JPH0650391Y2 - ソースポット型容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案はカレー、ミートソース、ドレッシングソース
等のソース状の調理済食品のためのソースポット型包装
容器に関するものである。

［従来の技術］ カレー、ミートソース、ドレッシングソース等のソース
状の調理済食品の包装容器として、従来は、カレーやミ
ートソースについては罐やレトルトパウチが、またドレ
ッシングソースについてはガラス壜やプラスチックボト
ルが、一般的に用いられてきた。

しかし近年は、電子レンジの普及に伴い、流通・保存の
ためだけの包装容器ではなく内容物を使用する際に食卓
上でそのまま使用できるカップ状もしくはトレイ状のプ
ラスチック成形容器が多く使用されている。

これらの従来のカップ状やトレイ状のプラスチック成形
容器においては、生産が容易で安価であり内容物を密封
収容できて酸素のような内容物の品質劣化を起こす気体
に対するバリア性が良く、カレーやミートソースの容器
の場合は高温加圧殺菌に耐えることが要求され、これら
の条件を満たす材質・構成の種々の容器が開発されてき
た。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、最近は消費者の調理済食品に対する意識が、単
に保存がきくとか、急な時に間に合うといったとらえ方
から、本物志向、レストランやホテルの味を家庭で味あ
うといった高級志向、グルメ志向へと変化してきてい
る。

しかるに従来のソース状調理済食品の包装容器は、電子
レンジで容器ごと温め食卓でそのまま米飯にかけて、或
いは食卓で開封してそのままサラダ等にかけて、食器と
して使用可能なカップ状やトレイ状ではあっても、前述
のような本物志向、高級志向、グルメ志向に対応し得る
イメージやデザインとはなっていないという問題があっ
た。

この考案は上記の如き事情に鑑みてなされたものであっ
て、カレー、ミートソース、ドレッシング等のソース状
の調理済食品のためのプラスチック製の包装容器であっ
て、生産が容易で安価であり、内容物を機械により高速
で充填・密封可能とする充填適性を具備し、ガスバリア
性にすぐれて内容物保存性が高く、高温加熱殺菌に耐
え、しかも、レストランやホテルでこれらの調理済食品
を供する際に使用する銀製或いは陶製のソースポット
（ソースボート）のイメージをもち、本物志向、高級志
向、グルメ志向にも対応し得るソースポット型容器を提
供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ この目的に対応して、この考案のソースポット型容器
は、上端開放の容器胴と該容器胴の上端から外側に張出
すフランジ部と該フランジ部の外縁から垂下する折返し
部とを備え、前記容器胴はその周上の一端部において上
端に向かって外側に拡開した流し口を有し、前記上端は
前記流し口側の一端と他端を結ぶ仮想の軸線の方向に関
して前記流し口側が他端側より上方に位置するように傾
斜した平面上にあるとともに前記軸線に垂直な方向の最
大さしわたし部が容器の接地部の前記軸線方向中央位置
よりも前記他端側に偏して位置し、前記フランジ部は前
記他端部において張出し幅が隣接部分より大な突出部を
有し、前記折返し部は前記突出部において容器を支持可
能な把持部をなすとともに前記突出部から前記流し口部
に向かって折り返し幅が減少し、前記最大さしわたし部
の位置と前記折返し部の折返し幅とを選択して容器の重
心が前記接地部の内部もしくは内方に位置するように構
成したことを特徴としている。

［作用］ このように構成されたソースポット型容器はガスバリア
性のあるシート材料によるシート成形が可能である（第
６図参照）から生産が容易にかつ安価にでき、流し口部
が上方及び外方に突出した形状にもかかわらず容器の自
立性を失わないとともに、スタッキング用段部をフラン
ジ部から所定の深さ位置に形成することにより多数をス
タックして保管できる（第７図）。

また、上端が一つの平面上にありフランジ部がその平面
をなすから第８図に示すようにフランジ部の下面で容器
を支持してカレー等のソース状内容物を充填することが
でき、このときのヘッドスペースは全周にわたり同一深
さとなるから充填が容易であり、充填後はそのままフラ
ンジ部の上面に平らに容器蓋をシールすることができる
から密封が容易にでき、高温加圧殺菌により、保存性を
付与し得る。

使用時にレンジ加熱して内容物が昇温しても把持部によ
り、安全に支持できる。また第９図に示すように食卓で
蓋を剥離すれば、前記の如く流し口や傾斜した上端縁、
フランジ部を設けた容器形状がレストランやホテルで使
用する銀製或いは陶製のソースポット（第10図参照）の
イメージを与え、本物志向、高級志向、グルメ志向にも
適応し得る。

［実施例］ 以下、この考案の詳細を一実施例を示す図面について説
明する。

第１図から第５図において１はソースポット型容器であ
る。ソースポット型容器１はプラスチックの積層シート
材10（第６図）から真空成形または真空圧空成形により
成形され、この積層シート材10としては、内・外層を耐
熱性の良いPP（ポリプロピレン）で、中間層を酸素等の
ガスバリアー性の良いEVOHまたはPVDC、ナイロンで構成
したものを用いることができる。

ソースポット型容器１は、上端２の開放した容器胴３
と、上端２から外側に張出すフランジ部４と、フランジ
部４の外縁５から垂下する折返し部６とを備える。

容器胴３はその周上の一端部において上端２に向かって
傾斜が緩くなるように外側に拡開した流し口部７を有す
る。

容器３の上端２は水平ではなく、流し口７側の端Ａと18
0°反対側の端Ｂを結ぶ仮想の軸線８の方向に関して流
し口７側の端Ａが端Ｂより上方に位置するように傾斜し
た平面11上にある。容器胴３の底には環状の接地部12が
下方へ突出形成され、接地部12の内方部分である底部13
は、上方に凸な球面状をなす。

容器胴３の形状は、接地部12の中心Ｃに関してＡ側とＢ
側とが非対称であり、軸線８上にあって軸線８に垂直な
方向の最大さしわたしＲを与える点Ｍは、中心ＣよりＢ
側に偏して位置しており、さしわたしはＡからＭまでは
増加し、ＭからＢまでは減少し、従って容器胴３の横断
面形状は流し口部７を除外すれば略卵形をなす。これは
後述の容器重心の位置と関連する。

容器胴３の上端２より所定の深さｈの位置にはスタック
用段部17がほぼ一周して形成されている。但しスタック
用段部17は流し口部７の部分には形成されておらず、内
容物の流出の妨げにならないようにされている。スタッ
ク用段部17の上方の容器胴壁は上方に向かって若干逆テ
ーパしており折返し部６より低いので外観上スタック用
段部17が目立たないようにされている。

フランジ部４は平面11上をほぼ一定幅W₁で一周している
が、端Ｂの部分ではW₁より大きな幅W₂を有し、フランジ
部４のこの部分はその外縁輪郭14aが隣接部分の外縁輪
郭14bより外側にコの字状に突出した突出部4aをなす。

フランジ部４の幅の中央部を一周して蓋シール用の突条
15が形成されている。突条15は易開封用の烏口部16を突
出部4aの広幅W₂を利用して形成されている。

折返し部６はフランジ部４の外縁14から垂下してこれを
一周して形成され、離型性とスタック性のため下方に向
かって僅かに外向きに傾斜し、下端部はトリミングしや
すいように、僅かの幅でシート材料10をそのままに残し
た張出し部分18をなす（第６図参照）。

折返し部６は突出部4aの部分では横断面コの字形の把持
部９をなし、その平行面部9a・9aで張出し部4aを挟むよ
うにしてソースポット型容器１を支持することができ、
この部分は容器胴３から離隔しているので内容物を加熱
した場合でも安全に支持可能である。

折返し部６の折り幅は、突出部4aから流し口部７に向か
って減少し、流し口部７の部分では容器胴３の壁と滑か
に接続する曲面6aをなすようにされている。

折返し部６は折返し幅をこのように軸線８方向に変化さ
せることにより、容器の重心のバランスをとると共にス
タック用段部17を隠し、第10図に示すレストランでのソ
ースポット101のシメージを与える。

以上の実施例では接地部12は環状としたが、環状に分散
した点状突起としてもよい。

［考案の効果］ このように構成したソースポット型容器１の効果とし
て、まず生産性については第６図に示すように張出し部
18を水平にした状態で成形・トリミング可能である。成
形時、スタッキング段部17の上方部分のうち把持部９付
近の部分で離型時に抵抗があるが、スタッキング段部17
は全周には設けてなく流し口部７の部分には設けていな
いため離型が容易であるから、通常のカップ容器と同様
容易かつ安価に生産できる。

次に保管や輸送上の効果であるが、成型・トリミングさ
れたその容器は容器輸送のため包装され、このとき、ス
タッキング段部17により積重ねるが、上下の容器が突出
部4aにより相互に位置決めされるので、水平方向の回転
ずれが起ることなく、整然と包装することができ、輸送
効率を高めることができる。

内容物の充填・シールをするときは、スタックされた空
容器をそのまま縦型ガイドに積上げ、下方より順次１個
ずつ送り出して、第８図に示す如く受枠台21に入れ上端
２を水平に保った状態で内容物22を充填することがで
き、充填後、ロール状に巻かれたフィルム状の蓋材23を
シーラ24により突条15に溶着シールし、トリミングカッ
ター25により蓋材23をソースポット型容器１の外周にほ
ぼ等しくトリミングカットすればよく、機械による高速
での充填・密封が可能であり、充填適性を具備する。

シール後は接地部12により自立した状態で取扱うことが
でき、高温加圧殺菌して市場に流通し得る。ガスバリア
性を有するシート材料10を用いているから保存性が高
い。

内容物を使用するときは、第９図に示すように把持部９
で容器を押さえながら、蓋材23を一部剥離して容器を開
口し、電子レンジ等により加熱後、把持部９で支持した
食卓26に運び、把持部９で容器を押さえながら全部開口
する。このとき、内容物は高温となっているが、把持部
９の裏側には外気が流通しておりかつ容器胴から離れて
いるから断熱効果をもつので、把持部９をしっかりと安
全に持って操作できる。温められた内容物はスプーン等
ですくい取って、或いは流し口部７から流出させて、米
飯その他にかけて食することができる。このときスタッ
キング段部を流し口部７に設けないことにより、内容物
をきれいに流し出すことができる。このときソースポッ
ト型容器１はレストランやホテルで使用するソースポッ
ト101（第10図）のイメージをもち、本物志向、高級志
向、グルメ志向にも対応し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図から第５図はこの考案の一実施例に係わるソース
ポット型容器を示し、第１図は正面図、第２図は平面
図、第３図は右側面図、第４図は左側面図、第５図は第
２図におけるＶ−Ｖ断面図、第６図は第１図に示すソー
スポット型容器の形成・トリミングカットの状態を示す
縦断面図、第７図は第１図に示すソースポット型容器の
スタッキングの状態を示す縦断面図、第８図は第１図に
示すソースポット型容器の充填・シールの状態を示す縦
断面図、第９図は内容物使用時のシール材剥離の状態を
示す縦断面図、及び第10図はレストランで使用されるソ
ースポットの一例を示す斜視図である。 １……ソースポット型容器、２……上端、３……容器
胴、４……フランジ部、4a……突出部、５……外縁、６
……折返し部、７……流し口部、８……軸線、９……把
持部、9a……平行面部、11……平面、12……接地部、13
……底部、14……外縁、14a,14b……外縁輪郭、15……
突条、16……烏口部、17……スタック用段部、18……張
出し部分、21……受枠台、22……内容物、23……蓋材、
24……シーラ、25……トリミングカッター、26……食卓

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上端開放の容器胴と該容器胴の上端から外
   側に張出すフランジ部と該フランジ部の外縁から垂下す
   る折返し部とを備え、前記容器胴はその周上の一端部に
   おいて上端に向かって外側に拡開した流し口を有し、前
   記上端は前記流し口側の一端と他端を結ぶ仮想の軸線の
   方向に関して前記流し口側が他端側より上方に位置する
   ように傾斜した平面上にあるとともに前記軸線に垂直な
   方向の最大さしわたし部が容器の接地部の前記軸線方向
   中央位置よりも前記他端側に偏して位置し、前記フラン
   ジ部は前記他端部において張出し幅が隣接部分より大な
   突出部を有し、前記折返し部は前記突出部において容器
   を支持可能な把持部をなすとともに前記突出部から前記
   流し口部に向かって折り返し幅が減少し、前記最大さし
   わたし部の位置と前記折返し部の折返し幅とを選択して
   容器の重心が前記接地部の内部もしくは内方に位置する
   ように構成したことを特徴とするソースポット型容器