JP4237413B2 - (S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ - Google Patents
(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ Download PDFInfo
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Description
技術分野
本発明は、アミノ基転移反応により、ケトン化合物を効率よく光学活性アミノ化合物に変換しうる酵素および該酵素を用いた光学活性アミノ化合物の製造方法に関する。得られる光学活性アミノ化合物は、医薬品や農薬等の中間体として利用しうる。
【0002】
背景技術
生化学的な光学活性アミノ化合物の製法としては、ラセミ体α−フェネチルアミンの微生物による不斉分解法(特開平1−174398号公報、特開平6―253891号公報)及びアセトフェノンの微生物によるアミノ化法(特開平4−365490号公報、特開平6−253875号公報)による光学活性α−フェネチルアミンの製法等が知られている。しかし、これらの方法においては、反応に関与する酵素の性質、例えば、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、アンモニアリアーゼ等について示されていない。さらに、前記方法による光学活性アミノ化合物の生産性も低いため工業的規模での実用化は困難であると考えられる。また、これらの方法には、α―フェネチルアミン以外の光学活性アミノ化合物の製造については記載されていない。
【0003】
一方、ブレビバクテリウム属微生物を用い、1−(4―メトキシフェニル)−2−プロパノンにアミノ基を転移させることにより光学活性1―(4―メトキシフェニル)―2―アミノプロパンが合成できることが報告されている(特開昭63−273486号公報)。前記公報には、反応において還元型補酵素、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの添加効果があることが記載されている。このことより、利用している酵素はデヒドロゲナーゼと考えられるが、実体は明らかでない。
【0004】
また、特公平4―11194号公報には、ブレビバクテリウム属微生物が、塩化アンモニウム存在下、1−(4−メトキシフェニル)−2−プロパノンから(R)−1−(4−メトキシフェニル)−2−アミノプロパンを生成することが記載されている。本発明者らが前記公報に開示された微生物および基質について追試を行ったところ、非常に再現性に乏しかった。
【0005】
さらに、特開平3−103192号公報では、ラセミ体のアミノ化合物にω―アミノ酸トランスアミナーゼを作用させて(S)体のみを分解し、残った(R)体を取得することが開示されている。前記公報において、トランスアミナーゼの反応が、ガバクリン、ヒドロキシルアミンなどのトランスアミナーゼの阻害剤で阻害されるため、使用している酵素はω−アミノ酸トランスアミナーゼであるとしている。しかし、阻害剤の作用だけで酵素を特定することは不十分であり、また、ω−アミノ酸に対する使用酵素の反応性については開示されていない。また、この方法によると微生物不斉分解法(特開平1−174398号公報、特開平6―253891号公報)同様、光学活性アミノ化合物を得るためには、目的化合物とは逆の光学活性を有するアミノ化合物を分解してしまうため、基質に対する収率は50%以下に低下し、コスト的に有利な方法とはいえないという欠点を有する。
【0006】
発明の開示
本発明は、アミノ基転移反応により、ケトン化合物を効率よく光学活性アミノ化合物に変換しうる酵素、該酵素を用いた光学活性アミノ化合物の製造方法および該酵素の生産微生物の培養方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、様々な土壌よりスクリーニングを行なった結果、ピルビン酸存在下、(S)−α―フェネチルアミンをアセトフェノンに変換する(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ活性を有する微生物を土壌より取得することができ、その微生物より該活性を有する酵素を単離、精製することができた。さらに我々は、この(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの反応特性について詳細な検討を行った結果、該酵素は、(S)−α−フェネチルアミンなどをアミノ基供与体として用いると、ピルビン酸のようなα−ケト酸だけでなく、α−ケト酸以外のケトン化合物にも作用し、対応する光学活性アミノ化合物に変換するという優れた性質を有することを見出し、本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 下記理化学的性質:
(A)作用:
光学活性(S)−α−フェネチルアミンとピルビン酸とに作用してそれぞれアセトフェノンとアラニンとを生成するアミノ基転移反応を触媒する、ならびに
(B)基質特異性:
(a)アミノ基供与体:(S)−α―フェネチルアミンに対し活性を示し、β−アラニン、タウリン、プトレッシン、DL−オルニチンおよびDL−リシンのそれぞれに対し活性を示さない、および
(b)アミノ基受容体:ピルビン酸およびグリオキシル酸のそれぞれに対し活性を示す、
を有する(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ、
〔2〕 一般式(1):
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、pは0または1を示し、qは0〜8の整数を示し、rは0〜4の整数を示し、Rは炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、メチル基、または水素原子を示し、Xは水酸基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、または水素原子を示す)で表わされるケトン化合物に、前記〔1〕記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼをアミノ基供与体の存在下に作用させることにより、対応する光学活性アミノ化合物を得ることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法、
〔3〕 一般式(4):
【0011】
【化6】
【0012】
(式中、pは0もしくは1を示し、qは0〜8の整数を示し、rは0〜4の整数を示し、Rは炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、メチル基、または水素原子を示し、Xは水酸基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、または水素原子を示す)で表わされるラセミ体のアミノ化合物に、前記〔1〕記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼをアミノ基受容体の存在下に作用させることにより、対応する光学活性アミノ化合物を得ることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法、ならびに
〔4〕 (S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを生産する微生物を培養する際に、該酵素の誘導物質として、プロピルアミン、1−ブチルアミン、2―ブチルアミン、2―ペンチルアミン、イソプロピルアミンおよびイソブチルアミンからなる群より選ばれた1種以上を培地に添加する(S)−α―フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ生産微生物の培養方法、に関する。
【0013】
発明を実施するための最良の形態
本発明の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼは、下記理化学的性質:
(A)作用:
光学活性(S)−α−フェネチルアミンとピルビン酸とに作用してそれぞれアセトフェノンとアラニンとを生成するアミノ基転移反応を触媒する、ならびに
(B)基質特異性:
(a)アミノ基供与体:(S)−α―フェネチルアミンに対し活性を示し、β−アラニン、タウリン、プトレッシン、DL−オルニチンおよびDL−リシンのそれぞれに対し活性を示さない、および
(b)アミノ基受容体:ピルビン酸およびグリオキシル酸のそれぞれに対し活性を示す、
を有する酵素である。
【0014】
さらに、本発明の酵素は、(S)−α−フェネチルアミンとα−ケト酸以外のケトン化合物とにも作用し、アセトフェノンと該ケトン化合物に対応するアミノ化合物とを生成するアミノ基転移反応を触媒しうる。
【0015】
本発明の酵素は、前記したような基質特異性を有し、立体選択的にアミノ基転移反応を触媒するため、本酵素を用いることにより、光学活性アミノ化合物を従来よりも高い収率で、かつ容易に得ることが可能になる。
【0016】
さらに、本発明の酵素は、下記理化学的性質:
a)分子量:約44,000(SDS−PAGE)
b)至適pH:7.0〜9.0
c)至適温度:30〜50℃
d)熱安定性:pH7.0、30〜50℃の温度で15分間処理したとき、処理前の全活性の95%以上の残存活性を保持する、
を有していてもよい。
【0017】
前記「ケトン化合物」としては、一般式(1):
【0018】
【化7】
【0019】
(式中、pは0または1を示し、qは0〜8の整数を示し、rは0〜4の整数を示し、Rは炭素数6〜14の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数4〜12の複素環基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、メチル基、または水素原子を示し、Xは水酸基、カルボキシル基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、または水素原子を示す)で表わされるケトン化合物が挙げられる。かかるケトン化合物としては、例えば、3−メトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシアセトフェノン、3−ヒドロキシアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、3’,4’−ジメトキシフェニルアセトン、3’−トリフロオロメチルアセトン、ベンジルアセトン、4−(4’−メトキシフェニル)−2−ブタノン、ベンゾイルアセトン、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、アセチルピラジン、2−アセチルフラン、2−アセチルチアゾールなどが挙げられる。ただし、本発明の酵素は、2−ケトグルタル酸には作用しないことも特徴の1つである。
【0020】
前記一般式(1)において、pは0または1、qは、0〜8、好ましくは0〜4の整数、rは、0〜4、好ましくは0〜2の整数を示す。
【0021】
前記一般式(1)において、Rは、炭素数6〜14、好ましくは6〜10の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数4〜12、好ましくは4〜8の複素環基、カルボキシル基、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルコキシカルボニル基、メチル基または水素原子を示す。
【0022】
前記置換アリール基としては、例えばハロゲン原子、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のアルキル基、水酸基、メトキシ基、ニトロ基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基およびトリフルオロメチル基からなる群より選ばれた置換基により少なくとも1ヶ所を置換されたアリール基が挙げられる。
【0023】
Rの具体例としては、メチル基、フェニル基、ナフチル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2―ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2―メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基が挙げられる。
【0024】
前記一般式(1)において、Xは、水酸基、カルボキシル基、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルコキシカルボニル基または水素原子を示す。
【0025】
本発明の酵素によれば、(S)−α−フェネチルアミンと3−ヒドロキシアセトフェノンとに作用し、アセトフェノンと光学活性(S)−3−α−ヒドロキシ−フェネチルアミンとを生成しうる。
【0026】
かかる酵素は、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属の微生物などに存在する。その中で代表的なシュードモナス・スピーシーズは、Pseudomonas sp. KNK425と命名・表示され、平成10年9月25日(原寄託日)より寄託番号:FERM BP−6525として、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所〔あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305−8566)〕に寄託されている。前記シュードモナス・スピーシーズKNK425株(以下、単にKNK425株という場合もある)の菌学的な性質を以下に示す。
菌学的性質
細胞の形態 :桿菌
グラム染色 :陰性
胞子形成 :無し
運動性 :有り
コロニーの形態 :丸い、規則的な、完全な、クリーム色、
スムースな、光沢のある、平らな、
やや半透明な、直径3mmのコロニー
(イースト−グルコース寒天培地)
生育(37℃) :+
(41℃) :−
カタラーゼ :+
オキシダーゼ :+
OFテスト(グルコース) :−
【0027】
前記KNK425株由来の酵素は、例えば、以下のようにして精製することができる:
【0028】
まず、シュードモナス・スピーシーズKNK425を、500mL容坂口フラスコ中50mLの培地〔組成:5g/L KH2 PO4 、5g/L K2 HPO4 、1g/L MgSO4 ・7H2 O、0.005g/L ZnSO4 ・7H2 O、0.005g/L FeSO4 ・7H2 O、0.001g/L MnCl2 ・4H2 O,3g/L NaCl、15g/L グリセリン、2g/L イーストエキス、8g/L プロエキス、2g/L (RS)−2−ブチルアミン、1.5g/L ピルビン酸、(pH7.2)〕に植菌し、30℃で1日培養し、前培養液を得る。ついで、5リットル容ミニジャー中3.0リットルの培地(前記培地と同組成)に、得られた前培養液を植菌し、0.5vvm、600rpmでpH7.5以下で30℃で22時間培養する。
【0029】
なお、前記微生物を培養する際に、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの誘導物質として、プロピルアミン、1−ブチルアミン、2―ブチルアミン、2―ペンチルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミンなどを培地に添加し、培養することもできる。前記誘導物質は、単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
前記誘導物質の添加量は、特に限定されるものではないが、菌の生育阻害などの観点より、通常培地組成中1重量%以下が好ましい。
【0031】
また、前記誘導物質の添加時期は、特に限定されるものではなく、培養開始時、または培養途中のいずれでもよい。
【0032】
ついで、遠心分離により培養液から菌体を集め、0.1% 2―メルカプトエタノールおよび0.1mMピリドキサールリン酸を含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)に懸濁する。
【0033】
得られた懸濁液をダイノーミルにより破砕後、遠心分離により上清を得る。得られた上清を50℃、30分間の熱処理を行なった後、遠心分離により沈殿物を除き、得られた上清に硫酸プロタミンを添加し核酸を除く。
【0034】
得られた硫酸プロタミン処理液は、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィーなどに代表される各種カラムクロマトグラフィーにより、さらに精製することができる。前記各種カラムクロマトグラフィーの操作は、5〜10℃で行なうことが好ましい。
【0035】
好ましくは、前記のようにして得られた硫酸プロタミン処理液を、DEAE−セファロース ファーストフロー(ファルマシアLKB)カラムにチャージし、0−0.2M NaCl直線濃度勾配により、溶出させ活性画分を集める。得られた活性画分を、Q−セファロース(ファルマシアLKB)カラムにチャージし、0−0.25MのNaCl直線濃度勾配により、溶出させ活性画分を集める。得られた活性画分をフェニルセファロースカラムにチャージし、5%、10%および30%のエチレングリコールのステップワイズ濃度勾配により溶出させ活性画分を集める。この活性画分は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、ほぼ単一のバンドを示す。
【0036】
本発明における(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの活性測定法は、以下に示す通りである。
【0037】
酵素調製物0.1mLを下記組成を有する0.1Mリン酸カリウム溶液(pH7.0)0.9mLに添加し、30℃、1時間反応させた後、1N HClを0.1mL添加し、生成するアセトフェノンを高速液体グロマトグラフィーにより定量する。
組成:
(S)−α−フェネチルアミン 22.5mM
ピルビン酸 22.5mM
ピリドキサールリン酸 0.1mM
【0038】
高速液体クロマトグラフィーによる測定条件は以下の通りである。
カラム:Deverosil ODS−HG−3
(NOMURA CHEMICAL)
溶離液:アセトニトリル750mL/蒸留水2250mL/KH2 PO4 6.7 5g/H3 PO4 2.7g
流速 :1mL/分
検出 :210nm
【0039】
なお、酵素活性の値は、1分間で1μmolのアセトフェノンを生成する酵素量を1ユニットとする。
【0040】
上記のような精製酵素において、慣用の技術により、その部分アミノ酸配列の情報を得ることができる。具体的には、例えば、気相プロテインシークエンサー〔492 PROTEIN SEQUENCER(アプライド バイオシステムズ社製)〕などを用いたエドマン分解法により、直接精製酵素のアミノ酸配列決定を行なうことにより、N末端アミノ酸配列を決定できる。前記のようにして得られる酵素としては、例えば、配列番号:1記載のアミノ酸配列をN末端アミノ酸配列として有する酵素などが挙げられる。かかる酵素も本発明に含まれる。
【0041】
本発明の酵素は、アミノ基供与体に対する基質特異性に関して、(S)−α―フェネチルアミンを用いた場合、高い活性を示し、また、アミノ基受容体に対する基質特異性に関して、ピルビン酸およびグリオキシル酸を用いた場合、活性を示す。これらの性質により、本発明の酵素は、(S)―α―フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼと特徴づけられる。
【0042】
下記の表1に示されるように、本発明の(S)―α―フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼは、グリシン、DL−オルニチン、DL−リシン、L−アスパラギン酸、DL−グルタミン酸に作用しないため、従来より知られているα―アミノ酸トランスアミナーゼではないことが示唆される。また、本発明の(S)―α―フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼは、塩化アンモニウム等の無機アンモニウム塩にも作用しないため、特公平4−11194号公報記載のブレビバクテリウム由来の酵素とは異なることが示唆される。
【0043】
【表1】
【0044】
また、代表的なω−アミノ酸トランスアミナーゼの基質に対して、本発明の(S)―α―フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの反応性と、従来より知られている代表的なω−アミノ酸トランスアミナーゼの反応性とを比較したところ、本発明の酵素は、β−アラニン、タウリン、プトレッシン、4−アミノ酪酸などの代表的なω−アミノ酸トランスアミナーゼの基質に作用せず、(S)−α−フェネチルアミンに対し特異的に高い活性を示すため、本酵素は、従来のω−アミノ酸トランスアミナーゼとは異なり、特開平3−103192号公報において使用されている酵素とも明らかに異なることが示される。
【0045】
ここで、「代表的なω−アミノ酸トランスアミナーゼ」とは、アグリカルチャル・バイオリジカル・ケミストリー(Agric.Biol.Chem)41巻、1701頁(1977年)記載のシュードモナス(Pseudomonas)属細菌F−126由来のω−アミノ酸:ピルビン酸トランスアミナーゼ;およびアシーブズ・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジクス(Arch.Biochem.Biophys.)200巻、156頁記載のシュードモナス(Pseudomonas)属細菌F−126由来の4−アミノ酪酸:2−ケトグルタル酸トランスアミナーゼである。
【0046】
以上の点より本発明の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼは従来から知られているトランスアミナーゼとは全く異なる新規酵素であることが示唆される。さらに、本発明の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼは、ピルビン酸のようなα−ケト酸だけでなく、α−ケト酸以外のさまざまなケトン化合物をもアミノ基受容体とし、対応する光学活性アミノ化合物に変換する反応を触媒する能力を有する。
【0047】
本発明の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼにより、光学活性アミノ化合物の製造方法が提供される。本発明には、かかる光学活性アミノ化合物の製造方法も含まれる。
【0048】
本発明の光学活性アミノ化合物の製造方法は、本発明の酵素を用いることを1つの大きな特徴とする。本発明においては、かかる酵素を使用するため、該酵素が有する立体選択性に基づいて、高い効率で光学活性アミノ化合物を製造することができる。
【0049】
本発明の光学活性アミノ化合物の製造方法としては、基質としてアミノ基供与体を用いる方法(以下、製造方法Iという)と、その逆反応を利用した、アミノ基受容体を用いる方法(以下、製造方法IIという)が挙げられる。
【0050】
製造方法I
(S)−α―フェネチルアミンなどのアミノ基供与体の存在下、一般式(1):
【0051】
【化8】
【0052】
で表わされるケトン化合物に、本発明の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを作用させることにより、対応する光学活性アミノ化合物を得ることができる。
【0053】
前記一般式(1)で表わされるケトン化合物の中では、pが0、qが0、rが1およびXが水素原子である化合物、またはpが0、qが1、rが1およびXが水素原子である化合物が好ましく、さらに具体的には、例えば、4―クロロアセトフェノン、2―ヒドロキシアセトフェノン、3―ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシアセトフェノン、2−メトキシアセトフェノン、3―メトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、2,4−ジメトキシアセトフェノン、3,4−ジメトキシアセトフェノン、2−トリフルオロメチルアセトフェノン、3―トリフルオロメチルアセトフェノン、4―トリフルオロメチルアセトフェノン、フェニルアセトン、4' ―クロロフェニルアセトン、2' ―ヒドロキシフェニルアセトン、3' ―ヒドロキシフェニルアセトン、4' −ヒドロキシフェニルアセトン、2' −メトキシフェニルアセトン、3' ―メトキシフェニルアセトン、4' −メトキシフェニルアセトン、2' ,4' −ジメトキシフェニルアセトン、3' ,4' −ジメトキシフェニルアセトン、2' −トリフルオロメチルフェニルアセトン、3' ―トリフルオロメチルフェニルアセトン、4' ―トリフルオロメチルフェニルアセトン、1−ナフチルアセトン、2−ナフチルアセトン、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、アセチルピラジン、2−アセチルフラン、3−アセチルフラン、2−アセチルチオフェン、3−アセチルチオフェン、2−アセチルチアゾール等が挙げられる。
【0054】
前記光学活性アミノ化合物の具体例としては、例えば、4−クロロ−α−フェネチルアミン、2−ヒドロキシ−α−フェネチルアミン、3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミン、4−ヒドロキシ−α−フェネチルアミン、2−メトキシ−α−フェネチルアミン、3−メトキシ−α−フェネチルアミン、4−メトキシ−α−フェネチルアミン、2,4−ジメトキシ−α−フェネチルアミン、3,4−ジメトキシ−α−フェネチルアミン、2−トリフルオロメチル−α−フェネチルアミン、3−トリフルオロメチル−α−フェネチルアミン、4−トリフルオロメチル−α−フェネチルアミン、1−フェニル−2−アミノプロパン、1−(4−クロロフェニル)−2−アミノプロパン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(3−ヒドロキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(2−メトキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(3−メトキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(4−メトキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(2,4−ジメトキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−アミノプロパン、1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2−アミノプロパン、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−2−アミノプロパン、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−アミノプロパン、1−(1−ナフチル)−2−アミノプロパン、1−(2−ナフチル)−2−アミノプロパン、1−(2−ピリジル)エチルアミン、1−(3−ピリジル)エチルアミン、1−(4−ピリジル)エチルアミン、1−ピラジルエチルアミン、1−(2−フリル)エチルアミン、1−(3−フリル)エチルアミン、1−(2−チエニル)エチルアミン、1−(3−チエニル)エチルアミン、1−(2−チアゾイル)エチルアミン等が挙げられる。
【0055】
本発明に使用されるアミノ基供与体としては、一般式(3):
【0056】
【化9】
【0057】
で表わされる化合物が挙げられ、かかる化合物には、アキラル、光学活性アミノ化合物およびそのラセミ体が包含される。
【0058】
前記一般式(3)において、R1 およびR2 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜14、好ましくは1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基または炭素数6〜14、好ましくは6〜10の置換もしくは無置換アリール基を示す。
【0059】
前記R1 の具体例としては、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基が挙げられ、前記R2 の具体例としては、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基が挙げられる。
【0060】
前記一般式(3)で表わされる化合物の具体例としては、α−フェネチルアミン、2―ブチルアミン、2−ペンチルアミン、2―ヘプチルアミン、2―オクチルアミンおよびそれらの光学活性体が挙げられる。
【0061】
製造方法Iにおいては、前記ケトン化合物に、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼをアミノ基供与体の存在下に作用させる際、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを生産する微生物の培養物、分離した細胞、固定化細胞および無細胞抽出物からなる群より選ばれた1種以上を用いてもよく、あるいは該(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの粗精製酵素、精製酵素および固定化酵素からなる群より選ばれた1種以上を用いてもよい。
【0062】
反応に用いる基質の濃度としては、ケトン化合物においては、反応液組成中、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%であり、また、アミノ基供与体は、キラルアミンの場合は、主に(S)体がケトン化合物に対し、80〜150モル%の濃度になるように用いることが好ましい。なお、前記アミノ基供与体としてラセミ体のアミノ化合物を同様の濃度で使用することもできる。
【0063】
本発明の酵素を作用させる際のpHは、酵素の至適pHの観点から、好ましくはpH6.0以上であり、より好ましくはpH7.0以上であり、好ましくはpH10.0以下であり、より好ましくはpH9.0以下であることが望ましい。 本発明の酵素を作用させる際の温度は、酵素の至適温度および熱安定性の観点から、好ましくは25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下であり、より好ましくは50℃以下である。
【0064】
製造方法II
本発明の酵素は、キラルなアミノ化合物の一方の立体〔(S)体〕に特異的に作用するため、一般式(4):
【0065】
【化10】
【0066】
で表わされるラセミ体のアミノ化合物に、本発明の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼをアミノ基受容体の存在下に作用させることにより、(S)体のアミノ化合物のみがケトン化合物に変換されるため、対応する(R)体の光学活性アミノ化合物を得ることができる。
【0067】
前記一般式(4)において、R、p、q、rおよびXは、それぞれ前記一般式(1)におけるR、p、q、rおよびXと同じ基を示す。
【0068】
本発明に用いられるアミノ基受容体としては、特に限定するものでないが、具体的には、ピルビン酸、グリオキシル酸、オキサロ酢酸などが挙げられる。
【0069】
製造方法IIにおいて、一般式(4)で表わされるラセミ体のアミノ化合物に、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼをアミノ基受容体の存在下に作用させる際、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを生産する微生物の培養物、分離した細胞、固定化細胞および無細胞抽出物からなる群より選ばれた1種以上を用いてもよく、あるいは該(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの粗精製酵素、精製酵素および固定化酵素からなる群より選ばれた1種以上を用いてもよい。
【0070】
反応に用いる基質の濃度としては、ラセミ体のアミノ化合物においては、反応液組成中、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の濃度で用いることが好ましい。また、アミノ基受容体は、ラセミ体のアミノ化合物に対し、30〜100モル%、好ましくは50〜60モル%の濃度で用いることが好ましい。
【0071】
本発明の酵素を作用させる際のpHは、酵素の至適pHの観点から、好ましくはpH6.0以上であり、より好ましくはpH7.0以上であり、好ましくはpH10.0以下であり、より好ましくはpH9.0以下であることが望ましい。
【0072】
本発明の酵素を作用させる際の温度は、酵素の至適温度および熱安定性の観点から、好ましくは25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、好ましくは60℃以下であり、より好ましくは50℃以下である。
【0073】
これらの製造方法により製造された光学活性アミノ化合物の収率および純度は、例えば、反応液を逆相カラム(コスモシル5C18−AR、ナカライテスク等)を用い、25%アセトニトリル等を移動相として分離し、210nmの吸収を対照と比較することにより定量分析を行なうことができる。また、光学純度を測定する方法としては、生成したアミノ化合物をN−カルボキシ−L−ロイシンアンヒドライド等と結合させてジアステレオマーを形成させ、これを逆相カラム(コスモシル5C18−AR、ナカライテスク等)を用いた高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0074】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0075】
実施例1
国内各地より採取した土壌サンプル各2gを5mLの生理食塩水に懸濁し、その上清液0.2mLを4mLのS培地(2g/L KH2 PO4 、2g/L K2 HPO4 、0.3g/L MgSO4 ・7H2 O、0.5g/L グリセリン、3g/L NaCl、1g/L イーストエキス、0.004g/L FeSO4 ・7H2 O、0.0005g/L ZnSO4 ・7H2 O、0.0005g/L MnCl2 ・4H2 O、pH7.5を高圧蒸気殺菌後、除菌フィルター(ADVANTEC社製、商品名:DISMIC−25CS)でろ過した2−オキソグルタル酸またはピルビン酸と(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−アミノプロパンとをそれぞれ最終濃度1.5g/L、1.0g/Lとなるように添加)に加えて、30℃で3〜7日間集積培養を行った。菌が生育した培養液を1.5%寒天を含むS培地プレートに0.2mLずつ塗付し、30℃で72時間培養を行なった。生育したコロニーについて、それぞれの菌体をS培地で振とう培養(30℃、24時間)し、集菌した。ついで、0.1M炭酸緩衝液(pH8.5)、50mMピルビン酸、30mM(S)−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−アミノプロパンを含む0.25mLの溶液に得られた菌体を懸濁した。得られた菌体懸濁液を30℃で攪拌しながら24時間反応させた。 反応終了後のの反応液を薄層クロマトグラフィー〔Kieselgel 60F254(Merck社製)、展開液はジエチルエーテル:メタノール:アンモニア水(27%)=50:50:2〕で分離したのち、生成物である1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノンの生成を、0.4%の2,4−ジヒドロフェニルヒドラジンを用いて検出した。1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノンの生成が確認できた菌株については、0.6% 1−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−プロパノンおよびアミノ基供与体として0.6% (S)−α−フェネチルアミンを含む溶液に、前記S培地中、30℃、24時間培養し、得られた菌体を懸濁したのち、得られた反応液を30℃で攪拌しながら2日間反応させた。その結果、シュードモナス スピーシーズKNK425株に(S)選択的なアミノ基転移活性が認められた。
【0076】
実施例2
土壌より分離したシュードモナス・スピーシーズKNK425を500mL容坂口フラスコ中50mLの培地(組成:5g/L KH2 PO4 、5g/L K2 HPO4 、1g/L MgSO4 ・7H2 O、0.005g/L ZnSO4 ・7H2 O、0.005g/L FeSO4 ・7H2 O、0.001g/L MnCl2 ・4H2 O,3g/L NaCl、15g/L グリセリン、2g/L イーストエキス、8g/L プロエキス、2g/L (RS)−2−ブチルアミン、1.5g/L ピルビン酸、pH7.2)に植菌し、30℃で1日培養し、前培養液を得た。ついで、5リットル容ミニジャー中3.0リットルの培地(前記培地と同組成)に、得られた前培養液を植菌し、0.5vvm、600rpmでpH7.5以下で30℃で22時間培養した。
【0077】
ついで、得られた培養液から遠心分離により菌体を集め、0.1% 2―メルカプトエタノール、0.1mMピリドキサールリン酸を含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)320mLに懸濁した。
【0078】
得られた菌体懸濁液をダイノーミルにより破砕後、遠心分離により上清を得た(酵素比活性0.57U/mg)。
【0079】
得られた上清を50℃、30分間の熱処理の後、遠心分離により沈殿物を除き、得られた上清に硫酸プロタミン(1g/20mL)を5mL添加し、核酸を除いた(酵素比活性0.93U/mg)。
【0080】
得られた硫酸プロタミン処理液を、0.01% 2―メルカプトエタノールおよび20μMピリドキサールリン酸を含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で予め平衡化したDEAE−セファロース ファーストフロー(ファルマシアLKB)カラム(カラム直径:4.0cm、高さ18cm)にチャージし、0−0.2M NaCl直線濃度勾配により、流速40mL/hrで溶出させ活性画分を集めた。得られた活性画分を、0.01% 2―メルカプトエタノールおよび20μMピリドキサールリン酸を含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)2Lにより透析を行った後、0.01% 2―メルカプトエタノールおよび20μMピリドキサールリン酸を含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で予め平衡化したQ−セファロース(ファルマシアLKB)カラム(カラム直径:2.4cm、高さ17cm)にチャージし、0−0.25MのNaCl直線濃度勾配により、流速40mL/hrで溶出させ活性画分を集めた(酵素比活性8.37U/mg)。
【0081】
得られた活性画分を、0.01% 2―メルカプトエタノールおよび20μMピリドキサールリン酸を含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で予め平衡化したフェニルセファロースカラム(カラム直径:1.4cm、高さ15cm)にチャージし、5%、10%および30%のエチレングリコールのステップワイズ濃度勾配により、流速30mL/hrで溶出させ活性画分を集めた(酵素比活性16.49U/mg)。
【0082】
得られた活性画分を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、分子量約44,000に相当するところに、単一バンドを形成した。
【0083】
実施例3
実施例2で得た精製酵素について、その理化学的性質について調べた。
【0084】
(作用)
(S)−α−フェネチルアミンとピルビン酸に作用し、それぞれアセトフェノンとアラニンを生成した。
【0085】
(至適pH)
0.1Mリン酸緩衝液、及び0.1Mトリス−塩酸緩衝液を用い、pH5〜10の範囲で(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ活性を測定した。その結果を図1に示す。至適pHは7.0〜9.0であった。
【0086】
(至適温度)
温度20〜70℃の範囲で、緩衝液として0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)を用い、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ活性を測定した。その結果を図2に示す。至適温度は30〜50℃であった。
【0087】
(熱安定性)
0.05Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中、30〜80℃、15分間処理した後、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ活性を測定した。その結果を図3に示す。処理前の全活性に比べ、30〜50℃では、95%以上の活性が残存していた。
【0088】
(N末端配列)
該精製酵素タンパクを気相プロテインシークエンサー(492 PROTEIN SEQUENCER(Applied Biosystems))にて分析することにより、アミノ酸配列を調べた。その結果、該酵素は、配列番号:1に記載されたアミノ酸配列をN末端アミノ酸配列として有することが示された。
【0089】
実施例4
実施例2で得た精製酵素液を用い、本酵素のアミノ基供与体に対する基質特異性について調べた。
【0090】
精製酵素0.1mLを、各種アミノ化合物22.5mM、ピルビン酸22.5mM、ピリドキサールリン酸0.1mMを含む0.1Mリン酸カリウム溶液(pH7.0)0.9mLに添加し、30℃、1時間反応させた後、5分間沸騰水に浸し反応を停止した。反応終了後に得られた反応液を0.2M炭酸ナトリウム緩衝液で5倍希釈し、得られた希釈液のうちの0.1mLに10mMダブシルクロライドのアセトン溶液0.2mLを添加し、70℃、15分間反応し、冷却後、1NのHCl 0.1mLを添加した。この反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、ダブシル化したアラニンを定量した。
【0091】
高速液体クロマトグラフィーによる測定条件は以下の通りである。
カラム:Deverosil ODS−HG−3
(NOMURA CHEMICAL)
溶離液:アセトニトリル/0.045M酢酸緩衝液(pH4.13)=
35/65(体積比)
流速 :1mL/分
検出 :436nm
【0092】
その結果を、(S)−α−フェネチルアミンをアミノ基供与体として用いたときの活性を100としたときの相対活性で表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
表2に示すように、本酵素は(S)−α−フェネチルアミンに対し、特に高い活性を示した。
【0095】
実施例5
実施例2で得た精製酵素液を用い、本酵素のアミノ基受容体に対する基質特異性について調べた。
【0096】
精製酵素0.1mLを、下記に示す(S)−α−フェネチルアミン22.5mM、各種ケトン化合物22.5mM、ピリドキサールリン酸0.1mMを含む0.1Mリン酸カリウム溶液(pH7.0)0.9mLに添加し、30℃、1時間反応させ、得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、生成したアセトフェノンを定量した。
【0097】
高速液体クロマトグラフィーによる測定条件は以下の通りである。
カラム:Deverosil ODS−HG−3
(NOMURA CHEMICAL)
溶離液:アセトニトリル750mL/蒸留水2250mL/KH2 PO4 6.75g/H3 PO4 2.7g
流速 :1mL/分
検出 :210nm
【0098】
その結果を、ピルビン酸をアミノ基受容体として用いたときの活性を100としたときの相対活性で表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
表3に示されるように、本酵素は、ピルビン酸、グリオキシル酸に高い活性を示し、2−ケトグルタル酸には活性を示さなかった。
【0101】
実施例6
実施例2で得た精製酵素を用い、本酵素の代表的なω−アミノ酸トランスアミナーゼの基質に対する反応性について、実施例4と同様の方法で調べた。その結果を表4に示す。
【0102】
【表4】
【0103】
表4に示すように、本酵素は、β−アラニン、タウリン、プトレッシン、4−アミノ酪酸などの代表的なω−アミノ酸トランスアミナーゼの基質に作用せず、(S)−α−フェネチルアミンに対し特異的に高い活性を示す。
【0104】
実施例7
実施例2で得た精製酵素を用い、実施例5と同様な方法で、(S)−α−フェネチルアミンをアミノ基供与体とした時の各種ケトン化合物に対する活性について調べた。その結果を表5に示す。
【0105】
【表5】
【0106】
(S)−α−フェネチルアミンをアミノ基供与体として用いれば表5に示す各種化合物についても活性を有することがわかる。
【0107】
実施例8
実施例2で得た精製酵素を用い、実施例5と同様の方法で、(S)−α−フェネチルアミンをアミノ基供与体として用いた時の実施例7で用いた以外の各種ケトン化合物に対する活性について調べた。その結果を表6に示す。
【0108】
【表6】
【0109】
表6に示すように、ピルビン酸に対し、高い活性を示す。
【0110】
実施例9
精製酵素2ユニット、(S)−α−フェネチルアミン10mg、3−ヒドロキシアセトフェノン10mgを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)2mLを30℃で24時間攪拌し反応させた。反応終了後に得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、7mgの(S)−3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミンが生成していた。その光学純度は99e.e.%以上であった。
1 H−NMR(400Mz,CDCl3 ): δ=1.39−1.40(d,3H)、2.72(bs,2H)、4.05−4.10(q,1H)、6.70−7.19(4H)
【0111】
実施例10
精製酵素1ユニット、(S)−α−フェネチルアミン10mg、3’−トリフルオロメチルフェニルアセトン10mgを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2mLを30℃で24時間攪拌して反応させた。反応終了後に得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、8.5mgの(S)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−2−アミノプロパンが生成していた。その光学純度は99e.e.%以上であった。
【0112】
実施例11
シュードモナス・スピーシーズKNK425株を100mLの培地(5g/L KH2 PO4 、5g/L K2 HPO4 、1g/L MgSO4 ・7H2 O、0.005g/L ZnSO4 ・7H2 O、0.005g/L FeSO4 ・7H2 O、0.001g/L MnCl2 ・4H2 O,3g/L NaCl、15g/L グリセリン、2g/L イーストエキス、8g/L プロエキス、2g/L (RS)−2−ブチルアミン、1.5g/L ピルビン酸、pH7.2)で20時間培養した。この培養液50mLを遠心分離後、沈殿した菌体を0.1% 2メルカプトエタノール、0.1mMピリドキサールリン酸を含む50mMリン酸緩衝液(pH6.8)50mLに懸濁した。この懸濁液を氷上にて超音波破砕した(BRANSON SONIFIER250、Duty Cycle7、Outputcontrole7にて、2分間、12回)。このようにして得た菌体破砕液は、4U/mLの(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ活性を有していた。
【0113】
実施例12
実施例11と同様に培養したシュードモナス・スピーシーズKNK425の培養液100mLに、(S)−α−フェネチルアミン1g、3−ヒドロキシアセトフェノン1gを添加し、塩酸を用いてpHを7.5に調整し、37℃で24時間攪拌し反応させた。反応終了後に得られた反応液を実施例5と同様に、高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、3−ヒドロキシアセトフェノンの75%が(S)−3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミンに変換していた。塩酸を用いて、前記反応液のpHを2.0に調整し、トルエンを用いて抽出し、有機層にケトン類を除いた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、水層のpHを10.0に調整した後、再びトルエンで抽出したところ、有機層に0.7gの(S)−3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミンが含まれていた。その抽出物を蒸発乾固した後、エタノール:水=1:1を用いて再結晶化することにより、(S)−3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミン0.65gが結晶として得られた。得られた(S)−3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミンの光学純度は99e.e.%以上であった。
【0114】
実施例13
実施例11と同様に培養したシュードモナス・スピーシーズKNK425の培養液2mLに2−ブチルアミン20mg、3−トリフルオロメチル−フェニルアセトン20mgを添加し、塩酸を用いてpHを7.5に調整したのち、40℃、24時間攪拌し反応させた。反応終了後に得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、50%の3' −トリフルオロメチル−フェニルアセトンが(S)−3' −トリフルオロメチル−フェニル−2−アミノプロパンに変換されていた。(S)−3' −トリフルオロメチル−フェニル−2−アミノプロパンの光学純度は99%e.e.以上であった。
【0115】
1 H−NMR(400Mz,CDCl3 ): σ=1.12−1.13(d,3H)、1.57(bs,2H)、2.58−2.63(dd,1H)、2.73−2.78(dd,1H)、3.16−3.24(m,1H)、7.37−7.48(4H)
【0116】
実施例14
実施例11と同様に培養したシュードモナス・スピーシーズKNK425の培養液2mLに(S)−α−フェネチルアミン40mg、3' −トリフルオロメチル−フェニルアセトン40mgを添加し、塩酸を用いてpHを7.5に調整したのち、40℃、24時間攪拌し反応させた。反応終了後に得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、80%の3' −トリフルオロメチル−フェニルアセトンが(S)−3−トリフルオロメチル−フェニル−2−アミノプロパンに変換されていた。(S)−3−トリフルオロメチル−フェニル−2−アミノプロパンの光学純度は99%e.e.以上であった。
【0117】
実施例15
実施例11と同様に培養したシュードモナス・スピーシーズKNK425の培養液50mLを遠心分離により上清を除去し、沈殿した菌体を、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)20mLに懸濁し、超音波により菌体を破砕した。得られた破砕物を遠心分離することにより沈殿物を除去し、無細胞抽出液17mLを得た。この無細胞抽出液17mLに、(S)−α−フェネチルアミン0.2g、3' −トリフルオロメチル−フェニルアセトン0.2gを添加したのち、塩酸を用いてpHを7.5に調整後、40℃、24時間反応させた。その結果、0.6gの(S)−3' −トリフルオロメチル−フェニル−2−アミノプロパンが生成した。得られた(S)−3' −トリフルオロメチル−フェニル−2−アミノプロパンの光学純度は99%e.e.以上であった。
【0118】
実施例16
実施例11と同様にして培養したシュードモナス・スピーシーズKNK425の培養液2mLにラセミ体のα−フェネチルアミン60mg、ピルビン酸30mgを添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整後、40℃、25時間反応させた。その結果、27mgのα−フェネチルアミンが残存しており、その(R)体の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0119】
実施例17
実施例11と同様にして培養したシュードモナス・スピーシーズKNK425の培養液2mLにラセミ体の3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミン60mg、ピルビン酸30mgを添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.5に調整した。得られた溶液を、40℃、25時間攪拌し反応させた。その結果、27mgの3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミンが残存しており、その(R)体の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0120】
実施例18
ピルビン酸の代わりにグリオキシル酸を用いた以外は、実施例17と同様に行なうことにより、26mgの3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミンが残存しており、その(R)体の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0121】
実施例19
ピルビン酸の代わりにオキサロ酢酸を用いた以外は、実施例17と同様に行なうことにより、27mgの3−ヒドロキシ−α−フェネチルアミンが残存しており、その(R)体の光学純度は99%e.e.以上であった。
【0122】
産業上の利用可能性
本発明の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼによれば、ケトン化合物を効率よく光学活性アミノ化合物に変換することができる。本発明の光学活性アミノ化合物の製造方法によれば、高い収率で光学活性アミノ化合物を得ることができ、かつ得られる光学活性アミノ化合物の光学純度が高いため、該製造方法は、医薬品や農薬等の中間体の製造に有用である。
【0123】
【配列表】
SEQUENCE LISTING
<110> KANEKA CORPORATION
<120> (S)-α-phenethylamine:pyruvate transaminase
<130> 99-041-PCT
<150> JP 10-309310
<151> 1998-10-30
<160> 1
【0124】
<210> 1
<211> 16
<212> PRT
<213> Pseudomonas sp.
<400> 1
Met Tyr Glu Gln Tyr Lys Thr Ala Gln Lys Lys Phe Trp His Pro
1 5 10 15
Met
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1図は、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの至適pHを示す図である。図中、黒丸は0.1Mリン酸緩衝液を用いて測定した結果を示し、白抜四角は0.1Mトリス−塩酸緩衝液を用いて測定した結果を示す。
【図2】 第2図は、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの至適温度を示す図である。
【図3】 第3図は、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの熱安定性を示す図である。
Claims (22)
- 下記理化学的性質:
(A)作用:
光学活性(S)−α−フェネチルアミンとピルビン酸とに作用してそれぞれアセトフェノンとアラニンとを生成するアミノ基転移反応を触媒する、
(B)基質特異性:
(a)アミノ基供与体:(S)−α―フェネチルアミンに対し活性を示し、β−アラニン、タウリン、プトレッシン、DL−オルニチンおよびDL−リシンのそれぞれに対し活性を示さない、および
(b)アミノ基受容体:ピルビン酸およびグリオキシル酸のそれぞれに対し活性を示す、
(C)分子量:約44,000(SDS−PAGE)、
(D)至適pH:7.0〜9.0、
(E)至適温度:30〜50℃、ならびに
(F)熱安定性:pH7.0、30〜50℃の温度で15分間処理したとき、処理前の全活性の95%以上の残存活性を保持する
を有し、かつ、配列番号:1記載のアミノ酸配列をN末端アミノ酸配列として有する(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ。 - (S)−α−フェネチルアミンとα−ケト酸以外のケトン化合物とに作用し、アセトフェノンと該ケトン化合物に対応するアミノ化合物とを生成するアミノ基転移反応を触媒する反応特性をさらに有する、請求項1記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ。
- ケトン化合物が、3−メトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシアセトフェノン、3−ヒドロキシアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、3’,4’−ジメトキシフェニルアセトン、3’−トリフロオロメチルアセトン、ベンジルアセトン、4−(4’−メトキシフェニル)−2−ブタノン、ベンゾイルアセトン、2−アセチルピリジン、アセチルピリジン、2−アセチルフランおよび2−アセチルチアゾールからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項2または3記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ。
- (S)−α−フェネチルアミンと3−ヒドロキシアセトフェノンとに作用し、アセトフェノンと光学活性(S)−3−α−ヒドロキシ−フェネチルアミンとを生成しうる、請求項4記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ。
- シュードモナス(Pseudomonas)属の微生物により生産される、請求項1〜5いずれか記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ。
- シュードモナス属に属する微生物がPseudomonas sp. KNK425(FERM BP−6525)である、請求項6記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ。
- 一般式(1)において、Rが、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基、メトキシ基、ニトロ基、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基およびトリフルオロメチル基からなる群より選ばれた置換基により少なくとも1ヶ所を置換されたアリール基である、請求項8記載の製造方法。
- 一般式(1)において、Rが、メチル基、フェニル基、ナフチル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2―ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2―メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、またはチアゾリル基である請求項9記載の製造方法。
- 一般式(1)において、pおよびqが0、rが1、Xが水素原子である請求項8〜10記載の製造方法。
- 一般式(1)において、pが0、qが1、rが1、Xが水素原子である請求項8〜10記載の製造方法。
- 一般式(3)において、R1 が炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基であり、R2が水素原子、メチル基またはエチル基である、請求項13記載の製造方法。
- アミノ基供与体が、α−フェネチルアミン、2―ブチルアミン、2−ペンチルアミン、2―ヘプチルアミン、2―オクチルアミンおよびそれらの光学活性体からなる群より選ばれた化合物である請求項13または14記載の製造方法。
- (S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを作用させる際、該(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを生産する微生物の培養物、分離した細胞、固定化細胞および無細胞抽出物からなる群より選ばれた1種以上を用いる、請求項8〜15いずれか記載の製造方法。
- (S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを作用させる際、該(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの粗精製酵素、精製酵素および固定化酵素からなる群より選ばれた1種以上を用いる、請求項8〜15いずれか記載の製造方法。
- 一般式(4):
で表わされるラセミ体のアミノ化合物に、請求項1〜7いずれか記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼをアミノ基受容体の存在下に作用させることにより、対応する光学活性アミノ化合物を得ることを特徴とする、光学活性アミノ化合物の製造方法。 - アミノ基受容体が、ピルビン酸、グリオキシル酸およびオキサロ酢酸から選ばれた化合物である請求項18記載の製造方法。
- (S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを作用させる際、該(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを生産する微生物の培養物、分離した細胞、固定化細胞および無細胞抽出液からなる群より選ばれた1種以上を用いる、請求項18または19記載の製造方法。
- (S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを作用させる際、(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼの粗精製酵素、精製酵素および固定化酵素からなる群より選ばれた1種以上を用いる、請求項18または19記載の製造方法。
- 請求項1〜7いずれか記載の(S)−α−フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼを生産するシュードモナス(Pseudomonas)属の微生物を培養する際に、該酵素の誘導物質として、プロピルアミン、1−ブチルアミン、2−ブチルアミン、2−ペンチルアミン、イソプロピルアミンおよびイソブチルアミンからなる群より選ばれた1種以上を培地に添加する、前記(S)−α―フェネチルアミン:ピルビン酸トランスアミナーゼ生産微生物の培養方法。
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