JP2005131799A - プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents
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【解決手段】 (A)成分:紫外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−トを必須成分とするレンズ材料モノマ−と、(B)成分:CoO・Al2O3及び/又はCo・Al2O4で表されるコバルト化合物を含有する溶液とをあらかじめ用意し、(A)成分を第1フィルターで、(B)成分を第2フィルターで、それぞれフィルタリングする工程、(A)成分と、(B)成分とを混合する工程、(A)成分と(B)成分との混合液を重合させる工程を有するプラスチックレンズの製造方法である。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、このようなレンズの製造方法では、得られたレンズ中に、ブルーイング剤の混合工程などのレンズ作製工程の作業により異物が混入しやすいという課題を有している。
すなわち、本発明は、(A)成分:紫外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、ジエチレングリコ−ルビスアリルカ−ボネ−トを必須成分とするレンズ材料モノマ−と、(B)成分:CoO・Al2O3及び/又はCo・Al2O4で表されるコバルト化合物を含有する溶液とをあらかじめ用意し、(A)成分を第1フィルターで、(B)成分を第2フィルターで、それぞれフィルタリングする工程、(A)成分と (B)成分とを混合する工程、(A)成分と(B)成分との混合液を重合させる工程を有するプラスチックレンズの製造方法を提供するものである。
本発明において、(A)成分のレンズ材料モノマーの必須成分としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独、及びジエチレングリコールビスアリルカーボネートと共重合可能なモノマーとの混合モノマーのことを言う。
このジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーの好ましい量は、特に限定されないが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、50〜100重量%である。
この紫外線吸収剤の好ましい添加量は、特に限定されず、得ようとする紫外線吸収能によって異なるが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、0.01〜5.0重量%である。
この重合開始剤の好ましい添加量は、特に限定されないが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、0.1〜5.0重量%である。
前記の好ましいジエチレングルコールアリルカーボネート、紫外線吸収剤、重合開始剤を含有する(A)成分と(B)成分を組み合わせることにより、中心厚を2.2mmとしたときの中心におけるYI値(黄色度)が0.4〜1.5、且つ385nmにおける紫外線透過率が5%以下の特性を有するプラスチックレンズを提供することが可能になる。
(B)成分のCoO・Al2O3、Co・Al2O4で表されるコバルト化合物の好ましい粒径は、1000nm以下であり、特に好ましくは10〜500nmである。
また、この(B)成分を(A)成分に分散させるために、公知の界面活性剤、アルコール類、セロソルブ類、グリコールエーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類及びエステル類の中から選ばれる少なくとも1種を溶媒として、分散させることができる。これらの分散溶媒の中でも、特に好ましい態様は、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn−ブタノールとの混合液である。
分散溶媒を加えた(B)成分の濃度は、前記溶媒と(B)成分を全量として、5〜50重量%が好ましい。また、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn-ブタノールとの混合液の好ましい混合範囲は、重量比で1:1〜1:10である。
(B)成分中のCoO・Al2O3、Co・Al2O4で表されるコバルト化合物の好ましい量は、特に限定されないが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として、0.0001〜0.01重量%である。
図2に示した従来の方法、即ち、(A)成分と(B)成分を含有するブルーイング剤とを混合した後に、フィルタリングする方法では、メッシュの径を(A)成分及びブルーイング剤の両方の成分が通過できる程度にすれば、得られるレンズに異物(ゴミ)が混入しやすい。例えば、(A)成分中の粒径が0.1μmで、ブルーイング剤中の粒径が3μmであった場合、メッシュ径を5μm以上のものを使用すれば、両方の成分についてフィルタリングできるが、異物の混入が多い。
それに対し、本発明では、(A)成分中に含まれる異物(ゴミ)を、(A)成分単独で第1フィルターによりフィルタリングすることにより除去し、さらに、(B)成分を含むブルーイング剤を単独で第2フィルターによりフィルタリングすることにより異物を除去する。このように、(A)成分及び(B)成分を、それぞれの粒径に応じてフィルタリングすることにより、レンズ作製作業によって混入する、レンズ中の異物を軽減することが可能になる。
また、前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものであると好ましく、前記(A)成分に用いる第1フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも小さく、かつ前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものであると好ましい。
(A)成分に用いる第1フィルターの好ましいメッシュ径は、0.05μm〜1.0μmの範囲であり、さらに好ましくは、0.1μm〜1.0μmである。(B)成分をフィルタリングするための第2フィルターの好ましいメッシュ径は、1.0μm〜20μmの範囲であり、さらに好ましくは、1.0μm〜5.0μmである。
この重合方法は、特に限定されるものではないが、通常、注型重合が採用される。すなわち、(A)成分及び(B)成分の混合液をレンズ成型用鋳型中に注入し、−20℃〜150℃の間で加熱することよりプラスチックレンズが得られる。また、前記混合液には、特開平07−063902号公報、特開平07−104101号公報、特開平09−208621号公報、特開平09−255781号公報等に記載されている重合触媒、特開平01−163012号公報、特開平03−281312号公報等に記載されている内部離型剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
また、キナクリドン系顔料などの赤色着色剤などを必要に応じて添加することができる。キナクリドン系顔料としては、C.I.ナンバー;73915(ピグメントレッド122)のキナクリドンマゼンタ、C.I.ナンバー;73900(ピグメントレッド19)、C.I.ナンバー;73905(ピグメントレッド209)のキナクリドンEなどが挙げられる
(a)YI値測定:JIS K7103−1977に規定されているプラスチックの黄色度及び黄色度試験方法に準じて測定した。
(b)紫外線透過率測定:分光光度計(U3410,(株)日立製作所製) を用いて385nmの波長における紫外線透過率を測定した。
(c)外観:暗室に設置してある高圧水銀灯光をレンズに透過させ、目視にてレンズの外観を観察した。
(1)(A)成分の調製及びフィルタリング
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100重量部に、重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネート3重量部、紫外線吸収剤として2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン1重量部を添加し、攪拌して(A)成分を調製した。その後、攪拌した液を、メッシュ径0.1μmの第1フィルターを用いてフィルタリングを行った。
(2)ブルーイングマスター液の調製及びフィルタリング
(B)成分として CoO・Al2O3(粒径50nm)(製造者:シーアイ化成(株)を、n-ブタノール、メチルセルソルブ(n-ブタノール:メチルセルソルブの割合(重量比)=2:1)及び界面活性剤で分散させて、混合液(CoO・Al2O3と、n-ブタノール、メチルセルソルブとは重量比で6:100)を調製した。さらに、この混合液とジエチレングリコールビスアリルカーボネートモノマー(CR-39)とを、20重量%(混合液):80重量%(CR-39)で混合してブルーイングマスター液を調製した。このブルーイングマスター液を、メッシュ径5μmの第2フィルターを用いてフィルタリングした。
(3)プラスチックレンズの製造
前記(2)の工程で得られたブルーイングマスター液0.6重量部と、前記(1)の工程で得られた(A)成分すべてを混合、攪拌した後、モールドとガスケットからなる鋳型中(0.00D、レンズ径70mm、肉厚2.2mmに設定)に注入した。電気炉中で40〜90℃まで20時間かけて徐々に昇温し90℃で1時間保持して重合を行った。重合終了後、ガスケットとモールドを取り外したのち、120℃で1時間熱処理してプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.74であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1. 82%であり、良好な紫外線カット性を示した。また、外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかった。また、得られたプラスチックレンズには、異物が混入していなかった。それらの結果を表1に示す。
実施例1において、紫外線吸収剤を2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン1重量部の代わりに、2,2'4,4'-テトラヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン0.04重量部にして、ブルーイングマスター液の量を0.4重量部にした以外は同様にしてプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.81であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.99%であり、良好な紫外線カット性を示した。また、外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかった。また、得られたプラスチックレンズには、異物が混入していなかった。それらの結果を表1に示す。
実施例1において、紫外線吸収剤を2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン1重量部の代わりに、2,2',4'-トリヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン0.04重量部にして、ブルーイングマスター液の量を0.3重量部にした以外は同様にしてプラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.80であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.91%であり、良好な紫外線カット性を示した。外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかった。また、得られたプラスチックレンズには、異物が混入していなかった。それらの結果を表1に示す。
(1)(A)成分の調製
実施例1の(1) と同様にして、(A)成分を調製した。ただし、その後、フィルタリングは行っていない。
(2)ブルーイングマスター液の調製
実施例1の(2) と同様にして、ブルーイングマスター液を調製した。ただし、その後、フィルタリングは行っていない。
(3)プラスチックレンズの製造
前記(2)の工程で得られたブルーイングマスター液0.6重量部と、前記(1)の工程で得られた(A)成分すべてを混合、攪拌した後、メッシュ径5μmのフィルターを用いて、フィルタリングした。その後、ガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(0.00D、レンズ径70mm、肉厚2.2mmに設定)の中に注入し、電気炉中で40〜90℃まで20時間かけて徐々に昇温し90℃で1時間保持して重合を行った。重合終了後、ガスケットとモールドを取り外したのち、120℃で1時間熱処理してレンズを得た。得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.74であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.82%であり、良好な紫外線カット性を示した。また、外観もブルーイングマスター液によって、色調ムラになっているところはなかったが、プラスチックレンズ中に異物が混入していた。それらの結果を表1に示す。
比較例1において、メッシュ径5μmのフィルターを、メッシュ径0.1μmのフィルターに変更した以外は同様にしてプラスチックレンズを製造した。外観は、プラスチックレンズ中に異物は混入していなかったが、得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は2.5であり、波長385nmにおける紫外線透過率は1.82%であった。それらの結果を表1に示す。
sb106:2,2'4,4'-テトラヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン
sb1060:2,2',4'-トリヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン
Claims (10)
- (A)成分:紫外線吸収剤及び重合開始剤を含有し、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマ−と、
(B)成分:CoO・Al2O3及び/又はCo・Al2O4で表されるコバルト化合物を含有する溶液とをあらかじめ用意し、(A)成分を第1フィルターで、(B)成分を第2フィルターで、それぞれフィルタリングする工程、(A)成分と(B)成分とを混合する工程、(A)成分と(B)成分との混合液を重合させる工程を有するプラスチックレンズの製造方法。 - 前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものである請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記(A)成分に用いる第1フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも小さく、かつ前記(B)成分に用いる第2フィルターの径が、前記(B)成分のコバルト化合物の粒径よりも大きいものである請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記(B)成分をフィルタリングする際に、前記(B)成分に、少なくとも1種の分散溶媒を添加して溶液を調製し、前記第2フィルターでフィルタリングする請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記分散溶媒が、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn-ブタノールとの混合液である請求項4記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記(B)成分をフィルタリングする際に、前記(B)成分に、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn-ブタノールとの混合液、及びジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーを添加して溶液を調製し、前記第2フィルターでフィルタリングした溶液と、前記第1フィルターでフィルタリングされた(A)成分とを混合する請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記(B)成分をフィルタリングする際に、前記(B)成分に、メチルセルソルブ及び/又はブチルセルソルブとn-ブタノールとの混合液、及びジエチレングリコールビスアリルカーボネートを必須成分とするレンズ材料モノマーを添加して溶液を調製し、前記第2フィルターでフィルタリングした溶液中に含まれる前記レンズ材料モノマーが、全プラスチックレンズ材料の合計重量を基準として10重量%以下とする請求項6記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記紫外線吸収剤が、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン及び2,2'4'-トリヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノンの中から選ばれる少なくとも1種のベンゾフェノン系紫外線吸収剤である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記重合開始剤が、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記プラスチックレンズが、眼鏡用プラスチックレンズである請求項1〜9のいずれか1項記載のプラスチックレンズ。
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