JP4230884B2 - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

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本発明は、プラスチックレンズの製造方法に関し、特に、レンズ中の異物を低減した紫外線吸収機能を有するプラスチックレンズの製造方法に関する。
ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと、ジアリルフタレートなどの芳香族化合物とを混合して屈折率1.55程度のレンズを作製することは知られている。かかるレンズは、屈折率を上げるために、ジアリルフタレートなどの芳香族化合物を用いているため、得られるレンズは黄色化することも知られている。また、紫外線吸収剤を添加すると得られるレンズが黄色化することも知られている。これらの問題を解決するために、ブルーイング剤を添加することが知られており、例えば、特許文献1には、CoO・Al2O3で示される、C.I.ナンバー;77346(ピグメントブルー28)のコバルトブルーを用いた例が開示されている。そして、このようなブルーイング剤を用いた場合の製造工程は、図2に示すように、レンズの原料である主モノマーに重合開始剤、ブルーイング剤及び必要に応じその他の添加剤等を混合し、フィルターを用いてフィルタリングしてから、脱気して分散剤の一部又はすべてを除去し、鋳型内に注入し、重合させてプラスチックレンズを得ていた。
しかしながら、このようなレンズの製造方法では、得られたレンズ中に、ブルーイング剤の混合工程などのレンズ作製工程の作業により異物が混入しやすいという課題を有している。
特開平5-195446号公報
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、その目的は、レンズ中の異物を低減した紫外線吸収機能を有するプラスチックレンズの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、プラスチックレンズの主モノマーと、ブルーイング剤とを別々のフィルターでフィルタリングすることにより前記の目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(A)成分:紫外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−トを必須成分とするレンズ材料モノマ−と、(B)成分:CoO・Al2O3及び/又はCo・Al2O4で表されるコバルト化合物を含有する溶液とをあらかじめ用意し、(A)成分を第1フィルターで、(B)成分を第2フィルターで、それぞれフィルタリングする工程、(A)成分と (B)成分とを混合する工程、(A)成分と(B)成分との混合液を重合させる工程を有するプラスチックレンズの製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、レンズ中の異物を低減した紫外線吸収機能を有するプラスチックレンズが得られる。
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、(A)成分:紫外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマ−と、(B)成分:CoO・Al2O3及び/又はCo・Al2O4で表されるコバルト化合物を含有する溶液とをあらかじめ用意し、(A)成分を第1フィルターで、(B)成分を第2フィルターで、それぞれフィルタリングする工程、(A)成分と (B)成分とを混合する工程、(A)成分と(B)成分との混合液を重合させる工程を有する。
本発明において、(A)成分のレンズ材料モノマーの必須成分としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独、及びジエチレングリコールビスアリルカーボネートと共重合可能なモノマーとの混合モノマーのことを言う。
この共重合可能なモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類〔ただし、本明細書中の(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する〕;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレートなどが挙げられる。
本発明においては、これらの共重合可能なモノマーのうち、高屈折率のプラスチックレンズを提供する観点から、芳香環を有するモノマーが好ましい。なお、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと他のモノマーとの共重合体は公知であり、その例として、特開昭54−41965号公報、特開昭51−125487号公報、特開平01−503809号公報などに開示されている共重合体が挙げられる。これら公報に記載されているジエチレングリコールビスアリルカーボネートと、このジエチレングリコールビスアリルカーボネートと共重合可能なモノマーとの混合物は、本発明におけるジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーに該当することはいうまでもない。
このジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーの好ましい量は、特に限定されないが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、50〜100重量%である。
本発明の(A)成分における紫外線吸収剤としては、レンズ中の異物を低減する観点から言えば特に限定されず、従来、眼鏡レンズを作製する際に用いられる紫外線吸収剤が使用される。400nm近辺の(D)紫外線を吸収する性能を有し、黄色の少ないレンズを得る観点から言えば、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン及び2,2'4'-トリヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノンの中から選ばれる少なくとも1種のベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が用いられる。
この紫外線吸収剤の好ましい添加量は、特に限定されず、得ようとする紫外線吸収能によって異なるが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、0.01〜5.0重量%である。
本発明で規定する重合開始剤は、ジエチレングルコールアリルカーボネートの重合を促進するために用いられる必須の成分で、特に限定されないが、有機過酸化系重合開始剤が通常用いられる。好ましい有機過酸化系重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t‐ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどが挙げられる。
この重合開始剤の好ましい添加量は、特に限定されないが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、0.1〜5.0重量%である。
前記の好ましいジエチレングルコールアリルカーボネート、紫外線吸収剤、重合開始剤を含有する(A)成分と(B)成分を組み合わせることにより、中心厚を2.2mmとしたときの中心におけるYI値(黄色度)が0.4〜1.5、且つ385nmにおける紫外線透過率が5%以下の特性を有するプラスチックレンズを提供することが可能になる。
本発明において、(B)成分中のCoO・Al2O3、Co・Al2O4で表されるコバルト化合物は、酸化コバルトと酸化アルミニウムの複合物であり、特開平5-195445号公報、特開平5-195446号公報、USP4,273,702号明細書などに開示されている公知の化合物である。また、(B)成分は、レンズのブルーイング剤の役目をすることも特開平5-195445号公報によって知られている。
(B)成分のCoO・Al2O3、Co・Al2O4で表されるコバルト化合物の好ましい粒径は、1000nm以下であり、特に好ましくは10〜500nmである。
また、この(B)成分を(A)成分に分散させるために、公知の界面活性剤、アルコール類、セロソルブ類、グリコールエーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類及びエステル類の中から選ばれる少なくとも1種を溶媒として、分散させることができる。これらの分散溶媒の中でも、特に好ましい態様は、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn−ブタノールとの混合液である。
分散溶媒を加えた(B)成分の濃度は、前記溶媒と(B)成分を全量として、5〜50重量%が好ましい。また、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn-ブタノールとの混合液の好ましい混合範囲は、重量比で1:1〜1:10である。
(B)成分中のCoO・Al2O3、Co・Al2O4で表されるコバルト化合物の好ましい量は、特に限定されないが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、0.0001〜0.01重量%である。
また、(A)成分中における(B)成分の分散性を向上させるため、前記(B)成分をフィルタリングする際に、前記(B)成分に、前記(A)成分中のジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーを少量添加すると好ましく、前記(B)成分に、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn-ブタノールとの混合液、及び前記(A)成分のレンズ材料モノマーを少量添加するとさらに好ましい。この際の、前記(A)成分中のジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーの好ましい添加量は、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として10重量%以下、特に好ましい添加量は、1重量%以下である。
本発明においては、図1に示すように、紫外線吸収剤、重合開始剤などの添加剤を含有したジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーである(A)成分について、第1フィルターでフィルタリングを行い(第1のフィルタリング)、さらに、(B)成分のみからなるブルーイング剤、(B)成分に前記分散溶媒を添加したブルーイング剤、(A)成分のレンズ材料モノマーを少量添加したブルーイング剤、(A)成分及び前記分散溶媒を添加したブルーイング剤について、第2フィルターで、別途フィルタリング(第2のフィルタリング)を行う。
図2に示した従来の方法、即ち、(A)成分と(B)成分を含有するブルーイング剤とを混合した後に、フィルタリングする方法では、メッシュの径を(A)成分及びブルーイング剤の両方の成分が通過できる程度にすれば、得られるレンズに異物(ゴミ)が混入しやすい。例えば、(A)成分中の粒径が0.1μmで、ブルーイング剤中の粒径が3μmであった場合、メッシュ径を5μm以上のものを使用すれば、両方の成分についてフィルタリングできるが、異物の混入が多い。
それに対し、本発明では、(A)成分中に含まれる異物(ゴミ)を、(A)成分単独で第1フィルターによりフィルタリングすることにより除去し、さらに、(B)成分を含むブルーイング剤を単独で第2フィルターによりフィルタリングすることにより異物を除去する。このように、(A)成分及び(B)成分を、それぞれの粒径に応じてフィルタリングすることにより、レンズ作製作業によって混入する、レンズ中の異物を軽減することが可能になる。
本発明においては、通常、(A)成分の方が(B)成分の粒径より小さいことが多いため、(A)成分をフィルタリングするための第1フィルターのメッシュ径は、(B)成分のブルーイング剤をフィルタリングするための第2フィルターのメッシュ径よりも小さいことが好ましい。但し、(B)成分のブルーイング剤に用いる第2フィルターのメッシュ径よりも(A)成分のに用いる第1フィルターのメッシュ径を大きくすることも可能である。
また、前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものであると好ましく、前記(A)成分に用いる第1フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも小さく、かつ前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものであると好ましい。
(A)成分に用いる第1フィルターの好ましいメッシュ径は、0.05μm〜1.0μmの範囲であり、さらに好ましくは、0.1μm〜1.0μmである。(B)成分をフィルタリングするための第2フィルターの好ましいメッシュ径は、1.0μm〜20μmの範囲であり、さらに好ましくは、1.0μm〜5.0μmである。
本発明においては、前記したように(A)成分及び(B)成分を別々にフィルタリングした後、それらを混合し、得られた混合液を脱気して分散剤の一部又はすべてを除去して、鋳型内に注入し、重合させてプラスチックレンズを得ると好ましい。
この重合方法は、特に限定されるものではないが、通常、注型重合が採用される。すなわち、(A)成分及び(B)成分の混合液をレンズ成型用鋳型中に注入し、−20℃〜150℃の間で加熱することよりプラスチックレンズが得られる。また、前記混合液には、特開平07−063902号公報、特開平07−104101号公報、特開平09−208621号公報、特開平09−255781号公報等に記載されている重合触媒、特開平01−163012号公報、特開平03−281312号公報等に記載されている内部離型剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
また、キナクリドン系顔料などの赤色着色剤などを必要に応じて添加することができる。キナクリドン系顔料としては、C.I.ナンバー;73915(ピグメントレッド122)のキナクリドンマゼンタ、C.I.ナンバー;73900(ピグメントレッド19)、C.I.ナンバー;73905(ピグメントレッド209)のキナクリドンEなどが挙げられる
また、本発明で得られるプラスチックレンズは、着色剤を用いて染色処理を行うことができる。また、耐擦傷性向上のため、有機ケイ素化合物、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の微粒子状無機物等を有するコーティング液を用いて硬化被膜をプラスチックレンズ上に形成することができる。また、耐衝撃性を向上させるためにポリウレタンを主成分とするプライマー層を設けることができる。さらに、反射防止の性能を付与するために、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル等を用いて反射防止膜を施すこともできる。また、撥水性向上のため、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を用いて撥水膜を反射防止膜上に施すことができる。
以上の様にして製造されたプラスチックレンズは、紫外線を吸収する性能を有し、レンズ中の異物が低減されているため、特に、眼鏡用プラスチックレンズに好適である。
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で評価した物性は次の方法により測定した。
(a)YI値測定:JIS K7103−1977に規定されているプラスチックの黄色度及び黄色度試験方法に準じて測定した。
(b)紫外線透過率測定:分光光度計(U3410,(株)日立製作所製) を用いて385nmの波長における紫外線透過率を測定した。
(c)外観:暗室に設置してある高圧水銀灯光をレンズに透過させ、目視にてレンズの外観を観察した。
実施例1
(1)(A)成分の調製及びフィルタリング
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100重量部に、重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネート3重量部、紫外線吸収剤として2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン1重量部を添加し、攪拌して(A)成分を調製した。その後、攪拌した液を、メッシュ径0.1μmの第1フィルターを用いてフィルタリングを行った。
(2)ブルーイングマスター液の調製及びフィルタリング
(B)成分として CoO・Al2O3(粒径50nm)(製造者:シーアイ化成(株)を、n-ブタノール、メチルセルソルブ(n-ブタノール:メチルセルソルブの割合(重量比)=2:1)及び界面活性剤で分散させて、混合液(CoO・Al2O3と、n-ブタノール、メチルセルソルブとは重量比で6:100)を調製した。さらに、この混合液とジエチレングリコールビスアリルカーボネートモノマー(CR-39)とを、20重量%(混合液):80重量%(CR-39)で混合してブルーイングマスター液を調製した。このブルーイングマスター液を、メッシュ径5μmの第2フィルターを用いてフィルタリングした。
(3)プラスチックレンズの製造
前記(2)の工程で得られたブルーイングマスター液0.6重量部と、前記(1)の工程で得られた(A)成分すべてを混合、攪拌した後、モールドとガスケットからなる鋳型中(0.00D、レンズ径70mm、肉厚2.2mmに設定)に注入した。電気炉中で40〜90℃まで20時間かけて徐々に昇温し90℃で1時間保持して重合を行った。重合終了後、ガスケットとモールドを取り外したのち、120℃で1時間熱処理してプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.74であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1. 82%であり、良好な紫外線カット性を示した。また、外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかった。また、得られたプラスチックレンズには、異物が混入していなかった。それらの結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、紫外線吸収剤を2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン1重量部の代わりに、2,2'4,4'-テトラヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン0.04重量部にして、ブルーイングマスター液の量を0.4重量部にした以外は同様にしてプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.81であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.99%であり、良好な紫外線カット性を示した。また、外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかった。また、得られたプラスチックレンズには、異物が混入していなかった。それらの結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、紫外線吸収剤を2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン1重量部の代わりに、2,2',4'-トリヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン0.04重量部にして、ブルーイングマスター液の量を0.3重量部にした以外は同様にしてプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.80であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.91%であり、良好な紫外線カット性を示した。外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかった。また、得られたプラスチックレンズには、異物が混入していなかった。それらの結果を表1に示す。
比較例1
(1)(A)成分の調製
実施例1の(1) と同様にして、(A)成分を調製した。ただし、その後、フィルタリングは行っていない。
(2)ブルーイングマスター液の調製
実施例1の(2) と同様にして、ブルーイングマスター液を調製した。ただし、その後、フィルタリングは行っていない。
(3)プラスチックレンズの製造
前記(2)の工程で得られたブルーイングマスター液0.6重量部と、前記(1)の工程で得られた(A)成分すべてを混合、攪拌した後、メッシュ径5μmのフィルターを用いて、フィルタリングした。その後、ガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(0.00D、レンズ径70mm、肉厚2.2mmに設定)の中に注入し、電気炉中で40〜90℃まで20時間かけて徐々に昇温し90℃で1時間保持して重合を行った。重合終了後、ガスケットとモールドを取り外したのち、120℃で1時間熱処理してレンズを得た。得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.74であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.82%であり、良好な紫外線カット性を示した。また、外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかったが、プラスチックレンズ中に異物が混入していた。それらの結果を表1に示す。
比較例2
比較例1において、メッシュ径5μmのフィルターを、メッシュ径0.1μmのフィルターに変更した以外は同様にしてプラスチックレンズを製造した。外観は、プラスチックレンズ中に異物は混入していなかったが、得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は2.5であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.82%であった。それらの結果を表1に示す。
Figure 0004230884
sb102:2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン
sb106:2,2'4,4'-テトラヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン
sb1060:2,2',4'-トリヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン
以上、詳細に説明したように、本発明の製造方法によれば、レンズ中の異物を低減した紫外線吸収機能を有するプラスチックレンズが得られる。
本発明のプラスチックレンズの製造方法の工程の一部を示す図である。 従来のプラスチックレンズの製造方法の工程の一部を示す図である。

Claims (8)

  1. (A)成分:紫外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマ−と、
    (B)成分:CoO・Al2O3及び/又はCo・Al2O4で表されるコバルト化合物メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn-ブタノールとの混合液(但し、混合範囲は、重量比で1:1〜1:10)を含有する溶液とをあらかじめ用意し、(A)成分をメッシュ径が0.05μm〜1.0μmの範囲の第1フィルターで、(B)成分をメッシュ径が1.0μm〜20μmの範囲の第2フィルターで、それぞれフィルタリングする工程、(A)成分と(B)成分とを混合する工程、(A)成分と(B)成分との混合液を重合させる工程を有するプラスチックレンズの製造方法。
  2. 前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものである請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
  3. 前記(A)成分に用いる第1フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも小さく、かつ前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものである請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
  4. 前記(B)成分をフィルタリングする際に、前記(B)成分に、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーを添加して溶液を調製し、前記第2フィルターでフィルタリングした溶液と、前記第1フィルターでフィルタリングされた(A)成分とを混合する請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
  5. 記第2フィルターでフィルタリングした溶液中に含まれる前記レンズ材料モノマーが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として10重量%以下とする請求項記載のプラスチックレンズの製造方法。
  6. 前記紫外線吸収剤が、2-ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン及び2,2’4’−トリヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノンの中から選ばれる少なくとも1種のベンゾフェノン系紫外線吸収剤である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
  7. 前記重合開始剤が、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
  8. 前記プラスチックレンズが、眼鏡用プラスチックレンズである請求項1〜のいずれか1項記載のプラスチックレンズ。
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