JP4234984B2 - 接眼レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば双眼鏡に使用される接眼レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、対物レンズ系によって形成された物体像を拡大観察するための接眼レンズが知られている。このような接眼レンズは、例えば双眼鏡に用いられる。このような双眼鏡用の接眼レンズとしては、例えばカール・ツァイス社の接眼レンズが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。このカール・ツァイス社の接眼レンズは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負レンズと正レンズとからなる正の接合レンズと、2枚の正レンズと、正レンズと観察側に凹面を向けた負レンズとからなる接合正レンズとを含む構成であり、比較的、見掛け視界が大きい。さらに、接眼レンズにおける最も観察側の面と瞳位置との距離、すなわちアイレリーフが比較的長く、約0.8fである。
【0003】
【非特許文献1】
吉田正太郎著「天文アマチュアのための望遠鏡光学・屈折編」誠文堂
新光社、1989年12月10日、p.220−223
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の接眼レンズは、双眼鏡に適用される場合、中心領域では十分な性能を有しているものの、見掛け視界を60°以上とした場合の視野周辺領域では収差補正が不十分であり、特に歪曲収差が大きい。また、双眼鏡としての使いやすさを向上し、全視野の観察を容易に行うことができるようにするため、さらにアイレリーフを長く(例えば、接眼レンズ全体の焦点距離よりも長く)することが望まれる。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、従来に比べてより長いアイレリーフを確保しつつ、良好に諸収差が補正され、大きな見掛け視界であっても観察者がより快適な観察を行うことができる接眼レンズを提供することにある。
【0006】
本発明による接眼レンズは、物体側から順に、第1の負レンズと、負の接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと、第1の正レンズと、観察側に凹面を向けた正の接合レンズとからなり、負の接合レンズが、物体側から順に第2の正レンズと、両凹形状または物体側に凹面を向けた平凹形状を有する第2の負レンズとによって構成されている。さらに、第1の負レンズと第2の正レンズとの間に焦点面、すなわち、接眼レンズ全系の焦点位置を含み、かつ光軸に直交する面を有するように構成されている。
【0007】
本発明による接眼レンズでは、以上の基本構成により、特に双眼鏡に適した性能が得られる。すなわち、接眼レンズ全系の焦点位置よりも物体側に第1の負レンズを配置することにより、接眼レンズのアイレリーフをより長くすることができる。さらに、物体側から順に、上記のように構成された負の接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズとを有するようにしたので、見掛け視界をより大きくした場合であっても高次の収差を良好に補正できる。
【0008】
ここで、本発明による接眼レンズは、さらに、以下の条件式(1)を満足するように構成されていることが望ましい。
−0.3≦{(1−n3)/R6+(n4−1)/R7}・f≦−0.1 ……(1)
ただし、fは全系の焦点距離を示し、n3は第2の負レンズの屈折率を示し、R6は第2の負レンズにおける物体側とは反対側の面の曲率半径を示し、n4は正メニスカスレンズの屈折率を示し、R7は正メニスカスレンズにおける物体側の面の曲率半径を示す。ここで、屈折率n3および屈折率n4は、d線(波長λd=587.6nm)に対応するものである。
【0009】
本発明による接眼レンズは、さらに、以下の条件式(2)を満足するように構成されていることが望ましい。
−2≦R8/f≦−1 ……(2)
ただし、fは全系の焦点距離を示し、R8は正メニスカスレンズにおける物体側とは反対側の面の曲率半径を示す。
【0010】
本発明による接眼レンズは、さらに、以下の条件式(3)を満足するように構成されていることが望ましい。
−8≦f1/f≦−3 ……(3)
ただし、fは全系の焦点距離を示し、f1は第1の負レンズの焦点距離を示す。
【0011】
上述の基本構成にこれらの条件式(1)〜(3)を適宜満足することにより、見掛け視界をより大きくした場合であっても諸収差の補正をより良好に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る接眼レンズ10が適用される双眼鏡について説明する。図1に示した双眼鏡は、物体側に配置された対物レンズ12と、一組の正立プリズム11(11A,11B)と、接眼レンズ10とを備えている。対物レンズ12は、例えば、正レンズ12Aと負レンズ12Bとからなる接合レンズにより構成されている。接眼レンズ10は、第1の焦点面Simg および第2の焦点面SSを含んでいる。
【0014】
図1のような構成の双眼鏡では、観察対象となる物体からの入射光が主に対物レンズ12によって集光され、正立プリズム11Aと正立プリズム11Bとを順に通過し、接眼レンズ10に導かれるようになっている。ここで、対物レンズ12の集光によって形成された光学像は上下左右が反転しており、正立プリズム11A,11Bを通過することにより再度、上下左右が反転し元に戻される。正立プリズム11A,11Bを介して形成された対物レンズ12による光学像は、接眼レンズ10に入射すると第2の焦点面SSに向かうように集光され、第1の焦点面Simg を通過し、拡大観察される。
【0015】
次に、本実施の形態に係る接眼レンズ10の構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る接眼レンズ10の一構成例(便宜上、接眼レンズ10Aと記す。)を示したものである。また、図3は、本実施の形態に係る接眼レンズの他の構成例(便宜上、接眼レンズ10Bと記す。)を示している。図2および図3において、符号Zeye で示す側が観察側(観察者側、瞳側)であり、符号Zobj で示す側が、物体側(図1に示した双眼鏡における対物レンズ12側)に対応する。また、図2および図3において、符号Siは、瞳位置(アイポイント)E.Pから最も遠い側(最も物体側)を1番目として、観察側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1〜13)の構成要素の面を示す。面S3は、視野絞り位置P1を含む第1の焦点面Simg を表す。また、第2の焦点面SSは、接眼レンズ10および対物レンズ12の焦点位置P2を含み、光軸Z1に直交する面を表す。さらに、符号Diは、i番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸Z1上の面間隔を示し、符号Ljは、物体側から観察側に向かって順次増加するj番目(j=1〜7)のレンズを示す。
【0016】
続いて、図2,図3に示した本実施の形態に係る接眼レンズ10A,10Bについて、以下に説明する。特に区別をする必要のない場合には、接眼レンズ10A,10Bを総称して接眼レンズ10とする。
【0017】
本実施の形態に係る接眼レンズ10は、光軸Z1に沿って、物体側から順に、負のレンズL1と、負の接合レンズL23と、メニスカスレンズ形状を有する正のレンズL4と、正のレンズL5と、正の接合レンズL67とを備えている。ここで、レンズL1が本発明における「第1の負レンズ」の一具体例に対応し、レンズL4が本発明における「正メニスカスレンズ」の一具体例に対応し、さらにレンズL5が本発明における「第1の正レンズ」の一具体例に対応する。
【0018】
レンズL1は、例えば図2に示した接眼レンズ10Aのように、観察側に凹面を向けた平凹形状で構成される。ただし、このレンズL1は、接眼レンズ10B(図3)のように、物体側に凹面を向けた平凹形状で構成されるようにしてもよい。
【0019】
負の接合レンズL23は、物体側から順に正のレンズL2と負のレンズL3とによって構成されている。レンズL2は、例えば観察側に凸面を向けたメニスカス形状で構成され、レンズL3は、例えば物体側に凹面を向けた平凹形状で構成される。ただし、レンズL3は、接眼レンズ10B(図3)のように両凹形状で構成されるようにしてもよい。ここで、レンズL2が本発明における「第2の正レンズ」の一具体例に対応し、レンズL3が本発明における「第2の負レンズ」の一具体例に対応する。
【0020】
レンズL4は、物体側に凹面を向けた正メニスカス形状を有し、レンズL5は、例えば両凸形状を有している。
【0021】
また、正の接合レンズL67は物体側から順に、例えば正のレンズL6と負のレンズL7とによって構成されている。レンズL6は、例えば両凸形状で構成され、レンズL7は、例えば両凹形状で構成される。
【0022】
さらに、接眼レンズ10は、レンズL1とレンズL2との間に、第1の焦点面S3(Simg )を有するように構成されている。この第1の焦点面S3(Simg )はレンズL2からレンズL7の焦点面であり、光軸Z1に直交している。ここで、第1の焦点面S3(Simg )が本発明における「焦点面」の一具体例に対応する。
【0023】
また、接眼レンズ10は、主として良好な収差性能を確保するために、以下の条件式(1)を満足するように構成されていることが望ましい。条件式(1)において、fは全系の焦点距離を示し、n3はレンズL3の屈折率を示し、R6はレンズL3における物体側とは反対側の面S6の曲率半径を示し、n4はレンズL4の屈折率を示し、R7はレンズL4における物体側の面S7の曲率半径を示す。
−0.3≦{(1−n3)/R6+(n4−1)/R7}・f≦−0.1 ……(1)
【0024】
接眼レンズ10は、良好な収差性能を確保するために、以下の条件式(2)を満足するように構成されていることが望ましい。条件式(2)において、fは全系の焦点距離を示し、R8はレンズL4における物体側とは反対側の面S8の曲率半径を示す。
−2≦R8/f≦−1 ……(2)
【0025】
接眼レンズ10は、十分なアイレリーフと共にコンパクト性を確保するために、以下の条件式(3)を満足するように構成されていることが望ましい。条件式(3)において、fは全系の焦点距離を示し、f1はレンズL1の焦点距離を示す。
−8≦f1/f≦−3 ……(3)
【0026】
次に、以上のような構成の接眼レンズ10によってもたらされる光学的な作用について説明する。
【0027】
本発明による接眼レンズ10では、負のレンズL1が第1の焦点面Simg よりも物体側に配置される。このレンズL1は、物体からの入射光の光束径を拡大する機能(光束拡大機能)を有するので、接眼レンズ10のアイレリーフを全体の焦点距離fよりも長くすることができる。さらに、レンズL1は、後続レンズにおいて生じる像面湾曲および非点収差等の諸収差を相殺して除去するために予め収差を補正(以下、予備的補正という。)する機能(以下、収差補正機能)を有する。ここで、レンズL1の焦点距離f1が条件式(3)に示した範囲に制限されることから、後述するように、光束拡大機能と収差補正機能とが適正な範囲内でバランスよく規定される。
【0028】
また、本発明による接眼レンズ10では、物体側から順に、正のレンズL2と両凹形状または物体側に凹面を向けた平凹形状を有する負のレンズL3とによって構成される負の接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズであるレンズL4とを有するようにしたので、見掛け視界を60°とした場合であっても高次の収差を良好に補正できる。ここで、レンズL4は、強いパワーを有する凸面を観察側に向けることにより樽型の歪曲収差を発生させ、レンズL5からレンズL7において発生する糸巻き型の歪曲収差を打ち消すように機能する。
【0029】
条件式(1)は、レンズL3とレンズL4との間に形成された空気レンズにおける適正なパワー範囲を規定している。すなわち、レンズL3の観察側の面S6の形状と、レンズL4の物体側の面S7の形状とを適切にすることにより、歪曲収差および高次の非点収差等を良好に補正することができる。具体的には、条件式(1)の下限を下回ると空気レンズのパワーが強くなり過ぎ、コマ収差を補正しきれなくなる。一方、上限を上回ると空気レンズのパワーが弱くなり、歪曲収差および高次の非点収差を補正することが困難となる。
【0030】
条件式(2)は、レンズL4の適正な負のパワー範囲を規定している。条件式(2)の下限を下回ると曲率半径R8が大きくなり過ぎ、歪曲収差を補正しきれなくなる。一方、上限を上回ると曲率半径R8が小さくなり過ぎ、コマ収差が増大してしまう。
【0031】
条件式(3)は、レンズL1における適正な負のパワー範囲を規定している。条件式(3)の下限を下回るとレンズL1のパワーが弱くなり、ハイアイ、すなわち、全系の焦点距離fよりも長いアイレリーフの確保が困難となると共に、像面湾曲および非点収差を十分に補正しきれなくなってしまう。一方、上限を上回るとレンズL1のパワーが増大して入射光束径が顕著に拡大されることとなり、アイレリーフが長くなるものの、接眼レンズの大型化を招く結果となる。より詳細には、光束拡大により系全体のレンズ外径が増大してしまうと共に、過剰な予備的補正が行われることになるので、これを相殺するために後続のレンズ枚数を増やす必要が生じてしまう。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態に係る接眼レンズ10によれば、上述の構成と各条件式を適宜満足することにより、特に双眼鏡に適した性能を得ることができる。このため、(例えば60°以上の)大きな見掛け視界であっても諸収差を良好に補正しつつ、ハイアイを確保することができる。これにより、観察者がより広い視野範囲での観測を容易に行うことができる。
【0033】
【実施例】
次に、本実施の形態に係る接眼レンズ10の具体的な数値実施例について説明する。以下では、第1および第2の数値実施例(実施例1および実施例2)についてまとめて説明する。
【0034】
図4は接眼レンズ10A(図2)の構成に対応する実施例1としてのレンズデータを示し、図5は接眼レンズ10B(図3)の構成に対応する実施例2としてのレンズデータを示しすものである。
【0035】
図4および図5に示したレンズデータにおける面番号Siの欄には、図2および図3のレンズの面番号に対応した番号を示している。ただし、面S3は、視野絞り位置P1を含む第1の焦点面Simg を表す。曲率半径Riの欄には、それぞれの面番号Siに対応したi番目の面の曲率半径の値を示す。面間隔Diの欄についても、図2および図3に示した符号にそれぞれ対応した、物体側からi番目の面Siとi+1番目の面Si+1との光軸Z1上の間隔を示す。曲率半径Riおよび面間隔Diの値の単位はミリメートル(mm)である。ndj,νdjの欄には、それぞれ、物体側からj番目(j=1〜7)のレンズ要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率およびアッベ数の値を示す。2ωは見掛け視界を示し、いずれの場合も62.6°である。また、接眼レンズ10A,10B全系の焦点距離fは、共に18.59mmである。
【0036】
ここで、各実施例の接眼レンズについて、そのレンズ形状の違いについて説明する。実施例1の接眼レンズ10Aと実施例2の接眼レンズ10Bとの構成上、最も大きく異なるのは、レンズL1およびレンズL3である。具体的には、レンズL1については、実施例1では物体側の面S1を平面とし、観察側の面S2を凹面としたが、実施例2では逆に物体側の面S1を凹面とし、観察側の面S2を平面とした。レンズL3については、実施例1では面S6が平面となるようにしたが、実施例2では面S6が凹面となるようにした。
【0037】
さらに、上記のレンズ形状の他に、実施例1と実施例2との相違点として、一部に屈折率(アッベ数)が異なったレンズを用いたことが挙げられる。具体的には、レンズL3およびレンズL7において、実施例1では屈折率が1.84667となるようにしたが、実施例2では屈折率が1.80519となるようにした。
【0038】
図6は、上述の条件式(1)〜(3)に対応する数値およびアイレリーフの長さを、実施例1,2についてまとめて示したものである。図6に示したように、各実施例の数値が条件式(1)〜(3)の範囲内となっている。さらに、アイレリーフの数値については、各実施例ともに全系の焦点距離fよりも長くなっていることが確認できた。
【0039】
図7〜図10は、各実施例の接眼レンズについての諸収差を示している。より詳しくは、図7(A),(B),(C)および(D)は、それぞれ実施例1の接眼レンズ10Aについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示している。同様に、図9(A)〜(D)は、実施例2の接眼レンズ10Bについての球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示している。また、図8(A)〜(G)は、実施例1についての横収差を示している。同様に、図10(A)〜(G)は、実施例2についての横収差を示している。
【0040】
なお、非点収差を示す図において、符号Sを付した曲線はサジタル像面に対する収差を示し、符号Tを付した破線はタンジェンシャル(メリジオナル)像面に対する収差を示している。球面収差は、d線(波長587.6nm),F線(波長486.1nm)およびC線(波長656.3nm)についての値を示すが、いずれの実施例においても互いに識別できないほど波長による差が小さい。倍率色収差を示す図は、d線,FおよびC線についての値を示す。上記以外の収差図、すなわちディストーションおよび横収差を示した図においては、d線に対する収差を示す。また、各収差図において、ωは半見掛け視界を示す。横収差を示す図において、EXは、サジタル像面に対する収差を示し、EYはタンジェンシャル像面に対する収差を示す。すなわち、例えば図8(A)〜(D)は、各見掛け視界におけるサジタル像面に対する横収差を示し、例えば図8(E)〜(G)は、各見掛け視界におけるタンジェンシャル像面に対する横収差を示す。またこれら横収差を示す図において、PY,PXは、入射瞳面上での光線位置を示す。
【0041】
以上の各レンズデータおよび各収差図からわかるように、各実施例について、諸収差が良好に補正され、60°以上の見掛け視界を維持しつつ、従来に比べて長いアイレリーフを確保することができた。具体的には、実施例1,2において、見掛け視界2ω=62.6°を確保すると共に、接眼レンズ10A,10B全系の焦点距離fよりも長い1.07f(実施例1)および1.05f(実施例2)のアイレリーフを確保することができた。
【0042】
なお、本発明は、上記実施の形態および各実施例に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径R、面間隔D、屈折率nおよびアッベ数νの値などは、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得る。さらに、本発明は、双眼鏡に限定されるものではなく、他の光学装置にも適用可能である。
【0043】
また、上記実施の形態および実施例では、第1の負レンズを平凹形状としたが、負の屈折力を有していればよく、例えば両凹形状や負のメニスカス形状であっても適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の接眼レンズによれば、物体側から順に、第1の負レンズと、負の接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと、第1の正レンズと、観察側に凹面を向けた正の接合レンズとからなり、負の接合レンズが、物体側から順に第2の正レンズと、両凹形状または物体側に凹面を向けた平凹形状を有する第2の負レンズとを有するように構成し、第1の負レンズと第2の正レンズとの間に焦点面を有するように構成した。このため、(例えば60°以上の)大きな見掛け視界であっても諸収差を良好に補正しつつ、接眼レンズ全系の焦点距離よりも長いアイレリーフを確保することができる。これにより、観察者がより広い視野範囲での観測を容易に行うことができる。
【0045】
特に、請求項2に記載の接眼レンズによれば、条件式(1)を満足するようにしたので、第2の負レンズにおける物体側とは反対側の面の形状と正メニスカスレンズにおける物体側の面の形状とを適切に保持することができる。これにより、見掛け視界を大きくした場合であっても特に歪曲収差および高次の非点収差がより良好に補正された接眼レンズを得ることができる。
【0046】
さらに、請求項3に記載の接眼レンズによれば、条件式(2)を満足するようにしたので、正メニスカスレンズにおける物体側とは反対側の面における形状を適切に保持することができる。これにより、特に歪曲収差がより良好に補正された接眼レンズを得ることができる。
【0047】
さらに、請求項4に記載の接眼レンズによれば、条件式(3)を満足するようにしたので、第1の負レンズにおける適正なパワー範囲が規定され、諸収差をより良好に補正できると共に、接眼レンズ全体の焦点距離よりも長いアイレリーフをより容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る接眼レンズが適用される双眼鏡の概略を示す構成図である。
【図2】図1に示した一実施の形態に係る接眼レンズの一構成例を示すものであり、第1の数値実施例に対応するレンズ断面図である。
【図3】図1に示した一実施の形態に係る接眼レンズの他の構成例を示すものであり、第2の数値実施例に対応するレンズ断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る接眼レンズの第1の数値実施例(実施例1)としてのレンズデータを示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る接眼レンズの第2の数値実施例(実施例2)としてのレンズデータを示す説明図である。
【図6】実施例1および実施例2に係る接眼レンズが満たす条件式のデータを示す説明図である。
【図7】実施例1の接眼レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す収差図である。
【図8】実施例1の接眼レンズについての横収差を示す収差図である。
【図9】実施例2の接眼レンズについての球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)および倍率色収差を示す収差図である。
【図10】実施例2の接眼レンズについての横収差を示す収差図である。
【符号の説明】
E.P…アイポイント(瞳位置)、D1〜D13…面間隔、L1〜L7…レンズ成分、S1〜S13…面番号、Z1…光軸、10(10A,10B)…接眼レンズ、11…正立プリズム、12…対物レンズ。
Claims (4)
- 物体側から順に、第1の負レンズと、負の接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと、第1の正レンズと、観察側に凹面を向けた正の接合レンズとからなり、
前記負の接合レンズは、物体側から順に第2の正レンズと、両凹形状または物体側に凹面を向けた平凹形状を有する第2の負レンズとによって構成され、
前記第1の負レンズと前記第2の正レンズとの間に焦点面を有するように構成されている
ことを特徴とする接眼レンズ。 - さらに、以下の条件式(1)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の接眼レンズ。
−0.3≦{(1−n3)/R6+(n4−1)/R7}・f≦−0.1 ……(1)
ただし、
f:全系の焦点距離
n3:前記第2の負レンズの屈折率
R6:前記第2の負レンズにおける物体側とは反対側の面の曲率半径
n4:前記正メニスカスレンズの屈折率
R7:前記正メニスカスレンズにおける物体側の面の曲率半径
とする。 - さらに、以下の条件式(2)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の接眼レンズ。
−2≦R8/f≦−1 ……(2)
ただし、
f:全系の焦点距離
R8:前記正メニスカスレンズにおける物体側とは反対側の面の曲率半径とする。 - さらに、以下の条件式(3)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の接眼レンズ。
−8≦f1/f≦−3 ……(3)
ただし、
f:全系の焦点距離
f1:前記第1の負レンズの焦点距離
とする。
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