを特徴としている。
【0009】
請求項の発明にあっては、請求項またはに記載のスペアタイヤ保持装置において、前記ガイドは、前記下側部材が前記上側部材の内側に取付けられることを特徴としている。
【0010】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、スペアタイヤが牽引され、車体下部に固定された状態で、吊支部を被うガイドによって牽引装置とタイヤ支持具との間に残る吊り索の吊支部の車体下面に対する傾きを抑制することにより、スペヤタイヤが車体下部に接する位置の前後左右の精度を向上させることができるので、車体下面のスペアタイヤと接する部分に設けるタイヤ当て部材を極力小さくすることができ、車体下部のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0011】
また、上記ガイドは、少なくとも車体下部に当接する上側部材と、タイヤ支持具に当接する下側部材とからなり、前記下側部材は、前記上側部材に上下移動可能に取付けられていることにより、タイヤ幅やオフセットの違いによって生じる吊支部の長さのばらつきを前記上側部材と前記下側部材の上下移動量によって調節することで、タイヤ幅やオフセットの異なるタイヤでも搭載することができる。
【0012】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、車体下部と前記下側部材との間に弾性変形可能に配置される弾性体を設けることにより、前記下側部材は、前記下側部材と車体下部とに挟まれ押圧された弾性体の弾発力により常にタイヤ支持具に押し付けられており、走行時の振動により前記下側部材が上下に振動し異音が発生することを防ぐことができる。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、請求項またはの発明の効果に加えて、前記下側部材が前記上側部材の内側に取付けられることにより、ガイドの下部でより内径が小さくなり、内部を貫通する吊り索に近接することから、ガイドの内部で吊り索が傾くことを防ぎ、吊支部の車体下面に対する傾きをより確実に抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態におけるスペアタイヤ保持装置の断面図、図2は、本発明の一実施形態におけるスペアタイヤ保持装置のスペアタイヤ保持状態を示す拡大断面図、図3本発明の一実施形態におけるスペアタイヤ保持装置のスペアタイヤ巻き上げ途中を示す拡大断面図である。
【0016】
図1〜3において、1は吊り索牽引装置である巻き上げ装置、2は吊り索であるチェーン、3はタイヤ支持具である載架具、4は吊り索の吊支部Aの車体下面に対する傾きを抑制するガイド、5はスペアタイヤ6に取付けられたディスクホイールを示す。また、7は車体フレーム横部材、8は車体フレーム縦部材、9は車体下面に設けられたタイヤ当て部材、FPはフロアパネル、RBは後部バンパーを示す。
【0017】
車体の左右の車体フレーム縦部材8の間には、断面略ハット形状の車体フレーム横部材7が架設されている。車体フレーム横部材7のハット形状内部には巻き上げ装置1が格納されており、巻き上げ装置1は、ケース11の天板が複数の取付けボルト13で車体フレーム横部材7に締結固定されている。また、巻き上げ装置1の巻き上げドラム12は巻き上げ装置ケース11、及び車体フレーム横部材7に回転可能に軸支されている。
【0018】
チェーン2は、巻き上げドラム12に巻き掛けられ、一方を巻き上げ装置1の下部に設けられたガイド4の内部を挿通し下方に垂れ下がっており、その先端にタイヤ載架具3が連結されている。
【0019】
タイヤ載架具3はスペアタイヤ6のディスクホイール5のハブ孔に貫通可能であり、タイヤ載架具3の両端部にスペアタイヤ6のディスクホイール5のハブ孔周縁部を載せる構成としている。
【0020】
ガイド4は、上側部材である円筒状の外筒41と、前記外筒41より口径の小さい下側部材である円筒状の内筒42と、弾性体であるコイルばね43とで構成されている。外筒41は巻き上げ装置ケース11の下部に複数の取付けボルト44で車体下面に対して垂直に固定されている。内筒42は、外筒41の上方から外筒41内部に挿通され、内筒42上面に外側へ向けて設けられた鉤部が、外筒41下面に内側へ向けて設けられた鉤部に引っ掛かることで支持されている。コイルばね43は、外筒41の上方から外筒41内部に挿入され、上面を巻き上げ装置ケース11の下面に、下面を内筒42の上面に夫々接するよう配置されている。チェーン2は、巻き上げ装置1から外筒41の内部に配置されたコイルばね43の内部及び内筒42の内部を挿通して下方に垂れ下がっている。
【0021】
スペアタイヤ6を搭載する場合は、図示を省略した回転工具を巻き上げドラム12の工具取付け部12aに係合し、回転工具を回転して、巻き上げドラム12を回転させることによって、チェーン2が巻き上げられ、スペアタイヤ6を載せたタイヤ載架具3が上方へ移動する。
【0022】
このとき、スペアタイヤ6に何らかの力が加わると、スペアタイヤ6が揺れながら巻き上げられ、チェーン2も前後左右に揺れながら巻き上げられる。しかしながら、図3で示すごとくに、チェーン2はガイド4の内筒42の下端を支点として揺れる一方、ガイド4の内部では、チェーン2の揺れが規制され車体下面に対して常に略垂直に保たれる。
【0023】
巻き上げられたタイヤ載架具3は、ガイド4の内筒42の下面に当接し、チェーン2の吊支部Aが全て外筒41及び内筒42に被われるため、チェーン2の吊支部Aが車体下面に対して略垂直に保たれる。
【0024】
また、タイヤ幅やオフセット幅の差異により、タイヤ載架具3が内筒42に当接してもなおスペアタイヤ6が車体下面に設けられたタイヤ当て部材9に達しない場合は、チェーン2がさらに巻き上げられることで、タイヤ載架具3が内筒42を押し上げる。内筒42は、外筒41に上下移動可能に取付けられているので、コイルばね43を押圧しながら押し上げられ、スペアタイヤが車体下面のタイヤ当て部材9に当接したところで止まる。内筒42は、略外筒41の長さ分の上下移動幅を有しているので、タイヤ幅やオフセット幅の差異を内筒42の上下移動幅で調節することで、搭載できるスペアタイヤの種類やサイズを増やすことができる。
【0025】
さらに、内筒42は、押圧されたコイルばね43の弾発力によりタイヤ載架具3に押し当てられているので、走行時の振動により内筒42が上下に振動することがなく、内筒42がディスクホイールに当たり異音が発生することを防ぐことができ、また、ディスクホイールに傷がつくことを防ぐことができる。
【0026】
したがって、上記によりチェーン2の吊支部Aの車体下面に対する傾きを抑制し、スペアタイヤ6の保持される位置が一定に保たれることによって、車体下面のタイヤ当て部材9を小さくすることができることで、車体下部のレイアウトの自由度を高めることができ、また、部品コストを低減し、部品重量を軽減することができる。
【0027】
また、タイヤ幅やオフセットの異なるスペアタイヤも搭載することができ、汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるスペアタイヤ保持装置の断面図
【図2】本発明の一実施形態におけるスペアタイヤ保持装置のスペアタイヤ保持状態を示す拡大断面図
【図3】本発明の一実施形態におけるスペアタイヤ保持装置のスペアタイヤ巻き上げ途中を示す拡大断面図
【符号の説明】
1 巻き上げ装置
2 チェーン
3 タイヤ載架具
4 ガイド
5 ディスクホイール
6 スペアタイヤ
7 車体フレーム横部材
8 車体フレーム縦部材
9 タイヤ当て部材
A 吊支部
FP フロアパネル
RB 後部バンパー

Claims (3)

  1. 吊り索の端部にスペアタイヤを支持するタイヤ支持具を連結し、車体に取付けられた吊り索牽引装置によって吊り上げ固定するスペアタイヤ保持装置において、スペアタイヤが保持された状態における吊り索の吊支部を被い、前記吊支部の車体下面に対する傾きを抑制するガイドを設け
    前記ガイドは、少なくとも車体下部に当接する上側部材と、タイヤ支持具に当接する下側部材とからなり、前記下側部材は、前記上側部材に上下移動可能に取付けられることを特徴とするスペアタイヤ保持装置。
  2. 前記ガイドは、車体下部と前記下側部材とに挟まれ弾性変形可能に配置される弾性体を有することを特徴とする請求項に記載のスペアタイヤ保持装置。
  3. 前記ガイドは、前記下側部材が前記上側部材の内側に取付けられることを特徴とする請求項またはに記載のスペアタイヤ保持装置。
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