JP4237509B2 - 料金収受システム、料金収受方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有料道路の通行料金を例えばプリペイド形式などの非接触ICカードで支払うための料金収受システム、料金収受方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速道路等の有料道路における料金収受を行うシステムとして、磁気カードを用いたシステムの他、無線式自動料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection system)が既に導入されており、その技術は、例えば特許文献1等に開示されている。
特許文献1に開示されているETCシステムでは、車両情報等を記録した車載機と呼ばれる移動体通信装置に車両情報を記録すると共に、車載機に利用者情報等を記録した接触式ICカードをセットし料金収受処理に利用する。なお、車両情報を記録した車載機は、車両から容易に取り外せないようにしているのが一般的である。
【0003】
ETCシステムでは、入口料金所の入口レーンに、車載機を搭載した車両(ETC車両)が進入すると、入口レーンの路側に設置した移動体通信設備(第1アンテナ、第2アンテナ等)によって入口情報や車種情報等を車載機にセットされたICカードに無線通信により記録する。
【0004】
そして、出口料金所において、路側に設置した移動体通信設備(第3アンテナ等)によって、入口料金所でICカードに記録した入口情報を読み取り、算出した通行料金を収受し、料金収受結果を記録する。
【0005】
ETC車両は、入口において、路側に設置された自動車種判別装置(車種判別機)により車種が決定され、車載機内に記録された車両情報との突合せ確認が実施される。自動車種判別装置は、光学センサ等のため、雪、汚れ等の種々の要因により、車種の誤判別を招く可能性を否定できず、車種判別結果として、車載機の車両情報との突合せ不一致を招く可能性がある。
【0006】
車種の突合せの結果で不一致が生じた場合、その旨の情報が入口処理結果として車載機に記録され、出口料金所において、路側の移動体通信設備で読み取られる。出口料金所では、入口で車種突合せの不一致を起こした車両は、通行料金を算出するための車種を自動的には特定できず、料金収受処理を実行できない。このように車種が確定せず、料金収受処理が実行できない場合は、車両を出口レーン内の係員ブースの位置まで誘導して一旦停止させて、係員による目視で該当車両の車種確定操作が行われ、システム側(制御部)は、係員操作で確定した車種に基づいて通行料金を算出し、料金収受処理(収受結果の書込処理等)を実行する。
【0007】
上記ETCシステムは、ETC用の車載機を車両に設置する構成のシステムであるが、近年では、車載機等を用いない料金収受システムとして、車両に固定されていない非接触ICカードや無線タグ等の移動体通信用媒体を利用するシステム形態が考えられている。
車載器等を利用せず、車両に固定されていない移動体通信用媒体、例えば非接触ICカード等を利用した料金収受システムの場合、入口で車両自体の外観から車種判別処理を実行した後、判別した車種情報を入口情報と共に非接触ICカード等に記録する。そして、出口では、入口で記録された情報を基に料金収受処理を実行する。このとき、入口での車種判別処理における誤判別の可能性を考慮し、読取処理の後、係員が目視にて車種を確認し、必要に応じて、車種を変更して、通行料金を算出し、料金収受処理(書込処理)を実行する。
【0008】
【特許文献1】
特許第3256642号公報(第6頁−第8頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このため、出口処理では、非接触ICカード等の移動体通信用媒体に記録された情報の読取処理を高速に実施したとしても、係員による車種確定に時間がかかってしまうために、本来、移動体通信技術を利用したことによって、短時間で、効率良く料金収受処理が実行されることを期待されている移動体通信式料金収受システムの処理効率が上がらないといった問題があった。
また、非接触ICカードを利用する車両と利用しない一般車両を同一レーンで処理する料金収受システム(混在システムなど)も考えられるが、この場合、入口では、車種判別後、双方の車両に対して通行券を発券した後、当該車両が非接触ICカードを利用する車両であったときには、一度発券した通行券を回収して非接触ICカード処理を実施することになる。このため、一旦、発行した通行券が無駄になるという問題があった。
なお、非接触ICカード等の、車両に固定されていない移動体通信用媒体を利用した場合は、入口から出口までの間に、他の利用者とカードを交換して、出口では他人のカードを利用して、料金支払が行われる可能性がある。
車種の不一致が発生した場合、係員に通知を行い、通知後、通知を受けた係員が目視で車両の車種を判断して、車種の確定入力を行った後に、料金収受処理を実行しなければならない。この間、車載機(車両)は、路側に設置された移動体通信設備の通信エリア内に停留せざるを得ず、通信エリアの大きさによっては、通信エリア内に車両を確実に停止させた状態で車載機を保持しなければならない。車両によっては処理未了のまま発進して通信エリアを出てしまい、処理エラーが発生する可能性もある。
出口処理では、車載機に記録された情報の読取処理をどんなに高速に実施したとしても、係員による車種確定に時間が取られてしまうため、本来、無線通信技術を利用したことによって短時間でかつ効率良く自動料金収受処理を実行できるはずの無線通信式の料金収受システムの処理効率が上がらないといった問題があった。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、非接触ICカードシステムを有料道路の料金収受システムに導入した場合に問題となる「出口における係員車種確定による料金収受効率の悪化」、「通行券の無駄」、「カード交換などの不正行為」を無くし、システムを効率的に運用することのできる料金収受システム、料金収受方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明の料金収受システムは、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に設置され、前記車線に進入した車両の車種を判別する車種判別手段と、前記車両の通行料金を区分した車種毎あるいは車種群毎に前記車線を進行する車両の進行方向に沿って配置され、無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う複数の無線通信手段と、前記車線への車両の進入に伴い前記車種判別手段により判別された車両の車種と前記無線通信方式媒体と無線通信したいずれか一つの無線通信手段の種別が整合した場合に前記車両の車種を確定して車種情報を含む前記無線通信方式媒体の処理結果の情報を、該当無線通信手段を通じて前記無線通信方式媒体に書き込む制御手段とを具備したことを特徴としている。
本発明の料金収受システムは、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に沿って、前記車両の通行料金を区分した車種毎あるいは車種群毎に配置され、無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体から入口での車種情報を読み取る複数の無線通信手段と、前記車線に進入した車両の前記無線通信方式媒体と無線通信したいずれか一つの無線通信手段の種別と前記無線通信手段が前記無線通信方式媒体から読み取った入口での車種情報とが整合した場合に前記車両の車種を確定して料金収受処理を行う制御手段とを具備したことを特徴としている。
本発明の料金収受システムは、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に設置され、前記車線に進入した車両の車種を判別する車種判別手段と、前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記車線を進行する車両の進行方向に沿った第1位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段と、前記車両の通行料金を区分した第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した第2位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段と、前記第1無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第1車両検知手段と、前記第2無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第2車両検知手段と、前記車種判別手段により第1車種と判別された車両の2軸目が前記第1車両検知手段により検知され、かつ前記第2車両検知手段により前記車両の1軸目が検知された場合に通行券を発行する手段とを具備したことを特徴している。
【0012】
本発明の料金収受システムは、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に設置され、前記車線に進入した車両の車種を判別する車種判別手段と、
前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記車線を進行する車両の進行方向に沿った第1位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段と、前記車両の通行料金を区分した第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した第2位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段と、前記第1無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第1車両検知手段と、前記第2無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第2車両検知手段と、前記車種判別手段により第2車種と判別された車両の1軸目が前記第2車両検知手段により検知され場合に通行券を発行する手段と
を具備したことを特徴としている。
本発明の料金収受システムは、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を有料道路の入口の車線あるいは出口の車線で行う料金収受システムにおいて、前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記車線を進行する車両の進行方向に沿った第1位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段と、前記車両の通行料金を区分した第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記第1位置から車両進行方向前進側に所定間隔を空けた第2位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段と、前記第1無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第1車両検知手段と、前記第2無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第2車両検知手段と、前記第1車両検知手段により車両が検知されたタイミングと、前記第2車両検知手段により車両が検知されたタイミングとを基に車両の速度を求め、予め設定されていた速度以下に減速していない場合、通行券を発行する手段とを具備したことを特徴としている。
【0013】
本発明の料金収受方法は、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に沿って、前記車両の通行料金を区分した車種毎あるいは車種群毎に複数配置された中の一つの無線通信手段が、無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体から入口での車種情報を読み取るステップと、前記車線に進入した車両の前記無線通信方式媒体と無線通信したいずれか一つの無線通信手段の種別と前記無線通信手段が前記無線通信方式媒体から読み取った入口での車種情報とが整合した場合に前記車両の車種を確定して料金収受処理を行うステップとを有することを特徴としている。
本発明の料金収受方法は、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に進入した車両の車種を判別するステップと、前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段が配置された前記車線の第1位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した位置で第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段とほぼ同じ第2位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、車種判別の結果、前記車線に進入した車両が第1車種と判別されたときに、前記車両の2軸目が前記第1位置で検知され、かつ前記第2位置で前記車両の1軸目が検知された場合に通行券を発行するステップとを有することを特徴としている。
【0014】
本発明の料金収受方法は、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に進入した車両の車種を判別するステップと、前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段が配置された前記車線の第1位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した位置で第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段とほぼ同じ第2位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、車種判別の結果、前記車線に進入した車両が第1車種と判別されたときに、前記車両の2軸目が前記第1位置で検知され、かつ前記第2位置で前記車両の1軸目が検知された場合に通行券を発行するステップとを有することを特徴としている。
本発明の料金収受方法は、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に進入した車両の車種を判別するステップと、前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段が配置された前記車線の第1位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した位置で第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段とほぼ同じ第2位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、車種判別の結果、前記車線に進入した車両が第2車種と判別されたときに、車両の1軸目が前記第2位置で検知され場合に通行券を発行するステップとを有することを特徴としている。
【0015】
本発明の料金収受方法は、有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うために前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段が配置された前記車線の第1位置で前記車線を進行する車両を検知するステップと、前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した位置で第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段とほぼ同じ第2位置で前記車線を進行する車両を検知するステップと、前記第1位置で車両が検知されたタイミングと、前記第2位置で車両が検知されたタイミングとを基に車両の速度を求め、予め設定されていた速度以下に減速していない場合、通行券を発行するステップとを有することを特徴としている
【0016】
本発明では、有料道路の入口および/または出口に車種毎の複数の無線通信手段を設けて、利用者自身に車種に応じた無線通信手段で無線通信方式媒体の処理を行ってもらうようにし、車種判別の不確定さを補完することによって有料道路の出口の係員による車種確定操作を省略できるようになり料金収受処理の処理効率を向上することができる。
本発明では、処理対象車両の車種を確定するために車線の車種判別手段と通行券発行手段との間に車種毎の複数の無線通信手段を配置すると共に、進行する車両が該当する車種の無線通信手段の位置で速度を減速したか否かを判定することによって、無線通信方式媒体を利用しない車両を特定し、当該車両に対して通行券を発行すると共に、無線通信方式媒体を利用する車両に対しては通行券を発行せずに無線通信方式媒体の処理を行うようにしたことで、入口処理効率を極端に悪化させることなく通行券の無駄を省くことができる
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一つの実施の形態の対距離課金制の有料道路の料金収受システム(対距離式システム)のシステム構成を示す図、図2は均一料金式の入口システム(均一システム)のシステム構成を示す図、図3は図1の対距離式システムにおける入口システムの構成を示す図、図4は図3の入口システムにおける機器概略配置図、図5は車種毎に設置されたアンテナ(第1アンテナユニット、第2アンテナユニット、第3アンテナユニット)の高さ方向の配置関係を示す図、図6は図1の対距離式システムにおける出口システムあるいは図2の均一システムにおける料金所システムの構成を示す図、図7は図6のシステムの機器概略配置図、図8はナンバー撮像カメラ、車両のナンバープレート、各アンテナユニットの車両進行方向における位置関係を示す図、図9(a)は収受員からの車両の視認性をよくした場合の出口システムの機器概略配置平面図、図9(b)はその側面図である。
【0018】
対距離式システムは、図1に示すように、有料道路の入口に設置される入口システムと、有料道路の出口に設置される出口システムと、これら入口システムおよび出口システムと、有料道路の管理事務所およびサービスエリアなどに設置されるカード発行・積み増しシステム7と、これら入口システム、出口システムおよびカード発行・積み増しシステム7と通信回線8を介して接続されたホストコンピュータ、センタ装置等の上位システム9とから構成されている。
入口システムは入口従来型料金収受システム3と入口非接触ICカードシステム5とに細分されている。入口従来型料金収受システム3は自動車種判別により車種に応じた通行券を発行するシステムである。入口非接触ICカードシステム5はICカードを利用した入口処理を行うシステムである。出口システムは出口従来型料金収受システム4と出口非接触ICカードシステム6とに細分されている。出口従来型料金収受システム4は通行券の情報に基づいて通行料金を徴収するシステムである。出口非接触ICカードシステム6はICカードの情報に基づいて通行料金を徴収するシステムである。料金上位システム9は入口でカード処理した入口情報と、出口において車線内外で出口処理を行った結果とを通信回線8から受信し、互いの情報を照合し、差異が確認されたICカードを不正カードとして自身のデータベースに登録し有料道路の入口または出口に配信する機能を有している。この他、不正カードの情報は、有料道路の入口と出口の双方へ配信してもよい。
【0019】
カード発行・積み増しシステム7は、このシステムで利用可能な無線方式のプリペイドICカードである非接触IC式プリペイドカード(以下ICカードと称す)を新規に発行したり、ICカードの残高が少なくなった場合に残高を補充(チャージ)する処理を行うシステムである。
ICカードには、内部の基材に無線タグと呼ばれるICチップと、基材への導体のパターニング(銅箔の印刷配線等)で形成されたアンテナとが設けられている。なお、この例では、無線通信方式の非接触プリペイドICカードを例に挙げて説明するが、表面に金属接点を備えた接触型のICカードも適用可能である。ICカードのICチップには、カードID番号等のカード個別情報(固定情報)とプリペイド金額情報(残額情報)および利用履歴情報等の可変情報とをカード情報として記憶される。利用履歴情報には、入口処理の際に特定された車両のナンバープレート番号等の車両情報、入口処理の際に判別された車両の車種情報、入口情報等が含まれている。入口情報は入口ゲート情報(入口料金所の車線番号等の入口を特定するための情報)、入口通過時刻情報等である。また、カード表面には、このICカードを目視で特定できるようにカード個別のカードID番号が印字されている。
【0020】
均一システムは、図2に示すように、有料道路の入口または出口の料金所に設置される料金所システム1と、この料金所システム1と通信回線8を介して接続されたホストコンピュータ、センタ装置等の上位システム9と、カード発行・積み増しシステム7とから構成されている。料金所システム1は図1の対距離式システムの出口システムとほぼ同様の機器構成とされている。
【0021】
図3,図4に示すように、入口システムは、第1無線通信手段としての第1アンテナユニット11a、第2無線通信手段としての第2アンテナユニット11b、第3アンテナユニット11c、車種判別装置12、通行券自動発行装置13、左ハンドル車用通行券自動発行装置14(以下左ハンドル車用発券装置14と称す)、表示装置15、発進検知装置16、発進制御装置17、第1車両検知手段としての車両検知器18a、第2車両検知手段としての車両検知器18b、制御装置19を有している。
【0022】
車種判別装置12は、踏板12a,車両分離器12b,車長検知器12c,画像撮像装置12d等からなる装置である。踏板12aは路面に配置されており車輪が通過する際の押圧位置を検知することで車輪の間隔(車幅)、車輪の数、軸数等を判定するための材料情報を得る。車両分離器12bは車線を挟んで対向するように路側部にそれぞれ設けられた柱状体とこの柱状体に鉛直方向(高さ方向)に複数配置された光センサとからなり、各高さの光センサから発光された光が進入車両により遮断された状況から一台の車両を識別するための材料情報(車高情報、車両分離情報など)を得る。材料情報は、例えば牽引車両などを一台の車両として識別するために利用される。車長検知器12cは車両分離器12bから車両進行方向前進側へ所定距離だけ離れた位置の一方の路側部に配置されている。車長検知器12cは発光器と受光器とを柱状体に設けたものであり、発光器から発光した光がこの位置を通過する車両のボディに反射して受光部に受光された時間から車両の車長を検知する。画像撮像装置12dは車両のフロントあるいはリアのナンバープレート部分の映像をイメージ情報として取得する機器、例えばCCDカメラなどである。
すなわち、車種判別装置12は、車線に進入してきた車両を検知すると共に進入車両の軸数・車高・車長・ナンバープレート等の車両情報を取得し、取得した車両情報から車両の車種を判別する。ここでの車種とは、料金収受のために有料道路の運営側で区分した車両の種類であり、例えば大型車、特大車、中型車、小型車、軽自動車などである。ナンバープレートの番号についてはその中の一部の番号でも良い。
【0023】
第1アンテナユニット11aは、車両分離器12bの位置から普通車がほぼ納まる距離(5m程度)だけ車両進行方向へ進んだ右側の路側部の位置に車両検知器18aと共に配置されている。第1アンテナユニット11aは車線内に進入した車両を一旦停車させた運転者が運転席側の窓(フロントサイドウィンドゥ)から手を伸ばして届く高さ(ほぼ1m程度)に配置されている。第1アンテナユニット11aはICカードと接触あるいは接近したときに無線通信を行うように、第1の車種(群)毎に少なくとも一つ設けた無線通信手段である。この場合、2つのアンテナ51を上、下に近接するように設けて縦の長方形としている。第1の車種(群)とは、車両の全長(車長)自体は短くかつ運転席から車両先端までの長さが比較的長い車両、この例の場合、普通車、軽自動車、中型車などを言う。ICカードが第1アンテナユニット11aの位置から所定の範囲内に近付けられると、第1アンテナユニット11aはICカードとの無線通信(非接触)によりICカードからカード情報を取得し、カード情報が正常であり、かつ自身のアンテナ種別と車種判別装置12の車種判別結果が整合(車種が一致)した場合に車両情報、アンテナ種別あるいは車種情報(第1車種(群)を示す情報)および入口情報を無線通信(非接触)でICカードに記録する。所定範囲内とはETC車載機の通信範囲とは異なり、例えば数10cm以内の範囲である。なお、近付けられるとは、例えばタッチ(当接)する、あるいはかざす(近接)等の行為も含まれる。
【0024】
第2アンテナユニット11bは、車両分離器12bの位置から標準的な大型車がほぼ納まる距離(ほぼ7m程度)だけ車両進行方向へ進んだ右側の路側部の位置に車両検知器18bと共に配置されている。第2アンテナユニット11bは車線内に進入した大型車を一旦停車させた運転者が運転席側の窓から手を伸ばして届く高さ(ほぼ1.5m程度)に配置されている。第2アンテナユニット11bはICカードと接触あるいは接近したときに無線通信を行うように第2の車種(群)毎に少なくとも一つ設けた無線通信手段である。この場合、2つのアンテナ51を上、下に近接するように設けて縦の長方形としている。第2の車種(群)とは、車長が長くかつ運転席から車両先端までの長さが比較的短い車両、この例の場合、大型車、特大車などを言う。ICカードが第2アンテナユニット11bの位置から所定の範囲内に近付けられると、第2アンテナユニット11bはICカードとの無線通信(非接触)によりICカードからカード情報を取得しカード情報が正常であり、かつ自身のアンテナ種別と車種判別装置12の車種判別結果が整合(車種が一致)した場合に車両情報、車種情報(第2車種(群)を示す情報)および入口情報を無線通信(非接触)でICカードに記録する。所定範囲内とは上記第1アンテナユニットと同様に、例えば数10cm以内の範囲である。なお、近付けられるとは、例えばタッチ(当接)する、あるいはかざす(近接)等の行為も含まれる。
【0025】
第3アンテナユニット11cは、アンテナユニット11aと車線を介してほぼ対向する路側部の位置(車両進行方向の左側)に車両検知器18aと共に配置されている。第3アンテナユニット11cは、左ハンドル車(の運転者)用に少なくとも一つ設けた無線通信手段である。左ハンドル車は、料金区分上、第1車種に該当するため第1アンテナユニット11aでの取り扱いと同じになるが、区分の仕方で、例えば左ハンドル車として独立した車種区分としても良い。この場合、第3アンテナユニット11cは、左ハンドル車の運転席の窓(左側の窓)から運転者が手を出して届く上記第1アンテナユニット11aとほぼ同じ位置および高さで縦長に設けられている。
この第3アンテナユニット11cは自身にかざされたICカードとの無線通信によりICカードからカード情報を取得しカード情報が正常であり、かつ自身のアンテナ種別と車種判別装置12の車種判別結果が整合(車種が一致)した場合に車両情報、車種情報(第1車種群を示す情報)および入口情報を無線通信(非接触)でICカードに記録する。第3アンテナユニット11cの無線通信範囲は上記第1アンテナユニット11a,11bと同様である。
【0026】
上記第1アンテナユニット11a,第2アンテナユニット11b,第3アンテナユニット11cには、それぞれ表示部が設けられている。表示部は、該当アンテナユニットのカード処理機能(無線通信機能)が有効なときに点灯、点滅、あるいはメッセージ表示を行う。メッセージとは、例えば「ICカードをこの位置にかざしてください。」、「前の車両の処理が済むまで少しお待ちください」、「カード処理中」等といったものである。
【0027】
発進制御装置17は、車線の出口に配置されている。発進制御装置17は、入口処理が終了するまで阻止棒を下げて車両の通過を阻止し、入口処理が終了した後、阻止棒を上げて車両の通過を許可する。発進検知装置16は、発進制御装置17の車両進行方向発進側に配置されている。発進検知装置16は、車両の運転者が通行券を受け取るか、あるいはICカードにて入口処理を行った後、車両が発進を始めて車線から退出するのを検知するものである。
【0028】
通行券自動発行装置13は、発進制御装置17と第2アンテナユニット11bとの間の路側部に柱状に立設されている。通行券自動発行装置13には、鉛直方向(高さ方向)に複数の発券部が並べて配置されている。それぞれの発券部の高さは、普通車、大型車など、車高の異なる車両の運転者がそれぞれの窓から手を伸ばして届く位置である。各発券部は、制御装置19の制御により通行券を発行し、場合によっては発行した通行券を一時退避し、その後、完全収納したり再発行する機能を有している。「場合によって」とは、進入車両がICカードを利用しない場合、ICカードの処理が正常に終了しなかった場合等である。つまり、通行券自動発行装置13は、ICカードを利用しない車両、あるいはICカードに対する入口処理にエラーが発生する等して入口処理が正常に終了しなかった場合に進入車両の車種に応じた通行券を発行するものである。各発券部と各アンテナユニットとがLAN等で接続されている場合は、各アンテナユニットからアンテナ種別情報が制御装置19に通知されるので、制御装置19にアドレス管理テーブルを設けておき、互いの対応関係、車種区分などを管理する。これ以外に、通信線の系統を分けて物理的な配線で各発券部と各アンテナユニットとの対応関係を管理しても良い。
左ハンドル車用発券装置14は、通行券自動発行装置13と車線を介してほぼ対向する路側部の位置に配置されている。左ハンドル車用発券装置14には、発券部が一つ設けられており、通行券自動発行装置13の同様に左ハンドルの車両(の運転者)に対して発券部より通行券を発行する。表示装置15は、処理状況および誘導内容を表示して車両の運転者に通知する。
【0029】
制御装置19は、上記アンテナユニット11a〜11cを含む各装置、各検知器と通信線で接続されており、個々の装置から情報を取得し、有料道路の車両通行に関するさまざまな処理(入口処理等)および路側の各機器の制御(アンテナユニット11a〜11cとICカードとの無線通信処理で送受信されるカード情報を用いた料金収受処理、料金収受処理の結果に応じた発券制御および発進制御装置17の開閉制御等)を行う。
なお、上記入口システムと出口システムは、対距離式システムの構成例であるが、有料道路の入口あるいは出口のいずれか一方で均一の料金を一括して徴収する形態のシステム、つまり均一システムでは、有料道路の入口あるいは出口のいずれか一方において料金を徴収するための収受処理を行うため、例えば出口で料金を徴収する場合は、上記出口システムと同様の機器構成となる。
【0030】
この例では、図5に示すように、第1アンテナユニット11a(第3アンテナユニット11c)を車両進行方向進入側に近い位置に配置し、第2アンテナユニット11bを第1アンテナユニット11aよりも車両進行方向進入側から遠い位置に配置している。つまり第1アンテナユニット11a(第3アンテナユニット11c)と第2アンテナユニット11bは、車長が短く、車種判別装置12により車両が早く分離判別でき、早く車種が確定する順に車両進行方向進入側から配置されている。
また、有料道路を通行する車両の形状はさまざまであり、車両の運転席の高さのバラツキに対応するため、第1アンテナユニット11aと第2アンテナユニット11bには、それぞれ上下2段に矩形(縦長の長方形)のアンテナ51を配置している。なお、アンテナ51の形状は、車両の停止位置バラツキよりも運転席高さのバラツキに配慮して、幅寸法(W)よりも高さ寸法(H)の方を大きくすることが好ましい。
また、第1アンテナユニット11aの高さに対して、第2のアンテナユニット11bの高さを相対的に高く配置している。これにより、車両の運転者がICカードを該当アンテナユニットにかざしやすくすると共に、ICカードをかざすアンテナユニットを間違えないようにできる。
図6、図7に示すように、出口システムは、第4アンテナユニット21a、第5アンテナユニット21b、第6アンテナユニット21c、車両検知器22a,22b、利用者用表示装置としての路側表示装置23、ブース33内に備えられたブース内機器(紙葉類処理装置24、領収書発行装置25、車線制御装置29、カード処理装置30など)、発進検知装置26、発進制御装置27、撮像カメラ31、画像処理装置32などから構成されている。
紙葉類処理装置24は、通行券、現金の金券、磁気式プリペイドカードなどを処理する処理部と、係員に対する案内表示を表示する表示部と、係員が入力操作を行う操作部とを有している。領収書発行装置25は、紙葉類処理装置24と接続されており、上記操作部が係員によって証明書発行操作されることで利用証明書等を発行する。カード処理装置30には、上記アンテナユニット21a,21b,21cと同等の無線通信機能、つまりアンテナユニットが組み込まれている。
車線制御装置29は、カード処理装置30よりICカードの情報を取得し料金収受に関する一連の処理を行うと共に各路側機器の制御を行う。
【0031】
車両検知器22aは、有料道路を通行し退出するために出口の車線(出口レーン)の入口から近い第1位置に設置されており、出口レーンに進入した車両の車軸を検知する。車両検知器22aと第4アンテナユニット21aとは車両進行方向という点でほぼ同じ位置に設置されている。
車両検知器22bは、車両検知器22aの第1位置から車両進行方向前進側に所定の距離だけ進んだ第2位置に設置されており、その第2位置に到達した車両の車軸を検知する。車両検知器22bと第5アンテナユニット21bとは車両進行方向という点でほぼ同じ位置に設置されている。
所定の距離とは、普通車と大型車のフロントから運転席の位置までの長さの違い程度であり、例えば1m〜2m程度である。
車両発進検知装置26は、出口レーンの退出口付近に設けられており、出口レーン(有料道路)から退出する車両を検知する。なお、車両の車種は、利用料金収受のために有料道路の運営側で車両の大きさ(長さ、幅など)に応じて区分した車両の種類であり、この例では、例えば中型車、普通車、軽自動車などが第1の車種に区分され、大型車、特大車などが第2の車種に区分されている。
発進制御装置27は、出口レーンの退出口でかつ車両発進検知装置26の手前に配置されている。発進制御装置27は、出口処理が終了するまで阻止棒を下げて車両の通過を阻止し、出口処理が終了した後、阻止棒を上げて車両の通過を許可する。
【0032】
発進制御装置27と第5アンテナユニット21bとの間の車線右側の路側部には、撮像カメラ31、ブース33、路側表示装置23が車両進行方向にその順序で配置されている。
ブース33には、収受員などと呼ばれる係員が常駐し、従来型のカード処理および現金処理、あるいはICカードが利用された場合でもイレギュラーな処理に対応する。
ブース33のカード処理装置30には、ICカードを装置表面にかざす、あるいはタッチすることでICカードから情報を読み取り、処理結果を書き込むアンテナユニットが配置されている。なお、カード処理装置30のアンテナユニットは、上記ブース33の外部のアンテナユニット21aなどと同様な仕様であり、例えば数10cm程度の通信範囲の電波を発信し、発信した電波とICカード側のアンテナとの共振により、ICカードのICチップに対する情報の読み取り処理、書き込み処理、書き込み情報の確認処理等を行う。
【0033】
撮像カメラ31は、処理対象車両がそれぞれ該当アンテナユニット21a(21c),21bの位置に停止したときに車両のフロント部分のナンバープレートを撮像するように出口レーン内に向けて設けられている。画像処理装置32は、撮像カメラ31により撮像されたナンバープレートの画像から車両を識別するための情報を読み取り取得する。つまり撮像カメラ31、画像処理装置32などは光学式のナンバープレート情報読取手段である。
路側表示装置23は、該当車種のアンテナユニットの位置に車両が停止したときにICカードをアンテナ51の部分にかざすよう利用者に促すための表示やICカードの処理状況(引去り金額や引去り後の残額等)の表示を行う。
【0034】
車線制御装置29には、制御モジュールが実装されている。制御モジュールの内部にはICカードおよび車両に関する処理、ブース33内の機器あるいはブース33の外部の路側機器の制御を行うための制御プログラム、料金テーブルが記憶されている。なお、制御モジュールそのものをソフトウェアとし、メモリに記憶しておき、車線制御装置29のCPUがメモリからソフトウェアを読み込んで処理を行うようにしてもよい。料金テーブルには、有料道路の入口と出口との区間に対応する通行料金データが記憶されている。
車線制御装置29は、有料道路の車両通行に関するさまざまな処理(出口処理等)および上記各装置を制御を行う。例えば車両検知器22a,22bによって出口レーンへの車両の進入、車両の前後の車軸位置などが検知されたこと、車両の挙動などに基づいて、自動的に車種判別したり、係員に対して車両の車種の入力を促し、この促しによって係員操作にて紙葉類処理装置24に車両の車種が入力されると、車種毎のアンテナユニット(第4アンテナユニット21a,第5アンテナユニット21b,第6アンテナユニット21cのいずれか)を起動して無線通信動作を開始させて、いずれか一つのアンテナユニットによって取得されたICカードの情報、紙葉類処理装置24の操作部から入力された車種、ICカードを処理しているアンテナユニットの種別とを基に車両通行に関する処理(料金収受処理など)を実行する。
制御モジュールには、予め出口情報(料金所番号、レーン番号、他の料金所との間の料金テーブル等)が記憶されている。制御モジュール(あるいは紙葉類処理装置24等)は、有料道路から退出する車両のICカードあるいは通行券に記憶(記録)されている入口情報と出口での情報とから通行料金(利用料金)を算出し算出した料金を収受する。なお、車線制御装置29は、直接係員が操作するものではないためブース33の外部に配置しても良い。
【0035】
上記第4アンテナユニット21a、第5アンテナユニット21b、第6アンテナユニット21cは、本体筐体部、野外筐体部とを通信線で接続した筐体部、制御部、電源部、アンテナ部、表示部などから構成されており、制御部を介して車線制御装置29と接続(インターフェース)されている。本体筐体部には、制御部、電源部が収納されている。野外筐体部にはアンテナ部、表示部が収容されている。制御部は、この装置全体を統括制御する。また、制御部は、車線制御装置29に接続されており、車線制御装置29と通信することで処理対象のICカードに対するカード処理を行う。電源部は装置各部に電源を供給する。
【0036】
なお、各アンテナユニットの無線通信機能を停止(待機)あるいは起動(受付開始)する上では、以下の2通りの方法がある。
例えば通常はすべてのアンテナユニットを停止させておいて、車線入口近傍の車両検知器22aにより車両が検知された際にアンテナユニットを動作させる方法と、予めすべてのアンテナユニットを動作させておき、いずれか一つのアンテナユニットにICカードがかざされた場合にそれ以外のアンテナユニットの動作を停止(無線通信機能をoff)させる方法がある。
【0037】
図8に示すように、撮像カメラ31の撮像範囲におけるナンバープレート撮影時のナンバープレート基準停止位置をTとすると、第1アンテナユニット21aは、ナンバープレート基準停止位置Tから車両進行方向と逆側に距離Aだけ後退した位置に配置されている。また、第2アンテナユニット21bは、ナンバープレート基準停止位置Tから車両進行方向と逆側に距離Bだけ後退した位置に配置されている。つまり、各アンテナユニット21a(21c),21bは、各車種毎に想定されるナンバープレートの停止位置から運転席までの距離分だけ、それぞれ車両進入側に戻った位置に配置されている。
例えば普通車の場合、ナンバープレートから運転席までの想定距離をAとすると、ナンバープレート停止基準位置から、距離Aだけ車両進入側に戻った位置に第1車種用アンテナユニットである第4アンテナユニット21aを配置し、大型車のナンバープレートから運転席までの想定距離をBとすると、ナンバープレート基準位置から、距離Bだけ車両進入側に戻った位置に第2車種用のアンテナユニットである第5アンテナユニット21bを配置するものとする。
すなわち、撮像カメラ31で車両先端に取付けられたナンバープレートを読み取る際の理想的なナンバープレート位置から、各車種群毎に予め設定された距離A,Bの分だけレーン進入方向側に移動した位置にそれぞれのアンテナユニット21a,21bを配置している。また、当該距離は、各車種群毎の代表的な車両の先端から運転席までの距離としている。例えば第1アンテナユニット21a用の第1車種群(普通車など)の車両先端から運転席までの代表的な距離Aが、第2アンテナユニット21b用の第2車種群(大型車など)の車両先端から運転席までの代表的な距離Bよりも長いことが一般的であり、このような場合、レーン進入方向から順に第4アンテナユニット11a、第5アンテナユニット11bという順に配置する。第6アンテナユニット11cの車両進行方向の位置は第4アンテナユニット11aと同じである。
均一システムのように係員の視認性を重要視する場合は、図9に示すように、各車種毎のアンテナユニット(第4アンテナユニット21aと第5アンテナユニット21bと)をブース33の係員用扉33aの脇に鉛直方向(縦方向)にそれぞれの高さ位置に並べて配置するものとする。係員用扉33aの脇とは、係員用扉33aを基準として車両進行方向前進側である。
【0038】
以下、図10〜図15を参照してこの料金収受システムの動作を説明する。
まず、図10のフローチャートを参照して対距離式システムにおける有料道路の入口での正常な処理を説明する。
【0039】
有料道路の入口料金所において、ICカードに入口情報を書き込む等の入口処理を行うための車線、つまり入口レーンに車両が進入すると、車種判別装置12によって車両検知後(S101)、車種判別処理が実行されて(S102)、進入車両の軸数・車高・車長・ナンバープレート等の車両情報から車種が判別され、制御装置19に通知される。
【0040】
入口レーンに進入した車両が、例えば普通車の場合、運転者はその車両を第1アンテナユニット11aの位置で一旦停車させ、窓から手を出してICカードを第1アンテナユニット11aのアンテナ51にかざす。
これにより、第1アンテナユニット11aとICカードとの間で無線通信が行われて、制御装置19にカード情報が得られると共に、入口処理が行われて(S104)、入口処理結果が第1アンテナユニット11aからICカードに書き込まれる。
制御装置19に得られる情報は、車種判別装置12からの情報(車種判別結果(車種情報)、アンテナ種別、車両情報(ナンバープレート番号など))とICカードからのカード情報である。
制御装置19が行う入口処理は、アンテナユニットの種別と車種判別結果との突合せ処理による進入車両の車種確定処理(車種情報の生成)と、カード固有情報の確認処理と、カード残額の確認処理と、入口情報、車種判別結果(車種情報)、車両情報(ナンバープレート番号など)、入口アンテナユニット種別などをICカードへ書き込む処理などである。
具体的には、アンテナユニットの種別と車種判別結果との突合せ処理で、該当アンテナユニットの種別(第1車種)と車種判別結果とが一致した場合、制御装置19は、車両情報、車種判別結果、第1アンテナユニット11aの種別(第1車種)、アンテナユニット種別と車種判別結果とが一致した旨、および入口情報等をICカードに記録する。
【0041】
入口処理を行った結果、入口処理が正常に終了すると、制御装置19は、発進制御装置17を開放制御すると共に表示装置15と第1アンテナユニット11aの表示部にそれぞれ処理結果を表示する(S105)。第1アンテナユニット11aの表示部には、処理結果として、残額および通行可の旨が表示される。
これにより発進制御装置17は阻止棒を上げ車両の発進を許可し、車両の運転者は表示部あるいは表示装置15の表示内容を確認した上で車両を発進させ、車両は入口レーンを通過する(S106)。その後、発進検知装置16によって、当該車両の発進が検知されると、制御装置19は、発進制御装置17を閉鎖制御し(S107)、これにより発進制御装置17は阻止棒を下げ、次の車両の通行を阻止するようになる。
【0042】
続いて、図11のフローチャートおよび図7を参照して対距離式システムにおける有料道路の出口における正常処理について説明する。なお、均一システムの料金所における正常処理も同様である。
有料道路の入口を通過して有料道路を走行した車両がある出口から退出するために、その出口の料金収受用の車線(出口レーン)に進入すると、車両検知器22aにより検知され(S201)、出口レーン内の各路側機器(第4アンテナユニット21a,第5アンテナユニット21b、第6アンテナユニット21cなど)が起動される。
進入車両の運転者は、自身が運転する車両の車種に応じた位置のアンテナユニットにICカードをかざす。この場合、進入車両が普通車であるものとし、第4アンテナユニット21aにICカードがかざされたものとする。
すると、第4アンテナユニット21aは、自身にかざされたICカードと無線通信を開始する(S202)。
【0043】
第4アンテナユニット21aは、ICカードとの無線通信が可能になると、カード処理を開始して、カード固有情報と共に、有料道路の入口でICカードに記憶された情報(車両情報、車種判別結果(車種情報)、当該アンテナユニットの種別情報、入口アンテナユニット種別と車種判別結果とが整合(車種が一致)した旨および入口情報等)をICカードから読み取り(S203)、これらの情報を車線制御装置29に通知する。
車線制御装置29は、現在処理を行っている第4アンテナユニット21aの種別と、第4アンテナユニット21aがICカードから読み取ったカード情報に含まれていた入口での車種判別結果(車種情報)との整合性を確認すると共に(S204)、カード情報の読み取り結果を係員操作用の紙葉類処理装置24へ送出して紙葉類処理装置24の表示部に表示させ、係員に車種の確認・確定入力を促す。
【0044】
車種の整合性確認ができた場合、車線制御装置29は、係員による車種確定入力を待たずに、ICカードから読み取った入口での車種判別結果(車種情報)にて処理対象車両の車種を確定して料金収受処理を実施する(S205)。料金収受処理とは、カード情報の読み取り結果に基づき通行料金を計算し、ICカードに課金を行い、課金結果と履歴を記憶する処理である。例えばICカードがプリペイド方式の場合、カード残額の引去り処理を実行する。
料金収受処理が正常に終了すると、車線制御装置29は、発進制御装置27に指示し、出口レーンを開放させると共に処理結果(通行可など)を該当アンテナユニットの表示部および路側表示装置23などに表示する(S206)。この表示を確認した車両の運転者が車両を発進させた後、発進検知装置26で車両の発進が検知されると(S207)、車線制御装置29は、発進制御装置27に指示し、出口レーンを閉鎖させる。
【0045】
また、S204の確認処理で互いの車両情報が整合したにもかかわらず、係員に車種の確認・確定入力を促したことで、または、係員による車種確定・修正入力を必須としているケースにおいては、係員により車種が目視確認されて修正入力があった場合(S208の修正有)、車線制御装置29は、料金収受車種違いとして、上位システム9へ車種違いが発生した旨、および当該カードの固有情報の通知を行う(S209)。
上位システム9は、有料道路の各料金所の入口システム・出口システム(料金所システム)およびカード積み増しシステム7に対して、車種違いが発生したICカードの固有情報および車種違い処理の履歴情報を配信する(S210)。
次回、当該ICカードが各入口あるいは出口で利用された場合、例えば入口では、制御装置19が通常の入口処理に加えて車種違い発生の旨(車種違い発生情報)を該当アンテナユニットを通じてICカードに記録した後(S211)、出口でICカードの情報を複数の中のいずれかのアンテナユニット21a〜21cが読み取った際に車線制御装置29が直ちに係員処理とする(S212)。
つまり、出口では、複数の中のいずれかのアンテナユニット21a〜21cがICカードから車種違い発生情報を読み取ると、当該ICカードの処理は実行せずに、係員処理を行う旨を該当アンテナユニットの表示部、路側表示装置23、紙葉類処理装置24の表示部にそれぞれ表示して運転者および係員へ通知する。紙葉類処理装置24の表示部の表示内容を確認した係員が目視で車種を確認し、紙葉類処理装置24の操作部にて車種確定操作を行うと、紙葉類処理装置24から車線制御装置29に車種が通知されて、車線制御装置29は、通知された車種に応じた料金収受処理を実行する。
また、必要に応じて、入口システム・出口システムまたはカード発行・積み増しシステム7は、当該ICカードの固有情報と上位システム9から配信されてきていた車種違い発生情報に含まれるICカードの固有情報との比較を行い、該当する車種違いICカードの履歴情報から前回料金収受処理した車種の修正を行うと共に、前回収受した金額と本来収受すべきであった金額の差額分の残額修正処理を行い、修正後の情報をICカードに記録する。
【0046】
一方、S204の確認処理で互いの車両情報が不整合で、係員による車種確認の上で、車種修正入力があった場合(S214)、係員が確定した車種にて上記同様に料金収受処理を実施する(S215)。
料金収受処理が正常に終了すると、車線制御装置29は、発進制御装置27に指示し、出口レーンを開放させると共に処理結果(通行可など)を該当アンテナユニットの表示部および路側表示装置23などに表示する(S216)。この表示を確認した車両の運転者が車両を発進させた後、発進検知装置26で車両の発進が検知されると(S217)、車線制御装置29は、発進制御装置27に指示し、出口レーンを閉鎖させる。
【0047】
このような料金収受システムにおいても、通常の利用とは異なるイレギュラーな行為が行われる可能性がある。例えば第1車種群に該当する車両が第1アンテナユニット11aの位置を誤って通過していまい、第2車種群用の第2アンテナユニット11bにICカードをかざしカード処理を行ってしまうケースやその逆のケースも考えられる。
そこで、このようなケースに対応するために、図12のフローチャートを参照して入口処理でアンテナ車種と車種判別結果が不一致であった場合の入口と出口の処理について説明する。
有料道路の入口において、アンテナ車種と車種判別結果が不一致であった場合(S301)、当該アンテナユニットよりICカードへ、入口情報、車種判別結果、当該アンテナの車種群の記録、およびアンテナ車種と車種判別結果が不一致であった旨の記憶(書き込み)を行う(S302)。
ICカードへの書込処理が正常に終了すると、制御装置19は、発進制御装置17を制御して車線の退出口を開放させるので(S303)、車両の運転者は車両を発進させる。
一方、有料道路の出口においては、出口レーンに車両が進入すると、車両検知器22aにより車両の進入が検知されて(S304)、その旨が車線制御装置29に通知されるので、車線制御装置29は、出口レーン内の各路側機器を起動する。
そして、進入車両の運転者が当該車種用のアンテナユニットの位置に車両を停車させて、ICカードをそのアンテナユニットにICカードをかざす。この場合、例えば第4アンテナユニット21aICカードがかざされたものとする。
すると、第4アンテナユニット21aは、ICカードとの無線通信を開始して(S305)、ICカードからカード情報を読み取り(S306)、車線制御装置29へ通知する。
【0048】
ここで、第4アンテナユニット21aが、カード固有情報、入口情報、車種判別結果、入口アンテナユニットの車種群情報(第1車種など)と共に、入口アンテナユニットの車種と車種判別結果が不一致であった旨などを読み取った場合は、該当アンテナユニットである第4アンテナユニット21aがICカードのカード情報読取処理を完了した後、車線制御装置29は、カード処理を中断して紙葉類処理装置24へ車種確定要求を送出する(S307)。これにより、紙葉類処理装置24の表示部には、車種確定を促す表示が行われる。
係員が紙葉類処理装置24の表示部に表示内容を確認し、紙葉類処理装置24の操作部にて車種確定操作を行うと(S308)、車線制御装置29は、同一のカード固有情報を持つICカードに対して当該アンテナユニットを通じて料金収受処理を実行する(S309)。
料金収受処理を実行した結果、通行料金を正常に収受できると(S309の正常)、車線制御装置29は、発進制御装置27を開放動作させると共に(S310)、該当アンテナユニットの表示部に通行可などのメッセージを表示させる。この表示を確認した車両の運転者が車両を発進させ、車両発進検知器26により車両の発進(通過)が検知された時点で(S311)、車線制御装置29は、発進制御装置27を閉鎖動作させる。
また、当該ICカードに対する料金収受処理を正しく実行できなかった場合(S309の異常)、車線制御装置29は、表示等により運転者に対して係員処理を行う旨を通知すると共に、係員処理となる(S312)。
係員処理では、運転者が当該ICカードをブース33の係員に手渡し、係員が受け取ったICカードをアンテナユニットの機能を内蔵したカード処理装置30にかざすことで、カード処理装置30にて料金収受処理が実行される。
【0049】
なお、有料道路の入口において、アンテナ車種と車種判別結果とが不一致であった場合、制御装置19は、第1アンテナユニット11a(第3アンテナユニット11c)あるいは第2アンテナユニット11bによるカード処理は行わず通行券自動発行装置13または左ハンドル車用発券装置14により通行券の発行処理を行う。そして、有料道路の出口では、運転者は、通行券とICカードとを係員に手渡して出口処理を行うことになる。
【0050】
ここで、図13,図14を参照して有料道路の入口でICカードを利用しない車両(通行券を発行すべき車両)とICカードを利用する車両(通行券を発行しなくても良い車両)を同じレーンで処理する入口システム(以下入口混在システムと称す)の処理について、2つのケースを例にあげて説明する。
まず、図13のフローチャートを参照して入口混在システムにおいて通行券の発行を行う第1のケースについて説明する。
【0051】
第1のケースの場合、車両が入口レーンに進入し、車種判別装置12により車両の進入が検知されると(S401)、車種判別装置12は車種判別処理を行い(S402)、車種判別結果を制御装置19へ通知する。
車種判別装置12から制御装置19に車種判別結果が通知された後、車両検知器18a,18bより制御装置19に車軸検知情報が通知されると、制御装置19は、車種判別装置12による車種判別結果とそれぞれの車両検知器18a,18bからの車軸検知情報とに基づいて通行券発行の要否を判定する。
【0052】
この際、制御装置19は、まず、車種判別装置12からの車種判別結果が第1車種群(例えば、普通車、中型車、軽自動車)か、第2車種群(例えば、大型車、特大車)かを判定する(S403)。
車種判別装置12からの車種判別結果が、第1車種群(例えば、普通車、中型車、軽自動車)である場合(S403の第1車種群)、制御装置19は、第1アンテナユニット11aの位置の車両検知器18aと第2アンテナユニット11bの位置の車両検知器18bとで通過検知された車軸が1軸目か2軸目かを判定する(S404)。
この判定結果、第1アンテナユニット11aの位置の車両検知器18aで車両の2軸目の通過が検知され、かつ第2アンテナユニット11bの位置の車両検知器18bで車両の1軸目の通過が検知された場合(S404のYes)、制御装置19は、当該車両に対して通行券を発行するよう該当通行券発行装置(通行券自動発行装置13または左ハンドル車用発券装置14)に指示し、通行券を発行させる(S405)。
また、通過検知された車軸が上記以外の場合(S404のNo)、制御装置19は、ICカードがいずれかのアンテナユニットにかざされるのを待機、つまりICカード処理待ち状態を維持する(S406)。
【0053】
一方、S403の車種群判定処理で、車種判別装置12による車種判別結果が第2車種群(例えば、大型車、特大車)である場合(S403の第2車種群)、制御装置19は、第2アンテナユニット11bの位置に設置された車両検知器18bで車両の1軸目の通過が検知されたか否かを判定する(S407)。
この判定の結果、第2アンテナユニット11bの位置に設置された車両検知器18bで車両の1軸目の通過が検知された場合(S407のYes)、制御装置19は、当該車両に対して通行券を発行するよう該当通行券発行装置(通行券自動発行装置13または左ハンドル車用発券装置14)に指示し、通行券を発行させる(S405)。
【0054】
次に、図14のフローチャートを参照して入口混在処理において通行券の発行を行う第2のケースについて説明する。
第2のケースの場合、車両が入口レーンに進入し、車種判別装置12において、踏板12aより車両の進入が検知されると(S501)、車種判別装置12は、車種判別処理を行い(S502)、車種判別結果を制御装置19へ通知する。
【0055】
進入車両の車種判別ができなかった場合は(S503のYes)、車種判別装置12によりその旨が制御装置19へ通知されるので、制御装置19は直ちに該当通行券発行装置(通行券自動発行装置13または左ハンドル車用発券装置14)に指示し、通行券を発行させる(S504)。
そして、第1アンテナユニット11aの位置に設置された車両検知器18aにより車両の通過が検知されると(S505)、車両検知器18aは車両を検知したことを制御装置19へ通知する。車両の通過検知は、車両の車軸検知あるいは車両の先端検知等がよい。
さらに、第2アンテナユニット11bの位置に設置された車両検知器18bにより車両の通過が検知されると(S506)、車両検知器18bは車両を検知したことを制御装置19へ通知する。車両の通過検知は、車両の車軸検知あるいは車両の先端検知等がよい。
【0056】
制御装置19は、入口レーン内に所定の間隔で設置された車両検知器18a,車両検知器18bからの車両検知通知を順に受けると、まず、ICカードの処理が開始されたかどうかを確認する(S507)。
そして、ICカード処理が開始される前であれば(S507のNo)、車両検知通知を受けた時間差と互いの検知器間の距離とから、車両検知器18aと車両検知器18bの間での車両平均速度Vを演算して求め、予め自身のメモリに設定されていた閾値(速度データ:V0)と比較する(S508)。
ICカード処理の前に比較結果が得られ、例えば車両検知器18aと車両検知器18bの間での車両平均速度Vが予め設定された速度V0以下にならなかった場合(S509のNo)、つまり車両が減速されなかった場合、制御装置19は、その車両がICカードを利用しないものと判定して、車種判別結果に基づいて該当通行券発行装置(通行券自動発行装置13または左ハンドル車用発券装置14)に指示して通行券を発行させる(S504)。
また、その間にICカード処理が開始された場合は、制御装置19は、ICカードによる入口処理を実行する(S510)。
【0057】
図15のフローチャートを参照して有料道路内でのICカードの不正な交換を検出する出口処理について説明する。
有料道路の出口において、有料道路内でICカードの交換を行った各車両が有料道路の出口料金所の出口レーンに進入すると、車両検知器22aにより車両の進入が検知される(S601)。
車両は、当該車種用のアンテナユニットでICカードの処理を行うために、減速し、当該車種用アンテナユニットの位置で一旦停止する。
一旦停止した車両の運転者がICカードを該当アンテナユニット、例えば進入車両が普通車の場合は第1アンテナユニット21aにかざすと、第1アンテナユニット21aが無線通信を開始して(S602)、ICカードよりカード情報が読み取られる(S603)。
【0058】
また、撮像カメラ31は、一旦停止した車両のナンバープレート部分を撮像して得たイメージデータを画像処理装置32に渡す。画像処理装置32は渡されたイメージデータを基にナンバープレートの情報認識処理、つまりナンバー読取処理を行い(S604)、これにより、ナンバープレート番号が得られる。
【0059】
一方、第1アンテナユニット21aは、入口でICカードに記憶されたカード固有情報、入口情報、車両情報、車種判別結果、アンテナユニット種別等をICカードから読み取り(S605)、車線制御装置29に通知する。
車線制御装置29は、第1アンテナユニット21aがICカードから読み取った入口での車種判別によるナンバープレート番号と、この出口の撮像カメラ31および画像処理装置32で読み取ったナンバープレート番号との突合せおよび整合性のチェック(確認)を行う(S606)。
整合性チェック(確認)の結果、互いのナンバープレート番号が整合した場合(S606の確認処理で整合性確認ができた場合)、車線制御装置29は、入口で確定した車種、つまりICカードから読み取った車種(入口車種)にて料金収受処理を実行する(S607)。
【0060】
料金収受処理が正常に終了すると、車線制御装置29は、発進制御装置27に指示し、出口レーンを開放させ(S608)、車両を発進させた後、発進検知装置26で車両の発進が検知されると、発進制御装置27に指示し、出口レーンを閉鎖させる。
【0061】
一方、S605の確認処理で整合性が確認できなかった場合(S606の確認処理で不整合であった場合)、車線制御装置29は、路側表示装置23、紙葉類処理装置24の表示部にその旨表示すると共にブザー等による音声発生をブース33内に行い、係員に警告を通知する。
また、車線制御装置29は、ICカードから読み取ったカード情報をチェックした結果、入口処理で車種判別ができていなかった場合、第1アンテナユニット21aによるカード処理を中断させて(S609)、係員処理の実施待ちとなり、係員による車種確定操作後に料金収受処理を行う。カード処理とは、ICカードから得られたカード情報が正常か否かの確認、カード情報が正常な場合にICカードの車両情報(ナンバープレート番号)、車種情報(普通車の料金区分を示す番号情報)、入口情報(料金所番号、レーン番号、入口通過時刻等)が正しいことの確認、および残額情報の読み取り、利用分の引き去り処理などである。
【0062】
なお、有料道路の出口において、撮像カメラ31により車両のナンバープレートの読み取りが行えなかった場合も、第1アンテナユニット21aによるカード処理は行わず、係員にICカードを手渡すよう第1アンテナユニット21aの表示部にメッセージを表示させて運転者に通知し係員処理を行うものとする。
【0063】
このようにこの実施形態の料金収受システムによれば、有料道路の入口の車線および/または出口の車線に車種毎に異なる位置に複数のアンテナユニット11a,11b,11c、21a,21b,21cを配置して車両の運転者に該当車種のアンテナユニットにICカードをかざしてもらうことで、車種確定の信憑性を向上させ、出口での料金収受の際に、係員が実施すべき車種確定もしくは車種変更作業を必要としない場合は、係員操作に依存せずに料金収受処理を実施することができる。
【0064】
また、各車種群毎のアンテナユニットの形状、車線における設置位置を考慮したことで、運転者が非接触ICカードをアンテナユニットにかざす際、車両の運転席高さのバラツキによりICカードをかざしにくくなることを回避できる。
また、有料道路の出口において、撮像カメラ31が撮像するナンバープレートの撮像位置を基準に各車種群毎のアンテナユニット(第4アンテナユニット21a,第5アンテナユニット21b、第6アンテナユニット21c)をそれぞれ配置したことで、それぞれの車種の車両が該当アンテナユニットでカード処理を行うために停止した際にナンバープレートを確実に撮像することができる。
さらに、入口混在システムにおいて車種判別の結果と車線内の第1アンテナユニット11aと第2アンテナユニット11bの位置での車軸検知により通行券の発行の要否を判定したり、車両検知器18a,18b間の車両の速度が落ちなかった場合に通行券を発行するので、ICカードを持たない一般の車両に対する通行券の発行を円滑に行えるようにしたことで一般の車両にとっても有料道路を利用する際の利便性悪化を防止できる。
【0065】
また、入口車線に車種毎のアンテナユニット(第1アンテナユニット11a、第2アンテナユニット11b、第3アンテナユニット11c)を配置したにもかかわらず、運転者が実際の車種とは異なるアンテナユニットでICカードの処理を行ってしまった場合に、有料道路の出口において、ICカードから読み取った入口車種と出口で判別した車種との整合性を確認するので、料金収受の誤算(違算)によって利用者が不利益を被ることを防止できる。
さらに、入口処理における車種確定の信憑性が充分でないと判断される場合には、出口において入口車種の信憑性不足を判定し、当該車両に対してのみ車種確認を行うことで、確実な料金収受と全体の料金収受処理効率の向上を実現できる。
また、入口から出口に至るまでの間にICカード交換などの不正行為が行われた場合に出口において確実に検出することで、ICカード交換などの不正行為を防止することができる。
【0066】
さらに、均一システムにおいて、ブース33の係員用扉33aの脇に異なる高さの位置に複数のアンテナユニット21a,21bを配置したことで、出口の係員の車両視認性の悪化を防止しつつ、万一、出口における異常処理が発生した場合においても、運転者は一旦停止させた車両を移動させることなく係員にICカードを手渡せるようになる。
正常処理および異常処理双方の出口処理効率を向上させ、全体の料金処理効率の向上を実現することができる。
この結果、非接触ICカードシステムを有料道路の料金収受システムに導入した場合に問題となる「出口における係員車種確定による料金収受効率の悪化」、「通行券の無駄」、「カード交換などの不正行為」を無くし、システムを効率的に運用することができる。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではない。
上記実施形態では、入口および出口のそれぞれの車線に、車種別アンテナユニットとして、普通車、軽自動車、中型車用の第1アンテナユニット11a(第4アンテナユニット21a)と、大型車、特大車用の第2アンテナユニット11b(第5アンテナユニット21b)といった必要最小限の2種類のアンテナユニットを配置したが、各車種が5種類であれば、車種毎に5種類のアンテナユニットを配置する等、最大車種数まで複数のアンテナユニットを配置しても良い。
上記実施形態では、無線式のプリペイドICカード単独、現金等との併用支払いについて主に記載したが、ETCシステムのICカード(クレジット方式のICカード)との混在あるいは共用化も可能である。
【0068】
また、上記実施形態では、無線通信方式の非接触プリペイドICカードについて説明したが、この他、本発明は、例えば無線タグや携帯電話機(UIMカードを利用するタイプを含む)といったような、車両から容易に分離できる移動体通信用媒体を利用する場合にも適用できる。なお、UIMとはユーザ・アイデンティフィケーション・モジュールである。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、非接触ICカードシステムを有料道路の料金収受システムに導入した場合に問題となる「出口における係員車種確定による料金収受効率の悪化」、「通行券の無駄」、「カード交換などの不正行為」を無くし、システムを効率的に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る料金収受システム、料金収受方法の一つの実施の形態の対距離式システムの全体構成を示す図。
【図2】 均一システムの全体構成を示す図。
【図3】 図1の対距離式システムの入口システムの機器構成を示す図。
【図4】 図3の入口システムの機器配置図。
【図5】 車種群別のアンテナユニットの高さ方向の配置関係を示す図。
【図6】 図1の対距離式システムの出口システムの機器構成を示す図。
【図7】 図6の出口システムの機器配置図。
【図8】 撮像カメラ、ナンバープレート、アンテナユニットの関係を示す図。
【図9】 図2の均一システムにおいて係員に視認性を重視した場合の機器配置図。
【図10】 対距離式システムを適用した有料道路の入口における正常処理を示すフローチャート。
【図11】 対距離式システムあるいは均一システムの出口における正常処理を示すフローチャート。
【図12】 有料道路の入口処理においてアンテナ車種と車種判別結果が不一致であった場合の入口と出口の処理を示すフローチャート。
【図13】 有料道路の入口が入口混在システムの場合にICカードを利用しない車両に通行券を発行する第1のケースの処理を示すフローチャート。
【図14】 有料道路の入口が入口混在システムの場合にICカードを利用しない車両に通行券を発行する第2のケースの処理を示すフローチャート。
【図15】 有料道路の出口において不正なカード交換を検出する動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…料金所システム、3…入口従来型料金収受システム、4…出口従来型料金収受システム、5…入口非接触ICカードシステム、6…出口非接触ICカードシステム、8…通信回線、9…上位システム、11a…第1アンテナユニット、11b…第2アンテナユニット、11c…第3アンテナユニット、12…車種判別装置、13…通行券自動発行装置、14…左ハンドル車用通行券自動発行装置(左ハンドル車用発券装置)、15…表示装置、16…発進検知装置、17…発進制御装置、19…車線制御装置、21a…第4アンテナユニット、21b…第5アンテナユニット、,21c…第6アンテナユニット、22a,22b…車両検知器、23…路側表示装置、24…紙葉類処理装置、25…領収書発行装置、26…発進検知装置、27…発進制御装置、29…車線制御装置、30…カード処理装置、31…撮像カメラ、32…画像処理装置、33…ブース。

Claims (10)

  1. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に設置され、前記車線に進入した車両の車種を判別する車種判別手段と、
    前記車両の通行料金を区分した車種毎あるいは車種群毎に前記車線を進行する車両の進行方向に沿って配置され、無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う複数の無線通信手段と、
    前記車線への車両の進入に伴い前記車種判別手段により判別された車両の車種と前記無線通信方式媒体と無線通信したいずれか一つの無線通信手段の種別が整合した場合に前記車両の車種を確定して車種情報を含む前記無線通信方式媒体の処理結果の情報を、該当無線通信手段を通じて前記無線通信方式媒体に書き込む制御手段と
    を具備したことを特徴とする料金収受システム。
  2. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に沿って、前記車両の通行料金を区分した車種毎あるいは車種群毎に配置され、無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体から入口での車種情報を読み取る複数の無線通信手段と、
    前記車線に進入した車両の前記無線通信方式媒体と無線通信したいずれか一つの無線通信手段の種別と前記無線通信手段が前記無線通信方式媒体から読み取った入口での車種情報とが整合した場合に前記車両の車種を確定して料金収受処理を行う制御手段とを具備したことを特徴とする料金収受システム。
  3. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に設置され、前記車線に進入した車両の車種を判別する車種判別手段と、
    前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記車線を進行する車両の進行方向に沿った第1位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段と、
    前記車両の通行料金を区分した第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した第2位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段と、
    前記第1無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第1車両検知手段と、
    前記第2無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第2車両検知手段と、
    前記車種判別手段により第1車種と判別された車両の2軸目が前記第1車両検知手段により検知され、かつ前記第2車両検知手段により前記車両の1軸目が検知された場合に通行券を発行する手段と
    を具備したことを特徴とする料金収受システム。
  4. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に設置され、前記車線に進入した車両の車種を判別する車種判別手段と、
    前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記車線を進行する車両の進行方向に沿った第1位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段と、
    前記車両の通行料金を区分した第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した第2位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段と、
    前記第1無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第1車両検知手段と、
    前記第2無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第2車両検知手段と、
    前記車種判別手段により第2車種と判別された車両の1軸目が前記第2車両検知手段により検知され場合に通行券を発行する手段と
    を具備したことを特徴とする料金収受システム。
  5. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を有料道路の入口の車線あるいは出口の車線で行う料金収受システムにおいて、
    前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記車線を進行する車両の進行方向に沿った第1位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段と、
    前記車両の通行料金を区分した第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行うように前記第1位置から車両進行方向前進側に所定間隔を空けた第2位置に配置され、前記無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段と、
    前記第1無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第1車両検知手段と、
    前記第2無線通信手段とほぼ同じ位置に配置され、前記車線を進行する車両の車軸を検知する第2車両検知手段と、
    前記第1車両検知手段により車両が検知されたタイミングと、前記第2車両検知手段により車両が検知されたタイミングとを基に車両の速度を求め、予め設定されていた速度以下に減速していない場合、通行券を発行する手段と
    を具備したことを特徴とする料金収受システム。
  6. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に進入した車両の車種を判別するステップと、
    前記車両の通行料金を区分した車種毎あるいは車種群毎に前記車線を進行する車両の進行方向に沿って複数配置された中の一つの無線通信手段が、無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体の処理を行うステップと、
    前記車線へ進入し判別した車両の車種と前記無線通信方式媒体と無線通信した無線通信手段の車種とが整合した場合に前記車両の車種を確定して車種情報を含む前記無線通信方式媒体の処理結果の情報を該当無線通信手段を通じて前記無線通信方式媒体に書き込むステップと
    を有することを特徴とするカード処理方法
  7. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に沿って、前記車両の通行料金を区分した車種毎あるいは車種群毎に複数配置された中の一つの無線通信手段が、無線通信方式媒体との無線通信により前記無線通信方式媒体から入口での車種情報を読み取るステップと、
    前記車線に進入した車両の前記無線通信方式媒体と無線通信したいずれか一つの無線通信手段の種別と前記無線通信手段が前記無線通信方式媒体から読み取った入口での車種情報とが整合した場合に前記車両の車種を確定して料金収受処理を行うステップと
    を有することを特徴とする料金収受方法
  8. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に進入した車両の車種を判別するステップと、
    前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段が配置された前記車線の第1位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、
    前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した位置で第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段とほぼ同じ第2位置で前記車線を進行する車両 の車軸を検知するステップと、
    車種判別の結果、前記車線に進入した車両が第1車種と判別されたときに、前記車両の2軸目が前記第1位置で検知され、かつ前記第2位置で前記車両の1軸目が検知された場合に通行券を発行するステップと
    を有することを特徴とするカード処理方法
  9. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うための車線に進入した車両の車種を判別するステップと、
    前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段が配置された前記車線の第1位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、
    前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した位置で第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段とほぼ同じ第2位置で前記車線を進行する車両の車軸を検知するステップと、
    車種判別の結果、前記車線に進入した車両が第2車種と判別されたときに、前記車両の1軸目が前記第2位置で検知された場合に通行券を発行するステップと
    を有することを特徴とするカード処理方法。
  10. 有料道路を通行する車両に対して車両通行に関する処理を行うために前記車両の通行料金を区分した第1車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第1無線通信手段が配置された前記車線の第1位置で前記車線を進行する車両を検知するステップと、
    前記第1位置から車両進行方向前進側に移動した位置で第2車種の車両に対する無線通信方式媒体の処理を行う第2無線通信手段とほぼ同じ第2位置で前記車線を進行する車両を検知するステップと、
    前記第1位置で車両が検知されたタイミングと、前記第2位置で車両が検知されたタイミングとを基に車両の速度を求め、予め設定されていた速度以下に減速していない場合、通行券を発行するステップと
    を有することを特徴とするカード処理方法。
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