JP4237979B2 - 光学活性フッ素化合物の製造方法 - Google Patents

光学活性フッ素化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特定の遷移金属錯体触媒を利用した特定の光学活性な化合物(以下、α−フッ素化合物という)の製造方法に関する。さらに詳しくは、この発明は、医薬、農薬、あるいは多くの汎用化学品の合成中間体等として有効な上記α−フッ素化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術と解決すべき課題】
従来から光学活性なフッ素含有化合物の合成についていろいろと研究されてきた。例えば、ケトエステルの不斉フルオロ化反応の例としては、光学活性なフッ素化剤N−フルオロスルタムと金属エノラートとを用いる反応(Tetrahedron Lett., 29, 6087 (1988)やN−フルオロスルタム類縁体を用いた例がある(Tetrahedron Lett., 34, 3971 (1993)
さらに、触媒の存在下に、β−ケトエステル類を不斉フルオロ化反応させてα−フルオロ−β−ケトエステル類を得る方法として、次のような報告がある。
【0003】
(1)TaDDOL−Ti−CHCN錯体を触媒として、β―ケトエステル類をselectfluorと反応させてα―フルオロ−β―ケトエステル類を得る方法、(Angew. Chem. Int. Ed., 39, 4359 (2000))、および
(2)光学活性な相関移動触媒の存在下β―ケトエステル類をN−フルオロ−ベンゼンスルフォンイミドと反応させてα―フルオロ−β―ケトエステル類を得る方法、(Org. Lett., Vol. 4, No. 4, 545 (2002))。
【0004】
前者は、基質としてエステル部分が嵩高い化合物を用いており、汎用性がある基質を用いているとはいえない。しかも一部の基質を除いてはあまり高い不斉収率を得ることができない。
その点後者はエステル部分が嵩高い基質を用いることなく反応を進めることができるが、あまり高い不斉収率を得ることができない。
【0005】
そこで本発明の課題は、汎用性のある化合物を用いて光学純度が優れた光学活性α−フッ素化合物を製造することである。すなわち、エステル部分が嵩高い基質を用いることなく、光学純度が高い光学活性α−フッ素化合物を製造することである。また、一般性が高く、しかも安価で汎用性のある化合物を基質とし、光学活性なα−フッ素化合物を効率よく、高活性で、高選択的に製造するための方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の触媒を使用するとエステル部分が嵩高くはない基質でも反応が円滑に進行し、効率よく光学活性なα−フッ素化合物を得ることができるという知見を得た。そして、更に研究を重ね遂に本発明を完成させた。
即ち、本発明は、1)一般式(1)
Figure 0004237979
(式中R1及びR2は、各々独立して、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基を示し、 1 及びR 2 のどちらかは水素原子でもよく、Xは酸素原子を示し、Wはアシル基を示し、nは1を示し、R1とR2、R1とW、またはR2とWはそれぞれ共に結合して環を形成してもよい。)
で表される化合物を、下記一般式(2)
[M2pqy+(Z-y (2)
(式中、Lは不斉配位子を示し、Z-は対アニオンを示し、Aは一価のアニオン性配位子を示し、Mはパラジウムを示し、pは2または4、qは2、yは0または2である。)で表される不斉遷移金属錯体触媒もしくは、下記一般式(3)
MLrsc (3)
(式中、L、Mは上記と同じであり、Bは水または中性配位子を示し、Dはアニオン性配位子または対アニオンを示し、rは1または2、sは0、1、2、4、または6、cは0、1、または2である。)
で表される不斉遷移金属錯体触媒の存在下にフッ素化剤と反応させることを特徴とする、一般式(4)
Figure 0004237979
(R1、R2、X、n及びWは、各々、前記と同様のものを示す)
で表される光学活性フッ素化合物の製造方法、
【0007】
2)不斉配位子が不斉ホスフィン配位子または不斉窒素系配位子である請求項1記載の光学活性フッ素化合物の製造方法、
3)R1が、水素原子、あるいは置換基を有していてもよい低級アルキル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれる基である請求項1記載の光学活性フッ素化合物の製造方法、
を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
まずこの発明における出発原料、あるいは基質となる一般式(1)記載の化合物を説明する。
この一般式(1)において、R1 及びR 2 は、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基を示し、 1 及びR 2 のどちらかは水素原子でもよい
【0009】
Xは酸素原子を示し、Wはアシル基を示し、nは1を示し、R1とR2、R1とW、またはR2とWはそれぞれ共に結合して環を形成してもよ
【0010】
上記、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基は、脂肪族、脂環族、芳香族の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは置換基を持つこれらの各種の基であってよい。具体的には、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基が挙げられ、これら炭化水素基には、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有していてもよい。
【0011】
ここで、アルキル基とは、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば炭素数1〜30のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、14−メチルペンタデシル基、6−メチルペンタデシル基、オクタデシル基、イコシル基、テトラコシル基などが挙げられる。また、シクロアルキル基の具体例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を挙げることができる。
【0012】
ここで、アルケニル基とは、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば炭素数2〜30のアルケニル基、具体的にはアリル基、ビニル基、クロチル基、シンナミル基、1−ペンテン−1−イル基、2−ペンテン−1−イル基、3−ペンテン−1−イル基、1−ヘキセン−1−イル基、2−ヘキセン−1−イル基、3−ヘキセン−1−イル基、8−ヘプタデセン−1−イル基、8,11,14−ヘプタデカトリエン−1−イル基、4,7,10,13−ノナデカテトラエン−1−イル基などが挙げられる。また、シクロアルケニル基の具体例としては、2−シクロヘキセニル基、2−シクロペンテニル基を挙げることができる。
【0013】
ここで、アルキニル基とは、例えば炭素数2〜30のアルキニル基、具体的にはエチニル基、プロパルギル基、1−ペンチン−1−イル基、2−ペンチン−1−イル基、3−ペンチン−1−イル基、1−オクチン−1−イル基、8−ヘプタデシン−1−イル基などが挙げられる。
【0014】
ここで、アリール基とは、ヘテロアリール基をも包含し、具体例としては、例えば炭素数2〜30のアリール基、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アンスラニル基、ピレニル基、ビフェニル基、インデニル基、テトラヒドロナフチル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダニジル基、ピペラジニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、キニリル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基などが挙げられる。
【0015】
ここで、アシル基とは、アロイル基をも包有し、例えば炭素数2〜30のアシル基、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ピバロイル基、オレオイル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクロイル基、クロトノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基などが挙げられる。
【0016】
ここで、アルコキシ基とは、アリールオキシ基やアラルキルオキシ基をも包有し、直鎖状、分岐状、環状、いずれでもよく、例えば炭素数1〜30のアルコキシ基、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
【0017】
ここで、アルコキシカルボニル基とは、アルコキシ基とカルボニル基が結合した原子団で、アルコキシ基としては前記と同様の基であってよい。具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などが挙げられる
【0018】
ここで、アシルオキシ基とは、アシル基と酸素原子が結合した原子団で、アシル基としては前記と同様の基であってよい。具体的には、例えば炭素数2〜30のアシルオキシ基、具体的にはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、オレオイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基などが挙げられる。
【0019】
また、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基として、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基も含まれる。この芳香族炭化水素基は、単環または多環の芳香族もしくは芳香脂肪族の炭化水素基、あるいは置換基を持つこれらの各種のものであってよい。例えば、フェニル基、ナフチル基、フェニルアルキル基等の芳香族炭化水素基と、これら炭化水素基に、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するもののうちから選択される。
【0020】
また、置換基を有してもよい複素環基は、脂肪族、脂環族の飽和または不飽和の炭化水素環基、あるいは単環または多環の芳香族もしくは芳香脂肪族の炭化水素環基中に、炭素原子以外に他の原子1個以上を含む環基、あるいは置換基を持つこれらの各種のものであってよい。例えば環状エーテル、ラクトン、ラクタム、ピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェン、ピロール等の複素環化合物に対応する残基である複素環基を例示できる。これら複素環基には、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有していてもよい。
【0021】
ここで、置換基を有してもよいアルコキシ基とは、アリールオキシ基やアラルキルオキシ基をも包有し、例えば炭素数1〜30のアルコキシ基、アリールオキシ基またはアラルキルオキシ基と、これらアルコキシ基に、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するもののうちから選択されるものである。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、t−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
【0022】
ここで、置換基を有してもよいアミノ基とは、無置換アミノ基、あるいはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基や芳香族基で置換されたアミノ基、あるいはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基や芳香族基で置換されたアシル基で置換されたアミノ基、あるいはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の炭化水素基や芳香族基で置換されたスルホニル基で置換されたアミノ基や、その他イミド基およびその誘導体をも包有する。具体的にはアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミの基、ジプロピルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基などが挙げられる。その中でも、アシル基置換アミノ基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基など電子吸引性を有するアミノ基がとくに好ましい。
【0023】
ここで、置換基を有してもよいアシルオキシ基とは、アシル基とカルボニル基が結合した原子団、あるいはこれらアシルオキシ基に、さらにアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するもののうちから選択されるものである。具体的にはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基、ピバロイルオキシ基、オレオイルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、アクロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、ニコチノイルオキシ基などが挙げられる。
【0024】
一般式(1)での化合物におけるに、R1とR2、R1とW、またはR2とWはそれぞれ共に結合して形成される環としては炭素環、あるいは複素環を例示することができる。この炭素環、あるいは複素環上にアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基(アシル基、アルキル基、シクロアルキル基等を有していてもよい)、シアノ基、ヒドロキシ基カルボキシ基、カルバモイル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキル基等の許容される各種置換基を有してもよい。
【0027】
また、本発明では一般式(1)で表される化合物において、Rが、水素原子、あるいは置換基を有していてもよい低級アルキル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれる基であることが好ましい。ここでいうアルキル基は炭素数が1ないし5である飽和あるいは不飽和な炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、ter−ブチル基などを挙げることができる。その中でもエチル基およびtert−ブチル基が好ましい。また、置換基としてはフェニル基、シクロアルキル基等が好ましいが、低級アルキル基でもよい。脂環族炭化水素基としては炭素数が5ないし7の炭化水素基、すなわちシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が好ましい。また、芳香族炭化水素基としては、フェニル基などが好ましい。
【0029】
本発明ではさらに一般式(1)で表される化合物において、R1が、置換基を有していてもよい低級アルキル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれる基が好ましい。
【0030】
本発明では、前記記載の一般式(1)で表される化合物の具体例として下記一般式(7)で表される化合物を例示することができる。
【0031】
Figure 0004237979
(式中R1、R2、nは、前記と同じ意味である。X1は酸素原子を示す。 2 は酸素原子を示す。R7は、置換基を有してもよい、鎖状または環状の炭化水素基もしくは複素環基を示す。)
【0032】
ここでいう置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基もしくは複素環基の具体例は、すでに説明されている置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基もしくは複素環基の具体例と同様である。
【0033】
本発明では、更に、前記記載の一般式(1)で表される化合物の具体例として下記一般式(12)、(17)、(21)で表される化合物を例示することができる。
Figure 0004237979
【0034】
Figure 0004237979
【0035】
Figure 0004237979
(式中、R1、X1、X2、R7、nは、前記と同じ意味である。R11 16 、及びR 20 はそれぞれ独立して置換基を有してもよい、アルキレン基、炭素原子と水素原子以外の原子を含むアルキレン基、二価の環状炭化水素基、炭素原子と水素原子以外の原子を含む二価の環状炭化水素基を示す。)
ここでいう置換基はすでに説明してある置換基と同様である。
【0036】
(7)、(12)、(17)、(21)の化合物のなかで特に好ましい化合物の例としては例えば以下のものを挙げる事ができる。
2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド メチルエステル、2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド エチルエステル、2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル、2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド メチルエステル、2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド エチルエステル、2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド tert−ブチルエステル、2−エチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド メチルエステル、2−エチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッドエチルエステル、2−エチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド tert−ブチルエステル、3−シクロヘキシル−2−メチル−3−オキソ−プロピオニックアシッド メチルエステル、3−シクロヘキシル−2−メチル−3−オキソ−プロピオニックアシッド エチルエステル、3−シクロヘキシル−2−メチル−3−オキソ−プロピオニックアシッド tert−ブチルエステル、2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド メチルエステル、2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド エチルエステル、2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド tert−ブチルエステル、
【0037】
2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド メチルエステル、2−オキソ−シクロキサンカルボキシリックアシッド エチルエステル、2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル、2−オキソ−シクロヘプタンカルボキシリックアシッド メチルエステル、2−オキソ−シクロヘプタンカルボキシリックアシッド エチルエステル、2−オキソ−シクロヘプタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル、3−アセチルテトラヒドロピラン−2−オン、3−エチルカルボニルテトラヒドロピラン−2−オン、3−アセチルジヒドロフラン−2−オン、3−エチルカルボニルジヒドロフラン−2−オン、3−メチルジヒドロピラン−2, 4−ジオン、3−エチルジヒドロピラン−2, 4−ジオン、3−メチルフラン−2, 4−ジオン、 3−エチルフラン−2, 4−ジオン、2,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタノイックアシッド メチルエステル、2,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタノイックアシッド エチルエステル、2,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタノイックアシッド tert−ブチルエステル、2−メチル−3−オキソ−5−フェニル−ペンタノイックアシッド メチルエステル、2−メチル−3−オキソ−5−フェニル−ペンタノイックアシッド エチルエステル、2−メチル−3−オキソ−4−フェニル−ペンタノイックアシッド tert−ブチルエステル、
【0038】
2−メチル−3−オキソ−5−シクロヘキシル−ペンタノイックアシッド メチルエステル、2−メチル−3−オキソ−5−シクロヘキシル−ペンタノイックアシッド エチルエステル、2−メチル−3−オキソ−5−シクロヘキシル−ペンタノイックアシッド tert−ブチルエステル、2−メチル−3−オキソ−6−フェニル−ヘキサノイックアシッド メチルエステル、2−メチル−3−オキソ−6−フェニル−ヘキサノイックアシッド エチルエステル、2−メチル−3−オキソ−6−フェニル−ヘキサノイックアシッド tert−ブチルエステル、2−メチル−3−オキソ−6−シクロヘキシル−ヘキサノイックアシッド メチルエステル、2−メチル−3−オキソ−6−シクロヘキシル−ヘキサノイックアシッド エチルエステル、2−メチル−3−オキソ−6−シクロヘキシル−ヘキサノイックアシッド tert−ブチルエステルなどが挙げられる。もちろんこの発明に用いることの出来る原料はこれらに何ら限定されるものではない。
【0039】
一般式(1)、(7)、(12)、(17)、(21)で表される化合物は、市販のものをそのまま使用することも出来るが、公知の方法[例えば、Chem. Rev., 95, 1065 (1995)及びその引用文献記載の方法]に従って合成することも出来る。
【0040】
次に、この発明で使用する不斉遷移金属錯体触媒について説明する。本発明で用いられる錯体は一般式(2)および(3)で表される錯体触媒である。
[M2LpAq]y+(Z)y (2)
(式中、L、Z、A、M、y、q、pは上記と同様である。)で示される不斉遷移金属錯体触媒もしくは、
【0041】
下記一般式(3)
MLrBs Dc (3)
(式中、L、D、B、M、r、s、cは上記と同様である。)
で示される不斉遷移金属錯体触媒。
【0042】
以下、本発明で使用できる錯体触媒を説明する。
上記一般式(2)、(3)中の遷移金属は8〜11族の元素から選ばれる。例えばAu、Ag、Cu、Fe、Co、Ir、Ni、Pd、Ru、Rh、Ptから挙げられるが、そのなかでもIr、Ni、Pd、Ru、Rh、Ptが好ましい。
【0043】
本発明における不斉配位子としては光学活性ホスフィン配位子、光学活性窒素系配位子等が挙げられ、また、二座不斉配位子あるいは単座不斉配位子が好ましい。さらに好ましくは光学活性二座ホスフィン配位子や、光学活性ビスオキサゾリン配位子、光学活性ジアミン配位子、光学活性ビスピリジン配位子などの光学活性窒素系配位子等が挙げられる。
【0044】
光学活性二座ホスフィン配位子の具体例としては、BINAP : 2,2'−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、およびBINAPのナフチル環にアルキル基やアリール基等の置換基を持つBINAP誘導体、例えばH8−BINAP、BINAPのリン原子上ベンゼン環1個につきアルキル基置換基を1〜5個有するBINAP誘導体、例えば、Toll−BINAP : 2,2'−ビス−(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、キシリル−BINAP : 2,2'−ビス[ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル、BICHEP : 2,2'−ビス−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−6,6−ジメチル−1,1'−ビナフチル、BPPFA : 1− [1',2−ビス(ジフェニルホスフィノフェロセニル)エチルジアミン、CHIRAPHOS : 2,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン、CYCPHOS : 1−シクロヘキシル−1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン、DEGPHOS : 1−置換−3,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ピロリジン、DIOP : 2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ブタン、DIPAMP : 1,2−ビス[(o−メトキシフェニル)フェニルホスフィノ]エタン、Delphos : (置換−1,2−ビス(ホスホラノ)ベンゼン)、NORPHOS : 5,6−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−2−ノルボルネン、PNNP : N,N'−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−N, N'−ビス[1−フェニル]エチレンジアミン、PROPHOS : 1,2−ビス−(ジフェニルホスフィノ)プロパン、SKEWPHOS : 2,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)ペンタンなどが挙げられる。
【0045】
光学活性ビスオキサゾリン配位子としては、2,2'−ビス[4−tert−ブチル]オキサゾール−2−イル]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[4−イソプロピル]オキサゾール−2−イル]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[4−フェニル]オキサゾール−2−イル]−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス[4−ベンジル]オキサゾール−2−イル]−1,1'−ビナフチル、2,2−ビス[2−[4−フェニル−1,3−オキサゾリニル]]プロパン、DBFOX : 4,6−ジベンゾフランジイル−2,2'−ビス(4−フェニルオキサゾリン)、2,2'−イソプロピリデンビス(4−フェニルオキサゾリン)、2,2'−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチルオキサゾリン)などが挙げられる。
【0046】
光学活性ジアミン配位子としては、DPEN : 1,2−ジフェニル−エタン−1,2−ジアミン、DAIPEN : 3−メチル−1,1−ジフェニル1−ブタン−1,2−ジアミン、N−(4−t−ブチルベンゼンスルフォニル)−1,2−ジフェニルエチレンジアミンTなどが挙げられる。
【0047】
光学活性ビスピリジン配位子としては、BDPTZ:1,4−ビス(2,2−ジピリジルメチル)−フタラジン、BPAN:2,7−ビス[2−(2−ピリジルエチル)アミノメチル]−1,8−ナフチリジン、TERPY:2,2’:6’,2’’−テルビリジン、N,N−ビス[2−(2−ピリジル)エチル]−2−フェニルエチルアミンなどのピリジル環含有配位子等が挙げられる。
この発明に用いることの出来る配位子は上記例示された配位子に何ら限定されるものではない。
【0048】
アニオン性配位子また対アニオンとしては、H、OH, [OR22]、 [R23HN]、 [R24R25N]、 H2N、 [R26R27R28SiO]、 F、 Br、 Cl、 I、 I3 、 CO、CH3COO、 CF3COO、 CF3CF2COO、 CF3CF2CF2COO、 CF3SO3 、 p−CH3C6H4SO3 、 ClO4 、 NO3 、 SO4 2 、 CO3 2 、 PO4 3 、 BF4 、 B(C6H5)4 、 B[3、5−(CF3)2C6H3]3 、 PF6 、 SbF6 、 AsF6 、 (CH3COCHCOCH3)などが挙げられる。ここでR22、 R23、 R24、 R25、 R26、 R27、 R28は、置換基を有してもよい、アルキル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、ヘテロアラルキル基を表す。
【0049】
また上記一般式(3)でのDのアニオン性配位子としては、Cl、Br、F、Iなどがあり、Dの対アニオンとしては、上記対アニオンと同様である。なお、本発明ではDのアニオン性配位子は遷移金属にCl、Brなどのアニオンが直接結合している場合のときのアニオン性配位子をいい、Dの対アニオンはカチオン部分に対してカウンターアニオンとして存在しているときのアニオンをいう。
【0050】
上記一般式(2)中のアニオン性配位子としては、水酸基、アミド機基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0051】
上記一般式(3)中の中性配位子としては、1,5-シクロオクタジエン、シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、ベンゾニトリル、p−サイメン等の芳香族化合物、エチレン等のオレフィン化合物やその他N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、アセトン、クロロホルム等が挙げられる。
【0052】
本発明においては、上記一般式(3)記載の錯体は、後述されている各種公知の錯体が含まれる。それら錯体は遷移金属、不斉配位子、アニオン性配位子から構成されるいわゆる不斉遷移金属錯体触媒やカチオン部である[MLrBs]と対アニオン(Z)から構成される錯体のほかに、遷移金属に対し高い配位能を持つものが直接遷移金属に結合した状態の錯体をも含み、例えばアセテート錯体、トリフルオロアセテート錯体、トリフラート錯体、アセチルアセトナト錯体などが挙げられる。
【0053】
上記一般式(2)および(3)記載の錯体の中では次の錯体が好ましい。
MがPdでLが単座不斉配位子の場合、p = 4、q = y = 2、r = c = 2、s = 0または2であり、またLが二座不斉配位子の場合、p = q = c = y = 2、r = 1、c = 2、s = 0または2であり、
MがNiでLが単座不斉配位子の場合r = c = 2、s = 0、2、4、または6であり、またLが二座不斉配位子の場合、r = 1、c= 2、s = 0、 4、または6であり、
MがPtで Lが単座不斉配位子の場合 p = 4、q = y = 2、r = c = 2、s = 0であり、またLが二座不斉配位子の場合、r = 1、p = q = y = 2、c = 2、s = 0である。なお、このPt錯体では、ひとつの対アニオンはPtに直接結合しており、もうひとつの対アニオンはカウンターアニオンとして存在する錯体も知られており、このような錯体では、Lが単座不斉配位子の場合 、r = c = 2、s = 1であり、Lが二座不斉配位子の場合、c = 2、r = s = 1である。
【0054】
MがIrあるいはRhであり、Lが単座不斉配位子の場合、p =4、q = 2、y = 0、r = 2、s = c = 1であり、またLが二座不斉配位子の場合p = q = 2、y = 0、r = s = c = 1であり、
MがRuのとき、(i) AはCl、BrまたはIで、Bは中性配位子である芳香族化合物やオレフィン化合物を示し、ZはCl、Br、I、I3 、 CF3SO3 、 p−CH3C6H4SO3 で、Lが単座不斉配位子の場合s = 1、r = 2、c = 0または2であり、Lが二座不斉配位子の場合c = 2または0、 s = r = 1であり、(ii) ZはBF4 、ClO4 、OTf、PF6 、SbF6 またはBPh4 で、Lが単座不斉配位子の場合r = c = 2、s = 0であり、Lが二座不斉配位子の場合r = 1、s = 0、c = 2であり、(iii) ZはHでLが単座不斉配位子の場合c = 2、r = 4であり、Lが二座不斉配位子の場合c = r = 2であり、(iv) ZはHおよびCOでLが単座不斉配位子の場合c = r= 2であり、Lが二座不斉配位子の場合c = 2、r = 1であり、
MがFeのとき(i)Bは中性配位子である芳香族化合物やオレフィン化合物でLが二座不斉配位子の場合c = s = r = 1であり、Lが単座不斉配位子の場合c = s = 1、r = 2であり、(ii)Bが存在せずLが二座不斉配位子の場合c = 3、s = 0あるいは6、r = 1であり、Lが単座不斉配位子の場合c = 3、s = 0あるいは6、r = 2であり、
【0055】
MがCoのとき、(i)Bは中性配位子である芳香族化合物やオレフィン化合物を示し、Lが二座不斉配位子の場合c = 0、s = r = 1であり、Lが単座不斉配位子の場合c = 0、s = 1、r = 2であり、(ii)Bが存在せずLが二座不斉配位子の場合c = 2、s = 0、r = 1であり、Lが単座不斉配位子の場合c = r = 2、s = 0であり、
MがCuのとき、(i)Cuが二価のときで Lが単座不斉配位子の場合p = 4、q = y = 2、r = c = 2、s = 0または1であり、Lが二座不斉配位子の場合、p = q = y = 2、r = 1、c = 2、s = 1であり、(ii)Cuが一価のときでLが二座不斉配位子の場合s = 0、r = c = 1、であり、Lが単座不斉配位子の場合s = 0、c = 1、r = 2であり、
MがAg、Auのとき、Lが二座不斉配位子の場合r = c = 1、s = 0または1であり、Lが単座不斉配位子の場合r = 2、c = 1、s = 0または1で表される。
【0056】
なお、MがIrあるいはRhのとき、Bは1,5-シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、ZはBF4、ClO4、OTf、PF6、SbF6、OHまたはBPh4である錯体が好ましい。また、MがNiでLが三座配位子あるいは六座配位子のときには、Ni錯体は一般式[NiLpAqH]y+(Z)y と書き表される。ただし、式中、A、Zは上記と同じであり、Hは水を示し、eは2または4、pは1、2、または4、qは1または2、fは1ないし4の整数、yは2ないし4の整数である。
【0057】
なお、このPt錯体に限らずRh錯体、Pd錯体など多くの遷移金属錯体では、ひとつの対アニオンは遷移金属に直接結合しており、もうひとつの対アニオンはカウンターアニオンとして存在する錯体も知られている。
【0058】
上記一般式(2)および(3)記載の錯体をより具体的に説明する。
尚、以下に示す遷移金属錯体の式中で使用されている記号は、それぞれ、Lは不斉配位子を、cpdはシクロペンタジエンを、codは1,5-シクロオクタジエンを、nbdはノルボルナジエンを、Tfはトリフラート基(SO2CF3)を、Phはフェニル基を、Acはアセチル基を、acacはアセチルアセトナト基、OTsはp−トルエンスルホネート基、p−cymeneはパラ1−サイメン基、Cp*はペンタメチルシクロペンタジエン基を示す。また、具体例としては煩雑さを避けるために不斉配位子として原則的には二座配位子を用いたものを挙げる。
【0059】
ロジウム錯体:
ロジウム錯体を製造する具体的な例としては、日本化学会編「第4版 実験化学講座」、第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)339344 頁に記載の方法あるいは文献(J. Am.Chem. Soc., 2002, 5052)に従い、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ロジウム(I) テトラフロロホウ酸塩と不斉配位子を反応せしめて合成することができる。ロジウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
[Rh(L)Cl]2、[Rh(L)Br]2、[Rh(L)I]2、[Rh(L)(μ−OH)]2、[Rh(cod)(L)](BF4)、
[Rh(cod)(L)](ClO4)、[Rh(L)Cp*]2
[Rh(cod)(L)]PF6、[Rh(cod)(L)]BPh4、[Rh(cod)(L)]OTf、
[Rh(nbd)(L)]BF4、[Rh(nbd)(L)]ClO4
[Rh(nbd)(L)]PF6、[Rh(nbd)(L)]BPh4、[Rh(nbd)(L)]OTf
【0060】
ルテニウム錯体:
ルテニウム錯体を製造する方法としては、文献(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1988, 922)に記載のように、[Ru(cod)Cl2]n と不斉配位子をトリエチルアミンの存在下にトルエン溶媒中で加熱還流することで調製できる。また、文献(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1989, 1208) に記載の方法で [Ru(p-cymene)I2]2と不斉配位子とを塩化メチレンとエタノール中で加熱撹拌することにより調整することができる。ルテニウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
Ru(OAc)2(L)、Ru2Cl4(L)2NEt3、RuH2(L)2、RuH(CO)(L)、[Ru(p-cymene)(L)]、
[RuCl(benzene)(L)]Cl、[RuBr(benzene)(L)]Br、[RuI(benzene)(L)]I、
[RuCl(p-cymene)(L)]Cl、[RuBr(p-cymene)(L)]Br、[RuI(p-cymene)(L)]I、
[Ru(L)](BF4)2、[Ru(L)](ClO4)2、[Ru(L)](PF6)2、[Ru(L)](BPh4)2、[Ru(L)](OTf)2
【0061】
イリジウム錯体:
イリジウム錯体は、文献(J. Organomet. Chem., 1992, 428, 213あるいはJ. Am.Chem. Soc., 1997, 10857) に記載の方法に従って、不斉配位子と[Ir(cod)(CH3CN)2]BF4とを、テトラヒドロフラン中にて撹拌下に反応させることにより調製できる。イリジウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
[Ir(L)Cl]2、[Ir(L)Br]2、[Ir(L)I]2、[Ir(L)(μ−OH)]2、[Ir(L(Cp*)]2
[Ir(cod)(L)]BF4、[Ir(cod)(L)]ClO4
[Ir(cod)(L)]PF6、[Ir(cod)(L)]BPh4、[Ir(cod)(L)]OTf、
[Ir(nbd)(L)]BF4、[Ir(nbd)(L)]ClO4
[Ir(nbd)(L)]PF6、[Ir(nbd)(L)]BPh4、[Ir(nbd)(L)]OTf
【0062】
パラジウム錯体:
パラジウム錯体は、文献(J. Am.Chem. Soc., 1999, 5450) に記載の方法に従って、調製単離したものを用いる。パラジウム錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
PdCl2(L)、[Pd(L)](BF4)2、[Pd(L)](ClO4)2、[Pd(L)](PF6)2、[Pd(L)](BPh4)2
[Pd(L)](ClO4)2、 [Pd(L)](OTf)2、[Pd(L)(acac)](OTf)、[Pd(L)(H2O)2](BF4)2
、[Pd(L)(H2O)2](ClO4)2、[Pd(L)(H2O)2](PF6)2、[Pd(L)(H2O)2](BPh4)2、[Pd(L
)(H2O)2](ClO4)2、[Pd(L)(H2O)2](OTf)2、[{Pd (L) (μ−OH)}2](BF4)2、[{Pd (
L) (μ−OH)}2](ClO4)2、[{Pd (L)(μ−OH)}2](PF6)2、[{Pd (L) (μ−OH)}2](B
Ph4)2、[{Pd(L)(μ−OH)}2](ClO4)2、 [{Pd(L)(μ−OH)}2](OTf)2
【0063】
ニッケル錯体:
ニッケル錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)376 頁の方法で調製できるが、また、文献(J. Am. Chem. Soc., 1991, 113, 9887、J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 11168-11178、J. Am. Chem. Soc., 2000, 122, 184-185、J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 10567-10568、J. Am. Chem. Soc., 1999, 121, 11751-11757)に記載の方法に従って、不斉配位子と塩化ニッケルとを、2-プロパノールとメタノールの混合溶媒に溶解し、加熱撹拌することにより調製できる。ニッケル錯体の具体例として、
例えば以下のものを挙げることができる。
NiCl2(L)、NiBr2(L)、NiI2(L)、Ni(OAc)2(L)(H2O)4、Ni(Cl)2(L)(H2O)6、Ni(OAc)2(L)、[Ni(acac)(L)](OTf)、[Ni(L)(H2O)2](ClO4)2、[Ni2(L)(OAc)2(H2O)](ClO4)2、[{Ni (L) (μ−OH)}2(H2O)](ClO4)2、[Ni2(L)(H2O)4](OTs)4、[Ni2 (L) (μ−OH)(H2O)3](OTs)3、[Ni2 (L) (μ−OH)2](H2O)]4(OTs)4
【0064】
白金錯体:
白金錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)412 頁の方法で調製できるが、また、文献(Organometallics, 1995, 5281, J. Org. Chem.Dalton. trans, 1989, 403あるいはJ. Am.Chem. Soc., 1998, 10032)に記載の方法に従って調製できる。白金錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
PtCl2(L)、PtBr2(L)、PtI2(L)、[Pt(μ−OH)(L)]2(NO3)2 、[Pt(μ−OH)(L)]2(ClO4)2
Pt(OH)2(L)、[Pt(L)(H2O)(OTf)](OTf)、[Pt(L)(H2O)(OH)](OTf)、[Pt(acac)(L)](OTf)、
【0065】
鉄錯体:
鉄錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)212 頁の方法で調製できる。鉄錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
[Fe(cpd)(L)]Cl、[FeCl3(L)](H2O)6、[Fe(acac)3(L)]
【0066】
コバルト錯体:
コバルト錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)295 頁の方法で調製できる。コバルト錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
[Co(cpd)(L)]、[Co(OAc)2(L)]、[Co(acac)2(L)]
【0067】
金錯体:
金錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)455 頁の方法で調製できる。金錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
AuCl(L)
【0068】
銀錯体:
銀錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)450 頁の方法で調製できる。銀錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
Ag(cpd)(L) (OTf)
【0069】
銅錯体:
銅錯体は、例えば、日本化学会編「第4版 実験化学講座」第18巻、有機金属錯体、1991年(丸善)440 頁の方法で調製できるが、また、文献(Inorg. Chem., 1965, 1382)に記載の方法に従って調製できる。銅錯体の具体例として、例えば以下のものを挙げることができる。
Cu(NO3)(L)、Cu(acac)(L)、Cu(OAc)2(L)(H2O)、[Cu(L)](OTf)2 、[Cu(μ−OH)(L)]2(NO3)2 、[Cu(μ−OH)(L)]2(ClO4)2などが挙げられる。
【0070】
もちろんこの発明に用いることの出来る遷移金属錯体は上記具体的な錯体に何ら限定されるものではない。
【0071】
これらの遷移金属錯体は公知の方法を用いて製造することができる。とくに、錯体の配位子交換法、即ち弱い中性配位子から光学活性ホスフィン配位子または光学活性窒素配位子へ、あるいはハロゲン配位子を銀塩で処理して所望のアニオン性配位子または、カウンターアニオンを有する錯体を作る)によって合成できる

【0072】
不斉遷移金属錯体触媒の公知の製造方法としてJ. Am. Chem. Soc., 121, 5450 (1999)の方法やJ. Org. Chem., 60, 2648 (1995)の方法などがあり、これらの方法により調製単離した錯体を用いる。この最、精製して得られた錯体を触媒として使用してもよいが、とくに精製処理をせずに触媒として利用してもよい。また、錯体の出発原料を反応系内に添加した状態で不斉フルオロ化反応を進めてもよい。
【0073】
次にフッ素化剤について説明する。この発明で使用するフッ素化剤はとくに限定されない。具体的には以下の化合物あるいは一般式で表される化合物が挙げられる。
FClO3、F2、XeF2、CF3OF、
Figure 0004237979
Figure 0004237979
Figure 0004237979
【0074】
(式中、R29は鎖状または環状の炭化水素基、芳香族炭化水素基、もしくは複素環基である。R30, R31は、同じであっても互いに異なっていてもよく、水素、置換基を有してもよい炭化水素基、置換基を有してもよいカルボニル基、あるいは、置換基を有してもよいスルホニル基であり、R30とR31が一緒になって置換基を有してもよい環を形成してもよい。R32、 R33、 R34は、同じであっても互いに異なっていてもよく、水素、置換基を有してもよい炭化水素基であり、R32とR33、 R33と R34、R32と R34、R32と R33と R34それぞれが一緒になって置換基を有してもよい炭化水素環を形成してもよい。Zは対アニオンを示す。)
【0075】
ここで上記一般式(27)〜(29)中の置換基を有してもよい炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基あるいは置換基を有してもよい複素環基はすでに説明してある基から選ばれる。
置換基を有してもよいカルボニル基は、カルボニル基にさらにアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するスルホニル基から選択される。
置換基を有してもよいスルホニル基はスルホニル基にさらにアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有するスルホニル基から選択される。
【0076】
そして、R30とR31が共に結合し形成される環としては、炭化水素から構成される単環あるいは縮合環、さらには異種原子を含む複素環縮合環を例示できる。これら環には、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有していてもよい。
【0077】
また、R32とR33、 R33と R34、R32と R34、R32と R33と R34それぞれが一緒になって形成される炭化水素環には、さらにアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の許容される各種置換基を有していてもよい。
【0078】
本発明では、下記一般式(30)、(31)、(32)、(33)で表されるフッ素化剤を採用することが好ましい。
Figure 0004237979
Figure 0004237979
Figure 0004237979
Figure 0004237979
【0079】
(式中、R35〜R42は、同じであっても互いに異なっていてもよく、水素、置換基を有してもよい、鎖状または環状の炭化水素基、芳香族炭化水素基、もしくは複素環基であり、R35とR36、R37とR38、R39とR40、R41とR42が一緒になって置換基を有してもよい炭素環を形成してもよい。)
【0080】
ここで上記一般式(30)〜(33)中の置換基を有してもよい、鎖状または環状の炭化水素基、芳香族炭化水素基、もしくは複素環基の具体例はすでに説明してある基から選択すればよい。
【0081】
本発明ではまた下記一般式(34)、(35)、(36)で表されるフッ素化剤を用いることも好適である。
Figure 0004237979
Figure 0004237979
Figure 0004237979
(式中、R43〜 R60は、同じであっても互いに異なっていてもよく、水素基もしくは、置換基を有してもよい、鎖状または環状の炭化水素基、芳香族炭化水素基、もしくは複素環基であり、Z-は対アニオンを示す。)
【0082】
ここで上記一般式(34)〜(36)中の置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基、芳香族炭化水素基、もしくは複素環基の具体例はすでに説明してある基から選択すればよい。
【0083】
上記一般式(29)、(34)〜(36)中の対アニオンとしては、OH-、 [OR22-、 [R23HN]-、 [R2425N]-、 H2-、 [R262728SiO]-、 F-、 Br-、 Cl-、 I-、 I3 -、 CH3COO-、 CF3COO-、 CF3CF2COO-、 CF3CF2CF2COO-、 CF3SO3 -、 p−CH364SO3 -、 ClO4 -、 NO3 -、 SO4 2-、 CO3 2-、 PO4 3-、 BF4 -、 B(C654 -、 B[3,5−(CF32633 -、 PF6 -、 SbF6 -、 AsF6 -などが挙げられる。ここでR22、 R23、 R24、 R25、 R26、 R27、 R28は、前記と同じ意味である。
【0084】
上記フッ素化剤は、市販のものをそのまま使用することも出来るが、公知の方法に従って合成することも出来る。また、一般式(23)〜(36)で表される親電子性フッ素化剤は、市販のものをそのまま使用することも出来るが、公知の方法[Chem. Rev., 96, 1737 (1996)及びその引用文献記載の方法]に従って合成することも出来る。
【0085】
以下、本発明の一般式(4)で表される光学活性フッ素化合物の製造方法について説明する。
一般式(4)で表される光学活性フッ素化合物は、一般式(1)で表される化合物とフッ素化剤を、一般式(2)、(3)で表される不斉遷移金属錯体、もしくは反応系中で調整した不斉遷移金属錯体からなる触媒の存在下反応させることにより製造できる。
反応に用いられるフッ素化剤の使用量は基質に対して1〜2当量、好ましくは1〜1.5当量である。
【0086】
反応に用いる溶媒としては、反応に関与しない不活性な溶媒であればよく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ヘキサメチル燐酸トリアミド(HMPA)などのアミド系溶媒、テトラメチルウレア(TMU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などのウレア系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゾトリフルオリドなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水、1−ブチル−3−メチル−1H−イミダゾール−テトラフルオロボレートなどのイオン性液体等、あるいはそれらの混合溶媒が用いられ、好ましくはケトン系溶媒、エーテル系溶媒等を挙げることが出来る。
【0087】
反応の用いられる不斉遷移金属錯体触媒の使用量は触媒量でよく、基質に対して0.1〜30モル%、好ましくは5〜20モル%の触媒が用いられる。
【0088】
反応は−20℃から溶媒の沸点までの適切な温度で行うことができ、−10℃〜30℃が好ましい。以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定するものではないことは言うまでも無い。
【0089】
なお、本発明では、とくに記載がない限り、アルキル基は炭素数が1ないし5の飽和炭化水素基を示し、アルケニル基は二重結合を有する炭素数が1ないし5の炭化水素基を示し、アルキニル基は三重結合を有する炭素数が1ないし5の炭化水素基を示し、シクロアルキル基は炭素数が5ないし7の飽和環状炭化水素基を示し、シクロアルケニル基は二重結合を有する炭素数が5ないし7の環状炭化水素基を示し、アルコキシ基は炭素数が1ないし5のアルコキシ基を示し、アシル基は炭素数が1ないし20のアシル基を示す。
【0090】
【実施例】
以下実施例で本発明を説明する。鏡像体過剰率はガスクロマトグラフィー(GC)分析(CHIRASIL−DEX−CB、Chiral Dex B−TAあるいは、CHIRAL DEX−G−TA)及び光学異性体分離カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(カラム:CHIRALPAK AD、 hexane /イソプロピルアルコール=149 / 1、 流速0.44 ml/min、 280 nm)により決定した。
【0091】
参考例1
PdCl2((R)−binap)の合成 (J. Am. Chem. Soc., 121, 5450 (1999)に従って合成)
Figure 0004237979
【0092】
ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(920 mg, 3.55 mmol)のベンゼン(40 ml)懸濁液に、(R)−(+)−2, 2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1, 1'−ビナフチル(2.21 g、 3.55 mmol)を加え室温で13時間撹拌した。反応液をろ過した後、結晶を乾燥して目的物を黄色結晶(2.80 g)として得た。
【0093】
参考例2
[Pd((R)−binap)(OH222+(OTf-2の合成(J. Am. Chem. Soc., 121, 5450 (1999)に従って合成)
Figure 0004237979
【0094】
参考例1により調製されたPdCl2((R)−binap)(2.80 g, 3.50 mmol)とトリフルオロメタンスルフォン酸銀(1.80 g、 7.0 mmol)にアセトン(157 ml)と蒸留水(0.78 ml)の混合溶液を加え、室温で40分間撹拌した後、10分間静置した。析出した銀塩をろ過した後、濾液を濃縮して目的物を黄色結晶(3.40 g)として得た。
31 PNMR (500MHz) : δ(CDCl3) 35.116 ppm
【0095】
参考例3 PdCl2((S)−dm−binap)の合成
Figure 0004237979
式中、Ar 1 は3,5−ジメチル−フェニル基を示す。以下同じ。
【0096】
ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(920 mg、 3.55 mmol)のベンゼン(40 ml)懸濁液に、(S)−(−)−2, 2'−ビス(ジ(3, 5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−1, 1'−ビナフチル(2.61 g、 3.55 mmol)を加え室温で13時間撹拌した。反応液を濃縮して目的物をオレンジ色の結晶(3.24 g)として得た。
【0097】
参考例4 [Pd((S)−dm−binap)(OH222+(OTf-2の合成
Figure 0004237979
【0098】
PdCl2((S)−dm−binap)(3.24 g、 3.55 mmol)とトリフルオロメタンスルフォン酸銀(1.82 g、 7.10 mmol)にアセトン(181 ml)と蒸留水(0.9 ml)の混合溶液を加え、室温で40分間撹拌した後、10分間静置した。析出した銀塩をろ過した後、濾液を濃縮して目的物をオレンジ色の結晶(3.88 g)として得た。
31 PNMR (500MHz) :δ(CDCl3) 35.859 ppm
【0099】
参考例5 PdCl2((R)−segphosの合成
Figure 0004237979
【0100】
クロロビス(アセトニトリル)パラジウム(920 mg、 3.55 mmol)のベンゼン(40 ml)懸濁液に、(R)−(+)−(4, 4'−ビ−1, 3−ベンゾジオキソール)−5, 5'−ジイル−ビス(ジフェニルホスフィン)(2.17 g、 3.55 mmol)を加え室温で13時間撹拌した。反応液をろ過した後、結晶を乾燥して目的物を黄色結晶目的物を黄色結晶(2.79 g)として得た。
【0101】
参考例6 [Pd((R)−segphos)(OH222+(OTf-2の合成
Figure 0004237979
【0102】
PdCl2((R)−segphos)(2.79 g、 3.54 mmol)とトリフルオロメタンスルフォン酸銀(1.82 g、 7.08mmol)にアセトン(156 ml)と蒸留水(0.78 ml)の混合溶液を加え、室温で40分間撹拌した後、10分間静置した。析出した銀塩をろ過した後、濾液を濃縮して目的物をオレンジ色の結晶(3.72 g)として得た。
31PNMR(500MHz):δ(CDCl)33.498ppm
【0103】
参考例7 PdCl2((R)−dtbm−segphos)の合成
Figure 0004237979
【0104】
クロロビス(アセトニトリル)パラジウム(920 mg、 3.55 mmol)のベンゼン(40 ml)懸濁液に、(R)−(−)−(4, 4'−ビ−1, 3−ベンゾジオキソール)−5, 5'−ジイル−ビス(ジ(4−メトキシ−3, 5−ジターシャリーブチルフェニル)ホスフィン)(4.18 g、 3.55 mmol)を加え室温で13時間撹拌した。反応液を濃縮して目的物を黄色結晶(4.81 g)として得た。
【0105】
参考例8 [Pd((R)−dtbm−segphos)(OH222+(OTf-2の合成
Figure 0004237979
【0106】
PdCl2((R)−dtbm−segphos)(4.81 g、 3.55 mmol)とトリフルオロメタンスルフォン酸銀(1.82 g、 7.10 mmol)にアセトン(269 ml)と蒸留水(1.35 ml)の混合溶液を加え、室温で40分間撹拌した後、10分間静置した。析出した銀塩をろ過した後、濾液を濃縮して目的物を黄色結晶(5.60 g)として得た。
31PNMR(500MHz):δ(CDCl)34.353ppm
【0107】
参考例9 [{Pd((R)−dtbm−segphos)(μ−OH)}22+(OTf-2の合成
Figure 0004237979
【0108】
[Pd((R)−dtbm-segphos)(OH2)2]2+(OTf)2(340 mg、 0.21 mmol)の塩化メチレン(4.42 ml)溶液に0.1 N NaOH水溶液(2.1 ml、 0.21 mmol)を加え、室温で4時間撹拌した後、分液し有機層を蒸留水(2 ml)で更に分液した。有機層を濃縮して目的物をオレンジ色の結晶(281.5 mg)として得た。31PNMR(500MHz):δ(CDCl3)30.801ppm
【0109】
実施例1 1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
Figure 0004237979
【0110】
窒素雰囲気下、[{Pd((R)−dtbm−segphos)(μ−OH)}2]2+(OTf)2 (29.2 mg、 0.02 mmol)をアセトン(0.2 ml)に溶解し5℃に冷却する。そこへ2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(37 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、5℃で39時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(32 mg、 79%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:Chiral Dex B−TA)を用いて測定したところ、95.6% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは次のとおりであった。
フッ素化合物:1HNMR (400MHz) : δ(CDCl3) 1.50 (9H, s), 2.08−2.15(2H, m), 2.22−2.32(1H, m), 2.45−2.48(2H, m), 2.45−2.55(1H, m)
【0111】
実施例2 1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、[Pd((R)−dtbm−segphos)(OH2)2]2+(OTf)2 (16.3 mg、 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し−20℃に冷却する。そこへ2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(37 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、0℃で72時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(36 mg、 89%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:Chiral Dex B−TA)を用いて測定したところ、89.7% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは実施例1のデータと一致した。
【0112】
実施例3 1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、[Pd((S)−dm−binap)(OH2)2]2+(OTf)2 (11.8 mg、 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し−20℃に冷却する。そこへ2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(37 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、−20℃で39時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(40.2 mg、 99%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:Chiral Dex B−TA)を用いて測定したところ、87.9% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは実施例1のデータと一致した。
【0113】
実施例4 1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、[Pd((R)−binap)(OH2)2]2+(OTf)2 (10.6 mg、 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し−20℃に冷却する。そこへ2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(37 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、−20℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(29 mg、 72%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:Chiral Dex B−TA)を用いて測定したところ、79.2% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは実施例1のデータと一致した。
【0114】
実施例5 1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、[Pd((R)−segphos)(OH2)2]2+(OTf)2 (10.6 mg、 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し−20℃に冷却する。そこへ2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(37 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、−20℃で39時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の1−フルオロ−2−オキソ−シクロペンタンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(33.1 mg、 82%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:Chiral Dex B−TA)を用いて測定したところ、71.1% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは実施例1のデータと一致した。
【0115】
実施例6 2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド エチルエステルの合成
Figure 0004237979
【0116】
窒素雰囲気下、[Pd((S)−dm−binap)(OH2)2]2+(OTf)2 (11.8 mg、 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し−20℃に冷却する。そこへ2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド エチルエステル(45 mg、 0.22 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、5℃で22時間撹拌した後20℃まで昇温し、さらに76時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド エチルエステル(44 mg、 90%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:CHIRASIL−DEX−CB)を用いて測定したところ、67.3% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは次のとおりであった。
フッ素化合物:1HNMR (200MHz) : δ(CDCl3) 1.20 (3H、 t, J = 7.2Hz), 1.87 (3H, d, J = 22.6Hz), 4.26 (2H, q, J = 7.2Hz), 7.42−7.63 (3H, m), 8.02−8.08 (2H, m)
【0117】
実施例7 2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド tert−ブチルエステルの合成
Figure 0004237979
【0118】
窒素雰囲気下、[Pd((S)−dm−binap)(OH2)2]2+(OTf)2 (11.8 mg, 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し5℃に冷却する。そこへ2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド tert−ブチルエステル(47 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、20℃で42時間撹拌した後30℃まで昇温し、さらに213時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−3−フェニル−プロピオニックアシッド tert−ブチルエステル(34 mg、 63%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:CHIRASIL−DEX−CB)を用いて測定したところ、81.9% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは次のとおりであった。
【0119】
フッ素化合物:1HNMR (200MHz) : δ(CDCl3) 1.37 (9H、 s), 1.82 (3H, d, J = 22.4Hz), 7.26−7.58 (3H, m), 8.01−8.06 (2H, m)
【0120】
実施例8 2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
Figure 0004237979
【0121】
窒素雰囲気下、[Pd((S)−dm−binap)(OH2)2]2+(OTf)2 (11.8 mg、 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し5℃に冷却する。そこへ2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド tert−ブチルエステル (35 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、20℃で46時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド tert−ブチルエステル(16 mg、 41%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:CHIRALDEX−G−TA)を用いて測定したところ、80.5% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは次のとおりであった。
フッ素化合物:1HNMR (200MHz) : δ(CDCl3) 1.48 (9H, s), 1.63 (3H, d, J = 22.2Hz), 2.30 (3H, d, J = 4.4Hz)
【0122】
実施例9 2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、[Pd((R)−dtbm−segphos)(OH2)2]2+(OTf)2 (16.3 mg、 0.01 mmol)をtBuOH(0.2 ml)に溶解し30℃に加温する。そこへ2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド tert−ブチルエステル (35 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(95 mg、 0.3 mmol)を加え、30℃で136時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=5:1)で分離精製し、目的の2−フルオロ−2−メチル−3−オキソ−ブチリックアシッド tert−ブチルエステル(17 mg、 46%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いたガスクロマトグラフィー(カラム:CHIRALDEX−G−TA)を用いて測定したところ、89.2% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは実施例8のデータと一致した。
【0123】
実施例10 1−フルオロ−2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
【0124】
Figure 0004237979
【0125】
窒素雰囲気下、[Pd((R)−binap)(OH2)2]2+(OTf)2 (10.6 mg、 0.01 mmol)をTHF(0.2 ml)に溶解し−10℃に冷却する。そこへ2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(40 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(76 mg、 0.24 mmol)を加え、−10℃で50時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=20:1)で分離精製し、目的の1−フルオロ−2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(40 mg、 93%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(カラム:CHIRALPAK AD、 hexane /イソプロピルアルコール=149 / 1, 流速0.44 ml/min, 280 nm)を用いて測定したところ、80% eeであった。
フッ素化合物:1HNMR (400MHz) : δ(CDCl3) 1.51 (9H, s), 1.80−2.11 (5H, m), 2.40−2.51(1H, m), 2.55−2.62 (1H, m), 2.65−2.72 (1H, m)
【0126】
実施例11 1−フルオロ−2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステルの合成
窒素雰囲気下、[Pd((R)−binap)(OH2)2]2+(OTf)2 (10.6 mg、 0.01 mmol)をアセトン(0.2 ml)に溶解し0℃に冷却する。そこへ2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(40 mg、 0.2 mmol)を加え10分間撹拌する。窒素気流下N−フルオロベンゼンスルフォンイミド(76 mg、 0.24 mmol)を加え、0℃で72時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出する。有機層を減圧下に留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=20:1)で分離精製し、目的の1−フルオロ−2−オキソ−シクロヘキサンカルボキシリックアシッド tert−ブチルエステル(37 mg、 86%)を得た。この鏡像体過剰率は、光学異性体分離カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(カラム:CHIRALPAK AD, hexane /イソプロピルアルコール=149 / 1, 流速0.44 ml/min, 280 nm)を用いて測定したところ、78% eeであった。得られたフッ素化合物のスペクトルデータは実施例10のデータと一致した。
【0127】
【発明の効果】
本発明により、光学活性ホスフィン配位子の遷移金属錯体の存在下に汎用性の高い基質から光学純度の高い光学活性なα−フッ素化合物を簡単に調製できるの製造方法が提供された。この方法により、安価で汎用性のある基質を出発物質として、従来より飛躍的に優れた不斉収率で目的物を得ることが出来る。この光学活性なα−フッ素化合物はいろいろな用途があるが、とくに各種医薬、農薬、あるいは多くの汎用化学品の合成中間体として有効である。

Claims (3)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004237979
    (式中R1及びR2は、各々独立して、置換基を有してもよい鎖状または環状の炭化水素基を示し、 1 及びR 2 のどちらかは水素原子でもよく、Xは酸素原子を示し、Wはアシル基を示し、nは1を示し、R1とR2、R1とW、またはR2とWはそれぞれ共に結合して環を形成してもよい。)
    で表される化合物を、一般式(2)
    [M2pqy+(Z-y (2)
    (式中、Lは不斉配位子を示し、Z-は対アニオンを示し、Aは一価のアニオン性配位子を示し、Mはパラジウムを示し、pは2または4、qは2、yは0または2である。)で表される不斉遷移金属錯体触媒もしくは、一般式(3)
    MLrsc (3)
    (式中、L、Mは上記と同じであり、Bは水または中性配位子を示し、Dはアニオン性配位子または対アニオンを示し、rは1または2、sは0、1、2、4、または6、cは0、1、または2である。)
    で表される不斉遷移金属錯体触媒の存在下にフッ素化剤と反応させることを特徴とする、
    一般式(4)
    Figure 0004237979
    (R1、R2、X、n及びWは、各々、前記と同様のものを示す)
    で表される光学活性フッ素化合物の製造方法。
  2. 不斉配位子が不斉ホスフィン配位子または不斉窒素系配位子である請求項1記載の光学活性フッ素化合物の製造方法。
  3. 1が、水素原子、あるいは置換基を有していてもよい低級アルキル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基から選ばれる基である請求項1記載の光学活性フッ素化合物の製造方法。
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