JP4230789B2 - 発泡性予備成形体、それを用いた繊維強化発泡プラスチック成形体及びその製造方法 - Google Patents

発泡性予備成形体、それを用いた繊維強化発泡プラスチック成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性予備成形体、それを用いた繊維強化発泡プラスチック成形体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、軽量の繊維強化発泡プラスチック成形体の製造に好適に用いられるシート状又はバルク状の発泡性予備成形体、この予備成形体を加熱硬化させてなる、軽量でかつ高強度の繊維強化発泡プラスチック成形体、及びこのものを効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化プラスティックス(Fiber Reinforced Plastics、FRP)は、複合材料として、様々な分野、例えば建築分野、輸送分野、電気分野、航空・宇宙分野などに幅広く用いられている。
このFRPの製造方法としては、各種の方法が開発されており、例えばSMC(Sheet Molding Compoundの略)法、BMC(BulkMolding Compoundの略)法、TMC(Thick Molding Compoundの略)法などが知られている。
【0003】
前記SMC、BMC又はTMCは、それぞれ樹脂マトリックス中に、低収縮剤、充填材、各種添加剤などを加えた樹脂組成物を、ガラス繊維などの繊維状強化材に含浸させ、シート状又はパテ状に加工した熱硬化性成形材料であって、一般に金型内で加熱加圧することにより硬化し、容易にFRP成形体が得られる。
該SMC、BMC又はTMCにおいては、樹脂マトリックスとして、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが用いられ、また、低収縮剤としては、例えばポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンブロックポリマーなどが用いられる。一方、充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどが使用される。
【0004】
中でも、不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維を用いてなるSMC、BMC又はTMCは、ハンドリング性、流動性、硬化性に優れる上、成形体の表面性、機械的強度、耐熱性、耐水性、耐薬品性にも優れるなどの特徴を有することから、様々な産業分野で用いられ、大きな市場を形成している。特に、パネルタンク、浄化槽、冷却塔、ユニットバス、バルコニーなど、住宅建築用材料として多くの用途に使用されている。さらに、近年、不飽和ポリエステル樹脂系のSMCやBMCが、自動車用プラスチック材料として脚光を浴び、例えばトランクリッド、ルーフ、フェンダーなどの主要外板やスポイラーなどの外装部品にも使用されるようになってきた。
しかしながら、このようなFRP成形体は、一般の樹脂材料からなる成形体に比べて、比重が大きいという問題を有している。例えばガラス繊維を補強材とするFRPは、一般的な熱可塑性樹脂の比重が1.0〜1.4程度であるのに対し、1.6〜2.0程度で大きく、自動車用途に用いる場合には、近年の車両重量規制などの問題から、低比重化の要求が極めて高い。
【0005】
そこで、このような問題に対処するために、これまで、様々な方法が試みられている。例えば、SMCにガラスマイクロバルーンを配合して比重を小さくすることが試みられているが、この場合、成形体の比重を1.0未満にするためには、樹脂組成物にガラスマイクロバルーンを多量に配合しなければならず、その結果、該樹脂組成物が高粘度となって、SMC作製時に補強繊維への含浸が困難となるといった問題が生じる。また、SMCに発泡剤を配合することも試みられているが、この場合、成形体の比重を1.0未満にするためには、発泡剤を多量に配合しなければならず、その結果、成形体内に大きな空洞が多数存在し、成形体の強度が低下したり、強度のばらつきが大きくなるなどの問題が生じる。
したがって、このような問題を解決するために、発泡剤とシラスバルーンなどの微小中空粉体を組み合わせ、配合してなるSMCやBMCなどの不飽和ポリエステル樹脂系成形材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この場合も、得られる成形体の比重は、実施例によると0.90より低いものは得られておらず、低比重化については十分に満足し得るものではない。また、バルーンの表面処理が必要でコスト的にも高いものとなっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−336131号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、軽量の繊維強化発泡プラスチック成形体の製造に好適に用いられるシート状又はバルク状の発泡性予備成形体、この予備成形体を加熱硬化させてなる、軽量でかつ高強度の繊維強化発泡プラスチック成形体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、マトリックス樹脂として、熱硬化性樹脂を含有する液状体を用い、このものと補強用繊維と加熱膨張性マイクロカプセルを含むシート状又はバルク状予備成形体を加熱硬化させることにより、軽量でかつ高強度の繊維強化発泡プラスチック成形体が得られ、本発明の目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)(A)マトリックス樹脂、(B)補強用繊維及び(C)加熱膨張性マイクロカプセルを含むシート状又はバルク状発泡性予備成形体であって、前記(A)成分のマトリックス樹脂として、熱硬化性樹脂を含有する液状体を用いたことを特徴とする発泡性予備成形体、
(2)熱硬化性樹脂を含有する液状体が、不飽和ポリエステル樹脂を含有する液状体である上記(1)の発泡性予備成形体、
(3)(B)成分の補強用繊維が、長さ3〜100mmのガラス繊維である上記(1)、(2)の発泡性予備成形体、
(4)(B)成分の補強用繊維の含有量が、発泡性予備成形体全量に基づき、10〜70質量%である上記(1)〜(3)の発泡性予備成形体、
(5)(C)成分の加熱膨張性マイクロカプセルが、低沸点液状有機化合物を内包したコアシェル型のものである上記(1)〜(4)の発泡性予備成形体、
(6)(C)成分の加熱膨張性マイクロカプセルの含有量が、(A)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部である上記(1)〜(5)の発泡性予備成形体、
(7)上記(1)〜(6)の発泡性予備成形体を加熱硬化させたことを特徴とする繊維強化発泡プラスチック成形体、
(8)密度が0.4〜1.5g/cmである上記(7)の繊維強化発泡プラスチック成形体、及び
(9)上記(1)〜(6)の発泡性予備成形体を金型内に収納し、次いで加熱加圧して発泡硬化させることを特徴とする繊維強化発泡プラスチック成形体の製造方法、
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡性予備成形体は、(A)マトリックス樹脂、(B)補強用繊維及び(C)加熱膨張性マイクロカプセルを含むシート状(SMCやTMC)又はバルク状(BMC)のものであり、このような発泡性予備成形体を作製するには、まず、SMC、BMC又はTMC用の発泡性成形材料を調製する。
この発泡性成形材料は、(A)成分のマトリックス樹脂として、熱硬化性樹脂を含有する液状体を用い、これに前記(C)成分の加熱膨張性マイクロカプセルを配合し、さらに従来SMC、BMCやTMC用として慣用されている材料、例えば低収縮剤、無機充填材、重合開始剤や硬化剤、増粘剤及び必要に応じて用いられる硬化促進剤やその他添加剤を配合することにより、調製することができる。
【0011】
前記(A)成分のマトリックス樹脂として用いられる熱硬化性樹脂を含有する液状体としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを含有する液状体などがあるが、これらの中で、SMC、BMC又はTMC用としては、一般に不飽和ポリエステル樹脂を含有する液状体が好ましく使用される。
この不飽和ポリエステル樹脂を含有する液状体は、不飽和ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分とグリコール成分とをエステル化反応することによって得られた不飽和ポリエステル樹脂を液状のビニルモノマーに溶解したものである。該不飽和ポリエステル樹脂は、数平均分子量500〜5000程度のポリマーであり、不飽和ジカルボン酸としては、通常無水マレイン酸又はフマル酸が用いられる。また、液状のビニルモノマーは、不飽和ポリエステル樹脂の溶媒として働くと共に、架橋剤として機能する。この液状のビニルモノマーとしては、一般にスチレンモノマーが用いられるが、その他メタクリル酸メチル、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのモノマーや、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能性モノマーなどを、目的に応じて用いることができる。
【0012】
この液状のビニルモノマーは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよく、またその配合量は特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、一般に樹脂成分の合計量、すなわち前記不飽和ポリエステル樹脂と後述の低収縮剤との合計100質量部に対して、10〜150質量部、好ましくは15〜80質量部の範囲で選定される。
本発明において、発泡性成形材料に配合される(C)成分の加熱膨張性マイクロカプセルとしては、従来公知のものを使用することができるが、特にコアが低沸点液状有機化合物であり、これを熱可塑性樹脂からなるシェルで内包したコアシェル型の加熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。コアの低沸点液状有機化合物としては、常温、常圧における沸点が150℃以下のものが好ましく、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素化合物やエーテル類等を挙げることができる。また、シェルを形成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル系共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタンなどを用いることができるが、これらの中でアクリロニトリル系共重合体が好ましい。
【0013】
この加熱膨張性マイクロカプセルの製造方法については特に制限はなく、従来公知の様々な方法を採用することができるが、特にインサイト重合法により製造されたものが好ましい。
該加熱膨張性マイクロカプセルは、加熱膨張前の平均粒径が0.5〜100μmの範囲にあるものが好ましく、1〜70μmの範囲にあるものがより好ましく、特に5〜50μmの範囲にあるものが好ましい。また、加熱膨張後の外径は、膨張前の外径の2倍以上が好ましく、3〜10倍程度がより好ましい。膨張前の平均粒径が0.5μm未満では十分な発泡が得られにくいし、100μmを超えるとSMC、BMCやTCM中に均一に分散しにくく、均質な繊維強化発泡プラスチック成形体が得られない場合がある。
前記加熱膨張性マイクロカプセルは、加熱されて軟化したシェルが、コアの気化膨張する力によって風船のように膨張する。膨張開始温度は、作業性の面から80℃以上であることが好ましく、より好ましくは100〜230℃、特に好ましくは120〜200℃の範囲である。
【0014】
本発明においては、この(C)成分の加熱膨張性マイクロカプセルの配合量は、前記(A)成分のマトリックス樹脂(熱硬化性樹脂を含有する液状体)100質量部に対し、0.1〜50質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量部、特に好ましくは1〜10質量部の範囲である。この配合量が0.1質量部未満では所望の低密度の繊維強化発泡プラスチック成形体が得られにくく、50質量部を超えると該プラスチック成形体の強度が不十分となるおそれがある。
本発明における発泡性成形材料に配合される低収縮剤としては特に制限はなく、従来SMC、BMCやTMC用成形材料において、低収縮剤として慣用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。この低収縮剤の例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、飽和ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブタジエンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、得られる発泡プラスチック成形体の収縮率や表面平滑性、表面光沢などを考慮して選定されるが、前記マトリックス樹脂と該低収縮剤との質量比が、通常90:10ないし50:50、好ましくは80:20ないし60:40の範囲で選ばれる。
【0015】
また、本発明における発泡性成形材料に配合される充填材としては特に制限はなく、従来SMC、BMCやTMC用成形材料において、充填材として慣用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。この充填材の例としては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、クレー、マイカ、中空バルーン(ガラス、シラス、セメント)、フェライト、亜鉛華などが挙げられるが、これらの中で、炭酸カルシウムが好ましい。前記充填材は、分散性をよくするために、表面処理を施すことができる。この充填材は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、前記のマトリックス樹脂と低収縮剤との合計量100質量部に対し、通常50〜200質量部の範囲で選定される。
本発明における発泡性成形材料が、不飽和ポリエステル樹脂系発泡性成形材料の場合、重合開始剤や硬化剤としては、通常有機過酸化物が用いられる。この有機過酸化物としては、従来不飽和ポリエステル樹脂系成形材料において、重合開始剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。この有機過酸化物の例としては、メチルエチルケトンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドなどが挙げられ、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。この重合開始剤の配合量は、前記マトリックス樹脂100質量部に対し、通常0.3〜5質量部、好ましくは0.7〜3質量部の範囲で選定される。
【0016】
また、不飽和ポリエステル樹脂系発泡性成形材料の場合、それに配合される増粘剤としては、従来SMC、BMCやTMC用の成形材料において、増粘剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。この増粘剤の例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カリウム、水酸化カリウムなどが挙げられるが、一般的には酸化マグネシウムが用いられる。この増粘剤の配合量は、前記マトリックス樹脂100質量部に対し、通常0.5〜5質量部、好ましくは0.7〜2質量部の範囲で選定される。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂系発泡性成形材料においては、前記増粘剤を添加30分後の温度25℃における粘度が、50〜300Pa・sの範囲にあることが好ましい。この粘度が300Pa・sを超えると補強用繊維への含浸性が不充分となり、好ましくない。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂系発泡性成形材料においては、従来不飽和ポリエステル樹脂系成形材料に使用されているその他添加剤、例えば硬化促進剤、重合禁止剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、揺変性付与剤などを、所望により配合することができる。
【0017】
上記硬化促進剤の例としては、ナフテン酸コバルト;オクトエ酸コバルト;N,N−ジメチルアニリン;N,N−ジエチルアニリン;N,N−ジメチル−p−トルイジン;アセチルアセトン;アセト酢酸エチルなどが挙げられる。また、重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン;p−ベンゾキノン;メチルハイドロキノン;トリメチルハイドロキノン;t−ブチルハイドロキノン;カテコール;t−ブチルカテコール;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
次に、本発明の発泡性予備成形体は、前記のようにして得られた発泡性成形材料を(B)成分の補強用繊維に含浸させ、シート状(SMC、TMC)又はバルク状(BMC)に成形したものである。
前記補強用繊維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、さらにはポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維などの有機繊維などが挙げられるが、これらの中でガラス繊維が好適である。このガラス繊維としては、ロービングを切断した長繊維及び短繊維が用いられる。長繊維は、長さが、通常15〜100mm、好ましくは20〜50mmの範囲のものであり、短繊維は、長さが、通常3mm以上15mm未満、好ましくは6〜13mmの範囲のものである。
【0018】
上記ロービングは、通常、繊維径5〜25μmの単繊維50〜4000本程度をポリ酢酸ビニル系、ポリエステル系、エポキシ樹脂系、ポリウレタン系などの集束剤で集束することにより得られたものである。
本発明の発泡性予備成形体においては、前記補強用繊維は、該予備成形体全量に基づき、通常10〜70質量%、好ましくは15〜50質量%の範囲で含有される。また、本発明における発泡性成形材料は、増粘剤添加30分後の温度25℃における粘度が50〜300Pa・sの範囲になるようなものが好ましく用いられるので、粘度がこの範囲にある間に該発泡性成形材料を補強用繊維に含浸させることが、含浸性の点で有利である。
本発明の繊維強化発泡プラスチック成形体は、このようにして得られたシート状(SMC、TMC)又はバルク状(BMC)の発泡性予備成形体を、加熱硬化させることにより、得ることができる。特に、発泡性予備成形体を金型内にセットし、型締めを発泡後想定する成形品肉厚で中断し、発泡圧を利用する方法により成形すると、低圧で成形できるので成形体の製造設備や金型のコストを低減できる利点を有する。
本発明の繊維強化発泡プラスチック成形体の密度は、好ましくは0.4〜1.5g/cmであり、より好ましくは0.5〜1.2g/cmである
【0019】
次に、本発明の繊維強化発泡プラスチック成形体を作製する実施態様について、SMCの場合を例に挙げて説明する。
まず、(A)成分のマトリックス樹脂、(C)成分の加熱膨張性マイクロカプセル、低収縮剤、充填材、重合開始剤や硬化剤及び必要に応じて用いられる硬化促進剤やその他の添加剤を混練して、コンパウンドペーストを調製する。次いでこれに増粘剤を混合して得られた発泡性成形材料を、ただちにSMC含浸機に供給する。
次に、2枚のキャリヤーフィルムそれぞれに上記発泡性成形材料を所定量塗布したのち、下フィルムの塗布層上に、ガラスロービングをカッターでチョップしながら降らせる。この際、組成物の粘度(25℃)は50〜300Pa・sの範囲が好ましい。次いでその上に塗布層を有する上フィルムを該塗布層が内側になるように重ね合わせ、この重ね合わせたフィルムの上下にロールを押しつけて、サンドイッチ状になったガラス繊維に組成物を含浸させることにより、本発明のシート状発泡性予備成形体(SMC)が得られる。
【0020】
このようにして得られた本発明のシート状発泡性予備成形体の厚さは、成形材料のガラス繊維への浸透性などの面から、通常1〜10mm、好ましくは1〜5mmの範囲で選定される。
また、該シート状発泡性予備成形体におけるガラス繊維の含有量は、前記したように、通常10〜70質量%、好ましくは15〜50質量%の範囲で選定される。
次いで、前記のようにして得られたシート状発泡性予備成形体を、通常複数枚用い、金型内に重ねてセットし、130℃〜160℃で発泡後の厚さに合わせて型締めを中断するか、5〜10MPaで型締めした後、約1分後に発泡後の厚さに合わせて型を上昇するという条件で、3〜5分間程度加熱加圧して、発泡硬化させることにより、ガラス繊維強化発泡プラスチック成形体が得られる。
【0021】
[実施例]
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)発泡性予備成形体の作製
マトリックス樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、数平均分子量:3000)75質量部、低収縮剤(ポリスチレンの35%スチレンモノマー溶液)25質量部、粘度調整剤(スチレンモノマー)10質量部、硬化剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート)1質量部、重合禁止剤(パラベンゾキノン)0.05質量部、加熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂社製「マイクロスフェアーF105D」)5質量部、内部離型剤(ステアリン酸亜鉛)5質量部、改質剤(粉末ポリエチレン)4質量部及び充填剤(重質炭酸カルシウム)140質量部を混練してコンパウンドペーストを調製した。次いで、これに増粘剤ペーストとして、増粘剤(酸化マグネシウム)1質量部と樹脂(酸価0の不飽和ポリエステル樹脂)4質量部との混合物を加え、発泡性成形材料を作製した。
なお、上記の不飽和ポリエステル樹脂(マトリックス樹脂)は、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸とマレイン酸の組合わせを、グリコール成分として、プロピレングリコールとネオペンチルグリコールとの組合わせを用い、エステル化反応させて得られたものである。
【0022】
次に、前記増粘剤ペースト添加約30分後に、ガラスロービングをカッターでチョップしてなる長さ約25mmのガラス繊維を、発泡性予備成形体全量に基づき30質量%の割合で加え、常法に従ってシート状発泡性予備成形体(SMC)を作製した。
(2)繊維強化発泡プラスチック成形体の作製
上記(1)で得られたシート状発泡性予備成形体を100×100mmにカットし、これを全量が170gになるように、200×200mm平板金型内に積層セットしたのち、4mmのスペーサを介して、圧力約5MPaでプレス成形し、繊維強化発泡プラスチック成形体を作製した。
成形条件及び得られた成形体の物性を第1表に示す。
【0023】
実施例2
実施例1において、繊維強化発泡プラスチック成形体の作製時に、スペーサの厚さを6mmとした以外は、実施例1と同様にして繊維強化発泡プラスチック成形体を作製した。
成形条件及び得られた成形体の物性を第1表に示す。
実施例3
(1)発泡予備成形体の作製
実施例1(1)において、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエートの代わりにジクミルパーオキシドを用い、かつ重合禁止剤のパラベンゾキノンの量を0.1質量部に変更した以外は、実施例1(1)と同様にしてシート状発泡性予備成形体(SMC)を作製した。
(2)繊維強化発泡プラスチック成形体の作製
上記(1)で得られたシート状発泡性予備成形体を100×100mmにカットし、これを全量が170gになるように、200×200mm平板金型内に積層セットしたのち、8mmのスペーサを介して、圧力約5MPaでプレス成形し、繊維強化発泡プラスチック成形体を作製した。
成形条件及び得られた成形体の物性を第1表に示す。
【0024】
実施例4
実施例1において、繊維強化発泡プラスチック成形体の作製時に、スペーサを用いずに、かつ型締め45秒後に型を8mm開けた以外は、実施例1と同様にして繊維強化発泡プラスチック成形体を作製した。
成形条件及び得られた成形体の物性を第1表に示す。
比較例1
(1)予備成形体の作製
実施例1(1)において、加熱膨張性マイクロカプセルを用いなかったこと以外は、実施例1(1)と同様にしてシート状予備成形体(SMC)を作製した。(2)繊維強化プラスチック成形体の作製
上記(1)で得られたシート状予備成形体を100×100mmにカットし、これを全量が340gになるように、200×200mm平板金型内に積層セットしたのち、スペーサなしで圧力約5MPaでプレス成形し、繊維強化プラスチック成形体を作製した。
成形条件及び得られた成形体の物性を第1表に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004230789
【0026】
[注]
1)密度:JIS K7222に準拠して測定した。
2)光沢度:JIS K5600−4−7(60°)に準拠して測定した。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量の繊維強化発泡プラスチック成形体の製造に好適に用いられるシート状又はバルク状の発泡性予備成形体を提供することができる。
前記発泡性予備成形体を加熱硬化させることにより、建材、断熱材、吸音材、あるいは冷凍冷蔵用機器などに用いられる真空断熱材(パネル)のコア材、さらには自動車の内装骨材などとして好適な、軽量でかつ高強度の繊維強化発泡プラスチック成形体を容易に得ることができる。

Claims (9)

  1. (A)マトリックス樹脂、(B)補強用繊維及び(C)加熱膨張性マイクロカプセルを含むシート状又はバルク状発泡性予備成形体であって、前記(A)成分のマトリックス樹脂として、熱硬化性樹脂を含有する液状体を用い、さらに低収縮剤を含有し、前記マトリックス樹脂と前記低収縮剤との質量比が、90:10ないし50:50の範囲であることを特徴とする発泡性予備成形体。
  2. 熱硬化性樹脂を含有する液状体が、不飽和ポリエステル樹脂を含有する液状体である請求項1記載の発泡性予備成形体。
  3. (B)成分の補強用繊維が、長さ3〜100mmのガラス繊維である請求項1又は2記載の発泡性予備成形体。
  4. (B)成分の補強用繊維の含有量が、発泡性予備成形体全量に基づき、10〜70質量%である請求項1、2又は3記載の発泡性予備成形体。
  5. (C)成分の加熱膨張性マイクロカプセルが、低沸点液状有機化合物を内包したコアシェル型のものである請求項1ないし4のいずれかに記載の発泡性予備成形体。
  6. (C)成分の加熱膨張性マイクロカプセルの含有量が、(A)成分100質量部に対し、0.1〜50質量部である請求項1ないし5のいずれかに記載の発泡性予備成形体。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の発泡性予備成形体を加熱硬化させたことを特徴とする繊維強化発泡プラスチック成形体。
  8. 密度が0.4〜1.5g/cm3である請求項7記載の繊維強化発泡プラスチック成形体。
  9. 請求項1ないし6のいずれかに記載の発泡性予備成形体を金型内に収納し、次いで加熱加圧して発泡硬化させることを特徴とする繊維強化発泡プラスチック成形体の製造方法。
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