JP4234193B2 - 液滴吐出装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関し、さらに詳しくは、液体供給路に接続される流路と、この流路の下流に位置し液滴を吐出する開口部と、前記流路に前記開口部からの液体吐出圧力を発生させる圧力発生素子とを備えた液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記液滴吐出装置としては、次の特許文献1に記載の如きものが知られている。
【特許文献1】
特開平8−58089号
【0003】
同文献では、連通路38から圧力室5へインクを供給する構成において、インク供給絞り4が圧力室と対向しないように配置し、これにより気泡を容易に排出可能としている。ところで、例えば同文献の図6において、圧力室5とノズル連通路39とは屈曲して連続し、インクの種類によっては圧力室5の左上角や端部Fに気泡が形成されるといった問題がある。
【0004】
このような気泡の形成に関する問題を説明するため、図21に示す新規な構成の流路を例に挙げることとする。なお、ここでの説明の上下左右方向は便宜上のものであって、かかる方向は重力方向によって定められる方向を必ずしも意味しない。この例では、円盤状の第一流路50’と漏斗状の第二流路60’とが方向を変えて連続し、第二流路60’は開口部43’に接続され、全体として屈曲した流路を形成している。第一流路50’の上下壁50T,50Bの間隔を圧力発生素子により変動させて第一流路50’に吐出圧力を発生させる。この流路に吐出液を導入する際、屈曲の外側角部P1’や第二流路60’の入口側鋭角部P2’に気泡の形成が確認された。このような気泡は図23のような筒状流路50’、60’の接続部における外側角部P1’においても形成される。かかる外側角部P1’,入口側鋭角部P2’における気泡の形成は、圧力発生素子から伝達される圧力を吸収するため、正常な液滴吐出を阻害することとなる。
【0005】
また、図22の如く、第二流路60’が径を縮小する漏斗状部61’として構成されると、周面から液体が順次充填されるため、その液面は符号LS1〜3’に示す如く順次変化する。この場合、液面LS3’の状態では液面の上端が開口部43’に達する前に開口部43’に液体が充満するため、気体Aが第二流路60’内に残留して気泡を形成し、上記外側角部P1’,入口側鋭角部P2’における気泡の形成と同様の問題を生じる。
発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0006]
上述の実情に鑑みて、本発明の目的は、流路内における気泡の形成を防止することの可能な液滴吐出装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007]
一般的に、液体と固体とが接触する際の液体表面と固体及び液体の接触面とがなす接触角は、固体の表面張力、液体の表面張力及び固液界面張力により定まる。固液の親和性が低い場合は接触角が大きくなり、固液の親和性が高い場合は接触角が小さくなる。
[0008]
発明者等がさらに実験を重ねたところ、次のことが判明した。まず、上記接触角が大きく固液の親和性の低い場合は、内側角部P3’の位置に到達した液面の上部が外側角部P1’に到達する前に、液体が第二流路60’に流入する。この結果、同外側角部P1’に気体が残留して気泡が形成されることとなる。また、上記入口側鋭角部P2’に液体が流入し難いため、同部分に気泡が形成されることとなる。すなわち、液体の接触角と流路の構成によって気泡の形成状況が異なるという問題の所在が判明した。
[0009]
そこで、この問題に鑑みつつ、上記目的を達成するため、本発明に係る液滴吐出装置の第一の特徴は、液体供給路に接続される流路と、この流路内の液体を液滴として吐出する開口部と、前記流路に液体吐出圧力を発生させる圧力発生素子とを備えた液滴吐出装置であって、
前記流路との接触角が異なる複数種類の液体に対応可能であり、前記流路が、前記液体供給路に接続される第一流路と、この第一流路の下流側に接続されると共に第一流路とは方向を変えて液体を流す第二流路とを備えて屈曲しており、この屈曲の外側角部から第二流路の外側壁部に至る部分及びこの外側壁部が段差無くなだらかに一体形成され、前記接続される部分またはその近傍において、前記第一流路の流れ方向に直交する第二流路の幅を第一流路の幅よりも狭くすることにより、当該幅を狭くした方向に対して第一流路と第二流路との間に段部が形成され、前記液体を供給する際に気泡が形成されることを防止することにある。
[0010]
同構成によれば、例えば図3〜6に示すように、屈曲の外側角部P1から第二流路60の外側壁部に至る部分50W及びこの外側壁部60Wが段差無くなだらかに一体形成されているので、この部分には気泡が形成されにくい。そして、第二流路60入口部の左右いずれか又は双方において、第一流路の流れ方向に直交する第二流路の幅を第一流路の幅よりも狭くすることにより、当該幅を狭くした方向に対して第一流路と第二流路との間に側段部53が形成され、第一流路50に入った液体は側段部53をわたって外側角部P1に容易に到達する。したがって、上述の如く内側角部P3の液体が先に第二流路60に流入して外側角部P1に気泡が形成されることを抑制することができる。
[0011]
本発明の第二の特徴は、上記第一の特徴における第二流路の幅に関する特徴に替えて/又は加えて、前記接続される部分またはその近傍において、前記第一流路の流れ方向に沿った第二流路の奥行きDと、前記外側角部及び前記屈曲の内側角部の間で前記第一流路の流れ方向に直交する第一流路の最大幅Wとが次の関係となり、前記液体を供給する際に気泡が形成されることを防止するように構成してもよい。
D/W<0.4
[0012]
上述の問題点の解析から、第一流路50に入った液体の液面が外側角部P1に到達するのが遅延すると、外側角部P1に気泡が形成される。よって、外側角部P1までの距離を代表する第二流路の奥行きDが短ければ気泡の形成を防ぐことができ、発明者等の実験により上記DとWの関係により気泡形成防止の条件が充足されることが判明した。
[0013]
本発明の第三の特徴は、上記各特徴において、前記屈曲の内側角部及び/又は前記第一流路における前記屈曲の内側の少なくとも一部(以下、「内側等」)における前記液体の流れ抵抗が他の部分よりも大きいことにある。
[0014]
同特徴によれば、第一流路50に入った液体の液面の上部が外側角部P1に到達するまでに内側角部P3の液体が先に第二流路60に流入することを防ぎ、外側角部P1に気泡が形成されることを防止することができる。このように内側等の流れ抵抗を他の部分よりも大きくするには、内側等に流れ抵抗の大きくなる加工を加える他、他の部分に流れ抵抗の小さくなる加工を加えてもよい。
[0015]
本発明の第四の特徴は、上記第一又は第二の特徴において、前記接続される部分における第二流路の流れ方向に直交する断面形状は鈍角をなす線分及び/又は曲線により構成してもよい。
[0016]
同構成によれば、第二流路入口部に鋭角部が存在せず、鋭角部に液体が流入し易くなり気泡の形成を防ぐことができる。
[0017]
一方、発明者等がさらに実験を重ねたところ、上記図22の如き問題は、上記接触角が小さく固液の親和性の高い場合に生ずることが判明した。
[0018]
そこで、この問題を解決すべく、本発明の第五の特徴は、上記第一又は第二の特徴において、前記第二流路の壁面がこの第二流路の入口と出口とを直線状に結んで形成される面よりも外側に位置するようにしてもよい。
[0019]
同構成によれば、例えば図7に示すように、第一流路50から第二流路60へ侵入した液体は、液面LS1の如くまず筒状内面61を伝って広がり、その液面の下端は上端と共に縮小内面62で符号LS2〜5に示すように徐々に下降する。これによって、液面の上端が下降する前に開口部43が閉塞することを防ぎ、気泡の形成を防止する。
発明の効果
[0020]
このように、上記本発明に係る第一〜第三の特徴によれば、主として外側角部P1’における気泡の形成を防止することができ、第四の特徴によれば、主として入口側鋭角部P2’における気泡の形成を防止することができるようになり、第五の特徴によれば、主として第二流路内における気泡の形成を防止することができるようになった。また、これらの特徴を組み合わせることにより、さらに相乗効果を生ずる。
[0021]
そして、本発明によれば、流路を屈曲させることができるので、開口部近傍の設計上の自由度が向上した。また、気泡の形成を構造的に防止することができるので、使用できる液体の粘度や液体及び流路構成部材により定まる接触角の制限が緩和され、液種選択の自由度が広がり、実験、生産等の能率を著しく向上させることが可能となった。
[0022]
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ヘッドの縦断面図である。
【図2】突起及び連通孔近傍の平面図である。
【図3】ヘッドの下部縦断面図である。
【図4】流路群の斜視図である。
【図5】図4の下方側からの斜視図である。
【図6】第一、第二流路接続部近傍の平面図である。
【図7】第二流路近傍の縦断面図である。
【図8】第二実施形態に係る流路群を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。
【図9】第三実施形態に係る流路群を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。
【図10】第四実施形態に係る流路群を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。
【図11】第五実施形態に係る流路群を示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)はA−A断面図である。
【図12】第六実施形態に係る流路群を示す縦断面図である。
【図13】第七実施形態に係る流路群を示す縦断面図である。
【図14】第八実施形態に係る流路群を示す縦断面図である。
【図15】第九実施形態に係る流路群を示す縦断面図である。
【図16】第十実施形態に係る流路群を示す縦断面図である。
【図17】図16の斜視図である。
【図18】第十一実施形態に係る流路群を示す縦断面図である。
【図19】図18の斜視図である。
【図20】図7の別実施形態を示す第二流路近傍の縦断面図である。
【図21】流路群における問題の説明図であって、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【図22】比較例を示す図7相当図である。
【図23】流路群における問題箇所の説明図であって、(a)は断面方形の流路、(b)は断面円管の流路である。
【符号の説明】
【0024】
1:液滴吐出装置、2:ヘッド、10:圧電素子、10a:保持部、10b:活性部、10c:接線部、10d:下端、20:ブラケット、21:溝部、22:上解放部、23:固定部、24:空洞部、27:接続口、27c:供給路、30:振動プレート、30a:下面、31:突起、32:振動膜、33:凹部、34:上面、35:供給路、36:連通孔、40:ノズルプレート、41:ノズル(第三流路)、42:凹部、43:開口部、50:第一流路、50w:下流側壁、50T:上壁、50B:下壁、52:側角、53:側段部、55a〜f:流れ抵抗部、60:第二流路、60a:入口、60b:出口、60w:外壁部、61:筒状内面、62:縮小内面、63:平坦部、D:第二流路の奥行き、W:第一流路の幅、JP:接続部、PG:流路群、P1:外側角部、P2:入口側鋭角部、P3:内側角部
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、図1〜7を参照しながら本発明の第一の実施形態について説明する。なお、本明細書での上下左右は説明の便宜上のものであって、絶対的な重力方向に拘束されるものではない。
【0026】
図1〜3に示すように、本発明に係る液滴吐出装置1は、図示しないカートリッジから供給される液体をノズル41下端の開口部43から液滴として吐出するヘッド2を備えている。このヘッド2は、ブラケット20に対し、圧力発生素子である圧電素子10、振動プレート30及びノズルプレート40がそれぞれ固着され、さらに図示しない接触子、上蓋及びケーブルが固定されてなる。ここで、図示しない上蓋、ブラケット20、振動プレート30及びノズルプレート40は、それぞれ樹脂材料等により射出成形されている。なお、これら各部材はガラス、金属等で構成してもよく、また、エッチングや電鋳加工等により形成してもよい。
【0027】
ブラケット20には、圧電素子10を誘導する溝部21が上下に貫通して形成されており、この誘導する溝部21の上解放部22から下側に向かって固定部23,空洞部24が配置されている。また、ブラケット20の背面には、カートリッジ接続用の接続口27が設けられ、ブラケット20の下面は振動プレート30とノズルプレート40が嵌合される。ヘッド2の下部先方には振動プレート30とノズルプレート40によって、圧電素子10により駆動される圧力室やノズルとしての流路が形成される。
【0028】
圧電素子10は例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いて構成され、下端側の活性部10bは通電により伸縮する。中央の保持部10aでブラケット20に固定されるので、下端10dの位置を上下振動させ、後述の突起31を介して振動膜32を振動させる。圧電素子10は断面が方形であり、上解放部22から挿入されて固定部23を介して先端側を空洞部24に配置される。また、圧電素子10は固定部23において接着剤により固定される。
【0029】
振動プレート30には先の誘導する溝部21の下端近傍に突起31,振動膜32、凹部33を有している。また、振動プレート30の下面にはノズルプレート40に形成された凹部42に連続する溝35を備える。
【0030】
突起31,振動膜32,凹部33の境界部は図4,6に示すように同心円状であり、順次拡径している。圧電素子10の下端10dはその一部を突起31の一部に接当させ、両者は接着剤により固着されている。また、下端10dが上面34に接触しないように、下端10dよりも凹部33の外形は大きくしてある。
【0031】
凹部42は振動プレート30の下面30aと共に圧力室としての第一流路50を構成し、ノズル41と第二流路60を介して連通している。先の接続口27は、カートリッジの接続部を受け入れ、供給路27c、35及び連通孔36を介して第一流路50に液体を供給する。
【0032】
図4〜6は流路群PGであり、これらは第一、第二流路50,60のみの輪郭を表示したものである。第一流路50は円盤状に構成され、その下流側端に軸を第一流路50の円盤に直交させた姿勢で第二流路60が突出し、全体として屈曲した流路を構成している。なお、本明細書では内側、外側の概念は屈曲の内側、外側の意味で用いるものとする。第二流路60は断面八角形の筒状内面61と、筒状内面61に連続して平坦部63まで暫時その径を縮小させる縮小内面62とを有している。また、平坦部63にはノズル41及び開口部43が穿孔されている。なお、本実施形態では、ノズル41が第三流路を形成しており、開口部43は第三流路の出口となる。
【0033】
第二流路60の入口部は断面が八角形であり、各側壁同士は鈍角に接しているため、液体が流入し難いことによる気泡の形成を防止することができる。この八角形の一辺は第一流路50の下流側壁50wとなだらかに段差無く連続する円弧状の外壁部60wとして構成され、上記外側角部P1に到達した液面を下側に円滑に誘導する。同入口部の最上流側は内側角部P3,内側角部P3と下流側壁50wとの間は側角52を形成する。
【0034】
本実施形態では、第一流路の流れ方向Xに直交するY方向に沿った第一流路50の幅よりも第二流路60の幅を狭くしたことで、接続部JPの左右に側段部53を形成し、この部分を利用して矢印Fに示すように液面を迅速に外側角部P1まで到達させることができる。形状的には同時に第二流路60の接続部JPにおける輪郭の角を鈍角に構成することになっている。また、本実施形態では、内側角部P3におけるY方向に沿った第一流路の最大幅Wと接続部JPにおけるX方向に沿った第二流路60の奥行きDとを、D/W<0.4となる関係に流路を構成してある。
【0035】
接触角の大きな液体を使用した場合は、内側角部P3,側角52から液体が第二流路60に流入し難く、側段部53をわたって液面が矢印Fに示すように外側角部P1に到達し、気泡の形成が防止される。また、第二流路60の接続部JPにおける輪郭の角は鈍角なので、ここでも気泡の形成が防止される。一方、接触角の小さな液体を使用した場合は、液体が内側角部P3から第二流路60に侵入する前に側段部53をわたって液面が外側角部P1に到達するので、気泡の形成が防止される。
【0036】
さらに、図7に示すように、第二流路60は筒状内面61と縮小内面62との連携で気泡の形成を防ぐ。詳しくは、第二流路の入口60aと出口60bとを結ぶ線分で構成される仮想面LPよりも上記内面61,62を外側に位置させることで、液面は符号LS1〜5に示すように移動し、液面同志が間隔を狭める時間を遅らせることで、気泡が同第二流路内に形成することを防いでいる。そして、上記各効果が相まって、上壁50Tの振動による液体の圧力を確実に伝達することができ、液滴を正常に吐出することができる。
【0037】
本発明に係る液滴吐出装置1は本発明の趣旨に添う限り様々な改変が可能である。
流路の形状変更により上記第一の特徴を実施するに当たっては、例えば、図8〜11に記載の如き構成が可能である。図8の実施形態では、流路群PGを構成する第一流路50,第二流路60の断面を方形に構成し、第二流路60の横幅を第一流路50の横幅より狭く形成することで、側段部53を第二流路60の接続部JPの左右に形成してある。なお、第二流路60を第一流路50の一側に偏在させることで、側段部53を一方のみに形成させてもよい。
【0038】
図9の実施形態では、第二流路60を断面が台形となるように構成し、第一流路50と第二流路60との接続部JPは傾斜状態としてある。図10の実施形態では、第二流路60を半円弧状に構成してある。また、図11の実施形態では、第一流路50,第二流路60ともに断面を円形に構成してある。
【0039】
上記第三の特徴を実施するに当たっては、例えば、図12〜19のように構成するとよい。図12の実施形態では、内側角部P3に突起状の流れ抵抗部55aを形成してある。この流れ抵抗部55aは上記側角52に形成してもよい。図13〜15の実施形態では、下壁50Bに段差状の流れ抵抗部55b、55c、55dを形成してある。図16,17の実施形態では下壁50Bに突起状の流れ抵抗部55eを形成し、図18,19の実施形態では下壁50Bに凹状の流れ抵抗部55fを形成してある。これら流れ抵抗部55a〜fは、例えば表面処理等で該当部分の流れ抵抗を増大させるように構成してもよい。また、流れ抵抗部55a〜f以外の部分における流れ抵抗を表面処理等により減少させて、相対的に内側等の流れ抵抗を他の部分より大きくすればよい。表面処理等の替わりに、当該部分の材料を他の部分と異ならせてもよい。
【0040】
筒状内面61は断面が八角形のみならず、不等辺の多角形や円、曲線状と形成してもよい。また、開口部43と筒状内面61とは必ずしも同心である必要はないが、動作の確実性からは筒状内面61と開口部43とは同心にすることが望ましい。
【0041】
第二流路60は図20のように構成してもよい。例えば、同図(a)の如く仮想面LPに一致する縮小内面64と屈曲面65で構成したり、同図(b)の如く円筒内面66と縮小面67で構成してもよい。同図(b)の場合は、開口部43が第二流路60の出口60bと一致することとなる。
【0042】
上記実施形態では、圧力発生素子を圧電素子として構成した。しかし、この発力発生素子は、液体を沸騰させて吐出圧力を発生させる抵抗発熱素子として構成しても構わず、圧力発生素子は第一流路50の一部を振動させる他、第一流路50又は第二流路に圧力を供給できればよい。
【0043】
上記実施形態における外側角部P1は、気泡が形成(残留)される虞があれば角部であり、そのオーダーにおいて、Rが付与されていても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、化学実験、バイオテクノロジー実験、医療診断、エレクトロニクス生産等に利用することができる。液体は多種類のものを用いることができる。例えば、DNA・蛋白質・菌類等の生体材料、蛍光微粒子、導電体微粒子、樹脂微粒子、セラミック微粒子、顔料や染料等を含む液体を用いることができる。また、水等、表面張力の高い液体や、高価な液体を少量用いるのにも適している。印刷により線画等を描く他、例えば、電極形成やマイクロレンズを作成することができる。さらに、液滴を吐出させることで、例えば生体材料チップ等所定の複数箇所に液滴を配置させる他、分注、散布による匂い発生、吐出量調整による配合調整、成膜等に用いることもできる。
Claims (5)
- 液体供給路に接続される流路と、この流路内の液体を液滴として吐出する開口部と、前記流路に液体吐出圧力を発生させる圧力発生素子とを備えた液滴吐出装置であって、
前記流路との接触角が異なる複数種類の液体に対応可能であり、前記流路が、前記液体供給路に接続される第一流路と、この第一流路の下流側に接続されると共に第一流路とは方向を変えて液体を流す第二流路とを備えて屈曲しており、この屈曲の外側角部から第二流路の外側壁部に至る部分及びこの外側壁部が段差無くなだらかに一体形成され、前記接続される部分またはその近傍において、前記第一流路の流れ方向に直交する第二流路の幅を第一流路の幅よりも狭くすることにより、当該幅を狭くした方向に対して第一流路と第二流路との間に段部が形成され、前記液体を供給する際に気泡が形成されることを防止する液滴吐出装置。 - 液体供給路に接続される流路と、この流路内の液体を液滴として吐出する開口部と、前記流路に液体吐出圧力を発生させる圧力発生素子とを備えた液滴吐出装置であって、
前記流路との接触角が異なる複数種類の液体に対応可能であり、前記流路が、前記液体供給路に接続される第一流路と、この第一流路の下流側に接続されると共に第一流路とは方向を変えて液体を流す第二流路とを備えて屈曲しており、この屈曲の外側角部から第二流路の外側壁部に至る部分及びこの外側壁部が段差無くなだらかに一体形成され、前記接続される部分またはその近傍において、前記第一流路の流れ方向に沿った第二流路の奥行きDと、前記外側角部及び前記屈曲の内側角部の間で前記第一流路の流れ方向に直交する第一流路の最大幅Wとが次の関係となり、前記液体を供給する際に気泡が形成されることを防止する液滴吐出装置。
D/W<0.4 - 前記屈曲の内側角部及び/又は前記第一流路における前記屈曲の内側の少なくとも一部における前記液体の流れ抵抗が他の部分よりも大きい請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
- 前記接続される部分における第二流路の流れ方向に直交する断面形状は鈍角をなす線分及び/又は曲線により構成してある請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
- 前記第二流路の壁面がこの第二流路の入口と出口とを直線状に結んで形成される面よりも外側に位置している請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
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