JP4238379B2 - 黒鉛化電気炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒鉛粉末を製造するための黒鉛化電気炉に関し、特に、炉本体内部での棚吊りを効果的に防止し、黒鉛粉末の連続的な製造を安定して実施できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、黒鉛粉末を工業的に製造するには、カーボン粉末等の原料粉末を例えば不活性雰囲気下において約3000℃〜3500℃に加熱処理し、原料粉末を黒鉛化することにより行う。この加熱処理に用いられる装置としては、従来、特開平7−252726号公報、特公平3−330号公報、特許第2579561号公報などに記載のようなアチソン炉が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アチソン炉は、ケース内に原料粉末を充填した後にこれを加熱して黒鉛化し、これを冷却した後にケースから黒鉛粉末を取り出すといったバッチ式の製造プロセスを行うため、次のような問題点を有している。
▲1▼電力の原単位が大きく、電源設備も大がかりとなってコストが高い。
▲2▼黒鉛粉末の冷却に長時間を要し、生産性が悪い。
▲3▼少量生産に適さず、操業途中で中止すると損害が多大となる。
▲4▼ケースへの原料粉末の充填に時間、手間がかかり、作業中に発生する粉塵等により作業環境を悪化させる。
▲5▼ケースに充填した加熱材料を通電加熱してその熱伝導で原料粉末を加熱するため、加熱効率が悪く、ケースから原料粉末への汚染の問題がある。
【0004】
このような問題に対処するため、炉本体の上部から原料粉末を投入するとともに原料粉末が降下する間に加熱して黒鉛化させ、黒鉛粉末を炉本体の下部から連続して取り出すといった黒鉛化電気炉が考えられる。この黒鉛化電気炉では、連続的な製造を低コストで安定して実施できることが望まれ、原料粉末の加熱効率を向上させることが必要である。また、黒鉛粉末を連続的に製造するには、炉本体内部で原料粉末および黒鉛粉末の流動化を確保する必要があるものの、炉本体内での棚吊り現象によって原料粉末(または黒鉛粉末)の流動性を阻害し、連続的な製造の支障となる場合がある。特に、原料粉末の加熱によって生じる不純ガス(例えばCmHnガス等)が冷却されて凝縮して液化すると原料粉末と混ざってタール状物や固形物を形成し、これらにより棚吊り現象が生じやすい。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、連続的な黒鉛化電気炉を実現するに際して、原料粉末の加熱効率を向上させてコストの低下を図るとともに、原料粉末または黒鉛粉末の棚吊り現象を低減させることにより、原料粉末等の流動性を確保して黒鉛粉末の連続的な製造を安定して実施できるようにした黒鉛化電気炉を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、炉本体の上部から投入された原料粉末を降下中に加熱して黒鉛化し、この黒鉛粉末を炉本体の下部から連続して取り出すようにした黒鉛化電気炉であって、炉本体の原料粉末の投入口が、炉本体上部の略中心部分に設けられ、原料粉末に通電して加熱するための少なくとも1組の電極が炉本体の側壁に設けられ、電極により原料粉末が加熱された黒鉛化領域の直下に取り入れ口が配置されかつ黒鉛粉末を取り出すための管状部材が炉本体に設けられ、この管状部材を介して黒鉛化領域に所定ガスを供給するガス供給手段が設けられ、所定ガスを炉本体の側壁上部から排出する排出ノズルが設けられる技術が採用される。この黒鉛化電気炉では、投入口から炉本体の略中心付近に投入された原料粉末が炉本体内で所定の安息角をもって山形に分布し、粒径の大きなものが外側へ、また粒径の小さなものが山の中心部分に集められて中心付近で高く堆積し、内壁に近づくに従い低く堆積する。従って、例えば、炉本体に設けた電極間の通電により炉本体内部の略中央付近で原料粉末自体を加熱する場合、この略中央付上方の堆積高さが高いため、投入された原料粉末を効率よく予熱することが可能となる。
【0007】
さらに、この黒鉛化電気炉では、炉本体内部に下部から吹き込まれた所定ガスが加熱された後に低く堆積した部分を通過するため、所定ガスの温度低下が回避され、これにより原料粉末から生じた不純ガスの温度低下を抑制して原料粉末の棚吊りを効果的に防止する。さらに、粒径の大きな層を所定ガスが通過するため、微細な粉塵が所定ガスにより排出される割合を少なくし、フィルタ等の負荷を低減するとともに、原料粉末の歩留まりの向上を図れる。
【0008】
また、この黒鉛化電気炉では、所定ガスが、黒鉛粉末を取り出すための通路(管状部材)を通るため、この通路内で黒鉛粉末を冷却するとともに、通路内での黒鉛粉末の棚吊りが抑制され黒鉛粉末の流動化を確保している。
【0009】
また、この黒鉛化電気炉では、原料粉末を通過した所定ガスが炉本体の側壁上部から排出されるため、粒径の小さな原料粉末が堆積する中心付近に所定ガスが巻き込むことを防止し、粉塵等の発生を抑制する。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1の黒鉛化電気炉において、排出ノズルが、炉本体上部の周囲にわたって複数設けられる技術が適用される。この黒鉛化電気炉では、排出ノズルが炉本体上部の周囲にわたって複数設けられるため、内壁付近を通過した所定ガスを効率よく排出することが可能となり、これにより中心付近への所定ガスの巻き込みを効果的に防止し、より一層粉塵等の発生を抑制する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本発明に係る黒鉛化電気炉を示す断面図である。この黒鉛化電気炉は、堅型構造であって、炉本体1には、上部の投入口2を介して図示しない原料粉末の供給手段が接続されるとともに、下部に管状部材4を介して図示しない黒鉛粉末の回収手段を収容するチャンバ3が接続され、対向する側壁にそれぞれ縦長の電極5、6が取り付けられる。そして、この黒鉛化電気炉は、炉本体1の電極5、6より上方を予熱ゾーンaとし、電極5、6間の黒鉛化領域7を含む部分を加熱ゾーンbとし、電極5、6より下方を冷却兼排出ゾーンcとしている。
【0012】
炉本体1は、図1に示すように、下部にいくに従い絞るような形状に形成されており、これにより冷却効率を高めているが、このように下部を絞るか否かは任意である。また、炉本体1は、水平断面が円形または角形のいずれであってもよく、さらに予熱ゾーンa、加熱ゾーンb、冷却兼排出ゾーンcのいずれかに対応して水冷(液冷)または空冷(ガス冷)等の冷却手段を設けてもよい。
【0013】
投入口2は、図2に示すように、炉本体1上部の略中心部分に設けられており、供給手段から送られた原料粉末を炉本体1内の予熱ゾーンaの略中心に向けて投入する。これにより、図4に示すように、予熱ゾーンaの略中心付近に投入された原料粉末は、炉本体1内で所定の安息角をもって山形に分布し、粒径の小さなものが山の中心部分に残るとともに、粒径が大きくなるに従い外側へ流れて、中心付近で原料粉末が高く堆積し、内壁に近づくに従い低く堆積する。
【0014】
原料粉末の供給手段としては、原料粉末を所定流量で連続的に投入するスクリューコンベアやベルトコンベア、ターンテーブル等が用いられ、これらの駆動速度によって原料粉末の単位時間あたりの投入量が設定される。また、投入される原料粉末としては、粉状体および粒状体を含むものであって、高温度で加熱すれば黒鉛化でき、加熱温度域で導電性を有するような、例えば炭素材、炭素の前駆体等が用いられる。
【0015】
チャンバ3に収容される回収手段としては、管状部材4から送られる黒鉛粉末を連続的に切り出すターンテーブルやスクリューコンベア、ベルトコンベアが用いられ、これらの駆動速度によって黒鉛粉末の時間あたりの取り出し量が設定され、これにより原料粉末(黒鉛粉末)の炉本体1内部の滞留時間を調節している。なお、チャンバ3に液冷またはガス冷の冷却手段を設けるか否かは任意である。
【0016】
電極5、6は、図3に示すように、加熱部bの黒鉛化領域7に対応して炉本体1の対向する側壁に絶縁材8、9を介して取り付けられ、直流または交流の電源10に接続される。そして、電極5、6間に通電する(例えば50V,1000A)ことによって原料粉末(黒鉛粉末)は固有抵抗に応じたジュール熱で自ら発熱し、約2500℃〜3500℃となる楕円形状の領域が黒鉛化領域7を形成してこの領域で黒鉛化する。ちなみに、予熱ゾーンaの熱源は、この加熱ゾーンbからの熱伝導によって得られるものであるが、中心付近で原料粉末が高く堆積し、内壁に近づくに従い低く堆積しているため、予熱ゾーンaでの原料粉末が効率よく予熱される。なお、予熱ゾーンaの原料粉末は、加熱ゾーンbからの熱放散を制限する断熱層としても機能する。
【0017】
電極5、6の配置は、図1に示すように同一水平レベルに配置することや、図3に示すように炉本体1の中心を挟んで対称に配置することに限定されず、それぞれズレた状態で配置するものであってもよい。さらに、複数組の電極をそれぞれ対向配置させ、電極5、6を含めてスイッチングすることにより所定の時間間隔でいずれか一組の電極に順次通電させるような構成であってもよい。なお、この構成により、黒鉛化領域7は楕円形状から略円形に形成されることになる。
【0018】
図1に戻り、管状部材4の取り入れ口4aは、黒鉛化領域7の直下に配置される。この取り入れ口4aの位置は、黒鉛化領域7において適正に黒鉛化された原料粉末、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく取り出すために、図1点線で示す炉本体1内での原料粉末(黒鉛粉末)の安息角を考慮して決定される。ただし、取り入れ口4aの位置は任意に設定可能であり、例えば炉本体1の下端底面部分など冷却兼排出ゾーンcに配置してもよい。
【0019】
また、この黒鉛化電気炉には、炉本体1内部に所定ガスを吹き込むためのガス供給手段11が設けられ、さらに炉本体1上部の予熱ゾーンaに排出ノズル12が設けられる。ガス供給手段11は、図1の点線矢印に示すように、チャンバ3内に所定ガスを送り込み、管状部材4を介して炉本体1内の黒鉛化領域7に所定のガスを吹き込む。供給するガスとしては、原料粉末の黒鉛化に支障のないガス、例えば酸素を含まない窒素ガスやアルゴンガスなどが用いられる。排出ノズル12は、図2に示すように、炉本体1の側壁一周にわたって等間隔で複数設けられ、それぞれ環状管13に接続される。
【0020】
なお、炉本体1へのガス吹き込み手段として管状部材4を用いることに限定されず、例えばガス吹き込み用のノズルを炉本体1の下部等に設けるようにしてもよい。さらに、吹き込み位置として黒鉛化領域7近傍ではなく冷却兼排出ゾーンcに設定し、ガス吹き込みによる冷却兼排出ゾーンcの冷却促進を図るようにしてもよい。ただし、炉本体1内にガスを吹き込むか否かは任意である。なお、炉本体1にガスを吹き込むことにより、炉本体1内部へ空気が浸入しないように所定圧力に設定することが可能となる。
【0021】
ところで、予熱ゾーンaで原料粉末を予熱する過程で、熱分解等により原料粉末から不純ガス(例えばCmHnガス等)が発生し、このCmHnガスは、温度が低下すると凝縮して液化し、予熱部aでの原料粉末の棚吊りを生じさせる原因となる。また、予熱ゾーンaにおいて山形に分布する原料粉末は、粒径の大きなものが外側へ、また粒径の小さなものが山の中心部分に集められることから、ここを通過するガスは、図4に示すように、中心付近で圧損が大きく流れにくくなっており、この中心付近を避けた内壁近くを選択的に通過する。しかも、中心付近で原料粉末が高く堆積し、内壁に近づくに従い低く堆積しているため、加熱ゾーンbを通過して加熱されたガスは、層厚の短い(堆積が低い)部分を通過してそれほど冷却されずに高温を維持したまま内壁近くの原料粉末の層を通過することになる。
【0022】
従って、管状部材4から炉本体1に吹き込んだガスは、高温のまま予熱ゾーンaを通過することにより、不純ガスを凝縮させることなくキャリアガスとなって不純ガスを排出ノズル12に送り込むようにしている。これにより、不純ガスの凝縮によるタール状物や固形物の形成を防止し、棚吊りを効果的に抑制して加熱ゾーンbへの原料粉末の降下をスムーズにできる。なお、排出ノズル12から環状管13に排出されたガスは、燃焼等により処理される。
【0023】
また、排出ノズル12が炉本体1の側壁上部に配置されることにより、内壁近くを通過したガスを効率よく捕集することが可能となり、しかも、予熱ゾーンaを通過したガスが粒径の小さな中心付近に巻き込まないことに加えて、予熱ゾーンaを通過するガスが粒径の大きな層を通過することから粉塵等の発生が少なく、環状管13から排出されたガスの処理においてフィルタ等の負担を軽減し、排気装置や処理装置のランニングコストを低減し、さらには原料粉末の歩留まりを向上させる。なお、炉本体1へ供給されるガスが管状部材4を通過することにより、管状部材4を通過する黒鉛粉末の冷却と、管状部材4内での棚吊りとを抑制し、管状部材4内の黒鉛粉末の流動化を促進している。
【0024】
続いて、以上のように構成された黒鉛化電気炉の動作について説明する。本発明に係る黒鉛化電気炉では、前工程で準備される原料粉末を多量に貯留することなく、連続的に黒鉛化処理する。先ず、供給手段から所定流量で送られる原料粉末を投入口2から炉本体1の予熱ゾーンaに投入し、合わせて回収手段を駆動して管状部材4から黒鉛粉末を所定流量切り出すことにより炉本体1内で原料粉末を降下させる。なお、投入時の原料粉末の温度は室温であるが、これに限定されず、供給手段において原料粉末を加熱してもよい。
【0025】
そして、電極5、6間を所定電流および電圧で通電することにより、加熱ゾーンbにおいて原料粉末の固有抵抗に応じたジュール熱により原料粉末自体が加熱される。なお、投入された原料粉末は予熱ゾーンaにおいて加熱ゾーンbからの熱伝導により予熱されるため、投入段階で非導電性であっても、予熱により導電性となるものが使用可能である。
【0026】
また、粉粒体は一般的に熱伝導率が小さい。従って、原料粉末自体が断熱機能を果たすため、外部の熱は炉本体1外側に放散する一方、内部の熱は逃げにくくなり、その結果、黒鉛化領域7が2500℃〜3500℃の温度に保持されることになる。ただし、黒鉛化領域7の温度は、炉本体1の寸法、電極5、6間の電流や電圧変化、炉本体1内での原料粉末の移動速度によって適宜設定可能であり、さらに黒鉛化領域7の範囲も同様に設定できる。
【0027】
予熱ゾーンaに投入された原料粉末は、山形分布を形成することにより予熱ゾーンaで効率よく予熱されながら、回収手段による黒鉛粉末の切り出し量に応じて時間経過とともに降下し、加熱ゾーンbの黒鉛化領域7を通過する間に加熱処理されて黒鉛化する。その後、黒鉛粉末は、取り入れ口4aから管状部材4に取り込まれ、この管状部材4を通過する間に冷却されるとともにチャンバ3内の回収手段により切り出されて他の装置等へ送られる。
【0028】
以上のように、供給手段によって原料粉末を投入口2から炉本体1に連続的に投入しつつ、黒鉛化領域7において形成された黒鉛粉末を管状部材4を介して回収手段により連続的に取り出している。このようなプロセスにおいて、管状部材4から炉本体1に吹き込まれた所定のガスは、黒鉛化領域7で加熱された後、予熱ゾーンaにおいて内壁近くの原料粉末の層を通過し、高温のまま不純ガスのキャリアガスとなって排出ノズル12に取り込まれる、といった連続性が維持されており、不純ガスの凝縮を継続して抑制し、さらに粉塵等の発生を抑制している。
【0029】
なお、この黒鉛化電気炉にあっては、原料粉末が炉本体1内部を降下する間に黒鉛化領域7で黒鉛粉末となって炉本体から取り出されるため、供給手段により原料粉末を連続的に投入しながら回収手段によって良質な黒鉛粉末を効率よく連続的に取り出すことができ、原料粉末を長期間貯留させることなく生産性の高い黒鉛粉末の連続式の製造プロセスを実現できる。さらに、連続式の製造プロセスのため電力の原単位が小さく(従来炉の約3分の1程度)、電源設備も小型となりコストを低減できる。
【0030】
また、装置全体がコンパクトであり、少量生産にも容易に適応でき、仮に操業途中の不具合により操業を中止しても損害は少なく、操業再開も早くできる。アチソン炉のように原料粉末を充填するケースが不要となり、ケースからの汚染の問題がないだけでなく、ケースへの充填および排出時の粉塵の発生も少なくなって良好な作業環境を維持できる。炉本体1への原料粉末の投入および黒鉛粉末の取り出しを機械化することができ、装置の自動化を容易に実施できる。
【0031】
さらに、黒鉛化領域7における原料粉末の滞留時間が原料粉末供給量および黒鉛粉末回収量の調整により設定されるので、黒鉛化に必要な滞留時間を原料粉末供給量等で容易に設定でき、連続式製造プロセスにおける生産効率の最適化を簡単な制御で確実に行うことができる。
【0032】
また、管状部材4の取り入れ口4aが黒鉛化領域7の近傍に配置されるため、黒鉛化領域7、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく管状部材4に取り込んで炉本体1の外側に取り出すことにより品質の均一化を図ることができ、しかも黒鉛粉末が管状部材4を通過する間に適宜冷却され、炉本体1から取り出された黒鉛粉末のその後の処理が容易となる。
【0033】
ところで、図1に示す炉本体1では、管状部材4の外側にある黒鉛粉末はそのまま排出されずに滞留することになるが、この滞留する黒鉛粉末によって、黒鉛粉末の異材との汚染を防止するとともに断熱材としても機能する。また、前記実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。図示のものでは原料粉末を炉本体1の上部から投入し、かつ炉本体1の下部から取り出しているが、例えば原料粉末(黒鉛粉末)をガス圧等によって強制的に移動させる場合には、炉本体1の左方から原料粉末を投入し、炉本体1の右方に黒鉛粉末を取り出すような構成であってもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る黒鉛化電気炉は、投入口から炉本体の略中心付近に投入された原料粉末が炉本体内で所定の安息角をもって山形に分布し、粒径の大きなものが外側へ、また粒径の小さなものが山の中心部分に集められて中心付近で高く堆積し、内壁に近づくに従い低く堆積するため、例えば、炉本体に設けた電極間の通電により炉本体内部の略中央付近で原料粉末自体を加熱する場合、この略中央付上方の堆積高さが高いため、投入された原料粉末を効率よく予熱することができる。
【0035】
さらに、炉本体内部に下部から吹き込まれた所定ガスが加熱された後に低く堆積した部分を通過するため、所定ガスの温度低下が回避され、これにより原料粉末から生じた不純ガスの温度低下を抑制して凝縮を抑制し、原料粉末の棚吊りを効果的に防止して原料粉末の降下をスムーズに行うことができる。従って、黒鉛粉末の連続的な製造を容易に実現できる。さらに、粒径の大きな層を所定ガスが通過するため、微細な粉塵が所定ガスにより排出される割合を少なくし、フィルタ等の負荷を低減するとともに、原料粉末の歩留まりの向上を図ることができる。
【0036】
また、所定ガスが、黒鉛粉末を取り出すための通路(管状部材)を通るため、この通路内で黒鉛粉末を冷却するとともに、通路内での黒鉛粉末の棚吊りが抑制され黒鉛粉末の流動化を確保して黒鉛粉末の連続的な取り出しを行うことができる。
【0037】
また、原料粉末を通過した所定ガスが炉本体の側壁上部から排出されるため、内壁近くを通過した所定ガスを適宜捕集することにより、粒径の小さな原料粉末が堆積する中心付近に所定ガスが巻き込むことを防止し、粉塵等の発生を抑制することができる。
【0038】
請求項2に係る黒鉛化電気炉は、排出ノズルが炉本体上部の周囲にわたって複数設けられるため、内壁付近を通過した所定ガスを効率よく捕集することができ、これにより中心付近への所定ガスの巻き込みを効果的に防止し、より一層粉塵等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る黒鉛化電気炉の実施形態を示す断面図である。
【図2】 図1に示す黒鉛化電気炉の平面図である。
【図3】 図1のA−A線に沿った断面図である。
【図4】 図1に示す黒鉛化電気炉においてガスの流れを示す断面図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 投入口
4 管状部材
5,6 電極
7 黒鉛化領域
11 ガス供給手段
12 排出ノズル

Claims (2)

  1. 炉本体の上部から投入された原料粉末を降下中に加熱して黒鉛化し、この黒鉛粉末を前記炉本体の下部から連続して取り出すようにした黒鉛化電気炉であって、
    前記炉本体の原料粉末の投入口が当該炉本体上部の略中心部分に設けられ、
    原料粉末に通電して加熱するための少なくとも1組の電極が前記炉本体の側壁に設けられ、
    前記電極により原料粉末が加熱された黒鉛化領域の直下に取り入れ口が配置されかつ黒鉛粉末を取り出すための管状部材が前記炉本体に設けられ、
    前記管状部材を介して前記黒鉛化領域に所定ガスを供給するガス供給手段が設けられ
    前記所定ガスを前記炉本体の側壁上部から排出する排出ノズルが設けられることを特徴とする黒鉛化電気炉。
  2. 前記排出ノズルは、前記炉本体上部の周囲にわたって複数設けられることを特徴とする請求項1記載の黒鉛化電気炉。
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