JP4151111B2 - 黒鉛化電気炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒鉛粉末などの粉末を製造するための黒鉛化電気炉に関し、特に、炉本体内部に供給される所定ガスを効率よく回収可能としつつ、回収された所定ガスの効率的な利用を図り、操業コストを低減できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、黒鉛粉末等の粉末を工業的に製造するには、カーボン粉末等の原料粉末を例えば不活性雰囲気下において約3000℃〜3500℃に加熱処理し、原料粉末を黒鉛化することにより行う。この加熱処理に用いられる装置としては、従来、特開平7−252726号公報、特公平3−330号公報、特許第2579561号公報などに記載のようなアチソン炉が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アチソン炉は、ケース内に原料粉末を充填した後にこれを加熱して黒鉛化し、これを冷却した後にケースから黒鉛粉末を取り出すといったバッチ式の製造プロセスを行うため、次のような問題点を有している。
▲1▼電力の原単位が大きく、電源設備も大がかりとなってコストが高い。
▲2▼黒鉛粉末の冷却に長時間を要し、生産性が悪い。
▲3▼少量生産に適さず、操業途中で中止すると損害が多大となる。
▲4▼ケースへの原料粉末の充填に時間、手間がかかり、作業中に発生する粉塵等により作業環境を悪化させる。
▲5▼ケースに充填した加熱材料を通電加熱してその熱伝導で原料粉末を加熱するため、加熱効率が悪く、ケースから原料粉末への汚染の問題がある。
【0004】
このような問題に対処するため、炉本体の上部から原料粉末を投入するとともに原料粉末が降下する間に加熱して黒鉛化させ、黒鉛粉末を炉本体の下部から連続して取り出すといった黒鉛化電気炉が考えられる。この黒鉛化電気炉では、原料粉末の燃焼を防止するため、炉本体内部を所定ガス雰囲気に設定することが必要である。この場合、炉本体に吹き込まれた所定ガスを効率よく回収することや、原料粉末の加熱中に生じる不純ガスを確実に炉本体から排出すること、さらには回収された所定ガスを有効利用することが、操業コストの低減を図るうえで望まれている。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、炉本体に吹き込まれた所定ガスを不純ガスとともに効率よく回収するとともに、回収された所定ガスを再利用して操業コストを低減させることができるようにした黒鉛化電気炉を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、炉本体に投入された原料粉末を加熱領域で加熱処理し、この生成粉末を炉本体から取り出すようにした黒鉛化電気炉であって、炉本体内部に酸素を含まない窒素ガスやアルゴンガスを吹き込むためのガス供給手段と、前記ガスを炉本体から排出する排出ノズルとを備え、排出ノズルは、前記ガスが加熱領域に達する前に炉本体から排出する第1ノズルと、前記ガスが加熱領域を通過した後に炉本体から排出する第2ノズルとで構成される技術が採用される。この黒鉛化電気炉では、加熱領域を通過していないガスを第1ノズルから回収し、加熱領域を通過したガスを第2ノズルから回収するため、それぞれのノズルから回収されたガスを特定の処理装置で処理可能となり、ガス処理に要するコストを低減し、操業コストの低下を図っている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1の黒鉛化電気炉炉において、第2ノズルが、前記ガスの流れ方向に沿って複数配置される技術が適用される。この黒鉛化電気炉では、上流側の第2ノズルで回収しきれないガスを下流側の第2ノズルで回収するため、加熱領域を通過した前記ガスを確実かつ効率よく炉本体から排出可能となる。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の黒鉛化電気炉において、第1ノズルから排出された前記ガスがガス供給手段により炉本体に吹き込まれるように、前記ガスの循環経路が形成される技術が適用される。この黒鉛化電気炉では、第1ノズルから排出された前記ガスをガス供給手段により炉本体に吹き込むため、前記ガスを再利用することにより操業コストの低下を図っている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3の黒鉛化電気炉において、循環経路に熱交換器を介在させ、炉本体へ供給される温度管理用流体と前記ガスとを熱交換させる技術が適用される。この黒鉛化電気炉では、炉本体へ供給される温度管理用流体が熱交換器によって温められるため、流体を加熱するための熱源として前記ガスを用いることにより加熱用の装置を不要とし、コストの低減を図っている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図1および図2を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電気炉を示す断面図である。この電気炉は、堅型構造であって、黒鉛粉末を製造する黒鉛化電気炉である。炉本体1には、上部の投入口2を介して図示しない原料粉末の供給手段が接続されるとともに、下部に管状部材3を介して図示しない黒鉛粉末(生成粉末)の回収手段が接続され、対向する側壁にそれぞれ縦長の電極4,5が取り付けられる。そして、この黒鉛化電気炉は、炉本体1の電極4,5より上方を予熱ゾーンaとし、電極4,5間の黒鉛化領域6を含む部分を加熱ゾーンbとし、電極4,5より下方を冷却兼排出ゾーンcとしている。
【0011】
炉本体1は、図1に示すように、下部にいくに従い絞るような形状に形成されており、これにより冷却効率を高めているが、このように下部を絞るか否かは任意である。また、炉本体1は、水平断面が円形または角形のいずれであってもよく、さらに予熱ゾーンa、加熱ゾーンb、冷却兼排出ゾーンcのいずれかに対応して水冷(液冷)または空冷(ガス冷)等の冷却手段を設けてもよい。
【0012】
原料粉末の供給手段としては、原料粉末を所定流量で連続的に投入するスクリューコンベアやベルトコンベア、ターンテーブル等が用いられ、これらの駆動速度によって原料粉末の単位時間あたりの投入量が設定される。また、投入される原料粉末としては、粉状体および粒状体を含むものであって、高温度で加熱すれば黒鉛化でき、加熱温度域で導電性を有するような、例えば炭素材、炭素の前駆体等が用いられる。
【0013】
回収手段としては、管状部材3から送られる黒鉛粉末を連続的に切り出すターンテーブルやスクリューコンベア、ベルトコンベアが用いられ、これらの駆動速度によって黒鉛粉末の時間あたりの取り出し量が設定され、これにより原料粉末(黒鉛粉末)の炉本体1内部の滞留時間を調節している。
【0014】
電極4,5は、図2に示すように、加熱ゾーンbの黒鉛化領域6に対応して炉本体1の対向する側壁に絶縁材7,8を介して取り付けられ、直流または交流の電源9に接続される。さらに、電極4,5にわたる炉本体1内壁には湾曲板状の絶縁材10,11が取り付けられる。これら絶縁材7,8,10,11は、電流が炉本体1を介してショートパスするのを防止する。
【0015】
そして、電極4,5間に通電する(例えば50V,1000A)ことによって原料粉末(黒鉛粉末)は固有抵抗に応じたジュール熱で自ら発熱し、約2500℃〜3500℃となる楕円形状の加熱領域(黒鉛化領域6)を形成してこの領域で黒鉛化する。ちなみに、予熱ゾーンaの熱源は、この加熱ゾーンbからの熱伝導によって得られる。ただし、予熱ゾーンaの原料粉末は、加熱ゾーンbからの熱放散を制限する断熱層としても機能する。
【0016】
電極4,5の配置は、図1に示すように同一水平レベルに配置することや、図2に示すように炉本体1の中心を挟んで対称に配置することに限定されず、それぞれズレた状態で配置するものであってもよい。さらに、複数組の電極をそれぞれ対向配置させ、電極4,5を含めてスイッチングすることにより所定の時間間隔でいずれか一組の電極に順次通電させるような構成であってもよい。なお、この構成により、黒鉛化領域6は楕円形状から略円形に形成されることになる。
【0017】
図1に戻り、管状部材3の取り入れ口3aは、黒鉛化領域6の直下に配置される。この取り入れ口3aの位置は、黒鉛化領域6において適正に黒鉛化された原料粉末、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく取り出すために、図1点線で示す炉本体1内での原料粉末(黒鉛粉末)の安息角を考慮して決定される。ただし、取り入れ口3aの位置は任意に設定可能であり、例えば炉本体1の下端底面部分など冷却兼排出ゾーンcに配置してもよい。
【0018】
また、この黒鉛化電気炉には、炉本体1内部に所定ガスを吹き込むためのガス供給手段12が設けられる。ガス供給手段12は、管状部材3を介して炉本体1内の黒鉛化領域6に向けて所定ガスを吹き込む。供給するガスとしては、原料粉末の黒鉛化に支障のないガス、例えば酸素を含まない窒素ガスやアルゴンガスなどが用いられ、本実施形態では適宜所定ガスという。
【0019】
なお、炉本体1へのガス吹き込み手段として管状部材3を用いることに限定されず、例えばガス吹き込み用のノズルを炉本体1の下部等に設けるようにしてもよい。さらに、吹き込み位置として黒鉛化領域7近傍ではなく冷却兼排出ゾーンcに設定し、ガス吹き込みによる冷却兼排出ゾーンcの冷却促進を図るようにしてもよい。このように炉本体1にガスを吹き込むことにより、炉本体1内部へ空気が浸入しないように所定圧力に設定することが可能となる。
【0020】
炉本体1には、所定ガスを回収するための排出ノズルが設けられる。排出ノズルは、図1に示すように、管状部材3の取り入れ口3a近傍(加熱ゾーンbの下方)に開口して所定ガスが黒鉛化領域6を通過する前に炉本体1から排出するための第1ノズル13と、加熱ゾーンb上方および予熱ゾーンaに開口して所定ガスが黒鉛化領域6を通過した後に炉本体1から排出するための第2ノズル14,15とで構成される。
【0021】
これら第1ノズル13および第2ノズル14,15のそれぞれは、炉本体1の側壁一周にわたって等間隔で複数設けられ、それぞれ環状管16,17,18に接続される。ただし、これら環状管16等を用いるか否かは任意である。また、第2ノズル14,15は、所定ガスの流れ方向に沿って2カ所で所定ガスを回収しているが、これに限定されず、流れ方向に沿って3カ所以上で所定ガスを回収してもよい。
【0022】
環状管16は、循環経路19を介して管状部材3に接続される。すなわち、第1ノズル13から排出されたガスは、ファン20の駆動により環状管16から循環経路19を介して管状部材3へ送られる。なお、管状部材3から吹き込まれる所定ガスは、黒鉛化領域6を通過しないため不純ガスを含んでおらず、再利用が可能である。
【0023】
また、循環経路19の一部には、熱交換器21が設けられる。この熱交換器21は、供給源22から送られた温度管理用流体(例えば水等)を所定温度に加熱するものである。加熱された流体は、炉本体1へ供給され、炉本体1の保温用として用いられ、操業停止時における炉本体1内部の結露を防止する。一方、熱交換器21を通過した所定ガスは適度に冷却されることになる。
【0024】
なお、循環経路19を形成するか否か、熱交換器21により温度管理用流体を加熱するか否かは任意であり、熱交換器21を他の流体加熱用の熱源としてエネルギの有効利用を図るようにしてもよい。さらに、温度管理用流体が供給源22から送られることに限定されず、炉本体1から再度熱交換器21に送られるようにしてもよい。また、温度管理用流体を炉本体1の冷却用として利用してもよい。
【0025】
環状管17,18は、それぞれガス処理系23,24に接続される。すなわち、第2ノズル14から排出されたガスは、ファン25の駆動により環状管17からヒータ26により加熱された後に燃焼装置や凝固ポット(油化装置)などの処理装置27により処理され、煙突等の放出部28から大気放出される。同様に、第2ノズル15から排出されたガスは、ファン29の駆動により環状管18からヒータ30および処理装置31を介して放出部32から大気放出される。ヒータ26,30は排出途中で油化または固化しないように排出ガスを加熱するものであり、特に上側の第2ノズル15からの排出ガスは、予熱ゾーンaを通過したものであって、ある程度低温になっており、油化等を防止するためヒータ30によって適宜加熱することが好ましい。
【0026】
黒鉛化領域6を通過したガスは不純ガス(例えばCmHnガス等)を含んでいるため、これらガス処理系23,24によって不純ガス成分が適宜処理される。なお、図示のものでは第2ノズル14,15ごとにガス処理系23,24を設けているが、これに限定されず、例えば一つのガス処理系により第2ノズル14,15双方からのガスを処理してもよい。
【0027】
ところで、原料粉末を加熱する過程で、熱分解等により原料粉末から不純ガス(例えばCmHnガス等)が発生し、このCmHnガスは、温度が低下すると凝縮して液化し、予熱ゾーンa等での原料粉末の棚吊りを生じさせる原因となる。しかし、管状部材3から炉本体1に吹き込んだガスが黒鉛化領域6を通過して加熱されるように構成し、しかも黒鉛化領域6より上方の第2ノズル14,15でガスを回収することにより、不純ガスを凝縮させることなく炉本体1外に排出できる。
【0028】
その結果、不純ガスの凝縮によるタール状物や固形物の形成を防止し、棚吊りを効果的に抑制して加熱ゾーンbへの原料粉末の降下をスムーズにする。さらに、炉本体1内壁付近の低温部分で不純ガスが凝固して壁面に付着するのを防ぎ、炉本体1内壁の汚損を防止する。なお、炉本体1へ供給されるガスが管状部材3を通過することにより、管状部材3を通過する黒鉛粉末の冷却と、管状部材3内での棚吊りとを抑制し、管状部材3内での黒鉛粉末の流動化を促進している。
【0029】
続いて、以上のように構成された黒鉛化電気炉の動作について説明する。本発明に係る黒鉛化電気炉では、前工程で準備される原料粉末を多量に貯留することなく、連続的に黒鉛化処理する。先ず、供給手段から所定流量で送られる原料粉末を投入口2から炉本体1の予熱ゾーンaに投入し、合わせて回収手段を駆動して管状部材3から黒鉛粉末を所定流量切り出すことにより炉本体1内で原料粉末を降下させる。なお、投入時の原料粉末の温度は室温であるが、これに限定されず、供給手段において原料粉末を加熱してもよい。
【0030】
そして、電極4,5間を所定電流および電圧で通電することにより、加熱ゾーンbにおいて原料粉末の固有抵抗に応じたジュール熱により原料粉末自体が加熱される。なお、投入された原料粉末は予熱ゾーンaにおいて加熱ゾーンbからの熱伝導により予熱されるため、投入段階で非導電性であっても、予熱により導電性となるものが使用可能である。
【0031】
また、粉粒体は一般的に熱伝導率が小さい。従って、原料粉末自体が断熱機能を果たすため、外部の熱は炉本体1外側に放散する一方、内部の熱は逃げにくくなり、その結果、黒鉛化領域6が2500℃〜3500℃の温度に保持されることになる。ただし、黒鉛化領域6の温度は、炉本体1の寸法、電極4,5間の電流や電圧変化、炉本体1内での原料粉末の移動速度によって適宜設定可能であり、さらに黒鉛化領域7の範囲も同様に設定できる。
【0032】
予熱ゾーンaに投入された原料粉末は、予熱ゾーンaで効率よく予熱されながら、回収手段による黒鉛粉末の切り出し量に応じて時間経過とともに降下し、加熱ゾーンbの黒鉛化領域6を通過する間に加熱処理されて黒鉛化する。その後、黒鉛粉末は、取り入れ口3aから管状部材3に取り込まれ、この管状部材3を通過する間に冷却されるとともに回収手段により切り出されて他の装置等へ送られる。
【0033】
以上のように、供給手段によって原料粉末を投入口2から炉本体1に連続的に投入しつつ、黒鉛化領域6において形成された黒鉛粉末を管状部材3を介して回収手段により連続的に取り出している。このようなプロセスにおいて、管状部材3から炉本体1に吹き込まれた所定ガスは、黒鉛化領域6に達する前に第1ノズル13に取り込まれ、循環経路19を介して再度管状部材3から炉本体1内に吹き込まれる。
【0034】
黒鉛化領域6を通過したガスは、不純ガスに対するキャリアガスとなって第2ノズル14に取り込まれ、ガス処理系23により不純ガスが処理されたうえで大気放出される。さらに、この第2ノズル14で回収できないガスは第2ノズル15に取り込まれ、同じくガス処理系24により不純ガスが処理されたうえで大気放出される。なお、黒鉛化領域6を通過した高温のガスにより不純ガスの凝縮を抑制することにより、原料粉末の棚吊りを防止するとともに、炉本体1内壁に不純ガスの凝固物が付着して汚損するのを防止する。
【0035】
また、この黒鉛化電気炉にあっては、原料粉末が炉本体1内部を降下する間に黒鉛化領域6で黒鉛粉末となって炉本体から取り出されるため、供給手段により原料粉末を連続的に投入しながら回収手段によって良質な黒鉛粉末を効率よく連続的に取り出すことができ、原料粉末を長期間貯留させることなく生産性の高い黒鉛粉末の連続式の製造プロセスを実現できる。さらに、連続式の製造プロセスのため電力の原単位が小さく(従来炉の約3分の1程度)、電源設備も小型となりコストを低減できる。
【0036】
また、装置全体がコンパクトであり、少量生産にも容易に適応でき、仮に操業途中の不具合により操業を中止しても損害は少なく、操業再開も早くできる。アチソン炉のように原料粉末を充填するケースが不要となり、ケースからの汚染の問題がないだけでなく、ケースへの充填および排出時の粉塵の発生も少なくなって良好な作業環境を維持できる。炉本体1への原料粉末の投入および黒鉛粉末の取り出しを機械化することができ、装置の自動化を容易に実施できる。
【0037】
さらに、黒鉛化領域6における原料粉末の滞留時間が原料粉末供給量および黒鉛粉末回収量の調整により設定されるので、黒鉛化に必要な滞留時間を原料粉末供給量等で容易に設定でき、連続式製造プロセスにおける生産効率の最適化を簡単な制御で確実に行うことができる。
【0038】
また、管状部材3の取り入れ口3aが黒鉛化領域6の近傍に配置されるため、黒鉛化領域6、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく管状部材3に取り込んで炉本体1の外側に取り出すことにより品質の均一化を図ることができ、しかも黒鉛粉末が管状部材3を通過する間に適宜冷却され、炉本体1から取り出された黒鉛粉末のその後の処理が容易となる。
【0039】
ところで、図1に示す炉本体1では、管状部材3の外側にある黒鉛粉末はそのまま排出されずに滞留することになるが、この滞留する黒鉛粉末によって、黒鉛粉末の異材との汚染を防止するとともに断熱材としても機能する。また、前記実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。さらに、図示のものは黒鉛粉末を製造する黒鉛化電気炉であるが、本発明に係る電気炉は金属や導電性セラミックスの粉体焼成炉にも適用できる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る黒鉛化電気炉は、加熱領域を通過していないガスを第1ノズルから回収し、加熱領域を通過したガスを第2ノズルから回収するため、それぞれのノズルから回収されたガスを特定の処理装置で処理可能となり、ガス処理に要するコストを低減し、操業コストの低下を図ることができる。
【0041】
請求項2に係る黒鉛化電気炉は、上流側の第2ノズルで回収しきれないガスを下流側の第2ノズルで回収するため、加熱領域を通過したガスを確実かつ効率よく炉本体から排出できる。
【0042】
請求項3に係る黒鉛化電気炉は、第1ノズルから排出されたガスをガス供給手段により炉本体に吹き込むため、ガスを再利用することによりガス消費量が少なく、操業コストの低下を図ることができる。
【0043】
請求項4に係る黒鉛化電気炉は、炉本体へ供給される温度管理用流体が熱交換器によって温められるため、流体を加熱するための熱源としてガスを用いることにより加熱用の装置を不要とし、流体の昇温に廃熱を利用するといったエネルギの有効活用により操業コストを低減できる。しかも、熱交換器によってガスが冷却されるため、再利用されるガスの取扱いが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る黒鉛化電気炉の実施形態を示す断面図である。
【図2】 図1のA−A線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 炉本体
4,5 電極
6 黒鉛化領域(加熱領域)
12 ガス供給手段
13 第1ノズル(排出ノズル)
14,15 第2ノズル(排出ノズル)
19 循環経路
21 熱交換器
Claims (4)
- 炉本体に投入された原料粉末を加熱領域で加熱処理し、この生成粉末を前記炉本体から取り出すようにした黒鉛化電気炉であって、
前記炉本体内部に酸素を含まない窒素ガスやアルゴンガスを吹き込むためのガス供給手段と、前記ガスを前記炉本体から排出する排出ノズルとを備え、
前記排出ノズルは、前記ガスが前記加熱領域に達する前に炉本体から排出する第1ノズルと、前記ガスが前記加熱領域を通過した後に炉本体から排出する第2ノズルとで構成されることを特徴とする黒鉛化電気炉。 - 前記第2ノズルは、前記ガスの流れ方向に沿って複数配置されることを特徴とする請求項1記載の黒鉛化電気炉。
- 前記第1ノズルから排出された前記ガスが前記ガス供給手段により前記炉本体に吹き込まれるように、前記ガスの循環経路が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の黒鉛化電気炉。
- 前記循環経路に熱交換器を介在させ、前記炉本体へ供給される温度管理用流体と前記ガスとを熱交換させることを特徴とする請求項3記載の黒鉛化電気炉。
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