JP4237426B2 - 液体封入式防振装置とその製造方法 - Google Patents

液体封入式防振装置とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4237426B2
JP4237426B2 JP2001174730A JP2001174730A JP4237426B2 JP 4237426 B2 JP4237426 B2 JP 4237426B2 JP 2001174730 A JP2001174730 A JP 2001174730A JP 2001174730 A JP2001174730 A JP 2001174730A JP 4237426 B2 JP4237426 B2 JP 4237426B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
liquid
orifice
outer cylinder
convex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001174730A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002364698A (ja
Inventor
政昭 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire and Rubber Co Ltd filed Critical Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority to JP2001174730A priority Critical patent/JP4237426B2/ja
Publication of JP2002364698A publication Critical patent/JP2002364698A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4237426B2 publication Critical patent/JP4237426B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のサスペンションやエンジンマウント等に用いられる液体封入式防振装置、特に軸方向に沿った振動を防振する略円筒状の液体封入式防振装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部に封入された液体によって減衰力を発生させる液体封入式防振装置は、古くから広く知られている。
【0003】
例えば、特公平6−50135号公報には、内部にオリフィス通路を介して互いに連通する一対の液室が設けられ、振動の入力によって生じる液室の拡縮に伴い、このオリフィス通路内を液体が流れることによって減衰力を発生させる液体封入式防振装置が開示されている。
【0004】
この液体封入式防振装置は、外筒と内筒が同心状に配置されたもので、外筒の一端に固定された第1リングと内筒の一端の外周面とを連結する略円環状の第1ゴム部材と、内筒の外周面に圧入固定された円筒状の第1スリーブと、外筒の内周面に固定された断面略U字状をなすオリフィスリングとを連結する略円環状の中間ゴム部材と、上記内筒の他端に圧入固定された第2スリーブと外筒の他端とを連結する略円環状の第2ゴム部材とによって第1液室、第2液室およびオリフィス通路が外筒と内筒との間において画成されている。
【0005】
この液体封入式防振装置の場合、前記の第1ゴム部材、中間ゴム部材および第2ゴム部材を加硫成形するために3種類の成形型が必要になり、かつ前記第1スリーブと第2スリーブとを前記内筒に個別に圧入する必要があり、部品点数が多く、コスト高になり、生産工程が繁雑になるという問題が生じている。
【0006】
また、前記の問題を解決するものとして、特開2000−179613号には、同軸状に間隔を保有して配された内筒および外筒と、前記外筒の両端部内周面に固定される第1リングおよび第2リングと、前記両リング間に配置され、かつ外側方に向かって開口する断面略U字状をなして外筒に沿った環状のオリフィス通路を画成するオリフィスリングと、前記各リングと前記内筒との間に介設されるゴム弾性体とを備え、前記各リングと前記内筒とが前記ゴム弾性体の成形により一体に結合されてなる内部成形体が前記外筒に挿入固定され、前記オリフィスリングと第1リングとの間および前記オリフィスリングと第2リングとの間に、それぞれ前記オリフィス通路により連通する第1液室及び第2液室が画成され、これらの第1液室、第2液室およびオリフィス通路に液体が充填されてなる液体封入式防振装置が提案されている。
【0007】
この液体封入式防振装置の場合、第1リング、第2リング及びオリフィスリングの各リングと、前記内筒とを、前記ゴム弾性体の成形により内部成形体として結合一体化しておいて、これを外筒に挿入固定するため、部品点数が少なく、生産工程が簡略化され、コスト低下できるものの、前記のオリフィス通路の乱流防止、ばね定数の低減の手段については、配慮が成されていない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みて、オリフィス通路のばね定数の低減等のための断面積の調整と、オリフィス通路内の乱流等による圧力損失の発生を防止を簡単になし得る、液体封入式防振装置とその製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体封入式防振装置は、上記した円筒状の液体封入式防振装置、すなわち、同軸状に間隔を保有して配された内筒および外筒と、前記外筒の両端部内周面に固定される第1リングおよび第2リングと、前記両リング間に配置され、かつ外側方に向かって開口する断面略U字状をなして外筒に沿った環状のオリフィス通路を画成するオリフィスリングと、前記各リングと前記内筒との間に介設されるゴム弾性体とを備え、前記各リングと前記内筒とが前記ゴム弾性体の成形により一体に結合されてなる内部成形体が前記外筒に挿入固定され、前記オリフィスリングと第1リングとの間および前記オリフィスリングと第2リングとの間に、それぞれ前記オリフィス通路により連通する第1液室及び第2液室が画成され、これらの第1液室、第2液室およびオリフィス通路に液体が充填されてなる液体封入式防振装置において、前記オリフィスリングの外周に有する周溝の内面に前記ゴム弾性体と一体の皮膜層が設けられ、オリフィス通路における外筒と対向する内底面が断面略円弧状の凸面をなすように形成されてなることを特徴とする。
【0010】
これにより、オリフィス通路の内底面の凸面形状により、オリフィス通路の断面積を幅方向両側面の深さが同じ断面略四角形の場合よりも減少できて、ロスファクタのピーク周波数を低くすることができるとともに、そのオリフィス通路の断面形状により、オリフィス通路内で乱流が生じ難くなって、オリフィス通路の出入口付近での圧力損失が小さくなり、液封入式防振装置としてのロスファクタを有効に高めることができる。
【0011】
しかも、前記オリフィスリングの周溝内面にゴムの皮膜層を設けたことにより、オリフィス通路の内底面を前記の凸面形状にし、オリフィス通路の断面形状や断面積を変更するのは容易であり、以て、ロスファクタのピーク周波数を所期の値に合わせることが容易に可能となる。
【0012】
前記の液体封入式防振装置において、前記オリフィス通路の内底面における凸面が、該オリフィス通路の第1及び第2液室への出入口付近を除いて形成されてなるものが好ましい。これにより、オリフィス通路の出入口付近で一層圧力損失が生じ難く、より効果的にロスファクタを高めることができる。
【0013】
また、前記オリフィス通路の内底面における凸面は、周方向所要間隔毎に非凸面部分を有する断続状に形成しておくことができ、これにより、非凸面部分において、型同士の接合部あるいは成形金型内でのオリフィスリングの支持部を設けることでき、実施が容易になる。
【0014】
前記のように、凸面を断続状に形成する場合、前記凸面を非凸面部分に向かって漸次消滅するように形成しておくのが望ましい。これにより、凸面が断続していても液体の流動がスムーズに行われる。
【0015】
前記の液体封入式防振装置において、前記ゴム弾性体が前記内筒の外周面に加硫接着された筒状をなし、このゴム弾性体の外周面に、前記第1リング、第2リングおよびオリフィスリングが加硫接着されるとともに、前記第1リングと前記オリフィスリングとの間に第1溝部が、前記オリフィスリングと第2リングとの間に第2溝部が形成され、この内部成形体が前記外筒に挿入固定されることにより、前記第1溝部および第2溝部の部分がそれぞれ前記第1液室および第2液室として形成されてなるものとすることができる。
【0016】
また、前記外筒がその内側表面に複数の凸部を有し、これらの凸部が第1溝部、第2溝部およびオリフィスリングの少なくとも二つに係合して軸方向の位置決めがなされたものとすることができる。これにより、第1リング、第2リングおよびオリフィスリングを外筒の所定位置に、容易にかつガタを生じさせることなく組み付けることができ、また所期の性能を確実に得ることができる。
【0017】
前記オリフィスリングは、ナイロン6,6樹脂よりなるものとすることができ、これにより防振特性を良好に保持しながら、防振装置の軽量化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の液封入式防振装置の製造方法は、上記した発明の液体封入式防振装置を製造する方法であり、軸方向に間隔をおいて配置される前記第2リング、オリフィスリングおよび第1リングの各リングと前記内筒とを、加硫用の成形金型内にセットして、前記ゴム弾性体を加硫成形し、これらを結合一体化した内部成形体を製造する工程と、この内部成形体を前記外筒に対し液中で組み付け内部に液体を封入する工程とを含み、前記内部成形体を製造する工程において、前記成形金型のうちの前記オリフィスリングの内面を成形する凸型部分の内周面を、断面略円弧状の凹面をなすように切削加工しておいて、オリフィス通路の外筒と対向する内底面の皮膜層を凸面状に成形することを特徴とする。
【0019】
これにより、オリフィス通路における外筒と対向する内底面を断面略円弧状凸面に形成できる。また、前記切削加工による前記凸面形状により、オリフィス通路の断面形状や断面積を調整でき、ロスファクタのピーク周波数を所期の値に合わせることができる。しかも、成形金型の凸型部分の内周面を断面略円弧状凹面に切削するので、オリフィスリングを包被する皮膜層をバランスよく成形できる。
【0020】
前記の製造方法において、前記成型金型は、これらの上下面を成形する上下両型と、上下両型間に挟まれて外周部を成形する径方向に分割可能な中間型とよりなり、この中間型の内周にオリフィスリングの周溝内面を成形する凸型部分を有し、該凸型部分の内周面を断面略円弧状の凹面をなすように切削加工しておくものとする。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る液体封入式防振装置の1実施例を示し、図2〜図6は前記防振装置の内部成形体を示している。この防振装置は、内部にオリフィス通路を介して連通する一対の液室を有し、振動の入力によって生じる液室の拡縮に伴い、オリフィス通路を液体が流れることによって減衰力を発生させるように構成されている。
【0023】
図に示すように、この液体封入式防振装置1は、金属製の内筒2を有し、この内筒2の外方に所要の間隔を存して同軸状に金属製の外筒3が配設されている。上記外筒3の上方の端部には、上記外筒3の半径方向に沿ったフランジ部4が形成されている。
【0024】
前記外筒3のフランジ部4側の端部には、筒部とその一端(図1の上方側端)より連成された径方向のフランジ板部との断面略L字形を呈する金属製の第1リング5が固定されており、この第1リング5の図1における上方側の前記フランジ板部外周の端縁6は、前記フランジ部4の外周縁によってカシメ固定されている。また、前記外筒3の図1における下方側の端部には、金属製の第2リング7が固定されている。この第2リング7の下方側の端末は、前記外筒3の端部によってカシメ固定されている。
【0025】
そして、前記第1リング5と第2リング7との間には、外方に開口する周溝8を有する断面略U字状をなすオリフィスリング9が配され、外筒3の内周面に内接固定されている。このオリフィスリング9は、その周溝8と前記外筒3の内周面とによって、外筒3の周方向に沿う環状のオリフィス通路11が画成されている。
【0026】
前記オリフィスリング9は、例えば、金属板から中央に貫通孔を有する環状部材を打ち抜き、この環状部材の内周側を全周に亘って引き起こして、断面略L字形にしたものを対にして、図8および図9のように、互いに突き合わせて溶接するによって形成される。このほか、強度のある硬質の合成樹脂材、例えばナイロン6,6樹脂により一体形成しておくことができ、これにより防振装置の軽量化を図ることができる。
【0027】
前記第1リング5、第2リング7及びオリフィスリング9の内周面と前記内筒2の外周面とは、これらの両者間に介設される略円筒状のゴム弾性体12によって結合されている。つまり、前記第1リング5、第2リング7及びオリフィスリング9の内周面はゴム弾性体12の外周面と加硫接着され、かつ内筒2の外周面はゴム弾性体12の内周面と加硫接着され、内部成形体10として結合一体化されて、後述のように前記外筒2に挿入固定されている。
【0028】
前記第1リング5と前記オリフィスリング9との間の前記ゴム弾性体12の外周面には、全周に亘って第1溝部13が形成されており、この第1溝部13と前記外筒3の内周面とによって液体が充填された環状の第1液室14が画成されている。
【0029】
そして、前記第2リング7と前記オリフィスリング9との間の前記ゴム弾性体12の外周面には、全周に亘って第2溝部15が形成されており、この第2溝部15と、外筒3の内周面とによって液体が充填された環状の第2液室16が画成されている。
【0030】
また、前記のオリフィスリング9の周溝8は、図2および図5に示すように、ゴム弾性体12の一部分12aによって閉塞されている。この閉塞された部分12aによって形成される前記周溝8の一方の端部において、図8および図9のように、オリフィスリング9の上側の一部が切欠9aされることにより、前記第1溝部13に連通する出入口8aが形成され、また他方の端部において、オリフィスリング9の下側の一部が切欠9bされることにより、前記第2溝部15に連通する出入口8bが形成されている。つまり、前記第1溝部13による第1液室14と、前記第2溝部15による第2液室16とは、オリフィス通路11を介して互いに連通し、図2に矢印で示すように、液体は第1液室14と第2液室16との間で外筒3の周方向に沿って流れるようになっている。
【0031】
そして、前記オリフィスリング9の周溝8の内面には、ゴム弾性体12と一体のゴムの皮膜層17が設けられている。この内面の皮膜層17は、図6に拡大して示すように、ゴム弾性体12より連続して前記オリフィスリング9の外面を包被する皮膜部分18と外径側端面部19で連続一体化せしめられており、該外径側端面部19の外周にシール用の凸条20が設けられ、前記外筒3の内周面にシール状態で密着できるようになっている。
【0032】
そして、前記オリフィス通路11における外筒3と対向する内底面、すなわち前記皮膜層17による内底面が縦断面略円弧状の凸面21をなすように形成されている。
【0033】
この内底面の凸面21は、オリフィス通路11の全長に亘って連続しているものには限らず、周方向所要間隔毎に非凸面部分22を有する断続状に形成しておくことができる。この場合、前記非凸面部分22において、型同士の接合部あるいは成形金型内でのオリフィスリング9の支持部を設けることでき、実施が容易になる。また、前記凸面21は、非凸面部分22に向かって漸次消滅するように形成しておくと、凸面21が断続していても液体の流動がスムーズに行われることになり、より好ましい。
【0034】
いずれにしても、前記凸面21は、オリフィス通路11の第1液室14及び第2液室16への出入口8a,8b付近を除いて形成しておくのが、封入された液体が流動する際の圧力損失を少なくして、効果的にロスファクタを高める上で好ましい。
【0035】
前記のオリフィス通路11の内底面の凸面21は、得ようとする特性に応じてオリフィス通路11の断面積を調整する手段として必要に応じて形成することができる。
【0036】
なお、前記外筒3の内周面には、該外筒3の軸方向に互いに離間して、該外筒3の軸心方向に向かって突出した略矩形の複数の凸部24a,24bが形成され、前記第1溝部13、第2溝部15およびオリフィスリング9の少なくとも二つに係合するように設けられており、これにより、内部成形体10との組み付けの際の位置決めが行えるようになっている。
【0037】
例えば、図10〜図12に示すように、前記外筒3の内周面には、前記第1溝部13に係合する四つの凸部24aと、前記第2溝部15係合する四つの凸部24bとが、それぞれ周方向に互いに離間して、かつ前記外筒6の軸方向に互いに重ならないように形成されている。これらの凸部24a,24bは前記外筒3の外周面を凹ませることによって形成されている。
【0038】
次に、上記の液体封入式防振装置1の製造方法について説明する。本発明の製造方法においては、前記内筒2と、該内筒2の外方に配置される第1リング5、オリフィスリング9および第2リングの各リングを、加硫用の成形金型内にセットして、前記ゴム弾性体12を加硫成形し、これらを結合一体化した内部成形体10を製造する工程と、この内部成形体10を前記外筒3に対し液中で組み付けて内部に液体を封入する工程とを含んでいる。
【0039】
先ず、前記内部成形体10を製造する工程について説明する。この工程においては、互いに軸方向に離間して配置される前記第1リング5と前記第2リング7と、前記第1及び第2の両リング5,7間に配置され、かつ外周側に開口した周溝16が周方向に形成されたオリフィスリング9とを、それぞれ、第2リング7、オリフィスリング9および第1リング5の順に成形金型30内にセットする。さらにその内方に前記内筒2をセットする。
【0040】
前記成型金型30は、図5に鎖線で示すように、前記ゴム弾性体12による内部成形体10の上下面を成形する上下両型31,32と、上下両型31,32間に挟まれて前記成形体の外周部を成形する径方向に分割可能な中間型33とよりなり、この中間型33の内周には、第1溝部13と第2溝部15を成形する突出型部34,35を有するとともに、その両者間にオリフィスリング9の周溝8の内面を成形する凸型部分36を有している。
【0041】
この成形金型30内に前記のように各リングおよび内筒をセットして型閉じし、この状態で型内にゴム材料を注入して加硫成形する。これにより、前記内筒2の外周面と、第1リング5、第2リング7およびオリフィスリング9の内周面とを連結する略筒状のゴム弾性体12が一体成形される。同時に、前記ゴム弾性体12の外周面においては、前記突出型部34,35により、前記第1リング5とオリフィスリング9との間には該オリフィスリング9の周溝8に連続する環状の第1溝部13が、また第2リング7とオリフィスリング9との間には該オリフィスリング9の周溝8に連続する第2溝部15がそれぞれ形成される。さらに、前記前記オリフィスリング9の周溝8の内面には、前記凸型部分36により成形されることにより、図5および図6に示すようにゴムの皮膜層17が、該オリフィスリング9の外面を包被する皮膜部分18および外径側端面部19に連続して形成されている。
【0042】
特に、本発明の方法では、前記のように成形する工程において、前記オリフィスリング9の周溝8の内面の皮膜層17を成形する凸型部分36の内周面を、求められる特性調整の必要に応じて、例えばオリフィス通路11の液柱共振作用による減衰のピーク周波数を低減する際、溝幅方向(軸方向)の両側端を元のまま残して中央部を断面略円弧状の凹面36aをなすように切削加工しておく。図32の鎖線は元の内周面を示している。
【0043】
こうして前記のように成形することにより、オリフィス通路11における外筒3と対向するゴム皮膜層17による内底面が、前記凹面36aとは反対の断面略円弧状の凸面21をなすように形成されることになる。この際、前記のように凸型部分36の内周面を断面略円弧状の凹面36aに切削することで、オリフィス通路11の幅方向両側面の外筒3から内底面までの深さ寸法dが、凸面21を形成していない場合とは変わらないため、オリフィスリング9の内面を包被する皮膜層17と外面を包被する皮膜部18での流動バランスが良好に保持され、問題なく成形できる。
【0044】
また、前記凸型部分36の内周面を、例えば成形時におけるオリフィスリングの支持部や型同士の接合部に相当する部分を除いて断続した凹面36aをなすように形成しておくことにより、オリフィス通路11内の前記凸面21を断続状に形成することができる。
【0045】
なお、前記凸面21の高さは、得ようとする特性に応じて、前記凸型部分36の凹面36aの切削加工による深さ調整することにより適宜変更できる。
【0046】
次に、前記のように成形された内部成形体10を、これとは別に加工され他外筒3に対し、図1のように液中において組み付けて内部に液体を封入する。
【0047】
すなわち、この組み付け工程では、図13に示すように、例えば、図10〜図12のように一端部にフランジ部4が形成され、さらに必要に応じて内周面に複数の凸部24a,24bが形成されている外筒3に対し、前記工程のゴム弾性体12の成形により製造された内部成形体10を液中において挿入するとともに、外筒3の内周面の凸部24a,24bを第1溝部13と第2溝部15とに係合させて位置決めする。そして、この状態で、前記外筒3を縮径して、さらにフランジ部4の外周縁と下方端部とをカシメることにより、図1に示すように、第1溝部13による第1液室14、第2溝部15による第2液室16、及びオリフィスリング9の周溝8内のオリフィス通路11に液体が封入された状態に組み付けられ、液体封入式防振装置1が完成する。
【0048】
このように、内筒2と、第1リング5、第2リング7及びオリフィスリング9の各リングとは、インサート成形の手段によりゴム弾性体12と一体化され、内部成形体10として形成されているので、ゴム弾性体12の成形金型は一種類で済み、成形コストを低減できる上、外筒3への組み付け時の部品点数が少なく、組み付け工数を削減でき、生産性を向上できる。
【0049】
特に、こうして製造された液体封入式防振装置1は、内部の二つの液室を連通させるオリフィス通路11の内底面を凸面21としたことにより、該オリフィス通路11の断面積を小さくできて、オリフィス通路11の液柱共振作用による減衰のピーク周波数を低くすることができる。特に、凸面21によりオリフィス通路11の断面形状における水力学半径を小さくできるため、オリフィス通路11内で乱流が生じ難くなって、オリフィス通路11の出入口付近での圧力損失が小さくなり、液封入式防振装置としてのロスファクタの効果を高く維持しながらそのピーク周波数を低くすることができる。
【0050】
図14は、オリフィス通路11の基本形状から、ロスファクタのピーク周波数を低くするための形状変更の方法として、該オリフィス通路11の内底面を、図6に拡大して示すように断面略円弧状の凸面21をなす形状に変更した場合(本発明の実施例)と、図15のように、オリフィス通路111の深さを浅くしてその内底面による内径を大きくするか〔同図(a)〕、あるいは該通路111の軸方向幅を小さくした〔同図(b)〕もの(比較例)との、上下方向の振動を与えた場合のロスファクタの比較を示す。なお、図6および図15において、オリフィス通路11における鎖線はそれぞれ形状変更前の基本形状を示している。また図15における109はオリフィスリング、108は周溝、117は皮膜層を示す。
【0051】
図15から明らかなように、比較例の場合、ロスファクタのピーク周波数を低くなるとともに、ロスファクタの効果自体も低下することになるのに対し、実施例の場合は、ロスファクタの効果を低下させずに、そのピーク周波数を低くできる。
【0052】
【発明の効果】
上記したように、本発明の液体封入式防振装置およびその製造方法によれば、部品点数を少くでき、組み付け工数および製造コストの低減、生産性の向上を図ることができるばかりか、特に、成形金型のうち、内部の二つの液室を連通させるオリフィス通路の内底面を断面略円弧状の凸面をなすように形成したことにより、オリフィス通路の断面積を減少できてロスファクタのピーク周波数を低くすることができる。また、内底面の凸面形状により、オリフィス通路内で乱流が生じ難くなり、オリフィス通路の出入口付近での圧力損失が小さくなり、ロスファクターのピーク周波数を低くしても、液封入式防振装置としては高いロスファクタを保持することができる。
【0053】
しかも、成形金型のうち、オリフィス通路の内面を成形する凸型部分の内周面を、断面略円弧状の凹面に切削加工するだけで前記凸面を形成できるので、前記切削加工による前記凸面の高さの調整により、オリフィス通路の断面積を調整でき、減衰のピーク周波数を調整し低減できる。また、オリフィスリングを包被する皮膜層をバランスよく成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体封入式防振装置の1実施例を示す縦断面図である。
【図2】ゴム弾性体を第1リング、第2リング、オリフィスリングおよび内筒と一体成形した内部成形体の側面図である。
【図3】同上の平面図である。
【図4】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図5】図3のB−B線の断面図である。
【図6】同上の一部の拡大図である。
【図7】内部成形体を成形する成形金型の一部の断面図である。
【図8】オリフィスリングの平面図である。
【図9】前図のC−C線の断面図である。
【図10】外筒の組み付け前の縦断面図である。
【図11】前図のD−D線の断面図である。
【図12】前図のE−E線の断面図である。
【図13】液中で内部成形体を外筒に挿入した状態の縦断面図である。
【図14】実施例と比較例によるロスファクタのピーク周波数の変更例の比較を示す特性線図である。
【図15】(a)(b)のそれぞれ従来のオリフィス通路の形状変更例を示す一部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 液体封入式防振装置
2 内筒
3 外筒
4 フランジ部
5 第1リング
6 端縁
7 第2リング
8 周溝
8a,8b 出入口
9 オリフィスリング
10 内部成形体
11 オリフィス通路
12 ゴム弾性体
13 第1溝部
14 第2液室
15 第2溝部
16 第2液室
17 皮膜層
18 皮膜部分
21 凸面
22 非凸面部分
24a,24b 凸部
30 成型金型
31,32 上下両型
33 中間型
34,35 突出型部
36 凸型部分
36a 凹面

Claims (9)

  1. 同軸状に間隔を保有して配された内筒および外筒と、前記外筒の両端部内周面に固定される第1リングおよび第2リングと、前記両リング間に配置され、かつ外側方に向かって開口する断面略U字状をなして外筒に沿った環状のオリフィス通路を画成するオリフィスリングと、前記各リングと前記内筒との間に介設されるゴム弾性体とを備え、前記各リングと前記内筒とが前記ゴム弾性体の成形により一体に結合されてなる内部成形体が前記外筒に挿入固定され、前記オリフィスリングと第1リングとの間および前記オリフィスリングと第2リングとの間に、それぞれ前記オリフィス通路により連通する第1液室および第2液室が画成され、これらの第1液室、第2液室およびオリフィス通路に液体が充填されてなる液体封入式防振装置において、
    前記オリフィスリングの外周に有する周溝の内面に前記ゴム弾性体と一体の皮膜層が設けられ、オリフィス通路における外筒と対向する内底面が断面略円弧状の凸面をなすように形成されてなることを特徴とする液体封入式防振装置。
  2. 前記オリフィス通路の内底面における凸面が、該オリフィス通路の第1及び第2液室への出入口付近を除いて形成されてなる請求項1に記載の液体封入式防振装置。
  3. 前記オリフィス通路の内底面における凸面が、周方向所要間隔毎に非凸面部分を有する断続状に形成されてなる請求項1に記載の液体封入式防振装置。
  4. 前記凸面が非凸面部分に向かって漸次消滅するように形成されてなる請求項3に記載の液体封入式防振装置。
  5. 前記ゴム弾性体が前記内筒の外周面に加硫接着された筒状をなし、このゴム弾性体の外周面に、前記第1リング、第2リングおよびオリフィスリングが加硫接着されるとともに、前記第1リングと前記オリフィスリングとの間に第1溝部が、前記オリフィスリングと第2リングとの間に第2溝部が形成され、この内部成形体が前記外筒に挿入固定されることにより、前記第1溝部および第2溝部の部分がそれぞれ前記第1液室および第2液室として形成されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体封入式防振装置。
  6. 前記外筒がその内側表面に複数の凸部を有し、これらの凸部が第1溝部、第2溝部およびオリフィスリングの少なくとも二つに係合して軸方向の位置決めがなされた請求項5に記載の液体封入式防振装置。
  7. 前記オリフィスリングがナイロン6,6樹脂よりなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体封入式防振装置。
  8. 同軸状に間隔を保有して配された内筒および外筒と、前記外筒の両端部内周面に固定される第1リングおよび第2リングと、前記両リング間に配置され、かつ外側方に向かって開口する断面略U字状をなして外筒に沿った環状のオリフィス通路を画成するオリフィスリングと、前記各リングと前記内筒との間に介設されるゴム弾性体とを備え、前記各リングと前記内筒とが前記ゴム弾性体の成形により一体に結合されてなる内部成形体が前記外筒に挿入固定されることにより、前記オリフィスリングと第1リングとの間および前記オリフィスリングと第2リングとの間に、それぞれ前記オリフィス通路により連通する第1液室および第2液室が画成され、これらの第1液室、第2液室およびオリフィス通路に液体が充填されてなる液体封入式防振装置を製造する方法において、
    軸方向に間隔をおいて配置される前記第2リング、オリフィスリングおよび第1リングの各リングと前記内筒とを、加硫用の成形金型内にセットして、前記ゴム弾性体を加硫成形し、これらを結合一体化した内部成形体を製造する工程と、この内部成形体を前記外筒に対し液中で組み付け内部に液体を封入する工程とを含み、
    前記内部成形体を製造する工程において、前記成形金型のうちの前記オリフィスリングの内面を成形する凸型部分の内周面を、断面略円弧状の凹面をなすように切削加工しておいて、オリフィス通路の外筒と対向する内底面の皮膜層を凸面状に成形することを特徴とする液体封入式防振装置の製造方法。
  9. 前記成型金型は、これらの上下面を成形する上下両型と、上下両型間に挟まれて外周部を成形する径方向に分割可能な中間型とよりなり、この中間型の内周にオリフィスリングの周溝内面を成形する凸型部分を有し、該凸型部分の内周面を断面略円弧状の凹面をなすように切削加工しておくことを特徴とする請求項8に記載の液体封入式防振装置の製造方法。
JP2001174730A 2001-06-08 2001-06-08 液体封入式防振装置とその製造方法 Expired - Fee Related JP4237426B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001174730A JP4237426B2 (ja) 2001-06-08 2001-06-08 液体封入式防振装置とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001174730A JP4237426B2 (ja) 2001-06-08 2001-06-08 液体封入式防振装置とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002364698A JP2002364698A (ja) 2002-12-18
JP4237426B2 true JP4237426B2 (ja) 2009-03-11

Family

ID=19015974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001174730A Expired - Fee Related JP4237426B2 (ja) 2001-06-08 2001-06-08 液体封入式防振装置とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4237426B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102562939A (zh) * 2010-12-09 2012-07-11 东洋橡胶工业株式会社 防振装置
CN102562894A (zh) * 2010-12-09 2012-07-11 东洋橡胶工业株式会社 防振装置

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011114643A1 (ja) 2010-03-19 2011-09-22 株式会社ブリヂストン 液封入式防振装置およびそれの製造方法
JP2016065557A (ja) * 2014-09-23 2016-04-28 東洋ゴム工業株式会社 液封入式防振装置
CN107304792A (zh) * 2016-04-25 2017-10-31 上海汽车集团股份有限公司 汽车底盘衬套、悬架及汽车

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102562939A (zh) * 2010-12-09 2012-07-11 东洋橡胶工业株式会社 防振装置
CN102562894A (zh) * 2010-12-09 2012-07-11 东洋橡胶工业株式会社 防振装置
CN102562939B (zh) * 2010-12-09 2015-03-11 东洋橡胶工业株式会社 防振装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002364698A (ja) 2002-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2510903B2 (ja) 流体封入式マウント装置およびその製造方法
US6557836B2 (en) Liquid-filled type vibration isolating device and manufacturing method thereof
KR20190023751A (ko) 하이드로 엔진마운트
JP4237426B2 (ja) 液体封入式防振装置とその製造方法
EP1010915B1 (en) Liquid- sealed vibration insulator and method for producing the same
JPS6361534B2 (ja)
JP4401756B2 (ja) 防振装置及びその製法
JP6297371B2 (ja) 流体封入式防振装置の製造方法
JP2003004088A (ja) 液封防振装置
JP3293336B2 (ja) 流体封入式マウント装置およびその製造方法
JP4061493B2 (ja) 流体封入式筒形防振装置
JPH0519696U (ja) 流体封入式マウントにおける流体室仕切部材
JP4077537B2 (ja) 筒型液封防振装置及びその製法
JP3651494B2 (ja) 液体封入式マウント
JP4202484B2 (ja) 液封マウント
JP2884800B2 (ja) 流体封入式マウント装置およびその製造方法
JP3140816B2 (ja) 円筒型液封防振装置及びその製造方法
JP2023057316A (ja) 液封防振装置の製造方法、及び液封防振装置
JP4179705B2 (ja) 液封防振装置
JP2023060667A (ja) 内筒ユニット、液封防振装置及び液封防振装置の製造方法
JP2003232397A (ja) 流体封入式防振装置
JPH0131794Y2 (ja)
JP2005098331A (ja) 流体封入式防振装置およびその製造方法
JP2005163840A (ja) 流体封入式筒型防振装置
JP2004270815A (ja) 防振装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070417

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081209

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081218

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141226

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees