JP4235404B2 - マスクの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、露光に関し、特に、マスク又はレチクル(本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する)に形成されるパターンの設定方法に関する。本発明は、例えば、IC、LSIなどの半導体チップ、液晶パネルなどの表示素子、磁気ヘッドなどの検出素子、CCDなどの撮像素子といった各種デバイス、マイクロメカニクスで用いる微細コンタクトホールパターンの製造に用いられる露光装置及び方法、デバイス製造方法、及び、前記被処理体から製造されるデバイスに関する。ここで、マイクロメカニクスは半導体集積回路製造技術を微細構造体の製作に応用し、高度な機能を持ったミクロン単位の機械システムやそれを作る技術をいう。
【0002】
【従来の技術】
フォトリソグラフィ技術を用いてデバイスを製造する際に、マスク又はレチクルに描画されたパターンを投影光学系によってウェハに投影してパターンを転写する投影露光装置が従来から使用されている。投影露光装置を用いたフォトリソグラフィ技術の微細化を行うために、様々な改善がおこなわれてきたが、一般的には投影露光装置の露光波長を短くし、投影光学系の開口数(NA)を大きくする方法が採用されてきた。
【0003】
マスクパターンには、近接した周期的なラインアンドスペース(L&S)パターン、近接及び周期的な(即ち、ホール径と同レベルの間隔で並べた)コンタクトホールパターンとがあるが。一般には、L&Sパターンの方がコンタクトホールパターンよりも解像しやすいといわれている。従って、L&Sパターンの解像度と同等のコンタクトホール列の解像度を得る需要が存在している。
【0004】
かかる問題を解決する手段として、最近では、所望のコンタクトホールパターンよりも小さなホール径を有するダミー又は補助(本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する。)のコンタクトホールパターンを所望のコンタクトホールパターンの周りに配置して、所望のコンタクトホールパターンだけを解像させることにより、微細なコンタクトホールを形成する方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の方法は、所望のパターンに周期性があるコンタクトホール列のみを取り扱っており、この場合は補助パターンの配置方法は明確である。しかし、所望のパターンとしてコンタクトホール列と孤立コンタクトホールが混在する場合には、どのように補助パターンを配置すればよいかは従来提案されていなかった。特に、近年の半導体産業は、より高付加価値な、多種多様なパターンが混在するシステムチップに生産が移行しつつあり、マスクにも複数種類のコンタクトパターンを混在させる必要が生じてきた。
【0006】
従来、所望のパターンとしてコンタクトホール列と孤立コンタクトホールが混在する場合には、設計者は手作業で補助パターンの配置を決めており、この場合には、かならずしも所望のパターンが解像度良く露光することができないという問題があった。そもそも補助パターンは本来、所望のパターンの周期性を高めるために付加され、所望のパターンの周期性は、コンタクトホールの組み合わせに依存し、どの方向においてどのコンタクトホールを組み合わせるのかということは必ずしも簡単ではなかった。
【0007】
これに対して、2枚のマスクを用いて異なる種類のパターンを別々に露光する二重露光(又は多重露光)を使用することが考えられるが、二重露光は、2枚のマスクを必要とするのでコストアップを招き、2回の露光のためにスループットが低下し、マスク交換2回の露光の高い重ね合わせ精度を必要とするため実用上解決すべき問題が多い。
【0008】
そこで、微細な(例えば、0.15μm以下の)ホール径を持ち、コンタクトホールあるいは孤立コンタクトホールからコンタクトホール列までが混在するコンタクトホールパターンを、マスクを交換せずに、高解像度で露光可能なマスクの製造方法を提供することを本発明の例示的目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の露光用マスクの製造方法は、複数種類のパターンが混在する第1のパターンと、当該第1のパターンの要素よりも寸法が小さい複数の要素を有する第2のパターンとを、前記第1のパターンが解像され、且つ、前記第2のパターンの解像が抑制されるようにマスク上に配置する露光用マスクパターンの形成方法であって、直交2方向の少なくとも一の方向において等しい間隔で整列した少なくとも3つの要素からなる周期パターンと、前記周期パターンに属さずに前記直交2方向の少なくとも一の方向において整列した一対の要素からなる孤立ペアパターンと、前記孤立ペアパターンに属さずに前記直交2方向のいずれの方向にも整列した他のペアを有しない一の要素のみからなる孤立要素のいずれかに前記第1のパターンを区分する工程と、前記一対の要素からなる孤立ペアパターンを囲むように、前記第2のパターンを前記孤立ペアパターンから離れた位置に配置する第1の配置工程と、前記孤立要素を囲むように、前記第2のパターンを前記孤立要素から離れた位置に配置する第2の配置工程と、周期的に配置された複数の要素を有する1つの前記周期パターンを囲むように、前記第2のパターンを前記周期パターンから離れた位置に配置する第3の配置工程とを有することを特徴とする。
【0025】
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施例1
図1から図2を用いて説明する。図1は所望のパターン100であり、本発明を用いて補助パターン150を付加して、図2のような露光マスクパターン200を作成した。以下、この作成例について、ステップを追って説明する。図3から図6は所望のパターン100の部分パターンについてその周期性を検出し(図2(a)におけるステップ1100)、区分するステップ(図2(a)におけるステップ1300)である。ここで、図2(a)は本発明のマスクパターン作成方法の全体の流れを示すフローチャートである。図2(b)は図2(a)の周期性判別(ステップ1100)の詳細を説明するためのフローチャートである。また、図2(c)は、図2(a)の補助パターン配置(ステップ1500)の詳細を説明するためのフローチャートである。

【0027】
図3では、まず、ステップ1として、各要素又はコンタクトホールの縦横方向の最近接要素を検出した。以下、要素101、要素102、要素103についての例を示す。要素101については、縦方向Vと横方向Hに対して右左、上下の4つの方位について最近接要素を探すと、要素101については右のHnnと上のVnnが検出された。要素102については、横方向Hについて右の方位にHnnが検出された。要素103に関しては4つの方位全てで要素は検出されなかった。
【0028】
次のステップ2では、図4に示すように、最近接要素が検出された要素101と要素102に関して、例えば、要素101から右の最近接要素Hnnに至るベクトルを、最近接要素Hnnを起点に延長した点に他の要素があるかどうかを検出した。この場合も要素は存在した。同様に要素101については上のVnnの方位にも要素は存在した。要素102については、最近接要素の右方位Hnnの延長位置には要素は存在しなかった。さらに、図5に示すように、最近接要素が検出された要素101と要素102に関して、最近接要素までのベクトルの逆ベクトル(向きのみ逆にしたベクトル)を用いて延長した位置に要素が存在するかどうかを検出した。要素101に関しては右方位の最近接要素Hnnの逆の左側と、上方位の最近接要素Hnnの逆の下側について調べたが、両方共にその位置に要素は存在しなかった。要素102に関しては右方位の最近接要素Hnnの逆の左側を調べたが、その位置に要素は存在しなかった。
【0029】
以上のように最近接要素の検出、その順方向、逆方向への周期的な位置への延長位置での他の要素の検出を行った結果を以下のように要素が属する部分パターンの周期性判別に用いた。まず、要素101に関しては横方向の右方位、左方位合わせて、2つ以上の最近接要素および延長位置上の要素の存在が検出された、この情報から、この要素は横方向に周期的であるパターンに属する要素であると判別された。同様に縦方向についても上方位、下方位に関して2つ以上の要素が存在したので、要素101は横方向にも周期的であるパターンに属する要素と判別された。そして、各要素について同様に調べ、このような一つの周期パターン110に属する要素の集合として区分された。次に要素102に関しては、縦方向、横方向の4つの方位合わせて、1つだけの最近接要素および延長位置上の要素の存在が検出された、これより、この要素は孤立ペアパターン120に属する要素と判別される。ペアとなるもう片方の要素についても同様に判定され、この2つの要素はこの孤立ペアパターン120に属する要素の集合として区分された。要素103に関しては、縦方向、横方向の4つの方位合わせて、最近接要素および延長位置上の要素は存在しなかった。このことからこの要素は単独でパターンを形成する孤立要素130として区分された。
【0030】
ステップ4以下では、補助パターン150である新規要素を追加配置していく。まず孤立ペアパターン120を元にした新規要素を優先する。以下、図7にその様子を示す。ペアである2つの要素は互いに最近接要素であるが、この要素ー最近接要素間のベクトルを用いて、延長位置に補助パターンとなる新規要素を追加配置する。補助パターンの大きさは、露光のパラメターである波長λ、投影光学系のNAを用いて、2光束干渉の限界解像度であるλ/(4NA)を単位として1以下とし、実際の露光結果には明確なパターンとして解像しないようにしておくことが好ましい。補助パターンとして追加する新規要素の数は、両側に2周期あるいはそれ以上が好ましく、またそれ以上配置した場合に隣接する他のパターンとの干渉をさけるように適宜追加する周期数が設定されることが好ましい。
【0031】
次に、孤立要素130を基にした新規要素を追加していく。以下、図8にその様子を示す。孤立要素130には縦方向、横方向に最近接要素は存在しない。そこで、縦横以外の自由方位の最近接要素を検出する。この場合は前記の孤立ペアパターン120の左要素が最近接要素であった。次に、この最近接要素までのベクトルは斜め方向であるので、これを縦軸と横軸にそれぞれ射影した射影ベクトルを求め、この孤立要素130を起点に延長した位置に補助パターン150となる新規要素を追加配置する。
【0032】
さらに、同様の手順を孤立ペアパターン120の他の構成要素、すなわち、この場合は右の要素について行う。図9に示したように、ステップ5と同様、孤立要素130から斜めのベクトルを求め、この縦横射影ベクトルを用いて新規要素を配置した。
【0033】
次に、孤立要素130を起点にステップ5、ステップ6で用いた縦と横への射影ベクトルの逆ベクトルを用いた延長位置に補助パターンとなる新規要素を追加配置した。この様子を図10に示した。
【0034】
以上のステップ4からステップ7によって孤立ペアパターン120と孤立要素130について補助パターンの新規要素が追加された状態となり、従って、元の所望パターン100では周期性を持たなかった孤立ペアパターン120と孤立要素130についても新規要素を合わせて考慮すれば周期性を持つこととなった。このステップ8では、周辺に新規配置された補助パターン150によって生じた新しい周期性を利用して、孤立ペアパターン120と孤立要素130についてさらに新規要素を追加するステップである。即ち、孤立ペアパターン120に対して、補助パターンとして追加配置された新規要素を既存要素として追加し、以前の孤立ペアパターンに属していた要素が周期性をもつようになったことを考慮して周期性を利用した補助パターン追加(2周期)を行う。本実施例では、孤立ペアパターン120に対して、既に追加された要素からのベクトルを用いて図11に示すように新規要素を追加配置した。次に、孤立要素に対して、同様に、補助パターン150として追加配置された新規要素を既存要素として追加し、孤立ペアパターンに属していた要素が新たに周期性をもつようになったことを考慮して、この周期性を利用して、図12に示すように、補助パターンの2周期分の追加を行う。以上により、優先度の高い、孤立ペアパターン120、孤立要素130に起因する補助パターン新規要素の追加配置が完了した。
【0035】
本ステップでは、本実施例において優先度を低く設定された周期パターン110に関する補助パターン新規要素を追加配置する。図13に示すように、周期パターン110に対する補助パターン150の新規要素は周期パターン110に属するパターンの境界部の要素111及び114から発生させた。従って、最初に周期パターン110に属する境界部要素を検出した。検出の方法としては、前記周期性判別において、図5に示した要素101のようにある方位において、要素の存在がなかったという情報を用いた。この要素101の場合には2つの方位で要素が存在していない。このような要素は周期パターン110の頂点境界部要素111であると判別できる。図13に示した要素114は、1方位の延長位置にのみ、該当要素が存在しない。このような要素は周期パターン110の辺境界部要素と判別できる。このようにして境界部要素とその種類を検出した後、本実施例では図13に示すように、補助パターン150となる新規要素を追加した。まず辺境界部要素である要素114については要素のない下方位の逆の上方位の最近接要素Vnnから要素114へ至るベクトルを用いて、要素114を起点にした延長位置に新規要素を追加配置した。さらにこの新規要素を起点に同じベクトルを用いて延長した位置にも新規要素を配置し、補助パターンを2周期となるように拡張した。次に、頂点境界部要素である要素111に関しては、図中に示した番号に従って、新規要素を追加配置した。すなわち、2方位の最近接要素Hnn、Vnnから要素111へのベクトル2つを用いて前記辺部境界要素と同様に配置、拡張した(1、2、3、4)後、さらに2方位のベクトルを組み合わせた延長位置(5、6、7、8)に周期的な補助パターンを拡張した。
【0036】
図14は、実施例1の補助パターンの追加配置の順序及び優先度を決めるパターン区分(それぞれについて周辺に2周期分の範囲を含む)についての模式図である。ここで、孤立要素と近接する孤立ペアパターンの左要素との距離Lは、L=2(λ/(4NA)を単位とする)である。
【0037】
図15は、別の条件を持つ所望のパターン100について自由方向最近接要素間が所定の長さをもつ場合に(本図では(4≦L<6)、中間要素152を追加配置した補助パターン150の様子を示した模式図である。この場合、まず、4≦L<6であることを判定し,その次に,補助パターンを配置するために使われる縦軸(V)と横軸(H)への射影ベクトルの長さL_VとL_Hが4以上であるかどうかを判定し、4以上である方向にのみ中間要素を配置する。図15の場合には、L_V<4でとL_H>4であるので、横方向に関してのみ、中間要素152を配置した。
【0038】
図16は、図15について、補助パターンの追加配置の順序及び優先度を決めるパターン区分(それぞれについて周辺に2周期分の範囲を含む)について示す模式図である。
【0039】
図17は、孤立ペア、孤立要素について最近接となる孤立要素が存在しない場合に、ペアを結ぶ方向に垂直な方向に関して要素の幅を用いて周期的な補助パターン新規要素を配置した様子を示す模式図を有する。
【0040】
図18は、孤立要素130について、縦、横両方向共に要素の幅を用いて周期的な補助パターン150の新規要素を配置した様子を示す模式図である。
【0041】
ステップ9で示した方法で、周期パターン110に起因する補助パターン150の新規要素を追加配置した結果が図2である。ただし、既に配置されている他のパターン、すなわち孤立ペアパターン120と孤立要素130、そしてその2つから起因した補助パターンに属する既存要素と干渉する新規要素については、これを配置しなかった。干渉についての検出方法として、本実施例では、要素の重心間の距離がλ/(4NA)を単位として2以下であることを条件とした。この点については、あるいは、要素の端部同志の最短距離がλ/(4NA)を単位として1以下であるという判定基準を用いることも適宜できる。
【0042】
以上のようにして、ステップ1からステップ10に説明した方法を用いて、本実施例では図1の所望パターン100から図2の補助パターンを付加した露光マスクパターン200を形成することができ、本実施例のアルゴリズムに基づけば、様々な周期性を持つパターンの混在した所望パターン100に対して、それぞれの周期性を活かした周期性を強化する補助パターンが適切な位置に配置され、この露光マスクパターン200を用いることにより、改善された露光が可能となった。
実施例2
本実施例では前記実施例1の方法で説明された、孤立ペアパターン120について、補助パターンの新規要素を配置する他の方法を実施したものである。図19に示すように、ペアとなるパターンの大きさと距離については例えばパターン20a、パターン20b等のバリエーションが考えられる。本実施例では、この大きさと距離について、λ/(4NA)を単位に識別し、その情報に基づいて補助パターンの追加方法を変えることを特徴としている。
【0043】
図19中、パターン20aは要素の大きさがそれぞれ1、要素重心間の距離が2である。このようなパターンの周期性は露光系として、その限界解像能力を発揮する2光束干渉によって実現される周期パターン110と類似である。このような場合には、そのまま実施例1で示したように、このパターンの両側にパターン20bのように周期性を保って補助パターンを追加していった。
【0044】
次にパターン21aは、要素の大きさがそれぞれ1、要素重心間の距離が5である。このようなパターンの場合には、間隔が要素の大きさと限界解像に比べて広く、そのまま処理をすると、周期性が悪くなるため、パターン21bのように、ペアの2つの要素の中間に補助パターンとなる新規要素を追加する。そして、次にこの新規要素とペアの構成要素とを結ぶベクトルを用いて、パターン21cのようにペアの外側の周期的な位置に補助パターン新規要素を追加配置した。
【0045】
次に、図20に示すように、孤立ペアパターンの2つの要素の大きさが所謂コンタクトホール程度のλ/(4NA)を基準として1程度でなく、2以上など、比較的大きい要素である場合について、特に要素間隙が狭い場合の対処について説明する。まず、図中(a)の場合には、要素の大きさはそれぞれ2以上であり、要素間隙Lについては1以上である。このような孤立ペアパターンの場合、要素間隙を解像することは比較的容易であるため、要素間隙よりも要素全体の周期性を重視し、2つの要素の重心を結ぶベクトルを両側への補助パターン配置に用いた。一方、図中(b)の場合には、要素の大きさは同様であるが、要素間隙が1以下と解像限界以下の構造となっており、この間隙を解像することが非常に難しい。このような孤立ペアの所望パターンの場合には、要素全体の周期性よりも、
解像しにくい要素間隙をより重視し、解像限界である周期が2の補助パターンの配置を当該間隙の位置に合わせて行うことが好ましい。即ち、間隙をまたぎ、間隙の中点が自分自身の中点となるようなベクトルで、長さが2であるものを基準に、この延長状に周期が2の補助パターンを配置した。
【0046】
以上のようにして、実際に求められる各種の所望の孤立ペアパターンに対して、本実施例では、その要素の大きさと間隔を考慮した補助パターンの配置を行うことによって、露光系の性質をより加味した露光マスクパターン200が実現され、この露光マスクパターン200を用いることにより、改善された露光が可能となった。
実施例3
本実施例は所望パターン100において、前記実施例1の方法でパターンの周期性を検出した場合に、周期パターン110が複数存在し、それらの周期パターン110同志において、互いに補助パターンを追加配置しようとした場合に、干渉がおこる場合の対処について実施した例である。図21に本実施例の様子を示す。図中には2種類の異なる周期を持つ周期パターン110が図示されており、それぞれから2周期の補助パターンを追加配置した範囲を見ると、重複する範囲が存在する。
【0047】
このような重複範囲においては、追加配置しようとした新規要素2つ、あるいは、新規要素と所望パターンに属する既存要素が、近接したり、あるいは一部重なったりする場合が生じる。まず、このような要素同志の干渉は要素間の距離を検査することによって判別することができる。ただし、要素の大きさに応じて、この判別する距離の基準を変えることが好ましい。即ち、本実施例では図22に示したように、例えば図中左上の補助パターン新規要素同志の干渉チェックであれば、距離は要素の重心間の距離とし、λ/(4NA)を単位として限界解像周期の基準である2以下を干渉と判別するのが好ましい。一方、図中右下の例のように所望パターンの要素の場合、要素の大きさが1以上で大きいものが存在し、その場合には、要素重心間の距離が2以上でも、要素の端部同志の距離が1以下となる場合があり、よって、要素の端部同志の距離を用いて、これが1以下となる場合を干渉と判別することが好ましい。
【0048】
本実施例では、以上の方法によって判別された干渉に対して、このような重複部分においては、図21に示すように、期の小さい周期パターン110に起因した補助パターンを優先的に配置した。この配置により、周期の大きい周期パターン110を優先させた場合に比べ、周期の小さい部分の露光像が劣化することが少なく、かつ、周期の大きい部分の露光像の劣化も許容できる程度にすることが可能となった。
実施例4
本実施例では、所望パターン100において、前記実施例1の方法でパターンの周期性を検出した場合に、周期パターン110が複数存在し、それらの周期パターン110同志において、互いに補助パターンを追加配置しようとした場合に、干渉がおこる場合の別の対処方法について実施した例である。図23に本実施例の様子を示す。図中には2種類の異なる周期を持つ周期パターン110が図示されており、それぞれから2周期の補助パターンを追加配置した範囲を見ると、重複する範囲が存在する。本実施例では、このような重複部分において、周期の小さい周期パターン110に起因した補助パターンをまず優先的に配置し、次に、周期の小さいパターンからの補助パターンと周期の大きいパターンからの補助パターンが所定の距離であるλ/(4NA)を単位として略1の範囲に近接した場合に、追加しようとする要素2つの中央に2つを代表し、融合された1つの要素を配置した。この配置により、本実施例では、補助パターンの欠乏領域を減らすことと、互いに異なる周期からの補助パターンの競合を避けることの2つを適度に満たすことができ、より効果的な露光が可能となった。
実施例5
図24は、本発明のマスク製造方法又はマスク作成方法をまとめたフローチャートである。本発明のマスク作成方法は、周期性を判別する工程(ステップ1100)と、パターンの構造要素を区分する工程(ステップ1300)と、補助パターン150を配置する工程(ステップ1500)とを有する。
【0049】
周期性を判別する工程(ステップ1100)は、より詳細には、要素を選択する工程(ステップ1110)と、最近接要素を検出する工程(ステップ1130)と、延長位置の要素を検出する工程(ステップ1150)と、延長位置に存在する要素数を検出する工程(ステップ1170)とを有する。
【0050】
また、補助パターン150の配置工程(ステップ1500)は、孤立ペアパターン120単独の補助パターン150を配置する工程(ステップ1510)と、孤立要素130と近接パターンについて補助パターン150を配置する工程(ステップ1530)と、孤立要素130単独の補助パターン150を配置するステップと、既存の補助パターン150を含む要素の周期性を用いた補助パターン150の配置工程(ステップ1570)と、周期パターン110の補助パターン150を配置する工程(ステップ1590)とを有する。
【0051】
次に、図25及び図26を参照して、上述のマスクを利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図25は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ51(回路設計)では、デバイスの設計を行なう。ステップ52(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ53(ウェハ製造)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ54(ウェハプロセス)は前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ55(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ54によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ56(検査)では、ステップ55で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ57)される。
【0052】
図26は、図25に示すステップ54のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ61(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ62(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ63(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ64(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ65(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ66(露光)では、露光装置によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ67(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ68(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ69(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施形態のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、かかるマスクを使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面として機能するものである。
【0053】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】 所望のパターンを示す模式図である。
【図2】 露光用マスクパターンを示す模式図である。
【図3】 最近接要素検出の様子を示す模式図である。
【図4】 周期性判定のための要素検出を示す模式図である。
【図5】 周期性判定のための逆方位への要素検出を示す模式図である。
【図6】 周期性判定により区分されたパターンと構成要素を示す模式図である。
【図7】 孤立ペアパターンについて補助パターン新規要素を配置する様子を示す模式図である。
【図8】 孤立要素から孤立ペアパターンとの関係を用いて補助パターン新規要素を配置する様子を示す模式図である。
【図9】 孤立要素から孤立ペアパターンとの関係を用いて補助パターン新規要素を配置する他の工程の様子を示す模式図である。
【図10】 孤立要素から孤立ペアパターンとの関係を用いて補助パターン新規要素を配置するその他の工程の様子を示す模式図である。
【図11】 追加配置された補助パターン要素を用いた周期性により孤立ペアパターンに関する補助パターン新規要素を追加配置する要素を示す模式図である。
【図12】 追加配置された補助パターン要素を用いた周期性により孤立要素に関する補助パターン新規要素を追加配置する要素を示す模式図である。
【図13】 周期パターンとその境界部要素から補助パターン新規要素を配置する様子を示す模式図である。
【図14】 実施例1の補助パターンの追加配置の順序および優先度を決めるパターン区分(それぞれについて周辺に2周期分の範囲を含む)について示す模式図である。
【図15】 別の条件を持つ所望パターンについて,自由方向最近接要素間が所定の長さを持つ場合に,中間要素を追加配置した補助パターンの様子を示した模式図である。
【図16】 図16について、補助パターンの追加配置の順序および優先度を決めるパターン区分(それぞれについて周辺に2周期分の範囲を含む)について示す模式図である。
【図17】 孤立ペアパターンについて最近接となる孤立要素が存在しない場合に,ペアを結ぶ方向に垂直な方向に関して要素の幅を用いて周期的な補助パターン新規要素を配置した様子を示す模式図である。
【図18】 孤立要素について、縦、横両方向ともに、要素の幅を用いて周期的な補助パターン新規要素を配置した様子を示す模式図である。
【図19】 孤立ペアパターンのバリエーションと、構成に応じて補助パターン新規要素の配置方法を変化させる様子を示す模式図である。
【図20】 孤立ペアパターンの別のバリエーションと、構成に応じて補助パターン新規要素の配置方法を変化させる様子を示す模式図である。
【図21】 周期の違う周期パターンの補助パターンが干渉する場合の処理の一例を示す模式図である。
【図22】 補助パターンが干渉するかどうかの判別基準の例を示す模式図である。
【図23】 周期の違う周期パターンの補助パターンが干渉する場合の処理の他の一例を示す模式図である。
【図24】 本発明のマスク製造方法又はマスクパターン作成方法を示すフローチャートである。
【図25】 本発明のマスクを使用したデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図26】 図25に示すステップ54の詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
100 所望のパターン
110 周期パターン
120 孤立ペアパターン
130 孤立要素
150 補助パターン
200 露光用マスクパターン

Claims (10)

  1. 複数種類のパターンが混在する第1のパターンと、当該第1のパターンの要素よりも寸法が小さい複数の要素を有する第2のパターンとを、前記第1のパターンが解像され、且つ、前記第2のパターンの解像が抑制されるようにマスク上に配置する露光用マスクパターンの形成方法であって、
    直交2方向の少なくとも一の方向において等しい間隔で整列した少なくとも3つの要素からなる周期パターンと、前記周期パターンに属さずに前記直交2方向の少なくとも一の方向において整列した一対の要素からなる孤立ペアパターンと、前記孤立ペアパターンに属さずに前記直交2方向のいずれの方向にも整列した他のペアを有しない一の要素のみからなる孤立要素のいずれかに前記第1のパターンを区分する工程と、
    前記一対の要素からなる孤立ペアパターンを囲むように、前記第2のパターンを前記孤立ペアパターンから離れた位置に配置する第1の配置工程と、
    前記孤立要素を囲むように、前記第2のパターンを前記孤立要素から離れた位置に配置する第2の配置工程と、
    周期的に配置された複数の要素を有する1つの前記周期パターンを囲むように、前記第2のパターンを前記周期パターンから離れた位置に配置する第3の配置工程とを有することを特徴とする方法。
  2. 前記孤立要素を囲むように、前記第2のパターンを配置する前記第2の配置工程では、前記孤立要素から前記孤立ペアパターンへの斜めのベクトルの射影ベクトルを求め、前記孤立要素を起点に前記射影ベクトルだけ延長した位置に前記第2のパターンを配置することを有する請求項1記載の方法。
  3. 前記孤立要素を囲むように、前記第2のパターンを配置する前記第2の配置工程では、前記孤立要素を起点に前記孤立要素の要素幅だけ延長した位置に前記第2のパターンを配置することを有する請求項1記載の方法。
  4. 前記第1乃至第3の配置工程で配置することになった前記第2のパターンのうち第1の要素と第2の要素との距離が所定の距離以内である場合に、前記第1及び第2の要素のうち一方のみを配置することを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記第1乃至第3の配置工程で配置することになった前記第2のパターンのうち第1の要素と第2の要素との距離が所定の距離以内である場合に、前記第1及び第2の要素の代わりに前記第1及び第2の要素の中央に1つの要素を配置することを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 前記孤立ペアパターンを囲むように、前記第2のパターンを配置する前記第1の配置工程では、前記孤立ペアパターンの外側の前記整列方向に、前記孤立ペアパターンの間隔で前記第2のパターンの2つの要素を配置することを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 前記孤立ペアパターンを囲むように、前記第2のパターンを配置する前記第1の配置工程では、前記孤立ペアパターンの外側の前記孤立ペアパターンが整列している方向と垂直な方向に、前記孤立ペアパターンを起点に前記孤立ペアパターンの要素の要素幅だけ延長した位置に前記第2のパターンを配置することを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. 前記周期パターンを囲むように、前記第2のパターンを配置する前記第3の配置工程では、前記周期パターンの外側に前記少なくとも3つの要素が整列している方向に前記少なくとも3つの要素の間隔で前記第2のパターンの2つの要素を配置することを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 前記所定の距離は、露光光の波長をλ、前記マスクパターンを被露光体に転写する投影光学系の開口数をNAとすると、λ/(4NA)を単位として2以下であることを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
  10. 前記所定の距離は、露光光の波長をλ、前記マスクパターンを被露光体に転写する投影光学系の開口数をNAとすると、λ/(4NA)を単位として対象となる2つの要素の最近接端部の距離が1以下であることを特徴とする請求項4又は5記載の方法。
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