JP4232558B2 - 車両用ドア構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用ドア構造に係り、特に、自動車等の車両のサイドドアに適用される車両用ドア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両のサイドドアに適用される車両用ドア構造においては、ドアパネル内のドアベルトライン部に長尺状のドアガードバーを配設することで、車両前突時のエプロンアッパメンバからの入力をドアガードバーで受け、ステアリングメンバの車体後方への移動を防止する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ドアベルトライン部にアッパリインフォースメントを設けると共に、アッパリインフォースメントの前端側にベースパネル部の取付部を設けた構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、ドアインナリインフォースメントにインパクトビーム取付けブラケットが一体に設けられており、ドアインナリインフォースメントとインパクトビームとがアルミ合金製である構成が知られている(例えば、特許文献3、4参照。)。また、鋳物のドアアウタパネルにリブを一体成形した構成が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−59182号公報
【特許文献2】
特開2000−71770号公報
【特許文献3】
特開2001−246935号公報
【特許文献4】
特開2001−341529号公報
【特許文献5】
特開平7−81408号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、車両前突時にフロントピラーからドアベルトラインに荷重を伝達するため、ドアガードバーの前端部が、ドア前端に上下方向に沿って配設されたドアフレームの後壁部に当接している。この結果、ドアガードバーをアルミ等の押出し材で構成した場合には、ドアガードバーを所定の長さに切断後、その前端部を、ドアフレームの後壁部に沿った形状に加工する必要がある。製造工数が多くなり、コストアップになる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、低コストで且つ車両前突時にドアベルトラインに荷重を確実に伝達できる車両用ドア構造を得ることが目的である
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の車両用ドア構造は、ドアのドアベルトライン部に配設され、上下に配置された上壁部と下壁部とを備えたベルトラインリインフォースメントと、
前記ドアの骨格部を形成するドアインナと、
前記ドアインナにおけるフロントピラーの車体後方向側となる部位に車体上下方向に沿って延設されると共に前壁部と後壁部とを備え前記前壁部の車体上下方向の所定の部位に上側ドアヒンジが固定されたヒンジサイド部と、
前記ヒンジサイド部における前記ベルトラインリインフォースメントの前記上壁部と前記下壁部の車体前方側への延長線上となる部位に一体形成され、且つ前記ヒンジサイド部の前記後壁部における前記ベルトラインリインフォースメントとの連結部と、前記ヒンジサイド部の前記前壁部における前記上側ドアヒンジの取付部とを連結する横リブと、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
従って、車両前突時に衝突荷重がエプロンアッパメンバからフロントピラーに入力されると、フロントピラーの車体後方向側となるドアの骨格部を形成するドアインナのヒンジサイド部に荷重が作用する。この荷重は、ドアインナのヒンジサイド部におけるベルトラインリインフォースメントの上壁部と下壁部の車体前方側への延長線上となる部位に一体形成され、且つヒンジサイド部の後壁部におけるベルトラインリインフォースメントとの連結部と、ヒンジサイド部の前壁部における上側ドアヒンジの取付部とを連結する横リブを介してドアベルトライン部に配設されたベルトラインリインフォースメントに伝達される。この結果、車両前突時にドアベルトラインに荷重を確実に伝達できる。また、ドアの骨格部を形成するドアインナを形成する際に、予め、ベルトラインリインフォースメントの前端部と対向するヒンジサイド部の部位を、成形型により、ベルトラインリインフォースメントの前端部が当接可能な形状にすることができる。この結果、ベルトラインリインフォースメントの前端部をヒンジサイド部側の形状に合わせるための後加工が不要になる。また、横リブをドアインナのヒンジサイド部に一体形成するため、横リブを別部材で構成する場合に比べて部品点数を削減できる。このため、製造工数及び部品数が少なくなり低コストとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における車両用ドア構造の一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0011】
なお、図中矢印FRは車体前方方向を、矢印UPは車体上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0012】
図3に示される如く、自動車車体10のフロントサイドドア12内には、ドアベルトライン部に、ベルトラインリインフォースメント14が車体前後方向に沿って配設されている。
【0013】
図2に示される如く、フロントサイドドア12は、フロントサイドドア12の車体外側部を構成するアウタパネル16と、フロントサイドドア12の骨格部を形成するドアインナ18とを備えている。
【0014】
図1に示される如く、ドアインナ18はアルミの鋳物で構成されており、ドアインナ18の前部はヒンジサイド部としてのヒンジサイド18Aとなっている。ヒンジサイド18Aは、車体上下方向に沿って延設され、開口部を車室内側に向けた皿状となっており、ヒンジサイド18Aの前壁部18Bには、車体上下方向の所定の部位にドアヒンジが固定されたドアヒンジ取付部18C、18Dが形成されている。
【0015】
また、ヒンジサイド18Aの上部には、側面視略三角形状のミラーブラケット18Eが一体成形されており、ミラーブラケット18Eの後端縁部は、ヒンジサイド18Aの後壁部18Fの上部18Gによって構成されている。なお、ヒンジサイド18Aの後壁部18Fの下端部は、ドアインナ18の下壁部18Hに連結されている。
【0016】
図2に示される如く、フロントピラー20の後壁部20Aの車体後方向側となるドアインナ18のヒンジサイド18A内の部位には、補強部としてのリブ24が形成されている。
【0017】
図1に示される如く、リブ24は車体前後方向に沿って延設された複数(本実施形態では上下2本)の横リブ26と、車体上下方向に沿って延設された複数(本実施形態では3本)の縦リブ28とで構成されている。
【0018】
また、横リブ26は、ベルトラインリインフォースメント14の車体前方側への延長線上の部位において、ヒンジサイド18Aの後壁部18Fにおけるベルトラインリインフォースメント14との連結部18Jと、ヒンジサイド18Aの前壁部18Bにおける上側ドアヒンジ取付部18Cと、を連結している。
【0019】
一方、縦リブ28は、横リブ26に車体前後方向に所定の間隔で交差しており、リブ24を梯子形状としている。また、縦リブ28は車体上方へ延設されており、ミラーブラケット18Eに形成された側面視三角形状のミラーブラケットリブ30の下部30Aに連結されている。
【0020】
なお、ミラーブラケットリブ30は、図3に示される如く、ドアフレーム12Aの前方上部が押圧(押圧点P)された場合のドアフレーム12Aの剛性を確保するために設定されており、ミラーブラケットリブ30に縦リブ28を連結することで、ドアフレーム12Aの剛性を更に向上できるようになっている。
【0021】
また、ベルトラインリインフォースメント14は、矩形閉断面構造とされたアルミ押出し材で構成されており、前端部14Aがヒンジサイド18Aの後壁部18Fにおけるベルトラインリインフォースメント連結部18Jの後側面18Kに当接、または、接近した状態で、ドアインナ18に固定されている。
【0022】
また、ベルトラインリインフォースメント14の上壁部14Bと下壁部14Cの車体前方側への延長線上に横リブ26がある。
【0023】
従って、図2及び図3に示される如く、ベルトラインリインフォースメント14の車体前方延長線上にドアインナ18のヒンジサイド18Aの後壁部18Fを挟んでリブ24があり、更に、リブ24が連結されたヒンジサイド18Aの前壁部18Bの前方にフロントピラー20がある。このため、車両前突時に衝突荷重がエプロンアッパメンバからフロントピラー20に入力されると、フロントピラー20の車体後方向側となるドアインナ18のヒンジサイド18Aに荷重が作用し、ヒンジサイド18Aに一体形成されたリブ24を介してドアベルトライン部に配設されたベルトラインリインフォースメント14に伝達されるようになっている。
【0024】
なお、図2に示される如く、ヒンジサイド18Aの後壁部18Fは、開口部を車室内方へ向けたコ字状となっており、内部に車体前後方向に沿ったリブ18Lが形成されている。また、ヒンジサイド18Aの後壁部18Fにおける外側壁部18Mには、車体上下方向に沿ってガラスチャンネル40が溶着等によって固定されており、ヒンジサイド18Aの前壁部18Bにはウエザストリップ42が配設されている。
【0025】
次に本実施例の作用を説明する。
【0026】
本実施例では、フロントサイドドア12内に配設されたベルトラインリインフォースメント14の車体前方延長線上にドアインナ18のヒンジサイド18Aの後壁部18Fを挟んでリブ24があり、更に、リブ24によって後壁部18Fと連結されたヒンジサイド18Aの前壁部18Bの前方にフロントピラー20がある。この結果、車体10が前突した場合に、衝突荷重がエプロンアッパメンバからフロントピラー20に入力されると、フロントピラー20が、フロントピラー20の車体後方向側となるドアインナ18のヒンジサイド18Aに当接し、荷重がヒンジサイド18Aに作用する。このため、荷重は、ヒンジサイド18Aに一体形成されたリブ24を介してドアベルトライン部に配設されたベルトラインリインフォースメント14に効率良く伝達される。従って、本実施形態では、車両前突時にドアベルトラインに荷重を確実に伝達できる。
【0027】
また、本実施形態では、鋳造によりドアインナ18のヒンジサイド18Aにリブ24を一体形成する際に、予め、ドアインナ18におけるベルトラインリインフォースメント連結部18Jの後側面18Kを、成形型により、ベルトラインリインフォースメント14の前端部14Aが当接可能な形状にすることができる。この結果、ベルトラインリインフォースメント14を押出し材を切断して製造した場合にも、ベルトラインリインフォースメント14の前端部14Aをベルトラインリインフォースメント連結部18Jの後側面18Kの形状に合わせるための後加工が不要になる。
【0028】
また、本実施形態では、補強部としてのリブ24をドアインナ18のヒンジサイド18Aに一体形成するため、補強部材を別部材で構成する場合に比べて部品点数を削減できる。
【0029】
従って、本実施形態では、製造工数及び部品数が少なくなり低コストとなる。
【0030】
また、本実施形態では、補強部をリブ24で構成したため、リブ24をドアインナ18のヒンジサイド部18Aに鋳物成形により容易に一体成形できる。また、補強部を厚肉部にしたり、リブ24に代えてベルトラインリインフォースメント14を前方へ延設した構成に比べ軽量化が可能になる。
【0031】
また、本実施形態では、縦リブ28が車体上方へ延設されており、ミラーブラケット18Eに形成された側面視三角形状のミラーブラケットリブ30の下部30Aに連結されている。この結果、ドアフレーム12Aの剛性を向上できる。このため、ドアインナ18におけるミラーブラケット18E及びドアフレーム固定部の肉厚を薄くでき、軽量化が可能となる。
【0032】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、横リブ26と縦リブ28とからなる梯子形状のリブ24を形成したが、リブ24の形状はこれに限定されない。また、上記実施形態では、ドアインナ18をアルミの鋳物で構成したが、ドアインナ18をアルミ以外の軽金属、樹脂等の他の材料で鋳造しても良い。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の車両用ドア構造は、ドアのドアベルトライン部に配設され、上下に配置された上壁部と下壁部とを備えたベルトラインリインフォースメントと、ドアの骨格部を形成するドアインナと、ドアインナにおけるフロントピラーの車体後方向側となる部位に車体上下方向に沿って延設されると共に前壁部と後壁部とを備え前壁部の車体上下方向の所定の部位に上側ドアヒンジが固定されたヒンジサイド部と、ヒンジサイド部におけるベルトラインリインフォースメントの上壁部と下壁部の車体前方側への延長線上となる部位に一体形成され、且つヒンジサイド部の後壁部におけるベルトラインリインフォースメントとの連結部と、ヒンジサイド部の前壁部における上側ドアヒンジの取付部とを連結する横リブと、を備えたため、低コストで且つ車両前突時にドアベルトラインに荷重を確実に伝達できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用ドア構造の要部を示す車体内側斜め後方から見た斜視図である。
【図2】図3の2−2線に沿った拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用ドア構造が適用された車体の一部をドアアウタパネルを除いて示す概略側面図である。
【符号の説明】
12 フロントサイドドア
14 ベルトラインリインフォースメント
14A ベルトラインリインフォースメントの前端部
18 ドアインナ
18A ドアインナのヒンジサイド(ヒンジサイド部)
18E ドアインナのミラーブラケット
20 フロントピラー
24 リブ(補強部)
26 横リブ
28 縦リブ
30 ミラーブラケットリブ

Claims (1)

  1. ドアのドアベルトライン部に配設され、上下に配置された上壁部と下壁部とを備えたベルトラインリインフォースメントと、
    前記ドアの骨格部を形成するドアインナと、
    前記ドアインナにおけるフロントピラーの車体後方向側となる部位に車体上下方向に沿って延設されると共に前壁部と後壁部とを備え前記前壁部の車体上下方向の所定の部位に上側ドアヒンジが固定されたヒンジサイド部と、
    前記ヒンジサイド部における前記ベルトラインリインフォースメントの前記上壁部と前記下壁部の車体前方側への延長線上となる部位に一体形成され、且つ前記ヒンジサイド部の前記後壁部における前記ベルトラインリインフォースメントとの連結部と、前記ヒンジサイド部の前記前壁部における前記上側ドアヒンジの取付部とを連結する横リブと、
    を備えたことを特徴とする車両用ドア構造。
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