JP4147617B2 - 黒鉛化電気炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒鉛粉末を製造するための黒鉛化電気炉に関し、特に、原料粉末から黒鉛粉末を連続的に製造できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、黒鉛粉末を工業的に製造するには、カーボン粉末等の原料粉末を例えば不活性雰囲気下において約3000℃〜3500℃に加熱処理し、原料粉末を黒鉛化することにより行う。この加熱処理に用いられる装置としては、従来、特開平7−252726号公報、特公平3−330号公報、特許第2579561号公報などに記載のようなアチソン炉が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アチソン炉は、ケース内に原料粉末を充填した後にこれを加熱して黒鉛化し、これを冷却した後にケースから黒鉛粉末を取り出すといったバッチ式の製造プロセスを行うため、電力の原単位が大きいだけでなく、電源設備も大がかりとなってコストが高い。しかも、黒鉛粉末を取り出せる温度にまで冷却するのに長時間を要し、生産性が悪い。また、アチソン炉は大型の炉であって少量生産には適さず、ある程度の量をまとめた処理が必要となり面倒であるだけでなく、一旦操業を開始した後に不具合により操業を中止すると損害が多大なものとなる。さらに、原料粉末の配合変更が主として人手により行われるため、ケースへの充填量が多いと大変な作業となり時間、手間がかかってコストの増加を招き、しかも作業中に発生する粉塵等により作業環境を悪化させる。また、アチソン炉は、原料粉末を充填したケースに例えば加熱材料を別途充填し、通電時に加熱材料を電気抵抗加熱してその熱伝導で間接的に原料粉末を加熱する構成のため、原料粉末への加熱効率が悪く、さらにはケースから原料粉末への汚染の問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、アチソン炉のようなバッチ式ではなく、連続式の黒鉛化製造プロセスを可能にして原料粉末投入から黒鉛粉末回収までの時間を短縮するとともに、機械化、自動化に容易に対応でき、生産性の向上、製造コストの低減化、省力化、作業環境のクリーン化、黒鉛粉末の品質均一化を図り、装置全体がコンパクトな黒鉛化電気炉を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、内部の一部領域を黒鉛化領域とする炉本体と、黒鉛化領域を挟んで炉本体に対向配置される原料粉末の供給手段および黒鉛粉末の回収手段と、黒鉛化領域の原料粉末に通電するように炉本体に設けられる少なくとも1組の電極とを備え、供給手段から炉本体に投入された原料粉末が黒鉛化領域を通過する間に電極間の通電により黒鉛粉末となって回収手段により炉本体から取り出されるようにした黒鉛化電気炉であって、回収手段が、黒鉛粉末の取り入れ口を黒鉛化領域の近傍に配置するとともに取り入れ口から炉本体の外側に接続する連通路を備え、その連通路が、炉本体の内部に突出する管状部材により形成され、この管状部材の周囲にブロックが配置される技術が採用される。この発明に係る黒鉛化電気炉は、原料粉末が炉本体内部を流れる間に黒鉛化領域で黒鉛粉末となって炉本体から取り出されるため、供給手段により原料粉末を連続的に投入しながら回収手段で黒鉛粉末を連続的に取り出すことが可能となり、黒鉛粉末の連続式製造プロセスを実現する。
また、取り入れ口が黒鉛化領域の近傍に配置されるため、黒鉛化領域、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく連通路に取り込んで炉本体の外側に取り出すことにより品質の均一化を図り、しかも黒鉛粉末が連通路を通過する間に適宜冷却され、炉本体から取り出された黒鉛粉末のその後の処理が容易となる。
また、管状部材の周囲にブロックが配置されるため、黒鉛粉末の熱が管状部材を介してブロックに伝達されることにより、黒鉛粉末の冷却および炉本体側壁の保護を図っている。
【0006】
請求項2に係る発明は、内部の一部領域を黒鉛化領域とする炉本体と、黒鉛化領域を挟んで炉本体に対向配置される原料粉末の供給手段および黒鉛粉末の回収手段と、黒鉛化領域の原料粉末に通電するように炉本体に設けられる少なくとも1組の電極とを備え、供給手段から炉本体に投入された原料粉末が黒鉛化領域を通過する間に電極間の通電により黒鉛粉末となって回収手段により炉本体から取り出されるようにした黒鉛化電気炉であって、回収手段が、黒鉛粉末の取り入れ口を黒鉛化領域の近傍に配置するとともに取り入れ口から炉本体の外側に接続する連通路を備え、その連通路が、炉本体内部に積層配置される各ブロックの貫通孔を接続することにより形成される技術が適用される。この発明に係る黒鉛化電気炉は、請求項1と同様に、原料粉末が炉本体内部を流れる間に黒鉛化領域で黒鉛粉末となって炉本体から取り出されるため、供給手段により原料粉末を連続的に投入しながら回収手段で黒鉛粉末を連続的に取り出すことが可能となり、黒鉛粉末の連続式製造プロセスを実現する。
また、取り入れ口が黒鉛化領域の近傍に配置されるため、黒鉛化領域、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく連通路に取り込んで炉本体の外側に取り出すことにより品質の均一化を図り、しかも黒鉛粉末が連通路を通過する間に適宜冷却され、炉本体から取り出された黒鉛粉末のその後の処理が容易となる。
また、各ブロックの貫通孔を接続して連通路が形成されるため、連通路を形成するための部材とブロックとを別部材とする必要がなく、連通路の形成が容易となる。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の黒鉛化電気炉において、炉本体内部を所定雰囲気に設定するためのガス供給手段を備える技術が適用される。この黒鉛化電気炉では、ガス供給手段によって炉本体内部が所定の雰囲気に設定されるため、原料粉末を連続的に投入することによる炉本体内部の雰囲気変動を抑制することが可能となり、安定した黒鉛化処理を実施する。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項の黒鉛化電気炉において、供給手段および回収手段が、単位時間あたりの原料粉末供給量および黒鉛粉末回収量を調整することにより黒鉛化領域における原料粉末の滞留時間を設定する技術が適用される。この黒鉛化電気炉では、黒鉛化領域における原料粉末の滞留時間が原料粉末供給量および黒鉛粉末回収量の調整により設定されるので、黒鉛化に必要な滞留時間を原料粉末供給量等で容易に設定可能となり、連続式製造プロセスにおける生産効率の最適化を簡単な制御で確実に行うことが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1は、黒鉛化電気炉を示す断面図である。この黒鉛化電気炉は、堅型構造であって、炉本体1には、上部の投入口1aを介して原料粉末の供給手段2が接続されるとともに、下部に管状部材4を介して黒鉛粉末の回収手段3が接続され、対向する側壁にそれぞれ電極5、6が取り付けられる。そして、この黒鉛化電気炉は、炉本体1の電極5、6より上方を予熱ゾーンaとし、電極5、6間の黒鉛化領域7を含む部分を加熱ゾーンbとし、電極5、6より下方を冷却兼排出ゾーンcとしている。
【0012】
炉本体1は、下部の形状を下方にいくに従い絞るように形成しており、これにより冷却効率を高めているが、このように下部を絞るか否かは任意である。また、炉本体1は、水平断面が円形または角形のいずれであってもよく、さらに予熱ゾーンa、加熱ゾーンb、冷却兼排出ゾーンcのいずれかに対応して水冷(液冷)または空冷(ガス冷)等の冷却手段を設けてもよい。
【0013】
供給手段2は、図1に示すように、ホッパ8に収容された原料粉末を所定流量で連続的に投入口1aから炉本体1の予熱ゾーンaに投入するスクリューコンベア9を備えている。従って、原料粉末の単位時間あたりの投入量は、スクリューコンベア9の駆動速度によって設定される。ただし、スクリューコンベア9を用いることにに限定するものではなく、例えばベルトコンベアやターンテーブルを用いてもよい。また、投入される原料粉末としては、粉状体および粒状体を含むものであって、高温度で加熱すれば黒鉛化でき、加熱温度域で導電性を有するような、例えば炭素材、炭素の前駆体等が用いられる。
【0014】
回収手段3は、図1に示すように、管状部材4から送られる黒鉛粉末を連続的に切り出すターンテーブル10を所定のケース内に備えている。ターンテーブル10は駆動源10aにより所定速度で回転し、テーブル上の黒鉛粉末をホッパ12に落とし込むためのスクレーパ11を備えている。従って、黒鉛粉末の時間あたりの取り出し量は、ターンテーブル10の回転速度によって設定され、これにより、原料粉末(黒鉛粉末)の炉本体1内部の滞留時間が調節される。ただし、ターンテーブル10を用いることに限定するものではなく、例えばスクリューコンベアやベルトコンベアを用いてもよい。また、ターンテーブル10を収容するケースに液冷またはガス冷の冷却手段を設けるか否かは任意である。
【0015】
電極5、6は、図2に示すように、加熱ゾーンbの黒鉛化領域7に対応して炉本体1の対向する側壁に取り付けられ、制御装置13を介して直流または交流の電源14に接続される。そして、電極5、6間に通電する(例えば50V,1000A)ことによって、原料粉末(黒鉛粉末)は、固有抵抗に応じたジュール熱で自ら発熱して約2500℃〜3500℃の黒鉛化領域7を形成し、この領域の原料粉末を黒鉛化する。ちなみに、予熱ゾーンaの熱源は、この加熱ゾーンbからの熱伝導によって得られるものであり、その一方、予熱ゾーンaにおいて堆積する原料粉末は、加熱ゾーンbからの熱放散を制限する断熱層としても機能する。
【0016】
電極5、6の配置は、図1に示すように同一水平レベルに配置することや、図2に示すように炉本体1の中心を挟んで対称に配置することに限定されず、それぞれズレた状態で配置するものであってもよい。さらに、図2に示すように、複数組の電極5a,5b,5c,6a,6b,6cをそれぞれ対向配置させ、電極5、6を含めて制御装置13によりスイッチングして所定の時間間隔でいずれか一組の電極に順次通電させるような構成であってもよい。この構成により、黒鉛化領域7が炉本体1の中央付近に略円形に形成されることになる。なお、電極5、6一組で加熱する場合は、電極間を長径とする楕円形状の黒鉛化領域7が形成される。
【0017】
図1に戻り、管状部材4の取り入れ口4aは、黒鉛化領域7の直下に配置される。この取り入れ口4aの位置は、黒鉛化領域7において適正に黒鉛化された原料粉末、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく回収手段3によって取り出すことを目的として設定され、図1点線で示す炉本体1内での原料粉末(黒鉛粉末)の安息角を考慮して決定される。ただし、取り入れ口4aの位置は任意に設定可能であり、例えば炉本体1の下端底面部分など冷却兼排出ゾーンcに配置してもよい。
【0018】
図3及び図4は、回収手段3の他の実施形態を示している。
図3(a)は、管状部材4の外周に一体型のブロック18を設置した状態を示している。ところで、図1に示す炉本体1では、管状部材4の外側にある黒鉛粉末はそのまま排出されずに滞留することになるが、この滞留する黒鉛粉末によって、黒鉛粉末の異材との汚染を防止するとともに断熱材としても機能する。従って、ブロック18は、滞留される黒鉛粉末に代わって配置されることから、黒鉛粉末の汚染防止と断熱機能との双方を確保する必要があり、そのため、例えばカーボン等の素材により作製される。ただし、ブロック18によって適切な温度勾配を形成でき、これにより炉本体1の側壁を保護することができる。このような黒鉛粉末の汚染防止、断熱機能の確保および適切な温度勾配の形成については、以下の図3(b)〜(d)さらには図4(a)〜(c)についても同様である。
【0019】
図3(b)は、一定内径の貫通孔を持つ複数のブロック19…を積層して配置させ、これら貫通孔に管状部材4を通した状態を示している。このように複数のブロック19を用いることにより、水平方向における熱変形を各ブロックごとに生じさせ、熱変形による割れ等を抑制することができる。
【0020】
図3(c)は、図3(b)のブロック19と同様にブロック20…を積層したものであるが、図3(b)と異なり、管状部材4との間に隙間21を形成させ、この隙間21に黒鉛粉末を充填した状態を示している。このように管状部材4との隙間21に黒鉛粉末(粉状体)を充填することにより、管状部材4とブロック20との間の熱伝導が黒鉛粉末を介して行われる一方、例えば各ブロック20が水平方向に膨張・収縮したときでも、隙間21の黒鉛粉末がこれを吸収して管状部材4への接触を確保できる。
【0021】
図3(d)は、炉本体1内部において下部側が順次拡径する管状部材22が用いられ、この管状部材22の外周にブロック23が積層された状態を示している。このような管状部材22を用いることにより、管状部材22内での黒鉛粉末のつまり(棚吊り)が防止され、流動化が促進される。なお、ブロック23に代えて図3(a)のような一体型のブロックを用いてもよく、さらに図3(c)のように管状部材23とブロック23との間に隙間を設け、この隙間に黒鉛粉末を充填してもよい。
【0022】
図4(a)は、管状部材を用いずに、一定内径の貫通孔を有するブロック24を積層して配置し、貫通孔同士を接続して通路25が形成された状態を示している。これにより管状部材が不要となり、コストの低減を図ることができる。なお、最上部のブロック24の貫通孔が黒鉛粉末の取り入れ口25aとなり、黒鉛化領域7の直下に配置される。なお、ブロック24に代えて、一体型のブロックに通路25と同様の貫通孔を設けたものを用いてもよい。さらに、ブロック24の積層枚数を少なくするとともに、最上部のブロック24の貫通孔から黒鉛化領域7直下まで延びる筒状部材を設けてもよい。
【0023】
図4(b)は、図4(a)と同様にブロック26を積層したものであるが、各ブロック26の貫通孔が下方にいくに従い段階的に拡径した状態を示している。これにより、図3(d)の管状部材22と同様な形状の通路27が形成され、黒鉛粉末のつまりを抑制し、黒鉛粉末の流動化を図っている。
【0024】
図4(c)は、図4(b)と同様にブロック28を積層したものであるが、各ブロック28の貫通孔を接続して形成される通路29が連続的に拡径する状態を示している。これにより黒鉛粉末のつまりが、より一層効果的に抑制される。
【0025】
図1に戻り、この黒鉛化電気炉には、炉本体1に所定のガスを吹き込んで炉本体1内部を所定雰囲気に設定するためのガス供給手段15が設けられ、さらに炉本体1上部の予熱ゾーンaに上側排出ノズル16が、また炉本体1中央部の加熱ゾーンbに下側排出ノズル17がそれぞれ設けられる。ガス供給手段15は、図1の点線矢印に示すように、回収手段3から管状部材4を介して炉本体1内の黒鉛化領域7に所定のガスを吹き込む。供給するガスとしては、原料粉末の黒鉛化に支障のないガス、例えば酸素を含まない窒素ガスやアルゴンガスなどが用いられる。
【0026】
なお、炉本体1へのガス吹き込み手段として管状部材4を用いることに限定されず、例えばガス吹き込み用のノズルを炉本体1の下部等に設けるようにしてもよい。さらに、吹き込み位置として黒鉛化領域7近傍ではなく冷却兼排出ゾーンcに設定し、ガス吹き込みによる冷却兼排出ゾーンcの冷却促進を図るようにしてもよい。ただし、炉本体1内にガスを吹き込むか否かは任意であり、例えば炉本体1にガスを吹き込まないタイプや、炉本体1内を減圧雰囲気(真空雰囲気)に設定するタイプなど、黒鉛化電気炉としていずれのタイプであってもよい。
【0027】
炉本体1にガスを吹き込むことにより、炉本体1内部へ空気が浸入しないように所定圧力に設定することが可能となり、さらに、このガスが、予熱ゾーンaでの予熱の過程で熱分解等により原料粉末から発生する不純ガス(例えばCmHnガス等)のキャリアガスとなって、不純ガスを上側排出ノズル16から効率よく抜くことが可能となる。CmHnガスは、温度が低下すると凝縮して液化し、予熱部aでの原料粉末の棚吊りを生じさせる原因となる。しかし、管状部材4からのガスが黒鉛化領域7を通過して加熱されることにより、この加熱されたガスによってCmHn等のガスを凝縮させることなく上側排出ノズル16から抜くことができ、棚吊りを効果的に抑制している。また、ガスが管状部材4を通過することにより、管状部材4を降下する黒鉛粉末の冷却と、管状部材4内での棚吊りとが効果的に抑制され、管状部材4内の黒鉛粉末の流動化を促進する。なお上側排出ノズル16から排出されたガスは燃焼等により処理される。
【0028】
下側排出ノズル17は、管状部材4から吹き出したガスを加熱ゾーンbにある段階で炉本体1から排出する。下側排出ノズル17から排出されたガスは、不純ガスを発生させない黒鉛化領域7近傍を通過するガスであり、そのまま冷却して再度ガス供給手段15により炉本体1への吹き込みガスとして再利用できる。下側排出ノズル17から回収されたガスを冷却するに際して、炉本体1へ供給する炉壁保温用(結露防止用)の温水を加熱するのに用いることも可能である。なお、下側排出ノズル17を設けるか否かは任意である。
【0029】
また、炉本体1内に吹き込まれるガス雰囲気に合わせて、原料粉末がホッパ8に収容された段階でホッパ8内を空気から所定ガス(例えば窒素ガス)に置換し、炉本体1への原料粉末投入時に炉本体1へ空気が流入するのを防止してもよい。この場合、回収手段3のホッパ12において前記所定ガスから空気に置換し、黒鉛粉末の取り出しにより所定ガスが装置外に漏出するのを防止してもよい。
【0030】
続いて、以上のように構成された黒鉛化電気炉の動作について説明する。本発明に係る黒鉛化電気炉では、前工程で準備される原料粉末を多量に貯留することなく、連続的に黒鉛化処理する。先ず、供給手段2のスクリューコンベア9を駆動して原料粉末を所定の流量で投入口1aから炉本体1に投入するとともに、回収手段3のターンテーブル10を駆動手段10aにより所定速度で回転させ、これにより炉本体1内で原料粉末を降下させる。なお、投入時の原料粉末の温度は室温であるが、これに限定されず、供給手段2において原料粉末を加熱してもよい。
【0031】
そして、供給手段2および回収手段3の駆動と同時に電極5、6間を所定電流および電圧で通電することにより、加熱ゾーンbにおいて原料粉末の固有抵抗に応じたジュール熱により原料粉末自体が加熱される。なお、原料粉末は炉本体1の予熱ゾーンaに投入され、加熱ゾーンbからの熱伝導により予熱される。従って、原料粉末が投入段階で非導電性であっても、予熱により導電性となるもの、例えばカーボン粉末等を原料粉末として使用可能となる。
【0032】
また、粉粒体は一般的に熱伝導率が小さい。従って、原料粉末自体が断熱機能を果たすため、外部の熱は炉本体1外側に放散する一方、内部の熱は逃げにくくなり、その結果、黒鉛化領域7が2500℃〜3500℃の温度に保持されることになる。ただし、黒鉛化領域7の温度は、炉本体1の寸法、電極5、6間の電流や電圧変化、炉本体1内での原料粉末の移動速度によって適宜設定可能であり、さらに黒鉛化領域7の範囲も同様に設定できる。
【0033】
炉本体1の予熱ゾーンaに投入された原料粉末は、ターンテーブル10により切り出される黒鉛粉末の取り出し量に応じて予熱されながら時間経過とともに降下し、加熱ゾーンbの黒鉛化領域7を通過する間に加熱処理されて黒鉛化する。その後、黒鉛粉末は、取り入れ口4aから管状部材4に取り込まれ、この管状部材4を通過する間に冷却されるとともにターンテーブル10からホッパ12に送り込まれ、他の装置等へ送られる。
【0034】
以上のように、供給手段2によって原料粉末を炉本体1に連続的に投入しつつ、黒鉛化領域7において形成された黒鉛粉末を回収手段3によって連続的に取り出すことができ、黒鉛粉末の連続的な製造プロセスを実現している。
【0035】
なお、前記実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。図示のものでは原料粉末を炉本体1の上部から投入し、かつ炉本体1の下部から取り出しているが、例えば原料粉末(黒鉛粉末)をガス圧等によって強制的に移動させる場合には、炉本体1の左方から原料粉末を投入し、炉本体1の右方に黒鉛粉末を取り出すような構成であってもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る黒鉛化電気炉は、原料粉末が炉本体内部を流れる間に黒鉛化領域で黒鉛粉末となって炉本体から取り出されるため、供給手段により原料粉末を連続的に投入しながら回収手段によって良質な黒鉛粉末を効率よく連続的に取り出すことができ、原料粉末を長期間貯留させることなく生産性の高い黒鉛粉末の連続式の製造プロセスを実現できる。さらに、連続式の製造プロセスのため電力の原単位が小さく(従来炉の約3分の1程度)、電源設備も小型となりコストを低減できる。
【0037】
また、装置全体がコンパクトであり、少量生産にも容易に適応でき、仮に操業途中の不具合により操業を中止しても損害は少なく、操業再開も早くできる。アチソン炉のように原料粉末を充填するケースが不要となり、ケースからの汚染の問題がないだけでなく、ケースへの充填および排出時の粉塵の発生も少なくなって良好な作業環境を維持できる。炉本体への原料粉末の投入および黒鉛粉末の取り出しを機械化することができ、装置の自動化を容易に実施できる。
また、取り入れ口が黒鉛化領域の近傍に配置されるため、黒鉛化領域、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく連通路に取り込んで炉本体の外側に取り出すことにより品質の均一化を図ることができ、しかも黒鉛粉末が連通路を通過する間に適宜冷却され、炉本体から取り出された黒鉛粉末のその後の処理が容易となる。
また、管状部材の周囲にブロックが配置されるため、黒鉛粉末の熱が管状部材を介してブロックに伝達されることにより、黒鉛粉末を冷却できるとともに炉本体側壁を保護することができる。
【0038】
請求項2に係る黒鉛化電気炉では、請求項1の黒鉛化電気炉と同様に、原料粉末が炉本体内部を流れる間に黒鉛化領域で黒鉛粉末となって炉本体から取り出されるため、供給手段により原料粉末を連続的に投入しながら回収手段によって良質な黒鉛粉末を効率よく連続的に取り出すことができ、原料粉末を長期間貯留させることなく生産性の高い黒鉛粉末の連続式の製造プロセスを実現できる。さらに、連続式の製造プロセスのため電力の原単位が小さく(従来炉の約3分の1程度)、電源設備も小型となりコストを低減できる。
また、装置全体がコンパクトであり、少量生産にも容易に適応でき、仮に操業途中の不具合により操業を中止しても損害は少なく、操業再開も早くできる。アチソン炉のように原料粉末を充填するケースが不要となり、ケースからの汚染の問題がないだけでなく、ケースへの充填および排出時の粉塵の発生も少なくなって良好な作業環境を維持できる。炉本体への原料粉末の投入および黒鉛粉末の取り出しを機械化することができ、装置の自動化を容易に実施できる。
また、取り入れ口が黒鉛化領域の近傍に配置されるため、黒鉛化領域、すなわち希望する温度領域で加熱処理された黒鉛粉末を効率よく連通路に取り込んで炉本体の外側に取り出すことにより品質の均一化を図ることができ、しかも黒鉛粉末が連通路を通過する間に適宜冷却され、炉本体から取り出された黒鉛粉末のその後の処理が容易となる。
また、各ブロックの貫通孔を接続して連通路が形成されるため、連通路を形成するための部材とブロックとを別部材とする必要がなく、連通路の形成が容易となってコストの低減を図ることができる。
【0039】
請求項3に係る黒鉛化電気炉では、ガス供給手段によって炉本体内部が所定の雰囲気に設定されるため、原料粉末を連続的に投入することによる炉本体内部の雰囲気変動を抑制でき、炉本体内での原料粉末の棚吊りや黒鉛粉末取り出し時の棚吊りを防止して粉粒体の流動化を図り、さらには黒鉛粉末の冷却を図ることにより安定した黒鉛化処理を実施できる。また、原料粉末の加熱段階で発生する不純ガスのキャリアガスとなって、不純ガスを容易に炉本体外に排出できる。
【0040】
請求項4に係る黒鉛化電気炉では、黒鉛化領域における原料粉末の滞留時間が原料粉末供給量および黒鉛粉末回収量の調整により設定されるので、黒鉛化に必要な滞留時間を原料粉末供給量等で容易に設定でき、連続式製造プロセスにおける生産効率の最適化を簡単な制御で確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 黒鉛化電気炉の形態を示す断面図である。
【図2】 図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】 管状部材を用いた回収手段の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】 管状部材を用いない回収手段の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 供給手段
3 回収手段
4,22 管状部材
4a,25a 取り入れ口
5,6 電極
7 黒鉛化領域
15 ガス供給手段
18,19,20,23,24,26,28 ブロック
Claims (4)
- 内部の一部領域を黒鉛化領域とする炉本体と、
前記黒鉛化領域を挟んで前記炉本体に対向配置される原料粉末の供給手段および黒鉛粉末の回収手段と、
前記黒鉛化領域の原料粉末に通電するように前記炉本体に設けられる少なくとも1組の電極とを備え、
前記供給手段から前記炉本体に投入された原料粉末が前記黒鉛化領域を通過する間に前記電極間の通電により黒鉛粉末となって前記回収手段により当該炉本体から取り出されるようにした黒鉛化電気炉であって、
前記回収手段は、黒鉛粉末の取り入れ口を前記黒鉛化領域の近傍に配置するとともに当該取り入れ口から前記炉本体の外側に接続する連通路を備え、
前記連通路は、前記炉本体の内部に突出する管状部材により形成され、当該管状部材の周囲にブロックが配置されることを特徴とする黒鉛化電気炉。 - 内部の一部領域を黒鉛化領域とする炉本体と、
前記黒鉛化領域を挟んで前記炉本体に対向配置される原料粉末の供給手段および黒鉛粉末の回収手段と、
前記黒鉛化領域の原料粉末に通電するように前記炉本体に設けられる少なくとも1組の電極とを備え、
前記供給手段から前記炉本体に投入された原料粉末が前記黒鉛化領域を通過する間に前記電極間の通電により黒鉛粉末となって前記回収手段により当該炉本体から取り出されるようにした黒鉛化電気炉であって、
前記回収手段は、黒鉛粉末の取り入れ口を前記黒鉛化領域の近傍に配置するとともに当該取り入れ口から前記炉本体の外側に接続する連通路を備え、
前記連通路は、前記炉本体内部に積層配置される各ブロックの貫通孔を接続することにより形成されることを特徴とする黒鉛化電気炉。 - 前記炉本体内部を所定雰囲気に設定するためのガス供給手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の黒鉛化電気炉。
- 前記回収手段は、単位時間あたりの黒鉛粉末回収量を調整することにより前記黒鉛化領域における原料粉末の滞留時間を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の黒鉛化電気炉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11251898A JP4147617B2 (ja) | 1998-04-22 | 1998-04-22 | 黒鉛化電気炉 |
Applications Claiming Priority (1)
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