JP4232190B2 - 圧電発振器、及びその製造方法、並びに圧電発振器を利用した携帯電話装置、電子機器 - Google Patents

圧電発振器、及びその製造方法、並びに圧電発振器を利用した携帯電話装置、電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電発振器及びその製造方法、並びに圧電発振器を利用した携帯電話装置、電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図21は、従来の圧電発振器100を長手方向に切断した場合の概略縦断面図である。この図において、圧電発振器100は、パッケージ110に所定の内部空間Sが形成され、この内部空間S内には、圧電素子としての例えば圧電振動片120、および回路素子としての例えば集積回路素子(以下、「IC」と云う。)130が収容されている。
【0003】
圧電振動片120は、例えば水晶基板から矩形状に形成され、パッケージ110の内側に設けられた電極122と、導電性接着剤124を介して電気的機械的に接続されている。この電極122は、パッケージ110内を引き回されて(図示せず。)、ボンディングワイヤー132と接続されている。また、ボンディングワイヤー132は、内部空間S内のIC130と接続されている。このようにして、IC130からボンディングワイヤー132、電極122、及び導電性接着剤124を介して圧電振動片120に、所定の駆動電圧を印加し、圧電振動片120から所定の振動周波数の信号を取り出すようになっている。
【0004】
このように、圧電発振器100は、同一のパッケージ110内に、圧電振動片120とIC130を収容している。したがって、特に製造過程において、圧電振動片120或いはIC130のいずれか一方のみが不良である場合であっても、圧電振動片120及びIC130の双方を含む圧電発振器100全体を廃棄しなければならない。
このため、圧電振動片120をパッケージに収容した圧電振動子と、IC130を収容するパッケージとを別々に完成させて検査をした後、これら双方のパッケージを接合するようにした圧電発振器もある。
【0005】
図22は、このように圧電振動片(図示せず)を収容する第1のパッケージ142と、IC(図示せず)を収容する第2のパッケージ144とを別々に完成させてから接合した圧電発振器140の概略図である。
この図において、第1のパッケージ142は、圧電振動片(図示せず)と電気的に接続された外部端子146をパッケージ142の外側に有し、この外部端子146は下方に延びるように延長された延長部146aを有している。また、第2のパッケージ144は、IC(図示せず)と電気的に接続された実装端子148を、パッケージ144の外側に有している。そして、外部端子146の延長部146aと実装端子148とを接合するようにして、圧電発振器140は完成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−244905号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、圧電発振器140を用いた情報機器や移動体通信機器などの様々な電子機器については、小型薄型化がめざましく、それらに用いられる圧電発振器140も小型薄型化が要求されている。
このため、図22のように、圧電振動片(図示せず)を収容したパッケージ142と、IC(図示せず)を収容したパッケージ144との位置を正確に合わせて接合しようとしても、図22において水平方向において位置がずれて接合されてしまう場合がある。
【0008】
そして、水平方向の位置がずれてパッケージ142とパッケージ144とが接合されると、圧電発振器140の水平方向の寸法が大きくなってしまい、圧電発振器140の小型化の要求を満たすことができなくなってしまう。
また、水平方向の位置がずれてパッケージ142とパッケージ144とが接合されると、外部端子146と実装端子148との接合位置もずれてしまい、外部端子146と実装端子148とが電気的に接続されない場合も生ずる。
【0009】
本発明の目的は、上述の課題を解決するためのものであり、小型に形成しても、圧電素子をパッケージに収容する圧電振動子と、回路素子を搭載した発振回路基板とが精度よく接合することができる圧電発振器と、その製造方法、及び圧電発振器を利用した携帯電話装置、電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、第1の発明によれば、回路素子が実装され、この回路素子と電気的に接続された接続端子を有する発振回路基板と、パッケージ内に圧電素子を収容し、前記パッケージの外部に露出した外部端子を有する圧電振動子と、前記外部端子と前記接続端子とを電気的に接続する導電体と、前記発振回路基板に設けられ、前記導電体を前記接続端子に配置するように位置決めする位置規制手段とを備え、前記位置規制手段は、前記発振回路基板上の周縁全体に沿って環状に設けられた凸部であり、前記回路素子は、前記凸部より内側に搭載され、封止材で覆われている圧電発振器により達成される。
【0011】
第1の発明の構成によれば、圧電発振器は、回路素子が実装され、この回路素子と電気的に接続された接続端子を有する発振回路基板と、接続端子と対向する位置に、パッケージの外側に露出した外部端子を有するようにして発振回路基板に接合され、パッケージ内に圧電素子を収容した圧電振動子とを備えている。このため、パッケージ内に圧電素子を収容する圧電振動子と、回路素子が実装された発振回路基板とを別々に製造した後に、例えば発振回路基板の上に圧電振動子を接合して圧電発振器を完成できる。したがって、回路素子ならびに圧電素子は、各々が完成段階で良否判定がされ、良品と判定されたものだけを接合して、圧電発振器として完成させるため、発振回路基板と圧電振動子の双方を廃棄することがない。
【0012】
そして、溶融した導電体により外部端子と接続端子とが電気的に接続される。このため、回路素子から接続端子および外部端子を介して、圧電素子に所定の駆動電圧を印加することができる。
ここで、導電体が接続端子の位置からずれて溶融してしまうと、導電体はセルフアライメント効果を発揮することができない。ところが、第1の発明によれば、発振回路基板は、導電体を接続端子に配置するように位置決めする位置規制手段を備えている。このため、導電体は、位置規制手段で移動することを規制され、接続端子のもとでのみ溶融し、セルフアライメント効果を発揮できる。したがって、圧電振動子と発振回路基板との位置を正確に合わせることができる。
すなわち、位置規制手段は、発振回路基板上の周縁全体に沿って環状に設けられた凸部であるので、導電体は、溶融する際に凸部が壁になって凸部よりも先に移動することがない。このため、効果的にセルフアライメント効果を発揮して、圧電振動子と発振回路基板との位置を正確に合わせることができる。
さらに、回路素子は発振回路基板上の周縁全体に沿って環状に設けられた凸部よりも内側に設けられている。このため、回路素子を外気から保護するための封止材を十分に充填しても、凸部がダムになって、封止材が発振回路基板の外側に流れ出てしまうことを防止できる。したがって、従来のように、高価な金型を用いて例えば樹脂モールドする必要がなく、製造コストを低減できる。
【0013】
第2の発明によれば、第1の発明の構成において、前記導電体は、球状の半田からなることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、圧電振動子と発振回路基板との位置合わせ時に生じた位置ずれを、球状の半田の溶融時に働く表面張力によって、セルフアライメント効果をより発揮して、圧電振動子と発振回路基板との位置を正確に合わせることができる。ここで、半田は球状であるため、これを接続端子上に配置した場合に、接続端子上から転がり落ちてしまうおそれがある。ところが、上述のように、導電体を接続端子上に配置するように位置決めする位置規制手段を備えているため、球状の半田が転がり落ちることを防止できる。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明の構成において、前記凸部は、上端に角部を有することを特徴とする
このため、回路素子を外気から保護するために充填した封止材は、粘性により、凸部の上端に設けられた角部で流れが止まる。したがって、凸部の高さを、封止材の高さより低くしても、封止材の流れを止めることができ、圧電発振器の厚みを薄くできる。
【0016】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかの構成において、前記位置規制手段は、前記接続端子の外側にのみ設けられていることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、位置規制手段は、接続端子の外側にのみ設けられているので、導電体は、溶融時に、接続端子の外側に移動することを有効に防止されて、セルフアライメント効果の向上を図れる。
また、上述のように、位置規制手段は、封止材の流れを阻止するダムの役割を果たすが、位置規制手段は、接続端子の外側にのみ設けられているので、封止材が充填されると、封止材は、導電体に接触しながら位置規制手段の位置で流れが止まる。したがって、封止材は、導電体と接続端子との接合強度を高めることもできる。
【0017】
第5の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかの構成において、前記位置規制手段は、前記接続端子の外側及び内側に形成され、かつ、前記封止材が充填された場合に、前記導電体に接触するように前記封止材を案内する流路を有することを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、位置規制手段は、接続端子の外側及び内側に形成されている。このため、第4の発明のように、導電体を接続端子の外側のみについて位置を規制するだけでなく、導電体を接続端子の外側および内側に移動してしまうことを規制し、接続端子上で半田を溶融させることで、セルフアライメント効果を確実に発揮できる。
しかも、位置規制手段は、封止材が充填された場合に、導電体に接触するように封止材を案内する流路を有している。このため、封止材は、充填されると流路から入り込み、導電体に接触しながら位置規制手段の位置で流れが止まる。したがって、封止材は、導電体と接続端子との接合強度を高めることもできる。
【0018】
第6の発明は、第1ないし第5の発明のいずれかの構成において、前記封止材は、前記発振回路基板と前記圧電振動子とを接着するようにして、前記発振回路基板と前記圧電振動子との間に介在していることを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、封止材は、回路素子を外気から保護するだけでなく、発振回路基板と圧電振動子とを接着する。ここで、封止材は、上述のように、凸部により発振回路基板の外側に流れ出てしまうことを防止されているため、封止材を十分に充填することができる。したがって、圧電振動子と発振回路基板との接合強度を高めることができる。また、発振回路基板と圧電振動子とは、封止材とは別の接着剤等を用いなくても接着でき、部品点数を少なくできる。
【0019】
第7の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかの構成において、前記発振回路基板に、制御用電極が設けられ、前記制御用電極は、前記圧電素子を検査するための電極と、前記回路素子を動作制御または検査するための電極との少なくともいずれか一方であることを特徴とする。
このため、制御用電極により、外部端子と接続端子との電気的接続の良し悪しを検査でき、かつ、回路素子の検査及び制御を発振回路基板側で行なうことができる。
【0025】
また上記目的は、第8の発明によれば、パッケージ内に圧電素子を収容すると共に、前記パッケージの外側に露出した外部端子を有する圧電振動子と、回路素子を実装し、この回路素子と電気的に接続された接続端子を有する発振回路基板とを別々に製造した後、前記圧電振動子と前記発振回路基板とを接合する圧電発振器の製造方法であって、少なくとも前記接続端子に隣接するようにして、前記発振回路基板上の周縁全体に沿って環状に設けられた凸部により形成される位置規制手段を設け、前記接続端子に導電体を配置し、前記圧電振動子を、前記外部端子と前記接続端子とが対向するように前記発振回路基板上に載置して、前記導電体を溶融し、その後、前記回路素子を外気から保護するための封止材を、前記圧電振動子と前記発振回路基板とが接着されるようにして充填することを特徴とする圧電発振器の製造方法により達成される。
【0026】
第8の発明の構成によれば、圧電発振器は、パッケージ内に圧電素子を収容すると共に、パッケージの外側に露出した外部端子を有する圧電振動子と、回路素子が実装され、この回路素子と電気的に接続された接続端子を有する発振回路基板とを別々に製造した後、圧電振動子と発振回路基板とを接合して製造する。このため、回路素子ならびに圧電素子は、各々が完成段階で良否判定がされ、良品と判定されたものだけを接合して、圧電発振器として完成させるため、発振回路基板と圧電振動子の双方を廃棄することがない。
【0027】
また、接続端子に導電体を配置し、圧電振動子を、外部端子と接続端子とが対向するように発振回路基板上に載置して、導電体を溶融するため、外部端子と接続端子とは、溶融した導電体を介して電気的に接続する。
ここで、少なくとも接続端子に隣接するようにして、発振回路基板上の周縁に沿って凸部により形成される位置規制手段を設けているので、導電体は、溶融する際、少なくとも発振回路基板の周縁側に移動することを規制され、セルフアライメント効果を有効に発揮して、圧電振動子と発振回路基板との位置を正確に合わせることができる。
【0028】
そして、その後、回路素子を外気から保護するための封止材を、圧電振動子と発振回路基板とが接着されるようにして充填する。そうすると、封止材は、回路素子を保護するだけでなく、圧電振動子と発振回路基板とを接着する機能も果たす。また、上述のように、封止材を充填する前には、発振回路基板上の周縁全体に沿って環状に設けられた凸部を設けるようにして位置規制手段を形成している。このため、封止材を十分に充填した場合であっても、周縁に沿って設けられた凸部がダムになって、封止材を発振回路基板の内側に閉じ込める。
【0029】
したがって、従来の樹脂パッケージの製造のように、高価な金型を用いて例えば樹脂モールドする必要がなく、製造コストを低減できる。
また、圧電振動子と発振回路基板との接合強度を高め、さらに、封止材とは別に、発振回路基板と圧電振動子とを接合するための接着剤等を用いなくても、発振回路基板と圧電振動子とを接合することができ、部品点数を少なくできる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0035】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる圧電デバイス10の概略平面図であり、図2は、この圧電発振器10のA−A線概略切断断面図である。
これらの図において、圧電発振器10は、パッケージ30の内部に圧電素子としての例えば圧電振動片20を収容した圧電振動子21と、回路素子としての例えば集積回路素子(以下、「IC」と云う。)54が実装された発振回路基板50とを有している。
【0036】
圧電振動片20は、例えば水晶で形成されており、水晶以外にもタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。
図において圧電振動片20は、導電性接着剤42,42を介してパッケージ30と固定される基部20aから、右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕22,24を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片が利用されている。
【0037】
パッケージ30は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成型して形成される複数の基板を積層した後に、燒結して形成されている。すなわち、図2に示されるように、この実施形態では、パッケージ30は、下から第1の積層基板31、第2の積層基板32を重ねて形成されている。そして、第2の積層基板32の内側に所定の孔を形成することで、第2の積層基板32を第1の積層基板31に積層した場合に内側に所定の内部空間S1を形成するようにされている。
また、パッケージ30の開放された上端にある開放端面30bに、例えば、導電材料でなるロウ材34を介して、蓋体36が接合されることにより、封止されている。
【0038】
パッケージ30の内部空間S1内の図において左端部付近において、内部空間S1に露出して底部を構成するベースとなる第1の積層基板31には、下地にW(タングステン)およびNi(ニッケル)メッキ、表面にAu(金)メッキが施された電極部40,40が図1に示すように所定の間隔を隔てて形成されている。電極部40,40は、圧電振動片20に駆動電圧を供給するものである。
すなわち、電極部40,40の上にエポキシ系またはポリイミド系、またはシリコーン系等の導電性接着剤42,42が塗布されており、この導電性接着剤42,42の上に圧電振動片20の基部20aが載置されている。そして、圧電振動片20は、導電性接着剤42,42が硬化されることにより電極部40,40と接合されており、圧電振動片20の先端側20bは自由端とされている。また、圧電振動片20の基部20aの導電性接着剤42,42と触れる部分には、駆動電圧を伝えるための引出電極26,26が形成されており、この引出電極26,26は、振動腕22,24内に電界を発生させるための励振電極28,28と電気的に接続されている。
【0039】
また、パッケージ30の外側底面、すなわち第1の積層基板31の発振回路基板50側には、露出した複数の外部端子44、44,44,44が設けられている。これらの外部端子44、44,44,44は、パッケージ30の内部に引き回されて(図示せず)、その一部が電極部40,40と電気的に接続される駆動用電極として用いられ、一部が例えば導電材料からなるロウ材34及び蓋体36と電気的に接続される端子として用いられている。
そして、これらの各外部端子44は、後述する発振回路基板50上の各接続端子60とそれぞれ対向するように形成されており、図においては、パッケージ30の外側底面の4隅付近に設けられている。
【0040】
発振回路基板50は、図2に示すように、IC54および接続端子60を有している。
発振回路基板50は、薄板状に形成され、圧電振動子21に対して図2において水平方向に突出しないように、圧電振動子21の外側底面と略同じ面積で形成されている。また、発振回路基板50は、セラミックあるいはポリイミド等の樹脂基板からなる絶縁基板51上に、金あるいは銅等の配線パターン52が形成され、裏面には前記配線パターン52と接続され、回路基板へ実装し電気的機械的に接続される実装端子(図示せず)が配置されている。
【0041】
この発振回路基板50の略中央に、接着剤56により、IC54が固着されている。このIC54は、金属ワイヤあるいはバンプ等の導電材58を用いて、絶縁基板51上の配線パターン52と電気的に接続されている。このIC54および導電材58は、外気から保護するために、例えばエポキシ系樹脂等の封止材66で覆われている。この封止材66については、後で詳細に説明する。
【0042】
また、発振回路基板50は、圧電振動子21に設けられた外部端子44,44,44,44とそれぞれ対向する位置、すなわち図において、発振回路基板50の4隅付近であって配線パターン52上に、導電パターンを形成することにより複数の接続端子60,60,60,60が設けられている。本実施形態においては、これら4つの接続端子60,60,60,60のうち、三つは、IC54と電気的に接続されている。そして、残りの一つは、発振回路基板50に圧電振動子21を載置した場合に、圧電振動子21を水平に載置し、かつ圧電振動子21と発振回路基板50との接合強度を高められるようにされている。
【0043】
これらの各接続端子60上であって、圧電振動子21の外側底面に設けられた各外部端子44の下には、溶融して接続端子60と外部端子44とを電気的に接続するための導電体である例えば球状の半田62が配置されている。この球状の半田62については、後で詳細に説明する。
【0044】
また、圧電振動子21と発振回路基板50との間には、球状の半田62に接触するようにして、非導電性の接着剤或いは樹脂68が塗布されており、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合すると共に、球状の半田62を介した接続端子60と外部端子44との接続力を高めている。
【0045】
このようにして、圧電振動子21と発振回路基板50とは接合され、また、IC54と圧電振動片20とは、導電材58、絶縁基板51上の配線パターン52、接続端子60、球状の半田62、外部端子44、電極部40、導電性接着剤42、及び引出電極26を介して電気的に接続されている。したがって、圧電発振器10は、圧電振動片20への入力電圧を制御しながら、圧電振動片20に駆動電圧を印加し、圧電振動片20から所定の振動周波数の信号を取り出すことができる。
【0046】
また、発振回路基板50には、位置規制手段64が設けられている。
図3ないし図5は、この位置規制手段64を説明するための図であり、図3は発振回路基板50の平面図、図4は図3のB−B線切断端面図、図5は図3のC−C線切断端面図である(なお、作図の便宜上、IC54、導電材58、封止材66等は省略してある。)。
これらの図において、位置規制手段64は、半田62を接続端子60上に配置するように位置決めする手段であって、封止材66を充填した場合に、封止材66が接続端子60上に付着しないように、また、発振回路基板50の外部に流れ出してしまうことを防止する手段でもある。
【0047】
すなわち、位置規制手段64は、図3に示すように、発振回路基板50上の周縁に沿って設けられていると共に、発振回路基板50を上から見た場合に、各接続端子60の周囲を囲むように設けられている。また、図4及び図5に示すように、例えばエポキシ系の樹脂で上端に角部64dを有するようにして凸部により形成されている。この位置規制手段64については、後で詳細に説明する。
【0048】
以上のように圧電発振器10が構成されている。次に、圧電発振器10の製造方法について説明する。
図6は、圧電発振器10の製造方法について特徴的な部分を示す図であり、図6(a)は位置規制手段64を載置した図、図6(b)は封止材66を充填した図、図6(c)は半田62を接続端子60上に配置した図、図6(d)は圧電振動子21を発振回路基板50に載置した図、図6(e)は非導電性の接着剤68を塗布した図である。
【0049】
この製造方法においては、先ず、圧電振動子21と発振回路基板50とを別々に形成してから、これを完成させて、接合固定する。
この際、圧電振動子21に関しては、すでに説明した構成のように、圧電振動片20をパッケージ30内に収容し、このパッケージ30の外側に露出した複数の外部端子44を形成する。
また、発振回路基板50については、すでに説明した構成のように、発振回路基板50の略中央にIC54を実装するなどし、このIC54と電気的に接続された複数の接続端子60を形成する。
【0050】
ここで、発振回路基板50については、図6(a)に示すように、位置規制手段64を、発振回路基板50上の周縁に沿って設けると共に、各接続端子60の周囲を囲むように設ける(図3参照)。位置規制手段64は、例えば、発振回路基板50上に配線パターンを配線した後、エポキシ系樹脂等によりスクリーン印刷し、硬化させることにより形成する。
【0051】
具体的には、位置規制手段64のうち、各接続端子60の周囲を囲むように設けられた部分については、接続端子60よりも高くなるように厚みD1,D2を有した凸部で形成する。また、位置規制手段64のうち、後述するように封止材66を充填した場合、封止材66に接触する部分については、位置規制手段64を乗り越えて外側に流れないように、所定の幅W1を有し、上端に角部64dを有する凸部で形成する。図6(a)においては、位置規制手段64の厚みD1、D2は20、30μm程度、幅W1は150μm程度に形成している。
【0052】
次いで、図6(b)に示すように、封止材66を、IC54および導電材58を覆うようにして、ディスペンサ等で充填する。
この際、封止材66は、絶縁性であって、かつ、後述するように、位置規制手段64に接触した場合に位置規制手段64を乗り越えて外側に流れないように、所定の粘性を有するものが好ましく、図6(b)において、封止材66は、ポッティング材として、例えばエポキシ系の樹脂を用いる。
また、封止材66は、IC54および導電材58を外気から保護するために、十分な高さ及び幅をもって充填する。
【0053】
このように、封止材66は、ディスペンサ等で充填することで、IC54を封止できるので、従来のように、高価な金型を用いて樹脂モールドする必要がなく、製造コストを低減できる。
また、本実施形態においては、上述のように、凸部により形成される位置規制手段64を、各接続端子60の周囲を囲むように形成すると共に、発振回路基板50上の周縁に沿って形成している。また、封止材66を充填した場合に、封止材66が接触する位置規制手段64については、所定の幅W1を有し、上端に角部64dを有する凸部により形成している。
このため、充填された封止材66が位置規制手段64に流れてきた場合、図6(b)の一点鎖線で囲った部分拡大図のように、封止材66の粘性によって位置規制手段64の上端の角部64dで、封止材66の流れを止めることができる。したがって、この位置規制手段64がダム(流れ止め)となって、絶縁性の封止材66が接続端子60上に付着したり、発振回路基板50の外部に流れ出てしまうことを有効に防止できる。また、位置規制手段64は、上端の角部64dで封止材66の流れを止めるようにしているため、位置規制手段64の高さを、封止材66の高さより低くしてもよく、圧電発振器10の厚みを薄くできる。
【0054】
次いで、図6(c)に示すように、球状の半田62を、発振回路基板50の4隅に設けられた各接続端子60に配置する。
この際、半田62は球状からなっているため、転がり易くなっている。ところが、図3に示すように、位置規制手段64が各接続端子60の周囲を囲むようにして設けられているため、この位置規制手段64がガイドとなって、球状の半田62を正確に接続端子60の上に載置でき、かつ転がることを防止できる。
【0055】
次いで、図6(d)に示すように、圧電振動子21の外部端子44と発振回路基板50の接続端子60とを、球状の半田62を用いて電気的に接続する。すなわち、圧電振動子21の側壁と発振回路基板50の側壁とが面一になるようにして、複数の外部端子44と複数の接続端子60とをそれぞれ対向させ、発振回路基板50上に圧電振動子21を載置する。そして、これを例えばリフロー炉(図示せず)に入れ、球状の半田62を溶融して外部端子44と接続端子60とを電気的に接続する。
【0056】
この際、発振回路基板50上に圧電振動子21が多少ずれて載置された場合であっても、半田62が溶融する際のセルフアライメント効果によって、そのずれた位置を自己補正する。すなわち、半田62が溶融する際の概念図である図7(a)に示すように、半田62は、溶融する際に表面張力に基づいて、所定の形状を保とうとし、その頂点Vの部分で圧電振動子21を支持して浮かばせながら、圧電振動子21の位置を修正する。特に球状の半田62の場合には、溶融した際に球状の形状に保とうとする力が強く、セルフアライメント効果が高い。
【0057】
ところが、例えば、半田62を接続端子60上からずれて配置すると、図7(b)に示すように、半田62は位置がずれたまま溶融することになり、溶融する際の所定の形状を保つことができず、セルフアライメント効果を有効に発揮できない。特に、本実施形態の場合には、半田62は球状に形成されているため、接続端子60上を転がって、接続端子60からずれて溶融するおそれがある。
しかし、本実施形態の場合には、上述のように、半田62を接続端子60上に配置するように位置決めする位置規制手段64が設けられている。
このため、図7(a)に示すように、球状の半田62は、接続端子60上に確実に配置され、接続端子60上でのみ溶融し、表面張力によって球状を保とうとし、頂点Vの部分で圧電振動子21を支持して浮かばせ、セルフアライメント効果を確実に発揮することができる。
【0058】
次いで、図6(e)に示すように、非導電性の接着剤或いは樹脂68を、圧電振動子21と発振回路基板50との間に塗布して、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合する。
【0059】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成され、このため、セルフアライメント効果を確実に発揮して、圧電振動子21と発振回路基板50との位置を正確に合わせることができ、小型に形成しても、圧電振動片20をパッケージ30に収容する圧電振動子21と、IC54を搭載した発振回路基板50とが精度よく接合された圧電発振器10を完成することができる。
【0060】
また、位置規制手段64は、上述のように、各接続端子60の周囲を囲むように設けられていると共に、発振回路基板50上の周縁に沿って凸部で形成されているため、封止材66が接続端子60上に付着してしまい、また、発振回路基板50の外部に流れ出てしまうことを有効に防止できる。そして、このように封止材66を発振回路基板50の内側に閉じ込めることができる結果、封止材66はディスペンサ等を用いてIC54を封止できるので、従来のように、高価な金型を用いて樹脂モールドする必要がなく、製造コストを低減できる。
【0061】
図8ないし図10は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例であって、圧電発振器12の製造方法について特徴のある部分であり、図8は、位置規制手段64を載置した図6(a)に対応する図である。また、図9は圧電振動片20及び/又はIC54の動作を検査した図であり、図10は制御用電極70の部分を切り取った図である。
これらの図において、図1ないし図7の圧電発振器10と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0062】
この圧電発振器12の製造方法において、第1の実施形態と異なるのは、発振回路基板に、圧電振動片20及び/又はIC54の動作制御及び/又は検査するための制御用電極70を設けた点である。
すなわち、すでに説明したように、この製造方法においては、先ず、圧電振動子21と発振回路基板50とを別々に形成してから、これを完成させて、接合固定する。
この際、発振回路基板50については、図8で示すように、発振回路基板50の水平方向の面積を、圧電振動子21の外側底面の面積よりも大きく形成し、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合した場合に、発振回路基板50の一部50aが圧電振動子21の外部に露出するように形成する。そして、この圧電振動子21の外部に露出した発振回路基板50の一部50aに、絶縁基板51上の配線パターン52(図2を参照)と電気的に接続するようにして制御用電極70を設ける。
【0063】
そして、図6(a)ないし図6(e)で説明したように、発振回路基板50に、位置規制手段64、封止材66、及び半田62を設け、その後、外部端子44と接続端子60とを電気的に接続し、非導電性の接着剤或いは樹脂68を充填することで、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合固定する。
【0064】
次いで、図9に示すように、発振回路基板50の一部50aに設けた制御用電極70に、例えばプローブ71を当てて、圧電振動子20及び/又はIC54の動作を検査する。また、同時にIC54内の機能制御を行う。この機能制御とは、発振器の出力信号を変更したり、発振器が温度補償型発振回路の場合、温度による周波数変化を制御補正するためのデータ書込み等を実行することである。その後、図10に示すように、圧電振動子21の側面から発振回路基板50が露出しないように、圧電振動子21の外部に露出した発振回路基板50の一部50aを、例えばダイシングにより切り離す。
【0065】
本発明の第1の実施形態の第1の変形は以上のように構成され、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮し、さらに、制御用電極70により、外部端子44と接続端子60との電気的接続の良し悪しを検査でき、かつ、IC54の検査及び制御を発振回路基板側で行なうことができる。しかも、発振回路基板50の完成後には不要である制御用電極70を、完成後に切断することができ、圧電発振器12を小型化できる。
【0066】
図11は、本発明の第2の実施形態であって、圧電発振器14の製造方法について特徴のある部分であり、図11(a)は圧電振動子21と発振回路基板50とを別々に完成させた図、図11(b)は、発振回路基板50に圧電振動子21を配置した図、図11(c)は、封止材66を充填した図、図11(d)は圧電発振器14を完成させた図である。
これらの図において、図1ないし図7の圧電発振器10と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0067】
この圧電発振器14の製造方法において、第1の実施形態と主に異なるのは、外部端子44と接続端子60とを電気的に接続した後に、封止材66を充填した点である。
すなわち、図11(a)で示すように、先ず発振回路基板50と圧電振動子21とを別々に完成させる。
【0068】
この際、発振回路基板50については、図11(a)の左側の図で示すように、第1の実施形態と同様の、すなわち図6(a)と同様の構造を完成させる。
また、圧電振動子21についても、図11(a)の右側の図で示すように、すでに説明した構成を完成させる。
ここで、圧電振動子21については、予め、複数の外部端子44の各々に球状の半田62を載置しておく。
なお、圧電振動子21にも、各外部端子44の周囲を囲むようにして位置規制手段64を設けてもよい。この際の位置規制手段64は、例えばエポキシ系樹脂を用い、或いは、パッケージ30がセラミックから形成されている場合には、セラミックを用いてもよい。
【0069】
次いで、図11(b)で示すように、複数の外部端子44と複数の接続端子60とを、それぞれ球状の半田62を用いて電気的に接続する。
すなわち、複数の外部端子44と複数の接続端子60とをそれぞれ対向させて、発振回路基板50上に圧電振動子21を載置し、これを例えばリフロー炉(図示せず)に入れて、半田62を溶融する。この際、発振回路基板50には、第1の実施形態と同様に、位置規制手段64が設けられている。このため、発振回路基板50上に圧電振動子21を載置する際、位置規制手段64がガイドとなって、半田62を接続端子60に案内して配置できる。また、半田62は接続端子60の上でのみ溶融して、セルフアライメント効果を確実に発揮し、圧電振動子21と発振回路基板50との位置を正確に合わせることができる。
【0070】
次いで、図11(c)で示すように、IC54等を外気から保護するための封止材66を、例えば注射器或いはディスペンサ72を用いて、IC54及び導電材58を覆うようにして充填する。
ここで、封止材66は、IC54及び導電材58を覆うだけでなく、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合するようにして、すなわち、圧電振動子21の外側底面と発振回路基板50の上面とに接合するようにして充填する。このように、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合するように封止材66を充填したとしても、発振回路基板50には、第1の実施形態と同様の位置規制手段64が形成されているため、封止材66は、発振回路基板50の内側に閉じ込められる。
【0071】
なお、封止材66は、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合し、かつ、第1の実施形態と同様に、充填した封止材66が接触する位置規制手段64の上端を乗り越えて外側に流れないように、所定の粘性を有する、例えばエポキシ系樹脂を用いる。また、より好ましくは、圧電振動子21と発振回路基板50とを、封止材66を用いて接合したことに伴い、熱勾配を解消するための熱伝導性の高い封止材66を用いる。
次いで、封止材66の乾燥を待って、図11(d)に示すように圧電発振器14を完成させる。
【0072】
本第2の実施形態は、以上のように構成され、したがって、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮し、さらに、第1の実施形態の図2に示すように、非導電性の接着剤或いは樹脂68を用いなくても、封止材66を用いて、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合することができる。
また、封止材66を介した圧電振動子21と発振回路基板50との接合面積は、図2における非導電性の接着剤或いは樹脂68を介した圧電振動子21と発振回路基板50との接合面積よりも大きいため、圧電振動子21と発振回路基板50との接合強度を高めることができる。
【0073】
また、上述のように、圧電振動子21にも、各外部端子44の周囲を囲むように位置規制手段64を設けた場合には、位置規制手段64がガイドとなって、球状の半田62を正確に外部端子60の上に載置でき、かつ転がることを防止できる。また、各外部端子44同士の間隔が狭い場合での、各外部端子44間のショートを防止できる。
【0074】
図12ないし図14は、本発明の第3の実施形態であって、図12は、圧電発振器16の概略縦断面図、図13は、発振回路基板50の概略平面図、図14は、図13のD−D線切断端面図である(なお、作図の便宜上、図13および図14において、発振回路基板50に実装されたIC54等は省略してある。)。
これらの図において、図1ないし図11の圧電発振器10,12,14と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0075】
この圧電発振器16において、第2の実施形態と異なるのは、図12に示すように、発振回路基板50には、位置規制手段80が接続端子60の外側にのみ設けられ、封止材66が、球状の半田62、接続端子60、外部端子44に接触している点である。
すなわち、図13で示すように、位置規制手段80は、接続端子60の外側にのみ隣接するようにして、発振回路基板50の周縁に沿って形成されている。
また、位置規制手段80は、図14に示すように、接続端子60よりも高くなるように厚みD3を有し、かつ、充填した封止材66が、位置規制手段80を乗り越えて外側に流れないように、所定の幅W1と上端に角部80dを有する凸部により形成されている。
【0076】
このような圧電発振器16については、上述した第2の実施形態の製造方法と同様に製造する。すなわち、発振回路基板50上に圧電振動子21を載置して、球状の半田62を介して接続端子60と外部端子44とを電気的に接続した後、封止材66を充填する。そうすると、位置規制手段80は、接続端子60の内側には設けられていないので、図12に示すように、封止材66は、球状の半田62を覆いながら、接続端子60の外側に設けられた位置規制手段80で堰き止められる。
【0077】
本第3の実施形態は以上のように構成されており、このため、半田62が、接続端子60の外側に移動してしまうことを防止して、確率よく半田62を接続端子60上で溶融させ、セルアライメント効果を発揮させることができる。
また、IC54等を外気から保護する封止材66は、圧電振動子21と発振回路基板50とを接合するだけでなく、半田62と接続端子60、及び/又は半田62と外部端子44とを接合することもできる。
さらに、第3の実施形態では、位置規制手段80を接続端子60の外側、すなわち、接続端子60の外側にのみ隣接するようにして、発振回路基板50の周縁に沿って形成されているだけなので、この周縁に沿って形成された位置規制手段80に沿った位置であれば、いずれの位置にも接続端子60を配置することができ、発振回路基板50の設計が変更された場合であっても、位置規制手段80の製造パターンを変更しないで済む。
【0078】
図15および図16は、本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器18について特徴のある部分であり、図15は、発振回路基板50の平面図、図16は、図15のE−E線切断端面図である(なお、作図の便宜上、IC54等を省略してある。)。
これらの図において、図1ないし図14の圧電発振器10,12,14,16と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
この圧電発振器18において、他の実施形態と異なるのは、充填された封止材66が半田62に接触するように、封止材66を案内する流路82を設けた点である。
【0079】
すなわち、この圧電発振器18において、位置規制手段64は、各接続端子60の外側及び内側に形成され、かつ、封止材66が充填された場合に、半田62に接触するように封止材66を案内する流路82を有している。
具体的に図15においては、位置規制手段64のうち、発振回路基板50の周縁に沿って凸部で形成された位置規制手段64aは、半田62が接続端子60から外側に移動しないように、各接続端子60に隣接するように形成されている。また、この発振回路基板50の周縁に沿った位置規制手段64aから所定の間隔をおいて、接続端子60の内側に隣接して、一つの接続端子60に対して2つの位置規制手段64b、位置規制手段64cが、それぞれ所定の間隔を空けて形成されている。この所定の間隔は、充填された封止材66が流れ込むことができるように形成された間隔であり、封止材66を案内する流路82となる。
【0080】
このように、接続端子60に隣接するようにして形成された発振回路基板50の周縁に沿った位置規制手段64a、及び、各接続端子60の内側に隣接する位置規制手段64b,64cを設けることにより、半田62が接続端子60より外側および内側に配置されてしまうことを防止し、半田62を、確実に接続端子60上で溶融することができる。
【0081】
そして、このような圧電発振器18については、上述した第2の実施形態の製造方法と同様に製造する。すなわち、発振回路基板50上に圧電振動子21を載置して、球状の半田62を介して接続端子60と外部端子44とを電気的に接続した後、封止材66を充填する。そうすると、位置規制手段64には、流路82が設けられているので、封止材66は、流路82に案内されて、球状の半田62を覆いながら、発振回路基板50の周縁に沿った位置規制手段64aで堰き止められる。
【0082】
本第4の実施形態は以上のように構成され、このため、位置規制手段を接続端子の外側にのみ設けた第3の実施形態と比べて、半田62を接続端子60の外側及び内側において規制でき、確実に接続端子60上で溶融させて、セルフアライメント効果を確実に発揮することができる。
しかも、位置規制手段を接続端子の周囲を囲むように設けた第2の実施形態と比べて、封止材66は、流路82に案内されて、半田62にも接触することができるため、半田62と接続端子60、及び/又は、半田62と外部端子44との接続強度を高めることもできる。
【0083】
なお、本第4の実施形態において、位置規制手段64の位置および数量については、半田62を接続端子60の外側及び内側において規制し、かつ封止材66を案内する流路82を形成できれば、これに限られない。
【0084】
図17ないし図19は、本発明の第5の実施形態であって、圧電発振器19の製造方法について特徴のある部分であり、図17は、圧電振動子21と発振回路基板50とを別々に完成させた図、図18は、発振回路基板50および圧電振動子21に半田62,63を配置した図、図19は、発振回路基板50に圧電振動子21を載置した図である(なお、作図の便宜上、圧電振動片や配線等は省略してある。)。
これらの図において、図1ないし図16の圧電発振器10,12,14,16,18と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0085】
この圧電発振器19において、第1の実施形態と異なるのは、半田62,63を、発振回路基板50の各接続端子60及び圧電振動子21の各外部端子44の双方に設けた点である。
すなわち、図17で示すように、先ず発振回路基板50と圧電振動子21とを別々に完成させる。
この際、発振回路基板50については、図17の左側の図で示すように、他の実施形態と同様に位置規制手段64を形成して、図6(a)と同様の構造を完成させる。また、圧電振動子21についても、図17の右側の図で示すように、すでに説明した構成を完成させる。
【0086】
ここで、圧電振動子21についても、位置規制手段84を形成する。すなわち、圧電振動子21の4隅付近に設けられた各外部端子44のそれぞれについて、外部端子44の周囲を囲むようにして、外部端子44の高さよりも高くなるように厚みを有する凸部を形成する。なお、位置規制手段84は、例えばエポキシ系樹脂を用い、或いは、パッケージ30がセラミックから形成されている場合には、セラミックを用いてもよい。
【0087】
次に、第1の実施形態に係る図6(b)と同様に、発振回路基板50上のIC54及び導電材58を、ディスペンサ等を用いて封止材66で覆い、その後、図18に示すように、球状の半田62を各接続端子60に配置するのみならず、球状の半田63を各外部端子44にも配置する。この際、上述のように、発振回路基板50および圧電振動子21には、位置規制手段64,84が形成されている。このため、位置規制手段64,84がガイドとなって、球状の半田62,63を正確に各接続端子60および各外部端子44上に載置でき、かつ転がることを防止できる。
【0088】
次いで、図19に示すように、複数の外部端子44と複数の接続端子60とをそれぞれ対向させ、発振回路基板50上に圧電振動子21を載置する。そして、これを例えばリフロー炉(図示せず)に入れ、球状の半田62を溶融して各外部端子44と各接続端子60とをそれぞれ電気的に接続する。
【0089】
この際、発振回路基板50および圧電振動子21には、上述のように、半田62,63を接続端子60および外部端子44に配置するように位置決めする位置規制手段64が設けられている。このため、球状の半田62,63は、接続端子60および外部端子44に確実に配置され、接続端子60および外部端子44のもとでのみ溶融し、セルフアライメント効果を確実に発揮することができる。
【0090】
本第5の実施形態は以上のように構成され、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮し、さらに、外部端子44に設けた半田63に対応した分だけ、圧電振動子21と発振回路基板50との間隔を大きくとることができ、IC54を実装するための発振回路基板50上のスペースを大きく取ることができる。
また、発振回路基板50の接続端子60上にのみ半田62を配置した場合に比べて、より小さな半田62,63を用いても、発振回路基板50上にIC54を実装するためのスペースを確保することができる。したがって、発振回路基板50に占める半田62のスペースを小さくできる。
【0091】
なお、本第5の実施形態において、位置規制手段64,84は、圧電振動子21或いは発振回路基板50のいずれか一方に設けてもよい。すなわち、圧電振動子21に位置規制手段84を設けなくても、発振回路基板50側の位置規制手段64により、セルフアライメント効果を有効に発揮し、また、封止材66が接続端子60に付着する恐れを防止し、さらに、封止材66を発振回路基板50内に閉じ込めるられる。或いは、発振回路基板50に位置規制手段64を設けなくても、圧電振動子21側に設けた位置規制手段84により、セルフアライメント効果を有効に発揮し、また、封止材66が外部端子44に付着する恐れを防止できる。
【0092】
図20は、本発明の上述した実施形態に係る圧電発振器を利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置300の概略構成を示す図である。
図において、マイクロフォン308により電気信号に変換された送信者の音声は、デモジュレータ,コーデック部でデジタル変調され、送信部307においてRF(Radio Frequency)帯に周波数変換後、アンテナを通して基地局(図示せず)に送信される。また、基地局からのRF信号は受信部306において周波数変換後、デモジュレータ,コーデック部において音声信号に変換され、スピーカー309から出力される。また、CPU(Central Processing Unit)301は液晶表示装置及びキーボードからなる入出力部302をはじめ、デジタル式携帯電話装置300の全体の動作を制御している。メモリ303はCPU301により制御される、RAM,ROMからなる情報記憶手段であり、これらの中にはデジタル式携帯電話装置300の制御プログラムや電話帳などの情報が格納されている。
【0093】
本発明の実施形態に係る圧電発振器が応用されるものとして、例えばTCXO(Temperature Compensated X’stal Oscillator:温度補償圧電発振器)305がある。このTCXO305は周囲の温度変化による周波数変動を小さくした圧電発振器であり、図17の受信部306や送信部307の周波数基準源として携帯電話装置に広く利用されている。このTCXO305は近年の携帯電話装置の小型化に伴い、小型化への要求が高くなってきており、本発明の実施形態に係る構造によるTCXO小型化は極めて有用である。
【0094】
このように、デジタル式携帯電話装置300のような電子機器に、上述した実施形態に係る圧電発振器10、或いは圧電発振器12,14,16,18を利用することにより、圧電素子を収容するパッケージと、回路素子を搭載した発振回路基板とが精度よく接合されて、デジタル式携帯電話装置300全体の小型化に寄与できるとともに、圧電振動片を納めた第1のパッケージと温度センサや温度補償回路を納めた第2のパッケージとの間に熱伝導に優れた良導体を充填することにより、優れた温度補償特性を得ることができる。
【0095】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜相互に組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、本発明の各実施形態において、パッケージ内に収容される圧電素子を音叉型圧電振動片に代えて、圧電材料を薄い矩形状としたATカット振動片としてもよく、また、パッケージ内に音叉型圧電振動片とATカット振動片との両方を収容するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器の概略平面図。
【図2】 図1のA−A線切断断面図。
【図3】 本発明の第1の実施形態に係る発振回路基板の平面図。
【図4】 図3のB−B線切断端面図。
【図5】 図3のC−C線切断端面図。
【図6】 本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器の製造方法について特徴的な部分を示す図であり、(a)は位置規制手段を載置した図、(b)は封止材を充填した図、(c)は半田を接続端子上に配置した図、(d)はパッケージを発振回路基板に載置した図、(e)は非導電性の接着剤を塗布した図。
【図7】 半田が溶融する際の概念図。
【図8】 本発明の第1の実施形態の第1の変形例であって、圧電発振器の製造方法について特徴のある部分であり、位置規制手段を載置した図6(a)に対応する図。
【図9】 圧電振動片及び/又はICの動作を検査した図。
【図10】 制御用電極の部分を切り取った図
【図11】 本発明の第2の実施形態であって、圧電発振器の製造方法について特徴のある部分であり、(a)はパッケージと発振回路基板とを別々に完成させた図、(b)は、発振回路基板にパッケージを配置した図、(c)は、封止材を充填した図、(d)は圧電発振器を完成させた図。
【図12】 本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器の概略縦断面図。
【図13】 本発明の第3の実施形態に係る発振回路基板の概略平面図。
【図14】 図13のD−D線切断端面図。
【図15】 本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器であり、発振回路基板の平面図。
【図16】 図15のE−E線切断端面図。
【図17】 本発明の第5の実施形態であって、圧電発振器の製造方法について特徴のある部分であり、圧電振動片と発振回路基板とを別々に完成させた図。
【図18】 第5の実施形態に係る発振回路基板および圧電振動片に半田を配置した図。
【図19】 第5の実施形態に係る発振回路基板に圧電振動子を載置した図。
【図20】 本発明の各実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図21】 従来の圧電発振器を長手方向に切断した場合の概略縦断面図。
【図22】 圧電振動片を収容する第1のパッケージと、ICを収容する第2のパッケージとを別々に完成させてから接合した圧電発振器の概略図。
【符号の説明】
10,12,14,16,18,19,100,140・・・圧電発振器、20・・・圧電振動片、30・・・パッケージ、44・・・外部端子、50・・・発振回路基板、60・・・接続端子、62,63・・・半田、64,64a,64b,64c,80,84・・・位置規制手段、66・・・封止材。

Claims (8)

  1. 回路素子が実装され、この回路素子と電気的に接続された接続端子を有する発振回路基板と、
    パッケージ内に圧電素子を収容し、前記パッケージの外部に露出した外部端子を有する圧電振動子と、
    前記外部端子と前記接続端子とを電気的に接続する導電体と、
    前記発振回路基板に設けられ、前記導電体を前記接続端子に配置するように位置決めする位置規制手段と
    を備え、
    前記位置規制手段は、前記発振回路基板上の周縁全体に沿って環状に設けられた凸部であり、
    前記回路素子は、前記凸部より内側に搭載され、封止材で覆われている
    ことを特徴とする圧電発振器。
  2. 前記導電体は、球状の半田からなることを特徴とする、請求項1に記載の圧電発振器。
  3. 前記凸部は、上端に角部を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の圧電発振器。
  4. 前記位置規制手段は、前記接続端子の外側にのみ設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電発振器。
  5. 前記位置規制手段は、前記接続端子の外側及び内側に形成され、かつ、前記封止材が充填された場合に、前記導電体に接触するように前記封止材を案内する流路を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧電発振器。
  6. 前記封止材は、前記発振回路基板と前記圧電振動子とを接着するようにして、前記発振回路基板と前記圧電振動子との間に介在していることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の圧電発振器。
  7. 前記発振回路基板に、制御用電極が設けられ、
    前記制御用電極は、前記圧電素子を検査するための電極と、前記回路素子を動作制御または検査するための電極との少なくともいずれか一方であることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の圧電発振器。
  8. パッケージ内に圧電素子を収容すると共に、前記パッケージの外側に露出した外部端子を有する圧電振動子と、回路素子を実装し、この回路素子と電気的に接続された接続端子を有する発振回路基板と、を別々に製造した後、前記圧電振動子と前記発振回路基板とを接合する圧電発振器の製造方法であって、
    少なくとも前記接続端子に隣接するようにして、前記発振回路基板上の周縁全体に沿って環状に設けられた凸部により形成される位置規制手段を設け、
    前記接続端子に導電体を配置し、
    前記圧電振動子を、前記外部端子と前記接続端子とが対向するように前記発振回路基板上に載置して、前記導電体を溶融し、
    その後、前記回路素子を外気から保護するための封止材を、前記圧電振動子と前記発振回路基板とが接着されるようにして充填する
    ことを特徴とする圧電発振器の製造方法。
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