JP2000270856A - 新規なアミノアルコール脱水素酵素、その製造方法および用途 - Google Patents

新規なアミノアルコール脱水素酵素、その製造方法および用途

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JP2000270856A
JP2000270856A JP2000013913A JP2000013913A JP2000270856A JP 2000270856 A JP2000270856 A JP 2000270856A JP 2000013913 A JP2000013913 A JP 2000013913A JP 2000013913 A JP2000013913 A JP 2000013913A JP 2000270856 A JP2000270856 A JP 2000270856A
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amino
amino alcohol
keto
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alcohol dehydrogenase
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JP2000013913A
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Shinya Ito
伸哉 伊藤
Akikazu Matsuyama
彰収 松山
Yoshinori Kobayashi
良則 小林
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】NAD(H)を補酵素とし、たとえば次のような反応
式に代表される可逆反応を触媒することができるアミノ
アルコール脱水素酵素、その製造方法と用途の提供。 【化13】 【解決手段】Streptomyces virginiae (IFO 12827 株)
等が産生する新規アミノアルコール脱水素酵素が単離さ
れた。この酵素により、アミノアルコール、アミノ酸、
あるいはアミンといったアミノ基を含む化合物を、ケト
アルコールのような炭化水素化合物を基質として酵素的
に合成する反応が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なアミノアルコ
ール脱水素酵素、その製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボニル基をアミノ基に変換する酵素
としては従来、アミノ酸脱水素酵素、アミン脱水素酵
素、アミノ基転移酵素が知られているが、アミノ酸脱水
素酵素はケト酸を還元的にアミノ化してアミノ酸にする
酵素であり、ケト酸、アミノ酸以外は基質とはならない
(日本生化学会編、生化学実験講座11、アミノ酸代謝
と生体アミン(上)193-218、J.Org.Chem.,55,5567(199
0)、醗酵と工業,40,301-311(1982))。実際に本発明者ら
がL-アラニン脱水素酵素やL-グルタミン酸脱水素酵素と
いった市販のアミノ酸脱水素酵素について、その基質特
異性を確認したところ、その他のアミノアルコールに対
する酵素活性は観察できなかった。つまり、これらのNA
D(H)依存性のアミノ酸脱水素酵素は、ごく限られたアミ
ノ酸に対してのみ作用することができるのである。アミ
ノアルコールにはセリノールのような医薬品の合成用中
間体として有用な化合物が多いが、これらのアミノアル
コールの合成に利用することができる酵素は現在のとこ
ろ報告が無い。
【0003】アミン脱水素酵素は、トリプトファン−ト
リプトキノン(TPQ)や、TPQおよびヘムを補欠分子族と
する酵素であるが、人工の電子伝達化合物であるフェナ
ジンメタスルフェート(PMS)を電子受容体とする酵素
であり、NAD(H)には依存しない。また、基質はメチルア
ミン、プロピルアミン、n-ブチルアミン、1,6-ジアミノ
ヘキサンのような脂肪族の1-アミン、また一部の酵素が
2−フェネチルアミンやチラミンのアリールアミンに作
用しアルデヒドを生成することが知られているが(Bios
ci. Biotechnol. Biochem., 62, 469-478, (1998))、
アミノアルコールやアミノ酸および脂肪族の2-アミンな
どには、全く作用しない。
【0004】アミノ基転移酵素はアミノ酸をドナーとし
てアミノ基を転移させてケト酸をアミノ酸に変換する酵
素であり、その中でωアミノ酸トランスアミナーゼ等が
ケト酸以外のケトン体からアミノ化合物を生成すること
が知られている(特開平3-103192、WO97/15682、Appl.M
icrobiol.Biotechnol.,33,634-640(1990)、特公平4-111
94)。
【0005】しかしながら、ケトアルコールをアミノア
ルコールに変換するアミノアルコール脱水素酵素、ケト
アルコールとケト酸をそれぞれ対応するアミノアルコー
ル、アミノ酸に変換するアミノアルコール脱水素酵素、
ケトアルコールとケトン、アルデヒドを、それぞれ対応
するアミノアルコール、アミンに変換するアミノアルコ
ール脱水素酵素、ケトアルコール、ケト酸、ケトン、ア
ルデヒドを、それぞれ対応するアミノアルコール、アミ
ノ酸、アミンに変換するアミノアルコール脱水素酵素は
全く知られていないし、その製造方法および用途も知ら
れていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以下のよう
な酸化還元反応を可逆的に触媒することができる酵素、
並びにこの酵素の製造方法と用途の提供を課題とする。
【0007】反応1:ケトアルコール/アミノアルコー
【化1】
【0008】反応2:ケト酸/アミノ酸
【化2】
【0009】反応3:ケトン、アルデヒド/アミン
【化3】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、種々の研究の結果、ケトアルコールを
アミノアルコールに変換する新規な脱水素酵素、ケトア
ルコール及びケト酸をそれぞれ対応するアミノアルコー
ル、アミノ酸に変換する新規な脱水素酵素、ケトアルコ
ール及びケトン、アルデヒドを、それぞれ対応するアミ
ノアルコール、アミンに変換する新規な脱水素酵素、ケ
トアルコール、ケト酸及びケトン、アルデヒドを、それ
ぞれ対応するアミノアルコール、アミノ酸、アミンに変
換する新規な脱水素酵素を有する微生物が自然界に存在
することを見いだし、本酵素を精製し、本酵素をアミノ
アルコール脱水素酵素と命名した。
【0011】更にアミノアルコール脱水素酵素の製造方
法、このアミノアルコール脱水素酵素を用いてケトアル
コールからのアミノアルコールの製造方法、ケト酸から
のアミノ酸の製造方法、およびケトンあるいはアルデヒ
ドからのアミンの製造方法をも確立した。
【0012】すなわち本発明は、以下のアミノアルコー
ル脱水素酵素、ならびにその製造方法と用途に関する。 〔1〕ケトアルコールを還元的にアミノアルコールに変
換する能力と、アミノアルコールを酸化的にケトアルコ
ールに変換する能力とを有するアミノアルコール脱水素
酵素。 〔2〕さらにケト酸を還元的にアミノ酸に変換する能力
と、アミノ酸を酸化的にケト酸に変換する能力とを有す
る〔1〕記載のアミノアルコール脱水素酵素。 〔3〕さらにケトンまたはアルデヒドを還元的にアミン
に変換する能力と、アミンを酸化的にケトンまたはアル
デヒドに変換する能力とを有する〔1〕または〔2〕に
記載のアミノアルコール脱水素酵素。 〔4〕以下の属に属する微生物で構成される群から選択
される微生物から採取することができる〔1〕〜〔3〕
のいずれかに記載のアミノアルコール脱水素酵素。 ストレプトマイセス(Streptomyces)属 シュードモナス(Pseudomonas)属 ブルクホルデニア(Burkholdenia)属 およびアースロバクター(Arthrobacter)属 〔5〕微生物が、以下の種から選択される〔4〕記載の
アミノアルコール脱水素酵素。 ストレプトマイセス バージニア(Streptomyces virgini
ae)種 ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseu
s)種 ストレプトマイセス アヴィデニ(Streptomyces avidini
i)種 ストレプトマイセス シュードベネズラエ(Streptomyces
pseudovenezulae)種 〔6〕微生物が以下の種から選択される〔4〕記載のア
ミノアルコール脱水素酵素。 シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluoresc
ens)種 シュードモナス マルギナリス(Pseudomonas marginali
s)種 〔7〕微生物がブルクホルデニア セパシア(Burkholden
ia cepacia)種である〔4〕記載のアミノアルコール脱
水素酵素。 〔8〕微生物がアースロバクター オーレセンス(Arthr
obacter aurescens)種である〔4〕記載のアミノアル
コール脱水素酵素。
〔9〕下記の理化学的性質を有するアミノアルコール脱
水素酵素。 (a)NAD(H)依存性である。 (b)分子量:SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にお
けるサブユニットの一部の分子量が約46,000 Daであ
り、ゲルろ過クロマトグラフィーによる分子量が約100,
000 Daを示す。 (c)基質特異性:NAD+の存在下、各種アミノアルコー
ル、アミン、アミノ酸に作用してケトアルコール、ケト
ン、アルデヒド、ケト酸を生成する。またNADHとアンモ
ニウムイオン存在下、各種ケトアルコール、ケトン、ア
ルデヒド、ケト酸からアミノアルコール、アミン、アミ
ノ酸を生成する。 (d)温度安定性:pH7.0で30分間熱処理した場合、30℃で
は比較的安定であり、40℃以上では失活する。 (e)至適温度:pH7.0で還元的アミノ化反応させる場合、
温度約30℃において作用が至適である。 (f)至適pH:酸化的脱アミノ化反応の至適pHは10.0、還
元的アミノ化反応の至適pHは7.0である。 (g)安定化剤:緩衝液にグリセロール、セリノールを添
加すること、さらにプロテアーゼ阻害剤であるフェニル
メチルスルフォニルフルオリドによって、その活性が安
定に保持される。 〔10〕〔1〕〜
〔9〕のいずれかに記載したアミノア
ルコール脱水素酵素生産能を有する微生物を培養し、そ
の培養物から前記酵素を採取することを特徴とするアミ
ノアルコール脱水素酵素の製造方法。 〔11〕ケトアルコールに〔1〕〜
〔9〕のいずれかに
記載されたアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、対
応するアミノアルコールを生成させて、それを採取する
ことを特徴とするアミノアルコールの製造方法。 〔12〕ケト酸に〔2〕〜
〔9〕のいずれかに記載され
たアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、対応するア
ミノ酸を生成させて、それを採取することを特徴とする
アミノ酸の製造方法。 〔13〕ケトンまたはアルデヒドに〔3〕〜
〔9〕のい
ずれかに記載されたアミノアルコール脱水素酵素を作用
させ、対応するアミンを生成させて、それを採取するこ
とを特徴とするアミンの製造方法。 〔14〕アミノアルコールに〔1〕〜
〔9〕のいずれか
に記載されたアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、
対応するケトアルコールを生成させて、それを採取する
ことを特徴とするケトアルコールの製造方法。 〔15〕アミノ酸に〔2〕〜
〔9〕のいずれかに記載さ
れたアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、対応する
ケト酸を生成させて、それを採取することを特徴とする
ケト酸の製造方法。 〔16〕アミンに〔3〕〜
〔9〕のいずれかに記載され
たアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、対応するケ
トンまたはアルデヒドを生成させて、それを採取するこ
とを特徴とするケトンまたはアルデヒドの製造方法。 〔17〕次の菌株から選択される〔1〕記載のアミノア
ルコール脱水素酵素産生菌。 受託番号FERMP-17137として寄託されたArthrobacter au
rescens B151株、受託番号FERMP-17138として寄託
されたBurkholdenia cepacia B033株、受託番号FER
MP-17139として寄託されたPseudomonas fluorescens B
101株、受託番号FERMP-17140として寄託されたPseud
omonas marginalis B102株、受託番号FERMP-17141
として寄託されたStreptomyces griseus TPC 330
81株、受託番号FERMP-17142として寄託されたStrepto
myces avidinii A044株、および受託番号FERMP-171
43として寄託されたStreptomyces pseudovenezulae A
161株 〔18〕ケトアルコールに〔14〕に記載されたアミノ
アルコール脱水素酵素の産生菌またはその処理物を作用
させ、対応するアミノアルコールを生成させて、それを
採取することを特徴とするアミノアルコールの製造方
法。 〔19〕ケト酸に〔2〕〜
〔9〕のいずれかに記載され
たアミノアルコール脱水素酵素の産生菌またはその処理
物を作用させ、対応するアミノ酸を生成させて、それを
採取することを特徴とするアミノ酸の製造方法。 〔20〕ケトンまたはアルデヒドに〔3〕〜
〔9〕のい
ずれかに記載されたアミノアルコール脱水素酵素の産生
菌またはその処理物を作用させ、対応するアミンを生成
させて、それを採取することを特徴とするアミンの製造
方法。 〔21〕アミノアルコールに〔1〕〜
〔9〕のいずれか
に記載されたアミノアルコール脱水素酵素の産生菌また
はその処理物を作用させ、対応するケトアルコールを生
成させて、それを採取することを特徴とするケトアルコ
ールの製造方法。 〔22〕アミノ酸に〔2〕〜
〔9〕のいずれかに記載さ
れたアミノアルコール脱水素酵素の産生菌またはその処
理物を作用させ、対応するケト酸を生成させて、それを
採取することを特徴とするケト酸の製造方法。 〔23〕アミンに〔3〕〜
〔9〕のいずれかに記載され
たアミノアルコール脱水素酵素の産生菌またはその処理
物を作用させ、対応するケトンまたはアルデヒドを生成
させて、それを採取することを特徴とするケトンまたは
アルデヒドの製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のケトアルコールとして
は、以下の一般式(1)で表される化合物を挙げることが
できる。
【化4】 (式中、R1、R2はそれぞれ両方か、あるいはいずれか一
方が水酸基を有している脂肪族炭化水素基、脂環式炭化
水素基、アリール基又は複素環基を表す)
【0014】またアミノアルコールは、以下の一般式
(2)で表される化合物を挙げることができる。
【化5】 (式中、R1、R2はそれぞれ一般式(1)と同様な意味を表
す)
【0015】またケト酸としては、以下の一般式(3)で
表される化合物を挙げることができる。
【化6】 (式中、R3は脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ア
リール基又は複素環基を表す)
【0016】またアミノ酸としては、以下の一般式(4)
で表される化合物を挙げることができる。
【化7】 (式中、R3は一般式(3)と同様な意味を表す)
【0017】またケトン、あるいはアルデヒドとして
は、以下の一般式(5)で表される化合物を挙げることが
できる。
【化8】 (式中、R4、R5はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基
を表す。但しR4,R5は同時に水素原子でない)
【0018】またアミンとしては、以下の一般式(6)で
表される化合物を挙げることができる。
【化9】 (式中、R4、R5はそれぞれ一般式(5)と同様な意味を表
す)
【0019】本明細書中に記載した脂肪族炭化水素基に
は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、オクチル、デシル基等の炭素数1から1
2の分岐していてもよいアルキル基;ビニル、アリル、
1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル等の炭
素数1〜12のアルケニル基;または2−プロピニル、
2−ブチニル等の炭素数1〜12のアルキニル基といっ
た飽和脂肪族炭化水素基または不飽和脂肪族炭化水素基
が含まれる。特に好ましくは炭素数1〜5のアルキル基
が挙げられる。
【0020】脂環式炭化水素基には、例えば、シクロブ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチ
ル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基;シクロペ
ンテニル、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜10のシ
クロアルケニル基といった飽和脂環式炭化水素基及び不
飽和脂環式炭化水素基が含まれる。
【0021】アリール基としては、例えば、フェニル、
ナフチル等の炭素数6〜14のものが挙げられる。
【0022】複素環基には、例えば、窒素原子、酸素原
子及び硫黄原子から選択された少なくとも1つの原子を
ヘテロ原子として含む複素環基が含まれる。複素環基
は、芳香族性複素環基、非芳香族性複素環基、複合複素
環基のいずれであってもよい。
【0023】前記複素環基に対応する複素環としては、
例えば、ピロリン、ピロール、ピペリジン、ピペラジ
ン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアゾー
ル、キノリン等の窒素原子含有複素環;テトラヒドロフ
ラン、フラン、ピラン等の酸素原子含有複素環;テトラ
ヒドロチオフェン、チオフェン等の硫黄含有複素環;チ
アゾリン、チアゾリジン、チアゾール、チアジン、モル
ホリン等の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれ
た少なくとも2つのヘテロ原子を有する複素環等が挙げ
られる。
【0024】これらの基は、さらに、ハロゲン原子、ヒ
ドロキシル基、アルキル基(メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル基等のC1−5アルキル基等)、アリ
ール基(フェニル、トリル、クロロフェニル、ナフチル
等のC6−14アリール基等)、オキソ基、アルコキシ
基(例えば、メトキシ、エトキシ等のC1−5アルコキ
シ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ
等)、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチル
チオ、エチルチオ等のC1−5アルキルチオ基等)、ア
リールチオ基(例えば、フェニルチオ等のC6−14ア
リールチオ基等)、カルボキシル基、エステル基(例え
ば、メトキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボ
ニル基;アセトキシ等のC2−12アシルオキシ基
等)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル等のC
2−12アシル基)、アミノ基、モノまたはジ置換アミ
ノ基(例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ等のモノ
またはジC1−5アルキルアミノ基)、ニトロ基等の置
換基を有していてもよい。置換基の個数は、例えば、1
〜4程度である。
【0025】本発明における望ましいケトアルコールと
しては、たとえばヒドロキシアセトン、ジヒドロキシア
セトン、2−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキ
シ−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−4−オクタノン等
を示すことができる。また望ましいケト酸としては、た
とえばピルビン酸、オキサロ酢酸、2−オキソグルタル
酸等を示すことができる。また望ましいケトン、あるい
は望ましいアルデヒドとしては、たとえばアセトン、2
−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、アセト
フェノン、4−フェニル−2−ブタノン、n−ブチルア
ルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド
等を示すことができる。
【0026】アミノアルコール脱水素酵素の生産菌は、
以下の手順で見出すことができる。すなわち、天然界か
ら分離した微生物、あるいは菌株保存センターから入手
し得る微生物を常法に従って培養する。このとき培地に
は、必要に応じて酵素基質のような該酵素を誘導する化
合物、あるいは金属塩等の該酵素の生産を促進する化合
物を添加することができる。得られた培養物から菌体を
集め、必要があれば緩衝液等で洗浄した後、アルミナ、
ダイノミルなどの機械的方法あるいはアセトンなどの有
機溶媒処理などによって菌体を破砕し、本酵素を抽出す
る。その後、ろ過もしくは遠心分離によって固形物を除
き粗酵素液を得る。0.5mg/mlの2−(4−ヨードフェニ
ル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2
Hテトラゾリウムクロリド(INT)、10mMセリノール、
1mM NAD+を含むトリス-塩酸緩衝液(pH8.0〜9.0)
中にこの粗酵素液を添加し、25℃で反応させる。NAD+
が還元されNADHとなるとINTが還元され赤紫色ホルマザ
ンとなる。この色の変化によりアミノアルコール脱水素
酵素の活性を定性的もしくは定量的に測定することがで
きる。
【0027】本発明に使用される微生物の培地として
は、一般的な微生物が資化し得るグルコース、グリセロ
ール等の炭素源、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム
等の窒素源、硫酸マグネシウム、塩化第二鉄、塩化コバ
ルト等の無機栄養素や金属を含有する培地か、これらの
培地に酵母エキス、肉エキス等の天然有機窒素源を添加
したものを用いることができる。誘導源として各々の微
生物に適した炭素源を用いることもある。
【0028】培養条件は微生物が生育する条件であれば
特に限定されない。具体的には、例えばpH5〜10、温度
5〜40℃の範囲が望ましく、中でも好気性条件下でpH6
〜8、温度20〜40℃の範囲で、培養日数は12時間か
ら5日ほどの範囲で活性が最大となるまで培養すること
により高い収率を期待できる。
【0029】本発明による酵素反応は、液体培地または
平板培地上にて培養した菌体を採取し、微生物細胞と接
触させることにより実施することができる。必要に応
じ、微生物細胞を界面活性剤やトルエン等の有機溶媒で
処理して細胞膜の透過性を調整することができる。また
細胞を支持体上に固定化することができる。固定化支持
体には、カラギーナンゲル、アルギン酸ゲル、ポリアク
リルアミドゲル、セルロース、あるいは寒天等の公知の
素材を利用することができる。先に述べたような方法で
適宜精製された粗酵素を用いることができる。これらの
酵素には、菌体処理物が含まれる。固定化菌体、粗酵
素、固定化酵素等の菌体処理物を調製し、n-ヘキサン、
酢酸エチル等の適当な溶媒に溶かした基質と緩衝液等と
の二相系による反応、または、基質をエタノール、ジメ
チルホルムアミド等の水溶性有機溶媒に溶解させて直
接、菌体処理物または酵素の懸濁液中に混合して行うこ
とができる。
【0030】培養液からアミノアルコール脱水素酵素を
採取するには、まず、培養物を遠心分離その他の操作に
より、菌体と培養ろ液に分け、該酵素が菌体内に産生さ
れる場合には溶菌酵素処理、超音波処理、フレンチプレ
ス処理、ダイノミル処理等の種々の菌体破砕方法の単独
使用または組み合わせ使用により菌体を破砕し、該酵素
を可溶化する。
【0031】可溶化された該酵素の精製には、公知の酵
素精製手段、例えば硫酸アンモニウム等による塩析法、
ジエチルアミノエチルセルロース等を用いる陰イオン交
換クロマトグラフィー、カルボキシメチルセルロース等
を用いる陽イオン交換クロマトグラフィー、デキストラ
ンゲル等を用いるゲルろ過、疎水性樹脂を用いる疎水性
クロマトグラフィー、およびアフィニティクロマトグラ
フィー等を適宜組み合わせて使用すればよく、これによ
り目的に応じた精製度のアミノアルコール脱水素酵素標
品を得ることができる。あるいは本発明によるアミノア
ルコール脱水素酵素が細胞外に分泌される場合には、培
養上清を採取し、前記の公知の方法によって精製するこ
とによって、目的の酵素が含まれる分画を得ることがで
きる。
【0032】本発明のアミノアルコール脱水素酵素は、
たとえば次のような属に属する微生物の培養物から得る
ことができる。 ストレプトマイセス(Streptomyces)属 シュードモナス(Pseudomonas)属 ブルクホルデニア(Burkholdenia)属 アースロバクター(Arthrobacter)属 より具体的には、たとえば以下の菌株においてアミノア
ルコールの産生能を確認した。IFO 12827は、財団法人
発酵研究所発行のカタログLIST OF CULTURES 10thEDITI
ON(1996)に記載されており、醗酵研究所から容易に入手
することができる。 ストレプトマイセス バージニア(Streptomyces virgini
ae) IFO 12827 ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseu
s)TPC 33081 この他、本発明者らが新たに同定した以下の菌株におい
てもアミノアルコールの産生能が確認されている。これ
らの新規微生物は、いずれも平成11年1月12日付け
で以下のように寄託されている。 寄託機関の名称・あて名 名称:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所 あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便
番号305-0046) 寄託日 平成11年1月12日
【0033】 受託番号 生命研菌寄第17137号(FERM P-1713
7):Arthrobacter aurescens B151株 受託番号 生命研菌寄第17138号(FERM P-1713
8):Burkholdenia cepacia B033株 受託番号 生命研菌寄第17139号(FERM P-1713
9):Pseudomonas fluorescens B101株 受託番号 生命研菌寄第17140号(FERM P-1714
0):Pseudomonas marginalis B102株 受託番号 生命研菌寄第17141号(FERM P-1714
1):Streptomyces griseus TPC 33081株 受託番号 生命研菌寄第17142号(FERM P-1714
2):Streptomyces avidinii A044株 受託番号 生命研菌寄第17143号(FERM P-1714
3):Streptomyces pseudovenezulae A161株
【0034】本発明は、上記アミノアルコール脱水素酵
素を利用した、アミノアルコール、アミノ酸、あるいは
アミンの製造方法を提供する。これらアミノ基を持つ化
合物の基本骨格を与えるケトアルコール、ケト酸、ある
いはケトンやアルデヒドとアンモニウムイオンを基質と
し、電子供与体(水素供与体)の共存下、本発明のアミ
ノアルコール脱水素酵素に基づく還元的な反応を行わせ
ることにより、対応するアミノアルコール、アミノ酸、
あるいはアミンが生成される(アミノ化反応)。本発明
によって提供される上記化合物の製造方法を構成する反
応式を以下に示す。
【0035】反応1:ケトアルコール/アミノアルコー
【化10】
【0036】反応2:ケト酸/アミノ酸
【化11】
【0037】反応3:ケトン、アルデヒド/アミン
【化12】
【0038】本発明において基質として利用しうる化合
物には、先に具体的に例示した各種ケトアルコール、ケ
ト酸、あるいはケトンやアルデヒドが含まれる。これら
の基本骨格に対してアミノ基を供給するアンモニウムイ
オンNH4+は、適当なアンモニウム塩を反応系に加えるこ
とによって添加される。更に電子供与体であるNADHとと
もに本発明によるアミノアルコール脱水素酵素を接触さ
せることによって本発明によるアミノアルコール、アミ
ノ酸、あるいはアミンの製造方法を実施することができ
る。
【0039】本発明の反応条件として、還元的アミノ化
反応の場合、基質であるケトアルコール、ケト酸、ケト
ン、アルデヒドを濃度10〜100mM、塩化アンモニウ
ムを200〜300mM、NADHを0.2〜10mMで使用す
ることができる。これらの基質や補酵素は、反応媒体中
で完全に溶解しなくてもよい。反応温度は反応が進行す
る温度であればよいが、好ましくは10〜40℃、反応
pHは5〜8、好ましくは7である。還元的な条件とは、
上記pH範囲を与えることによって達成することができ
る。
【0040】他方、酸化的脱アミノ化反応の場合、基質
であるアミノアルコール、アミノ酸、アミンを濃度10
〜100mM、NADを0.2〜10mMで使用することが
できる。反応温度は反応が進行する温度であればよい
が、好ましくは10〜40℃、反応pHは8〜11、好まし
くは10である。酸化的な条件とは、上記pH範囲を与える
ことによって達成することができる。還元的アミノ化反
応あるいは、酸化的脱アミノ化反応のいずれにおいて
も、これらの基質や補酵素は反応媒体中で完全に溶解し
なくてもよい。また、基質は反応開始時に一括して添加
することも可能であるが、反応液中の基質濃度が高くな
りすぎないように連続的、もしくは非連続的に添加する
こともできる。反応は5分から100時間程度行えばよ
い。生成物の単離は抽出、濃縮、イオン交換、電気透
析、晶析等の公知の方法を利用して行うことができる。
【0041】酵素、基質、ならびに補酵素との接触は、
3者を同一溶液中に混合することによって達成される。
もしくは水に溶解しにくい有機溶媒、たとえば、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキ
サンなどの有機溶媒中、もしくは、水性媒体との2相系
により行うことができる更に本発明の反応は、固定化酵
素、膜リアクターなどを利用して行うことも可能であ
る。
【0042】本発明による酵素反応では、NADHの消費に
伴って反応環境が次第に酸化的となる。還元的な状態を
維持するために、上記反応系にNADHの再生系を組み合わ
せることができる。NAD+の、NADHへの再生は、微生物の
持つNAD+還元能(解糖系、メチロトローフのC1化合物
資化経路など)を用いて行うことができる。これらNAD+
還元能は、反応系にグルコースやエタノール、ギ酸など
を添加することにより増強することが可能である。ま
た、NAD+からNADHを生成する能力を有する微生物やその
処理物を反応系に添加することによっても行うことがで
きる。たとえば、グルコース脱水素酵素、ギ酸脱水素酵
素、アルコール脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機
酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などを含む微
生物、その処理物、ならびに部分精製もしくは精製酵素
を用いてNADHの再生を行うことができる。これらのNADH
再生に必要な反応を構成する成分は、本発明によるアル
コールの製造のための反応系に添加する、固定化したも
のを添加する、あるいはNADHの交換が可能な膜を介して
接触させることができる。
【0043】NADH再生のために反応系に添加される化合
物、たとえば、グルコース脱水素酵素を利用する場合の
グルコース、ギ酸脱水素酵素を利用する場合のギ酸、ア
ルコール脱水素酵素を利用する場合のエタノールもしく
はイソプロパノールなどは、基質ケトンに対してモル比
で1−20、好ましくは1−5倍過剰に添加することが
できる。NADH再生用の酵素は、たとえば、グルコース脱
水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アルコール脱水素酵素など
は、本発明のアミノアルコール脱水素酵素に比較して酵
素活性で0.1−100倍、好ましくは0.5−20倍
程度添加することができる。
【0044】同様に本発明にしたがって酸化的脱アミノ
化反応を実施する場合には、NADHをNAD+に再生する反応
系を組み合わせることができる。NAD+の再生は、たとえ
ば酸素の存在下で微生物が持つNADH酸化能(NADHオキシ
ゲナーゼ等)を用いて行うことができる。
【0045】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお以下の実施例において特に明記しない場合、
「%」は「W/V%」を表す。 実施例1(アミノアルコール脱水素酵素生産菌の分離) 0.2%セリノール、0.3%KH2PO4、0.1%NaCl、0.05%MgS
O4・7H2O、1.5%寒天を含む平板培地(pH7.0)に、生理食
塩水に懸濁した土壌サンプル0.1mlを接種し、30℃にて
好気的条件下で1〜7日間培養した。生育したコロニー
は、さらに0.7%ペプトン、0.3%酵母エキス、1.5%寒天
を含む平板培地(pH7.0)にて単菌分離し、0.2%セリノ
ール、0.3%KH2PO4、0.1%NaCl、0.05%MgSO4・7H2O、
0.1%酵母エキス、1.5%寒天を含むスラント培地にて4
℃にて保存した。
【0046】これら保存菌株のアミノアルコール脱水素
酵素生産性を確認するために、次のような操作にしたが
って粗酵素液を得た。放線菌の場合は、1.5%可溶性でん
ぷん、0.8%ソイトン、0.5%肉エキス、0.3%グルコース、
0.2%K2HPO4、0.3%NaCl、0.03%MgSO4・7H2O、0.01%CaCl2
・2H2O、0.1% TM溶液を含む培養液50ml(pH7.3)を三角
フラスコに入れて滅菌後、各菌株を接種し、30℃にて48
時間培養後、菌体を破砕し粗酵素液を得た。なおTM溶液
とは、以下に示す組成を持つ。 TM溶液: 0.05g H3BO3 0.01g CuSO4・5H2O 0.025g KI 0.1g FeCl3・6H2O 0.05g MnCl2・4H2O 0.02g Na2MoO4・2H2O 0.05g ZnSO4・7H2O 0.01g CoCl2・6H2O 100mlの蒸留水 また細菌の場合は、0.4% ペプトン、0.2% 酵母エキス、
0.2% 1,3-プロパンジオール、0.3% KH2PO4、0.05% MgSO
4・7H2Oを含む培養液100ml(pH7.0)を振とうフラスコ
に入れて放線菌と同様に40時間培養後、菌体を破砕し粗
酵素液を得た。
【0047】回収した粗酵素液のアミノアルコール脱水
素酵素の活性は、0.5mg/mlのINT、10mMセリノール、
1mM NAD+を含む0.1Mトリス-塩酸緩衝液(pH9.0)中
にこの粗酵素液を添加し、25℃で反応させ、NAD+が還
元されNADHとなると同時にINTが還元され赤紫色ホルマ
ザン(ε=15000)が形成される反応に基づいて、490nm
における吸光度の変化を分光学的に測定した。酵素1単
位はこの条件下で1分間に1μmolのホルマザンを形成す
る酵素量と定義した。表1に各菌株のセリノール脱水素
酵素活性を示した。
【0048】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 菌株名 活性(単位/100ml培養液) ──────────────────────────── Streptomyces virginiae IFO 12827 0.85 Streptomyces griseus TPC 33081 1.12 Streptomyces avidinii A044 0.06 Streptomyces pseudovenezulae A161 0.38 Pseudomonas fluorescens B101 2.72 Pseudomonas marginalis B102 3.20 Burkholdenia cepacia B033 1.32 Arthrobacter aurescens B151 1.32 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0049】実施例2(アミノアルコール脱水素酵素生
産菌の同定) 実施例1において土壌から分離したアミノアルコール脱
水素酵素生産菌の菌学的性質を示すと下記の通りであ
る。A044株は、胞子形成菌糸の形態はフック状、ル
ープ状、まれに2−3巻の緩いコイル状(Retinaculum-A
pertum(RA))を呈する。気中菌糸の色は赤色、基生菌糸
の色は茶色、拡散性の色素は生成しない。メラニン様色
素の生成は、チロシン寒天培地で陰性、ペプトン鉄培地
では陽性であった。細胞壁成分のジアミノピメリン酸は
LL型で、ミコール酸は検出されない。更に16SrD
NAの相同性がStreptomyces avidinii DSM40526Tと9
9.5% 以上を示すことから、A044株はStreptomyce
s avidinii種に属する菌株と同定した。
【0050】A161株の胞子形成菌糸の形態はらせん
状(Spirae)を呈する。気中菌糸の色は灰色、基生菌糸の
色は茶色、拡散性の色素は生成しない。メラニン様色素
の生成は、チロシン寒天培地、ペプトン鉄培地のいずれ
においても陰性であった。細胞壁成分のジアミノピメリ
ン酸はLL型で、ミコール酸は検出されなかった。更に
16SrDNAの相同性がStreptomyces pseudovenezul
ae DSM40212Tと99.5% 以上を示すことから、A16
1株はStreptomyces pseudovenezulae種に属する菌株と
同定した。
【0051】B151株の菌学的性質を示すと下記の通
りである。グラム陽性の桿菌(コリネ型)で、運動性は
無く、胞子形成しない。カタラーゼ反応とでんぷん分解
能はいずれも陽性である。細胞壁のペプチドグリカン型
はA3α,L-Lys-L-Ala-L-Thr-L-Alaと確認された。こ
れらの特徴から、B151株はArthrobacter属に属する
と同定した。また16SrDNAの相同性がArthrobact
er aurescensと98.8% 以上を示すことから、A16
1株はArthrobacter aurescens種に属する菌株と同定し
た。
【0052】アミノアルコール脱水素酵素生産菌B10
1株、B102株、B033株の菌学的性質は、表2の
通りであった。これらの性状に基づいて、B101株は
Pseudomonas fluorescens、B102株はPseudomonas m
arginalis、B033株はBurkholdenia cepaciaと同定
した。
【0053】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 性質 B101株 B102株 B033株 ────────────────────────── 細胞の形 桿菌 桿菌 桿菌 および大きさ 0.5-0.8〜 0.5-0.8〜 0.5-0.8〜 0.8-3.5μm 0.8-3.0μm 1.5-3.0μm 運動性 あり あり なし 鞭毛 極鞭毛 極鞭毛 陰性 グラム染色 陰性 陰性 陰性 胞子の有無 なし なし なし 蛍光性色素の生成 あり オレンジ なし カタラーゼ あり あり あり オキシダーゼ あり あり あり ADH あり あり なし 硝酸還元能 テストせず テストせず なし 脱窒能 あり あり なし 16SrRNA相同性 98% 99.8% 99.1% (P.fluorescens) (P.marginalis) (B.cepacia) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0054】実施例3(菌の培養) ストレプトマイセス バージニア(Streptomyces virgini
ae) IFO 12827 株を下記により培養した。 1)培地組成(単位:W/V) 前培養培地: 1.0% 可溶性でんぷん 0.2% 酵母エキス 0.1% 肉エキス 0.2% NZアミン 0.2% 麦芽エキス(pH 7.0) 本培養培地: 1.5% 可溶性でんぷん 0.8% ソイトン 0.5% 肉エキス 0.3% グルコース 0.2% K2HPO4 0.3% NaCl、0.03% MgSO4・7H2O 0.01% CaCl2・2H2O 0.1%(V/V)TM溶液 0.1%(w/v)消泡剤(Antifoam A, シグマ社製) を含む培養液(pH7.3)
【0055】2)培養条件 斜面培地から1白金耳の菌体を採り、上記前培養培地50
mlを入れて滅菌した三角フラスコに植菌し、30℃で24
時間、好気条件下で振盪培養した。次に、本培養培地3L
を4L容のジャーファーメンターに入れ、滅菌後、前培養
の培養物50mlを植菌し、0.25vvm/400rpmの通気条件下、
30℃にて48時間培養した。
【0056】実施例4(菌の培養) ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseu
s) TPC 33081、ストレプトマイセス アヴィデニ(Strept
omyces avidinii)A044株 、ストレプトマイセス シ
ュードベネズラエ(Streptomyces pseudovenezulae) A
161株も実施例3と同様に培養した。
【0057】実施例5(菌の培養) シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluoresc
ens) B101株を下記により培養した。
【0058】1)培地組成(単位:W/V) 前培養培地 0.8% ペプトン 0.2% 酵母エキス 0.3% NaCl (pH7.0) 本培養培地: 0.4%ペプトン 0.2% 酵母エキス 0.2% 1,3-プロパンジオール 0.3% KH2PO4 0.05% MgSO4・7H2O 0.1% (w/v)消泡剤(Antifoam A, シグマ社製) を含む培養液(pH7.0) 2)培養条件
【0059】斜面培地から1白金耳の菌体を採り、上記
前培養培地100mlを入れて滅菌した坂口フラスコに植
菌し、30℃で24時間、好気条件下で振盪培養した。次
に、本培養培地3Lを4L容のジャーファーメンターに入
れ、滅菌後、前培養の培養物50mlを植菌し、0.25vvm/40
0rpmの通気条件下、30℃にて12時間培養した。
【0060】実施例6(菌の培養) シュードモナス マルギナリス(Pseudomonas marginali
s) B102株、ブルクホルデニア セパシア(Burkholde
nia cepacia) B033株、アースロバクターオーレセ
ンス(Arthrobacter aurescens)A161株も実施例5と
同様に培養した。
【0061】実施例7(酵素精製) ストレプトマイセス バージニア(Streptomyces virgini
ae) IFO 12827 株の培養終了後、液体培地から菌体を遠
心分離により集菌して、4.5Lの培養液から約230gの湿菌
体を得た。菌体を0.5mMのフェニルメチルスルフォニル
フルオリド(PMSF)を含む92mlの20mM燐酸緩衝液(以下KP
Bと略する、pH7.0)に懸濁し、3分間ホモジナイザーで
処理した後、20分間超音波処理(20 kHz、200 W)して菌
体を破砕した。その破砕物を遠心して上清を得、粗酵素
溶液を取得した。粗酵素溶液に0.01% (w/v)ポリエチレ
ンイミンを加え、撹拌後に沈殿物を遠心により除去し
た。限外ろ過法により透析を行った後、Blue-Sepharose
(ファルマシア社製)カラム(2.5 x 24 cm)にかけ、当
該酵素を素通り画分に溶出させた。この画分を採取、限
外ろ過法により濃縮した後、10mMのKPB(pH7.0)で平衡
化したセリン-Sepharoseカラム(2.5 x 22 cm)に吸着さ
せた。当該酵素を0Mから1.2M NaClと20mMのセリンを含
むKPBの濃度勾配により溶出させた。活性画分を採取し
限外ろ過法により濃縮・脱塩後、Gigapite(生化学工業
社製)カラム(5.5 x 20 cm)に吸着させた。当該酵素を
5mMから400mMのKPB(pH7.0)にて溶出させた。活性画分
を採取し限外ろ過法により濃縮後、Cellulofine GCL200
0sf(生化学工業社製)ゲルろ過カラム(1.2 x 70 cm)に
かけ、当該酵素を0.1M NaClを含む10mM KPBで溶出させ
た。以上の操作により、8単位のアミノアルコール脱水
素酵素が収率約10% で得られた。
【0062】実施例8(酵素精製) シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluoresc
ens) B101株の培養菌体約100gを出発原料として、
ホモジナイザーによる処理を行わないことの他は実施例
7と同様の方法にてアミノアルコール脱水素酵素の精製
した。16単位のアミノアルコール脱水素酵素が収率約6
% で得られた。
【0063】実施例9(酵素の酵素化学的性質) 実施例7で得られたストレプトマイセス バージニア(St
reptomyces virginiae) IFO 12827 株由来のアミノアル
コール脱水素酵素酵素を使用して、本酵素の諸性質を調
べた。 1)酵素の分子量:SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
におけるサブユニットの一部の分子量が約46,000 Da で
あり、ゲルろ過クロマトグラフィーによる分子量が約10
0,000 Daを示した。 2)補酵素:NAD(H)依存性であり、NADP(H)は補酵素とし
て利用しない。また、PMSおよび2,6-ジクロロフェノー
ルインドフェノール(DCIP)の系では活性は認められ
ず、PMSを電子受容体としない。 3)至適pH:図1に示した様に、セリノールを基質とした
場合の酸化的脱アミノ化反応の至適pHは10.0、ジヒドロ
キシアセトンを基質とした場合の還元的アミノ化反応の
至適pHは7.0である。 4)至適温度:pH7.0で還元的アミノ化反応させる場合、
温度約30℃において作用が至適である。 5)熱安定性:pH 7.0で30分間熱処理した場合、30℃では
比較的安定であり、40℃以上では失活する。 6)基質特異性:表3−表5にセリノールを100% とした
時の各種基質に対する相対活性を示す。また表6−表8
にはジヒドロキシアセトンを100% とした時の各種基質
に対する相対活性を示す。 7)Km値は、還元的アミノ化反応(pH7.0、リン酸緩衝
液)において、NH4Cl 25mM、NADH 0.022mM、ジヒドロキ
シアセトン 2.2mMである。一方、酸化的脱アミノ化反応
(pH9.0、トリス塩酸緩衝液)においては、NAD+ 0.84m
M、セリノール 4.0mMである。 8)安定化剤:緩衝液にグリセロール、セリノールを添加
すること、更にプロテアーゼ阻害剤であるフェニルメチ
ルスルフォニルフルオリドを添加することによって、酵
素活性が安定化される。
【0064】
【表3】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 基質 相対活性(% ) ──────────────────────── アミノアルコール類 ──────────────────────── セリノール 100 イソロイシノール 113 L-(-)-メチオニノール 85 (S)-(+)-ロイシノール 105 DL-2-アミノ-1-プロパノール 214 2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール 115 (+)-2-アミノ-1-ブタノール 109 DL-2-アミノ-1-ペンタノール 103 (S)-(+)-2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール 43 (S)-(-)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール 120 2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン 136 2-アミノシクロヘキサノール 113 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0065】
【表4】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 基質 相対活性(% ) ──────────────────────── アミノ酸類 ──────────────────────── L-セリン 83 L-アラニン 160 L-アスパラギン酸 55 L-グルタミン酸 67 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0066】
【表5】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 基質 相対活性(% ) ──────────────────────── アミン類 ──────────────────────── n-ブチルアミン 170 n-ヘキシルアミン 173 n-オクチルアミン 114 ベンジルアミン 134 (R)-2-アミノブタン 127 2-アミノペンタン 252 3-アミノペンタン 270 (R)-2-アミノヘプタン 91 (R)-1-フェネチルアミン 127 1-メチル-3-フェニルプロピルアミン 152 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0067】
【表6】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 基質 相対活性(% ) ──────────────────────── ケトアルコール類 ──────────────────────── ジヒドロキシアセトン 100 ヒドロキシアセトン 120 4-ヒドロキシ-2-ブタノン 140 3-ヒドロキシ-2-ブタノン 89 5-ヒドロキシ-2-ペンタノン 83 4-ヒドロキシ-3-ヘキサノン 94 5-ヒドロキシ-4-オクタノン 83 2-ヒドロキシアセトフェノン 186 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0068】
【表7】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 基質 相対活性(% ) ──────────────────────── ケト酸類 ──────────────────────── ピルビン酸 251 オキサロ酢酸 447 2-オキソグルタル酸 107 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0069】
【表8】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 基質 相対活性(% ) ──────────────────────── ケトン・アルデヒド類 ──────────────────────── n-ブチルアルデヒド 117 n-ヘキシルアルデヒド 100 ベンズアルデヒド 149 アセトン 78 2-ブタノン 267 2-ペンタノン 150 2-ヘキサノン 134 アセトフェノン 172 4-フェニル-2-ブタノン 134 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0070】実施例10(酵素を用いた反応) 1) ヒドロキシアセトンから2-アミノ-1-プロパノール
への変換 5mMヒドロキシアセトン、10mM NADH、0.2M NH4Cl、0.1M
トリス-塩酸緩衝液(pH8.0)に0.5単位のアミノアルコー
ル脱水素酵素(実施例7)を加えた2mlの反応系を用
い、25℃にて48時間反応させた。分析はFID検出器によ
るガスクロマトグラフィー法(カラム:TENAX TA (3.2
mm x 1 m)、インジェクション・検出器温度:250℃、N2
流速:50ml/min、カラム温度:150℃から180℃の温度勾
配(5℃/min)、180℃にて10分保持)で行った。その
結果、保持時間2.8分のヒドロキシアセトンの減少と保
持時間3.7分の2-アミノ-1-プロパノールの生成が認め
られた。2-アミノ-1-プロパノールの保持時間は標準化
合物の保持時間と完全に一致した。以上の結果より、ケ
トアルコールからアミノアルコールへの酵素的変換を確
認した。
【0071】2)オキサロ酢酸からアスパラギン酸への
変換 上記1)の反応系においてヒドロキシアセトンの代わり
にオキサロ酢酸を基質として使用し、25℃にて48時間反
応させた。反応により生成したアミノ酸を、o-フタルア
ルデヒド(OPA)-誘導体化法によってOPAの誘導体とし
た。これを高速液体クロマトグラフィー法(カラム:CA
PCELL PAC C18 AG120 (4.6 mm x 25cm)(資生堂社
製)、検出器:340nm、カラム温度:45℃、移動相流
速:1ml/min)、a)10mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)→
b)アセトニトリル:10mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)
/2:1溶液の濃度勾配溶出)で分析した。生成物のア
スパラギン酸のピークが保持時間6.5分に認められ、こ
の保持時間は、標準化合物の保持時間と完全に一致し
た。以上の結果より、ケト酸からアミノ酸への酵素的変
換を確認した。
【0072】3)1-フェネチルアミンからアセトフェノ
ンへの変換 2mM 1-フェネチルアミン、10mM NAD+、0.1Mトリス-塩酸
緩衝液(pH9.0)に0.5単位のアミノアルコール脱水素酵
素を加え、25℃にて48時間反応した。反応液をNaOHにて
pH10.0に調整した後、等量の酢酸エチルで抽出した。分
析はガスクロマトグラフィー−マススペクトロメトリー
法(QP-5000GC-MS島津製作所社製、カラム:DB-1(0.25
mm x 30 m)、インジェクション温度:180℃、検出器温
度:250℃、カラム温度:80℃ 5分保持、その後、温度
勾配(10℃/min)、180℃で5分保持)で行った。その結
果、1-フェネチルアミンの保持時間は5.42分、アセトフ
ェノンの保持時間は5.74分であり、この生成物の保持時
間およびマススペクトルは、標準化合物のデータと完全
に一致した。以上の結果より、アミンからケトンへの酵
素的変換を確認した。
【0073】比較例1(L-アラニン脱水素酵素) 従来NAD(H)に依存するアミノ酸脱水素酵素では、ケト
酸、アミノ酸以外は基質とはならないと報告されている
(日本生化学会編、生化学実験講座11、アミノ酸代謝
と生体アミン(上)193-218、J.Org.Chem.,55,5567(199
0)、醗酵と工業,40,301-311(1982))。しかしアミノアル
コールに全く作用しないという報告は認められない。そ
こで、市販のアラニン脱水素酵素のアミノアルコール類
に体する作用を調べた。反応は、1mM NAD+、10mMの各基
質、0.1Mトリス-塩酸緩衝液(pH8.0)、0.02単位のアラ
ニン脱水素酵素(Bacillus stearothermophilus由来、
生化学工業社製)を含む反応液中で25℃にて数分間行
い、生成するNADHを340nmにて分光学的に測定した。そ
の結果、同酵素は、L-アラニン以外のL-アスパラギン
酸、L-グルタミン酸、セリノール、DL-2-アミノ-1-プ
ロパノール、1-フェネチルアミン、(R)-2-アミノブタ
ン、2-アミノペンタンには作用しなかった。
【0074】比較例2(L-グルタミン酸脱水素酵素) 微生物由来のL-グルタミン酸脱水素酵素(東洋紡績社
製)およびウシ肝臓由来のL-グルタミン酸脱水素酵素
(ライフテックオリエンタル社製)を使用して、比較例
1と同様の実験を行った。その結果、いずれのL-グルタ
ミン酸脱水素酵素も、L-グルタミン酸以外のL-アラニ
ン、L-アスパラギン酸、セリノール、DL-2-アミノ-1-
プロパノール、1-フェネチルアミン、(R)-2-アミノブタ
ン、2-アミノペンタンには作用しなかった。
【0075】
【発明の効果】本発明により、幅広い基質特異性を持っ
た汎用性に優れたアミノアルコール脱水素酵素酵素が提
供される。本発明のアミノアルコール脱水素酵素によれ
ば、例えばセリノールのような有用な化合物を酵素的合
成法によって製造することが可能となる。
【0076】本発明に対し、これまでにカルボニル基を
アミノ基に変換する酵素として知られている、アミノ酸
脱水素酵素、アミン脱水素酵素、あるいはアミノ基転移
酵素では、限られたケト酸/アミノ酸の組み合わせのみ
でしか、酵素活性を期待することができなかった。本発
明によるアミノアルコール脱水素酵素は、これらの課題
を解決することができる有用な酵素である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【書類名】 受託番号変更届
【提出日】 平成12年2月9日
【旧寄託機関の名称】 通商産業省工業技術院生命工学
工業技術研究所
【旧受託番号】 生命研菌寄第17137号
(FERM P−1713 7)、生命研菌寄第17138号(FERM P−17
138)、生命研菌寄第 17139号(FERM P−17139)
【新寄託機関の名称】 通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所
【新寄託番号】 生命研条寄第6995号(F
ERM BP−6995 )、生命研条寄第6996号(FERM BP−699
6)、生命研条寄第69 97号(FERM BP−6997)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 7/40 C12P 7/40 13/00 13/00 13/04 13/04 // C12P 13/20 C12P 13/20 (C12N 9/06 C12R 1:465) (C12N 9/06 C12R 1:545) (C12N 9/06 C12R 1:39) (C12N 9/06 C12R 1:38) (C12N 9/06 C12R 1:01) (C12N 9/06 C12R 1:06) (C12N 1/20 C12R 1:465) (C12N 1/20 C12R 1:545) (C12N 1/20 C12R 1:39) (C12N 1/20 C12R 1:38) (C12N 1/20 C12R 1:01) (C12N 1/20 C12R 1:06) (C12P 13/00 C12R 1:465) (C12P 13/00 C12R 1:545) (C12P 13/00 C12R 1:34) (C12P 13/00 C12R 1:38) (C12P 13/00 C12R 1:01) (C12P 13/00 C12R 1:06) (C12P 13/04 C12R 1:465) (C12P 13/04 C12R 1:545) (C12P 13/04 C12R 1:39) (C12P 13/04 C12R 1:38) (C12P 13/04 C12R 1:01) (C12P 13/04 C12R 1:06)

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケトアルコールを還元的にアミノアルコー
    ルに変換する能力と、アミノアルコールを酸化的にケト
    アルコールに変換する能力とを有するアミノアルコール
    脱水素酵素。
  2. 【請求項2】さらにケト酸を還元的にアミノ酸に変換す
    る能力と、アミノ酸を酸化的にケト酸に変換する能力と
    を有する請求項1記載のアミノアルコール脱水素酵素。
  3. 【請求項3】さらにケトンまたはアルデヒドを還元的に
    アミンに変換する能力と、アミンを酸化的にケトンまた
    はアルデヒドに変換する能力とを有する請求項1または
    2に記載のアミノアルコール脱水素酵素。
  4. 【請求項4】以下の属に属する微生物で構成される群か
    ら選択される微生物から採取することができる請求項1
    〜3のいずれかに記載のアミノアルコール脱水素酵素。 ストレプトマイセス(Streptomyces)属 シュードモナス(Pseudomonas)属 ブルクホルデニア(Burkholdenia)属 およびアースロバクター(Arthrobacter)属
  5. 【請求項5】微生物が、以下の種から選択される請求項
    4記載のアミノアルコール脱水素酵素。 ストレプトマイセス バージニア(Streptomyces virgini
    ae)種 ストレプトマイセス グリセウス(Streptomyces griseu
    s)種 ストレプトマイセス アヴィデニ(Streptomyces avidini
    i)種 ストレプトマイセス シュードベネズラエ(Streptomyces
    pseudovenezulae)種
  6. 【請求項6】微生物が以下の種から選択される請求項4
    記載のアミノアルコール脱水素酵素。 シュードモナス フルオレセンス(Pseudomonas fluoresc
    ens)種 シュードモナス マルギナリス(Pseudomonas marginali
    s)種
  7. 【請求項7】微生物がブルクホルデニア セパシア(Burk
    holdenia cepacia)種である請求項4記載のアミノアル
    コール脱水素酵素。
  8. 【請求項8】微生物がアースロバクター オーレセンス
    (Arthrobacter aurescens)種である請求項4記載のア
    ミノアルコール脱水素酵素。
  9. 【請求項9】下記の理化学的性質を有するアミノアルコ
    ール脱水素酵素。 (a)NAD(H)依存性である。 (b)分子量:SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にお
    けるサブユニットの一部の分子量が約46,000 Daであ
    り、ゲルろ過クロマトグラフィーによる分子量が約100,
    000 Daを示す。 (c)基質特異性:NAD+の存在下、各種アミノアルコー
    ル、アミン、アミノ酸に作用してケトアルコール、ケト
    ン、アルデヒド、ケト酸を生成する。またNADHとアンモ
    ニウムイオン存在下、各種ケトアルコール、ケトン、ア
    ルデヒド、ケト酸からアミノアルコール、アミン、アミ
    ノ酸を生成する。 (d)温度安定性:pH7.0で30分間熱処理した場合、30℃で
    は比較的安定であり、40℃以上では失活する。 (e)至適温度:pH7.0で還元的アミノ化反応させる場合、
    温度約30℃において作用が至適である。 (f)至適pH:酸化的脱アミノ化反応の至適pHは10.0、還
    元的アミノ化反応の至適pHは7.0である。 (g)安定化剤:緩衝液にグリセロール、セリノールを添
    加すること、さらにプロテアーゼ阻害剤であるフェニル
    メチルスルフォニルフルオリドによって、その活性が安
    定に保持される。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載したアミ
    ノアルコール脱水素酵素生産能を有する微生物を培養
    し、その培養物から前記酵素を採取することを特徴とす
    るアミノアルコール脱水素酵素の製造方法。
  11. 【請求項11】ケトアルコールに請求項1〜9のいずれ
    かに記載されたアミノアルコール脱水素酵素を作用さ
    せ、対応するアミノアルコールを生成させて、それを採
    取することを特徴とするアミノアルコールの製造方法。
  12. 【請求項12】ケト酸に請求項2〜9のいずれかに記載
    されたアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、対応す
    るアミノ酸を生成させて、それを採取することを特徴と
    するアミノ酸の製造方法。
  13. 【請求項13】ケトンまたはアルデヒドに請求項3〜9
    のいずれかに記載されたアミノアルコール脱水素酵素を
    作用させ、対応するアミンを生成させて、それを採取す
    ることを特徴とするアミンの製造方法。
  14. 【請求項14】アミノアルコールに請求項1〜9のいず
    れかに記載されたアミノアルコール脱水素酵素を作用さ
    せ、対応するケトアルコールを生成させて、それを採取
    することを特徴とするケトアルコールの製造方法。
  15. 【請求項15】アミノ酸に請求項2〜9のいずれかに記
    載されたアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、対応
    するケト酸を生成させて、それを採取することを特徴と
    するケト酸の製造方法。
  16. 【請求項16】アミンに請求項3〜9のいずれかに記載
    されたアミノアルコール脱水素酵素を作用させ、対応す
    るケトンまたはアルデヒドを生成させて、それを採取す
    ることを特徴とするケトンまたはアルデヒドの製造方
    法。
  17. 【請求項17】次の菌株から選択される請求項1記載の
    アミノアルコール脱水素酵素産生菌。 受託番号FERMP-17137として寄託されたArthrobacter au
    rescens B151株、受託番号FERMP-17138として寄託
    されたBurkholdenia cepacia B033株、受託番号FER
    MP-17139として寄託されたPseudomonas fluorescens B
    101株、受託番号FERMP-17140として寄託されたPseud
    omonas marginalis B102株、受託番号FERMP-17141
    として寄託されたStreptomyces griseus TPC 330
    81株、受託番号FERMP-17142として寄託されたStrepto
    myces avidinii A044株、および受託番号FERMP-171
    43として寄託されたStreptomyces pseudovenezulae A
    161株
  18. 【請求項18】ケトアルコールに請求項14に記載され
    たアミノアルコール脱水素酵素の産生菌またはその処理
    物を作用させ、対応するアミノアルコールを生成させ
    て、それを採取することを特徴とするアミノアルコール
    の製造方法。
  19. 【請求項19】ケト酸に請求項2〜9のいずれかに記載
    されたアミノアルコール脱水素酵素の産生菌またはその
    処理物を作用させ、対応するアミノ酸を生成させて、そ
    れを採取することを特徴とするアミノ酸の製造方法。
  20. 【請求項20】ケトンまたはアルデヒドに請求項3〜9
    のいずれかに記載されたアミノアルコール脱水素酵素の
    産生菌またはその処理物を作用させ、対応するアミンを
    生成させて、それを採取することを特徴とするアミンの
    製造方法。
  21. 【請求項21】アミノアルコールに請求項1〜9のいず
    れかに記載されたアミノアルコール脱水素酵素の産生菌
    またはその処理物を作用させ、対応するケトアルコール
    を生成させて、それを採取することを特徴とするケトア
    ルコールの製造方法。
  22. 【請求項22】アミノ酸に請求項2〜9のいずれかに記
    載されたアミノアルコール脱水素酵素の産生菌またはそ
    の処理物を作用させ、対応するケト酸を生成させて、そ
    れを採取することを特徴とするケト酸の製造方法。
  23. 【請求項23】アミンに請求項3〜9のいずれかに記載
    されたアミノアルコール脱水素酵素の産生菌またはその
    処理物を作用させ、対応するケトンまたはアルデヒドを
    生成させて、それを採取することを特徴とするケトンま
    たはアルデヒドの製造方法。
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