JPWO2006080409A1 - 5−置換ヒダントインラセマーゼ、これをコードするdna、組換えdna、形質転換された細胞、および、光学活性n−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法 - Google Patents

5−置換ヒダントインラセマーゼ、これをコードするdna、組換えdna、形質転換された細胞、および、光学活性n−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規なヒダントインラセマーゼ、及びそれを用いた光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法を提供する。本発明の特徴として、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株から単離・精製された新規ヒダントインラセマーゼ、当該ヒダントインラセマーゼをコードする遺伝子、当該遺伝子を含む組換えプラスミド、及び当該ヒダントインラセマーゼ遺伝子を導入された形質転換体が挙げられる。本発明の別の特徴として、5−置換ヒダントイン化合物にヒダントイナーゼやN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼと同時に当該ヒダントインラセマーゼを存在させることによる、光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法が挙げられる。

Description

本発明は、微生物由来の新規なヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチド、これをコードするDNA、及びヒダントインラセマーゼを生産する能力を有する微生物あるいは形質転換体、及びそれらを用いたヒダントインラセマーゼの製造方法、また、ヒダントインラセマーゼを用いた効率的な光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法に関するものである。
関連出願の相互参照
日本国特許2005−022802号(2005年1月31日出願)の明細書、請求の範囲、図面および要約を含む全開示内容は、これら全開示内容を参照することによって本出願に合体される。
ヒダントインラセマーゼは、光学活性5−置換ヒダントイン化合物、すなわちD−またはL−5−置換ヒダントイン化合物に作用し、当該化合物のラセミ化反応を触媒する酵素であり、医薬品、化学工業品、食品添加物などの原料として重要な光学活性N−カルバミルアミノ酸、又は光学活性アミノ酸を、5−置換ヒダントイン化合物から製造するのに利用できる。
Figure 2006080409
すなわち反応式(I)に示すように、5−置換ヒダントイン化合物から光学活性N−カルバミルアミノ酸を製造するためには、ヒダントインラセマーゼと立体選択性を有するヒダントイナーゼを同時に用いればよい。また、5−置換ヒダントイン化合物から光学活性アミノ酸を製造するためには、ヒダントインラセマーゼと、立体選択性を有するヒダントイナーゼとを同時に用いて、さらに立体選択性を有するか又は有さないN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを用いればよい。
ここで、ヒダントイナーゼとN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼの両酵素反応は別々に2段階で行なうことができ、または、両酵素を混合して反応することで2つの反応を一段階の反応として行なうこともできる。
ヒダントイナーゼを用いた反応の後の脱カルバミル化反応は、上記のように酵素を用いた方法のほか、従来から良く知られている化学反応による脱カルバミル化法を採用することもできる。
このように、ヒダントイナーゼとN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを用いる反応方法において、原料である5−置換ヒダントイン化合物のラセミ化を、ヒダントインラセマーゼを用いることによりヒダントイナーゼ反応と同時に進行すれば、光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸へ定量的に変換することができ、高い収率が得られる。
一方、上記反応系中で化学的にラセミ化する5−置換ヒダントイン化合物も知られているがその種類は限られており、多くの5−置換ヒダントイン化合物の化学的ラセミ化速度は遅いか、実質的には進行しない。このため、ヒダントインラセマーゼを使用しなかった場合、収率が低くなるという問題があり、本反応系にヒダントインラセマーゼを使用することは非常に有用である。そこで、ラセミ化速度の遅い光学活性5−置換ヒダントイン化合物のラセミ化促進を目的としてヒダントインラセマーゼの探索がなされている。
ヒダントインラセマーゼを生産する微生物として、例えばアースロバクター(Arthrobacter)属(特許文献1、非特許文献1)、シュードモナス(Pseudomonas)属(特許文献2、非特許文献2)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属(非特許文献3、非特許文献4、特許文献3)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属(非特許文献5)、マイクロバクテリウム(Microbacterium)属(特許文献4)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属(特許文献5)、パスツレラ(Pasteurella)属(特許文献6)、キャンディダ(Candida)属(特許文献7)に属する微生物が知られている。
特開昭62−122591号公報 特開平4−271784号公報 国際公開第WO03/100050号公報 特開2002−330784号公報 特開2003−210176号公報 特開2003−210177号公報 特開昭61−47194号公報 J. Biotechnol., vol.80, 217 (2000) J. Bacteriol., vol.174, 7989 (1992) Appl. Microbiol. Biotechnol., 57, 680 (2001) Biotechnol. Prog., 18, 1201 (2002)、Biochem. Biophys. Res. Commun. 303, 541 (2003) Appl. Microbiol., 70, 625 (2004)
しかし、上記いずれの文献においても、例えば非天然のアミノ酸であるD−ノルバリン、D−ノルロイシン、D−ペニシラミン、D−O−メチルセリン、D−ホモセリンなどの製造において、対応する5−置換ヒダントインのラセミ化活性を有する酵素は報告されていない。
また、バチルス(Bacillus)属の細菌について、ヒダントインラセマーゼ活性があることはまったく知られておらず、また、ヒダントインラセマーゼを精製、単離し、性質を調べた報告、ヒダントインラセマーゼ遺伝子の単離についての報告はこれまでになされていない。
本発明の一つの目的は新規のヒダントインラセマーゼを提供することにある。また、本発明の別の目的は、当該ヒダントインラセマーゼのアミノ酸配列、その遺伝子のDNA配列を明らかにし、当該酵素を生産する能力を有する微生物あるいは形質転換体、及びそれらを用いた当該ヒダントインラセマーゼの製造方法を提供することにある。さらに本発明の別の目的は、当該ヒダントインラセマーゼを利用した効率的な光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題に鑑み、広く土壌よりヒダントインラセマーゼ活性を有する微生物を探索した結果、優れた性質を有するヒダントインラセマーゼを高生産するバチルス(Bacillus)属細菌を新たに分離した。そして、当該微生物からヒダントインラセマーゼを単離、精製し、ヒダントインラセマーゼ遺伝子の単離、ならびに宿主微生物での発現を達成した。さらに、本発明で得たヒダントインラセマーゼは前述の非天然型アミノ酸に対応する5−置換ヒダントイン化合物にも作用することが明らかとなった。このようにして得られたヒダントインラセマーゼを、ヒダントイナーゼやN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼと同時に5−置換ヒダントイン化合物に作用させることにより、光学活性N−カルバミルアミノ酸及び光学活性アミノ酸の反応収率を向上させることが可能となり、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の一つの特徴は、下記の性質を有し、ヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチドである:
1.分子量:約139,000、
2.L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対するKm値:約0.304mM、
3.作用温度の範囲:25℃〜65℃、 至適温度 40℃
4.作用pHの範囲:6〜10、 至適pH8〜9、
5.温度安定性:30℃以下、
6.pH安定性:4.5〜8.0。
また、本発明の別の特徴は、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
本発明の別の特徴は、上記のポリペプチドをコードするDNAである。
本発明の別の特徴は、上記のDNAを含む組換えプラスミドである。
本発明の別の特徴は、上記の組換えプラスミドで宿主微生物を形質転換して得られる形質転換体である。
本発明の別の特徴は、上記のポリペプチドを生産する能力を有し、かつ、バチルス(Bacillus)属に属する微生物である。
本発明の別の特徴は、上記のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培養し、培養物中に当該ポリペプチドを蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするヒダントインラセマーゼの製造方法である。
本発明の別の特徴は、上記のヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチド、上記の形質転換体、又は上記の微生物を、光学活性5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする光学活性5−置換ヒダントインのラセミ化方法である。
本発明の別の特徴は、上記のヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチド、上記の形質転換体、又は上記の微生物を、一般式(1)
Figure 2006080409
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)で表される光学活性5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする光学活性5−置換ヒダントインのラセミ化方法である。
本発明の別の特徴は、上記のポリペプチド、上記の形質転換体、又は上記の微生物と、ヒダントイナーゼを、5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする光学活性N−カルバミルアミノ酸の製造方法である。
本発明の別の特徴は、上記のポリペプチド、上記の形質転換体、又は上記の微生物と、ヒダントイナーゼを、前記式(1)で表される5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする、一般式(2):
Figure 2006080409
(式中、Rは前記と同じ。)で表される光学活性N−カルバミルアミノ酸の製造方法である。
本発明の別の特徴は、上記のポリペプチド、上記の形質転換体、又は上記の微生物と、ヒダントイナーゼおよびN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを、5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする光学活性アミノ酸の製造方法である。
本発明の別の特徴は、上記のポリペプチド、上記の形質転換体、又は上記の微生物と、ヒダントイナーゼおよびN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを、前記式(1)で表される5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする、一般式(3):
Figure 2006080409
(式中、Rは前記と同じ。)で表される光学活性アミノ酸の製造方法である。
本発明のヒダントインラセマーゼは、非天然型アミノ酸に対応する5−置換ヒダントイン化合物にも効率よく作用しうる酵素である。5−置換ヒダントイン化合物、特に非天然型のアミノ酸に対応する5−置換ヒダントイン化合物にヒダントイナーゼやN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを作用させて、光学活性N−カルバミルアミノ酸や光学活性アミノ酸を製造する際に本発明のヒダントインラセマーゼを同時に存在させることにより、反応収率を向上させることができる。また、本発明の微生物及び形質転換体によって、上記の新規なヒダントインラセマーゼを効率よく製造することができる。さらに、本発明のヒダントインラセマーゼ、または、ヒダントインラセマーゼを生産する微生物を利用することで、効率良く光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸を製造することができる。
本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドpBHR001の制限酵素地図を示す図である。 本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼのL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対するKm値を示すグラフである。 本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼの作用温度の範囲と至適温度を示すグラフである。 本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼの作用pHの範囲と至適pHを示すグラフである。 本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼの温度安定性を示すグラフである。 本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼのpH安定性を示すグラフである。 本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼの基質阻害効果を示すグラフである。
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.ポリペプチド
まず、本発明の実施形態としてのポリペプチドについて説明する。本発明のポリペプチドは、ヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチドであって、以下のような理化学的性質を有することを特徴とする。
1)作用
光学活性5−置換ヒダントイン化合物のラセミ化反応を触媒する。
2)分子量
約139,000
3)L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対するKm値
約0.304mM
4)作用温度の範囲
温度範囲 25℃〜65℃、 至適温度 40℃
5)作用pHの範囲
pH範囲6〜10、 至適pH8〜9
6)温度安定性
30℃以下
7)pH安定性
pH4.5〜8.0
さらには、以下の理化学的性質も有する。
8)比活性(後述の測定法において、1分間に1μmolのD−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを生成する酵素量を1unitと定義する)
純粋酵素1mgあたり 24.2unit
9)基質阻害
50〜80mM L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを基質としたときに基質阻害を受ける。
実施形態において、ポリペプチドのヒダントインラセマーゼ活性は、例えば、50mM L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを含む50mM Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)−HCl緩衝液(pH7.5)中における、30℃、30分間でのD−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインの生成を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等を用いて定量することにより測定することができる。
実施形態のヒダントインラセマーゼ(以下、適宜「本酵素」または「本ヒダントインラセマーゼ」とする。)は、以下に例示するように、由来や酵素の性質等の点で、背景技術の項目で説明した他の公知のヒダントインラセマーゼとは明らかに異なる新規なヒダントインラセマーゼである。
(i)本酵素は、アグロバクテリウム ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)由来のヒダントインラセマーゼ(国際公開第WO03/100050号)と比較してアミノ酸配列の相同性は50%であり、両者は異なる配列である。また、本酵素は基質阻害を受けるのに対して、アグロバクテリウム ラジオバクター由来のヒダントインラセマーゼは基質阻害を受けない点で相違する。
(ii)本酵素は、マイクロバクテリウム リクエファシエンス(Microbacterium liquefaciens)(特開2002−330784号公報)のヒダントインラセマーゼと比較してアミノ酸配列の相同性は48%であり、両者は異なる配列である。また、本酵素は至適温度が約40℃であるのに対して、マイクロバクテリウム リクエファシエンスのヒダントインラセマーゼは至適温度が50〜60℃である点で相違する。
(iii)本酵素は、シュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)のヒダントインラセマーゼ(特開平4−271784号公報、J. Bacteriol., vol.174, 7989 (1992))と比較してアミノ酸が3残基異なる。また、本酵素は至適温度が40℃、至適pH8〜9であるのに対して、シュードモナス スピーシーズのヒダントインラセマーゼは至適温度が45℃、至適pHが9.5である点で相違する。シュードモナス スピーシーズのヒダントインラセマーゼは、L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインと同様に、L−5−(1−メチルプロピル)ヒダントインに対して高いラセミ化活性を示す。具体的には、L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを基質とした場合の相対活性を100として、L−5−(1−メチルプロピル)ヒダントインを基質とした場合の相対活性を求めると、132である(特開平4−271784号公報の表1の反応時間10分におけるD体の割合を参照)。
一方、本酵素は、高いラセミ化活性を示すL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対する活性を100としたときの、L−5−(1−メチルプロピル)ヒダントインを基質とした場合の相対活性は2である(実施例2の表2参照)。したがって、本酵素とシュードモナス スピーシーズのヒダントインラセマーゼとは、上記至適温度およびpHのほか基質特異性の点でも大きく異なっており、両酵素の性質は明らかに異なる。
ここで、従来、バチルス(Bacillus)属に属する微生物がヒダントインラセマーゼ活性を有するか否かは知られていなかった。この点、本出願の発明者によって取得された実施形態のヒダントインラセマーゼは、ヒダントインラセマーゼ活性の有無が知られていなかったバチルス(Bacillus)属に属する微生物に由来する新規な酵素である。さらに、本ヒダントインラセマーゼが上記のような公知のヒダントインラセマーゼとは性質が異なる酵素であり、非天然型アミノ酸に対応する5−置換ヒダントイン化合物にも作用する点は、本出願の発明者によって初めて明らかにされた事項である(実施例2の表2参照)。
2.微生物
本発明の実施形態としてのポリペプチドは、好適には、バチルス(Bacillus)属に属する微生物から取得することが出来、より好ましくは、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株から取得できる。
上記のバチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株は、本発明において発明者らが分離、取得した菌株であり、受託番号FERM BP−10477として、2005年12月12日付けで独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(IPOD:〒305-8566 茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に寄託されている(原寄託日2004年12月15日の国内寄託株を、ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管)。以下に、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の菌学的性質を示す。
1.形態
1)直径1.0−1.1μm×2.0−4.0μm程度の桿菌
2)グラム染色:陽性
3)運動性:有り
4)胞子の有無:有り
5)寒天平板培地培養でのコロニー形態:円形、周縁波状、凸状、光沢あり、黄色
2.培養的性質
1)生育温度試験:37℃(+)、45℃(−)
3.生理学的性質
1)カタラーゼ:+
2)オキシダーゼ:−
3)グルコースからの酸/ガス産生(酸産生/ガス産生):−/−
4)O/Fテスト(酸化/発酵):−/−
5)発酵性試験
グリセロール:+
エリスリトール:−
D−アラビノース:−
L−アラビノース:−
リボース:+
D−キシロース:+
L−キシロース:−
アドニトール:−
β−メチル−D−キシロース:−
ガラクトース:+
グルコース:+
フラクトース:+
マンノース:−
ソルボース:−
ラムノース:−
ズルシトール:−
イノシトール:−
マンニトール:+
ソルビトール:−
α−メチル−D−マンノース:−
α−メチル−D−グルコース:−
N−アセチルグルコサミン:+
アミグダリン:−
アルブチン:+
エスクリン:+
サリシン:+
セロビオース:+
マルトース:+
乳糖:−
メリビオース:−
白糖:+
トレハロース:+
イヌリン:−
メレチトース:−
ラフィノース:+
澱粉:+
グリコーゲン:+
キシリトール:−
ゲンチオビオース:−
D−ツラノース:−
D−リキソース:−
D−タガトース:−
D−フコース:−
L−フコース:−
D−アラビトール:−
L−アラビトール:−
グルコネート::−
2−ケトグルコン酸:−
5−ケトグルコン酸:−
6)生化学試験
β−ガラクトシダーゼ:−
アルギニンジヒドロラーゼ:−
リシンデカルボキシラーゼ:−
オルニチンデカルボキシラーセ:−
クエン酸の利用性:−
S産生:−
ウレアーゼ:−
トリプトファンデアミナーゼ:−
インドール産生:−
アセトイン産生(VP):−
ゼラチナーゼ:+
硝酸塩還元:−
7)嫌気での生育性:−
8)10%NaClでの生育性:+
9)馬尿酸塩加水分解性:−
10)カゼイン加水分解性:+
上記の菌学的性質、及び、16SrDNA配列解析から、KNK519HR株はバチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)と同定された。
なお、本発明のポリペプチドを生産する微生物は、上述した微生物の野生株であっても良いし、変異改良された変異株であってもよい。変異株は、上記KNK519HR株に、UV照射や、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)、エチルメタンスルフォネート(EMS)等の薬剤による処理といった当業者に周知の方法を行なうことで取得できる。
本発明のポリペプチドを生産する微生物を培養する培地としては、その微生物が増殖し得るものである限り特に限定されない。例えば、炭素源として、グルコース、シュークロース等の糖質、エタノール、グリセロール等のアルコール類、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸及びそのエステル類、菜種油、大豆油等の油類、窒素源として、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸、コーンスティープリカー、ふすま、酵母エキスなど、無機塩類として、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウムなど、他の栄養源として、麦芽エキス、肉エキス等を含有する通常の液体培地が使用され得る。更に、ヒダントインラセマーゼの生産を増強させるために、5−置換ヒダントイン化合物を少量添加することもできる。その培地中濃度は、0.001重量%以上、10重量%以下、好ましくは0.01重量%以上、1重量%以下の範囲から選ばれる。
培養は、温度として通常20℃以上、40℃以下、好ましくは25℃以上、35℃以下の範囲、pHとしては通常6以上、8以下、好ましくは6.5以上、7.5以下の範囲で好気的に行い得る。培養時間は通常1日以上、5日間以下程度で行い得る。また、回分式、連続式のいずれの培養方法でもよい。
3.酵素の精製
ヒダントインラセマーゼの分離精製は、次のようにして行ない得る。まず、上記培養終了後に培養液から遠心分離などにより菌体を集め、超音波破砕機などの手段により菌体を破砕して、粗酵素液を得る。この粗酵素液を、塩析法、カラムクロマトグラフィー法などにより精製することで精製ヒダントインラセマーゼを得ることができる。
本発明のポリペプチドは、上記のようにして、ヒダントインラセマーゼを生産する能力を有する微生物を培養し、ヒダントインラセマーゼを蓄積させて、これを採取することによって得られる。本発明のポリペプチドは上述した微生物から取得される酵素であってもよいし、後述するように遺伝子組換え技術を利用して得られた形質転換体から生産される酵素であってもよい。実施形態の酵素としては、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをあげることができる。
4.DNA
次に本発明のDNAについて説明する。本発明のDNAは上記のようなヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAであればよく、好ましくは配列表の配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNA、例えば、配列表の配列番号2で示される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。なお、通常1つのアミノ酸に複数の塩基コドンが対応していることから、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするほかの塩基配列を持つDNAも、配列番号2で示される塩基配列と等価であり、本発明のDNAに含まれる。
特定の塩基配列と「等価の塩基配列」の範囲には、例えば、その特定の塩基配列に対応するアミノ酸配列をコードする、その塩基配列とは別の塩基配列が含まれる。その他、「等価の塩基配列」には、その塩基配列において、1若しくは数個の塩基が置換、挿入、欠失および/または付加された塩基配列を有し、かつその塩基配列によってコードされるポリペプチドの活性(例えばヒダントインラセマーゼ活性)を有する塩基配列を含む。「数個の塩基」とは、好ましくは10塩基以下であり、より好ましくは9、8、7、6、5、4、3、または2個以下である。
本発明の実施形態としてのヒダントインラセマーゼ遺伝子を含むDNAは、例えば、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株から取得することができるが、もちろん化学的に合成したものであっても構わない。目的のDNAを取得する一例を以下に示す。
まず、ヒダントインラセマーゼ活性を有する微生物より精製されたヒダントインラセマーゼのN末端のアミノ酸配列を、気相プロテイン・シークエンサーなどで決定する。このようにして得られたN末端アミノ酸配列、及び、既知ヒダントインラセマーゼの相同配列部位にもとづいて設計したDNAプライマーを合成する。
次に、ヒダントインラセマーゼの起源となる微生物より、染色体DNAを単離する。染色体のDNAは、培養された細胞から、UltraClean Microbial DNA Isolation Kit(MO BIO Laboratories, Inc.社製)を用いて得られる。
この染色体DNAを鋳型に、上記のDNAプライマーを用いてPCRを行うことで、目的の遺伝子の一部を取得できる。
次に、既に取得した部分遺伝子のさらにN末側とC末側をコードするDNA断片をインバースPCR法により取得することができる(例えばNucleic Acids Res.16,8186(1988)を参照)。このDNA断片の塩基配列を決定後、酵素のN末端より上流と推定される部分、及び、C末端より下流と推定される部分のそれぞれの塩基配列にもとづきDNAプライマーを作成する。このDNAプライマーを用いて、先に得た染色体DNAを鋳型としたPCRを行なうことで、目的とするヒダントインラセマーゼ遺伝子の全長を含むDNA断片を取得できる。
次いで、得られたヒダントインラセマーゼ遺伝子を含むDNA断片をベクターDNAとT4 DNAリガーゼなどを用いて結合させることにより組換えプラスミドを得ることができる。このプラスミドを用いて、ベクターに挿入したヒダントインラセマーゼ遺伝子を含むDNA断片部分の塩基配列を解析、ヒダントインラセマーゼ酵素のN末端アミノ酸配列をコードする塩基があることを確認し、また、これより翻訳開始部位と終止コドンを確認することでオープンリーディングフレームを決定する。
このようにして取得したDNA、または該DNAをベクターに組み込んで得られる組換えプラスミドを用いることにより、宿主微生物を形質転換し形質転換体を得ることができる。
5.宿主およびベクター
宿主、ベクターとしては、「組換えDNA実験指針」(科学技術庁研究開発局ライフサイエンス課編:平成8年3月22日改定)に記載の宿主―ベクター系を用いることができる。例えば、宿主としては、エシェリヒア(Escherichia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、バチルス(Bacillus)属、セラチア(Serratia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アセトバクター(Acetobacter)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属またはストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物を用いることができる。
ベクターは上記の宿主内で自律複製できる微生物由来のプラスミド、ファージまたはその誘導体が使用できる。なかでも、宿主微生物としてエシェリヒア コリ(Escherichia coli)、ベクターとして当該微生物中で自律複製できるベクターを用いるのが好ましい。このようなベクターとしては、例えば、当業者が容易に入手可能、あるいは市販されているpUC18(タカラバイオ株式会社)、pUC19(タカラバイオ株式会社)、pBR322(タカラバイオ株式会社)、pACYC184(株式会社ニッポンジーン)、pSC101(フナコシ株式会社)、pT7Blue(タカラバイオ株式会社)、又は国際公開第WO94/03613号公報の明細書の記載に基づいて当業者が製造しうるpUCNT、またはそれらの誘導体を挙げることができる。また、酵素の生産量を上昇させるために強力な構造プロモーターをもつように改質したベクターを使用することもできる。
6.形質転換体
形質転換体の一例として、上記のようにして取得したDNAをpUCNTに組み込んだ組換えプラスミドpBHR001(図1参照)を用いてエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101を形質転換し、形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pBHR001)を得ることができる。プラスミドpBHR001は、図1の制限酵素地図にて特定される。
上記方法で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pBHR001)は受託番号FERM BP−10476として、2005年12月12日付けで独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(IPOD:〒305-8566 茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に寄託されている(原寄託日2004年12月15日の国内寄託株を、ブダペスト条約に基づく国際寄託に移管)。
なお、本発明で用いた組換えDNA技術は当該分野において周知であり、例えば、Molecular Cloning 2nd Edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology (Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)に記載されている。
形質転換体の培養は、通常の培地を用いて行えば良い。培養に使用する培地としては、炭素源、窒素源および無機塩類などの栄養素を含む通常の培地で良い。これに、ビタミン、アミノ酸などの有機微量栄養素を添加すると、好ましい結果が得られる場合が多い。炭素源としては、グルコースやシュークロースのような炭水化物、酢酸のような有機酸、アルコール類などが適宜使用される。窒素源としては、アンモニウム塩、アンモニア水、アンモニアガス、尿素、酵母エキス、ペプトン、コーンス・ティープ・リカーなどが用いられる。無機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、鉄塩、硫酸塩、塩素などが用いられる。
培養は通常温度範囲25℃から40℃で行えるが、25℃から37℃が特に好ましい。また、pHは通常4から8で培養できるが5から7.5が好ましい。また、回分式、連続式のいずれの培養方法でもよい。必要に応じてイソプロピル−1−チオ−β―D−ガラクトサイド(IPTG)、ラクトース等を添加する等の酵素誘導のための処理を行うこともできる。
7.光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法
次に、本発明のヒダントインラセマーゼを使用する、効率的な光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸の製造方法について説明する。実施形態としての光学活性N−カルバミルアミノ酸は、前記反応式(I)に示す方法で、5−置換ヒダントイン化合物から、ヒダントイナーゼを作用させることによる加水分解でN−カルバミルアミノ酸に変換することができる。また、生成したN−カルバミルアミノ酸は、前記反応式(I)に示す方法で、カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを作用させることにより加水分解されてアミノ酸に変換することができる。このとき、ヒダントインラセマーゼを同時に用いることで、化学的ラセミ化速度が遅い5−置換ヒダントイン化合物から、効率良く定量的に光学活性N−カルバミルアミノ酸または光学活性アミノ酸を製造できる。
本発明において、光学活性N−カルバミルアミノ酸を製造するためには、本発明のヒダントインラセマーゼと、立体選択性を有するヒダントイナーゼとを同時に用いることが重要である。また、光学活性アミノ酸を製造するためには、本発明のヒダントインラセマーゼと、立体選択性を有するヒダントイナーゼとを同時に用いて光学活性N−カルバミルアミノ酸としたのちに、N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを使用するか化学的な脱カルバミル化を行ってもよいし、本発明のヒダントインラセマーゼと、ヒダントイナーゼと、N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼとを同時に使用してもよい。ヒダントイナーゼ及びN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを同時に用いる場合、いずれかの酵素が立体選択性を有すれば、光学活性アミノ酸を得ることが出来る。
8.ヒダントイナーゼ
ここでヒダントイナーゼとは、5−置換ヒダントイン誘導体を加水分解してN−カルバミルアミノ酸誘導体を生成する活性を有する酵素である。本発明で用いるヒダントイナーゼとしては、動物、植物、微生物由来のものが使用できるが、工業的な利用には微生物由来のものが好ましい。微生物としては、当該酵素の生産能力を有する微生物であればいずれも利用できるが、例えば、以下の公知の、当該酵素の生産能力を有する微生物を挙げることができる。
D体選択的な加水分解を触媒するヒダントイナーゼとしては、細菌に属するものとしてアセトバクター属(Acetobacter)、アクロモバクター属(Achromobacter)、アエロバクター属(Aerobacter)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、バチルス属(Bacillus)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウイニア属(Erwinia)、エシエリヒア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、プロタミノバクター属(Protaminobacter)、プロテウス属(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルチナ属(Sartina)、セラチア属(Serratia)、キサントモナス属(Xanthomonas)、アエロモナス属(Aeromonas)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、リゾビウム属(Rhizobium)など、放線菌に属するものとしてアクチノミセス属(Actinomyces)、ミコバクテリウム属(Mycobacterium)、ノカルデイア属(Nocardia)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、アクチノプラネス属(Actinoplanes)、ロドコッカス属(Rhodococcus)など、かびに属するものとしてアスペルギルス属(Aspergillus)、パエシロミセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)など、酵母に属するものとしてはキャンディダ属(Candida)、ピヒア属(Phichia)、ロードトルラ属(Rhodotorula)又はトルロプシス属(Torulopsis)などに属する微生物由来のヒダントイナーゼが挙げられる。
その中でも好ましくは、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)又はリゾビウム属(Rhizobium)に属する微生物由来のヒダントイナーゼが挙げられる。
さらに好ましくは、アグロバクテリウム スピーシーズ(Agrobacterium sp.)KNK712(FERM BP−1900)、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK245(FERM BP−4863)、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)IFO12996、シュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)KNK003A(FERM BP−3181)又はリゾビウム スピーシーズ(Rhizobium sp.)KNK1415(FERM BP−4419)由来のヒダントイナーゼが挙げられる。
L体選択的な加水分解を触媒するヒダントイナーゼとしては、バチルス属(Bacillus)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、シュードモナス属(Pseudomonas)又はノカルディア属(Nocardia)に属する微生物由来のヒダントイナーゼを挙げることができる。
ヒダントイナーゼを効率良く高生産する高活性菌を得るためには、周知のとおり、形質転換微生物を作成することが有効である。作成方法としては、例えば国際公開第WO96/20275号記載のように、ヒダントイナーゼ活性を示す菌株からヒダントイナーゼ遺伝子をクローニングした後、適当なベクターとの組換えプラスミドを作成して、これを用いて適当な宿主菌を形質転換することで得られる。なお、組換えDNA技術については当該分野において周知である。
このようにして得られたD体選択的ヒダントイナーゼを高生産する形質転換体としては国際公開第WO96/20275号記載の、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK245(FERM BP−4863)由来のヒダントイナーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101 pTH104(FERM BP−4864)、アグロバクテリウム スピーシーズ(Agrobacterium sp.)KNK712(FERM BP−1900)由来のヒダントイナーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101 pAH1043(FERM BP−4865)、又はシュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)KNK003A(FERM BP−3181)由来のヒダントイナーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101 pPHD301(FERM BP−4866)を挙げることができる。
これら形質転換体によるヒダントイナーゼの生産、あるいは、前述のヒダントイナーゼ活性を示す菌株によるヒダントイナーゼの生産は、例えば、国際公開第WO96/20275号記載の、通常の栄養培地を用いて培養を行えば良く、必用に応じて、酵素誘導のための処理を行うこともできる。
9.N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ
N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼは、N−カルバミルアミノ酸誘導体を加水分解してアミノ酸誘導体を生成する活性を有する酵素である。本発明で用いるN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼとしては、前述のヒダントイナーゼと同様に、動物、植物、又は微生物由来のいずれでも使用できるが、工業的な利用には微生物由来のものが好ましい。酵素源となる微生物としては、当該酵素の生産能力を有する微生物であればいずれも利用できる。
例えば公知のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼとして、特公昭57−18793号、特公昭63−20520号、特公平1−48758号および特開平6−233690号に開示されたアクロモバクター(Achromobacter)属、アエロバクター(Aerobacter)属、アエロモナス(Aeromonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、バチルス(Bacillus)属、ブラストバクター(Blastobacter)属、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コマモナス(Comamonas)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、モラキセラ(Moraxella)属、パラコッカス(Paracoccus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾビウム(Rhizobium)属、セラチア(Serratia)属、又はスポロサルシナ(Sporosarcina)属に属する微生物由来のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼが挙げられる。
そのなかでも好ましくは、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、ブラストバクター(Blastobacter)属、コマモナス(Comamonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、又はリゾビウム(Rhizobium)属に属する微生物由来の酵素が挙げられる。
さらに好ましくは、アグロバクテリウム スピーシーズ(Agrobacterium sp.)KNK712(FERM BP−1900)、リゾビウム スピーシーズ(Rhizobium sp.)KNK1415(FERM BP−4419)、又はシュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)KNK003A(FERM BP−3181)由来のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼが挙げられる。
公知のL体選択的な加水分解を触媒するN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼとしては、アルスロバクター属(Arthrobacter)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)又はシュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物由来のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを挙げることができる。
上記微生物は野生株であってもよく、また、変異処理によってN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性が高められた変異株であってもよい。さらに、遺伝子組換え等の方法を用いて、上記微生物由来のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを高生産するように作成された形質転換微生物であってもよい。
N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを効率良く高生産する形質転換微生物は、例えば国際公開第WO92/10579号記載のように、N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を示す菌株からN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ遺伝子をクローニングした後、適当なベクターとの組換えプラスミドを作成して、これを用いて適当な宿主菌を形質転換することで得られる。
このようにして得られた、D体選択的なN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを高生産する形質転換微生物としては、国際公開第WO92/10579号記載のアグロバクテリウム スピーシーズ(Agrobacterium sp.)KNK712(FERM BP−1900)由来のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109(pAD108)(FERM BP−3184)、シュードモナス スピーシーズ(Pseudomonas sp.)KNK003A(FERM BP−3181)由来のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109(pPD304)(FERM BP−3183)および国際公開第WO94/03613号記載の遺伝子改変により耐熱性の向上したアグロバクテリウム スピーシーズ(Agrobacterium sp.)KNK712(FERM BP−1900)由来のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pNT4553)(FERM BP−4368)などを挙げることができる。
N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼの生産は、前述のN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を示す微生物、或いは形質転換微生物を通常の方法で培養することにより行い得る。培養は、通常液体栄養培地で行われるが、固体表面培養によっても行うことができる。培地には、通常資化し得る炭素源、窒素源、各種微生物の生育に必須の無機塩栄養素を含有させる。更に4−ヒドロキシフェニルグリシン、フェニルグリシン等のアミノ酸;N−カルバミル−メチオニン、N−カルバミル−フェニルアラニンなどのN−カルバミル−α−アミノ酸;5−(4−ヒドロキシフェニル)ヒダントイン、5−フェニルヒダントイン等の5−置換ヒダントイン類;ウラシル、ジヒドロウラシル、β―ウレイドプロピオン酸等のピリミジン代謝物;尿素;Fe2+、Fe3+、Be2+、Co2+、Al3+、Li、Mn2+、Mg2+、Cs等の金属イオン類、またはイソプロピル−1−チオ−β―D−ガラクトサイド(IPTG)、ラクトース等の酵素誘導剤を少量添加してN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを増強蓄積させることが好ましい。これらN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ生産増強物質の培地中濃度は、金属イオン類で0.1mM以上、10mM以下、その他の物質で0.01重量%以上、1重量%以下の範囲から選ばれる。
培養は通常、温度として20℃以上、85℃以下の範囲、好ましくは25℃以上、60℃以下の範囲、pHとしては4以上、11以下の範囲、好ましくはpH5以上、9以下の範囲が用いられ、通気攪拌によって微生物の生育を促進することもできる。
10.酵素
本発明において、上記ヒダントインラセマーゼ、ヒダントイナーゼおよびN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼは、酵素自体として用いることができるほか、本酵素活性を有する微生物もしくはその処理物としても用いることができる。ここで、微生物の処理物とは、例えば、粗抽出液、培養菌体凍結乾燥生物体、アセトン乾燥生物体、またはそれらの菌体の破砕物を意味する。
更にそれらは、酵素自体あるいは菌体のまま公知の手段で固定化して得た固定化酵素としても用いられ得る。固定化は当業者に周知の方法である架橋法、共有結合法、物理的吸着法、包括法などで行い得る。酵素の固定化に使用される支持体としては、例えば、Duolite A−568またはDS−17186(ローム・アンド・ハース社:登録商標)などのフェノールホルムアルデヒド陰イオン交換樹脂、Amberlite IRA935、IRA945、IRA901(ローム・アンド・ハース社:登録商標)、Lewatit OC1037(バイエル社:登録商標)、Diaion EX−05(三菱化学:登録商標)などのポリスチレン樹脂のような各種アミンやアンモニウム塩あるいはジエタノールアミン型の官能基を持つ各種の陰イオン交換樹脂が適している。その他、DEAE−セルロースなどの支持体も使用することができる。
11.酵素反応
本発明の実施形態としての酵素反応は以下の方法で行うことができる。本発明において、酵素反応の基質として用いられる5−置換ヒダントイン化合物は、D体、L体、ラセミ体、または、D体とL体とが任意の割合で混合したものの、いずれを用いることもできる。酵素反応の基質として、5−置換ヒダントイン化合物を用いることができ、好ましくは、前記一般式(1)で表される5−置換ヒダントイン化合物が用いられる。
ここで、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。上記Rにおける置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、特に限定されず、例えば、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、カルバモイルメチル基、2−カルバモイルエチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、メルカプトメチル基、2−メチルチオエチル基、(1−メルカプト−1−メチル)エチル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、4−アミノブチル基、3−グアニジノプロピル基、4(5)−イミダゾールメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、メトキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−アミノプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−(ベンゾイルアミノ)ブチル基、または、2−メトキシカルボニルエチル基などが挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基としては、特に限定されず、例えば、ベンジル基、インドリルメチル基、4−ヒドロキシベンジル基、又は、3,4−メチレンジオキシベンジル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、または4−ヒドロキシフェニル基などが挙げられる。
上記の基質を用いて、上記のヒダントインラセマーゼを、上記立体選択的ヒダントイナーゼ、またはヒダントイナーゼ及びN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼと、同時に存在させ、水性媒体中で反応を行う。基質の仕込み濃度は0.1%(w/v)以上、90%(w/v)以下、好ましくは1%(w/v)以上、60%(w/v)以下で溶解または懸濁した状態で反応を行い、反応温度は10℃以上、80℃以下、好ましくは20℃以上、60℃以下の適当な温度で調節し、pH4以上、9以下、好ましくはpH5以上、8以下に保ちつつ暫時静置または攪拌すればよい。また、基質を連続的に添加しうる。反応は、バッチ法または連続方式で行い得る。本発明の反応は、固定化酵素、膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
水性媒体としては、水、緩衝液、これらにエタノールのような水溶性有機溶媒を含む水性媒体、あるいは、水に溶解しにくい有機溶媒、たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサンなどの有機溶媒を含む水性媒体との2層系などの適当な溶媒を用いることができる。さらに必要に応じて、抗酸化剤、界面活性剤、補酵素、金属などを添加することもできる。
かくして、本発明のヒダントインラセマーゼにて5−置換ヒダントイン化合物をラセミ化しつつ、該5−置換ヒダントイン化合物は立体選択的ヒダントイナーゼにより一方の光学活性体のみが加水分解され光学活性なN−カルバミルアミノ酸に変換される。更に、必要に応じて、N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼも併用することにより光学活性N−カルバミルアミノ酸はさらに光学活性アミノ酸へ変換される。または、N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを用いず、化学的な脱カルバミル化反応に供して光学活性アミノ酸を得ても良い。
生成した光学活性N−カルバミルアミノ酸類及び光学活性アミノ酸類の単離は、常套分離方法、例えば、抽出、濃縮、晶析、またはカラムクロマトグラフィーなどの分離方法や、それらの組み合わせにより分離、精製することができる。
上記本発明の実施形態としての製造方法によって得られる光学活性N−カルバミルアミノ酸は、例えば、上記一般式(2)で表されるものであり、具体的には、N−カルバミル−D−ロイシン、N−カルバミル−D−イソロイシン、N−カルバミル−D−バリン、N−カルバミル−D−ノルロイシン、N−カルバミル−D−ノルバリン、N−カルバミル−D−メチオニン、N−カルバミル−D−システイン、N−カルバミル−D−ペニシラミン、N−カルバミル−D−フェニルアラニン、N−カルバミル−D−フェニルグリシン、又は、N−カルバミル−D−4−ヒドロキシフェニルグリシン等が挙げられる。また、上記実施形態の製造方法によって得られる光学活性アミノ酸は、例えば、上記一般式(3)で表されるものであり、具体的には、D−ロイシン、D−イソロイシン、D−バリン、D−ノルロイシン、D−ノルバリン、D−メチオニン、D−システイン、D−ペニシラミン、D−フェニルアラニン、D−フェニルグリシン、又は、D−4−ヒドロキシフェニルグリシン等が挙げられる。
以下に本発明の具体的な実施例を示す。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)ヒダントインラセマーゼの精製
バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株(FERM BP−10477)を、表1の組成の培地(500ml容−坂口フラスコ)に植菌して30℃で17時間、好気的に振とう培養した。
Figure 2006080409
上記培地は、pH7に調整、オートクレーブ殺菌して使用した。ただし、グルコースは他の培地成分と別に殺菌し、殺菌後に添加した。フラスコ中の液量は300mlとした。
培養終了後、遠心分離により菌体を集菌し、1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)に懸濁後、超音波により破砕した後に遠心し、上清を粗酵素液として取得した。粗酵素液に硫酸アンモニウムを60〜90%飽和になるように添加して塩析した沈殿を遠心分離により取得した。この沈殿を1mMのDTTを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)に溶解、同バッファーで透析後、TSKgel DEAEトヨパール650M(東ソー社製)を用いてカラムクロマトグラフィーを行い、1mMのDTTを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で0〜0.6M NaClのグラジエントをかけて溶出して、活性のあるフラクションを集めた。このフラクションに、1.5Mとなるように硫酸アンモニウムを加えた後、TSKgel Phenylトヨパール650M(東ソー社製)を用いてカラムクロマトグラフィーを行い、1mMのDTTを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で1.5〜0Mの硫酸アンモニウムのグラジエントをかけて溶出した。得られた活性画分を1mMのDTTを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で透析した後、1.5Mとなるように硫酸アンモニウムを加え、RESOURCE ISO 1ml(アマシャムファルマシア社製)を用いてカラムクロマトグラフィーを行い、1mMのDTTを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で1.5〜0Mの硫酸アンモニウムのグラジエントをかけて溶出した。得られた活性画分を1mMのDTTを含む50mMリン酸カリウムバッファー(pH7.0)で透析し、精製ヒダントインラセマーゼを得た。
この精製ヒダントインラセマーゼをSDS−ポリアクリルアミド電気泳動によって分析したところ、ヒダントインラセマーゼはほぼ単一バンドとして検出された。これをHPLC(カラム:YMC−Pack PROTEIN−RP(YMC社製)、溶離液:20%アセトニトリル水溶液〜80%アセトニトリル水溶液のグラジエント、流速:1ml/min.、カラム温度:25℃、検出:230nm)で分析したところ、精製ヒダントインラセマーゼの純度は約93%であった。
(実施例2)ヒダントインラセマーゼの性質
実施例1で得られた精製ヒダントインラセマーゼの性質を以下のように調べた。
[N末端アミノ酸配列]
実施例1のHPLC分析の際に分取したヒダントインラセマーゼを用いて、プロテインシークエンサーProcise492(アプライドバイオシステムズ社製)でN末端アミノ酸配列を解析した。その結果、N末端から40アミノ酸の配列を決定できた。その配列を、配列表の配列番号3に示した。
[比活性]
得られた精製ヒダントインラセマーゼの活性は、L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントイン50mMを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)中で、30℃、30分間に生成するD−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインの増加量をHPLCで定量することにより求めた。HPLC分析は、カラム:Chirobiotic T(4.6mm×250mm、ASTEC社製)、溶離液:0.01%(v/v)Triethylamine acetate(pH6.8)/methanol=9/1、流速:0.7ml/min.、カラム温度:35℃、検出:210nmで行なった。このとき1分間に1μmolのD−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを生成する酵素量を1unitと定義した。また、タンパク質の定量は、BSAを標準タンパク質としてLowry法で行った。その結果、精製したヒダントインラセマーゼの比活性は24.2unit/mgタンパク質であった。
[Km値の測定]
L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対するKm値を、ラインウェーバー−バークのプロットにより求めた。図2に示したように、L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対するKm値は0.304mMであった。
[作用温度の範囲・至適温度]
作用温度の範囲と至適温度を調べた。40℃での活性を100%とした場合の各温度での相対活性を図3に示した。本酵素の至適温度は40℃で、検討した25〜65℃の範囲でよく作用した。
[作用pHの範囲]
作用pHの範囲と至適pHを調べた。pH8.9での活性を100%とした場合の各pHでの相対活性を図4に示した。本酵素はpH6〜10の範囲で作用し、至適pHは8〜9であった。
[温度安定性]
本酵素の温度安定性を、各温度で30分間処理した後の残活性で調べたところ、図5に示すように30℃で80%の残存活性を示し、70℃ではほぼ失活した。
[pH安定性]
pH安定性について調べた。本酵素を30℃、16時間、各pHで処理した後の残活性を、未処理酵素液の活性を100%として図6に示した。本酵素はpH4.5〜8.0の間で比較的安定であった。
[分子量の測定]
ゲルろ過クロマトグラフィー法(カラム:TSKgel G3000SW(東ソー社製))により標準タンパク質の溶出時間と比較して分子量を測定したところ、約139,000であった。また、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動により標準タンパク質との移動度と比較してサブユニット分子量を測定したところ、約31,000であった。
[基質特異性]
精製ヒダントインラセマーゼの基質特異性を調べた。それぞれ、50mM L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントイン、50mM D−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントイン、13mM D−5−(1−メルカプト−1−メチル)エチルヒダントイン、8mM L−5−イソブチルヒダントイン、50mM L−5−(1−メチルプロピル)ヒダントイン、または、4mM L−5−ベンジルヒダントインを含む0.9mlの50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に実施例1で得た精製ヒダントインラセマーゼ0.1mlを添加して30℃で反応させた後、1N HCl 0.1mlを添加して反応を停止した。D−5−(1−メルカプト−1−メチル)エチルヒダントイン以外の基質を用いた反応の分析は、反応液の遠心上清をイオン交換水で2倍希釈し、反応液中に生成したD−5−置換ヒダントイン化合物をHPLCで定量することで行なった。HPLC分析は前記の条件で行なった。また、D−5−(1−メルカプト−1−メチル)エチルヒダントインを基質として用いた反応の分析は、反応液を1mlの酢酸エチルで抽出して得た試料を、次の条件でHPLC分析により定量することで行なった。カラム:CHIRALPAK AD−H(ダイセル社製)、溶離液:ヘキサン/イソプロパノール=9/1、流速:1ml/min.、カラム温度:25℃、検出:210nm。その結果を表2に、L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対する活性を100としたときの相対活性値で示した。
Figure 2006080409
(実施例3)バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の生産するヒダントインラセマーゼの基質特異性
実施例1と同様に調製したバチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の粗酵素液を用いて、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の生産するヒダントインラセマーゼの基質特異性を調べた。それぞれ、4mM L−5−ベンジルヒダントイン、50mM L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントイン、または、8mM L−5−イソブチルヒダントインを含む0.9mlの50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に上記粗酵素液0.1mlを添加して、30℃で反応させた後、1N HCl 0.1mlを添加して反応を停止した。その遠心上清をイオン交換水で2倍希釈し、反応液中に生成したD−5−置換ヒダントイン化合物をHPLCで定量した。HPLC分析は、カラム:Chirobiotic T(4.6mm×250mm、ASTEC社製)、溶離液:0.01%(v/v)Triethylamine acetate(pH6.8)/methanol=9/1、流速:0.7ml/min.、カラム温度:35℃、検出:210nmで行なった。また、50mM 5−メチルヒダントインを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)0.9mlに上記バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の粗酵素液0.1ml、後述の培養液1ml分のD体選択的ヒダントイナーゼ活性を有する組換え大腸菌および培養液1ml分のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する組換え大腸菌を同時に添加して、30℃で反応させた後、1N HCl 0.1mlを添加して反応を停止した。1N NaOHを添加して中和した後、遠心分離し、上清中に生成したD−アラニンをD−アミノ酸オキシダーゼとペルオキシダーゼを用いた酵素法で定量した。
酵素法によるD−アラニンの定量は次のように実施した。反応液上清をイオン交換水で5倍希釈し、1.3mM 4−アミノアンチピリン、2.2mM N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)−m−トルイジン、0.8U/ml ペルオキシダーゼ(CALZYME Lavoratories,Inc.社製、製品番号100A0600)、1.2U/ml D−アミノ酸オキシダーゼ(SIGMA社製、製品番号A5222)、および、40mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.9)からなる発色液と1:1で混合し、室温で90分間させ、555nmの吸光度を測定して、反応液中に生成したD−アラニン量を定量した。その結果を表3に、L−5−イソブチルヒダントインに対する活性を100としたときの相対活性値で示した。
本実施例で使用する、D体選択的ヒダントイナーゼ活性を有する組換え大腸菌およびD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する組換え大腸菌の培養液は次のようにして得た。D体選択的ヒダントイナーゼ活性を有する組換え大腸菌であるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pTH104)(FERM BP−4864)を500ml坂口フラスコ内で滅菌した50mlの培地(トリプトン16g、イーストエキス10g、塩化ナトリウム5g、水1l、塩化マンガン400ppm、滅菌前pH7、別途ろ過滅菌したアンピシリンナトリウム100ppm)に接種して、37℃で24時間振とう培養した。また、D体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する組換え大腸菌であるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pNT4553)(FERM BP−4368)を500ml坂口フラスコ内で滅菌した350mlの培地(トリプトン16g、イーストエキス10g、塩化ナトリウム5g、水1l、滅菌前pH7、別途ろ過滅菌したアンピシリンナトリウム100ppm)に接種して、37℃で36時間振とう培養した。
Figure 2006080409
なお、上記エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pTH104)(FERM BP−4864)は、1994年11月2日付けで、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pNT4553)(FERM BP−4368)は1993年7月22日付けで、それぞれ記載の受託番号にて、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(IPOD:〒305-8566 茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に寄託されている。
(実施例4)バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の生産するヒダントインラセマーゼの基質阻害
バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の生産するヒダントインラセマーゼの基質阻害効果を実施例1で調製した粗酵素液を用いて調べた。5、10、50、または、80mM L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)0.9mlと上記粗酵素液0.1mlの混合反応液中30℃で、10、20、30、ないし、40分間反応させた後、1N HCl 0.1mlを添加してヒダントインラセマーゼを失活させ、遠心上清をイオン交換水で2倍希釈し、反応液中に生成したD−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインをHPLCで定量した。HPLC分析は実施例3と同じ条件で実施した。それぞれの初発基質濃度について反応初速度を求め、初発基質濃度との関係を図7に示した。その結果、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の生産するヒダントインラセマーゼは、50、ないし、80mM L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを基質としたときに基質阻害を受けることが明らかになった。
(実施例5)ヒダントインラセマーゼ遺伝子の単離
バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株のコロニーを、培地10ml(16g トリプトン ペプトン(DIFCO社製)、10g バクトイーストエキス(Becton Dickinson and Company社製)、5g NaClに水を加えて1LとしてpH7に調製、オートクレーブ殺菌して使用)に植菌して30℃で12時間、好気的に振とう培養した。
培養終了後、遠心分離で菌体を集菌して、UltraClean Microbial DNA Isolation Kit(MO BIO Laboratories, Inc.社製)を用いてDNA溶液を取得した後、エタノールで析出させ、遠心分離で得られた沈殿を10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0、1mM エチレンジアミン四酢酸)へ溶解させることで染色体DNAを調製した。次いで、実施例2で得たN末端アミノ酸配列にもとづいて設計したDNAプライマー(Primer−1:配列表の配列番号4)と、既知のヒダントインラセマーゼの配列相同部位にもとづいて設計したDNAプライマー(Primer−2:配列表の配列番号5)を用いて、先に得た染色体DNAを鋳型にPCRを行った。その結果、目的のヒダントインラセマーゼ遺伝子の一部(部分遺伝子と称す)を取得した。
次に、目的遺伝子の全長を取得するために以下の操作を行った。上記部分遺伝子において、酵素のN末端側、C末端側それぞれの部分に相当する塩基配列にもとづき、部分遺伝子の外側方向へ向けたDNAプライマー(Primer−3:配列表の配列番号6、及び、Primer−4:配列表の配列番号7)を合成した。このプライマーを用い、先に得た染色体DNAを制限酵素KpnI、SpeIで分解したものをT4 DNAリガーゼを用いて環化させて得たDNAを鋳型に、インバースPCRを行った。これにより、既に取得した部分遺伝子のさらに外側の遺伝子部分を含むDNA断片を取得した。このDNA断片の塩基配列を決定後、酵素のN末端より上流と推定される部分に制限酵素NdeIの切断部位を結合させた配列をもつDNAプライマー(Primer−5:配列表の配列番号8)と、C末端より下流と推定される部分に制限酵素EcoRI切断部位を結合させた配列をもつDNAプライマー(Primer−6:配列表の配列番号9)を用いて、この配列の間のDNAを先に得た染色体DNAを鋳型にしたPCRにより増幅することでヒダントインラセマーゼ遺伝子の全長を含むDNA断片(配列表の配列番号10)を取得した。得られたDNA断片の塩基配列を解析し、ヒダントインラセマーゼ遺伝子の全長(配列表の配列番号2)が含まれていることを確認した。
(実施例6)ヒダントインラセマーゼ遺伝子を発現する組換えプラスミドの作成
実施例5で得られたヒダントインラセマーゼ遺伝子のN末端、C末端部分にそれぞれ制限酵素NdeI及びEcoRIの切断部位を結合させた配列を持つプライマー(Primer−7:配列表の配列番号11、Primer−8:配列表の配列番号12)を用いて、この間のDNAを実施例5で得た染色体DNAを鋳型にしたPCRにより増幅することで配列表の配列番号2に示されるオープンリーディングフレームのDNA断片を取得した。
このDNA断片を制限酵素NdeIとEcoRIで切断し、同酵素で切断したベクタープラスミドpUCNT(国際公開第WO94/03613号参照)とT4 DNAリガーゼを用いて結合することで、図1の制限酵素地図で表され、ヒダントインラセマーゼ遺伝子を大量に発現できるように設計されたpBHR001を取得した。
(実施例7)ヒダントインラセマーゼ遺伝子を含む組換え体DNAを用いた形質転換体の作成
実施例6で得られたプラスミドpBHR001をエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101のコンピテントセルと混合することで形質転換を行い、寒天培地(トリプトン10g、イーストエキス5g、塩化ナトリウム10g、寒天15g、アンピシリン100mg、脱イオン水にて1lにメスアップ、滅菌前pH7.0、ただしアンピシリンは滅菌後に添加する)にプレーティングして、ヒダントインラセマーゼ遺伝子を含む組換え体DNAを含有する形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pBHR001)をコロニーとして取得した。
得られた形質転換体のコロニーを、試験管内にて滅菌した6mlの培地(前記の培地から寒天を除いたもの)に植菌後、37℃で23時間、振とうして好気的に培養した。得られた培養液から遠心分離により菌体を集菌し、50mM Tris−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁して超音波により菌体を破砕した後、遠心分離により菌体由来の不溶物を除去して、形質転換体のヒダントインラセマーゼ酵素液を取得した。得られた酵素液0.1mlを用いて、実施例2と同じ方法でヒダントインラセマーゼ活性を測定したところ、ヒダントインラセマーゼ活性が確認された。
(実施例8)形質転換体のヒダントインラセマーゼの基質特異性
実施例7で得た形質転換体のヒダントインラセマーゼ酵素液を用いて、実施例2と同じ方法で基質特異性を調べた。その結果を表4に、L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対する活性を100としたときの相対活性値で示した。
Figure 2006080409
(実施例9)ヒダントインラセマーゼ活性菌を利用した光学活性アミノ酸の合成
実施例3に示したD体選択的ヒダントイナーゼ活性を有する組換え大腸菌であるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pTH104)(FERM BP−4864)、および、D体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する組換え大腸菌であるエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pNT4553)(FERM BP−4368)を、実施例1で培養したヒダントインラセマーゼ活性を有するバチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の培養液と同時に、DL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントイン、または、DL−5−メチルヒダントインのそれぞれに作用せしめ、対応するD−アミノ酸を合成した。
1.DL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインからD−メチオニンの合成
実施例1のバチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の培養液1ml分の菌体と、実施例3のD体選択的ヒダントイナーゼ活性を有する組換え大腸菌の培養液1ml分の菌体、および、実施例3のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する組換え大腸菌の培養液1ml分の菌体を、2%(w/v)DL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)0.5mlに懸濁し、30℃で反応を行った。19時間後に反応液に1N HCl 0.05mlを添加して反応を停止し、反応上清をイオン交換水で50倍希釈してHPLCで分析した。HPLC分析は実施例3に示した条件で行なった。その結果、モル収率80%でD−メチオニンが生成し、光学純度は86.0%eeであった。それと比較して、KNK519HR株培養菌体を添加しなかった場合、モル収率39%でD−メチオニンが生成し、38mol%のL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインが残存した。
2.DL−5−メチルヒダントインからD−アラニンの合成
実施例1のバチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株の培養液1ml分の菌体と、実施例3のD体選択的ヒダントイナーゼ活性を有する組換え大腸菌の培養液1ml分の菌体、および、実施例3のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する組換え大腸菌の培養液1ml分の菌体を、2%(w/v)DL−5−メチルヒダントインを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)0.5mlに懸濁し、30℃で反応した。18時間後に反応液に1N HCl 0.05mlを添加して反応を停止し、イオン交換水で20倍希釈した後、遠心分離し、上清をHPLCで分析した。
HPLC分析は次に示す条件で実施した。カラム:CROWNPAK CR+(4.6mm×150mm、ダイセル社製)、溶離液:HClO(pH1.5)、流速:0.4ml/min.、カラム温度:4℃、検出:210nm。その結果、KNK519HR株培養菌体を添加しなかった場合のDL−5−メチルヒダントインの残存率が32%であったのに対して、残存率は3.6%でありD−アラニン生成量が増加した。
(実施例10)形質転換体を利用した光学活性N−カルバミルアミノ酸及び光学活性アミノ酸の合成
実施例7で得たヒダントインラセマーゼ活性を有する形質転換体、実施例3で得たD体選択的ヒダントイナーゼ活性を有する組換え大腸菌エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pTH104)、および実施例3で得たD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性を有する組換え大腸菌エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pNT4553)のそれぞれを培養後の培養液から遠心分離により集菌し、50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に懸濁して超音波により菌体を破砕して酵素液を取得した。それらの酵素液を、DL−5−イソブチルヒダントイン、DL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントイン、DL−5−(1−メルカプト−1−メチル)エチルヒダントイン、または、DL−5−ベンジルヒダントインに作用させて、対応するD−N−カルバミルアミノ酸又はD−アミノ酸を合成した。
1.DL−5−イソブチルヒダントインからD−ロイシンの合成
前記のヒダントインラセマーゼ活性を有する形質転換体の培養液2ml分、前記のD体選択的ヒダントイナーゼ活性組換え菌の培養液2ml分、および、前記のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性組換え菌の培養液10ml分の菌体破砕液を、5%(w/v)DL−5−イソブチルヒダントインを含む0.83M 2−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid(HEPES)−NaOH緩衝液(pH7.0)2mlに懸濁し、30℃で反応を行った。また、比較例としてヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応も行なった。2時間後に反応液を0.01%(v/v)Triethylamine acetate(pH6.8)/methanol=9/1で50倍希釈して、遠心上清をHPLCで分析した。その結果、変換率99%で100%eeのD−ロイシンが生成した(L体n.d.)。また、比較例であるヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応では変換率26%であった。HPLC分析によるアミノ酸の定量は次に示す条件で実施した。カラム:CROWNPAK CR+(4.6mm×150mm、ダイセル社製)、溶離液:HClO(pH1.5)、流速:1ml/min.、カラム温度:25℃、検出:210nm。
2.DL−5−イソブチルヒダントインからD−N−カルバミルロイシンの合成
前記のヒダントインラセマーゼ活性を有する形質転換体の培養液2ml分、前記のD体選択的ヒダントイナーゼ活性組換え菌の培養液2ml分の菌体破砕液を、5%(w/v)DL−5−イソブチルヒダントインを含む0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)2mlに懸濁し、30℃で反応を行った。また、比較例としてヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応も行なった。6時間後に反応液を0.01%(v/v)Triethylamine acetate(pH6.8)/methanol=9/1で50倍希釈して、遠心上清をHPLCで分析した。その結果、変換率74%で100%eeのD−N−カルバミルロイシンが生成した(L体n.d.)。また、比較例であるヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応では、変換率49%であった。HPLC分析による定量は次に示す条件で実施した。カラム:Chirobiotic T(4.6mm×250mm、ASTEC社製)を2本連結、溶離液:0.01%(v/v)Triethylamine acetate(pH6.8)/methanol=9/1、流速:0.7ml/min.、カラム温度:35℃、検出:210nm。
3.L−5−イソブチルヒダントインからD−ロイシンの合成
前記のヒダントインラセマーゼ活性を有する形質転換体の培養液2ml分、前記のD体選択的ヒダントイナーゼ活性組換え菌の培養液2ml分、および、前記のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性組換え菌の培養液8ml分の菌体破砕液を、5%(w/v)L−5−イソブチルヒダントインを含む0.63M HEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)2mlに懸濁し、40℃で反応を行った。2.5時間後に反応液を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH2.0)/アセトニトリル=95/5で50倍希釈して、遠心上清をHPLCで分析した。その結果、変換率99%で100%eeのD−ロイシンが生成した(L体n.d.)。HPLC分析によるアミノ酸の定量は、上述の「1.」で説明した条件と同じ条件で実施した。
4.DL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインからD−メチオニンの合成
前記のヒダントインラセマーゼ活性組換え菌、前記のD体選択的ヒダントイナーゼ活性組換え菌、および、前記のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性組換え菌の、それぞれの培養液2ml分の菌体破砕液を、1%(w/v)DL−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインを含む100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)2mlに懸濁し、40℃で反応を行った。また、比較例としてヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応も行なった。2時間後に反応液を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH2.0)/アセトニトリル=95/5で20倍希釈して、遠心上清をHPLCで分析した。その結果、変換率93%でD−メチオニンが生成し、この時、比較例であるヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応では、変換率47%であった。HPLC分析によるアミノ酸の定量は次に示す条件で実施した。カラム:Develosil ODS HG−5(4.6mm×150mm、ノムラケミカル社製)、溶離液:60mMリン酸カリウム緩衝液(5mMデカンスルホン酸ナトリウム)/メタノール=3/1、流速:1ml/min.、カラム温度:40℃、検出:210nm。
5.DL−5−(1−メルカプト−1−メチル)エチルヒダントインからD−ペニシラミンの合成
前記のヒダントインラセマーゼ活性組換え菌の培養液2ml分、前記のD体選択的ヒダントイナーゼ活性組換え菌の培養液2ml分、および、前記のD体選択的N−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼ活性組換え菌の培養液4ml分の菌体破砕液を、1%(w/v)DL−5−(1−メルカプト−1−メチル)エチルヒダントインを含む100mM HEPES-NaOH緩衝液(pH7.0)2mlに懸濁し、40℃で反応を行った。また、比較例としてヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応も行なった。2.5時間後に反応液を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH2.0)/アセトニトリル=95/5で20倍希釈して、遠心上清をHPLCで分析した。その結果、変換率86%で100%eeのD−ペニシラミンが生成した(L体n.d.)。また、比較例であるヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応では、変換率52%であった。HPLC分析は上述の「4.」で説明した条件と同じ条件で行なった。
6.DL−5−ベンジルヒダントインからD−フェニルアラニンの合成
上述の「1.」で説明した条件と同じ条件で、基質をDL−5−ベンジルヒダントインとして反応した。また、比較例としてヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応も行なった。その結果、反応9時間で変換率83%で98.1%eeのD−フェニルアラニンが生成した。また、比較例であるヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応では変換率40%であった。
7.DL−5−ベンジルヒダントインからD−N−カルバミルフェニルアラニンの合成
上述の「2.」で説明した条件と同じ条件で、基質をDL−5−ベンジルヒダントインとして反応した。また、比較例としてヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応も行なった。その結果、反応20時間で変換率84%でD−N−カルバミルフェニルアラニンが生成した。また、比較例であるヒダントインラセマーゼ活性組換え菌破砕液を添加しない反応では、変換率48%であった。
ラフである。

Claims (26)

  1. 下記の性質を有し、ヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチド。
    1.分子量
    約139,000
    2.L−5−(2−メチルチオエチル)ヒダントインに対するKm値
    約0.304mM
    3.作用温度の範囲
    温度範囲 25℃〜65℃、 至適温度 約40℃
    4.作用pHの範囲
    pH範囲6〜10、 至適pH8〜9
    5.温度安定性
    30℃以下
    6.pH安定性
    pH4.5〜8.0
  2. バチルス(Bacillus)属に属する微生物に由来する請求項1記載のポリペプチド。
  3. 前記微生物が、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株(FERM BP−10477)である請求項2記載のポリペプチド。
  4. 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするDNA。
  6. 配列表の配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNA。
  7. 配列表の配列番号2に示す塩基配列もしくはこれと等価の塩基配列を有し、ヒダントインラセマーゼの遺伝子を含むDNA。
  8. 請求項5から7のいずれか1項に記載のDNAを含む組換えプラスミド。
  9. 前記組換えプラスミドが、プラスミドpBHR001である請求項8記載の組換えプラスミド。
  10. 請求項8または9に記載の組換えプラスミドで宿主微生物を形質転換して得られる形質転換体。
  11. 前記宿主微生物がエシェリヒア コリ(Escherichia coli)である請求項10に記載の形質転換体。
  12. 前記形質転換体がエシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pBHR001)(FERM BP−10476)である請求項10に記載の形質転換体。
  13. 請求項1または4に記載のポリペプチドを生産する能力を有し、かつ、バチルス(Bacillus)属に属する微生物。
  14. バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株(FERM BP−10477)、又はその変異株である請求項13記載の微生物。
  15. 請求項1から4のいずれか1項に記載のポリペプチドを生産する能力を有する微生物を培養し、培養物中に当該ポリペプチドを蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするヒダントインラセマーゼの製造方法。
  16. 前記微生物が請求項10から12のいずれか1項に記載の形質転換体、又は、請求項13もしくは14記載の微生物である、請求項15に記載のヒダントインラセマーゼの製造方法。
  17. 前記ヒダントインラセマーゼの生産能を有する微生物が、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.)KNK519HR株(FERM BP−10477)である請求項16に記載のヒダントインラセマーゼの製造方法。
  18. 前記ヒダントインラセマーゼの生産能を有する形質転換体が、エシェリヒア コリ(Escherichia coli)HB101(pBHR001)(FERM BP−10476)である請求項16に記載のヒダントインラセマーゼの製造方法。
  19. 請求項1から4のいずれか1項に記載のヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチド、請求項10から12のいずれか1項に記載の形質転換体、又は請求項13もしくは14に記載の微生物を、光学活性5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする光学活性5−置換ヒダントインのラセミ化方法。
  20. 前記光学活性5−置換ヒダントイン化合物が一般式(1)
    Figure 2006080409
    (式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)で表される光学活性5−置換ヒダントインである、請求項19記載の光学活性5−置換ヒダントインのラセミ化方法。
  21. 請求項1から4のいずれか1項に記載のヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチド、請求項10から12のいずれか1項に記載の形質転換体、又は請求項13もしくは14に記載の微生物と、ヒダントイナーゼを、5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする光学活性N−カルバミルアミノ酸の製造方法。
  22. 前記光学活性5−置換ヒダントイン化合物が一般式(1)
    Figure 2006080409
    (式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)で表される5−置換ヒダントインであり、前記光学活性N−カルバミルアミノ酸が一般式(2)
    Figure 2006080409
    (式中、Rは前記と同じ)で表される光学活性N−カルバミルアミノ酸である、請求項21記載の光学活性N−カルバミルアミノ酸の製造方法。
  23. 前記光学活性N−カルバミルアミノ酸が、N−カルバミル−D−ロイシン、N−カルバミル−D−イソロイシン、N−カルバミル−D−バリン、N−カルバミル−D−ノルロイシン、N−カルバミル−D−ノルバリン、N−カルバミル−D−メチオニン、N−カルバミル−D−システイン、N−カルバミル−D−ペニシラミン、N−カルバミル−D−フェニルアラニン、N−カルバミル−D−フェニルグリシン、又は、N−カルバミル−D−4−ヒドロキシフェニルグリシンである請求項22に記載の製造方法。
  24. 請求項1から4のいずれか1項に記載のヒダントインラセマーゼ活性を有するポリペプチド、請求項10から12のいずれか1項に記載の形質転換体、又は請求項13もしくは14に記載の微生物と、ヒダントイナーゼおよびN−カルバミルアミノ酸アミドハイドロラーゼを、5−置換ヒダントイン化合物に作用させることを特徴とする光学活性アミノ酸の製造方法。
  25. 前記5−置換ヒダントイン化合物が一般式(1)
    Figure 2006080409
    (式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。)で表される5−置換ヒダントインであり、前記光学活性アミノ酸が一般式(3)
    Figure 2006080409
    (式中、Rは前記と同じ。)で表される光学活性アミノ酸である、請求項24記載の光学活性アミノ酸の製造方法。
  26. 光学活性アミノ酸が、D−ロイシン、D−イソロイシン、D−バリン、D−ノルロイシン、D−ノルバリン、D−メチオニン、D−システイン、D−ペニシラミン、D−フェニルアラニン、D−フェニルグリシン、又は、D−4−ヒドロキシフェニルグリシンである請求項25に記載の製造方法。
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