JP4238435B2 - 熱定着型感熱記録体の定着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱定着型感熱記録体に関するものである。更に詳しくは加熱印字後、シートを加熱することにより未印字部の発色能力を減らし、その後に高熱がかかっても印字と未印字部のコントラストを保つことによって印字が判読可能である定着可能な感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録体は、一般に紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に、電子供与性ロイコ染料のような発色性物質と、電子受容性のフェノール性化合物等の有機酸性物質のような顕色性物質を主成分とする感熱記録層を設けたものであり、それらの発色成分を熱エネルギーによって反応させて記録画像を得ることができる。このような感熱記録体は特公昭43−4160号公報、特公昭45−14039号公報、及び特公昭48−27736号公報などに開示されており、広く実用化されている。
感熱記録体は、記録装置がコンパクトで安価でかつ保守が容易であることから、電子計算機のアウトプット、ファクシミリ、自動券売機、科学計測器のプリンター、あるいはCRT医療計測用のプリンター等に広範囲に使用されている。
【0003】
しかし、感熱記録体には2つの大きな欠点が存在した。1つは、支持体上に発色性染料物質、顕色性物質および結着剤を有効成分とする感熱記録層を塗工した従来のいわゆる染料型感熱記録体にあっては、発色反応が本質的に可逆的であるため、印字した感熱記録体を長期間にわたって保存しておくと印字が薄くなったり、消えたりするという印字の信頼性の問題である。この消色は曝光、高湿、高温雰囲気下(耐環境性)に加速され、さらに可塑剤および油等のような日常生活において手近に存在する化学物質との接触によって顕著に現れ、印字が読み取り不可能なレベルまで完全に消えてしまうこともあった。
【0004】
感熱記録体のもう1つの欠点は、1度情報を記録した感熱記録体の未印字部が加熱により常に発色可能であること、即ち定着処理がなされていない点である。従って、上記のような改良により印字の信頼性、保存性は向上しても、白紙の部分が加熱されれば、白紙が発色して印字を判読不能にする虞が常に存在する。本発明では、記録後に不必要な加熱が行われることを「再加熱」と表現し、それによる白紙部の発色を「再発色」と称する。
再加熱は日常生活の中でも、アイロンがけ、電子レンジでの加熱、煙草の火、あるいは火をつけようとするマッチやライターなどによって誤って行われることがある。また、故意または錯誤で、感熱記録装置により印字を追加することも、再加熱に含まれる。
再発色を防止する処理は一般に「定着」とよばれ、本発明でも「定着」とは、再発色防止のための処理を意味する。
【0005】
定着は、発色反応の原理上かなりの困難が伴うが、従来の技術としては以下のようなものが提案されている。まず、発色系にアゾ化合物を用いる試みが開示された(特開昭61−40192号公報、特開昭63−128981号公報、特開平7−88356号公報)。この技術での定着操作は、光をあてることによりアゾ化合物が分解し、発色能力を失う現象を利用した光照射により行なわれる。この方法は、定着後の白紙の再発色はほぼ完全に抑制されるという長所を有しているが、アゾ化合物が基本的に分解しやすいために、カプセル化をするなどの製造上にかなりの手間と工夫を要する。さらにアゾ化合物の発色、特に「黒色」は濃度が不足気味になる傾向が強く、印字コントラストが冴えないという欠点がある。また、光定着法を用いるシステムのために、印刷時にUVインクを用いることができない、印字前に紙を光にあてないように細心の注意が必要であるなどの欠点があり、加えて、光定着にはかなり照度の高い光源が必要であり、感熱システムの装置の小型化、メンテナンスフリーという特徴を充分に発揮できなくなる。さらに、光定着には比較的時間がかかるためトータルの印字速度があげにくいという問題もある。
【0006】
一方、最近、発色系にイミノ化合物とイソシアナート化合物を用いた系やアミノ化合物と芳香族イソシアナート化合物を用いた系をベースにし、加熱により未印字部のイソシアナート化合物を不活性化する技術が開示されている(特開平7−214900号公報、特開平8−80668号公報)。
これらの方法は、印字後に加熱処理により定着処理を行うという点において画期的であるが、開示されている内容によれば、感熱紙を100℃以上の高温に数分以上置く必要があり、トータルの記録速度はきわめて遅いものになるという欠点がある。さらにイミノ化合物とイソシアナート化合物の組み合わせは発色色調に制限があり、多様な色の印字物を発色、定着させるのは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題点を解決し、簡便な方法で定着でき、その定着性が良好で、特に、再加熱後の発色画像の保存性に優れた熱定着型感熱記録体を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。即ち、本発明の
第1の発明は「シート状基体、下塗り層、感熱記録層をこの順に有し、該感熱記録層は、無色又は淡色の染料前駆体と、該染料前駆体と加熱時に反応して発色させる顕色剤とを含有する感熱記録体を用い、顕色剤として、分子中に下記(1)〜(6)から選択される化学構造を有する化合物であり、かつ、下塗り層は、該顕色剤の顕色能を低減させる、融解温度が40℃以上の物質であって、脂肪族エステル化合物及び塩基性化合物から選択される少なくとも1種を含有する熱定着型感熱記録体を、感熱記録装置により記録した後、40℃以上の温度に10秒以下加熱することにより定着させることを特徴とする熱定着型感熱記録体の定着方法。
(1)スルホニルウレア基を含まないスルホンアミド基(−SO 2 NH−)。
(2)尿素(−NHCONH−)またはチオ尿素(−NHCSNH−)基。
(3)1分子中にフェノール構造を有し、かつ、少なくとも一つの酸素以外のヘテロ原子を有する化学構造。
(4)サリチル酸構造またはサリチル酸の金属塩構造。
(5)1分子中にフェノールまたはサリチル酸構造を有し、かつ分子量が1000以上の化学構造。
(6)1分子中に1つのスルホニルウレア置換基を有する化学構造。」である。
【0011】
本発明の第2の発明は、「前記第 1 の発明において、下塗り層には、更に、前記融解温度が40℃以上の物質とは異なる物質を含有する熱定着型感熱記録体の定着方法。」である。
【0012】
本発明の第3の発明は、「前記第1〜第2のいずれかの発明において、下塗り層と感熱記録層との間に、吸油性顔料を含有する中間層を有する熱定着型感熱記録体の定着方法」である。
【0014】
本発明の第4の発明は、「前記第1〜第3のいずれかの発明の定着方法を、加熱記録装置による記録後10秒以内に行うことを特徴とする熱定着型感熱記録体の定着方法」である。
【0015】
【発明の実施の形態】
<顕色剤について>
まず始めに、本発明で使用する顕色剤について説明する。
本発明において用いられる「発色後の画像耐溶剤性が高い顕色剤」は、顕色剤の顕色能力を低減させる物質、例えば油脂類や、可塑剤、さらに塩基性化合物が接触しても、比較的発色画像(印字情報)が残りやすいものである。この特性により、後述する定着操作により、顕色剤の顕色能力を低減させる物質が接触してもその画像が目視できる。
【0016】
ここで言う、「発色後の画像耐溶剤性が高いもの」とは、具体的には、下記の性能を有するものである。
<発色画像耐溶剤試験法>
各種の顕色剤を使用し、後述する実施例2で使用するA液60重量部、B液240重量部、C液60重量部、および10%ポリビニルアルコール水溶液90重量部を混合攪拌して塗布液とし、該塗布液を坪量64g/m2の上質紙に、乾燥重量で8g/m2となるように塗布・乾燥して試験用の感熱記録体とする。それに、後述する実施例における(9)の印字試験を行って得た発色部分に、ジオクチルフタレートを塗布し直ちに過剰の塗布液を拭き取って30分放置した後のマクベス濃度が0.2D以上の顕色剤が本発明に使用できる。もしくは、サラダ油を塗布し直ちに過剰の塗布液を拭き取って30分間放置した後のマクベス濃度が0.5D以上の顕色剤も使用できる。
なお、上記試験において、染料前駆体としては、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランあるいは3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用しても良い。
【0017】
一方、発色画像を形成していない未印字部に顕色剤の顕色能力を低減させる物質が接触した場合には、これらの化合物は顕色剤と強く相互作用すると考えられ、再加熱した場合に本顕色剤が染料と相互作用して発色するのが妨げられ、その操作後に印字しても発色しにくくなると考えられる。
【0018】
発色後の画像耐溶剤性が高い顕色剤としては、具体的には下記に示される(1)〜(5)の化学構造を分子中に有する顕色剤が例示される。さらに、それらを組み合わせた(6)に示される顕色剤が例示される。
【0019】
(1)スルホンアミド構造を有するもの
特開平4−358887号公報、同4−282291号公報に記載されているようなスルホンアミドに直接カルボニル基がついている官能基を有する顕色剤、特開昭62−238789号公報に記載されているようなスルホンアミドに直接アミノ基がついている官能基を有する顕色剤、特開平5−32061号公報、同9−86050号公報に記載されているような一分子中に一つのスルホニルウレア置換基を有する顕色剤、特開平10−297105号公報に記載されているような一分子中にスルホンアミド官能基を2つ有する顕色剤などをあげることができる。さらに具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−フェニル尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−トリル)尿素、N−(p-トルエンスルホニル)−N’−(p−アミノスルホニルフェニル)尿素などをあげることができる。
【0020】
(2)尿素(−NHCONH−)またはチオ尿素(−NHCSNH−)
特開昭59−169888号公報に記載されているような、置換ジフェニル尿素誘導体、特開平7−164756号公報、同7−164757号公報に記載されているような、1分子中に、二つの尿素官能基を有している顕色剤、特開昭58−93190号公報、同58−211496号公報、同59−133096号公報に記載されているような置換ジフェニルチオ尿素誘導体、特開平7−330652号公報に記載されているような1分子中に、二つのチオ尿素官能基を有している顕色剤、さらに具体的には、3,3’−ジトリフルオロメチルジフェニル尿素、3,3’−ジクロロジフェニルチオ尿素、ビス−1,4−ブテン(N’−フェニル尿素)などをあげることができる。
【0021】
(3)1分子中にフェノール構造を有しかつ少なくとも一つの酸素以外のヘテロ原子を有する化学構造
フェノール構造を有する顕色剤おいては、炭素、酸素及び水素からのみで構成されているものでは一般的に、印字の保存性があまり高くなく、そのため、本発明の必須要件である下塗り層に含まれる、該顕色剤の顕色能力を低減させる、融解温度が40℃以上の物質と接触すると印字は大きく消色するという欠点がある。しかし、フェノール構造を有する顕色剤の内、分子中にさらに酸素以外のヘテロ原子(S,N,P)を含むものの中には、以上の欠点を克服しているものも多く、その中でも、スルホン基を有するものは特に好ましい。
【0022】
具体的には、ジヒドロキシジフェニルスルホン、特公昭63−46067号公報記載のp−イソプロポキシ−p−ヒドロキシジフェニルスルホン、特開平8−269000号公報記載の2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、特開平8−333329号公報記載のジヒドロキシジフェニルスルホン構造を、エチレンまたはエチレンオキシドあるいはポリエチレンオキシド構造でつなげた顕色剤、特開平1−110815号公報記載の1分子中に二つのp-ヒドロキシフェニルスルホニル基を有する顕色剤、特開平5−8546号公報記載の1分子中に二つのp-ヒドロキシフェニルチオ基を有する顕色剤などである。これらの具体的な例としては、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)エチレン、2,2’−ビス(p−ヒドロキシフェニルスルホニルフェニルオキシ)エチルエーテルなどをあげることができる。
ヘテロ原子として窒素が含まれている顕色剤としては、特開平10−244758号公報、同10−244759号公報、同10−244760号公報記載の化合物などをあげることができる。
また、ヘテロ原子として、リン原子が含まれている顕色剤としては、特開平3−138195号、同3−182392号公報記載の化合物などをあげることができる。
【0023】
(4)分子中にサリチル酸構造またはその金属塩構造を有する顕色剤としては、例えば、特開昭63−95978号公報、同63−139783号公報、特開平4−29886号公報記載の、サリチル酸誘導体および、その金属塩が好ましく、さらに具体的には、4−(2−(p−メトキシフェニルオキシ)エチルオキシ)サリチル酸、4−(2−(p−メトキシフェニルスルホニル)エチルオキシ)サリチル酸をあげることができる。
(5)分子中にフェノールまたはサリチル酸構造を有し、かつ分子量が1000以上の化学構造を有する顕色剤としては例えば、下記化学式(IV)(日本化学会第76春季年会の予稿集I,2PB152,pp618(1999)):
【化1】
で表される化合物をあげることができる。
【0024】
(6)上記(1)〜(5)の組み合わせよりなる顕色剤
本発明を構成する顕色剤は、上記官能基、化学構造(1)〜(5)を組み合わせて有していても良い。例えば、尿素、チオ尿素とスルホンアミドの組み合わせとしては、特開平8−59603号公報、特開平8−59603号公報記載のアミノスルホニルジフェニル尿素またはチオ尿素およびそれらの誘導体、あるいは、特開平7−101154号公報記載のスルホニルヒドラジノカルボニルアミノ化合物、スルホンアミド基とフェノール構造の組み合わせとしては、特開平2−25372号公報、特開平2−145560号公報記載のヒドロキシ基で置換したジアリルスルホンアミド類をあげることができる。
さらに、チオ尿素基とサリチル酸構造の組み合わせの例としては、特開平7−276809号公報記載の化合物群をあげることができる。
【0025】
(1)〜(4)で示した、これらの官能基または化学構造は、顕色剤1分子中に2つ以上存在した場合、特に印字保存性が高い感熱記録体が得られることが多く、そのため、本発明の必須要件である下塗り層に含まれる、該顕色剤の顕色能力を低減させる融解温度が40℃以上の物質の選択幅が広くなり、設計製造が容易になる傾向がある。
【0026】
<顕色剤の顕色能力を低減させる物質について>
次に、下塗り層中に含有させる、「顕色剤の能力を低減させる物質」について説明する。
本発明では、顕色剤の顕色能力を低減させる物質で溶解温度が40℃以上の物質を使用するが、このような物質としては、可塑剤、感熱記録用消色剤、塩基性化合物、エステル類、エーテル類などから、感熱記録された印字部の印字濃度を下げないものを選択すれば良い。好ましい物質としては、脂肪族エステル、芳香族エステル、塩基性物質であり、その中でも塩基性化合物が特に好ましい。芳香族エステルの場合、難結晶性のものが好ましい。
【0027】
ここで難結晶性芳香族エステル化合物とは、芳香環およびエステル基をそれぞれ少なくとも1つ含む有機化合物であって、化学合成または精製の段階で適切な溶媒を用いれば、再結晶法の操作により結晶として得られるが、そうして得られた結晶を一旦融点以上に昇温して溶解後、融点以下に冷却し、その冷却状態で10分以上放置しても、結晶化しない特性を有する化合物のことをいう。
【0028】
難結晶性芳香族エステル化合物としては、ペンタエリストール テトラ安息香酸エステル(融点96℃)、ペンタエリストール テトラ(m−トルイル酸エステル)(融点106℃)、ペンタエリストール テトラ(o−トルイル酸エステル)(融点93℃)などをあげることができる。
【0029】
また、脂肪族エステル化合物としてはグリセリンジ・トリステアレート(融点56℃)、植物硬化油(融点65℃〜69℃)や牛脂(融点60℃)などのグリセリン脂肪酸エステル、プロピレンルリコールベヘネート(融点58℃)などのプロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアリルステアレート(融点56℃)などの高級アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル(融点60℃)などをあげることができる。
【0030】
また、塩基性化合物としては下記化学式(I)(融点80℃)
【化2】
あるいは下記化学式(II)(融点80℃):
【化3】
あるいは下記化学式(III)(軟化点130−140℃):
【化4】
で表される化合物が使用できる。
【0031】
また、塩基性化合物として、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(融点130℃位)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(融点84℃)などのヒンダードアミン系化合物、N−メチルピペリジン基2個と3級アミン1個を有する化合物(分子量約550、融点51℃)、N−メチルピペリジン基3個と3級アミン1個を有する化合物(分子量約700、融点54℃)などのN−メチルピペリジン基や3級アミンを有する化合物を使用しても良い。
上記した各種塩基性化合物は、いずれも、単独でまたは併用して使用することができる。
【0032】
顕色剤の顕色能力を低減させる物質で融解温度が40℃以上の物質の下塗り層における含有量は、感熱記録層中の顕色剤1重量部に対し0.5重量部から5重量部とするのが好ましい。0.5重量部未満であると再発色防止効果が不十分となり、5重量部を越えると塗工性が悪くなることがある。
【0033】
<下塗り層に含有させる熱可融性物質について>
その次に、本発明の下塗り層に、必要に応じて含有させる熱可融性物質について説明する。本発明では必須ではないが、下塗り層に、熱可溶性物質を含有することが好ましい。
一般に感熱記録層にも熱可融性物質を含有することが多く、区別を容易にするするため、後述する感熱記録層中の熱可融性物質を熱可融性物質Aとし、下塗り層中に含有される熱可融性物質を熱可融性物質Bと称する。熱可融性物質Bは、顕色剤の顕色能力を低減させる物質で融解温度が40℃以上の物質と共融して融解温度を下げたり、該物質の感熱記録層への浸透を良くする働きをする。
【0034】
熱可融性物質Bと感熱記録層にいわゆる増感剤として含まれる熱可融性物質Aは、同一物質であっても良いし、異なっていても良い。
但し、両者が異なる物質であり、かつ、熱可融性物質BのlogPが、熱可融性物質AのlogPより大きい場合、記録画像に再加熱を受けてもさらに良好に読みとれるので好ましい。
【0035】
本発明でいうlogPは資料(OECDテスト化学品テストガイドラインNo.117分配係数:編集(財)化学品検査協会)に基づいて測定した数値である。logPは分配係数Pの対数をとった値であり、logPの値が大きい程疎水性が高く、値が小さい程親水性が高いことを示している。熱可融性物質Bの方が熱可融性物質AよりlogPの値が大きい場合、すなわち疎水性が高い場合、再加熱された時に、熱可融性物質Bが顕色剤の顕色能力を低減させる物質とともに融解し、感熱記録層に浸透してくるが、感熱記録層中の疎水性の低い熱可融性化合物Aに覆われている発色画像に侵入しにくくなるために発色画像の保存性が良くなると考えている。
【0036】
下塗り層に含有する熱可融性物質B(かっこ内はlogPを示す)としては、例えば、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル(logP=5.1)、p−ベンジルビフェニル(logP=6.3)、ベンジルナフチルエーテル(logP=5.2)、ジベンジルテレフタレート(logP=5.7)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、炭酸ジフェニル、炭酸ジトリル、m−ターフェニル(logP=6.16)、1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン(logP=5.0)、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン(logP=7.8)、1,5−ビス(p−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、シュウ酸ジエステル類、シュウ酸−ジ−ベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸−ジ−p−クロロメチルベンジルエステルの混合物、アジピン酸−ジ−o−クロルベンジルエステル(logP=5.8)、1,4−ビス(pートリルオキシ)ベンゼン(logP=3.1)、p−トルエンスルホン酸フェニルエステル(融点96℃)、メシチレンスルホン酸p−トリルエステル(融点100−102℃)(logP=3.1)、4,4’−ジアリルオキシジフェニルスルホン (logP=3.3)、4−エトキシフェニルメチルスルホン(融点91℃)、4,4’−ジイソペンチルオキシジフェニルスルホン(融点100℃)、2,2−ビス(4−ベンゼンスルホニルオキシフェニル)プロパン(融点114℃)、2,2−ビス(4−メタンスルホニルオキシフェニル)プロパン(融点101℃)、N−フェニル−4−メチルフェニルスルホンアミド(融点102℃)、o−クロロアセトアセトアニリド(融点103℃)(logP=0.2)、p−メトキシベンゼンアセトアセトアニリド、N−ベンジル−o−スルホフタルイミド、1−フェノキシ−2−β−ナフトキシエタン(logP=5.2)などが例示できる。
【0037】
下塗り層に熱可融性物質を使用する場合、その使用量は、該層の全重量に対して10〜50重量%が好ましい。また、下塗り層にはバインダーを5〜30重量%含有することが望ましい。下塗り層中には、顔料が存在しても良い。
【0038】
<中間層について>
【0039】
<中間層について>下塗り層と感熱記録層との間に、吸油性顔料を含有する中間層を設けることが好ましい。しかも、その吸油性顔料のJIS K5101に基づく吸油量が35ml/100g以上であることが好ましい。なぜなら中間層は、印字時に発生することがある過剰な溶融成分(これを感熱印字時のヘッド粕と呼ぶが)の生成を抑制する作用をする。また、製造中または保存中に定着剤が記録層に移行することを防止する。更に、下塗り層にも熱可融性の物質を含んでいる場合に、印字時に、ややカスを生成しやすいという特性があるが、中間層はこれを抑制し、印字動作をスムースにし、連続印字適性、長距離印字適性を強化するという機能を有する。
【0040】
本発明の中間層の主な成分である顔料成分について、中間層中の含有率は、一般に中間層の乾燥重量の50〜95重量%であることが好ましい。特に70〜90重量%であることが好ましい。また、バインダーの含有量は5〜20重量%であることが好ましい。
【0041】
中間層に使用する顔料は無機顔料、有機顔料のいずれでも良い。
具体例としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成クレー、焼成カオリン、カオリン、タルク、および表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末(プラスチック顔料)などの白色顔料を例示することができる。
この中でもJIS K5101に基づく吸油量が35ml/100g以上の顔料を含有することが好ましく、これらの例としては焼成カオリン(例:アンシレックス93、エンゲルハード社製、吸油量90ml/100g)、カオリン(例:カオファイン、シール社製、吸油量40〜50ml/100g、)、クレー(HGクレー、ヒューバー社製、吸油量35〜50ml/100g)、焼成クレー、シリカ(例:ミズカシルP527、水沢化学製、吸油量160ml/100gやミズカシルP603、水沢化学製、吸油量120ml/100g)などが挙げられる。
また、中間層に含有するバインダーとしては、上記感熱層に含まれるバインダーと同じものを用いても良いし、異なるものを用いても良いが、耐水性のあるバインダーが好ましい。
【0042】
本発明の中間層は主に顔料から成るが、必要に応じて、前述した感熱記録層が含んでいてよいワックスあるいは少量の熱溶融性有機化合物を含むことができる。さらに、これらの成分を固着するためバインダーを含むものである。
【0043】
<定着方法について>
引き続いて、本発明の熱定着型感熱記録体の定着方法について説明する。
本発明の熱定着型感熱記録体の定着方法として以下の方法が好ましい。すなわち感熱記録装置による印字発色後、顕色剤の顕色能力を低減させる物質で融解温度が40℃以上の物質が融解する温度(融解温度そのもの、あるいは同一層に存在する熱可融性物質Bとこれらの化合物が共融した場合の共融温度)よりも高いが可能な限り低い温度で加熱することにより、この物質と熱可融性物質Bを溶融させ、この溶融液が感熱記録層に浸透することにより、感熱記録層中の顕色剤と相互作用して、未印字部が定着され、再加熱しても発色しにくくなる。
一方、すでに発色した画像は、本発明に使用する顕色剤の高い保存性のために残る。
【0044】
定着させるための加熱は例えば40℃以上に昇温した熱板を印字操作を終了した定着型感熱記録体の支持体側の面あるいは感熱記録層側の面に、若しくは両面に所望時間接触させることにより行うことができる。両面に接触させる場合、2つの熱板の温度は同一でも異なっていても良いが、異なっている場合は支持体側の熱板の温度が感熱記録層側の熱板の温度より高い方が好ましい。また、加熱は上記熱板の代わりに40℃以上に昇温した熱ローラーでも行うことができる。上記の如く2つの熱ローラーを用い、それら2つの熱ローラーの温度を同一にしても異なるようにしても良い。
さらに、加熱は熱バーと呼ばれる比較的熱容量が小さいが、それゆえに急激に昇温できる装置を用いても行うことができる。この場合は複数の熱バーを記録体の進行方向に並べて配置することもできるし、記録体を上下から挟むように配置、あるいはこれらを組み合わせることもできる。
さらに、加熱を熱パルスを発生するサーマルヘッドで行うことや、赤外線などの熱線を用いることも可能である。
いずれにしても、定着時の感熱記録層の温度は40℃〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、60℃〜130℃である。
【0045】
いずれの方法により加熱定着操作を行うにしても、その加熱時間は10秒以下であることが好ましく、5秒以下であることが特に好ましい。定着操作に10秒以上の加熱時間が必要では、スピーディーな記録が行えるという感熱印字方式の利点が失われてしまう。
さらに、印字操作と加熱定着操作の間の時間間隔は、10秒以下が好ましく、5秒以下が特に好ましい。何らかの理由により、この時間間隔が10秒以上必要では、前述のとおり、スピーディーな記録が行えるという感熱印字方式の利点が失われてしまう。
【0046】
以上、本発明に特有の構成について説明したが、以下では、これまでの説明で述べなかった事項について説明する。
<感熱記録層について>
【0047】
まず、感熱記録層に含有する染料前駆体について説明する。
本発明の染料前駆体として使用されるロイコ染料はトリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系化合物等が例示できる。
たとえば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、および2−クロロ−3−メチル−6−(N,N−ジエチルアミノアニリノフルオラン、3−(p−アニリノアニリノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノフタリド)、3,3−ビス(2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−p−トルエンスルホニルメタン、2,2−ビス(4−(6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミノ)フェニル)プロパン等を例示できる。これらの中でも2、2−ビス(4−(6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミノ)フェニル)プロパンは特に好ましい性能を示す。
これらは単独で、または2種以上を併用することもできる。
【0048】
次に、感熱記録層中の顕色剤について、補足説明をする。
本発明の顕色剤としては、前記の<顕色剤について>において(1)〜(6)に例示した他に、スルホニルウレア基を1分子中に2つ以上有する顕色剤を使用しても良いし、併用することもできる。
1分子中に2つ以上のスルホニルウレア基を有する顕色剤は耐溶剤性が高く、例えば、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(ベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(1−ナフタレンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4’,4’’−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(4’−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)フェニルオキシ)エタン、1,3−ビス(4’−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)フェニルオキシ)ベンゼンなどを例示することができる。
これらの化合物は2種以上を併用してもよい。
【0049】
続いて、感熱記録層中に含有させる熱可融性物質について述べる。この物質は必須ではないが、記録感度を向上するために含有させることが好ましい。
前記したように、下塗り層中の熱可融性物質Bと区別するため、感熱記録層中の熱可融性物質を熱可融性物質Aと表現し、以下のものが例示される。
【0050】
熱可融性物質Aとしては、例えば、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル(logP=5.1)(特開昭57−191089号公報)、ベンジルナフチルエーテル(logP=5.2)(特開昭58−87094号公報)、ジベンジルテレフタレート(logP=5.7)(特開昭58−98285号公報)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル(特開昭57−201691号公報)、炭酸ジフェニル、炭酸ジトリル(特開昭58−136489号公報)、1,2−ジフェノキシエタン(logP=3.6)、1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン(logP=5.0)(特開昭60−56588号公報)、1,5−ビス(p−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン(特開昭62−181183号公報)、ビス(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)エーテル(logP=2.9)、シュウ酸ジエステル類(特開昭64−1583号公報、特公平5−62597号公報)、シュウ酸−ジベンジルエステル(logP=3.1)、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル(logP=4.3)、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステルとシュウ酸−ジ−p−クロロメチルベンジルエステルの混合物、1,4−ビス(p−トリルオキシ)ベンゼン(特開平2−153783号公報)、ジフェニルスルホン(logP=1.5)(融点124℃)、p−トルエンスルホン酸フェニルエステル(logP=3.1)(融点96℃)、メシチレンスルホン酸p−トリルエステル(融点100−102℃)、4,4’−ジアリルオキシジフェニルスルホン (logP=3.3)(融点145℃)、4−エトキシフェニルメチルスルホン(融点91℃)、4,4’−ジイソペンチルオキシジフェニルスルホン(融点100℃)、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン(融点130℃)、2,2−ビス(4−ベンゼンスルホニルオキシフェニル)プロパン(融点114℃)、2,2−ビス(4−メタンスルホニルオキシフェニル)プロパン(融点101℃)、2,2−ビス(4−メタンスルホニルオキシフェニル)プロパン、N−フェニル−4−メチルフェニルスルホンアミド(融点102℃)、o−クロロアセトアセトアニリド(融点103℃)、p−メトキシベンゼンアセトアセトアニリド、N−ベンジル−o−スルホフタルイミド、1−フェノキシ−2−β−ナフトキシエタン(融点137℃)などが例示できる。
【0051】
続いて、感熱記録層中に含有できる、その他の物質について説明する。
前記したように、本発明の感熱記録体の感熱記録層は、ロイコ染料と発色後の画像耐溶剤性が高い顕色剤を主成分とし、必要に応じて熱可融性物質Aも含有する。
さらに、感熱記録層は、必要に応じて、従来公知のフェノール系あるいは有機酸系顕色剤、酸化防止剤、ヒンダードフェノール化合物、紫外線吸収剤、ワックス類などを含むことができる。また、有機又は無機顔料類を含んでいることが好ましい。更に、これらの成分を支持体に固着するためのバインダーを含むものである。
【0052】
感熱記録層における上記ロイコ染料の感熱記録層中の含有率は、一般に感熱記録層の乾燥重量の5〜40重量%であることが好ましく、耐溶剤性が高い顕色剤の含有率も特に限定しないが、一般に5〜50重量%であることが好ましい。
【0053】
感熱記録層に酸化防止剤、ヒンダードフェノール化合物、紫外線吸収剤が含まれる場合、その含有率は1〜10重量%であることが好ましい。また、増感剤の含有率は10〜40重量%が好ましい。ワックス類、顔料が感熱記録層に含まれる場合、その含有率はそれぞれ5〜20重量%、10〜50重量%であることが好ましく、またバインダーの含有率は一般に5〜20重量%である。
【0054】
酸化防止剤、ヒンダードフェノール化合物又は紫外線吸収剤等の例としては、例えば特開昭57−151394号公報、特開昭58−160191号公報、特開昭58−69096号公報、特開昭59−2884号公報、特開昭59−95190号公報、特開昭60−22288号公報、特開昭60−255485号公報、特開昭61−44686号公報、特開昭62−169683号公報、特開昭63−17081号公報、特開平1−249385号公報、特開平2−266645号公報等に挙げられた化合物などである。
具体的には2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を例示できる。
【0055】
感熱記録層に含有できる、有機又は無機の顔料としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成クレー、タルク、および表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末などの白色顔料を例示することができる。下塗り層の顔料としてはとくに吸油性の少ない有機系の微粉末が好ましい。
【0056】
また、ワックス類としては、例えば、パラフィン、アミド系ワックス、ビスイミド系ワックス、高級脂肪酸の金属塩など公知のものを用いることができる。
前記バインダーについては、種々の分子量のポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、およびカゼインなどの水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびスチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の各々のラテックスを例示できる。
【0057】
最後に、その他の構成について説明する。
本発明の感熱記録体に用いられるシート状基体は、紙(酸性紙や中性紙を含む)、表面にフッ素加工を施した紙(耐油紙)、表面に顔料、ラテックスなどを塗工したコーテッド紙、ラミネート紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた合成紙、プラスチックフィルムなどから選ぶことができる。このようなシート状基体の少なくとも一面上に、上記所要成分の混合物を含む塗布液を塗布し、乾燥して感熱記録体を製造する。
塗布量は特に限定しないが、感熱記録層は塗布液層が乾燥した状態で1〜15g/m2が好ましい。中間層は塗布液層が乾燥した状態で1〜10g/m2が好ましい。塗工量が少なすぎるとヘッド粕の発生が改善されない。下塗り層は塗布液層が乾燥した状態で1〜30g/m2が好ましい。
本発明の感熱記録体においてその感熱記録層上に更に保護層、印刷層などのような被覆層を形成することもできる。
【0058】
本発明においては、感熱記録体の付加価値を高めるためにさらに加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型接着剤による加工を施すことで粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙(この場合、粘着性もたせるための加熱により同時に定着性ももたせることができるというメリットがある)としたり、磁気加工することで裏面に磁気記録可能な感熱記録体とすることができる。その他、伝票用紙用等の多数枚複写用感熱記録体、ICカード貼合用感熱記録体、カラー感熱記録体などにも適用できる。また裏面を利用して熱転写記録用紙、静電記録紙、インクジェット記録用紙、ノーカーボン用紙、ゼログラフィ用紙としての機能を持たせ、両面への記録が可能な記録紙とすることもできる。また、樹脂やシートを熱ラミネートすることもできる。この場合、ラミネートするための穏やかな加熱により同時に定着できるというメリットがある。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
特に断らない限り「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」をあらわす。
【0060】
<実施例1>下記操作により感熱記録体を作製した。
(1)分散液Aの調製
成 分 量(部)
2,2−ビス(4−(6’−(N−シクロヘキシル
−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド
−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミノ)フェニル)プロパン 20
ポリビニルアルコール 10%液 10
水 70
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が1μm程度になるまで粉砕した。
【0061】
(2)分散液Bの調製
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0062】
(3)分散液Cの調製
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0063】
(4)分散液Dの調製
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が3μm以下になるまで粉砕した。
【0064】
(5)下塗り層の調製
上記分散液D53部、10%酸化でんぷん水溶液を40部を混合して得た塗液を米坪64g/m2の原紙上に乾燥後の塗布量が5.7g/m2になるように塗工して、下塗り層を有する支持体を得た。
【0065】
(6)中間層の形成
焼成カオリン(商品名:アンシレックス93、エンゲルハード社、JISK5101による吸油量90ml/100g)粉末63部とカオリン粉末(商品名:カオファイン、シール社製、吸油量40〜50ml/100g)18部と界面活性剤(ポイズ520、40%液)0.5部と水107部とをカウレスを用いて攪拌、分散し、さらに、11%酸化でんぷん水溶液110部を混合、撹拌し、塗布液とした。この塗布液を、上記下塗り層を有する支持体の下塗り層上に、乾燥後の塗布量が2.0g/m2となるように塗布乾燥して中間層を形成した感熱記録体を作成した。
【0066】
(7)感熱記録層の形成
上記分散液A60部、分散液B240部、分散液C60部、40%炭酸カルシウム(商品名:カルライトSA、白石工業製)分散物40部、30%シリカ(商品名:ミズカシルP−603、水沢化学製)分散物30部、25%ステアリン酸亜鉛分散液16部、30%パラフィン分散液27部、および10%ポリビニルアルコール水溶液90部を混合、撹拌し、塗布液とした。この塗布液を、上記下塗り層を有する支持体の下塗り層上に、乾燥後の塗布量が8.0g/m2となるように塗布乾燥して感熱記録層を形成し、感熱記録体を作成した。
【0067】
(8)スーパーカレンダー処理上記の様にして得られた感熱記録体をスーパーカレンダーによって処理し、その表面のベック平滑度を1000〜2500秒とした。
【0068】
(9)印字試験
こうして得られた試料について、大倉電機製発色試験機THPMDを用いて印字電圧21.7V、印字パルス1.0msの条件で印字した。この印字発色した部分の濃度をマクベス反射濃度計(型式:RD−914,マクベス社製)で測定した(これを元濃度と呼ぶ)。
【0069】
(10)定着性試験
加熱処理後の未印字部の再発色性を評価するため、(9)の印字記録後の試料について、定着処理を行った。
(定着処理A)東洋精機製熱傾斜試験機を用いて、加熱温度105℃、圧力1kg/cm2、加熱時間5秒の条件でシートを支持体側から加熱した後、印字部と地肌部の濃度をマクベス反射濃度計RD−914で測定した(これを定着処理後濃度と呼ぶ)。テスト結果を表1に示す。定着操作は、印字操作後10秒以内に行った。
(再加熱試験)東洋精機製熱傾斜試験機を用いて、加熱温度170℃、圧力1kg/cm2、加熱時間5秒の条件でシートを感熱層側から加熱した後、印字部と地肌部の濃度をマクベス反射濃度計RD−914で測定した(これを再加熱試験後濃度と呼ぶ)。テスト結果を表1に示す。
【0070】
<実施例2>
実施例1と同様の操作を行ない感熱記録体を作成した。ただし、分散液Aの調製にあたり、2,2−ビス(4−(6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミノ)フェニル)プロパンのかわりに3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いた。テスト結果を表1に示す。
なお、実施例1、実施例2で使用した顕色剤について、前記したサラダ油を使用した発色画像耐溶剤試験法による試験結果は、濃度0.5Dであった。
【0071】
<実施例3>
実施例1と同様の操作を行ない感熱記録体を作成した。ただし、分散液Bの調製にあたり、ジヒドロキシジフェニルスルホンのかわりに2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノールを用いた。また、以下の分散液を調製した。
(11)分散液Eの調製
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0072】
(12)分散液Fの調製
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が5μm以下になるまで粉砕した。
そして、実施例1の下塗り液の代わりに上記分散液F33部、E27部、10%酸化でんぷん水溶液20部を混合して得た塗液を原紙の上に乾燥後の塗布量が5.7g/m2になるように塗工して、下塗り層を有する支持体を得た。その他は実施例1と同様に行った。テスト結果を表1に示す。
【0073】
<実施例4>
実施例3と同様の操作を行ない感熱記録体を作成した。ただし、分散液Aの調製にあたり、2,2−ビス(4−(6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミノ)フェニル)プロパンのかわりに3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いた。そして塗布乾燥した感熱記録層上に以下のように調製した保護層を作成した。
【0074】
(13)保護層の形成
固形に対して0.2%のアニオン性界面活性剤を用いたクレー70%分散物(商品名:HGクレー、ヒューバー社製)86部、25%ステアリン酸亜鉛分散液10部、および22%ポリビニルアルコール水溶液168部、濡れ剤(商品名:ダプロU−99、サンノプコ社製)3%水溶液0.5部を混合、撹拌し、塗布液とした。この塗布液を、上記感熱記録層上に、乾燥後の塗布量が2〜3g/m2となるように塗布乾燥して保護層を形成し、感熱記録体を作成した。また、定着処理Aのかわりに下記の定着処理Bにより、定着操作をした。
(定着処理B)東洋精機製熱傾斜試験機を用いて、加熱温度95℃、圧力1kg/cm2、加熱時間5秒の条件でシートを感熱層側から加熱した後、印字部と地肌部の濃度をマクベス反射濃度計RD−914で測定した(これを再加熱試験後濃度と呼ぶ)。定着操作は、印字操作後10秒以内に行った。テスト結果を表1に示す。なお、実施例3、実施例4で使用した顕色剤について、前記したサラダ油を使用した発色画像耐溶剤試験法による試験結果は、濃度0.6Dであった。
【0075】
<実施例5>
実施例3と同様の操作を行ない感熱記録体を作成した。ただし、分散液Bの調製にあたり、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノールのかわりに顕色剤として1,7−(1,4,7−トリオキシヘプテン)ビス(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンゼン)と4,4’−ビス(7−(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニル)−1,4,7−トリオキシヘプト−1−イル)ジフェニルスルホンを82対18の割合で混合した混合物を使用した。
また、定着処理Aのかわりに上記の定着処理Bにより、定着操作をした。テスト結果を表1に示す。
【0076】
<実施例6>
実施例4と同様の操作を行ない感熱記録体を作成した。ただし、分散液Bの調製にあたり、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノールのかわりに顕色剤として1,7−(1,4,7−トリオキシヘプテン)ビス(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンゼン)と4,4’−ビス(7−(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニル)−1,4,7−トリオキシヘプト−1−イル)ジフェニルスルホンを82対18の割合で混合した混合物を使用した。また、下塗り層中の熱可融性物質として、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステルに代えて、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタンを使用した。テスト結果を表1に示す。
なお、実施例5、実施例6で使用した顕色剤について、前記したジオクチルフタレートを使用した発色画像耐溶剤試験法による試験結果は、濃度0.9Dであった。
【0077】
<実施例7>
実施例3と同様の操作を行ない感熱記録体を作成した。ただし、分散液Bの調製にあたり、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールのかわりに4−(2−(p−メトキシフェニルオキシ)エチルオキシ)サリチル酸を用いた。また、定着処理Aのかわりに定着処理Bにより、定着操作をした。テスト結果を表1に示す。
なお、実施例7で使用した顕色剤について、前記したジオクチルフタレートを使用した発色画像耐溶剤試験法による試験結果は、濃度0.5Dであった。
【0078】
<参考例8>実施例6と同様の試料を用いた。ただし、(7)の感熱発色層の形成においてA液50部、B液200部、C液66部とし、40%炭酸カルシウム分散物40部のかわりに40%水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42、昭和軽金属製)の分散物(ポイズ520(界面活性剤)を粉体に対して1%加えて攪拌)50部を用いた。また、(6)中間層の形成をおこなわないで感熱記録体を作成し、かつ定着処理をしないで再加熱試験を行った。テスト結果を表1に示す。
【0079】
<参考例9>実施例6と同様の操作を行い、感熱記録体を作成した。ただし、(7)の感熱発色層の形成において A液50部、B液200部、C液66部とし、40%炭酸カルシウム分散物40部のかわりに40%水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42、昭和軽金属製)の分散物(ポイズ520(界面活性剤)を粉体に対して1%加えて攪拌)50部を用いた。さらに、定着処理をしないで再加熱試験を行った。テスト結果を表1に示す。
【0080】
<参考例10>実施例9と同様の操作を行い、感熱記録体を作成した。ただし、分散液Aの調製にあたり、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランのかわりに2,2−ビス(4−(6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミノ)フェニル)プロパンを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0081】
<参考例11>実施例9と同様の操作を行い、感熱記録体を作成した。ただし、分散液Bの調整にあたり、1,7−(1,4,7−トリオキシヘプテン)ビス(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンゼン)と4,4’−ビス(7−(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニル)−1,4,7−トリオキシヘプト−1−イル)ジフェニルスルホンを82対18の割合で混合した混合物のかわりに下記化学式(V)で表される化合物を用いた。
【化5】
そして、(7)の感熱発色層の形成においてA液50部、B液200部、C液66部のかわりに、A液60部、B液240部、C液80部を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0082】
<参考例12>実施例11と同様の操作を行い、感熱記録体を作成した。ただし、分散液Aの調製にあたり、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランのかわりに2,2−ビス(4−(6’−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3’−メチルスピロ(フタリド−3,9’−キサンテン)−2’−イルアミノ)フェニル)プロパンを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0083】
<参考例13>実施例9と同様の操作を行い、感熱記録体を作成した。ただし、分散液Fの調製にあたり、化学式(I)であらわされる化合物と化学式(III)であらわされる化合物の重量比1対4混合物のかわりに化学式(I)であらわされる化合物を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0084】
<参考例14>実施例9と同様の操作を行い、感熱記録体を作成した。ただし、分散液Fの調製にあたり、化学式(I)であらわされる化合物と化学式(III)であらわされる化合物の重量比1対4混合物のかわりにテトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0085】
<参考例15>実施例14と同様の操作を行い、感熱記録体を作成した。ただし、下塗り層中の熱可融性物質として、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタンに代えて、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステルを使用した。テスト結果を表1に示す。
【0086】
<比較例1>
実施例1と同様の操作を行ない感熱記録体を作成した。ただし、分散液Bの調製にあたり、ジヒドロキシジフェニルスルホンのかわりにビスフェノールA(炭素、水素、酸素からのみ構成されている顕色剤)を用いた。テスト結果を表1に示す。
なお、比較例1で使用した顕色剤について、前記したジオクチルフタレートを使用した発色画像耐溶剤試験法による試験結果は、濃度0.1Dであった。また、サラダ油を用いた試験では、濃度0.2Dであった。
【0087】
<比較例2>
実施例1と同様の操作を行なった。ただし、下塗り層は作製せずに、紙に直に感熱記録層を設けた。テスト結果を表1に示す。
【0088】
<比較例3>
実施例3と同様の操作を行なった。ただし、下塗り層は作製せずに、紙に直に感熱記録層を設けた。テスト結果を表1に示す。
【0089】
<比較例4>
実施例9と同様の試料を用いた。ただし、下塗り層は作製せずに、紙に直に中間層と感熱記録層を順次設けた。テスト結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1の結果から明らかなように、本発明の条件を満たす実施例1から7では、再加熱後の地肌部の濃度は0.8D未満に抑えられていて、印字部とのコントラストもあり、印字の確認は容易である。これに対して、比較例1より顕色剤として炭素、水素、酸素からのみなるフェノール性化合物を用いた場合は、印字部の保存性が低いためにやや消色気味の上、地発色が激しいので再加熱発色試験後の印字の判読は困難である。また比較例2、3のように定着性下塗り層を設けていない場合は、定着が全くなされず、再加熱試験後は、全面発色状態となり印字の判読は不可能である。また、実施例8〜15のように、本発明の感熱記録体を用いて、別途の定着処理を行わない場合は、再加熱処理自身により、弱いが定着効果が見られ、そのため元印字を判読することができる。但し、印字の判読性は定着処理を実施した場合に比べて低い。これに対して比較例4では、定着性下塗り層を設けていないために、再加熱試験後は全面発色状態となり印字の判読は不可能である。このように本発明の感熱記録体は定着性が良好である。また、本発明の感熱記録体の熱による定着方法により、感熱記録体を簡便に定着できることがわかる。また、本発明の感熱記録体は別途の定着操作をしなくても、再加熱した場合に元の印字を判読することが可能である。
【0092】
【発明の効果】
本発明の感熱記録体は定着性が良好であり、本発明の感熱記録体の定着方法により、感熱記録体を簡便に熱定着できる。
Claims (4)
- シート状基体、下塗り層、感熱記録層をこの順に有し、該感熱記録層は、無色又は淡色の染料前駆体と、該染料前駆体と加熱時に反応して発色させる顕色剤とを含有する感熱記録体を用い、顕色剤が、分子中に下記(1)〜(6)から選択される化学構造を有する化合物であり、かつ、下塗り層は、該顕色剤の顕色能を低減させる、融解温度が40℃以上の物質であって、脂肪族エステル化合物及び塩基性化合物から選択される少なくとも1種を含有する熱定着型感熱記録体を、感熱記録装置により記録した後、40℃以上の温度に10秒以下加熱することにより定着させることを特徴とする熱定着型感熱記録体の定着方法。
(1)スルホニルウレア基を含まないスルホンアミド基(−SO 2 NH−)。
(2)尿素(−NHCONH−)またはチオ尿素(−NHCSNH−)基。
(3)1分子中にフェノール構造を有し、かつ、少なくとも一つの酸素以外のヘテロ原子を有する化学構造。
(4)サリチル酸構造またはサリチル酸の金属塩構造。
(5)1分子中にフェノールまたはサリチル酸構造を有し、かつ分子量が1000以上の化学構造。
(6)1分子中に1つのスルホニルウレア置換基を有する化学構造。 - 下塗り層には、更に、前記融解温度が40℃以上の物質とは異なる熱可融性物質を含有する、請求項1に記載の熱定着型感熱記録体の定着方法。
- 下塗り層と感熱記録層との間に、吸油性顔料を含有する中間層を有する請求項1〜2のいずれかに記載の熱定着型感熱記録体の定着方法。
- 請求項1〜3いずれかに記載の定着方法を、加熱記録装置による記録後10秒以内に行うことを特徴とする熱定着型感熱記録体の定着方法。
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