JP4234386B2 - マイクロ波で食品を加熱する方法及び電子レンジ用食品包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、容器に冷凍食品、レトルト食品、弁当、総菜などの食品が入ったまま電子レンジ等で加熱調理できる食品の加熱方法、ならびに外装ケース内に収納された電子レンジ用食品包装体に関し、特に、電子レンジ等で加熱調理した時の加熱ムラを無くする事が可能な食品の加熱方法、及び電子レンジ用食品包装体である。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷凍食品、レトルト食品、弁当、総菜等のように、容器から取り出す事なくそのまま電子レンジで加熱調理できる調理食品が市販されている。電子レンジで加熱調理できる調理食品を収納する容器は通常、合成樹脂成型品で、マイクロ波を透過する材料でできている。そのような食品容器は電子レンジ加熱調理時に容器の側壁近傍の昇温は早いが、容器の中心近傍の食品はマイクロ波が到達しづらい為に昇温が遅く、全体的に加熱ムラが発生しやすい。加熱ムラが発生すると昇温の遅い部分を摂食に適する温度まで加熱する為に調理時間が長くなる。特に冷凍食品では全体が摂食に適する温度に達するには相当の時間を必要とし不便であるばかりか、側壁近傍の食品が過加熱状態となり、焦げたり、乾燥したりして風味的にも良くない。その原因はマイクロ波による加熱の原理にあり、電子レンジで食品を加熱した場合、マイクロ波は側壁部近傍の水分に大半が吸収されてしまい、中心部まで届きにくい。そして、マイクロ波は水には吸収されやすいが、氷には吸収されにくいという特性もあり、その為、側壁の近傍だけ選択的に急速加熱され加熱ムラが大きくなる。
【0003】
このようなことから、調理食品をできるだけ加熱ムラが無く調理できるような工夫を施した食品容器が種々考案されている。例えば、容器の底板の中央付近に中空の凸状体を立設し、電子レンジで加熱したときに食品の表面から発生する蒸気を凸状体の上端の通気口から取り込んで底板の下面に誘導して加熱したり(例えば特許文献1参照)、容器の側壁の少なくとも一部分を二重に構成し電子レンジで加熱したときに食品の表面から発生する蒸気を底板の下面へ流下させるための流路を形成すると共に、流路に連通して蒸気を取り込むための通気孔を容器の上部に設けた方法がある(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開2001-278362
【特許文献2】
特開2001-055276
しかし、上記の電子レンジ加熱によって発生する蒸気を底面部の加熱に利用する容器の場合には、底部へ蒸気を導く通気孔が密閉されていないので、たとえ容器上面を蓋により密閉したとしても、蒸気口が通気性を有している為、衛生性や内容品の品質保持に問題がある。また、容器の構造が複雑なために製造工程が煩雑であり、余分な合成樹脂を必要とし、環境への負荷も大きく好ましくない。特に特許文献1記載の方法は通気部分により調理食品の充填量が少なくなるため充填量に対する容器の嵩が大きくなるという問題がある。
更に、底板の中央部が線状に低く、その両側に向かって側壁まで高くなるような傾斜面となっている電子レンジ用食品容器が提案させており(特許文献3参照)、底部を側壁上部に向かって傾斜させることによりターンテーブルで反射されたマイクロ波を底部に当たりやすくしている。同様に底部に対し下側に脚部を設けるとともに、底部の一部に凸部を設ける事によって、ターンテーブルによって反射されたマイクロ波が底部に当たり、底部の中でも特に温度上昇の遅い部分に凸部が設けてある為に表面積が広くなりマイクロ波の入射量を多くする技術(特許文献4参照)が開示されている。また、底板と底板の周囲から上側に延伸する側壁で囲い、底板の下側には脚部を設けた食品容器からなり側壁はマイクロ波反射材料又は不透過材料或いは反透過材料で被覆され底板の裏面はマイクロ波反射材料により連続または不連続に被覆された電子レンジ用食品が提供されている(特許文献5)。
【特許文献3】
特開2000-279320
【特許文献4】
特開平11-332738
【特許文献5】
特開平11-35078
しかし、これらの方法は、マイクロ波の入射量を均一に且つ多くするために容器に工夫が施されているが、容器の構造が複雑なために製造工程が煩雑である。また、例えば簡易で薄い成型が可能なシート成形などでは容器内底面に不要な凹部が形成されてしまい好ましくない。このような事態を避けて容器内底面を平坦とする場合には、射出成形などで厚く成型することとなり、余分な合成樹脂を必要とし、環境への負荷も大きく好ましくないという問題点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】
そこで、本発明者はより簡単な方法で電子レンジ調理の際に生じる加熱ムラを改良すべく種々検討した結果、本発明を完成したもので、本発明は、市販の容器に特別な工夫を施す事なく、且つ余分な部品を使用せずに、通常は開封後使われなくなる外装ケースを利用し、電子レンジ調理における加熱ムラを抑制し、短時間で加熱調理を行うことができる食品の加熱方法及び外装ケース内に収納された電子レンジ用食品包装体を提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
本願の請求項1の発明は、上部の対向する2箇所に取っ手を有する食品容器に食品を充容し、前記食品容器を保護するための外装ケースに収納した食品をマイクロ波で加熱する方法であって、上面に開口部を形成し、または開口部が形成できるように上面の一部または全部を切り取り可能に構成した前記外装ケースの開口部から前記食品容器を取り出し、90°回転させて前記外装ケースに形成された開口部に食品が充容された前記食品容器をはめ込んで、前記外装ケースの少なくとも側壁で前記食品容器を包囲するとともに、マイクロ波が前記食品容器の底部に照射されるように前記ケースの側壁で前記食品容器の2箇所の取っ手を保持して前記食品容器の底部を浮かせて加熱することを特徴とする食品の加熱方法である。そして、請求項3の発明は、食品を充容した上部の対向する2箇所に取っ手を有する食品容器と該食品容器を収納した箱体状の外装ケースとよりなる電子レンジ用食品包装体であって、前記外装ケースは、その側壁の上部の対向する2箇所に前記食品容器の取っ手が突出する窓を有するとともに、その上面に前記食品容器の取り出し可能な開口部を形成し、または前記食品容器の取り出し可能な開口部が形成できるように前記外装ケースの上面の一部または全部を切り取り可能に構成し、前記外装ケースから取り出された前記食品容器を、90°回転させて前記外装ケースに形成された開口部にはめ込んだ時に、マイクロ波が前記食品容器の底部に照射されるように、前記ケースの側壁で前記食品容器の2箇所の取っ手を保持して前記食品容器の底部を前記外装ケース底面から離間可能としたことを特徴とする電子レンジ用食品包装体である。そして、前記外装ケースは、箱体状乃至スリーブ状で、前記外装ケースの上部に開口部が形成され、または開口部が形成されるように前記外装ケースの上面の一部または全部を切り取り可能に構成されたものであることが好ましく、また、前記底部離間手段は、前記食品容器の上部に設けられた凸状の係止部、フランジまたは取っ手のいずれかが前記外装ケースの上面または側壁に保持されるものであることが好ましい。更に、前記底部離間手段は、前記外装ケースの側壁及び/または底面に切り込みを入れて折り込み可能に構成し、前記食品容器の底部が、この折り込みにより形成された折り込み部に支持されるものであることが好ましい。
【0006】
即ち、本発明は、食品が充容されている食品容器を、マイクロ波が前記食品容器の底部に照射されるように、前記食品容器の底部を浮かせてケースの開口部にはめ込み前記食品容器をケースの側壁で包囲してマイクロ波で加熱するので、加熱ムラが生じることなく均一に加熱すること出来るのである。即ち、本発明にかかる電子レンジ用食品包装体は、食品が充填された食品容器をケースの開口部にはめ込むと、食品容器の底面が外装ケース底部より離間する。このことにより、電子レンジ底板あるいはターンテーブルで反射されたマイクロ波が食品容器底面から入射されやすくなる、と同時に、外装ケースの側壁で食品容器の周囲を囲んでいるので、食品容器の側壁で発生した熱を散逸させることなく、その熱を容器底部に導入することができる。従って、マイクロ波が底部に照射されやすくなることと併せて、容器側壁の熱を容器底部の加熱に再利用できるので、通常、昇温され難い食品容器中央付近の温度上昇が早まり、均一な加熱が可能となるのである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に述べる。
本発明の食品の加熱方法に使用するケースは、食品容器の底部を浮かせることができ、食品容器の側壁を囲うことができれば、その材質、形状には制限はなく、開口部のための上面と少なくとも二つの側壁があればよい。本発明の趣旨に鑑みて、別部材を用意する必要のないことから、食品容器の保護用外装ケースと兼用できることが好ましい。かかる食品容器を保護する外装ケースは、厚紙、段ボール紙等の紙器で構成された箱体、ハーフスリーブやスリーブが通常用いられる。そして、その上面には開口部を設ける。開口部はあらかじめ形成しておいてもよく、また、使用時に容易に形成できるように連続または断続した薄肉部やミシン目などの断続的な切りこみ等を設けておいてもよい。いずれの場合においても使用時にはケースの上面に開口部がある状態とし、この開口部に食品容器をはめ込むようにする。そして、食品容器をケースにはめ込んだときに食品容器の底部が載置面より離間するようにする。そのような離間手段としては、食品容器のフランジや取っ手を利用してケースの上面や側壁に吊す方法がある。
【0008】
食品容器としては、例えばポリプロピレンや発泡ポリスチレン等のマイクロ波が透過する材料で構成されており、通常この種の食品容器に使用されているものであればよい。これらの容器は射出成形、圧空成形、真空成型等による合成樹脂成型品、合成樹脂をコート、ラミネートした紙器等であるが、マイクロ波を透過する材料で食器として利用可能であればこの限りではない。その形状としては丼やお椀状、トレー状のもの、取っ手を有する浅い鍋状のもの等でよい。そして、これらの容器にはフィルム状のシール蓋が融着あるいは成形された蓋が嵌着されていても良い。
本発明においては、外装ケースの開口部に食品容器をはめ込んだ時に、マイクロ波が食品容器の底部に照射されるように食品容器の底部を外装ケースの底面から離間するように底部離間手段を設ける。離間距離としては容器の形状や電子レンジの特性などによって様々であり、特に制限はないが、通常、3mm〜20mm、好ましくは5mm〜15mm、より好ましくは5mm〜10mmである。この範囲より大きいとケースとして外装ケースを使用した場合に、最も加熱されやすい食品容器の上部が外装ケースの側壁で囲われず、容器の側壁で発生した熱を再利用して容器の底部を加熱する効果が充分に得られない場合がある。この範囲より小さいと容器底部に照射されるマイクロ波の量が減少するとともに、容器の側壁で発生した熱により暖められた空気が移動しづらくなり、容器の底部を加熱する効果が充分に得られない場合がある。
底部離間手段としては特に限定されるものではないが、例えば、食品容器の上部に設けられた凸状の係止部、フランジまたは取っ手のいずれかを外装ケースの上面または側壁に保持されるようにしたり、或いは、外装ケースの側壁及び/または底面の一部に切り込みを入れて折り込み可能に構成し、前記食品容器の底部を切り込みにより形成された折り込み部に支持されるようにしたりする。
本発明にかかる食品包装体は上述した食品容器に電子レンジ加熱によって調理可能な食品を充填し、これを外装ケース内に収納したものである。このような構成の食品包装体とすることで、食品容器を加熱する際に、本来、残骸として捨てられる外装ケースを本発明の加熱方法ではケースとして有効利用できる。そして、マイクロ波を前記食品容器に照射すると、食品容器の底部と外装ケース底部とは離間しているので、電子レンジ底板あるいはターンテーブルで反射されたマイクロ波が食品容器底面から入射されやすくなると同時に外装ケースで食品容器の周囲を囲んでいるので、一度昇温された側壁付近の食品の熱により暖められた空気を逃がしにくくし、食品容器の底面部に送り込むことができるので、通常昇温され難い食品容器中央付近の温度上昇が早まり、均一な加熱が可能となるのである。
【0009】
【実施例】
次に、本発明に係る電子レンジ用食品包装体の実施例を図面をもって示すとともに、各実施例で得られた外装ケースに調理食品を充填した食品容器をはめ込んで電子レンジで加熱し、その効果を確認した試験例について説明する。
実施例1
図1は箱体状の外装ケース1に、取っ手を有するとともに収容部が平面視円形の食品容器2(図示しない)を収納した食品包装体の斜視図である。図1において、外装ケース1は上面を切り取って開口部を形成できるように、連続した薄肉部、ミシン目や断続的な切り込み等による切り取り線3が設けてある。開口部を形成しやすくすること、及び外装ケースをコンパクトにするために側壁の一部に切り込みを入れ食品容器の取っ手4が突出できる窓が設けられている。外装ケースをコンパクトにすることは加熱時に熱が有効に利用できるので本発明の効果を増進させる点からは好ましい態様である。このような配慮をせずに、密封性を重視する場合は、窓を形成しなくても良い。
食品容器2は取っ手4が設けてあり、食品容器の開口部には、通常合成樹脂フィルム製の蓋がシールされており、さらに成型された蓋が嵌着されているが、成型蓋は無くても良い。食品容器2は、例えば発泡ポリスチレンやポリプロピレン等の合成樹脂を射出成形やシート成型などの公知の方法で成型したものである。製造の容易さや樹脂の使用量の少ないことからこれら樹脂をシートとし、シート成型したものが好ましい。これらのシートにはガスバリア層が積層されていても良い。
次に、上記電子レンジ用食品包装体の使用法、すなわち食品の加熱方法を説明する。
まず、外装ケースから庇状に張り出した上面の一部を把持部として掴み、切り取り線3に沿って上面の一部を切り取り、開口部5を形成する(図2参照)。開口部5から食品容器2を取り出して、90°方向を変え、開口部5に容器本体をはめ込む。このように回転することにより、流通時は外装ケースの底面に食品容器の底部が乗っていたものが本発明の加熱方法に好ましい状態となるべく、外装ケースの側壁に食品容器が保持される。したがって、側壁に入れた切り込みの深さによって、加熱するときに食品容器底部が浮く高さを調整することができる。この状態の平面図を図2、側面図を図3として示す。すなわち、食品容器のフランジ7及び取っ手4が外装ケースの開口部の側壁に乗り、食品容器が宙づり状態となる(図3参照)。この時、食品容器2の底部が外装ケース1の底部から離れ、外装ケース1に囲まれた状態となる。電子レンジの特性にもよるが、通常は、外装ケース底部から容器底面の距離は5mm〜10mmが好適である。この状態で電子レンジ加熱すると、容器底面が外装ケース1底面から離れた状態、即ち電子レンジ底板あるいはターンテーブルから浮いた状態にあり、電子レンジ底板あるいはターンテーブルで反射されたマイクロ波が容器底面に入射されやすくなる。そして、早く加熱される食品容器側面で発生する熱が外装ケース内に行き渡り、この熱も食品容器の底面を加熱することに役立つので、食品容器中心部が容易に加熱される。
【0010】
参考例2
図4、図5は、本発明の他の実施例を示すものである。食品包装体の基本的な構成、形態、使用法は実施例1(図1〜3)の場合と同様であるが、外装ケース1は、図5に示すように、両端が開放されているスリーブ型で、その上面にあらかじめ開口部5を設けてある。外装ケース1から食品容器2を取り出し、開口部5にはめ込む。このとき食品容器2の係止部6が開口部周縁に乗るようにし、食品容器が保持される状態にする(図6参照)。係止部6は凸状で外装ケースの上面または側壁に係止可能な形状であれば、その形状に制限はないが、連続する凸条であると食品容器が保持されやすく、外装ケース上面からの熱の散逸も少ないので好ましい。スリーブの場合、両端が開口しているので食品容器の重みでつぶれやすくなること、及び食品容器側面で発生する熱を有効に利用する点からは、一端が閉鎖されているハーフスリーブ型にする事がより好ましい。以下、電子レンジ加熱に関しては実施例1と同様である。
【0011】
参考例3
図6、図7は請求項6記載の電子レンジ食品用包装体の一例を示すものである。図6に示すように外装ケース1底面の一部をコの字状に切り込み、内側に折り込めるように切り込み8を二箇所設けてある。切り込みはミシン目や断続的な切り込み等簡単に押し破れるものが適しているが、あらかじめ連続的に切り込まれていても良い。
外装ケース1から食品容器2を取り出し、底面の切り込み8を内側に押し開き折り込み部9を形成、取り出した食品容器2を開口部5にはめ込む。このとき食品容器2の底部が折り込み部9に乗るようにし、図7の状態にする。このとき食品容器2の取っ手4、フランジ7、係止部6は外装ケース1の開口部7の周縁部に乗せた状態でも、浮いた状態でもどちらでも構わない。
【0012】
参考例4
図8、図9は請求項6記載の電子レンジ食品用包装体の他の一例を示すもので、斜視図を図8に、側面図を図9に示す。外装ケース側面の下部を内側に折り込めるようにエの字状の切れ込み8を設けてある(図8参照)。切り込みはミシン目や断続的な切り込み等簡単に押し破れるものが適しているが、あらかじめ連続的に切り込まれていても良い。外装ケース1から食品容器2を取り出し、底面の切り込み8を内側に押し開き折り込み部9を形成、取り出した食品容器2を開口部5にはめ込んだ時、食品容器2の底部が折り込み部9に乗るようにし、図9の状態にする。このとき食品容器2の取っ手4、フランジ7、係止部6は外装ケース1の開口部7の周縁部に乗せた状態でも、浮いた状態でもどちらでも構わない。この態様は折り込み部9が食品容器2の重さに耐えやすいので好ましい。
【0013】
参考例5
図10〜図12は請求項6記載の電子レンジ食品用包装体のさらに他の一例を示すもので、外装ケース側壁の下部を内側に折り込めるようにコの字状の切り込み8を設けた状態の斜視図が図10、切り込み8を折り込んだ状態の側面図が図11、食品容器2の底部が折り込み部9に乗ったときの概念図が図12である。つまり、外装ケース壁面にコの字状の切り込み8を1側面につき2箇所設けてあり、ここを折り込んで食品容器を支持する。基本的な使い方は実施例4と同様である。
【0014】
参考例6
図13〜図15は請求項6記載の電子レンジ食品用包装体のさらに他の一例を示すもので、底面の状態を図13,斜視図を図14,使用時の状態を示す断面図を図15に示す。図13〜図15においては、外装ケース側壁から底面にかけて、側壁と底面からなる稜線に直交する方向に切り込み8を設けてある。外装ケース1から食品容器2を取り出し、切り込み8と切り込み8の間を内側に押し込み折り込み部9を形成、取り出した食品容器2を開口部5にはめ込む。このとき食品容器2の底部が折り込み部9に乗るようにし、図15の状態にする。このとき食品容器2の取っ手4、フランジ7、係止部6は外装ケース1の開口部5の周縁部に乗せた状態でも、浮いた状態でもどちらでも構わない。
【0015】
実験例1
上記参考例の効果を確認するために、参考例2として図示した板紙製の外装ケースに160gのカレーが充填された円形の食品容器を収納してなる食品包装体を使用した。ただし、実験に使用した外装用ケースは一端が封鎖され、片側のみに収納口を有するハーフスリーブであった。外装ケースの内寸法は、底面の一辺が132mm、上面の一辺が146mmの正方形で、高さが31mmであった。上面に直径110mmの円形を開口部を設けた。食品容器2は上部から10mmの位置に連続した凸条リブからなる係止部6を備えた、浅い鍋状のポリプロピレン製のトレー(満杯容量約220ml)で、その寸法は、内径112mm、深さ28mmであった。この食品容器を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとイージーピールシーラントを積層した蓋で密封シールし、−5℃に冷凍した。この冷凍した食品包装体を前記外装ケースの開口部にはめ込んだ。外装ケース開口部の縁と係止部6とが係合し、食品容器は宙づり状態となった。食品容器2の底面と外装用ケースの底面との離間距離は5mmであった。この状態で定格高周波出力500Wの家庭用電子レンジで加熱した。
実験例2
底部離間手段を参考例4として図示した外装用ケースを用いて、底面に高さ7mm巾60mmのエの字状の切り込みを設け、食品容器底面と外装ケースの底面との離間距離を7mmとしたこと以外は実験例1と同様に加熱を行った。
比較例1
外装ケースを利用しないで、食品容器2を実験例1と同様に電子レンジで加熱した。
比較例2
食品容器2を断面縦横5mmの角棒に乗せ、ターンテーブルから浮かせて実験例1と同様に電子レンジで加熱した。
電子レンジでの加熱条件は6分間で、加熱直後に図17に示す位置のカレーの温度を測定した。その結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
外装ケースで食品容器を包囲して食品容器の底部を浮かせて、電子レンジによって加熱調理すると、表1に示されているように中心部の加熱温度と側壁近傍の加熱温度差が外装用ケースを使用しない場合(食品容器を包囲せず、食品容器の底部も浮かせない場合)、及び角棒に乗せた場合(食品容器を包囲せず、食品容器の底部を浮かせた場合)に比して加熱ムラを小さく抑制することが出来た。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のマイクロ波で食品を加熱する際、食品が充容されている食品容器を、マイクロ波が前記食品容器の底部に照射されるように、前記食品容器の底部を浮かせてケースの開口部にはめ込み前記食品容器をケースの側壁で包囲してマイクロ波で加熱するので、加熱ムラが生じることなく均一に加熱すること出来るのである。そして、本発明における電子レンジ用食品包装体は、食品が充填された容器を外装ケース底面から離して保持することができる為、電子レンジの底板やターンテーブルから反射されたマイクロ波が食品容器底部から入射しやすくなるともに、外装ケースで囲む事により一度昇温された側壁付近の食品の熱により暖められた空気を逃がしにくくし、食品容器の底面部に送り込むことができるので、通常昇温され難い食品容器中央付近の温度上昇が早まり、均一な加熱が可能となる。従って本発明の電子レンジ用食品包装体は、均一な加熱を可能とし、短時間での調理を可能とすることができる。また、食品容器そのものには特別な工夫をする必要がないので、一般に市販されている安価な容器が使用可能であるため、汎用性が極めて高い。従来の食品包装体の様に食品容器周縁部が過加熱状態になっても中央付近の昇温が遅い為、全体が摂食に適する温度になるまで更なる時間を要し、結果的に容器周縁部付近の食品が焦げたり乾燥したりして、摂食するに適さない状態となる事を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの斜視図
【図2】実施例1の開口した電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの上面図
【図3】実施例1の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの使用時の状態を示す断面図
【図4】参考例2の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの斜視図
【図5】参考例2の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの使用時の状態を示す断面図
【図6】参考例3の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの底面図
【図7】参考例3の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの使用時の状態を示す断面図
【図8】参考例4の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの斜視図
【図9】参考例4の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの折り込み部を折り込んだ状態を示す斜視図
【図10】参考例5の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの斜視図
【図11】参考例5の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの折り込み部を折り込んだ状態を示す斜視図
【図12】参考例4及び5の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの使用時の状態を示す断面図
【図13】参考例6の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの底部を示す斜視図
【図14】参考例6の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの折り込み部を折り込んだ状態を示す斜視図
【図15】参考例6の電子レンジ用食品包装体に用いる外装ケースの使用時の状態を示す断面図
【図16】比較例2の加熱時の状態を示す概念図
【図17】試験例での温度測定箇所を示す平面図
【符号の説明】
1 外装ケース 2 食品容器
3 切り取り線 4 取っ手
5 開口部 6 係止部
7 フランジ 8 切込部
9 折り込み部
Claims (5)
- 上部の対向する2箇所に取っ手を有する食品容器に食品を充容し、前記食品容器を保護するための外装ケースに収納した食品をマイクロ波で加熱する方法であって、
上面に開口部を形成し、または開口部が形成できるように上面の一部または全部を切り取り可能に構成した前記外装ケースの開口部から前記食品容器を取り出し、90°回転させて前記外装ケースに形成された開口部に食品が充容された前記食品容器をはめ込んで、前記外装ケースの少なくとも側壁で前記食品容器を包囲するとともに、マイクロ波が前記食品容器の底部に照射されるように前記ケースの側壁で前記食品容器の2箇所の取っ手を保持して前記食品容器の底部を浮かせて加熱することを特徴とする食品の加熱方法。 - 前記外装ケースは、箱体状で、その側壁の上部の対向する2箇所に前記食品容器の取っ手が突出可能な窓を有するとともに、その上面に開口部が形成されるように前記外装ケースの上面の一部または全部を切り取るための切り取り線を有し、前記窓から前記切り取り線に沿って前記ケースの上面を切り取って前記開口部を形成し、形成された前記開口部から前記食品容器を取り出すことを特徴とする請求項1記載の食品の加熱方法。
- 食品を充容した上部の対向する2箇所に取っ手を有する食品容器と該食品容器を収納した箱体状の外装ケースとよりなる電子レンジ用食品包装体であって、前記外装ケースは、その側壁の上部の対向する2箇所に前記食品容器の取っ手が突出する窓を有するとともに、その上面に前記食品容器の取り出し可能な開口部を形成し、または前記食品容器の取り出し可能な開口部が形成できるように前記外装ケースの上面の一部または全部を切り取り可能に構成し、前記外装ケースから取り出された前記食品容器を、90°回転させて前記外装ケースに形成された開口部にはめ込んだ時に、マイクロ波が前記食品容器の底部に照射されるように、前記ケースの側壁で前記食品容器の2箇所の取っ手を保持して前記食品容器の底部を前記外装ケース底面から離間可能としたことを特徴とする電子レンジ用食品包装体。
- 前記外装ケースは、その上面に開口部が形成されるように前記外装ケースの上面の一部または全部を切り取るための切り取り線を設けたことを特徴とする請求項3記載の電子レンジ用食品包装体。
- 前記外装ケースは、その側壁の上部の対向する2箇所に前記食品容器の取っ手が突出する窓を有するとともに、該窓の上部において上面の一部が庇状に張り出したことを特徴とする請求項3または4記載の電子レンジ用食品包装体。
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