JP4233799B2 - ポンプユニット及び容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、家庭で使用される洗髪剤等のポンプ式容器に用いられるポンプユニット及び容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば家庭で使用される洗髪剤や洗剤等を収容するための容器として、ポンプ式の容器が使用されている。このポンプ式の容器は、容器本体とこの容器本体に着脱可能に挿入されるポンプユニットとから構成されている。ポンプユニットは、通常ピストン部を押圧すると、ピストン部が復帰して液を容器本体から吸い上げ、次にピストン部を押すとピストン部の吐出口から液を出すようになっている。
【0003】
この種のポンプユニットとしては、例えば、特開平10−101115号公報、特開平10−211947号公報に示されているように、ピストン部を押圧すると縮小する蛇腹管が手を離すと再び伸張する復帰動作を利用して液を蛇腹管内に吸い上げ、更にピストン部を押圧することで蛇腹管を縮小させて蛇腹管内の液を吐出口から出すものがある。そして、このようなピストンの押圧動作、復帰動作に応じて蛇腹管内に液を導き、あるいは、蛇腹管内から液を吐出するために、蛇腹管の上流側と下流側とには吸い込み弁と吐出弁とが設けられている。
【0004】
しかしながら、前記従来のポンプユニットにおいては、容器が転倒した場合に、吸い込み弁や吐出弁が開いてしまうと吐出口から液が外部に流れ出てしまうという問題がある。
このような問題を解決するため従来では、吸い込み弁と吐出弁との少なくとも一方を、スリット部を設けた板状の弁として構成し、容器転倒時において流れ出ようとする液をスリット部で最小限に食い止めるようにしている。
【0005】
図12は、このように少なくとも一方の弁を、スリット部を設けた板状の弁として構成したポンプユニットの一例を示す図であり、図12において符号Yは、液状の洗髪剤が収容される容器本体である。
この容器本体Yは合成樹脂で成形され筒上の上部開口部10には雄ねじ部11が形成されている。この上部開口部10の雄ねじ部11には、これに螺合する雌ねじ部12を備えた合成樹脂製のキャップ13が着脱自在に取り付けられ、このキャップ13によりポンプユニットVUが取り付けられている。
【0006】
このポンプユニットVUは容器本体Yの上部開口部10に容器本体Y内部に向かって取り付けられる合成樹脂のケース14と、このケース14に装着される合成樹脂製のガイド部材15と、容器本体Y内に挿入される合成樹脂製のベローズユニット16と、このベローズユニット16に装着される合成樹脂製のピストン部とを備えている。
前記ケース14は容器本体Yの上部開口部10の周囲に係止するフランジ部17を有する筒状の部材で、底部に開口部18を備えている。そして、このケース14の上部内周面には雌ねじ部19が形成され、ここにガイド部材15が螺合している。
【0007】
このガイド部材15は、前記ケース14の雌ねじ部19に螺合する雄ねじ部20と、この雄ねじ部20の内側に、ピストン部の吸い出しパイプ21を摺動自在に挿入する保持部22をそなえている。雄ねじ部20と保持部22とは上部で一体となり互いに離反する方向に付勢されている。
また、保持部22及び雄ねじ部20の上部は側方に延出して下方に屈曲形成されて前記キャップ13の上面にフランジ部23を延出し、このフランジ部23により前記キャップ13の抜け方向の移動を阻止するようになっている。そして、このガイド部材15の外周にはロック用ねじ部24が形成され、ピストン部に設けられたキャップ状の押圧部雌ねじ部26に螺合して、ピストン部を保管位置でロックするようになっている。
【0008】
前記ベローズユニット16は、図13に示すように、前記容器本体Yに挿入され容器本体Yの内部の溶液を容器本体Y外に吸い出すものである。前記ベローズユニット16には、容器本体内に挿入され、下端の吸い込み端32が斜めにカットされた吸い込みパイプ27が設けられ、この吸い込みパイプ27の上部に、延び方向に復帰可能な蛇腹状のベローズ28が吸い込みパイプ27に連通接続されている。
前記ベローズ28は、延びの方向、つまり内部の体積が増加する方向に復帰可能な合成樹脂製部材で、所定のバネ定数を備え、内部が溶液収納部となっている。
【0009】
また、ベローズ28の上部に前記ピストンの吸い出しパイプ21が接続される接続部29が一体成形され、前記ベローズ28の上流、つまり吸い込みパイプ27とベローズ28との間に、容器本体Yからベローズ28内への溶液の流入のみを許容する弁Bが設けられ、一方、ベローズ28の下流、つまりベローズ28と接続部29との間にベローズ28内からピストン部の吸い出しパイプ21側への溶液の流出のみを許容する逆止弁Gが設けられている。そして、この逆止弁Gの下流に後述するスリットプレート39が設けられている。
【0010】
前記弁Bは吸い込みパイプ27とベローズ28とに一体成形された弁室30を備え、逆止弁Gは上記吸い出しパイプ21の接続部29とベローズ28とに一体成形された弁室31を備え、各弁室30、31内には、吸い込みパイプ27の吸い込み端32あるいは上記吸い出しパイプ21の接続部29の端部から挿入可能な弁体33が挿入されている。
ここで、この弁体33は合成樹脂製からなる球形の部材であるが、各開口部Kを閉塞できれば、おわん型や、半球状等であってもよく、その形状は限定されるものではない。
【0011】
ここで、図14に示すように、弁Bの吸い込みパイプ27と開口部Kとの間には突条34が形成され、吸い込みパイプ27の吸い込み端32から挿入される弁体33をある程度の力で挿入しないと押し込めず、かつ、弁体33の抜けを防止するようになっている。
そして図13に示すようにこれら弁B又は逆止弁Gには、その下流であって弁室30、31内に弁体33の浮き上がり防止用の突起部35が形成されるものである。この突起部35も弁B、逆止弁Gを形成する場合に同時成形されるものである。なお、弁体33の浮き上がりを防止できれば、この突起部35に代えて弁室30、31自体の断面形状を弁体33が浮き上がらないような形状、例えば、楕円、四角形、三角形等の異形断面にすることも可能である。
【0012】
ここで、弁Bとベローズ28下部との境界部分には前記ケース14の開口部18(図12に示す)に係止するくびれ部36が形成され、前記ケース14に対してベローズ28、つまりベローズユニット16を係止してベローズ28が圧縮された場合に、これを下側から支持できるようになっている。
一方、前記逆止弁Gと吸い出しパイプ21の接続部29との境界部分には段差部37が形成され、この段差部37が前述したガイド部材15の保持部22の下端に係止して、延び方向に変移するベローズ28の上方部の移動を阻止するストッパーとして機能している。
このように構成された吸い込みパイプ27、弁B、ベローズ28、逆止弁G、接続部29等が、ブロー成形により一体で成形され、各弁体33が弁B及び逆止弁Gの弁室30、31に押し込まれて、ベローズユニット16が構成されている。
【0013】
図15に示すように、前記吸い出しパイプ21の接続部29の端部には、接続部29の端部と吸い出しパイプ21の差込部38に形成された段差部Dとの間に、スリットプレート(プレート)39が介装されている。なお、このスリットプレート39を接続部29に対して取り付ける場合には、そのまま挿入するだけでもよいが、接着、溶着、熱かしめ等様々な方法でこれを取り付けることができる。
【0014】
上記スリットプレート39は、接続部29と吸い出しパイプ21とでその周囲を挟持され弾性力を有する薄板状の部材で、中央寄りの薄肉部40には図16に示すように一字状のスリット(絞り部)Sが形成されている。
前記薄肉部40は周囲からアール部Rにより漸次薄く形成され、部品の性質上繰り返し荷重にたいしても応力集中が起きないようになっている。このスリットSで分断された2つの部分S1,S2が溶液の圧力により、鎖線で示すように弾性変形して撓むことができるようになっており、溶液の圧力が上記2つの部分S1、S2の弾性力を上回ったときに溶液を一気に吐出するようになっている。
また、この2つの部分S1、S2の弾性力は容器本体Bが倒れ、弁Bと逆止弁Gが開いたときには撓まず、溶液がスリットSから流れ出るのを防止できる程度に、薄肉部40の板厚、スリットSの長さが設定されている。
【0015】
そして、図12に示すように構成されたベローズユニット16の上部の接続部29に、ガイド部材15に対して摺動自在なL字形状のピストン部の吸い出しパイプ21の差込部38が外側から圧入され、このピストンがベローズユニット16に取り付けられポンプユニットVUが組み立てられている。
ここで吸い出しパイプ21の屈曲部には、前述したキャップ状の押圧部25が形成され、押圧部25において屈曲する吸い出しパイプ21の水平に延びる端末42がやや斜め下方へ屈曲し、吐出端43で開口している。
この押圧部25と吸い出しパイプ21とで構成されたピストン部の押圧部25を押圧することで、下部がケース14に規制されたベローズ28を押し縮め容器本体Y内の溶液を吸い出すのである。
【0016】
上記例の作用を説明する。図12に示すように、ベローズ28内に溶液がない状態では、ピストン部の押圧部25を下側に押すと、図17に示すようにベローズ28が圧縮されるのにともない、ベローズ28内の空気が押し出されるので、弁Bの弁体33は開口部Kを閉じるが、中の空気を吐き出そうと逆止弁Gの弁体33は開口部Kを開き、空気をピストン部の吸い出しパイプ21から吐き出す。
そして、ピストン部の押圧部25をはなすと、ベローズ28は延び方向に復帰しようとするのでベローズ28内は負圧になる。すると、逆止弁Gの弁体33は図12中鎖線に示すように開口部Kを開いて容器本体Yからベローズ28内へと溶液を吸い込み、ベローズ28内に満たされる(図12の状態)。
【0017】
次に、図18に示すように再度ピストン部の押圧部25を押すとベローズ28内の溶液は、弁Bの弁体33が開口部Kを閉塞することにより容器本体Y側への移動を阻止されるため、圧縮されるベローズ28により溶液は逆止弁Gの弁体33を押し上げ開口部Kを開いて押し出される。そして、押し出されたピストン部内の溶液は、弁Bにより容器本体Yへは逆流せずピストン部の吸い出しパイプ21を経て、吐出端43から外へ押し出される。
【0018】
ここで、図18に示すように、溶液が逆止弁Gを開いて吸い出しパイプ21から出ようとするときには、スリットプレート39の部分において、スリットSで分断された2つの部分S1、S2がスリットSの開口面積を拡大する方向に圧力を受ける。そして、溶液の圧力が上記各部分S1、S2の弾力性を上回った場合に、上記2つの部分S1、S2が同図に示すように弾性変形して溶液を一気に吐出することが可能になるため、溶液を一度にすばやく吸い出すことができる。
また、このポンプユニットVUを取り付けた容器が倒れた場合に弁Bと逆止弁Gが開いても、このスリットプレート39により溶液の外部への流出を阻止することができるメリットがある。なお容器が転倒してない場合に、ベローズ28内の圧力が上昇することが原因で、ベローズ28内の溶液が押し出されようとしても、スリットプレート39によりこれを防止できるため、容器が転倒していない状態での吐出端43からの溶液の流出も防止できる。
【0019】
したがって、溶液が吸い出しパイプ21の端部42の吐出端43で流出を起すことがなく、使用し易いというメリットがある。また、容器転倒時を考慮して、このスリットプレートSで分断された2つの部分S1、S2の弾性力をスリットプレート39の薄肉部40の板厚やスリットSの長さで調整することが可能となるため、設計の自由度が高い。
【0020】
ここで、図19は、容器の使用前での移送時などにおける保存状態を示すものであり、この保存状態では、前述したようにピストン部の押圧部25の雌ねじ部26をガイド部材15のロック用ねじ部24に螺合するため、このときピストン部の押し込みストロークは最大となる。
そして、このように保管時においては、これ以上ピストン部は押し込まれることがないため、ピストン部の押圧による溶液の流出がなく、またこのような保管状態で容器が転倒した場合にも、前述したようにスリットプレート39によって溶液の流出が防止されたものとなっている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような容器では、前記の保存時として、例えば製品の出荷時などにおける移送時などでは、梱包上のロスがないように、図19に示したようにピストン部を押し下げた状態で梱包するのが普通である。
しかしながら、このようにピストン部を長時間押し下げ、ベローズ28を圧縮させた状態のままでいると、ベローズ28がへたってしまうことにより、使用時、ピストン部によるベローズ28の圧縮を解除しても、ベローズ28が充分に復帰せず、その結果溶液を充分吸い込むことができず、操作性が著しく低下してしまうといった不都合を生じてしまうことがある。
【0022】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、移送時などの非使用時において液の流出を防止することができ、しかもベローズの長期間に亘る圧縮に起因して操作性が低下するのを防止した、ポンプユニット及び容器を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明のポンプユニットでは、容器本体に挿入され容器本体内の溶液を容器本体外に吸い出すポンプユニットにおいて、容器本体内に挿入される吸い込みパイプと、この吸い込みパイプの上部に連通接続した延び方向に復帰可能な蛇腹状のベローズと、ベローズの上部に接続してベローズを伸縮させ、前記吸い込みパイプを介して容器本体内の液をピストンヘッドより容器本体外に吸い出すピストン部とを備えてなり、前記ピストン部は、前記ベローズの上部に連通接続する吸い出しパイプと、この吸い出しパイプに対して移動可能に挿通してこれに連通するプランジャーと、このプランジャーに連通接続するピストンヘッドとを備えるとともに、前記プランジャーに設けられた膨出部が、前記吸い出しパイプに設けられた溝に離脱可能に嵌合することにより、該ピストン部によるベローズの圧縮をなさせることなく前記ピストンヘッドが容器本体側に被着可能となるよう、伸縮可能に形成されていることを前記課題の解決手段とした。
【0024】
このポンプユニットによれば、ピストン部が、該ピストン部によるベローズの圧縮をなさせることなくピストンヘッドが容器本体側に被着可能となるよう、伸縮可能に形成されているので、移送時などの非使用時において、ピストン部を、ベローズの圧縮をなさせることなく縮めてピストンヘッドを容器本体側に被着させることにより、液の流出が防止され、またベローズの長期間に亘る圧縮に起因して操作性が低下するのも防止される。
【0025】
また、このポンプユニットにおいては、前記ピストン部が、ベローズの上部に連通接続する吸い出しパイプと、この吸い出しパイプに対して移動可能に挿通してこれに連通するプランジャーと、このプランジャーに連通接続するピストンヘッドとを備えてなり、前記吸い出しパイプとプランジャーとの間に、ベローズの圧縮をなさせることなくピストンヘッドが容器本体側に被着する状態においてこれら吸い出しパイプとプランジャーとの相対的な移動を停止させる、固定機構が設けられているのが好ましい。
【0026】
このようにすれば、固定機構によって吸い出しパイプとプランジャーとの相対的な移動が確実に停止し、ベローズの圧縮をなさせることなくピストンヘッドが容器本体側に被着するようになるので、容器本体内の液の流出が確実に防止され、またベローズの長期間に亘る圧縮に起因して操作性が低下するのも確実に防止される。
【0027】
本発明の容器では、前記ポンプユニットを備えたことを前記課題の解決手段とした。
この容器によれば、前記ポンプユニットを備えたことにより、液の流出が防止され、またベローズの長期間に亘る圧縮に起因して操作性が低下するのも防止されたものとなる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1及び図2は本発明のポンプユニット及び容器を示すもので、これらの図において符号Yは液状の洗髪剤が収容された容器本体である。
この容器本体Yは合成樹脂で成形され筒上の上部開口部50には雄ねじ部51が形成されている。この上部開口部50の雄ねじ部51には、これに螺合する雌ねじ部52を備えた合成樹脂製のキャップ53が着脱自在に取り付けられ、このキャップ53によりポンプニットVUが取り付けられている。
【0029】
このポンプユニットVUは容器本体Yの上部開口部50に容器本体Y内部に向かって取り付けられる合成樹脂製ケース54と、このケース54に装着される合成樹脂製のガイド部材55と、容器本体Y内に挿入される合成樹脂製のベローズユニット56と、このベローズユニット56に装着される合成樹脂製のピストン部とを備えている。なお、ピストン部は、ピストンヘッドPと、このピストンヘッドPと一体に形成されてこれに連通接続するプランジャー66と、このプランジャー66を移動可能に挿通させてこれに連通する吸い出しパイプ61とからなっている。
前記ケース54は容器本体Yの上部開口部50の周囲に係止するフランジ部57を有する筒状の部材で、底部に開口部58を備えている。そして、このケース54の上部内周面には雌ねじ部59が形成され、ここにガイド部材55が螺合している。
【0030】
このガイド部材55は、前記ケース54の雌ねじ部59に螺合する雄ねじ部60と、この雄ねじ部60の内側に、ピストン部の吸い出しパイプ61を摺動自在に挿入する保持部62を備えている。雄ねじ部60と保持部62とは上部で一体となり互いに離反する方向に付勢されている。
【0031】
前記ベローズユニット56は、前記容器本体Yに挿入され容器本体Yの内部の溶液を容器本体Y外に吸い出すものである。前記ベローズユニット56には、容器本体Y内に挿入され、下端の吸い込み端が斜めにカットされた吸い込みパイプ63が設けられ、この吸い込みパイプ63の上部に、延び方向に復帰可能な蛇腹状のベローズ64が吸い込みパイプ63に連通接続されている。
前記ベローズ64は、延びの方向、つまり内部の体積が増加する方向に復帰可能な合成樹脂製部材で、所定のバネ定数を備え、内部が溶液収納部となっている。
【0032】
また、ベローズ64の上部に前記ピストン部の吸い出しパイプ61が接続される接続部65が一体成形され、前記ベローズ64の上流、つまり吸い込みパイプ63とベローズ64との間に、容器本体Yからベローズ64内への溶液の流入のみを許容する弁Bが設けられ、一方、ベローズ64の下流、つまりベローズ64と接続部65との間にベローズ64内からピストン部の吸い出しパイプ61側への溶液の流出のみを許容する逆止弁Gが設けられている。なお、この実施形態では、図12〜図19に示した例における球状の弁体33に代えて、円錐状の弁体33’を用いているが、弁体の形状が相違しても弁の本質的な機能に変わるところがないのは云うまでもない。
【0033】
前記ガイド部材55の保持部62に挿入される前記吸い出しパイプ61は、その中央部は拡開されその下端が前記ベローズ64の接続部65に接続され、この吸い出しパイプ61内を摺動するプランジャー66が吸い出しパイプ61内に摺動自在(移動可能)に挿入されている。
前記吸い出しパイプ61の上方部の内側には、図2、図3に示すように溝61aが形成されている。また前記プランジャー66の下端には膨出部66aが形成されている。このプランジャー66の膨出部66aは、前記吸い出しパイプ61に形成されている溝61aに嵌合したり、嵌合状態から離れることができるものである。
【0034】
そして、容器を例えば製品の出荷時などにおける移送時などにおいて梱包する場合、図4に示すように、前記ピストンヘッドPを押し下げると、このピストンヘッドPと一体のプランジャー66が前記吸い出しパイプ61内を摺動しながら下方へ移動する。この時、プランジャー66の下端に形成されている膨出部66aは、図4に示すように、プランジャー66を縮径させるように弾性変形し、前記吸い出しパイプ61に形成された溝61aを乗り越えることができる。この溝61aを乗り越えた前記プランジャー66は、図4に示すように前記吸い出しパイプ61内の下側に形成された別の溝または係合部(図示せず)に係合し、これによって吸い出しパイプ61内に格納される。ここで、このようなプランジャー66の下端に形成されている膨出部66aと、吸い出しパイプ61内の下側に形成された溝または係合部とにより、本発明における固定機構が構成されている。
【0035】
このように、吸い出しパイプ61内にプランジャー66を収納した状態で各部品を組み立てることにより、ベローズ64を圧縮してこれを収縮させることなく、ピストンヘッドPを容器の口すなわち容器本体側に螺合(被着)させることにより、ピストンヘッドPを押し下げた状態に固定することができる。その結果全体の長さが短くなって上方への突出量が減少するため、梱包上の収容効率のロスを阻止することができる。また、このようにプランジャー66が吸い出しパイプ61内に押し込まれることにことにより、ピストンヘッドPを押し下げた分がこの押し込み長さに吸収され、これによってベローズ64の変形が防止される。したがって、ベローズ64は弾性変形状態で維持されることにより、その弾性力が損なわれることがなく、その結果、ベローズ64の復帰に支障が生じることが確実に防止される。
【0036】
また容器を使用するときは、図2に示すように、ピストンヘッドPを引き上げると、このピストンヘッドPと一体のプランジャー66が前記吸い出しパイプ61内を上方へ摺動する。このプランジャー66の上方への摺動により、プランジャー66の膨出部66aは、前記吸い出しパイプ61の内側に形成された溝61aに弾性的に入り込み、膨出部66aが溝61aと嵌合する。
この嵌合した状態でピストンヘッドPを押圧すれば、プランジャー66、吸い出しパイプ61が一体に下がってベローズ64を圧縮することができる。この使用状態では、プランジャー66を押し下げても通常のポンプとして使用する場合の圧縮により生じるベローズ64のばね力に打ち勝つような嵌合状態にしておけば、この嵌合状態が外れることはない。
【0037】
なお、図4に示すように吸い出しパイプ61内にプランジャー66を予め収容しておくのではなく、吸い出しパイプ61とプランジャー66とを一旦嵌合状態(通常のポンプの使用が可能な状態)にした後、梱包のためにプランジャー66を吸い出しパイプ61内へ押し込もうとする場合、通常の吸い出し動作より大きなストロークでベローズ64を圧縮することとし、この圧縮によりベローズ64に生じる弾性力(ポンプとして使用する場合より大きな力)によって前記嵌合状態が外れるように膨出部66aと溝61aとの嵌合状態を設定するようにしてもよい。このような方式においても、前述の場合と同様に、プランジャー66が吸い出しパイプ61内に収納され、したがって、ベローズ64を圧縮することなく、ピストンヘッドPを容器の口に固定して、梱包効率を高めることができる。
【0038】
また、本発明における固定機構としては、前述したようなプランジャー66の下端に形成されている膨出部66aと、吸い出しパイプ61内の下側に形成された溝または係合部との無理嵌め方式に代えて、種々の構成を採用することが可能である。
例えば、プランジャー66と吸い出しパイプ61とのうちの一方に凸部を形成し、他方に凹部または切欠を形成し、プランジャー66および吸い出しパイプ61を相対的に回動させることにより、前記凸部を凹部または切欠に係合させ、これによってプランジャー66と吸い出しパイプ61との相対的な移動を停止させる回動方式を採用してもよい。
【0039】
また、プランジャー66と吸い出しパイプ61とのうちの一方に雄ねじを形成し、他方に雌ねじを形成し、これらを螺合させることにより、その伸縮を可能にすると同時に、プランジャー66と吸い出しパイプ61との相対的な移動を停止させる螺子方式を採用してもよい。なお、この場合の相対的な移動の停止とは、回転力を与えない状態において移動が停止されていることを意味している。すなわち、人為的でない通常の外力ではプランジャー66と吸い出しパイプ61との間に回転力が与えられないことから、ねじによる螺着状態は本発明においては部材間(プランジャー66と吸い出しパイプ61との間)の移動が停止されているものとする。
このような回転方式、あるいは螺子方式を固定機構として採用した場合、この固定機構によってピストンヘッドPを容器の口(容器本体側)に被着した状態で固定することも可能となる。その場合には、ピストンヘッドPにねじ部を形成し、このピストンヘッドPを螺合によって容器の口(容器本体側)に固定する必要がなくなることから、ピストンヘッドPへのねじ部の形成は不要となる。
【0040】
図5に示すものは、横断面がC形をなすカラーを使用し、このC形カラーを使用時に嵌め込み、梱包時には取り外すようにしたものである。
図6はこのC形カラーの説明図で、C形カラー67は、円筒形をなし、前記プランジャー66を外側から覆合し易くするために、円筒の一部は切断され切断部67aが形成されたC形状で弾性をもたせている。
【0041】
図5に示すように、この容器を使用するときには、前記プランジャー66をC形カラー67で覆合しながら、このC形カラー67を前記吸い出しパイプ61と前記ピストンヘッドPとの間に嵌合させる。この嵌合した状態でピストンヘッドPを押圧すると、C型カラー67が存在するため、前記プランジャー66、吸い出しパイプ61が互いに摺動することができない。したがって、ピストンヘッドPを押し下げることにより、吸い出しパイプ61が押し下げられてベローズ64(図1参照)を圧縮することができる。
これに対して、この容器を梱包する場合は、図7に示すように、前記プランジャー66からC形カラー67を取り離せば、プランジャー66は吸い出しパイプ61内を摺動して下方へ降下し前記吸い出しパイプ61内に格納される。そして、この状態でキャップ53を容器の口にねじ込むことにより、格納状態で固定することができる。
【0042】
図8に示されたものは、T形ストッパーを使用したもので、このT形ストッパーを使用時にはピストンヘッドP内のシリンダー部70へ挿入されて嵌合し、梱包時にはピストンヘッドPから離脱するようにしたものである。
図9はこのT形ストッパーをピストンヘッドPに取り付けた状態における説明図で、T形ストッパー68は、前記ピストンヘッドPの頂面上に位置する円盤68aと、この円盤68aの中央部から垂下されて設けられている溶液流入空間68bとを有している。この溶液流入空間68bの上部に溶液流出口68cが形成され、容器本体Yから溶液流入空間68bを上昇してきた溶液はこの溶液流出口68cを経てピストンヘッドPの開口部42aに連通されて、外部に突出される。
【0043】
また溶液流入空間68bの下方表面を嵌合突起68dが取巻いて設けられている。この嵌合突起68dは、図10に示すように、前記ピストンヘッドPに形成されている嵌合溝69に圧入的に係合することにより、T形ストッパー68が前記ピストンヘッドPから抜けるのを防止している。さらに前記円盤68a下面に突起68eが突設され、この突起68eが前記ピストンヘッドPとT形ストッパー68とを回転方向へ互いに位置決めすべく係合している。すなわち、この突起68eをピストンの上面の凹部へはめ込むことにより、両者が連結されるとともに、内部の溶液流入空間68bの溶液流出口68cと開口部42aとを相対的に位置決めして、溶液が流通することができる。
また、容器を梱包する場合には、前記T形ストッパー68をピストンヘッドPから取り外せば良い。すなわち、T形ストッパーを外せば、図11に示すように、前記吸い出しパイプ61がシリンダー70内に収容され、したがって、吸い出しパイプ61が押し下げられてベローズ64を圧縮することがない。
【0044】
そして容器使用時においては、このような構成のT形ストッパー68を、図8に示すように、前記ピストンヘッドPのシリンダー70へ挿入し、T形ストッパー68の溶液流入管68bの下端を前記吸い出しパイプ61の上端に載置させた状態で、T形ストッパー68の円盤68aを下方へ押圧すれば、吸い出しパイプ61を介してベローズ64を圧縮することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のポンプユニットによれば、ピストン部が、該ピストン部によるベローズの圧縮をなさせることなくピストンヘッドが容器本体側に被着可能となるよう、伸縮可能に形成されているので、移送時などの非使用時において、ピストン部を、ベローズの圧縮をなさせることなく縮めてピストンヘッドを容器本体側に被着させることにより、液の流出を防止することができ、またベローズの長期間に亘る圧縮に起因して操作性が低下するのも防止することができる。
【0046】
本発明の容器によれば、前記ポンプユニットを備えたことにより、液の流出を防止することができ、またベローズの長期間に亘る圧縮に起因して操作性が低下するのも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の容器の一実施形態例を示す図であり、ポンプユニットを装着した全体断面図である。
【図2】 図1に示したポンプユニットの容器の使用時の断面図である。
【図3】 図2における一部断面説明図である。
【図4】 図1に示したポンプユニットの容器の梱包時の断面図である。
【図5】 ポンプユニットの容器の他の例の使用時の断面図である。
【図6】 C形カラーの斜視図である。
【図7】 図5に示した容器の梱包時の断面図である。
【図8】 ポンプユニットの容器の他の例の使用時の断面図である。
【図9】 T形ストッパーの斜視図である。
【図10】 図8に示した容器の一部断面図である。
【図11】 図8に示した容器の梱包時の断面図である。
【図12】 従来の容器の一例の全体断面図である。
【図13】 図12に示した容器のベローズユニットの全体断面図である。
【図14】 図12に示した容器の弁の弁室の拡大断面図である。
【図15】 図12に示した容器のスリットプレート付近の断面図である。
【図16】 図12に示した容器のスリットプレートのスリットの形状を示す説明図である。
【図17】 図12に示した容器のピストン部下降時の全体断面図である。
【図18】 図12に示した容器の溶液吐出時の全体断面図である。
【図19】 図12に示した容器の保管時における全体断面図である。
【符号の説明】
61…吸い出しパイプ、61a…溝、63…吸い込みパイプ、
64…ベローズ、66…プランジャー、66a…膨出部、
Y…容器本体、P…ピストンヘッド
Claims (3)
- 容器本体に挿入され容器本体内の溶液を容器本体外に吸い出すポンプユニットにおいて、
容器本体内に挿入される吸い込みパイプと、
この吸い込みパイプの上部に連通接続した延び方向に復帰可能な蛇腹状のベローズと、
ベローズの上部に接続してベローズを伸縮させ、前記吸い込みパイプを介して容器本体内の液をピストンヘッドより容器本体外に吸い出すピストン部とを備えてなり、
前記ピストン部は、前記ベローズの上部に連通接続する吸い出しパイプと、この吸い出しパイプに対して移動可能に挿通してこれに連通するプランジャーと、このプランジャーに連通接続するピストンヘッドとを備えるとともに、前記プランジャーに設けられた膨出部が、前記吸い出しパイプに設けられた溝に離脱可能に嵌合することにより、該ピストン部によるベローズの圧縮をなさせることなく前記ピストンヘッドが容器本体側に被着可能となるよう、伸縮可能に形成されていることを特徴とするポンプユニット。 - 前記吸い出しパイプとプランジャーとの間には、ベローズの圧縮をなさせることなくピストンヘッドが容器本体側に被着する状態においてこれら吸い出しパイプとプランジャーとの相対的な移動を停止させる、固定機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載のポンプユニット。
- 前記請求項1又は2に記載のポンプユニットを備えたことを特徴とする容器。
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